JP2006294098A - 信号処理装置、信号処理方法、再生装置 - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法、再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ディスク状記録媒体の高記録密度化に対しても安定的な再生動作を行うことができる信号処理装置及び再生装置を提供する。
【解決手段】再生信号の極性変化点での傾きを検出し、所定以下の傾きである場合は検出された位相誤差を無効とするように制御を行う。高記録密度化によって信号振幅が小さく符号間干渉を受けた場合、その部分の再生信号の極性変化点は本来得られるべき極性変化点から大きくずれて、位相誤差が大きくなり正常に基準クロックを生成することが困難となる場合がある。このような再生信号中の信号振幅が小さく符号間干渉を受けた部分では再生信号の傾きが小さくなるので、上記のように再生信号の傾きが所定以下となる部分で検出された位相誤差を無効とすれば、その部分で検出される大きな位相誤差が基準クロック生成動作に与える悪影響を除外でき、これによって安定的な再生動作が可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、信号処理装置及び信号処理方法に関する。また再生装置に関し、特に光ディスクやハードディスク等のディスク状記録媒体について再生を行う再生装置に適用して好適なものである。
従来、光ディスクや光磁気ディスク、磁気ディスク等のディスク状記録媒体に対して記録や再生を行う記録再生装置が広く実用化されている。
図6は、このようなディスク状記録媒体についての記録再生装置が備える、主にPLL(Phase Locked Loop)回路系の構成のみを抽出して示している。
先ず、図示する再生信号RFは、ディスク状記録媒体に記録された信号が図示されないピックアップによって読み出され、これがマトリクス回路にて処理されることで得られる。
この再生信号RFは、図示するイコライザアンプ(EQ)50に供給され、ここにおいて高周波領域のゲインや位相が調整されて波形歪みが補正される。そして、このように補正が為された再生信号RFがサンプリング回路51とPLL回路53とにそれぞれ供給される。
PLL回路53は、後述する構成によって再生信号RFと同期とした基準クロックCKsを生成し、これを上記サンプリング回路51に供給する。サンプリング回路51はこの基準クロックCKsに従ったタイミングで上記イコライザアンプ50から供給される再生信号RFの値をサンプリングする。
デコーダ52は、このようにサンプリングされる再生信号RFの値について必要なデコード処理(例えば可変長変調符号に対する復調処理、誤り訂正処理等)を行うことで再生データを得る。
PLL回路54には、図示するようにコンパレータ54、位相検出回路55、ローパスフィルタ(LPF)56、VCO(Voltage Controlled Oscillator)57、1/m分周器58、1/n分周器59が備えられる。
なお、この場合の例では、各分周器においてそれぞれm=1、n=2が設定されているものとする。
コンパレータ54は、イコライザアンプ50から供給される再生信号RFをそのセンターレベルを基準として2値化した結果をコンパレータ出力ccとして出力する。
位相検出回路55はコンパレータ54からのコンパレータ出力ccと、1/n分周器59によって出力される基準クロックCKとに基づき、後述する位相検出信号pdを生成する。この位相検出信号pdが、後述するようにして再生信号RFに対する基準クロックCKの位相誤差を示す信号となる。
位相検出回路55にて生成された位相検出信号pdはローパスフィルタ56に供給され、安定なPLL発振が行われるように基準クロックCKの成分が除去される。
VCO57は、ローパスフィルタ56を介して入力される位相検出信号pdに基づき、内蔵する発振器の周波数を可変制御することで、再生信号RFに同期した図示する原発振クロックCKsを生成するようにされる。
この原発振クロックCKsは、図示する1/n分周器59においてこの場合は1/2の周期に分周され、これが上記した基準クロックCKとして位相検出回路55に供給される。
また、VCO57から出力された原発振クロックCKsは、分岐して1/m分周器58にも供給される。この場合、上述したm=1の設定より、この1/m分周器58からの出力は原発振クロックCKsそのものとなる。
1/m分周器58から出力された原発振クロックCKsは上述したサンプリング回路51に供給され、再生信号RFのサンプリングタイミングを示す情報として用いられる。
図7は、図6に示したPLL回路53の動作を示している。
先ず、図7(a)により、基準クロックCKに位相ずれが生じていない状態での動作を示す。
先にも述べたようにコンパレータ54では、再生信号RFをセンターレベルでスライスすることで、図示するような”0”または”1”の値をとるコンパレータ出力ccを生成するようにされる。
また、基準クロックCKは、原発振クロックCKsを1/2の周期に分周して得られるため、その周期は原発振クロックCKsの1/2となっている。
位相検出回路55では、基準クロックCKとコンパレータ出力ccとのExOR(Exclusive OR)をとり、この結果が図示する位相検出信号pdとして出力される。
この位相検出信号pdは、その”1”レベルと”0”レベルの時間の比率がコンパレータ出力ccと基準クロックCKとの位相誤差情報に相当する。すなわち、コンパレータ出力ccの値の変化点(つまりエッジ部分)と、それを挟み込む基準クロックCKの値の変化点(エッジ部分)との時間差情報が、位相誤差情報となるものである。
この図7(a)の最下段に示されるそれぞれの数値は、原発振クロックCKsの1波長を1単位した場合の位相誤差情報を示している。この場合は位相ずれが生じていない場合なので、RF信号の3T及び2Tに対応する波形部分の総和位相情報は、図中左側から順に「−1/2+1/2=0,−1/2+1/2=0,1/2+(−1/2)=0」により何れも”0”となり、従って位相誤差は”0”となっていることがわかる。
VCO57には、このようにして位相誤差を示すものとなる位相検出信号pdが供給される。この場合の位相検出信号pdは誤差”0”を示すものであるため、VCO56は発振器の周波数を現在の状態で維持するようにされる。
次に、図7(b)には、基準クロックCKが遅れている場合における動作を示している。 この図7(b)に示すコンパレータ出力ccは、図7(a)に示す位相ずれが生じていない場合と同様であるが、原発振クロックCKsの位相が若干遅れているため、これを1/n分周した基準クロックCKとしても、原発振クロックCKsと同様の位相ずれが生じていている。
このため、当該基準クロックCKとコンパレータ出力ccとのExclusive ORでなる位相検出信号pdは、図示するようにしてこの位相ずれを反映した信号として得られる。
ここで、この場合の位相検出信号pdの先頭部分は、コンパレータ出力ccのエッジ部分とそれを挟み込む基準クロックCKのエッジ部分との時間差が、それぞれ−1/4,3/4になっているが、このことは、コンパレータ出力ccの1エッジにつき、「−1/4+3/4」により1/2の誤差を検出したことを表している。
これによって、この場合は再生信号RFの3T及び2Tに対応する波形部分での総和位相情報(すなわち位相誤差)は、それぞれ「−1/4+3/4,−1/4+3/4,1/4+(−3/4)」より、”1/2”となる。
この場合のVCO57に対しては、位相検出信号pdによりこのような誤差”1/2”を示した位相誤差情報が入力される。VCO57はこのような誤差”1/2”を示す位相誤差情報に応じて原発振クロックCKsの位相を進め、これにより速やかに位相が同期されることになる。
なお、上記図7の説明では、位相情報を”0””1”の2値で処理する場合を例示したが、例えば次の図8のように、位相情報を”1”、”0”、”−1”の3値で処理する方法も実現されており、同様に位相情報から誤差を抜き出してVCO57にフィードバックさせて安定にクロックを抽出する機能を実現している。この場合、”1”は電源電圧レベル、”−1”はグランド電圧レベル、”0”はハイインピーダンス状態を表し、各々の時間の割合に応じて発生する終端電圧が以降の回路に与えられる。
また、図7に示したようにして、位相誤差情報を再生信号RFについてのコンパレータ出力と基準クロックCKとの時間差情報により検出する以外にも、再生信号RFの極性変化点における傾き情報を利用して検出する手法も知られている。
これを次の図9を参照して説明する。
図9では、再生信号RFと基準クロックCKとを示している。この図において、図中T1〜T6は、基準クロックCKの1周期ごととなる再生信号RFについてのサンプリングタイミング(サンプリング点)を示している。この手法では、このように再生信号RFについて基準クロックCKの周期でサンプリングした値を用いて位相誤差の検出が行われることになる。
ここで、再生信号RFとしては、記録再生装置が対応するディスク状記録媒体の情報記録密度等に依存して、極性変化部分での1T区間における傾きの値が或る程度決まってくる。当手法では、このような再生信号RFについての極性変化部分での傾き値が計算されて、その値が傾き係数として予め装置側に設定されていることが前提となる。
この例では、図中Xと示されるように極性変化部分での1T区間において再生信号RFの値が−10〜10までの20変化するのものとされおり、従って傾き係数としては「20÷1」より0.05/1Tが計算される。
この場合、位相誤差は、上記のように予め設定される傾き係数の値と、再生信号RFの極性変化方向(つまり正方向への傾きか負方向への傾きか)の情報、及び極性変化点に対応してサンプリングされた再生信号RFの値を用いた演算により求められる。
具体的に、再生信号RFの極性変化は、基準クロックCKの周期でサンプリングされる値から知ることができる。例えば図中の再生信号RFの最初の極性変化点は、時点T1でのサンプリング値(−10)と、次の時点T2でのサンプリング値(3)とが比較され、これらの極性が異なっていることから検出できる。この場合は時点T2が極性変化点に最も近いサンプリング点(最接近点)となる。
また、傾きの方向は、このように検出された再生信号RFの極性変化点の最接近点を挟むそれぞれのサンプリング点(T1とT3)でのサンプリング値を比較することで求めることができる。
従って、この場合の再生信号RFの最初の極性変化点に対応しては、最接近点である時点T2においてサンプリング値は「3」であり、傾き方向は「正」であることから、図中に示されるようにして「0.05(正の傾き係数)×3(サンプリング時振幅)=0.15T」が計算される。このように算出された「0.15」が、この場合の位相誤差情報となる。
同様に、再生信号RFの次の極性変化点については、時点T4と時点T5とのサンプリング値の極性の違いから、再生信号RFの極性変化(この場合は時点T5が極性変化点の最接近点となる)を検出できる。さらに、この再生信号RFの極性変化点の最接近点を挟む各サンプリング点(時点T4、時点T6)でのサンプリング値から、再生信号RFの傾き方向を検出できる。
これらの情報から、時点T5の最接近点に対応しては、「−0.05(負の傾き係数)×−3(サンプリング時振幅)=0.15T」が計算され、これによって位相誤差情報「0.15」が得られる。
このようにして、基準クロックCKに従って各サンプリング点での再生信号RFの振幅値を測定することによっても、位相誤差情報を得ることができる。
このように得られた位相誤差情報は、例えばD/Aコンバータによってアナログ信号に変換された後、図6の場合と同様にローパスフィルタを介することでクロック成分が除去されてVCOに入力される。これによって、先の図7にて説明した手法が採られる場合と同様に、VCOでは検出された位相誤差の情報に応じた周波数制御が行われて基準クロックCKと再生信号RFとの位相が同期される。
なお、関連する従来技術については以下の特許文献を挙げることができる。
特開2003−257133号公報
上述のように、光ディスクやハードディスク等のディスク状記録媒体の記録再生装置では、PLL回路によって再生信号に基づく基準クロックを生成し、以降の処理で情報が復号されていくのであるが、近年、光ディスク、磁気ディスク共に記録密度の向上が進み、光学ヘッドのMTF限界や磁気ヘッドのギャップ限界に近づいている。このため、再生信号RFとしては短い波長成分の信号振幅が小さくなり、PLL回路にもその影響が出てきている。
図10(a)は、このように高記録密度とされた場合の再生信号RFと、これまでの記録密度(通常の記録密度とする)とされた場合の再生信号RFの波形との比較を例示的に示している。
図示するように記録密度が相対的に低い従来の(通常の)再生信号RFでは、3T部分と2T部分の振幅がほぼ同じ値となっている。これに対し高記録密度時の再生信号RFでは、3T部分の振幅も小さくなっているが、2T部分の振幅はさらに小さくなっている。これは、ヘッドの再生限界近くの成分までが復号に必要な帯域に含まれているためである。
ここで、このような高記録密度時の再生信号RFとされた場合での、先の図6に示したPLL回路53の動作例を次の図10(b)に示す。
この図10(b)において、原発振クロックCKs及び基準クロックCKとしては、通常の再生信号RFに同期している状態を示している。
また、この図では説明のため、図10(a)に示した高記録密度時の再生信号RFの波形を拡大して示している。
また、この図では、さらに再生信号RFのセンターレベル(図中破線によるRFセンターレベル)とコンパレータ出力cc、及び位相検出信号pdも示されている。
先ず、図中の再生信号RF(高記録密度時)を参照してわかるように、この場合の再生信号RFとしては、3Tから2Tへと変化するエッジ部分として、RFセンターレベルを横切る位置が若干2T側にシフトしている。
これは、高記録密度とされたことによる再生信号RFの符号間干渉として3T(+)の波形と2T(−)の波形とが重ね合わされたことにより、RFセンターレベルを横切る位置付近での再生信号RFの成分が、2T(−)の方で小さくなって、結果として+方向に偏ってしまう為である。
この符号間干渉の影響を受けて、3Tから2Tへと変化するエッジ部分での再生信号RFに対する基準クロックCKの位相は、若干の遅れが生じる(図中「dh」による位相エラー:この場合は誤差”1/8”に相当するものとして示している)。
但し、このような高記録密度化に伴う符号間干渉により生じる位相エラーdh自体は、通常の場合、比較的小さなエラーである場合が多く、また長期的にみれば逆の3T(−)と2T(+)の波形による符号間干渉によって打ち消される等、情報の復号に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。
ところが、高記録密度化としては、記録トラック上の符号密度が高められる以外にも、トラックピッチを狭めることでも行われる。そして、このように狭トラックピッチ化によって高密度化が実現された場合、隣接するトラックの記録信号が再生信号RFに影響を及ぼす場合がある。
特に光ディスクの場合、ハードディスクと違ってメディアの脱着が可能であるため、記録再生装置に対して装着されたディスクの偏芯や傾き(スキュー)等によって隣接するトラックの信号の影響を大きく受ける場合がある。この場合、隣接するトラックの信号は低い周波数領域の信号として影響するため、再生信号RFにDCオフセットが重畳されたのと同様の状態になる。
例えば、+方向のDCオフセットが重畳された状態の信号波形は、図中に示されるように、再生信号RFの波形はそのままとした上で、RFセンターレベルを一点鎖線により示される位置に所定のオフセット分だけ下げることによって等価的に表現することができる。
この図におけるコンパレータ出力cc、及び位相検出信号pdは、このように隣接トラックからの影響を受けた場合のRFセンターレベルに基づき得られる信号をそれぞれ示している。
これらコンパレータ出力cc、位相検出信号pdを参照してわかるように、この場合はDCオフセットの影響により、再生信号RFの立ち上がり/立ち下がりにおける位相エラーが発生することになる。例えば3Tの立ち上がりにおいては−方向の位相エラーd1が生じ、3Tの立ち下がりにおいては+方向の位相エラーd2が生じている。
原理的には、上記した符号間干渉が無い場合、上記位相エラーd1及び位相エラーd2の合成値は結果的に“0”となるのであるが、前述の高記録密度化によるエラーdhが生じている場合、3T部分における立ち上がりの傾きよりも立ち下りの傾きが緩やかであるため、上記位相エラーd1(誤差”1/8”相当)よりも上記位相エラーd2(誤差”−3/8”相当)の方が大きくなってしまい、このためにDCオフセットが無い場合の位相エラーdh(誤差”1/8”相当)に比べて位相エラー(d2−d1=−3/8−1/8=−1/4)が増大し、これによりPLL回路53が正常に動作せず、ディスクからの読み出し信号を正確に復号できなくなることがある。
このように従来のPLL回路53においては、符号間干渉及び隣接トラックの影響によって信号を正確に復号し得ないことがあるという問題があった。また、この問題は、図9において説明した再生信号RFの傾き情報に応じて位相誤差を検出する手法が採られる場合にも同様に生じるものである。
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、信号処理装置として以下のように構成することとした。
つまり、入力信号に同期した基準クロックを生成するための信号処理装置であって、先ず、上記入力信号に対する上記基準クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出手段を備える。
また、上記位相誤差検出手段にて検出された位相誤差に応じて上記基準クロック生成のための発振器の発振周波数を制御することで、上記入力信号に同期した上記基準クロックを生成するようにされたクロック生成手段を備える。
さらに、上記入力信号の極性変化点での傾きを検出した結果に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う制御手段を備えるようにしたものである。
また、本発明では信号処理方法として以下のようにすることとした。
つまり、入力信号に同期した基準クロックを生成するための信号処理装置として、上記入力信号に対する上記基準クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、上記位相誤差検出手段にて検出された位相誤差に応じて上記基準クロック生成のための発振器の発振周波数を制御することで、上記入力信号に同期した上記基準クロックを生成するようにされたクロック生成手段とを備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
上記入力信号の極性変化点での傾きを検出した結果に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御手順を備えるものである。
さらに、本発明では再生装置として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明の再生装置は、ディスク状記録媒体について少なくとも再生を行う再生装置であって、上記ディスク状記録媒体からの再生信号に同期した基準クロックを生成するための信号処理回路として、以下の各手段を備える信号処理回路を少なくとも備えるものである。
つまり、上記ディスク状記録媒体からの再生信号に対する上記基準クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、上記位相誤差検出手段にて検出された位相誤差に応じて上記基準クロック生成のための発振器の発振周波数を制御することで、上記再生信号に同期した上記基準クロックを生成するようにされたクロック生成手段とを備える。
また、上記再生信号の極性変化点での傾きを検出した結果に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う制御手段を備えるものである。
ここで、先の図10の説明より、基準クロックの生成動作に悪影響を与える程の大きな位相誤差が検出されてしまうのは、高記録密度化等によって入力信号(再生信号)の波長の短い部分での振幅が小さくなり、波形の傾きが小さくなることが原因となっている。そこで、入力信号の傾きが所定以下である場合は、その時点で検出された位相誤差を無効なもとして扱えば、正常な基準クロック生成動作を維持することができる。
上記本発明によれば、入力信号の極性変化点での傾きの値が検出され、その値に応じて位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御が行われる。これによれば、上述のように入力信号の傾きが所定以下である場合に、位相誤差検出手段にて検出された位相誤差を無効とすることが可能となり、これによって符号間干渉によってエラー幅が大きくされた位相誤差信号による影響を排除することができる。
このようにして本発明によれば、入力信号の極性変化点での傾きの値に応じて位相誤差検出手段にて検出される位相誤差を無効とするように制御を行うものとしたことで、入力信号の符号間干渉によって位相誤差が大きくなる部分での位相誤差信号を無効とすることができる。
これによれば、高記録密度化等に伴い隣接トラックの記録信号の影響と符号間干渉との双方が影響した部分で検出された大きな位相誤差は、基準クロック生成にあたって参照されないようにすることができ、これによって正常な基準クロック生成動作を維持することができる。
つまり、このような本発明によれば、ディスク状記録媒体の高記録密度化に対しても安定的な再生動作を行うことができる。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
図1は、本発明の実施の形態としての再生装置1の内部構成について示すブロック図である。
この再生装置1は、図示するディスク100として、光ディスクに対応する構成を採る。 なお、この図では実施の形態の再生装置1について、主にPLL(Phase Locked Loop)回路系の構成のみを抽出して示している。この図に示すPLL回路系では、位相誤差の検出手法として、先の図9に示した再生信号RFの傾き情報に基づく検出手法を採る。
先ず、ディスク100には、アドレス情報やトラッキング制御用の軌道制御情報等が記入されている。この軌道制御情報としては、円周状あるいは螺旋状の凹凸の溝構造、あるいは凹(または凸)のピット列の集合構造をもつ。さらにアドレス情報が、記録された信号の中の所定の位置に記入されたり、或いは凹凸の溝構造あるいは凹(または凸)のピット列を特定の周波数でうねらせ(ウォブリング)、当該うねりに意図的に偏差を与える方法によって記入されている。
再生装置1において、ディスク100は、図示されないターンテーブルに載置された状態でスピンドルモータ2によって概略一定の回転速度、または概略一定の線速度にて回転駆動される。図示は省略したが、このスピンドルモータ2の回転動作はディスク100からの再生信号又はウォブル信号に含まれるアドレス情報を用いて制御される。
ディスク100からの記録信号の読み出しは、光学ピックアップ(OP)3によって行われる。この光学ピックアップ3には、レーザ光源となるレーザダイオード、レーザ光をディスク100の記録面に集光し、且つその戻り光を受光するための対物レンズ、対物レンズを介して得られる上記戻り光を検出するためのフォトディテクタ、さらに、対物レンズをフォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に保持する2軸機構等が設けられている。
また、光学ピックアップ3全体は、図示されないスライド機構によってディスク100の径方向に移動可能に保持されている。
マトリクス回路4に対しては、上記光学ピックアップ3により得られるディスク100からの戻り光を光電変換した信号が供給される。この戻り光信号に基づきマトリクス回路4では再生信号RFが生成される。
なお、マトリクス回路4にて上記戻り光信号に基づき生成される信号としては、他にフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等がある。これらフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号は、図示されないサーボ回路によるフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボの各制御動作に用いられる。すなわち、これらフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に基づきサーボ回路によって上記した2軸機構、スライド機構の動作が制御されることで、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スレッドサーボの各サーボ制御動作が行われる。
マトリクス回路4にて生成された再生信号RFは、イコライザアンプ(EQ)5に供給されて高周波領域のゲインや位相が調整されて波形歪みが補正される。そして、このように波形歪みが補正された再生信号RFは、再生信号S1としてサンプリング回路7に対して供給される。
サンプリング回路7には、後述するPLL回路6によって生成される基準クロックCKも供給される。このサンプリング回路7は、再生信号S1を基準クロックCK(この場合は原発振クロックCKsそのものとなる)の立上がり又は立ち下がりエッジでサンプリングし、その値をデコーダ8に供給する。
デコーダ8は、上記サンプリング回路7においてサンプリングされる再生信号RFの値について必要なデコード処理を行って再生データを得る。このデコーダ8において行われるデコード処理には、例えば可変長変調符号についての復調処理、誤り訂正処理等がある。
また、イコライザアンプ5より出力される再生信号S1は、PLL回路6に対しても分岐して供給される。
PLL回路6には、図示するようにしてA/Dコンバータ10、位相検出回路11、ローパスフィルタ(LPF)12、VCO13、及び1/m分周器14が備えられている。
先ず、PLL回路6に対して入力される再生信号S1は、A/Dコンバータ10に対して供給される。このA/Dコンバータ10には、1/m分周器13によって生成される基準クロックCKが供給され、再生信号S1をこの基準クロックCKのタイミングに応じて数値化する。そして、これを図示するA/D出力S2として位相検出回路11に対して供給する。この場合、A/Dコンバータ10によるA/D出力は、例えば−10〜10までの値を取る。
位相検出回路11に対しても、上記した1/m分周器14からの基準クロックCKが供給されている。
この位相検出回路11は、A/Dコンバータ10からのA/D出力S2と上記基準クロックCKとに基づき、再生信号S1に対する基準クロックCKの位相誤差を示す位相誤差信号S3を生成するように構成される。
また、特に実施の形態の場合、この位相検出回路11は上記A/D出力S2から再生信号S1の傾きを検出した結果に基づき、位相誤差信号S3の出力を制御するようにも構成されるが、この位相検出回路11の内部構成、及びその動作については後述する。
ローパスフィルタ12は、安定なPLL発振が行われるように位相検出回路11から供給される位相誤差信号S3から基準クロックCKの成分を除去し、これをVCO(Voltage Controlled Oscillator)13に供給する(図中S4)。
VCO13はローパスフィルタ12から供給される位相誤差信号S4に基づき、内蔵する発振器の周波数を可変制御することで再生信号S1(RF)に同期した原発振クロックCKsを生成するようにされる。
1/m分周器14はVCO13からの原発振クロックCKsを設定された分周比に応じて分周して基準クロックCKを生成する。この場合はm=1が設定されるため、原発振クロックCKsそのものを基準クロックCKとして生成することとなる。
生成された基準クロックCKはサンプリング回路7に供給されると共に、位相検出回路11、及びA/Dコンバータ10に対しても分岐して供給される。
なお、この図1においてはサンプリング回路7の出力に基づきデコーダ8が再生データを生成する構成が採られる場合を例示しているが、A/Dコンバータ10の出力S2を分岐してデコーダ8に供給することで再生データを得る構成が採られる場合もある。
図2は、図1に示した位相検出回路11の内部構成を示している。
位相検出回路11には、図示するようにして第1バッファ21、第2バッファ22、第3バッファ23、第1平均値演算回路24、第2平均値演算回路25、極性変化・反転方向検出回路26、傾き検出・比較回路27、誤差信号生成・出力制御回路28、D/Aコンバータ29が備えられている。
なお、図示は省略したが、図1において位相検出回路11に対して入力された基準クロックCKは、これら各部の動作クロックとして入力されている。
先ず、図1に示したA/Dコンバータ10からのA/D出力S1は、位相検出回路11内の第1バッファ21に対して入力される。
第1バッファ21は、基準クロックCKのタイミングで新たなA/D出力S1を保持する共に、既に保持されていたA/D出力S2を図中の出力S21として第2バッファ22に出力する。第2バッファ22は上記第1バッファ21からの出力S21について、同様に基準クロックCKのタイミングでこれを保持すると共に、既に保持されていた出力S21を出力S22として第3バッファ23に出力する。第3バッファ23は第2バッファ22からの出力S22について、同様に基準クロックCKのタイミングでこれを保持すると共に既に保持されていた出力S22を出力S23として出力する。
つまり、これら第1バッファ21〜第3バッファ23により、再生信号S1の振幅データが第1バッファ21,第2バッファ22,第3バッファ23の時系列順で保持される。
例えば第2バッファ22に保持される値が現在の再生信号S1の振幅値であるとすれば、第3バッファ23にはこの現在の値に対して1つ前となるサンプリング点での振幅値が保持され、第1バッファ21には現在の値に対して1つ先となるサンプリング点での振幅値が保持されることになる。
上記第1バッファ21の出力S21は、図示するようにして第1平均値演算回路24に対しても分岐して供給される。
また、第2バッファ22の出力S22は第1平均値演算回路24と、第2平均値演算回路25に対しても供給されると共に、傾き検出・比較回路27と誤差信号生成・出力制御回路28とに対しても分岐して供給される。
さらに、第3バッファ23の出力S23は、第2平均値演算回路25と傾き検出・比較回路27とに対して供給される。
第1平均値演算回路24、第2平均値演算回路25、極性変化・反転方向検出回路26は、上記第1バッファ21〜第3バッファ23により得られる3つのサンプリング点での再生信号S1の振幅値から、再生信号S1の極性変化点に最も近いサンプリング点となる最接近点と、そのときの反転方向を検出するために設けられる。
先ず、第1平均値演算回路24は、基準クロックCKのタイミングごとに第1バッファ21と第2バッファ22からそれぞれ供給される出力S21と出力S22の平均値を算出し、これを出力S24として極性変化・反転方向検出回路26に出力する。
また、第2平均値演算回路25は、基準クロックCKのタイミングごとに、第2バッファ22と第3バッファ23からそれぞれ供給される出力S22と出力S23の平均値を算出し、これを出力S25として極性変化・反転方向検出回路26に出力する。
極性変化・反転方向検出回路26は、上記第1平均値演算回路24からの出力S24と、上記第2平均値演算回路25からの出力S25の値を比較し、極性が変化しているか否かを判別する。また、極性が変化していた場合、その極性変化の方向、すなわち再生信号S1の反転方向を検出する。
極性変化がない場合、出力S26として”0”を出力する。極性変化があり、反転方向が正方向である場合は出力S26として”1”を出力する。さらに、極性変化があり、反転方向が負方向である場合は出力S26として”−1”を出力する。
極性変化・反転方向検出回路26による出力S26は、誤差信号生成・出力制御回路28に対して供給される。
傾き検出・比較回路27は、第2バッファ22からの出力S22と、第3バッファ23からの出力S23が入力されると共に、図示する閾値thが設定される。この傾き検出・比較回路27は、基準クロックCKのタイミングごとに出力S22と出力S23の差分値を求めることで、各サンプリング点間(基準クロックCK間)の再生信号S1の傾き値を算出する。さらに、その傾き値の絶対値と、上記閾値thとを比較して、算出された傾き値が上記閾値th以上の差がある場合は”1”、そうでない場合には”0”を出力する。この”0””1”による出力S27は、誤差信号生成・出力制御回路28に対して供給される。
誤差信号生成・出力制御回路28は、第2バッファ22からの出力S22、極性変化・反転方向検出回路26からの出力S26、傾き検出・比較回路27からの出力S27を乗算することで、当該位相検出回路11から出力される最終的な位相誤差信号S3の生成のための誤差検出/制御信号C1を生成する。
後に説明するように、この誤差検出/制御信号C1は、位相誤差量を表すための信号として機能すると共に、検出された位相誤差を無効とする信号としても機能するものとなる。
誤差信号生成・出力制御回路28にて生成された誤差検出/制御信号C1は、D/Aコンバータ29にてアナログ信号に変換され、位相検出信号S3として図1に示したローパスフィルタ12に対して供給される。
ここでは、後述する傾き係数kがD/Aコンバータ29のゲインとして設定されていることを等価的に示しているが、このようにD/Aコンバータ29にて誤差検出/制御信号C1に対して等価的に傾き係数kが乗算されることで、後述する位相検出信号S3の計算式が成り立つように構成されている。
図2に示した位相検出回路11の構成により実現される動作を、次の図3のタイミングチャートを参照して説明する。
先ず、この図において、図3(a)は、4つの符号”1”の後に、反転して2つの符号”0”が続き、これら4T区間と2T区間とで符号間干渉が生じている場合の再生信号RF(S1)の波形が示されている。
図中の時点T1〜T8は、図3(b)に示される基準クロックCKに従った、A/Dコンバータ10による各サンプリング点を示している。
先ず、図3(c)に示すA/Dコンバータ10によるA/D出力S2は、この場合は最初のサンプリング点(時点T1)では“−8”、続く時点T2以降のサンプリング点で順に「1,7,9,7,3、−4,1」が得られる。
これらのサンプリング値に基づき、第1平均値演算回路24、第2平均値演算回路25では、図3(d)に示される2値平均としての値が算出される。すなわち、例えば時点T2において得られる出力S24の値は「(1+7)÷2=4」であり、出力S25の値は「(−8+1)÷2=−3.5」となる。また、時点T3で得られる出力S24の値は「(7+9)÷2=8」であり出力S25の値は「(1+7)÷2=4」となる。
このように、出力S24と出力S25は、或る1つの時点Tごとに、その1つ前の時点Tでのサンプリング値との平均値と、その1つ先の時点Tでのサンプリング値との平均値を示すものとなる。
図3(d)に示す2値平均の値(S24・S25)を参照してみると、この例の場合では、時点T2と時点T6とで、出力S24と出力S25の値の極性が異なっていることがわかる。このことは、これら時点T2、時点T6が、再生信号S1の極性変化点の最接近点であることを示している。
ここで、再生信号RFの極性変化点の最接近点を検出するにあたっては、単に各時点T間で得られるサンプリング値の極性変化を検出することも考えられるが、これによると、時点T6→時点T7の遷移に示される再生信号RFと基準クロックCKの関係が得られた場合に、単に時点T6でのサンプリング値「4」から時点T7のサンプリング値「−4」への極性変化が検出されてしまい、これによって正しい極性変化点の最接近点である時点T6とは異なる時点T7が誤って検出されてしてしまうことがある。
このことから、ここでは上記の説明のように出力S24・S25として、対象となる時点Tとこれを挟む2つの時点で得られる3値について、それぞれの2値平均の極性変化点を検出することで、このような再生信号RFの極性変化の最接近点についての誤検出を防止しているものである。つまり、これによって再生信号RFの極性変化点の最接近点を正しく検出することができる。
ところで、上述もしたように本実施の形態の再生装置1では、位相誤差の検出手法として先の図9にて説明した再生信号の傾き情報を用いた検出手法を採る。
この手法において、位相誤差の検出にあたっては、再生信号RFの極性変化部分での傾き方向(反転方向:極性変化の方向)、及びその極性変化点の最接近点での再生信号RFのサンプリング値、及び予め設定された傾き係数が用いられる。
図9においても説明したように、再生信号RFとしては、ディスク100の情報記録密度等に依存して、極性変化部分を含む1T区間での傾きの値が或る程度決まってくる。このような再生信号RFの極性変化部分を含む1T区間での傾きの値が、上記傾き係数とされる。
実施の形態の再生装置1にて設定される傾き係数kとしては、例えば図9の場合と同様に「0.05」が設定されているものとして説明する。
そして、この手法において、位相誤差は、このようにして予め設定される傾き係数kの値と、上記した極性変化部分での再生信号RFの極性変化方向(正方向の傾きであれば”1”、負方向への傾きであれば”−1”)、及び上記極性変化点の最接近点でサンプリングされた再生信号RFのサンプリング値を乗算することで求めることができる。
つまり、この場合の位相誤差信号としては、図3(f)に示される「反転方向(1or−1)×傾き係数k×サンプリング時振幅値」により表される計算式によって求めることができる。
図3において、上記式における反転方向の情報は、図3(e)に極性変化・反転方向と示す、極性変化・反転方向検出回路26の出力S26として得られる。すなわち、先の図2においても説明したようにこの出力S26としては”0”によって極性変化なしを示すと共に、”1”によっては正方向への極性変化(正方向への傾き)を示し、”−1”によっては負方向への極性変化(負方向への傾き)を示す情報となる。
この例の場合の出力S26としては、先ず時点T2において、図2(d)に示した2値平均(S24,S25)の各値から正方向への極性変化(正の傾き)を示す”1”が得られる。また、次の時点T3〜時点T5までは、それぞれの時点で得られる2値平均の各値から極性正変化なしを示す”0”が得られる。また、時点T6では負方向への極性変化(負の傾き)を示す”−1”が得られ、時点T8では極性変化なしの”0”が得られる。
さらに、上記式におけるサンプリング時振幅値は、先の図2に示した回路構成より、第2バッファ22からの出力S22となることがわかる。
これらより、この場合における最初の再生信号RFの極性変化点の最接近点となる時点T2では、反転方向を示す情報として”1”、サンプリング時振幅値は”1”が得られていることより、図3(f)に示されているように位相誤差信号(演算値)としては「0.05×1=0.05T」となる。この結果から、当該時点T2の最接近点では+18°の位相誤差が検出されたことになる。
また、次の再生信号RFの極性変化点の最接近点となる時点T6にて算出される位相誤差信号(演算値)としては、反転方向を示す情報として”−1”、サンプリング時振幅値は”3”より、「−0.05×1=−0.15T」となり、−54°の位相誤差が検出される。
なお、時点T3〜T5、及び時点T8では、それぞれの時点で得られる各2値平均の値は極性が同じであり、位相誤差を検出すべきデータはこの間には存在しない。すなわち、これらの時点では位相誤差を示す信号は出力されない。
ここで、上記のようにして時点T2の極性変化点の最接近点において検出された位相誤差(0.05T)程度であれば、PLL回路6が正常に動作を行うにあたって殆んど問題は生じない。
しかしながら、時点T6の最接近点で検出された位相誤差(−0.15T)は、本来は”0T”であるべき位相誤差が符号間干渉により増大されたものとなっており、この誤差はPLL回路6の動作にとって問題が発生するレベルとなり得る。
そこで、本実施の形態ではこの点に鑑みて、上記のような符号間干渉により位相誤差が増大している部分では位相誤差信号を参照しない(無効とする)ようにすることで、安定したPLL回路6の動作の実現を図る。
先の図10の説明でも触れたように、符号間干渉の最大の原因は、高記録密度化等に伴い再生信号RF中の短い波長の部分の振幅が小さくなってしまう現象にある。つまりは、このように振幅が小さくなってしまう波長の短い部分の波形が、次に続く信号が比較的長い波長(大きな振幅をもっている)であった場合等に影響を受け、その極性変化点の位置(すなわち再生信号RFがそのセンターレベルを横切る位置)が本来の位置と離れてしまうものである。
そして、このように本来の位置と離れた極性変化点となって、高記録密度化によって再生信号S1(RF)のセンターレベルにDCオフセットが重畳してしまった場合、このような極性変化点のずれがさらに拡大されてしまう可能性があり、これによってPLL回路6の正常なクロック生成動作を得ることがさらに困難となってしまう虞があった。
ここで、このように符号間干渉で振幅が小さくなっている極性変化点では、その部分での再生信号RFの傾きは必然的に小さなものとなっている。従って、このような極性変化点での傾きを常に監視し、その傾きが所定の値を下回るときは、検出された位相誤差が無効となるようにすることで、上述のような極性変化点が本来の位置と離れたときに検出された位相誤差によるPLL回路6の誤動作を防止できることになる。
このような実施の形態としての制御動作は、図2に示した傾き検出・比較回路27、誤差信号生成・出力制御回路28によって実現される。
その動作を図3(g)〜(i)を参照して説明する。
先ず、図2においても説明したように、傾き検出・比較回路27では、第2バッファ22の出力S22と第3バッファ23の出力S23の値に基づき、各サンプリング点間での再生信号RFの傾き値が絶対値により算出される。これにより、極性変化点の最接近点となる時点T2、時点T6のそれぞれのサンプリング点では、図3(g)に示されるように時点T1−T2間(期間A)での傾き値(|−8−1|=9)と、時点T5−T6間(期間B)での傾き値(|7−3|=4)が得られる。
さらに傾き検出・比較回路27では、このように算出される再生信号RFの傾き値と、閾値thとを比較した結果に基づき、出力S27を生成する。
この場合、上記閾値thとしては、 予め再生信号RFの傾きとPLL回路6が正常動作するか否かとの関係について実験を行った結果等に基づき、PLL回路6の正常動作が得られなくなるときの再生信号RFの傾き値に基づいた値を設定する。
本実施の形態の場合、このような閾値thとして例えばth=6が設定されているとする。
傾き検出・比較回路27では、各サンプリング点間のサンプリング値(S23、S22)に基づき算出した再生信号RFの傾き値と、このように設定された閾値thとを比較した結果、閾値th以上であれば出力S27として”1”を出力する。それ以外の場合(閾値thよりも小さい)は、出力S27として”0”を出力する。
図3(h)に示されるように、この場合の各最接近点である時点T2、時点T6では、それぞれ上記のように算出された傾き値”9”と”4”とについて閾値thとの比較が行われることになる。図示するように時点T2においては「9>6(th)」より出力S27として”1”が出力される。
また、時点T6においては「4<6(th)」により出力S27としては”0”が出力されることになる。
誤差信号生成・出力制御回路28では、上記出力S27に基づき、位相検出信号S3についての出力制御を行うようにされる。
つまり、誤差信号生成・出力制御回路28は、先にも説明したように極性変化・反転方向検出回路26からの出力S26と、第2バッファ22からの出力S22と、上記出力27とを乗算した結果を誤差検出・制御信号C1として出力する。
これによると、先ず時点T2においては、「1×1×1」(S26×S22×S27)により、上記誤差検出/制御信号C1としては”1”が出力されることになる。
ここで、この場合の位相誤差信号S3としては、上述したように「反転方向×傾き係数k×サンプリング時振幅値」により計算されるが、実際の構成において、誤差信号生成・出力制御回路28から出力される誤差検出/制御信号C1としては、このうちの「1(反転方向)×1(サンプリング時振幅値)」の計算が行われるのみで、上記傾き係数kを除いたものとされる(図3(f)の計算式参照)。
この場合の位相誤差信号の計算式は、実際にはこのように誤差信号生成・出力制御回路28から出力される誤差検出/制御信号C1に対して、図2に示したD/Aコンバータ29でのゲインとして設定される傾き係数kが等価的に乗算されることにより成り立つものとなっている。
つまりこの場合、上記誤差検出/制御信号C1がD/Aコンバータ29においてD/A変換されることで、最終的に上記した誤差信号生成・出力制御回路28により演算される”1”に対して傾き係数k=0.05が乗算されることとなって、位相誤差情報として上述した「0.05(T)」が得られるものである。
そしてこの場合、上述の誤差信号生成・出力制御回路28での計算によれば、出力される誤差検出/制御信号C1に対しては傾き検出・比較回路27からの出力S27としての”1”が乗算される。
このように出力S27として”1”が乗算されることで、当該時点T2において上記のように算出される位相誤差の情報は有効となり、これによって図3(i)に示されるようにして、この時点T2で出力される位相誤差信号S3としては「0.05」が出力されるものである。
つまり、これによって再生信号RFの傾き値が閾値th以上である場合は、検出された位相誤差信号S3を有効なものとして後段に供給することができるものである。
一方、時点T6では、誤差信号生成・出力制御回路28においては「−1×3×0」(S26×S22×S27)が計算され、これによって上記誤差検出/制御信号C1としては”0”が出力されることになる。
つまり、この時点T6では、再生信号RFの傾き値が閾値thよりも小さくなっている場合に対応して出力S27が”0”となり、従って検出された位相誤差情報に対しては”0”が乗算されることになる。そして、この結果として位相誤差信号S3の値は”0”となり、この時点T6で検出された位相誤差情報は無効となるように制御される。
このような動作によって、再生信号RFの傾き値が閾値th以上でない場合は、検出された位相誤差信号S3が無効となるように制御される。
ここで確認のために、次の図4には、図3に示した再生信号RFが入力された場合での図2の各部の動作を、時点T1〜時点T8の遷移に伴う各部の出力信号の遷移によって示しておく。
図4において、横軸は基準クロックCKに基づく各サンプリング点を示している。上段の各時点Tは、入力される再生信号RFの時間軸を基準とした場合での時点Tを示している。これに対し、下段の括弧付きの各時点Tは、誤差信号生成・出力制御回路28による誤差検出/制御信号C1の時間軸を基準とした場合の時点Tを示すものである。
また、縦軸には、図2に示した各部の出力値を示している。
先ず、A/Dコンバータ10からのA/D出力S2は、図3に示した再生信号RFの例に従って時点T1〜T8の各サンプリング点ごとに図のような値が得られる。
A/Dコンバータ10によるA/D出力S2の値は、基準クロックCKの立ち上がりごとに第1バッファ21→第2バッファ22→第3バッファ23の順で保持される。
これにより、例えば時点T1にて得られたA/D出力S1の値”−8”は、図示するようにして次の時点T2における第1バッファ21の出力S21となり、その次の時点T3では第2バッファ22の出力S22となり、されに次の時点T4では第3バッファ23の出力S23となる。
時点T3においては、図示するようにして第1バッファ21の出力S21と第2バッファ22の出力S22とが得られることで、これらの平均値を算出するようにされた第1平均値演算回路24からの出力S24が得られる(図中”−3.5”)。
そして、図示するようにして時点T4においては、図2に示した全ての回路での出力が得られる。つまり、この時点T4となって初めて第1バッファ21、第2バッファ22、第3バッファ23の全てから出力S21、S22、S23が得られることで、第1平均値演算回路24、第2平均値演算回路25からそれぞれ出力S24、S25が得られ、これに伴って極性変化・反転方向検出回路26による出力S26が得られる。さらに、上記のように出力S21、S22、S23の全てが得られることで、出力S22と出力S23とに基づいては、傾き検出・比較回路27において出力S27が得られる。
そして、誤差信号生成・出力制御回路28に対しては、これら出力S26と出力S27が入力されると共に、第2バッファ22の出力S22が図3にて説明したサンプリング時振幅値として入力されることで、誤差検出/制御信号C1が得られるものである。
なお、図4における時点T4で得られるこれら各部の出力値は、先の図3に示した時点T2での各出力の値(S24、S25、S26、S27)と一致している。つまり、実際の各部の動作からすると、図4でいうところの時点T4が、図3での時点T2となっていることがわかる。
これは、図3では再生信号RFを基準とした時間軸で各時点Tを表しているのに対し、図4では図2の各部の動作の結果生成される位相誤差信号(誤差検出/制御信号C1)の出力タイミングを基準とした時間軸で時点Tを示していることによる。つまり、実施の形態において位相誤差信号を生成するにあたっては、第1バッファ21〜第3バッファ23を設けて2クロック分の遅延を生じさせる必要があるので、これに応じ入力される再生信号RFに対する位相誤差信号の出力タイミングにも2クロック分の差が生じているものである。
上記のようにして出力S21〜S23の全てが得られることで、図4に示す時点T4以降では、極性変化・反転方向検出回路26、傾き検出・比較回路27、誤差信号生成・出力制御回路28の各部の動作が開始される。
極性変化・反転方向検出回路26では、第1平均値演算回路24、第2平均値演算回路25の出力S24、S25を比較することで、極性変化の有無の判定と、さらに反転方向の判定を行う。そして、極性変化がない場合は”0”、極性変化があって反転方向が正方向である場合は”1”、負方向である場合は”−1”をS26として出力する。先にも説明したように、この場合は図3における時点T2と時点T6とが極性変化点の最接近点であるため、これに対応して出力S26としては図4の時点T4と時点T8においてそれぞれ”1””−1”となり、それ以外の時点Tでは極性変化なしを示す”0”が出力される。
また、傾き検出・比較回路27は、第2バッファ22の出力S22から第3バッファ23の出力S23を減算した値の絶対値を求めることで、図中「|S22−S23|」と示す再生信号RFの傾きの絶対値を算出し、その値が閾値th以上のときは出力S27として”1”を、それ以外のときは”0”を出力する。
図3の再生信号RFの波形に基づいては、時点T4〜T9(図3では時点T2〜T8)おいて図示する値による傾き値が算出され、これに基づいて出力S27としては各時点Tで図示する値が出力される。
誤差信号生成・出力制御回路28は、出力S22と出力S26と出力S27の3つの値を乗算して誤差検出/制御信号C1を生成する。
先にも説明したように、図3に示す再生信号RFに従えば、極性変化点の最接近点を示す出力S26は、時点T4と時点T8(図3では時点T2と時点T6)以外は”0”となっている。このことで、上記の乗算が行われる結果、極性変化点の最接近点とされる以外の時点では誤差検出/制御信号C1として”0”が出力されることになる。つまり、これら最接近点以外の時点では位相誤差が検出されないことがわかる。
そして、この場合の一方の最接近点である時点T4では、「|S22−S23|」で示される傾き値が「9」であり、出力S27としては”1”が得られる。そして、この場合の出力S22(図3でのサンプリング時振幅値)は”1”であるので、上記の乗算が行われることで、この時点T4では誤差検出/制御信号C1として図示する”1”が出力される。つまり、極性変化部分での再生信号RFの傾き値が所定値以上である場合には、検出された位相誤差が有効となるように制御されるものである。
これに対し、この場合のもう一方の最接近点である時点T8では、「|S22−S23|」で示される傾き値が「4」であり、出力S27としては”0”が得られている。この結果、上記の乗算においてこの出力S27の”0”の値が掛け合わされることで、当該時点T8での誤差検出/制御信号C1は、図中の破線で囲われているように”0”が出力される。すなわち、これによって極性変化部分での再生信号RFの傾き値が所定値を下回る場合には、検出された位相誤差が無効となるように制御されるものである。
このようにして本実施の形態によれば、再生信号RFの極性変化点の最接近点で得られる傾き値が所定値を下回ってPLL回路6の動作に悪影響を与える虞のある場合に対応して、位相検出回路11にて検出される位相誤差情報を無効とするように制御することができる。
これにより、ディスク100の高記録密度化に伴い符号間干渉や隣接トラックの記録信号の悪影響が生じる場合にも、PLL回路6の正常動作を維持することができ、再生動作の安定化を図ることができる。
ところで、先にも説明したようにディスク100の高記録密度化に伴う問題点としては、符号間干渉や隣接トラックの記録信号の影響により、再生信号RFの極性変化点が本来の極性変化点から大きくずれてしまうことにある。
そこで、このような問題の解決にあたっては、単に位相誤差が所定以上となっている部分での検出位相誤差を除外する、すなわち、検出した位相誤差が所定の基準値を越えたときに、当該検出された位相誤差が無効となるように構成することも考えられる。
しかし、仮にこの改善手法を採った場合、PLL回路6での基準クロックCKの引き込みが行われる際に発生する必要な大きな位相誤差も制限されてしまうこととなり、PLL回路6の回路利得が小さくなってしまう。そして、その結果として、読み取り位置を移動させる場合のいわゆるトラックジャンプ時等の読み出し開始までの時間が遅れると言う問題が生じる。
なお、この対策として、基準クロックの引き込みを行うときには従来の位相検出手法を行い、引き込み完了後の再生時には上記の改善手法を行うように切り換えることが考えられるが、この場合、従来の検出動作を実行する回路と上記の改善手法による検出動作を実行する回路とを切り換える等の付加構成が必要となってしまい、その分回路規模やコストの増大化を招くことになる。
これに対し本例は、検出された位相誤差の大きさからではなく、位相誤差を測定した時点での再生信号の傾きを評価することで符号間干渉や隣接トラックの影響を受けた位相誤差を取り除く事ができるものである。
このような手法によれば、上記の改善手法の如くPLL回路における基準クロックの引き込み時の必要な大きな位相誤差が制限されないので、回路利得の低下もその分抑制されて安定した引き込みを行うことができる。そして、これによれば、引き込み時と引き込み後とで回路構成を切り換える必要もなく、よって上記の改善手法と比較すればより少ない構成部品及び製造コストで高記録密度ディスクに対応して安定な再生動作が可能な装置を提供することができる。
なお、本発明としてはこれまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。
例えば実施の形態では、再生信号RFについての傾き係数、反転方向、振幅値とに基づいて位相誤差を検出する構成に適用したが、先の図7にて説明したように再生信号RFのコンパレート出力と基準クロックとの位相ずれを検出する手法が採られる場合にも本発明は好適に適用できる。
例えば、その具体的構成としては、次の図5に示すような構成となる。
図5に示されるPLL回路30としても、イコライザアンプ5を介した再生信号RFが入力され、この再生信号RFに応じたタイミングによるクロックを生成するように構成される。
第1コンパレータ54は、先の図6に示したコンパレータ54と同じである。位相検出回路55、ローパスフィルタ56、VCO57、1/m分周期58、1/n分周期59も、先の図6に示したものと同様である。
この変形例のPLL回路30としては、図6に示したPLL回路53の構成に対し、第1コンパレータ54と並行してそれぞれイコライザアンプ5からの再生信号RFを入力する第2コンパレータ31、第3コンパレータ32と、これら第2コンパレータ31、第3コンパレータ32の出力を、1/n分周期59からの基準クロックCKのタイミングで順次保持し出力するフリップフロップ33、フリップフロップ34、及びこれらフリップフロップ33、フリップフロップ34からの出力に基づいて位相検出回路55からの位相検出信号pdの出力を制御する出力制御回路35が追加される。
この場合、3つのコンパレータに設定される比較レベルとしては、例えば再生信号RFの最大振幅値が±10であるとして第1コンパレータ54にて「0」が設定されているとすると、例えば第2コンパレータ31では「3」、第3コンパレータ32では「−3」程度を設定するものとする。なお、確認のために述べておくと、この場合の処理はアナログで為されるので再生信号RFレベル及び上記比較レベルは整数であるとは限らない。
第2コンパレータ31では、再生信号RFと上記した比較レベル「3」とを比較して再生信号RFのレベルが「3」以上であるときは「H」、それ以外のときは「L」を出力する。また、第3コンパレータ32は再生信号RFと上記した比較レベル「−3」とを比較して再生信号RFのレベルが「−3」以上であるときは「H」、それ以外のときは「L」を出力する。
フリップフロップ33、フリップフロップ34では、第2コンパレータ31、第3コンパレータ32の出力を基準クロックCKのタイミングで新たに取り込むと同時に既に保持されていた値を図示する出力S33、出力S34として出力制御回路35に出力する。このようなフリップフロップ33、34の動作により、第2コンパレータ32、第3コンパレータ33の出力は、出力制御回路35に対して1クロック分遅れたタイミングで供給されるようになる。
つまりは、これによりフリップフロップ33、34から出力制御回路35に対して供給される出力S33、出力S34は、位相検出回路55より位相検出信号pdが出力されるタイミング(つまり再生信号RFの極性変化点の最接近点となる)の1クロック前の時点での再生信号RFのレベルについて表す情報となる。
ここで、出力S33が「H」のとき、又は出力S34が「L」のときは、1クロック前での再生信号RFのレベルが「3」以上、又は「−3」以下であり、1クロック前の時点では比較的大きな振幅が得られているということがわかる。このように1クロック前で大きな振幅となっていることから、最接近点での再生信号RFの傾きとしても大きなものであることが推測できる。
一方、そうでない場合、つまり出力S33が「L」で且つ出力S34が「H」であるときは、1クロック前の時点での再生信号RFの振幅が比較的小さいことを示しているので、最接近点での傾きとしても小さくなっていると推測できる。そこで、このように出力S33が「L」で且つ出力S34が「H」の場合には、位相検出回路55が出力する位相検出信号pdを出力制御回路35にて無効にすることで、実施の形態で説明した各サンプリング点間のサンプリング値に基づき傾きを算出する手法と同じ効果を期待できる。
このような変形例の構成は、先の図6に示したPLL回路53に対して第2コンパレータ31、第3コンパレータ32、フリップフロップ33,34、及び出力制御回路35という比較的簡易な構成を追加するのみで実現できる。
また、実施の形態では、再生装置1が光ディスクに対応する構成とされる場合について説明したが、ハードディスク等の磁気ディスクやMD(Mini Disc)等の光磁気ディスクに対応する再生装置についても本発明は好適に適用できる。
つまり本発明としては、ディスク状記録媒体について少なくとも再生を行う再生装置に対して広く適用することができる。
また、実施の形態では、本発明の再生装置が再生専用装置として構成される場合について説明したが、ディスク状記録媒体についての記録も可能に構成された記録再生装置として構成することもできる。
また、実施の形態では、PLL回路6(信号処理装置)がディスク状記録媒体からの再生信号に同期したクロックの生成を行う場合に適用されるものとしたが、本発明の信号処理装置(信号処理方法)としては、これ以外にも例えば有線又は無線によるデータ通信システムにおける受信装置において、送信装置側から送出された信号に同期したクロックを生成する部分に適用する等、PLLを用いたクロックの生成系を有する装置に広く適用することができる。
このようにディスク状記録媒体の再生装置以外に適用する場合としても、同様に入力信号波形に歪み等が生じその部分で検出された位相誤差によってPLLが正常動作できなくなってしまう虞があるときには、検出された位相誤差が無効とされることでPLLの正常動作を維持することができる。すなわち、ディスク状記録媒体の再生装置以外に適用される場合にも、本発明によればクロック生成動作をより安定なものとすることができる。
本発明における実施の形態としての再生装置の構成について、主に基準クロックの生成系のみを抽出して示したブロック図である。 本発明における実施の形態としての信号処理装置(信号処理回路)が備える位相検出回路の内部構成について示したブロック図である。 実施の形態としての信号処理装置(信号処理回路)が行う動作について説明するためのタイミングチャートである。 実施の形態としての信号処理装置(信号処理回路)が行う動作を、時間遷移に伴う各部の出力信号の遷移により示した図である。 実施の形態の変形例としての信号処理装置の構成について示した図である。 従来の再生装置の主に基準クロックの生成系の構成として、再生信号についてのコンパレータ出力と基準クロックとの時間的すれに基づいて位相検出を行う手法が採られた場合の構成を示すブロック図である。 図6に示した構成に基づき行われる位相検出の手法について説明するためのタイミングチャートである。 図6に示した構成に基づいて行われる位相検出の手法として、3値による位相検出信号を生成する手法について説明するためのタイミングチャートである。 再生信号の傾き情報に基づいて位相誤差を検出する手法について説明するためのタイミングチャートである。 高記録密度ディスクからの再生信号について行われる位相検出動作について説明するためのタイミングチャートである。
符号の説明
1 再生装置、2 スピンドルモータ、3 光学ピックアップ、4 マトリクス回路、5 イコライザアンプ、6,30 PLL回路、7 サンプリング回路、8 デコーダ、10 A/Dコンバータ、11 位相検出回路、12 ローパスフィルタ、13 VCO、14 1/m分周器、21 第1バッファ、22 第2バッファ、23 第3バッファ、24 第1平均値演算回路、25 第2平均値演算回路、26 極性変化・反転方向検出回路、27 傾き検出・比較回路、28 誤差信号生成・出力制御回路、29 D/Aコンバータ、31 第2コンパレータ、32 第3コンパレータ、33,34 フリップフロップ、35 出力制御回路、100 ディスク

Claims (8)

  1. 入力信号に同期した基準クロックを生成するための信号処理装置であって、
    上記入力信号に対する上記基準クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
    上記位相誤差検出手段にて検出された位相誤差に応じて上記基準クロック生成のための発振器の発振周波数を制御することで、上記入力信号に同期した上記基準クロックを生成するようにされたクロック生成手段と、
    上記入力信号の極性変化点での傾きを検出した結果に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とする信号処理装置。
  2. 上記制御手段は、
    上記入力信号の値を上記基準クロックのタイミングで検出する信号値検出手段と、
    上記信号値検出手段によって検出される上記入力信号の値に基づき、上記基準クロックの各タイミング間での上記入力信号の傾きを検出する傾き検出手段と、
    上記信号値検出手段によって検出される上記入力信号の値に基づき、上記入力信号の極性変化点の最接近点を検出する極性変化タイミング検出手段と、を備えると共に、
    上記極性変化タイミング検出手段にて検出された上記最接近点で上記傾き検出手段にて検出された上記傾きの値に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 上記極性変化タイミング検出手段は、
    上記信号値検出手段にて検出された時系列的に連続する第1〜第3の信号値について、第1及び第2の信号値の平均値と第2及び第3の信号値の平均値とを算出した上で、これれら算出された2つの平均値を比較した結果に基づき上記最接近点を検出するように構成される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 上記極性変化タイミング検出手段は、上記2つの平均値を比較した結果に基づいて上記最接近点を検出すると共に、検出された極性変化が正/負何れの方向への極性変化であるかについて判定を行うように構成されており、
    上記位相誤差検出手段は、
    上記極性変化タイミング検出手段において判定された上記極性変化の方向の情報と、予め設定された所定の傾き係数と、上記信号値検出手段にて検出された上記入力信号の値とに基づいて上記位相誤差を検出するように構成される、
    ことを特徴とする請求項3に記載の信号処理装置。
  5. 入力信号に同期した基準クロックを生成するための信号処理装置として、上記入力信号に対する上記基準クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、上記位相誤差検出手段にて検出された位相誤差に応じて上記基準クロック生成のための発振器の発振周波数を制御することで、上記入力信号に同期した上記基準クロックを生成するようにされたクロック生成手段とを備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
    上記入力信号の極性変化点での傾きを検出した結果に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御手順を備える、
    ことを特徴とする信号処理方法。
  6. 上記制御手順は、
    上記入力信号の値を上記基準クロックのタイミングで検出する信号値検出手順と、
    上記信号値検出手順によって検出した上記入力信号の値に基づき、上記基準クロックの各タイミング間での上記入力信号の傾きを検出する傾き検出手順と、
    上記信号値検出手順によって検出した上記入力信号の値に基づき、上記入力信号の極性変化点の最接近点を検出する極性変化タイミング検出手順と、を備えると共に、
    上記極性変化タイミング検出手順によって検出した上記最接近点で上記傾き検出手順によって検出した上記傾きの値に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項5に記載の信号処理方法。
  7. ディスク状記録媒体について少なくとも再生を行う再生装置であって、
    上記ディスク状記録媒体からの再生信号に同期した基準クロックを生成するための信号処理回路として、
    上記ディスク状記録媒体からの再生信号に対する上記基準クロックの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、
    上記位相誤差検出手段にて検出された位相誤差に応じて上記基準クロック生成のための発振器の発振周波数を制御することで、上記再生信号に同期した上記基準クロックを生成するようにされたクロック生成手段と、
    上記再生信号の極性変化点での傾きを検出した結果に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う制御手段と、を備える信号処理回路を少なくとも備える、
    ことを特徴とする再生装置。
  8. 上記制御手段は、
    上記再生信号の値を上記基準クロックのタイミングで検出する信号値検出手段と、
    上記信号値検出手段によって検出される上記再生信号の値に基づき、上記基準クロックの各タイミング間での上記再生信号の傾きを検出する傾き検出手段と、
    上記信号値検出手段によって検出される上記再生信号の値に基づき、上記再生信号の極性変化点の最接近点を検出する極性変化タイミング検出手段と、を備えると共に、
    上記極性変化タイミング検出手段にて検出された上記最接近点で上記傾き検出手段にて検出された上記傾きの値に応じて、上記位相誤差検出手段にて検出される上記位相誤差を無効とするように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項7に記載の再生装置。
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