JP2006290748A - 花芽分化誘導剤および花芽分化誘導方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 花芽誘導処理期間を短縮するとともに、定植後の窒素レベルの高い状態でも花芽分化を誘導するとともに花芽分化を促進して連続収穫および早期収穫を可能にする。
【解決手段】 植物が養分吸収に要するエネルギの貯蔵と伝達に寄与するアデノシン三リン酸とプロリンとリン酸とを含む液肥(ATP液肥)をイチゴの苗に施して花芽分化を誘導する。株冷処理開始前日および株冷処理中の2回の陽光処理日にATP液肥を希釈して灌注又は葉面上から散布する。頂果房が花芽分化したクラウン径11.0mm程度の大苗を本田に定植する。定植日前ならびに花芽分化予定日のほぼ1週間前と2週間前にATP液肥を希釈して灌注又は葉面上から散布する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、花芽分化誘導剤および花芽分化誘導方法に関するものであり、特に、植物の体内養分を増大させて、花芽分化後の花芽形成、花芽成熟、および果実肥大等による株への着花(果)負担を軽減するのに好適な花芽分化誘導剤および該誘導剤を用いた花芽分化誘導方法に関する。
現在、国内で促成栽培されているイチゴは、そのほとんどが1年の一時期でのみ花芽分化の条件が満たされる一季成り性の品種であるので、促成栽培するためには花芽分化誘導が不可欠である。本来、一季成り性の品種は短日性であり、苗を花芽分化させるには、低温・短日・低窒素の3条件が満たされなければならない。花芽誘導技術として、株冷処理(夏季低温暗黒処理)と夜冷短日処理(夜冷育苗)とが知られる。低窒素の苗を一定期間株冷処理または夜冷短日処理することにより、上記3条件が満たされて頂果房(1番果房)の花芽が誘導される。
株冷処理の主流である3型処理(処理開始日による呼称)では、ポットに植えた苗を大型冷蔵庫に入庫し、21日目に出庫する。この間、庫内温度は最初の3日間は10°Cに保持され、4日目以降は16°Cに保持される。また、入庫1週間目と2週間目頃に出庫させて陽にあてる陽光処理をする。陽光処理の際にポット内の灌水を行い、土壌の乾燥を防ぐ。陽光処理によって苗の養分を増加させ、長時間暗黒の下に置かれていた苗の呼吸作用による消耗を最小限にする。
夜冷短日処理の例を挙げる。夜冷短日処理ではパイプハウス内に苗を並べる。パイプハウスは開閉可能なカバーで100%遮光される。夕方にはパイプハウスを閉めて暗黒にし、かつ冷房を行う。朝、冷房を止めて遮光カバーを取り払う。このような遮光カバーの開閉作業を花芽分化が確認されるまで毎日繰り返す。
さらに、上記花芽誘導技術のほか、一定期間窒素を中断した苗を苗床に並べたまま管理する普通育苗が知られる。普通育苗では花芽分化の前進化または早進化のために寒冷紗被覆により苗の温度低下が図られる。
株冷処理や夜冷短日処理を伴うイチゴに関する従来の栽培方法は、例えば、福岡県発行の、平成15年度版「あまおう」栽培の手引きに記載されている。
また、特開平8−266157号公報には、鎖式のカルボン酸およびその誘導体からなる群から選ばれた化合物を、液肥としてイチゴの低温処理と並行して使用する方法が開示されている。
特開平8−266157号公報 福岡県発行の、平成15年度版「あまおう」栽培の手引き
株冷処理や夜冷短日処理は、いずれも長期間窒素の供給を中断するうえ、長い処理日数を要するためにエネルギ不足となり、苗の老化および耐病性の低下、並びに花芽分化のばらつきや芽無し苗等の発生が避けられない。陽光処理によっても苗の消耗を回復することはできない。また、普通育苗で用いられる寒冷紗の効果は大して期待できない。
さらに、上記花芽誘導技術はいずれも頂果房にしか適用できない。品種によっては圃場(本田)に定植後の2番果房の花芽分化は遅れ、収穫が長期間途切れることが多い。連続して花芽分化させるためには、本田の元肥(窒素)を控えて苗を小苗にすればよい。しかし、株が小さい小苗では着果負担によるエネルギ不足から展開が遅れ、花芽分化が早いにもかかわらず、出蕾が遅れて果房間が空くために収穫間隔が長くなってしまうという問題がある。
イチゴ栽培では、花芽分化が1日遅れると収穫は5日程度遅れるので、できるだけ早く花芽分化させて収穫開始を早めることが望ましいが、約1ヶ月後の2番果房の花芽分化時期の花芽分化の条件を考慮すると極端な促成栽培は適当でない。
本発明の目的は、頂果房および2番果房以降のいずれにおいても花芽分化誘導効果が大きく、かつ着果負担によるエネルギ不足を低減することができる花芽分化誘導剤および花芽分化誘導方法を提供することにある。
本発明の花芽分化誘導剤は、アデノシン三リン酸とプロリンとリン酸とを含む点に第1の特徴がある。特に、アデノシン三リン酸が主成分である点に第2の特徴がある。
また、本発明の花芽分化誘導方法は、アデノシン三リン酸とプロリンとリン酸とを含む前記花芽分化誘導剤を、株冷処理など花芽分化誘導処理中および/または定植後に、それぞれ少なくとも2回、数日以上の間隔をおいて灌注または葉面散布等により施肥する点に第3の特徴がある。
植物が肥料から養分を吸収し、その効果を発揮するまでのエネルギは光合成で作られた貯蔵糖類の分解によって得られる。第1および第2の特徴を有する本発明によれば、アデノシン三リン酸を主成分とする花芽分化誘導剤が前記エネルギの貯蔵と伝達に貢献して、窒素中断後の苗のエネルギ不足を解消することができる。
したがって、第3の特徴を有する本発明により、前記花芽分化誘導剤を花芽分化誘導処理中に使用すれば、例えば、イチゴの半目分化条件である低温・短日・低窒素の三つが十分に満たされていない環境下でも花芽分化誘導されるし、十分な条件下では花芽分化誘導が促進され、処理日数を削減することができる。また、前記花芽分化誘導剤を定植後に使用すれば、着花(果)による株への負担が軽減されるので、本田の窒素レベルを低くすることなく、花芽分化が誘導・促進されて果房間の空きを短くして、結果的に収穫間隔を短縮することができる。
本発明の一実施形態としてのイチゴの促成栽培方法を説明する。特に、この栽培方法をイチゴの一品種である「あまおう」の促成栽培に適用する例を説明する。イチゴの促成栽培においては、育苗期間に花芽分化誘導処理を実施する。この例では、育苗の作型は株冷3型処理である。育苗の作型の呼称は地域と育苗処理開始時期とによって異なり、例えば、九州地方の株冷3型処理は8月中旬乃至下旬に花芽分化誘導のための冷蔵処理が開始される(非特許文献1参照)。
図1は、本実施形態に係るイチゴの株冷処理のタイムチャートである。まず、株冷処理のために冷蔵庫に入庫する苗に対して、入庫前日乃至3日前の間に、アデノシン三リン酸(ATP)を主成分とする液肥を灌注する前処理を行う。ATPを主成分とする液肥の詳細は後述する。なお、この液肥を従来使用される液肥と区別するため「本剤」と呼ぶ。前処理では、1本の苗を植えたポットに本剤を500倍に希釈して灌注する。灌注量は、3.5寸ポットの場合、100ml程度が望ましい。灌注に代えて、ポット全体を(土壌表面が浸かる深さまで)本剤の希釈液に10秒間程度浸してもよい。また、葉面上から十分に本剤の希釈液を灌水してもよい。
前処理を行った苗は、冷蔵庫に入庫して株冷処理を実施する。この例では、平成16年8月19日に苗を冷蔵庫に入庫して株冷処理を開始した。株冷処理開始時の冷蔵庫内の設定温度は10°とした。比較のための、本剤を灌注しない苗(対照苗)も冷蔵庫に入庫した。翌日8月20日から3日間、冷蔵庫の設定温度は10°Cに保持した。入庫から4日目である8月23日に冷蔵庫の設定温度は16°Cに変更した。入庫から6日目である8月25日と入庫から12日目である8月31日には、中出しを行い、苗を朝方に出庫して日に当て、夕方に入庫する陽光処理を行う。このとき、乾燥したポットの土壌を潤すために、本剤の500倍希釈液を株元の土壌に灌注、または葉面上から灌水する。対照苗には、本剤を使用せずに水を灌注または灌水を行う。なお、2回目の中出しにおける本剤の使用は省略することができる。前処理で本剤を使用しており、株冷処理において少なくとも2回本剤を使用すれば花芽誘導効果は得られるからである。
通常、入庫から3週間目が苗の出庫予定日であり、この例では、9月9日がその3週間目にあたるので、その前日に実体顕微鏡を使った検鏡により花芽分化の確認作業を行った。さらに、本剤による花芽分化誘導効果により花芽が早期に分化すると予想されるので、入庫から2週間目である9月2日と、入庫から17日目である9月5日に検鏡を行い、花芽分化の確認作業を行う。検鏡は複数のサンプルを選んで行われる。具体的には、9月2日の検鏡では10000本の苗から3本を無作為に、その後の検鏡でもそれぞれ3本ずつ無作為にサンプルを選んだ。
この株冷処理における検鏡の結果は図1の下欄に示す。ここに示すように、本剤を灌注および/もしくは灌水した苗(本発明苗)は、9月2日の第1回検鏡で花芽の肥厚が認められ、第2回目の9月5日の第2回検鏡では花芽分化が認められた。一方、対照苗に関しては、第1回および第2回検鏡では、未分化の状態であり、9月8日の第3回検鏡でようやく肥厚が認められた。
複数の検鏡サンプルのすべてが花芽分化に至っていれば、これらのサンプルと同日に冷蔵庫に入庫された苗はすべて本田へ定植される。検鏡サンプルのうち一つでも花芽分化に至っていなければ、後日(例えば翌日)、再度検鏡を行う。こうして頂果房の花芽分化が認められた大苗(クラウン径11mm程度の苗)を本田に定植する。元肥および追肥の使用やジベレリン等を含む本田管理は従来通り行うことができる。
本剤は、夜冷短日処理や寒冷紗を用いる普通育苗で花芽分化誘導を行う場合にも同様に使用できる。つまり普通育苗中に2回、それぞれ本剤500倍希釈液を1ポット当たり100ml灌注もしくは葉面上に灌水する。そして、本剤を使用した普通育苗においても同様に花芽分化誘導・促進効果が認められた。例えば、本剤を使用して普通育苗した大苗を本田に定植した結果、定植後34日で開花し、その3日後には花数はかなり増大していることが観察され、さらに定植から59日目には収穫開始可能な状態になった。これに対して、普通育苗された対照苗は、定植後34日では出蕾しておらず、その後も花数は少なく、定植から59日目時点では頂果の着色に至っていない状態であった。
次に、定植後の2番果房以降の花芽分化誘導について説明する。上述の実施形態では、本剤を頂果房の花芽分化誘導剤として使用した例を示した。さらに本剤は2番果房以降の花芽分化誘導剤として使用できる。
効果の確認を容易にするため高設ベンチを本田として使用し、株冷処理により頂果房が花芽分化した大苗を栽培する例により説明する。大苗としてクラウン径11.0〜11.5mmの灌注処理苗、葉面散布処理苗、および対照苗をそれぞれ60本無作為に抽出した。なお、通常、本田の元肥の窒素成分は10アール当たり8〜12kgが標準であるが、花芽誘導の効果確認の正確のため、花芽誘導の効果が得られにくい条件として本田10アール当たり25kg換算で元肥を施肥し、窒素レベルを上げた。定植前日および定植当日には液肥(窒素7%、リン4%、カリウム5%)を500倍に希釈して苗に灌注した。
まず、2番果房の花芽分化誘導に関しては、頂果房の花芽分化日から30日目を2番果房の花芽分化予定日として設定する。そして、この花芽分化予定日から1週間前と2週間前との2回、本剤の500倍希釈液を1株あたり400ml程度株元へ灌注する。この灌注に代えて、葉面上へ本剤250希釈液を150ml程度散布するのでもよい。
2番果房に関して、複数回の検鏡の結果、定植後30日目の検鏡で灌注処理苗に花芽分化が認められた。このとき内葉数は5枚であった。つまり、頂果房と2番果房との間の葉芽を1枚ずつ剥がしていき、5枚剥がしたところで花芽が観察された。頂果房と2番果房との間の葉が5枚より少ないと、葉から得られるエネルギが不足して着果負担が大きくなり、5枚より多いと頂果房の収穫と2番果房の収穫との間が空くことが知られている。通常、1枚の新葉が展開するのに7日乃至10日を要するので、これに従って収穫の間隔も延びる。したがって、本実施形態では理想的な内葉数で花芽分化したことになる。さらに2日後には葉面散布処理苗にも同様に内葉数5枚で花芽分化が認められた。一方、対照苗では、内葉数が6枚になっても未分化であった。元肥の窒素成分を通常の本田のものより多くして実験を行ったので、本剤を使用しなかった対照苗では花芽分化が遅れたものと思われる。
上述の検鏡結果は、株冷処理によって育苗したものに関するが、同様に本剤を使用した夜冷短日処理による大苗に関しても、通常より早期に2番果房が花芽分化すすことが確認された。また、普通育苗の苗に関しても、本剤を使用することにより本剤を使用しない場合と比べて10日以上早く2番果房の花芽分化が認められた。
3番果房および4番果房の花芽分化誘導も2番果房の場合と同様に、花芽分化予定日を設定して、同様の時期すなわち花芽分化予定日のほぼ1週間前と2週間前とに本剤を同量使用することにより、同様の効果を得ることができる。但し、3番果房におけるマルチング後においては、1反(10アール)あたり本剤4l(リットル)を30l(リットル)程度に希釈して液肥混入器を使用して灌水チューブで流し込む等の変形適用が行われる。また、4番果房以降に関しては一般にマルチングが行われるので、3番果房におけるマルチング後と同様に本剤が使用される。
次に、ATPを主成分とする本剤について説明する。本剤はATPとプロリンとリン酸との混合物である。本剤の効果を明らかにするため、従来の肥料が有する問題点を挙げ、さらに本剤の各成分の作用を説明する。
従来知られている肥料は、窒素、リン酸、カリの3要素の他、アミノ酸、ビタミン類、糖類、微量要素等を含むものが多い。これらの肥料から植物が養分を吸収して効果発現に至るまでには、養分吸収、生長、および化合物合成等を行うためのエネルギが必要とされる。このエネルギは光合成で作られた貯蔵糖類を分解することによって得られる。そして、このエネルギの貯蔵と伝達にはアデノシンとリン酸とが結合した化合物であるATPが関与する。しかし、植物の生育中に極端に低温や高温であったり曇天(低日照)等であったりして植物にストレスが与えられると、エネルギが貯蔵・伝達できずに肥料の効果発現に至らない場合がある。
イチゴの場合、低窒素レベルであれば、微弱な花芽誘導にも感応して花芽分化(栄養生長から生殖生長への転換)が早まるが、その後の分化は低窒素により逆に抑制されてしまう。花芽分化開始後は、分化前とは逆に窒素が良好な効果をもたらすことが知られる。しかし、従来は、検鏡によって花芽分化判定できるよりも少し前から、花芽誘導期とは違って窒素要求が高まっていることは知られていなかった。窒素レベルが低いにもかかわらず、検鏡で花芽分化開始の判定ができないことが多々あるが、これは生理的には分化が始まっているのに花芽分化と判定できる形態になっていない一種の栄養不足状態によるものであると推測される。
一方、生理的分化が始まってからの窒素の役割は、炭水化物の存在によって有効となるので、苗のC/N(炭素/窒素)率が重要である。葉芽から花芽に生理的に転換した生長点組織の、正常で旺盛な分裂は、十分な炭水化物供給と一定の高窒素レベルのもとでは、花芽原理の異常分裂を起こしやすく、品種によっては栄養生長への逆転が生じたり、花芽分化が止まって頂芽優性が崩れて帯化(奇形の一種)が強く現れたりすることもある。したがって、C/N率をいかに高く保ちながら栄養生長から生殖生長に転換させるかが重要である。
ATPは高エネルギリン酸化合物であって、細胞質に存在し、糖、アミノ酸、タンパク質、酵素の合成や転換等、生体内で進行する主要な生化学反応に必要なエネルギを供給する。つまり、栄養分の能動的な吸収、輸送に必要なエネルギ供給体として重要な生化学物質である。したがって、植物に作用して、発芽、生長、分化、開花、結実、成熟等生命現象のすべての過程における形質発現や代謝を助長するとともに、低窒素レベルの植物に対しても生長を抑えることなく生殖生長への転換を図ることができ、その後の花芽分化、開花、結実、成熟等を早める効果がある。
但し、ATP、プロリン、およびリン酸のそれぞれの単体を含む液肥、あるいはATPとプロリンまたはリン酸の組み合わせを含む液肥を、それぞれ頂果房花芽誘導時期に灌注により使用した試験では顕著な花芽誘導効果は得られなかった。なお、灌注の時期は本剤の施肥と同様に行った。
まず、プロリンの単体を3%、5%、10%、15%含有する液剤をそれぞれ500倍に希釈して1苗(3.5寸ポット)あたり100ml灌注したが、いずれも対照苗と同等の時期に頂果房の花芽分化が認められただけであった。リン酸の単体を含む液剤に関しても、同様の結果であった。
また、ATPの単体を3%、5%、10%、15%含有する液剤をそれぞれ500倍に希釈して1苗(3.5寸ポット)あたり100ml灌注した場合は、ATPを3%含有する液剤では花芽分化誘導効果は認められなかった。しかし、ATPをそれぞれ5%、10%、15%含有する液剤では、対照苗に対して2乃至3日早く花芽が確認され、花芽分化誘導効果がわずかながら認められた。
また、ATPとプロリンとの組み合わせ、ATPとリン酸との組み合わせでも、種々の含有割合の液剤を混合割合を変えて施肥したが顕著な効果は得られなかった。
これに対して、ATPとリン酸とプロリンとを含む本剤を使用したところ、上述のように顕著な花芽誘導効果が認められた。花芽分化誘導効果が顕著であったのは、ATPの割合(重量割合)が50%以上70%未満の場合であった。ATPが50%未満になると花芽分化誘導効果は若干低減する。例えば、ATPが50%以上の場合よりも花芽分化が2日乃至4日程度遅れる。なお、プロリンとリン酸の割合は同等でよいが、プロリンをリン酸より多くする方が、プロリンをリン酸より少なくするよりも花芽分化誘導効果は大きいし、花芽分化後の展葉、出蕾が早まり花数も増加する。
ATPとプロリンとリン酸の成分割合が、重量割合でそれぞれ54%、24%、22%とした場合に最も効果が顕著であった。しかし、要は、上述のとおり、ATPの割合を最も大きくしてあれば、割合を適宜変更することはできる。なお、希釈前の本剤を構成するATP、プロリン、リン酸とはいずれも液剤であり、各液剤中のATP、プロリン、リン酸の含有割合は、それぞれ約7%、約3%、約3%(いずれも重量割合)である。
上述のように、本実施形態によれば、ATPとプロリンとリン酸と含む薬剤を、頂果房と2番果房以降の花芽分化にそれぞれ使用して花芽分化誘導と開花促進に顕著な効果を挙げることができる。本発明の製剤は希釈して使用するが、その希釈倍率は上述の例に限らず、適宜変更できる。また、使用回数は各果房間でほぼ1週間毎の2回が最適であるが、適宜追加使用してもよい。
本剤を花芽誘導処理中および定植後の双方で使用するのが最もよいが、それぞれの時期に使用しても効果は得られる。また、花芽誘導処理開始前日および定植前日の本剤の使用は、必ずしも前日でなくても、花芽誘導処理開始および定植日に先だって行われればよい。また、花芽誘導処理開始前日および定植前日の本剤の使用は必須ではなく、選択的であってもよい。
また、本実施形態は、イチゴの品種「あまおう」に適用した例であるが、本発明は、この品種以外のイチゴにも適用できるし、イチゴ以外の植物にも適用できる。要は、ATPとプロリンとリン酸を含む薬剤であれば、この薬剤を各種植物の花芽分化誘導や開花促進に使用して効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るイチゴの株冷処理のタイムチャートである。

Claims (4)

  1. アデノシン三リン酸とプロリンとリン酸とを含む花芽分化誘導剤。
  2. アデノシン三リン酸とプロリンとリン酸のうち、アデノシン三リン酸の重量割合が最も大きいことを特徴とする請求項1記載の花芽分化誘導剤。
  3. 頂果房の花芽分化誘導処理期間に、少なくとも数日の間隔をおいて少なくとも2回、請求項1記載の花芽分化誘導剤を液肥として施肥することを特徴とする花芽分化誘導方法。
  4. 頂果房が花芽分化した苗を定植後、各番果房の花芽分化予定日間に、それぞれ少なくとも数日の間隔をおいて少なくとも2回、請求項1記載の花芽分化誘導剤を液肥として施肥することを特徴とする花芽分化誘導方法。
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