JP2006290938A - 摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アルミ基金属複合材製のディスクローター、ブレーキドラムなどのアルミ基金属複合材製摺動部材への錆付きの防止を図った摩擦材及びこれを用いたドラムブレーキのシューアセンブリー及びブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 基材繊維、結合材、無機充填剤及び有機充填剤を含有する摩擦材組成物を成形してなり、アルミ基金属複合材製摺動部材と組合わせて使用される摩擦材であって、摩擦材の水素イオン濃度がpH6〜10であり、電気抵抗値が300KΩ以上である摩擦材。
【選択図】 なし
【解決手段】 基材繊維、結合材、無機充填剤及び有機充填剤を含有する摩擦材組成物を成形してなり、アルミ基金属複合材製摺動部材と組合わせて使用される摩擦材であって、摩擦材の水素イオン濃度がpH6〜10であり、電気抵抗値が300KΩ以上である摩擦材。
【選択図】 なし
Description
本発明は自動車、産業用機械のブレーキ、クラッチ等に使用されるディスクブレーキパッド、ドラムブレーキシュー 、あるいはクラッチ板などでアルミ基金属複合材製摺動部材と組み合わされて使用される摩擦材に関するもので、特にアルミ基金属複合材製摺動部材への錆付きの防止を図った摩擦材に関するものである。
本発明は、またこの摩擦材を用いたドラムブレーキのシューアセンブリー及びブレーキ装置に関する。
本発明は、またこの摩擦材を用いたドラムブレーキのシューアセンブリー及びブレーキ装置に関する。
近年、環境問題への対応として自動車分野においても環境保護を考慮した開発が進められている。
その中で燃費性能に直接関係する車輌の軽量化が求められるようになってきた。また、ブレーキ周りの軽量化はサスペンションのバネ下重量の軽量化に伴う車輌の運動性能の向上にも関係する重要な要素である。
その中で燃費性能に直接関係する車輌の軽量化が求められるようになってきた。また、ブレーキ周りの軽量化はサスペンションのバネ下重量の軽量化に伴う車輌の運動性能の向上にも関係する重要な要素である。
従来、自動車のディスクブレーキ用ディスクローター及びドラムブレーキ用ブレーキドラムの材料として鋳鉄が使用されてきた。しかし、軽量化の要求に対応するために鋳鉄に比べて比重の小さいアルミ合金製のディスクロータ及びブレーキドラムを採用する動きがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−97452号公報
また、ブレーキが使用される環境は広範囲に渡り、温度、湿度、降雨、降雪、結露などに関係する気象条件、水没などの道路環境条件により、ディスクローターと摩擦材の間で錆付きが発生し固着する現象がある。更に降雪地域では融雪塩などを大量に散布する場合があるので、この地域において錆付き固着がより発生し易い環境となっている場合がある。
ディスクローター及びブレーキドラムと摩擦材の間の錆付き固着は、雨水、泥水、融雪塩を含んだ融雪水などがディスクローター及びブレーキドラムと摩擦材の間に介入した後に車輌が駐車され、長時間放置された後に発生する現象である。
この現象が起る原因は、ディスクローター、ブレーキドラムの腐食によるものであり、特にパーキング機構が装着されたディスクブレーキ、ドラムブレーキにおいてパーキングレバー又はパーキングペダルを操作した状態で長期間放置された場合に発生し易い。パーキング機構が装着されていないディスクブレーキ、ドラムブレーキにおいても発生する場合があり、錆付きによる固着特性を確保する事はブレーキの機能上において重要な要素となっている。
そこで、従来の鋳鉄用の摩擦材をセラミックスやカーボン等の無機物質の粒子や繊維等の強化材を化学的や機械的に複合化することによりアルミもしくはアルミ合金からなるマトリックスを強化した複合材であるMMC(Metal Matrix Composites)と称されるアルミ基金属複合材製のディスクローター、ブレーキドラムに使用した場合、高い錆付き固着力を生じる場合が多い。これは摩擦材成分が水溶液となった時のpHと関係があり、雨水、泥水、融雪塩を含んだ融雪水などの介入によって生成される水溶液により腐食しているものと考えられる。これは、鋳鉄とアルミの腐食機構の違いから発生するものと考えられる。
また、ディスクロータ、ブレーキドラムと摩擦材の間に塩水が介入した場合には、電気化学的腐食により腐食が促進されると考えられる。摩擦材の成分として、黒鉛、鉄、銅、真鍮、アルミ、青銅など金属類が添加される場合があり、電気伝導率の高い成分が添加されることもあるので、アルミ基金属複合材製のディスクローターと高い電気伝導性及びブレーキの系外から介入する塩水等により電気化学的腐食を発生する為と考えられる。
本発明は、上述した従来技術の難点を解消し、特にアルミ基金属複合材製摺動部材への錆付きの防止を図った摩擦材及びこれを用いたドラムブレーキのシューアセンブリー及びブレーキ装置を提供することを目的とする。
本発明は、基材繊維、結合材、無機充填剤及び有機充填剤を含有する摩擦材組成物を成形してなり、アルミ基金属複合材製摺動部材と組合わせて使用される摩擦材であって、摩擦材の水素イオン濃度がpH6〜10であり、電気抵抗値が300KΩ以上であることを特徴とする摩擦材に関する。
本発明により、特にアルミ基金属複合材製摺動部材への錆付きの防止を図った摩擦材、これを用いたドラムブレーキのシューアセンブリー及びブレーキ装置を提供することができる。
本発明は、特定な範囲の水素イオン濃度及び電気抵抗値を有する新規な摩擦材を用いることにより、アルミ基金属複合材製摺動部材への錆付きの防止したものである。
アルミ基金属複合材製摺動部材としてはAl2O3、SiC、AlN等の粉末強化材又はAl2O3、アルミナシリカ、カーボン、アラミド、ボロン等の繊維強化材で補強されたアルミ合金等が挙げられる。
本発明の摩擦材の成形に用いられる基材繊維としては、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、ロックウール、セラミック繊維、カーボン繊維などの無機繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、アクリル繊維などの無機繊維、スチール繊維、銅繊維、真鍮繊維などの金属繊維等が挙げられる。
これらの繊維基材の配合量は摩擦材の配合組成に対して2〜20体積%であることが好ましい。
これらの繊維基材の配合量は摩擦材の配合組成に対して2〜20体積%であることが好ましい。
本発明の摩擦材の成形に用いられる結合材としては、フェノール樹脂(ストレートフェノール樹脂、エラストマー等による各種変性フェノール樹脂)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
これらの結合材の配合量は摩擦材の配合組成に対して10〜30体積%であることが好ましい。
これらの結合材の配合量は摩擦材の配合組成に対して10〜30体積%であることが好ましい。
本発明の摩擦材の成形に用いられる無機充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、氷晶石、バーミキュライト、アルミナ、酸化マグネシウム、マイカ、ウォラストナイト、カオリンクレー、ケイソウ土等が挙げられる。
これらの無機充填剤の配合量は摩擦材の配合組成に対して40〜70体積%であることが好ましい。
また、黒鉛、石油コークス、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を摩擦材の配合組成に対して0.1〜30体積%、鉄粉、銅粉、アルミニウム粉末、などの金属粉を摩擦材の配合組成に対して0.1〜4体積%、電気抵抗値が300KΩ以上になるような範囲で含有させることが好ましい。黒鉛、石油コークスは0.1〜6体積%とすることが好ましい。
これらの無機充填剤の配合量は摩擦材の配合組成に対して40〜70体積%であることが好ましい。
また、黒鉛、石油コークス、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を摩擦材の配合組成に対して0.1〜30体積%、鉄粉、銅粉、アルミニウム粉末、などの金属粉を摩擦材の配合組成に対して0.1〜4体積%、電気抵抗値が300KΩ以上になるような範囲で含有させることが好ましい。黒鉛、石油コークスは0.1〜6体積%とすることが好ましい。
本発明の摩擦材の成形に用いられる有機充填剤としては、カシューダスト、NBR粉末、等が挙げられる。
これらの有機充填剤の配合量は摩擦材の配合組成に対して5〜30体積%であることが好ましい。
これらの有機充填剤の配合量は摩擦材の配合組成に対して5〜30体積%であることが好ましい。
本発明においては、摩擦材の水素イオン濃度をpH6〜10、電気抵抗値を300KΩ以上とする。
pHが6未満であったり、pHが10を超えると固着特性が低下する。
また、電気抵抗値が300KΩ未満だと、固着特性が低下する。
摩擦材のpHの測定は、JASO C458−86により行う。また電気抵抗値の測定は、摩擦材から切り出した25×25×5mmの試験片を5%塩水に1分間浸漬後、取り出した試験片に付着した水滴をろ紙で完全に除去し測定することにより行う。
pHが6未満であったり、pHが10を超えると固着特性が低下する。
また、電気抵抗値が300KΩ未満だと、固着特性が低下する。
摩擦材のpHの測定は、JASO C458−86により行う。また電気抵抗値の測定は、摩擦材から切り出した25×25×5mmの試験片を5%塩水に1分間浸漬後、取り出した試験片に付着した水滴をろ紙で完全に除去し測定することにより行う。
摩擦材のpHを上記のような範囲にするためには無機充填剤として、pHが12以上の無機充填剤、例えば水酸化カルシウムの配合量を1体積%以下とすることが好ましい。また、pHが4以下の固体潤滑剤、例えば二硫化モリブデンを15〜25体積%配合することが好ましい。またカシューダストとしてpH2〜6の酸性カシューダスト5〜15体積%配合することが好ましい。
上記の摩擦材組成物を用いて摩擦材を製造するには、繊維基材、結合材、有機充填材及び無機充填材を含有する摩擦材組成物をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて均一に混合して混合物を得る。この混合物を予備成形用金型内で成形温度は常温〜120℃、成形圧力50〜500MPaで時間1〜60秒で予備成形し、予備成形物を得る。その後、この予備成形物を熱成型用金型内で成形温度130〜200℃、成形圧力5〜100MPaで1〜15分間成形する。
次に得られた成形品を140〜250℃の温度で1〜24時間加熱処理を行うことにより摩擦材が得られる。
この摩擦材を必要に応じてライニング材に研磨加工処理を施してブレーキライニング単体が得られる。尚、自動車用のドラムブレーキのシューアセンブリーを製造する場合には、ブレーキライニング単体の内周側に接着剤を塗布乾燥したものを、予め脱脂洗浄、化成処理、プライマー処理を適宜施したシューコンプリート上に載せ、接着治具等を用いて0.3〜3MPa、180〜250℃で加熱加圧して接着する。接着して得られたシューアンドライニングの外周研磨を施して完成品が得られる。
次に得られた成形品を140〜250℃の温度で1〜24時間加熱処理を行うことにより摩擦材が得られる。
この摩擦材を必要に応じてライニング材に研磨加工処理を施してブレーキライニング単体が得られる。尚、自動車用のドラムブレーキのシューアセンブリーを製造する場合には、ブレーキライニング単体の内周側に接着剤を塗布乾燥したものを、予め脱脂洗浄、化成処理、プライマー処理を適宜施したシューコンプリート上に載せ、接着治具等を用いて0.3〜3MPa、180〜250℃で加熱加圧して接着する。接着して得られたシューアンドライニングの外周研磨を施して完成品が得られる。
本発明の摩擦材は、上記ドラムブレーキのシューアセンブリーに限らず、ディスクブレーキバッド、クラッチ、保持用摩擦板等アルミ基金属複合材製の摺動部材と組み合わせて使用される摺動装置に用いられる。
[実施例1〜5、比較例6〜10]
表1、表2に示される摩擦材組成物(表中の数字は体積%を表す。)をレディゲミキサーで混合し、混合物を常温、成形圧力10MPaで5秒間予備成形し、35×8×220mmの予備成形物を得、これを熱成型用金型内で成形温度150℃、成形圧力5MPaで、5分間成形して試験片を得た。
この試験片を用いて、実施例及び比較例における錆付き固着性の評価は、JIS D4414 5%塩水浸漬試験に基づき、ブレーキドラム相当の材質としてアルミ基金属複合材製の材質を使用して実施した。
また厳しく評価する目的で、JIS D4414に準ずるが塩水濃度を上げた25%塩水を用いた浸漬試験評価を追加した。
25%塩水を評価に適用した狙いは、降雪地域で大量の塩を散布する場合があるので、融解した際の水溜りは高濃度の塩水となる。また、この高濃度塩水がブレーキドラム系内に浸漬し、その後塩水が蒸発した場合には更に高濃度となって固着現象を促進させる場合があるので厳しい条件を追加した。
実施例及び比較例で製造された摩擦材の水素イオン濃度 pHの測定はJASO C458-86を用いて測定した。
評価判定基準は、鋳鉄製ドラムで十分に実績のある錆付き固着力とした。
表1、表2に示される摩擦材組成物(表中の数字は体積%を表す。)をレディゲミキサーで混合し、混合物を常温、成形圧力10MPaで5秒間予備成形し、35×8×220mmの予備成形物を得、これを熱成型用金型内で成形温度150℃、成形圧力5MPaで、5分間成形して試験片を得た。
この試験片を用いて、実施例及び比較例における錆付き固着性の評価は、JIS D4414 5%塩水浸漬試験に基づき、ブレーキドラム相当の材質としてアルミ基金属複合材製の材質を使用して実施した。
また厳しく評価する目的で、JIS D4414に準ずるが塩水濃度を上げた25%塩水を用いた浸漬試験評価を追加した。
25%塩水を評価に適用した狙いは、降雪地域で大量の塩を散布する場合があるので、融解した際の水溜りは高濃度の塩水となる。また、この高濃度塩水がブレーキドラム系内に浸漬し、その後塩水が蒸発した場合には更に高濃度となって固着現象を促進させる場合があるので厳しい条件を追加した。
実施例及び比較例で製造された摩擦材の水素イオン濃度 pHの測定はJASO C458-86を用いて測定した。
評価判定基準は、鋳鉄製ドラムで十分に実績のある錆付き固着力とした。
[実施例4、11、12、比較例13〜20]
実施例及び比較例における錆付き固着性の評価は、[実施例1]と同様にJIS D4414 5%塩水浸漬試験及びJIS D4414に順ずるが塩水濃度を上げた25%塩水を用いた浸漬試験評価に基づき実施した。
実施例及び比較例で製造された摩擦材の電気抵抗値の測定は、摩擦材から切り出した25×25×5mmの試験片を5%塩水に1分間浸漬後、取り出した試験片に付着した水滴をろ紙で完全に除去し、HIOKI製アナログマルチメーター(テスター)を用いて測定した。
評価判定基準は、鋳鉄製ドラムで十分に実績のある錆付き固着力とした。
〔JIS D4414適用時の目標判定基準〕
○:50KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当以上)
△:50KPa超〜100KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当)
×:100KPa以上
〔25%塩水浸漬試験における目標判定基準〕
○:250KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当以上)
△:250KPa超〜300KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当)
×:300KPa以上
表1〜4から分かるように本発明の摩擦材は固着特性に優れている。
実施例及び比較例における錆付き固着性の評価は、[実施例1]と同様にJIS D4414 5%塩水浸漬試験及びJIS D4414に順ずるが塩水濃度を上げた25%塩水を用いた浸漬試験評価に基づき実施した。
実施例及び比較例で製造された摩擦材の電気抵抗値の測定は、摩擦材から切り出した25×25×5mmの試験片を5%塩水に1分間浸漬後、取り出した試験片に付着した水滴をろ紙で完全に除去し、HIOKI製アナログマルチメーター(テスター)を用いて測定した。
評価判定基準は、鋳鉄製ドラムで十分に実績のある錆付き固着力とした。
〔JIS D4414適用時の目標判定基準〕
○:50KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当以上)
△:50KPa超〜100KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当)
×:100KPa以上
〔25%塩水浸漬試験における目標判定基準〕
○:250KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当以上)
△:250KPa超〜300KPa以下 (鋳鉄用市場実績材相当)
×:300KPa以上
Claims (4)
- 基材繊維、結合材、無機充填剤及び有機充填剤を含有する摩擦材組成物を成形してなり、アルミ基金属複合材製摺動部材と組合わせて使用される摩擦材であって、摩擦材の水素イオン濃度がpH6〜10であり、電気抵抗値が300KΩ以上であることを特徴とする摩擦材。
- アルミ基金属複合材製摺動部材がディスクローター又はブレーキドラムである請求項1記載の摩擦材。
- 請求項1記載の摩擦材からなるブレーキライニング単体をシューコンプリート上に接着してなるドラムブレーキのシューアセンブリー。
- 請求項3記載のシューアセンブリーとアルミ基金属複合材製ブレーキドラムとからなるブレーキ装置。
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