JP2006296270A - Prkaa2遺伝子多型による2型糖尿病発症素因の検出方法 - Google Patents

Prkaa2遺伝子多型による2型糖尿病発症素因の検出方法 Download PDF

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孝 門脇
Kazuo Hara
一雄 原
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Abstract

【課題】AMPK遺伝子多型多型の検出によりインスリン抵抗性または2型糖尿病の素因を調べる方法を見出すこと。
【解決手段】2型糖尿病患者由来DNAの遺伝子配列をデータベースGenBankの配列と比較し、PRKAA2遺伝子の新規SNPを発見した。該新規SNPを含む10個のSNPについて連鎖不平衡解析を実施し、解析結果から、10個のSNPを6個のクラスターに分類した。各クラスターからSNPを1つずつ選択して作成したハプロタイプと糖尿病との関連性を解析したところ、SNP:rs2051040に関してマイナー(A)アリルおよび他の5個のSNPに関してメジャーアリルを有するハプロタイプが有意に糖尿病と関連することを見出した。また、上記10個のSNPとインスリン抵抗性の関連性について検討し、rs2051040がインスリン抵抗性と関連することを見出した。
【選択図】なし

Description

本発明は、PRKAA2遺伝子多型および該多型を利用した2型糖尿病発症素因の検出方法に関する。
2型糖尿病は、インスリン分泌不全およびインスリン抵抗性によりインスリン作用不足となり、高血糖を呈する疾患である。2型糖尿病の原因は単純ではなく、遺伝的素因に加え、様々な環境因子が重なって発症する。2型糖尿病の発症機構の解明、新規治療法および予防法の確立に向け、2型糖尿病の遺伝的素因に関する研究が盛んに行われている。
例えば、2型糖尿病と関連する遺伝子多型として、ミトコンドリアDNAの3243点多型が知られている。上記3243多型は、日本人2型糖尿病患者では白人と比較して有意に高く認められる(非特許文献1,2)。逆に、日本人2型糖尿病患者におけるMODY(mature−onset diabetes of the young)遺伝子多型の頻度は、白人と比較して少ない(非特許文献3-6)。他にも、アディポネクチン遺伝子(非特許文献7)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)(非特許文献8)、β3アドレナリン受容体(ADRB3)遺伝子(非特許文献9-10)、脱共役タンパク質1(UCP1)遺伝子、スルホニル尿素受容体(SUR)遺伝子(非特許文献11)について、2型糖尿病の遺伝的素因との関連性が報告されている。
また、日本人2型糖尿病の原因遺伝子を含む可能性のある染色体領域が、罹患同胞対法による全ゲノムマッピングによって同定されている。日本人2型糖尿病遺伝子を含む可能性があるとして同定された染色体領域は、1p36, 2q34, 3q27, 6p23, 7p22, 9p, 11p13, 15q13, 20q12の9箇所である。このうち3q27はアディポネクチン遺伝子を含む領域である。また11p13、20q12は、β3細胞の発生分化や機能維持に重要な転写因子と考えられるPax6, HNF-4α(Hepatocyte nuclear factor-4α)を含む領域である。
一方、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMP-activated protein kinase, AMPK)は、5’AMPによって活性化されるセリン・スレオニンキナーゼである。AMPKは、α、β、γの3つのサブユニットから構成されるヘテロ三量体の構造をとる。αサブユニットは触媒活性を有し、制御βおよびγサブユニットは制御サブユニットである。触媒サブユニットαには、α1とα2(PRKAA2)の2つのアイソフォームがある。AMPKの活性化は、インスリン抵抗性を改善し、血糖値低下を促すことが知られている。AMPKは運動によって活性化される。運動によるATP消費の結果、AMPが産生され、AMPKが活性化される。またAMPKは、AMP抗糖尿病薬メトホルミン、ならびにレプチンおよびアディポネクチン等のアディポカインのような生理的および薬理学的刺激によっても活性化される。しかし、PRKAA2遺伝子多型とインスリン抵抗性または2型糖尿病との関連については、これまでに一切報告されていない。
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本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、AMPK遺伝子多型がインスリン抵抗性または糖尿病の素因と関連することを具体的に見出し、該多型を検出することによりインスリン抵抗性または2型糖尿病の素因を調べる方法を見出すことである。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を行った。AMPKのサブユニットのうち、α1サブユニットアイソフォームが遍在的に発現されるのに対して、α2サブユニットアイソフォームは主に骨格筋および肝臓において認められる。肝臓ではAMPKの活性化によってグルコース産生が阻害されるのに対し、骨格筋ではAMPKの活性化によりグルコースの取り込みが増加し、インスリン感受性が亢進する(非特許文献12)。これらの特性から、AMPKはインスリン感受性およびグルコース恒常性を制御する重要な分子として位置づけられる。また、AMPKα1-/-マウスが明らかな代謝的欠陥をもたないのに対して、AMPKα2-/-マウスはインスリン抵抗性を示すことが報告されている(非特許文献13)。さらにAMPKα2サブユニット(PRKAA2)遺伝子は、日本人の集団における9つの2型糖尿病遺伝子座のうちの1つに相当する、1番染色体短腕1p36-32に位置している(非特許文献14)。
そこで本発明者らは、インスリン抵抗性および2型糖尿病の感受性遺伝子候補としてPRKAA2遺伝子に着目し、インスリン抵抗性および2型糖尿病と関連するPRKAA2遺伝子多型の具体的な発見に邁進した。まず、2型糖尿病患者由来DNAについて、PRKAA2遺伝子のエキソンおよびイントロン配列、5'非翻訳領域(UTR)およびその2000 bp隣接領域、ならびに734 bp 3'UTRにわたり遺伝子配列を同定した。得られた配列をデータベースGenBankの配列と比較し、PRKAA2遺伝子の新規SNPを発見した。続いて、上記新規SNPおよび公的データベースから選択したSNPを加えた計10個のSNPについて、2型糖尿病との関連性の有無を検討した。2型糖尿病患者および非糖尿病患者DNAについて、上記10個SNPの遺伝子型を同定し2型糖尿病との関連性を解析したが、いずれのSNPについても2型糖尿病との有意な関連性を見出すことはできなかった。
次に本発明者らは、上記10個のSNPによるハプロタイプと糖尿病との関連性の検討を行った。まず上記SNPについて連鎖不平衡解析を実施し、連鎖不平衡構造を解析した。解析の結果から、上記10個のSNPを6個のクラスター(連鎖不平衡の度合いの強いSNP群をまとめたもの)に分類した。各クラスターからSNPを1つずつ選択し、計6個のSNPからなるハプロタイプを作成した。次に、該ハプロタイプと糖尿病との関連性を解析したところ、ついに、SNP:rs2051040に関してマイナー(A)アリルおよび他の5個のSNPに関してメジャーアリルを有するハプロタイプが有意に糖尿病との関連することを見出した。
さらに本発明者らは、上記10個のSNPとインスリン抵抗性の関連性について検討した。インスリン抵抗性は、インスリン抵抗性指数HOMA-IRで評価した。一元配置分散分析(one-way ANOVA)の結果、rs2051040に関してA(マイナー)アリルを有する被験者は、そうでない被験者よりも高いHOMA-IRを有していることが明らかになり、ついに本発明者らは、インスリン抵抗性との関連性のあるSNPとして、rs2051040を特定することに成功した。
すなわち、本発明はAMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット(PRKAA2)遺伝子配列の多型および該多型の検出によるインスリン抵抗性または2型糖尿病の素因を調べる方法に関する。具体的には、下記の発明を提供するものである。
(1)被験者から単離した試料において、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型を検出する工程を含む、インスリン抵抗性または2型糖尿病の素因の検出方法、
(2)AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型がPromoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれか1つ以上の多型である、上記(1)に記載の方法、
(3)AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型がrs2051040である、上記(1)に記載の方法、
(4)被験者から単離した試料において、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型の複数個の組み合わせからなるハプロタイプを検出する工程を含む、2型糖尿病の素因の検出方法、
(5)AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型の少なくとも一つが、Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかである、上記(4)に記載の方法、
(6)ハプロタイプが下記第1クラスターから第6クラスターの各クラスターから1つずつ選ばれた多型の組み合わせのいずれかである、上記(4)に記載の方法
第1クラスター:rs2051040
第2クラスター:rs2796492, rs2796493, rs2796495
第3クラスター:rs2143754
第4クラスター:rs1418442
第5クラスター:rs932447, Promoter SNP1
第6クラスター:rs3738568, Exon4 SNP、
(7)Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかのAMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列多型を検出するための10塩基長以上のポリヌクレオチドを含む、インスリン抵抗性または糖尿病の素因を検査するための試薬、
(8)ポリヌクレオチドが、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子において、下記(a)から(j)に記載のヌクレオチドのいずれかを含む連続した50塩基長以上500塩基長以下の領域にハイブリダイズ可能な、15塩基長以上50塩基長以下の長さを有するポリヌクレオチドである、上記(7)に記載の試薬
(a)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの-1439位のヌクレオチド
(b)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31695位のヌクレオチド
(c)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31711位のヌクレオチド
(d)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31720位のヌクレオチド
(e)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31919位のヌクレオチド
(f)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの46991位のヌクレオチド
(g)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの47801位のヌクレオチド
(h)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの48077位のヌクレオチド
(i)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの59169位のヌクレオチド
(j)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの62531位のヌクレオチド、
(9)ポリヌクレオチドが配列番号2から配列番号15のいずれかに記載のポリヌクレオチドである、上記(7)または上記(8)に記載の試薬、
(10)ポリヌクレオチドが、配列番号1に記載の塩基配列において、開始コドン(ATG)を1としたときの-1439位、31695位、31711位、31720位、31919位、46991位、47801位、48077位、59169位、または62531位のいずれかの塩基を含むまたは隣接する位置にハイブリダイズ可能な、連続した10塩基長以上のポリヌクレオチドである、上記(7)の試薬。
本発明により、PRKAA2遺伝子多型の検出による、インスリン抵抗性または2型糖尿病の素因を調べる新規方法が提供された。上述のとおり、2型糖尿病は遺伝的因子と環境的因子からなる多因子疾患である。そのため遺伝的素因を知ることは、確実な予防・進行の防止、適切な治療を進める上で、非常に重要である。従来は、2型糖尿病の遺伝的素因を知る方法として、主に糖尿病の家族歴に関する情報を利用し、家族歴陽性の者は陰性の者と比較して糖尿病発症リスクが高いと判断していた。しかしながら、家族歴による方法では、陽性者が陰性者に比べてどの程度リスクが高いのかといった定量的な評価が難しい。また2型糖尿病の遺伝的素因は、日本人を含むアジア人と欧米人の間で必ずしも同じではないと考えられているにもかかわらず、日本人におけるデータは十分に蓄積されていない。さらに、発症原因を知ることは治療方針決定において非常に重要な情報であるが、2型糖尿病は多因子疾患であることから、その発症原因は個々人によって多様であり、従来の家族歴に頼る方法では、発症原因に関する十分な情報を得ることは不可能であった。本発明によれば、従来困難であった2型糖尿病の遺伝的素因を知ることが可能となる。糖尿病を発症していない者に対し、本発明の方法によって遺伝的素因の解析すなわち発症リスクの推定を行えば、糖尿病高リスク群の生活習慣に重点的に介入し、糖尿病の発症予防が可能となる。また既に糖尿病を発症している者に対しては、最適な治療方法の選択に関する有用な情報提供を可能とする。すなわち、本発明は、公衆衛生的な観点および個別化医療の観点において、極めて利用価値が高い。
本発明は、インスリン抵抗性の素因の新規検出方法を提供する。本発明は、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型を検出する工程を含むことを特徴とする。AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型がインスリン抵抗性と関連することが、本発明者らによって初めて明らかになった。ヒトAMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット(以下、PRKAA2と略す)のゲノムDNAの塩基配列を配列番号1に示す。ヒトPPKAA2ゲノムDNAは、9つのエクソンを有する(図1a)。
本発明の「インスリン抵抗性の素因の検出方法」は、PRKAA2遺伝子配列の多型を検出することを特徴とする。一般に多型とは、塩基の変化が人口中1%以上の頻度で存在しているものと定義され、頻度1%未満のものはまれなバリエーションと呼ばれるが、本発明における「多型」は、その存在頻度を問わず、頻度1%未満であってもよい。また本発明におけるPRKAA2遺伝子多型は、該遺伝子中のどの場所に存在していてもよい。PRKAA2遺伝子のエクソン、イントロン、3’-UTRまたは5’-UTRおよびその隣接領域のいずれに存在していてもよく、あるいはプロモーター領域に存在してもよい。
本発明の方法において検出するPRKAA2遺伝子多型は、インスリン抵抗性と関連する限り、特に制限はなく、1から数十の塩基の置換・欠失・挿入・付加のいずれであってもよい。多型には、一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)、制限酵素切断断片長多型(RFLP: restriction fragment length polymorphism)、VNTR(variable number of tandem repeat)、マイクロサテライト多型等が一般に知られており、これらは全て本発明における「多型」に含まれるが、本発明の方法においてより好ましい多型はSNPである。また本発明の方法において検出するPRKAA2遺伝子多型は、公知多型でもよく、新規多型であってもよい。本発明者らは、新規PRKAA2遺伝子多型を見出すとともに、インスリン抵抗性と関連する多型を公知多型の中から具体的に見出し、PRKAA2遺伝子多型とインスリン抵抗性との関連を初めて明らかにした。
本発明の方法は次のように実施することができる。公知多型を検出対象とする場合は、例えば、本実施例の方法のように、公共データベース:GenBankに公開されている公知多型の中から、検出対象候補となる多型を選択することができる。また、公的データ:ENSEMBL(http://www.ensembl.org/)を利用して、選択することもできる。一般に公共データベースには、公知PRKAA2遺伝子多型に関する、PRKAA2遺伝子上の位置、多型の種類等が盛り込まれており、公知PRKAA2遺伝子多型を特定する十分な情報を得ることができる。一方、新規多型を検出対象とする場合は、糖尿病患者または健常人から採取した生物学的試料からゲノムDNAを調製し、ダイレクトシークエンス法等によってPRKAA2遺伝子配列を解析し、新規多型を検出する。このようにして得られた新規多型は、インスリン抵抗性を有するヒトから見出されたものであるため、インスリン抵抗性との関連性を有する可能性が高いと考えられ、本発明の検出対象として有望な候補である。上記のように選択した多型とインスリン抵抗性との関連性を確認するには、統計的な検定によって行うことができる。例えば、インスリン抵抗性を有する群と健常人群における該候補多型の出現率をそれぞれ算出し、該候補多型とインスリン抵抗性との関連を統計的に検定する。検定は、χ2検定、フィッシャーの正確確率検定(Fischer’s exact test)等、統計学上適当な方法によって行うことができ、必要に応じて有意水準の補正を行ってもよい。本発明の方法において検出されるPRKAA2遺伝子多型の具体例を示すならば、Promoter SNP1, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, Exon4 SNP, rs2143754, rs1418442, rs932447, rs3738568の各SNPを挙げることができ、特に好ましい例としてrs2051040を挙げることができる。上記SNPのうち、Promoter SNP1とExon4 SNPは、今回本発明者らによって特定された新規SNPである。上記SNPを特定する情報として、配列番号1に記載するPRKAA2ゲノムDNAの開始コドン(開始コドン:ATGのAは、配列番号:1記載の塩基配列において3042位)からの距離、位置、メジャーアリルおよびマイナーアリルを下記に記載する。なお、メジャーアリルとは2つのアリルのうち頻度が多い方のアリルを意味し、マイナーアリルとはメジャーアリル以外のアリル(対立遺伝子)を意味する。
Promoter SNP1は、開始コドン(ATG)のAからの距離:-1439(配列番号:1記載の塩基配列において1603位)でプロモーター領域に位置し、メジャーアリル:Aおよびマイナーアリル:Tである。
rs2051040は、開始コドン(ATG)のAからの距離:31695(配列番号:1記載の塩基配列において34736位)でイントロン2に位置し、メジャーアリル:Gおよびマイナーアリル:Aである。
rs2796492は、開始コドン(ATG)のAからの距離:31711(配列番号:1記載の塩基配列において34752位)でイントロン2に位置し、メジャーアリル:Cおよびマイナーアリル:Tである。
rs2796493は、開始コドン(ATG)のAからの距離:31720(配列番号:1記載の塩基配列において34761位)でイントロン2に位置し、メジャーアリル:Gおよびマイナーアリル:Aである。
rs2796495は、開始コドン(ATG)のAからの距離:31919(配列番号:1記載の塩基配列において34960位)でイントロン2に位置し、メジャーアリル:Gおよびマイナーアリル:Aである。
Exon4 SNPは、開始コドン(ATG)のAからの距離:46991(配列番号:1記載の塩基配列において50032位)でエクソン4に位置し、メジャーアリル:Gおよびマイナーアリル:Aである。
rs2143754は、開始コドン(ATG)のAからの距離:47801(配列番号:1記載の塩基配列において50842位)でイントロン4に位置し、メジャーアリル:Tおよびマイナーアリル:Cである。
rs1418442は、開始コドン(ATG)のAからの距離:48077(配列番号:1記載の塩基配列において51118位)でイントロン4に位置し、メジャーアリル:Aおよびマイナーアリル:Gである。
rs932447は、開始コドン(ATG)のAからの距離:59169(配列番号:1記載の塩基配列において62210位)でイントロン7に位置し、メジャーアリル:Aおよびマイナーアリル:Gである。
rs3738568は、開始コドン(ATG)のAからの距離:62531(配列番号:1記載の塩基配列において65572位)で3’UTRに位置し、メジャーアリル:Tおよびマイナーアリル:Cである。
上記多型を検出する方法は、特に制限はなく、当業者にとって公知の方法の中から選択することができる。SNPを検出する場合は、TaqMan PCR法、MALDI-TOF/MS法、ASO (allele-specific oligonucleotide)法、直接シークエンス法、RFLP法、インベーダー法、TGGE, DGGE法、MutY 酵素法、マイクロアレイ、Protein truncation test (PTT)法、Snipper法、等の多くの公知SNPタイピング方法の中から、目的等に応じて選択することができる。PCR法を応用した方法が多いが、PCR法によらない方法もある。幾つかのSNPタイピング方法について、以下に簡単に説明する。
TaqMan PCR法は、アレル特異的なTaqman プローブとTaq ポリメラーゼを用い、SNPの検出と該SNPを含む領域の増幅とを同時並行で行う方法である。Taqman プローブは、5’末端が蛍光物質で標識され、3’末端がクエンチャーで標識されている約20塩基前後のオリゴヌクレオチドであり、目的のSNP部位にハイブリダイズするよう設計されている。Taq ポリメラーゼは、5’-3’ヌクレアーゼ活性を有する。これらのTaqman プローブおよびTaq ポリメラーゼ存在下において、目的のSNPを含む領域を増幅するよう設計されたPCRプライマーを用いて該SNP領域を増幅すると、増幅と並行して、Taqman プローブが鋳型DNAの目的SNP部位にハイブリダイズする。フォワードプライマー側からの伸長反応が、鋳型にハイブリダイズしたTaqman プローブに到達すると、Taq ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性により、Taqman プローブの5’末端に結合していた蛍光物質が切断される。その結果、遊離した蛍光物質はクエンチャーの影響を受けなくなり、蛍光を発生する。蛍光強度の測定により、SNP検出が可能となる。
MALDI-TOF/MS法を応用したSNPタイピング方法として、プライマー伸長法と組み合わせた方法を説明する。この方法はハイスループットな解析が可能であり、1)PCR、2)PCR産物の精製、3)プライマー伸長反応、4)伸長産物の精製、5)質量分析、6)ジェノタイプ決定、のステップにより解析する。まずPCRによって、目的とするSNP部位を含む領域をゲノムDNAから増幅する。PCRプライマーは、SNP部位塩基と重複しないように設計する。増幅する領域の長さ(PCR産物の長さ)としては、500塩基長位まで可能である。PCR産物には、dNTP およびPCRプライマーが含まれており、解析感度の低下や伸長効率低下の原因となるため、精製してこれらを除去する。例えば、エキソヌクレアーゼとエビのアルカリホスファターゼ(shrimp alkaline phosphatase)を用いて酵素的除去方法により精製する。エタノール沈殿法により行うこともできる。次に、3’末端がSNP部位に直接隣接するように設計したジェノタイピングプライマーを用い、プライマー伸長反応を行う。ジェノタイピングプライマーは15塩基長以上で、短い方が望ましい。PCR産物を高温で変性し、10倍以上過剰のジェノタイピングプライマーを加え、アニールさせる。ddNTPとDNAポリメラーゼを反応系に添加し、サーマルサイクル反応させることにより、ジェノタイピングプライマーよりも1塩基長いオリゴマーが生じる。この伸長反応によって生じる1塩基長いオリゴマーは、ジェノタイピングプライマーの上記設計により、多型に応じて異なる。精製した伸長反応産物について質量分析を行い、マススペクトルから解析する。
ハイスループットが可能なSNPタイピング法として、1分子蛍光分析法を応用した方法を挙げることができる。MF20/10S(オリンパス)は、この方法を採用したシステムである。このシステムは共焦点レーザー光学系と高感度光検出器を採用し、約1フェムトリットル(1000兆分の1リットル)の超微小領域の中で、相補的・非相補的なプライマーを用いたPCR法によって増幅した蛍光ラベルプライマーの1分子レベルの並進拡散時間を計測・解析する。
またDNAチップによる方法も、ハイスループットが可能なSNPタイピングの1つである。DNAチップは、基板上に多種類のDNAプローブを整列して固定したもので、標識したDNA試料をチップ上でハイブリダイゼーションし、プローブによる蛍光シグナルを検出する。通常、プローブDNAとして、15‐25塩基長程度のポリヌクレオチドを用いることが多い。
PCR法以外の遺伝子増幅法を利用したSNPタイピング方法の例として、Snipper法を挙げることができる。この方法は、RCA法を応用したSNPタイピング法である。RCA(rolling circle amplification)法は、環状一本鎖DNAを鋳型としてDNAポリメラーゼがその上を移動しながら相補鎖DNAを合成するDNA増幅方法である。プローブは80-90塩基長のオリゴDNAで、標的SNPの5’および3’末端近傍のそれぞれに相補的な10-20塩基長の配列を両末端に含んでおり、標的DNAにアニールして環状になるように設計されている。また、プローブの3’末端が標的アレルに相補的配列となるよう設計されている。プローブの3’末端が標的アレルと完全に相補的であれば、プローブは環状化されるが、プローブの3’末端がミスマッチであるとプローブは環状化されない。またプローブには、40-50塩基長のバックボーン配列があり、2種類のRCA増幅プライマーと相補的な配列が含まれている。
そのほかにも、PCR法以外の遺伝子増幅法を利用したSNPタイピング方法が幾つか開発されている。例えば、UCAN法やLAMP法を利用したタイピング方法が挙げられる。UCAN法は、タカラバイオが開発した遺伝子等温増幅法であるICAN法を応用した方法である。UCAN法では、プライマー前駆体としてDNA-RNA-DNAキメラオリゴヌクレオチド(DRD)を用いる。このDRDプライマー前駆体は、DNAポリメラーゼによる鋳型DNAの複製が起こらないように、3'末端のDNAが修飾してあり、SNPサイトにRNA部分が結合するように設計されている。このDRDプライマー前駆体を鋳型とインキュベートすると、DRDプライマーと鋳型が完全にマッチしている場合のみ、共存するRNase Hが対合したDRDプライマーのRNA部分を切断する。これにより、プライマー3'末端は修飾DNAがはずれて新しくなるため、DNAポリメラーゼによる伸長反応が進み、鋳型DNAが増幅される。一方、DRDプライマーと鋳型DNAがマッチしていない場合、RNase HはDRDプライマーを切断しないので、DNA増幅が起こらない。パーフェクトマッチしたDRDプライマー前駆体がRNase Hによって切断されたあとの増幅反応は、ICAN反応メカニズムによって進行する。
LAMP法は、栄研化学によって開発された遺伝子等温増幅法で、標的遺伝子の6箇所の領域(3’末端側からF3c、F2c、F1c、5’末端側からB3、B2、B1)を規定し、該6領域に対する4種類のプライマー(FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマー)を用いて増幅する。LAMP法用のプライマー設計にあたっては、3’末端が、ATリッチにならないようにすること、増幅領域は、F2-B2領域間で、200塩基以内とすること、F2/B2 を含むループになる部分のサイズを30〜60塩基とすること等に注意する。SNPタイピングを目的とする場合は、F1-B1間は標的SNP部位(1塩基)のみでよく、FIP Primer及びBIP Primerを、その5'端にSNPの1塩基がくるように設計する。WT alleleの場合、LAMP法の起点構造であるダンベル構造からDNAの合成反応が起こり、増幅反応が連続的に進行する。多型がある場合は、ダンベル構造からのDNA合成反応が起こらず、増幅反応は進行しない。
インベーダー(Invader)法は、2種類の非蛍光標識プローブ(アレルプローブ、インベーダープローブ)と1種類の蛍光標識プローブ(FRETプローブ)、及びcleavaseと呼ばれるエンドヌクレアーゼを用いる方法で、核酸増幅法を利用しない。アレルプローブは、鋳型DNAに対しSNP部位から3’末端側に相補的な配列を有し、プローブの5’側にフラップと呼ばれる鋳型DNAと無関係な配列を有する。インベーダープローブは、鋳型DNAのSNP部位から5’側に相補的な配列を有し、SNP部位に相当する部分の塩基は任意の塩基を有する。FRETプローブは、3’側にフラップ配列に相補的な配列を有する。一方の5’側は蛍光色素およびクエンチャーで標識されているが、FRETプローブは分子内で二本鎖を形成するよう設計されているため、通常は消光されている。これらを鋳型DNAと反応させると、アレルプローブが鋳型DNAと2本鎖を形成したときに、SNP部位にインベーダープローブの3’末端(任意塩基部分)が侵入する。cleavaseは、このような塩基が侵入した構造を認識して、アレルプローブのフラップ部分を切断する。次に、この遊離したフラップがFRETプローブの相補配列と結合すると、フラップの3’末端がFRETプローブの分子内二本鎖部分に侵入する。cleavaseは、上述のアレルプローブとインベーダープローブの場合と同様に、このFRETプローブにフラップの塩基が侵入した構造を認識し、FRETプローブの蛍光色素を切断する。蛍光色素はクエンチャーから離れるため、蛍光が発生する。アレルプローブがアレルとマッチしない場合は、cleavaseが認識する、上記特異的な構造が形成されないため、フラップは切断されない。
上述したPRKAA2遺伝子多型検出法を行った結果、PRKAA2遺伝子多型が検出された場合は、該多型を有する被験者はインスリン抵抗性の素因を有すると判断することができる。インスリン抵抗性の素因の有無は、糖尿病の未発症者および患者の双方にとって重要な情報であり、例えば、糖尿病治療方法・治療薬の選定、糖尿病の予防・発症防止に関する重要な情報となる。
また本発明は、2型糖尿病の素因を検出する新規方法を提供する。本発明の方法は、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型を検出することを特徴とする。本発明者らは、後述するとおり、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット(PRKAA2)遺伝子配列における1塩基多型(SNP)の組み合わせからなるハプロタイプが、2型糖尿病の素因と関連することを確認した。すなわち本発明は、PRKAA2遺伝子多型と2型糖尿病の素因との関連を初めて明らかにした。
本発明の「2型糖尿病の素因を検出する方法」で検出する「AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型」の種類は、上記「インスリン抵抗性の素因の検出方法」の場合と同様に、2型糖尿病と関連する限り特に制限はないが、本発明の方法において好ましい多型はハプロタイプである。ハプロタイプを構成するSNPは、公知SNPでも新規SNPであってもよく、公知と新規の両方であってもよい。公知SNPおよび新規SNPの選択方法およびタイピング方法については、上述したとおりである。公知SNPおよび/または新規SNPからなるハプロタイプが2型糖尿病と関連するかどうかについては、実施例にあるように、統計学的検定によって判断することができる。
本発明における好ましいハプロタイプの具体例を示すならば、Promoter SNP1, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, Exon4 SNP, rs2143754, rs1418442, rs932447, rs3738568である10個のSNPから複数のSNPを組み合わせたハプロタイプを挙げることができる。より好ましいハプロタイプは、上記10個のSNPの中から、rs2051040を含む複数個のSNPを組み合わせたハプロタイプであり、最も好ましいハプロタイプは下記の第1クラスターから第6クラスターの各クラスターから1つずつ選択された、6個のSNPの組み合わせである(以後、場合により「6クラスターから選択されたSNPからなるハプロタイプ」と記載する)。
第1クラスター:rs2051040
第2クラスター:rs2796492, rs2796493, rs2796495
第3クラスター:rs2143754
第4クラスター:rs1418442
第5クラスター:rs932447, Promoter SNP1
第6クラスター:rs3738568, Exon4 SNP
上記「6クラスターから選択されたSNPからなるハプロタイプ」において、第1クラスターのアレルのみがマイナーアリルであり第2クラスターから第6クラスターの全てがメジャーアリルであるハプロタイプが検出された被験者は、2型糖尿病の素因を有すると判断することができる。実施例で後述するとおり、本発明者らは、ハプロタイプ:「rs2051040, rs2796495, rs2143754, rs1418442, rs932447, rs3738568」と2型糖尿病との関連性について検討し、その結果、第1クラスターのアレルのみがマイナーアリルであり第2クラスターから第6クラスターの全てがメジャーアリルであるハプロタイプが2型糖尿病との関連性を示すことが立証された。また、上記第1から第6の各クラスターは、一のクラスターに含まれるSNP同士で連鎖不平衡構造をとっている(実施例参照)。したがって、実施例で使用した上記ハプロタイプ:「rs2051040, rs2796495, rs2143754, rs1418442, rs932447, rs3738568」によって本発明の方法を実施できる他、同一クラスター内であればいずれのSNPを選択してハプロタイプを構成しても、本発明の方法において同一の結果を得られると予想される。なお、第1クラスターのrs2051040は、実施例に記載のとおり、2型糖尿病と密接不可分である、インスリン抵抗性の素因との関連性が証明されている。
本発明のインスリン抵抗性の素因の新規検出方法、2型糖尿病の素因を検出する新規方法に供する試料は、被験者から採取した生物学的試料をもとに、当業者に周知の方法で調製したDNA試料を用いることができる。被験者から採取する生物学的試料に特に制限はなく、例えば、血液、毛髪、便、尿、唾液、細胞などを用いることができる。
さらに本発明は、インスリン抵抗性または糖尿病の素因を検査するための試薬を提供する。本発明の試薬は、Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかのAMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列多型を検出するための10塩基長以上のポリヌクレオチドを含む。上述のとおり、本発明者らによって、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子における上記SNPを検出することが、インスリン抵抗性または2型糖尿病の素因の検出に有用であることが示された。したがって、上記多型を検出するための試薬は、インスリン抵抗性または2型糖尿病検査用試薬として有用である。なお、本発明においてポリヌクレオチドとは、ヌクレオチドが2以上結合しているものをいい、一般にオリゴヌクレオチドと言われる長さのものを含む。また本発明におけるポリヌクレオチドは、DNAでもRNAでもよい。
本発明の試薬に含まれる「Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかのAMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列多型を検出するための10塩基長以上のポリヌクレオチド」(以下、時に「PRKAA2遺伝子のSNP検出用ポリヌクレオチド」と略する)は、PRKAA2遺伝子のSNP部位: Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかを含む領域を増幅するためのプライマー、上記SNP部位のいずれかを含む領域に結合するためのプローブとして使用される。そのため上記PRKAA2遺伝子SNP検出用ポリヌクレオチドは、PRKAA2ゲノムDNAの一部と相補的な配列を含むことを特徴とする。一方、タイピング法によっては、プローブまたはプライマーであるPRKAA2遺伝子SNP検出用ポリヌクレオチドの一部に、PRKAA2遺伝子とは無関係な任意の配列が含まれていてもよい。さらにPRKAA2遺伝子SNP検出用ポリヌクレオチドはDNAとRNAのキメラであってもよい。またPRKAA2遺伝子検出用ポリヌクレオチドは、蛍光物質や、ビオチンまたはジゴキシンのような結合親和性物質で標識されていてもよい。
PRKAA2遺伝子のSNP検出用ポリヌクレオチドをプライマーとする場合、増幅する領域およびタイピング方法に即したプライマーとなるように設計する。増幅する領域の長さは、SNPタイピングに支障がない限り制限はない。一般には15-1000塩基長、より適切には50-500塩基長程度を増幅するが、検出方法に従って適宜増減できる。また、増幅される領域の一部にはSNP部位が含まれるが、増幅される領域内におけるSNP部位の位置に制限はなく、検出方法(タイピング方法)にしたがって適切な位置に配置することができる。そのためプライマーの設計にあたり、プライマーとSNP部位との位置関係は、検出方法にあわせて変更することができ、検出しようとするSNPを含むPRKAA2遺伝子の一部領域(例えば、連続した50塩基長以上500塩基長以下)にハイブリダイズする限り、タイピング方法の特性を考慮しながら、プライマーを設計することができる。PRKAA2遺伝子SNP検出用プライマーの長さは、通常15‐50塩基長、好ましくは15‐30塩基長であるが、タイピング方法によってはこれより長くてもよい。
またPRKAA2遺伝子のSNP検出用ポリヌクレオチドをプローブとする場合は、プローブがSNP部位を認識するように設計する。プローブ設計において、SNP部位は、タイピング方法にあわせ、プローブ内のいずれかの場所で認識されればよく、タイピング方法によっては、プローブの末端でSNP部位が認識されてもよい。PRKAA2遺伝子SNP検出用ポリヌクレオチドをプローブとする場合、PRKAA2ゲノムDNAに相補的な塩基配列の長さは、通常15‐200、好ましくは15‐100塩基長、より好ましくは15-50塩基長であるが、タイピング方法によってはこれより長くても短くてもよい。
本発明のPRKAA2遺伝子SNP検出用ポリヌクレオチドは、PRKAA2遺伝子の塩基配列をもとに、プライマーまたはプローブの別および適応する検出方法に合わせて、任意の方法によって合成することができる。当業者であれば、PRKAA2ゲノムDNA(配列番号:1記載の塩基配列およびその相補鎖)および上記SNPの位置情報(上述記載、または表1参照)に基づいて、公知手段により、当該塩基配列を有するポリヌクレオチドを合成することができる。更に、オリゴヌクレオチドの合成において、蛍光色素やビオチンなどで修飾されたヌクレオチド誘導体を利用して、ポリヌクレオチドに任意の修飾を導入する方法や、合成されたポリヌクレオチドに、蛍光色素などを結合する方法も公知である。
上記PRKAA2遺伝子SNP検出用ポリヌクレオチドを含む試薬は、SNPタイピングを行うときに同時に用いる試薬類(例えば、デオキシヌクレオチド3リン酸(dNTPs)やDNAポリメラーゼ、緩衝液等)や陽性コントロール等とともに、キットとしてもよい。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1] SNP検出
PPKAA2遺伝子の新規SNPを検出するため、日本人2型糖尿病患者のPPKAA2遺伝子についてスクリーニングを行った。32人の日本人2型糖尿病患者由来DNAを用い、9つのエキソンおよびそれらの隣接イントロン配列、5'非翻訳領域(UTR)およびその2000 bp隣接領域、ならびに734 bp 3'UTRすべてを直接シークエンス法によりスクリーニングした。シークエンス反応は、BigDyeターミネーター(Applied Biosystems、カリフォルニア州、フォスターシティー)を用いて行った。GenBankで報告されている配列(PRKAA2: NT_032977)に基づいてSNPを同定した。
PRKAA2遺伝子のスクリーニングにより4個のSNP: Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568を同定した(図1a)。上記4つのうち2個のSNP: rs932447, rs3738568は公的データベースGenBankでも報告されていた。
[実施例2]遺伝子型同定およびSNPと2型糖尿病の関連の解析
2型糖尿病患者および非糖尿病被験者からなる初期標本において、PPKAA2遺伝子のSNPについて遺伝子型を同定した。初期標本の包含基準は以前に記載したとおりである(非特許文献7)。具体的には、本実施例における非糖尿病患者は、広島原爆障害対策協議会健康管理センター(Hiroshima Atomic Bomb Casualty Council Health Management Center)(広島、日本)において日常的に健康チエックを受けている人で、1)60歳以上、2)HbA1cが5.8%未満、3)2型糖尿病の家族歴が父母、兄弟、子、祖父母に見られないこと、の条件に適合する人の中から構成した。HbA1c濃度は、絶食下において採取した全血を用いて測定した。また本実施例における糖尿病患者は、東京大学大学院医学系研究科代謝疾患部門の外来患者の中から無作為に抽出した。糖尿病の診断は、WHO診断基準に従った。上記基準により、192人の2型糖尿病患者(男性123人/女性69人、年齢61.3±0.6、BMI 24.1±0.2 kg/m2)および272人の非糖尿病被験者(男性129人/女性143人、年齢69.1±0.5、BMI 23.9±0.2 kg/m2)を初期標本とした。遺伝子型同定は、上記実施例1で同定した4個のSNPに加え、日本人を対象とした公開データベースに公表されている6個のSNP(rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442)をすべて検討に加え、全部で10個のSNPを対象とした。遺伝子型同定は、直接シークエンス法により行った。該SNPのPRKAA2遺伝子開始コドンからの距離、位置、遺伝子型を表1、PRKAA2ゲノムDNA配列を配列番号1に示す。なお、上記配列番号1に記載の配列は、GenBankにID番号:NT_032977として登録されている。また、遺伝子型同定に使用したプライマー配列を下記に示す。
Promoter SNP1 フォワードプライマー tactggcatgcagtgctataaatg (配列番号2)
リバースプライマー aaatacgtaagcgacagaggaattg (配列番号3)
rs2051040、rs2796492、rs2796493、rs2796495
フォワードプライマー aggtccctgaaattgcatgg (配列番号4)
リバースプライマー gctatttcagctttctcttctcatagg (配列番号5)
Exon4 SNP フォワードプライマー ctggaactacaggtgcatgtcac (配列番号6)
リバースプライマー aggagaaaatgcagattgaatgg (配列番号7)
rs2143754 フォワードプライマー gtttttgtcaggggtaaaagg (配列番号8)
リバースプライマー tgattcccatcacaaatgagg (配列番号9)
rs1418442 フォワードプライマー aaatttcaagtcctggatcctcc (配列番号10)
リバースプライマー ggctattgttgcctatttgtgg (配列番号11)
rs932447 フォワードプライマー ttcattgctatgatgcatgctg (配列番号12)
リバースプライマー cctcgcctctagtcctccatc (配列番号13)
rs3738568 フォワードプライマー tttcacctcgcctgggc (配列番号14)
リバースプライマー cacccttacattgagatggttcg (配列番号15)
多型はすべてハーディ-ワインベルグ平衡にあり、>5%のマイナーアリル頻度を有した(表1)。フィッシャーの正確確率検定(Fischer’s exact test)を行い、初期標本における上記SNPと2型糖尿病との関連性について、解析した。p値についてボンフェローニ補正を行い、0.0125(=0.05を解析したハプロタイプの総数4で割った値)>p値を有意と見なした。その結果、どのSNPも2型糖尿病とは関連していなかった(表1)。遺伝子型頻度の相違もアレル頻度の相違も、2型糖尿病の感受性に有意な影響をもたなかった。
[実施例3]ハプロタイプ解析
上記初期標本について、SNPAlyze V3.2 Proソフトウェア(DYNACOM、日本、横浜)を用い、連鎖不平衡(LD)解析および症例-対照ハプロタイプ解析を実施した。連鎖不均衡(LD)ブロック構造を調べるため、対の連鎖(pairwise linkage, r2)を考察した。r2は、期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いて算出した。連鎖不平衡係数D’およびr2をLDマップとして示す(図1b、右上半分:D’、左下半分:r2)。
r2値>0.8を有するSNPのセットを1つのクラスターとし、上記10個のSNPを6つのクラスターに分類した(図1a)。各クラスターを構成するSNPは、第1クラスター:rs2051040、第2クラスター:rs2796492, rs2796493, rs2796495、第3クラスター:rs2143754、第4クラスター:rs1418442、第5クラスター:rs932447, Promoter SNP1、第6クラスター:rs3738568, Ex4 SNPである。上記第1-第6クラスターそれぞれから1個ずつ選択されたSNPからなるハプロタイプが、2型糖尿病と関連しているか否かを検討した。具体的には、第2クラスターからは、rs2796495を、第5クラスターからはrs932447を、第6クラスターからはrs3738568を選択し、ハプロタイプ:「rs2051040, rs2796495, rs2143754, rs1418442, rs932447, rs3738568」について検討した。ハプロタイプの標本中の頻度を求め、全標本中で5%を超える比較的頻度の高いハプロタイプ4つを選択した。該ハプロタイプについて第1クラスターから第6クラスターのメジャー(0)/マイナーアリル(1)の別を表示すると、000000、100000、011110、011001となる(図1c)。
独立性の2×nχ2検定を行うことにより、疾患状態との関連性について全部でn個のハプロタイプを共に試験した。個々のハプロタイプをそれぞれ、独立性の2×2χ2検定により疾患状態との関連性について試験した。有意水準についてボンフェローニ補正を行い、0.0123(=0.05を解析したハプロタイプの総数4で割った値)>p値の場合を有意と見なした。独立性の一般的2×nχ2検定の結果、症例標本と対照標本との間において、rs2051040に関するマイナー(A)アリルおよび他のSNPすべてに関するメジャーアリルを有するハプロタイプ(100000)の頻度について、有意な相違(p=0.0032)が明らかになった(図1c 初期標本)。他の3つの共通ハプロタイプは、2型糖尿病と関連していなかった。
初期標本における上記結果を確認するため、糖尿病患者および非糖尿病被験者を含む、より多くの追試標本で確認した。657人の糖尿病患者(男性421人/女性236人、年齢63.1±0.32、BMI 24.6±0.19 kg/m2)および552人の非糖尿病被験者(男性234人/女性318人、年齢69.9±0.35、BMI 23.6±0.17 kg/m2)を追試標本として遺伝子型を同定し、ハプロタイプと2型糖尿病との関連を検討した。参加者は全員インフォームドコンセント(同意書)を提出し、この研究は東京大学倫理委員会によって承認された。追試標本においては、p値<0.05の場合を有意とみなした。追試標本においても、初期標本と同様に、rs2051040に関してマイナー(A)アリルおよび他の5個のSNPに関してメジャーアリルを有するハプロタイプが、2型糖尿病と関連していた(p=0.011)(図1c 追試標本)。
上述のとおり、初期標本および追試標本のいずれにおいても、rs2051040に関してマイナー(A)アリルおよび他の5個のSNPに関してメジャーアリルを有するハプロタイプが2型糖尿病と関連する結果が得られたが、上記結果をさらに確認するため、並び替え検定を行った。ハプロタイプ頻度の推定により持ち込まれる変動性を説明するため、症例と対照の位置を並べ替えることによりおよび検定統計を1000回計算し直すことにより、有意性を評価した。並べ替え検定の結果、初期標本はp=0.009、追試標本はp=0.02となり、有意性がさらに確認された(図1c)。
[実施例4]PPKAA2多型とインスリン抵抗性との関連
初期標本の非糖尿病被験者において、インスリン抵抗性とPRKAA2の多型が関連しているか否かを検討した。2型糖尿病を有する被験者は、経口血糖降下薬を用いたインスリン療法または治療による、被験者のインスリンレベルへの影響が懸念されるため、検討対象外とした。インスリン抵抗性は、インスリン抵抗性指数HOMA-IR (homeostasis model assessment - insulin resistance)で評価した。HOMA-IRは、文献(Matthews DR, Hosker JP, Rudenski AS et al. (1985) Homeostasis model assessment: insulin resistance and beta-cell function from fasting plasma glucose and insulin concentrations in man. Diabetologia 28: 412-419)の方法により算出した。遺伝子型によるHOMA-IRの相違を、一元配置分散分析(one-way ANOVA)によって検討した。年齢、性別、およびBMIについて補正した後に、SNPとインスリン抵抗性との関連性を検討した。ロジスティック回帰分析により、オッズ比および95% CIを算出した。ウィンドウズ(登録商標)用のJMP ver 4.00ソフトウェア(SAS Institute、ノースカロライナ州、カリー)を用いて、統計分析を行った。
rs2051040のみがインスリン抵抗性と関連していた。rs2051040に関してA(マイナー)cアリルを有する被験者は、そうでない被験者よりも高いHOMA-IRを有した(AA/AG対GG;1.95±0.08対1.49±0.10、p=0.0020)。この関連性は、ボンフェローニの補正を考慮した場合であっても、なお有意であった。被験者は、より高いインスリン抵抗性を有し、対照よりも症例に多くの割合を占めた。この知見は、追試標本においても確認された(AA/AG対G;1.83±0.07対159±0.09、p=0.0037)。インスリン抵抗性の高さに関する危険対立遺伝子を含むハプロタイプ(すなわち、rs2051040に関してAアリルを有するハプロタイプ)を有する被験者は、2型糖尿病の危険性がより高かった(初期標本および追試標本において、それぞれOR=1.69 [95% CI 0.61-3.26]、OR=1.34 [95% CI 0.31-2.64])。他のSNPは、インスリン抵抗性とも、空腹時血糖、空腹時インスリン値、インスリン分泌の指標等の他のどの糖尿病関連量的形質とも関連していなかった。真の変種はrs2051040を伴うLD内に存在する可能性がある。
PRKAA2遺伝子構造、ハプロタイプブロックおよびハプロタイプ解析結果を示す図である。a) PRKAA2遺伝子地図である。四角でエクソンを示し、接続線でイントロンおよび隣接領域を示す。コード領域を黒、非翻訳領域を灰色で示す。新たに同定したSNPは太字で示す。円はそれぞれ、r2>0.8を有する関連したSNPのクラスターを示す。矢印は、SNPが遠い円に含まれることを示す。b) LDマップを示す。左下および右上はそれぞれ、2型糖尿病(T2DM)患者におけるr2およびD'値を表す。c) 初期標本および追試標本の症例および対照被験者におけるハプロタイプ解析結果を示す。「メジャー対立遺伝子」および「マイナー対立遺伝子」を意味するハプロタイプ表記には、それぞれ「0」および「1」を用いた。比率<0.05のハプロタイプを除外したため、共通ハプロタイプの比率の合計は1.0に達しない。P値<0.05を太字で示す。初期標本では、ボンフェローニ補正を考慮して、p値<0.00125(0.05をハプロタイプ解析で得られた4つのハプロタイプで割る)を有意とみなす。追試標本では、p値<0.05を有意とみなす。 検出したPRKAA2遺伝子SNP近辺の塩基配列を示す図である。

Claims (10)

  1. 被験者から単離した試料において、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型を検出する工程を含む、インスリン抵抗性または2型糖尿病の素因の検出方法。
  2. AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型がPromoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれか1つ以上の多型である、請求項1に記載の方法。
  3. AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型がrs2051040である、請求項1に記載の方法。
  4. 被験者から単離した試料において、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型の複数個の組み合わせからなるハプロタイプを検出する工程を含む、2型糖尿病の素因の検出方法。
  5. AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列の多型の少なくとも一つが、Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかである、請求項4に記載の方法。
  6. ハプロタイプが下記第1クラスターから第6クラスターの各クラスターから1つずつ選ばれた多型の組み合わせのいずれかである、請求項4に記載の方法。
    第1クラスター:rs2051040
    第2クラスター:rs2796492, rs2796493, rs2796495
    第3クラスター:rs2143754
    第4クラスター:rs1418442
    第5クラスター:rs932447, Promoter SNP1
    第6クラスター:rs3738568, Exon4 SNP
  7. Promoter SNP1, Exon4 SNP, rs932447, rs3738568, rs2051040, rs2796492, rs2796493, rs2796495, rs2143754, rs1418442のいずれかのAMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子配列多型を検出するための10塩基長以上のポリヌクレオチドを含む、インスリン抵抗性または糖尿病の素因を検査するための試薬。
  8. ポリヌクレオチドが、AMP活性化プロテインキナーゼα2サブユニット遺伝子において、下記(a)から(j)に記載のヌクレオチドのいずれかを含む連続した50塩基長以上500塩基長以下の領域にハイブリダイズ可能な、15塩基長以上50塩基長以下の長さを有するポリヌクレオチドである、請求項7に記載の試薬。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの-1439位のヌクレオチド
    (b)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31695位のヌクレオチド
    (c)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31711位のヌクレオチド
    (d)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31720位のヌクレオチド
    (e)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの31919位のヌクレオチド
    (f)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの46991位のヌクレオチド
    (g)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの47801位のヌクレオチド
    (h)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの48077位のヌクレオチド
    (i)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの59169位のヌクレオチド
    (j)配列番号1に記載の塩基配列における開始コドン(ATG)のAを1としたときの62531位のヌクレオチド
  9. ポリヌクレオチドが配列番号2から配列番号15のいずれかに記載のポリヌクレオチドである、請求項7または請求項8に記載の試薬。
  10. ポリヌクレオチドが、配列番号1に記載の塩基配列において、開始コドン(ATG)を1としたときの-1439位、31695位、31711位、31720位、31919位、46991位、47801位、48077位、59169位、または62531位のいずれかの塩基を含むまたは隣接する位置にハイブリダイズ可能な、連続した10塩基長以上のポリヌクレオチドである、請求項7に記載の試薬。
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