JP2006290968A - 水性被覆組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチック基材に対して優れた密着性を有し、耐水性等に優れた被膜を形成することができる、貯蔵安定性に優れたプラスチック基材用の水性被覆組成物を提供する。
【解決手段】イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた、100℃以上のガラス転移温度を有する共重合体を含有することを特徴とするプラスチック基材用の水性被覆組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック基材用の水性被覆組成物に関する。より詳細にはイソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた共重合体を含有するプラスチック基材用の水性被覆組成物に関する。
プラスチック基材の表面の保護または美観を保つ目的で、従来、各種の溶剤型コーティング剤が一般的に用いられてきた。しかしながら、溶剤型コーティング剤は、溶剤が用いられているところから、火災や爆発の危険があり又溶剤の揮散等による環境の悪化に起因する、労働安全衛生上、健康上、公害等の数多くの問題が発生する虞があり、水系コーティング剤への移行が望まれている。
溶剤型コーティング剤の場合には、コーティング剤に含まれる溶剤がプラスチック基材を侵すところから、これによる基材とコーティング被膜との間の密着性向上作用を期待することもできるが、水系コーティング剤の場合には、水がこのような作用を有していないため、一般に、コーティング被膜と基材との密着性は充分でなかった。特に、プラスチック基材に対しては、水系コーティング剤は、コーティング被膜と基材との密着性が充分でなかった。
特許文献1には、コア層及びシェル層の2層を有し、コア層が50〜130℃のガラス転移温度を有するアクリル樹脂、シェル層がウレタン樹脂からなる多層構造エマルションを結合材とする水性一液塗床材組成物が記載されている。この組成物で施工すると表面硬度、耐溶剤性に優れた塗工層が得られることが開示されている。
しかしながら、従来技術においては、被膜硬度を上げることにより、耐アルコール性や耐薬品性に対して優れた被膜を形成させることが可能であるが、コア層をアクリル樹脂で形成しシェル層をウレタン樹脂で形成したものでは、アクリル樹脂の特性である表面硬度、ウレタン樹脂の特性である耐溶剤性を十分発揮させることができず、さらに表面硬度や耐溶剤性を改善することが要望されていた。
特開2004−300286号公報
本発明は上記従来技術の現状に鑑みなされたものであり、プラスチック基材に対して密着性を有する、耐水性、耐アルコール性、耐薬品性に優れた被膜を形成することができ、さらに貯蔵安定性にも優れたプラスチック基材用の水性被覆組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、イソボルニルメタアクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られる所定の温度以上のガラス転移温度を有する共重合体を含有する水性被覆組成物が、かかる特性を全て同時に満足しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決した本発明のプラスチック基材用の水性被覆組成物は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた、100℃以上のガラス転移温度を有する共重合体を含有することを特徴とする。
本発明に係るプラスチック基材用の水性被覆組成物は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られる100℃以上のガラス転移温度を有する共重合体を含有するため、プラスチック基材に対して密着性に優れ、耐水性、耐アルコール性、耐薬品性に優れた被膜を形成することができると共に、貯蔵安定性にも優れている。
本発明のプラスチック基材用の水性被覆組成物は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた100℃以上のガラス転移温度を有する共重合体を含有することを特徴とする。
本発明の水性被覆組成物は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた共重合体を含有する。イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を用いることにより、乳化重合により得られる共重合体が疎水化され、この水性被覆組成物をプラスチック基材にコーティングすると、得られる被膜と基材との密着性が向上すると共に、得られる被膜の耐水性が良好になる。又、イソボルニルメタクリレートは、共重合体のガラス転移温度を容易に向上させるため、被膜の耐アルコール性や耐薬品性を改善することができる。
本発明の水性被覆組成物に含まれる共重合体は、100℃以上のガラス転移温度を有する。共重合体のガラス転移温度を100℃以上とすると、得られるコーティング被膜の耐アルコール性、耐薬品性が向上する。
なお、本発明における共重合体のガラス転移温度Tg(K)は、下記式(1)で表されるFoxの式で求められるガラス転移温度をいう。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn (1)
[式中、Wi(添字iは1からnの整数を表す)は共重合体中に存在するモノマー単位iの質量分率を、Tgiはモノマー単位iからなるホモポリマーのガラス転移温度(K)を、nは、共重合体を構成する異なるモノマー単位の種類数を示す。]
本発明に用いられる、イソボルニルメタクリレート以外の、他のビニル系モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、ビニル安息香酸等の一塩基酸または二塩基酸ビニル系モノマー、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル等の二塩基酸ビニル系モノマーのモノエステル、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、またはこれらとε―カプロラクトンとの付加物などの水酸基含有ビニル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロ−ル、ビニルアルキルケトン、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレ−ト、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−トアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオ−ル−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒド等のアルデヒド基又はカルボニル基を有するビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマーを挙げることができる。これらは、単独にてもしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明に用いられる、他のビニル系モノマーとして、ブタジエン等のジオレフィン系単量体、更に、内部架橋反応するジビニルベンゼンや、ジアリルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルシアヌレート、などの分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するビニル系モノマーを挙げることができる。これら分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するビニル系モノマーは、上記各種ビニル系モノマーと組み合わせて用いることができる。またこの場合、これらの分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するビニル系モノマーは単独にてもしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られる共重合体のガラス転移温度を100℃以上にする為には、上記イソボルニルメタクリレート以外の他のビニル系モノマーとして、メタクリレート系モノマーを使用することが好ましく、特にメチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートを用いることが好ましい。これらは必要に応じて二種以上を組み合わせて用いることができる。
また本発明の水性被覆組成物の貯蔵安定性の観点から、イソボルニルメタクリレートを必須成分とするビニル系モノマー組成物は、分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するビニル系モノマーを含むことが好ましい。二重結合を2個以上有するビニル系モノマーは、このイソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を構成する全単量体を100質量部とするとき、0.01〜20質量部とすることが好ましい。この含有量が0.1質量部以上であると塗料の貯蔵安定性が向上し、本発明の水性被覆組成物に造膜助剤を配合した場合に、凝集物が発生するような問題を回避することができる。また、二重結合を2個以上有するビニル系モノマーの含有量を20質量部以下とすると、重合安定性の低下を抑制することができる。より好ましい含有量は、0.05〜10質量部である。
二重結合を2個以上有するビニル系モノマーは必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができる。重合安定性、耐水性、配合安定性の点からエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明の水性被覆組成物においては、共重合体はエマルジョン粒子として含有されており、その重量平均粒子径は、20〜300nmの範囲であることが好ましい。これは、この重量平均粒子径を20nm以上とすることによって、各種顔料等を添加したときに固形分含有量が向上する傾向にあるためである。より好ましくは重量平均粒子径は30nm以上であり、さらに好ましくは40nm以上である。また、重量平均粒子径を300nm以下とすることによって、被膜の外観が向上する傾向にあるためである。より好ましくは重量平均粒子径は200nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。これは、重量平均粒子径を100nm以下とすることによって造膜性が向上する傾向があるためである。
さらに水性被覆組成物の貯蔵安定性、配合安定性と、これを用いて得られる被膜の耐水性とを高度に両立する為には、カルボキシル基含有ビニル系モノマーを使用してもよい。これらは必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができる。このカルボキシル基含有ビニル系モノマーの含有量は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を構成する全単量体を100質量部とするとき、0.1〜10質量部とすることが好ましい。このカルボキシル基含有ビニル系モノマーの含有量を0.1質量部以上とすると水性被覆組成物の貯蔵安定性が向上し、本発明の水性被覆組成物に顔料を添加して着色した場合においても、凝集物が発生するような問題を回避することができる。また、このカルボキシル基含有ビニル系モノマーの含有量を10質量部以下とすると、被膜の耐水性の低下を抑制することができる。より好ましい含有量は、0.5〜8質量部である。
カルボキシル基含有ビニル系モノマーとしては、水性被覆組成物の重合安定性、配合安定性およびこれを用いて得られる被膜の耐水性の点から(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸を用いることが好ましい。
また本発明では水性被覆組成物の配合安定性や造膜性、および各種素材に対する被膜の密着性や耐水性の点から、イソボルニルメタクリレート以外のビニル系モノマーとして水酸基含有ビニル系モノマーを含むものを使用してもよい。これら水酸基含有ビニル系モノマーは必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができる。水性被覆組成物の重合安定性、配合安定性の点から、および、これを用いて形成される被膜の耐水性の点から、水酸基含有ビニル系モノマーとして2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
上記イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して水性被覆組成物を得る為には、例えば、界面活性剤の存在下、このビニル系モノマー組成物を重合系内に供給し、重合開始剤により重合を行わせる公知の方法を使用することができる。
重合開始剤としては一般的にラジカル重合に使用されるラジカル重合開始剤が使用可能であり、その具体例としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類や2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等の水溶性アゾ化合物、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は単独でも使用できるほか、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。また、重合速度の促進、および70℃以下での低温の重合が望まれるときには、例えば、重亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いると有利である。
ラジカル重合開始剤の添加量は、通常、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物全量を100質量部としたとき0.01〜10質量部とすることが好ましく、重合の進行や反応の制御を考慮に入れると、0.05〜5質量部とすることが好ましい。
上記イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた水性被覆組成物は、共重合体から形成されたエマルジョン粒子を含む。エマルジョン粒子を形成する共重合体の分子量を調整する場合には、分子量調整剤として、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。共重合体の耐候性を低下させない為に、連鎖移動剤の使用量は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物の全量を100質量部としたとき1質量部以下とすることが好ましい。
また、乳化重合時に使用する界面活性剤は、イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物の全量を100質量部としたとき、0.1〜10質量部使用することが好ましい。界面活性剤の使用量を0.1質量部以上とすることによって、得られる水性被覆組成物の重合安定性および貯蔵安定性が向上する。また、界面活性剤の使用量を10質量部以下とすることによって、耐水性を損なうことなく、水性被覆組成物に造膜助剤等を配合したときの安定性、経時的安定性等を維持することができる。より好ましい界面活性剤の使用量は、0.5〜8質量部である。
界面活性剤としては、従来より知られる各種のアニオン性、カチオン性、またはノニオン性の界面活性剤、さらには高分子乳化剤を使用することができる。また、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤を使用することができる。中でも被膜の耐候性、耐水性の点から反応性乳化剤を使用することが好ましい。
上記イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合法して得られた水性被覆組成物は、重合後、塩基性化合物を系に添加してそのpHを中性領域〜弱アルカリ性、すなわちpH6.5〜10.0程度の範囲に調整することで系の安定性を高めることができる。優れた凍結-融解安定性を付与する為にはpH8.5〜10.0に調整することが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
本発明の水性被覆組成物は、通常、固形分10〜80質量部の範囲で使用される。また、水性被覆組成物として高度な性能を発現させるために、各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤を含んでもよい。さらに、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤と混合して使用してもよい。
本発明の水性被覆組成物は、従来公知の種々の塗装方法で難塗装性プラスチック等の基材に塗布することができる。本発明の水性被覆組成物は、基材へ塗布後、具体的には、例えば、60〜90℃の温度条件で、10分〜30分間加熱することによって、密着性、耐水性、耐アルコール性、耐薬品性に優れた被膜を形成することができる。
以下に、本発明を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
「実施例1」
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水90部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら80℃に昇温した。
ついで、イソボルニルメタクリレート(IBXMAと表すことがある)50部、メチルメタクリレート(MMAと表すことがある)35部、ターシャリブチルメタクリレート(TBMAと表すことがある)10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMAと表すことがある)2部、メタクリル酸(MAAと表すことがある)3部、アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬社製)3.0部、アデカリアソープNE−20(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製、80%溶液)1部及び脱イオン水50部からなるビニル系モノマー組成物の乳化物と、過硫酸アンモニウム0.2部及び脱イオン水10部からなる重合開始剤溶液とを5時間かけて定量ポンプを用いてそれぞれ反応器内に滴下し、滴下終了後1時間同温度で、熟成を行った。
ついで、1%ジメチルアミノエタノール水溶液10部を加えながら40℃まで冷却し、pHを8.0に調整し、300メッシュのナイロンクロスでろ過し、重量平均粒子径0.065μmの共重合体粒子を含有する、固形分40%の、水性被覆組成物を得た。
「実施例2」〜「実施例4」および「比較例1」〜「比較例3」
実施例1の製造方法に準拠して、表2に記載した配合のビニル系モノマー組成物を用いた以外は実施例1と同様にして水性被覆組成物を得た。なお、表2の「ビニル系モノマー」の欄に記載の略号「AMA」はアリルメタクリレートを、「nBA」はn−ブチルアクリレーチを表す。
得られた水性被覆組成物の被膜物性を下記(1)〜(6)に記載の試験方法で評価した。得られた結果を表2に示した。
なお、本実施例、比較例においては、単量体の重合率はほぼ100%に達していることから、共重合体のガラス転移温度(Tg)は、表1に記載の各ビニルモノマーのホモポリマーのガラス転移温度の値(Tgi)を採用し、共重合体中に存在するモノマー単位iの質量分率Wiとして、重合されたときにモノマー単位iを生成するモノマーのビニル系モノマー組成物における質量分率を採用し、上記Foxの式によって求めた。得られたガラス転移温度を表2に示した。
Figure 2006290968
(1)密着性試験
得られた水性被覆組成物100部に造膜助剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル16部を加えディスパーで攪拌して水性被覆組成物被験試料を調製した。
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂と表すことがある;UMGABS(株)製:グレード名ABS−3001M)およびポリフェニレンエーテル樹脂(PPO樹脂と表すことがある;GEエンジニアリングプラスチック製:グレード名731J−802)を用いて厚みが2.5mm、150mm×50mmの樹脂成型板を成形し、この樹脂成形板に上記水性被覆組成物被験試料をスプレー塗布し70℃の不活性ガス囲気中で20分間乾燥して厚さ25mμの被膜を形成し試験片とした。次いで被膜面に、基材に達するように、縦横1mm間隔で各11本の切り込みを入れ100個の碁盤目を作り、この上にセロハン粘着テープを張りつけた後、該粘着テープを急激に剥がし、被膜の剥離状態を目視で観察し、下記の評価基準で密着性を評価した。
○;碁盤目が全く剥がれていない
△;碁盤目の1〜50個が剥がれた
×;碁盤目の51〜100個が剥がれた
(2)耐水性試験
上記密着性試験におけると同様にしてABS樹脂製の樹脂成形板に被膜を形成し試験片を作製した。得られた試験片を40℃の温水に3日間浸漬した後、被膜の外観を目視で観察し、さらに上記と同様にして密着性試験を行い、下記の評価基準で耐水性を評価した。
○;外観に全く異常がなく、碁盤目が全く剥がれていない
△;わずかにフクレ等があり、碁盤目の1〜50個が剥がれた
×;フクレ等があり、碁盤目の51〜100個が剥がれた
(3)耐アルコール性
上記密着性試験におけると同様にしてABS樹脂製の樹脂成形板に被膜を形成し試験片を作製した。得られた試験片の被膜表面をエタノールを含浸させた5枚重ねのガーゼで98kPaの圧力をかけ200往復させて擦り、被膜の擦り傷の発生状態を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
◎;擦り傷が全く認められない
○;擦り傷がわずかに認められる
△;擦り傷が認められるものの基材は全く露出していない
×;基材が露出している
(4)耐薬品性
上記密着性試験におけると同様にしてABS樹脂製の樹脂成形板に被膜を形成し試験片を作製した。得られた試験片に1%水酸化ナトリウム水溶液を約0.2ml滴下し、22°Cの温度で4時間放置後、被膜の外観を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
◎;全く異常がない
○;わずかに変色がある
△;変色、ふくれ等がある
×;基材が露出している
(5)貯蔵安定性
上記の密着試験におけると同様にして水性被覆組成物被験試料を調製した。調製した水性被覆組成物被験試料をガラス瓶に入れ、50℃の恒温水槽に放置し一週間後に粘度を測定し、また、その性状を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
◎;全く粘度上昇がない
○;10%範囲内の粘度上昇が認められた
△;一部ゲル化物が生じた
×;全体が固化した
(6)重量平均粒子径
濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製;商品名)にて水性被覆組成物中の共重合体のエマルション粒子の重量平均粒子径を測定した。
Figure 2006290968
本発明の水性被覆組成物は、優れた貯蔵安定性を有しており、また、この水性被覆組成物を塗布して得られた被膜は優れた密着性を有し、かつ耐水性、耐アルコール性、耐薬品性に優れ、プラスチック基材用の水性被覆材として広く用いられる。

Claims (1)

  1. イソボルニルメタクリレートを必須成分として含むビニル系モノマー組成物を乳化重合して得られた、100℃以上のガラス転移温度を有する共重合体を含有することを特徴とするプラスチック基材用の水性被覆組成物。
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