JP2006289847A - 圧縮木材成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧縮木材成形品において、表面が傷つきにくく、かつ耐衝撃性も備えることができるようにする。
【解決手段】 木材を3次元形状の板状またはシェル状に圧縮成形した木材成形品の肉厚方向に内表面1A、外表面1Bおよびその近傍に相対的に高密度の高圧縮部10a、10cが形成され、肉厚方向の中間部に相対的に低密度の低圧縮部10bを形成する。そして、木材の未圧縮気乾状態の密度をρ、木材の木質繊維間の空隙が消失したときの密度をρmax(ただし、ρmax>2・ρ)とするときに、肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が2・ρとρmaxとの間にあり、肉厚方向の中間部の密度がρより高く前記表面側の密度より低いようにする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、圧縮木材成形品に関する。
従来、木材からブランク部材を切り出し、金型を用いて圧縮成形することにより3次元形状を有する板状またはシェル状の圧縮木材成形品を形成することが知られている。
例えば、特許文献1には、木材の細胞が略潰れて圧縮により急激に密度が向上される領域まで圧縮して比重0.8以上となるように圧縮された圧密木材、および辺材部が線虫などに食われて低密化した木材を圧縮することにより密度が均一化された圧密木材が記載されている。
また、特許文献2には、円錐状または円錐台状のキャビティを有する外型と、円錐状の内型とを用いて、均一厚みを有する高密度の管状に圧縮成形した、高級家具や木管楽器などに用いる管状圧縮木材が記載されている。
また、特許文献3には、表裏両面に加熱圧縮により圧密化された硬質層が形成され、その内側に非熱圧縮により圧密化した後、吸湿膨張された調湿復元層が形成され中心層には圧密化されない軟質層を有する圧縮木質材が記載されている。この圧縮木質材は、圧縮率が5〜20%、より好ましくは8〜18%となるものであり、また表面の比重が圧密化処理前の比重の1.6〜2倍となっているものである。
特開2001−129805号公報(第4−7頁、図1−3) 特開2000−263515号公報(第2−4頁、図1−3) 特許第3106140号公報(第2−3頁、図1)
しかしながら、上記のような従来の圧縮木材成形品には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、木材が均一密度となるように圧縮するため、合成樹脂や金属などの工業材料に比較的近い性質を備えることができるものの、木材が持っている特性が失われやすいという問題がある。特に木材の細胞が略潰れたり木質繊維間の空隙が消失したりするまで圧縮して高密度化すると、高硬度ではあるが非常に脆くなり、衝撃力が外力として加わると割れやすくなるという問題がある。そのため、例えば衝撃的な外力を受けやすい携帯用機器、例えばカメラ、携帯電話、リモコン、モバイルパソコンなどの外装体や、例えばメガネケース、筆記具ケースなどの容器などに用いることができないという問題がある。
また特許文献2に記載の技術では、均一肉厚を有する高密度の管状圧縮木材とするので、特許文献1の場合と同様に、割れやすく耐久性に乏しいものとなり、丁寧に取り扱われる高級家具や木管楽器には使用できるものの、外力を受けやすい一般的な外装体や容器に用いることができないという問題がある。
また特許文献3に記載の技術では、中心層に未圧縮の軟質層を残すので表面の硬質層の密度を十分高密度化することができないため、表面の強度が向上できないという問題がある。また、外力を受けたときに軟質層が変形しやすいため、表面の硬質層が割れやすくなるという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、表面が傷つきにくく、かつ耐衝撃性も備えた圧縮木材成形品を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、木材を3次元形状の板状またはシェル状に圧縮成形した圧縮木材成形品であって、
前記木材の未圧縮気乾状態の密度をρ、前記木材の木質繊維間の空隙が消失したときの密度をρmax(ただし、ρmax>2・ρ)とするときに、肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が2・ρとρmaxとの間にあり、肉厚方向の中間部の密度がρより高く前記表面側の密度より低い構成とする。
この発明によれば、肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が2・ρとρmaxとの間にあって相対的に高密度となり、それらに挟まれた中間部では密度がρより高く、表面側の密度よりも相対的に低密度とされる。そのため、いずれの表面の密度もρmaxに達しない程度の高密度となるので、ρmax以上になって脆くなることなしに表面硬度および強度を向上することができ、外力を受けても表面に傷などがつきにくくなる。また、衝撃的な外力を受ける場合、相対的に低密度とされることで柔軟性を備える中間部によって高密度の表面側が支持されるので衝撃吸収性が向上される。したがって、肉厚方向に均一な高密度を有する場合に比べて、割れ、欠けなどの脆性破壊を低減することができる。
また、圧縮木材成形品の断面が肉厚方向に沿って、相対的に高密度の表面部分により相対的に低密度の中間部が挟まれるサンドイッチ構造が形成されるため、表面硬度が高い割には曲げ変形が容易となり、靱性を向上することができる。
表面側の密度が2・ρ以下であると、外力による傷などが発生しやすくなる。
本明細書では、木材の圧縮前の密度に関しては、特に断らない限り、含水率15%の木材の所定領域の質量を木材の木質繊維間の空隙を含んだ体積で割った見かけ上の密度、すなわち気乾密度の意味で用いる。
また、木材中の年輪などの微視的な密度の不均一性を有する部分では、その不均一性を平均化できる程度に巨視的な領域で密度を算出するものとする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の圧縮木材成形品において、前記肉厚方向の中間部の密度が、前記表面側から肉厚方向の中央部に向けて漸次減少している構成とする。
この発明によれば、肉厚方向の密度が表面側から漸次減少されることで、外力により発生する内部応力が肉厚方向に分散されやすくなるので、良好な靭性を備えることができる。また、密度が肉厚方向に急激に変化する界面が存在しないため、内部応力に対する歪みの顕著な差に起因する、界面での細胞壁の破壊といった不具合を防止することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の圧縮木材成形品において、前記肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が略同一とされた構成とする。
この発明によれば、表面側の密度が略同一とされるので、肉厚方向に沿う断面の密度分布が肉厚の中央に対して略対称となるそのため、肉厚中心に対して対称な曲げ弾性が得られる。その結果、外力に対して方向依存性が少ない靱性を備えることができる。
本発明の圧縮木材成形品によれば、肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が相対的に高密度とされ、それらに挟まれた中間部に相対的に低密度の柔軟性に富む部分が形成されるため、表面が傷つきにくく、かつ耐衝撃性も向上することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品について説明するための斜視説明図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図2のB部の模式的な拡大断面図である。図4は、図3のC−C線に沿う断面での密度分布を示す模式的なグラフである。
本実施形態の圧縮木材成形品は、木材を圧縮成形することにより薄肉に形成された3次元形状、例えば函、筐体、容器、外装体などの板状またはシェル状の形状を有する構造体である。そして、手に持って使用したり取り扱いがラフになったりするために衝撃的な外力を受けやすい携帯用機器、例えばカメラ、携帯電話、リモコン、モバイルパソコンなどの電子機器の外装体や、メガネケース、筆記具ケースなどの容器などに好適に用いることができるものである。
3次元形状は、一方向に沿って断面形状が変化する板状またはシェル状の3次元形状であれば、どのような形状であってもよいが、以下では、簡単のため図1に示すような函状の木材成形品1を例にとって説明する。
本実施形態の木材成形品1(圧縮木材成形品)は、平面視矩形状の底部1aの周辺から垂直方向に対してわずかに斜め外側に、4つの側面部1b、1c、1d、1eが延ばされ、上方に略矩形状の上側開口部1fを有する函状の構造体であり、木材を圧縮成形して製造された部材である。本実施形態では、側面部1b、1c、1d、1eの端部には、略同一平面に整列した開口側端部1gが形成されている。以下、上側開口部1fの内側の範囲の凹部を内表面1A、内表面1Aの裏面側を外表面1Bと称する(図2参照)。
木質繊維は、側面部1b、1dに平行な方向に延びているものとする。
底部1a、側面部1b、1c、1d、1eは、それぞれの板厚が異なっていてもよいが、本実施形態では、一定厚さtであるとして説明する。また、木材成形品1の底部1aから上側開口部1fまでの高さはHである。ここで、H>tである。具体的な寸法の例としては、例えば、t=1.6mm、H=8mm、といった寸法である。この場合には、高さHは厚さtの5倍であり、函形状の深さとしては厚さtの4倍となる。つまり、木材成形品1の肉厚は、函の高さ、深さに比べて薄肉となっている。
木材成形品1は、図3に示すように、肉厚方向に圧縮率に応じた密度分布を有している。例えば、肉厚方向であるC−C線に沿う断面では、適宜の密度を境界値としたときに、内表面1A側から外表面1B側に向かって高圧縮部10a、低圧縮部10b、高圧縮部10cが形成されている。
高圧縮部10a(10c)は、肉厚方向の表面側である内表面1A(1B)上の位置t(t)から、やや内側の位置t(t)までの領域である。
低圧縮部10bは、肉厚方向の中央部である位置tを含む肉厚方向の中間部に、高圧縮部10a、10cに挟まれて形成された領域である。
木材成形品1の肉厚方向の密度分布は、図4の曲線100が示すように位置tを中心として肉厚方向に略対称な下向きに凸の曲線となっている。
そのため、高圧縮部10a(10c)では、密度分布を表す図4の曲線100から分かるように、位置t(t)から位置t(t)までの間に、密度がρからρ(ただし、ρ<ρ)まで連続的に減少している。
同じく低圧縮部10bは、位置t、tから肉厚方向の中央部である位置tに向けて、密度がρからρ(ただし、ρ>ρ>ρ)まで連続的に減少している。
ここで、ρは高圧縮部と低圧縮部との密度の境界値であり、ρは、木材成形品1を製造する未圧縮の母材の密度である。
なお、内表面1A、外表面1Bの密度ρは、それぞれの近傍の密度の極限値であり、具体的には、肉厚tに比べて十分薄い表面層(表面部)の密度である。
このように高圧縮部10a、10cは、低圧縮部10bに対する相対的な高密度部を形成している。そして、肉厚方向の密度の最大値は、内表面1A、外表面1Bを含む表面部の密度ρであり、肉厚方向の中間部(表面部以外の部分)の密度がρより低く、肉厚方向の密度の最小値は、肉厚方向の中央部の位置tにおける密度ρ(>ρ)である。
本実施形態では、密度ρは、次式を満足するものとする。
2・ρ<ρ<ρmax ・・・(1)
ここで、ρmaxは、圧縮成形により木材の木質繊維間の空隙がすべて消失したときの密度である。密度がρmaxに達すると、それ以上圧縮するには木質繊維の細胞壁を破壊していくため、圧縮力が急激に上昇するとともに、木質繊維が著しく損傷される。以下では、ρmaxを限界圧縮密度と称する。
密度ρ、ρは、木材成形品1の場所により異なっていてもよく、曲線100の形状もそれぞれ異なっていてもよい。
また、肉厚方向の密度の平均値(密度分布を肉厚方向に積分し、肉厚tで割ったもの)をρaveとすると、例えばポリカーボネートなどの合成樹脂やアルミニウムなどの代替用途に用いる場合には、ρaveは、0.8g/cm〜1.2g/cm、さらには、1g/cm〜1.2g/cmの範囲とすることが好ましい。
木材成形品1の木材の種類は特に限定されない。例えば檜、檜葉、桐、チーク、マホガニー、杉、松、桜、竹などを好適に採用することができる。
例えば、木材の種類として、檜を選択すると、ρ=0.41g/cm、ρmax=1.3g/cmであるから、式(1)から次式を満足するものである。
0.82g/cm<ρ<1.3g/cm ・・・(2)
なお、密度ρは、高圧縮部10a、10cと低圧縮部10bとを区別するための便宜的な境界値であり、適宜の値である。例えば、密度が関係する硬度や衝撃強さなど適宜の機械的特性値と対応させて、その機械的特性変化に対応した境界値とすることができる。以下では、便宜的に、ρ=(ρ+ρ)/2とする。
本実施形態の木材成形品1の製造方法について説明する。
図5(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品の各製造工程について説明するための、図1のA−A線に沿う断面視の模式的な工程説明図である。
木材成形品1の製造方法は、ブランク製造工程、圧縮成形工程、および整形工程からなる。
ブランク製造工程は、未圧縮の母材からブランク部材であるブランク平板5を切り出す工程である。
ブランク平板5は、木材成形品1の展開形状よりやや大きい略矩形状に切り出された厚さTの平板である。木質繊維の方向は、板厚方向と略直交方向に延びるようにとる。
厚さTは、木材成形品1の肉厚tと肉厚方向に形成する密度分布を考慮して決定する。
例えば、図4に示すような密度分布を形成する場合、
T=(ρave/ρ)・t ・・・(3)
とする。
圧縮成形工程は、図5(a)、(b)に示すように、コア金型30A(金型)、キャビティ金型30B(金型)を用いてブランク平板5を圧縮成形し、成形部材20を形成する工程である。
コア金型30A、キャビティ金型30Bには、それぞれ木材成形品1を成形するために3次元形状を転写するための形状に加工された金型面30a、金型面30bが形成されている。
まず、ブランク平板5を、コア金型30A、キャビティ金型30Bとの間にセットする。そして、コア金型30A、キャビティ金型30Bを一方向にスライドし、ブランク平板5を図示上下方向に圧縮して肉厚tとなるようにする(図5(a)参照)。
このとき、ブランク平板5を軟化させるために、高温高圧水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。例えば、120℃〜200℃程度の高温水蒸気を噴射しつつ圧縮を行う。また、コア金型30A、キャビティ金型30Bも同等の温度に加温することが好ましい。このような圧縮工程は、例えば、コア金型30A、キャビティ金型30Bを高圧容器内に設置するとより効率的に行うことができる。
そして、肉厚方向に図4に示すような密度分布を形成する。
肉厚方向に沿う方向の密度分布は、どのような手段により形成してもよいが、例えば、ブランク平板5の肉厚方向の表面側での圧縮が肉厚方向の中央部側での圧縮よりも容易に進行するようにすることにより実現される。
従来の圧縮成形では、肉厚方向に沿って一様な密度分布を得るため、ブランク平板5に十分時間をかけて高温高圧水蒸気を噴射し、肉厚方向に沿う方向に満遍なく軟化させる。そして、コア金型30A、キャビティ金型30Bを長時間、例えば5分程度かけて厚さtとなるまでスライドさせている。
本実施形態では、例えば、ブランク平板5を肉厚方向に沿う方向に満遍なく軟化させたあと、コア金型30A、キャビティ金型30Bを、従来の方法よりも短時間で厚さtとなるようにスライドさせる。すなわち、圧縮速度を従来よりも高速とする方法を採用することができる。
この場合、木質繊維は高温水蒸気により軟化しているので、きわめて変形しやすくなっており、急激に金型面から大きな圧縮力を受ける表面側では、内側に圧縮力が分散される前に圧縮変形が進行し、相対的に密度が高められる。このような高圧縮部が形成されると、その分だけ圧縮力が低減されるので、肉厚方向の内部側での圧力分布が緩和される。そのため、不均一な密度分布が形成される。
また、例えば次のようにしてもよい。まずブランク平板5の肉厚方向の表面側のみを軟化させ、軟化した部分のみが圧縮される程度に、厚さtより大きな厚さまで1回目の圧縮を行う。そして、その状態を保持し、表面側の1回目の圧縮状態を固定する。
次に、全体に高温高圧水蒸気を噴射して全体を再度軟化させ、2回目の圧縮を行い、厚さtの状態とする。
このようにすれば、高圧縮部10a、10cなどの層厚や分布状態が比較的制御し易くなるという利点がある。
ブランク平板5が肉厚方向に密度分布を有する厚さtの状態になるまで金型をスライドしたら、金型面の形状が転写され、固定されるまで、型締めを保持する(図5(b)参照)。このまま所定時間、型締めを保持し、水分を乾燥させてから、脱型する。
このようにして、図5(c)に示すように、厚さtで、木材成形品1に近い形状の成形部材20が得られる。
整形工程は、成形部材20の開口側の端部である切除整形部20aを切削加工により切除して開口側端部1gを形成する工程である。
すなわち、成形部材20を、例えばフライス盤などにセットし、外表面1Bからの高さH以上の範囲に延びる切除整形部20aを切削加工により切除する。
このようにして、図1に示すような木材成形品1が製造される。
次に、本実施形態の木材成形品1の作用について説明する。
木材は、木質繊維が一方向に生長して延びるとともに、同様の木質繊維が径方向にも順次形成されていき、それぞれの間に水などが導通する空隙が形成されているものである。そのため、木質繊維方向と直交する方向に圧縮力を加えると、空隙が潰れて圧縮が可能となる。そして、高温高圧の条件下で圧縮状態を永久固定しないかぎり、圧縮力を除荷すればある程度空隙が回復される。
木材の機械的性質は、木質繊維自体の性質と、木質繊維間の空隙の量、すなわち密度とに関係している。
一般に、木材を圧縮し、高密度とすれば、表面硬度が向上し、傷がつきにくくなり、耐摩耗性が向上する。一方、限界圧縮密度に近づくと硬くなるとともに脆くなり、衝撃力を受けると割れやすくなる。
本実施形態の木材成形品1では、内表面1A、外表面1Bおよびその近傍に高密度の高圧縮部10a、10cが形成され、その中間部に低圧縮部10bが形成されている。
内表面1A、外表面1Bを含む表面部の密度は、最も高密度でかつ2・ρより高いρとされるので、表面硬度が高くなり、外力を受けても傷などがつきにくくなる。また耐摩耗性が向上する。
一方、低圧縮部10bが肉厚方向の中間部に形成されているので、高圧縮部10a、10cが低圧縮部10bにより柔軟に支持されている。すなわち、木材成形品1に衝撃的な外力が加わり、高圧縮部10a、10cが変形しようとすると、低圧縮部10bがともに変形することで、外力によるエネルギーを吸収し、高圧縮部10a、10cの割れなどを防止することができる。
また、肉厚方向に沿って、このようなサンドイッチ構造の密度分布が形成されることにより、肉厚方向の密度分布が高密度の一定値となっている場合に比べて、曲げ変形が容易となり、表面硬度の割に高い柔軟性が得られ、靱性が向上されるものである。
ただし、低圧縮部10bの密度が小さすぎると、エネルギーの吸収速度が遅いため、衝撃力を受けたときの高圧縮部10a(10c)の変形が大きくなりすぎて割れなどの原因となる場合がある。そのため、肉厚方向の中間部の密度分布は、例えば階段状に変化する分布であってもよいが、その差が大きくなりすぎないようにする。したがって、高圧縮部10a(10c)と低圧縮部10bとの間の密度変化、あるいは隣接する領域間の密度変化は漸次変化することが好ましい。すなわち、滑らかな曲線状に変化することが好ましい。
また、手で持つ電子機器や携帯用機器の外装体、筐体などの用途では、例えばポリカーボネート樹脂やアルミニウムなどが用いられることが多いが、式(1)を満足し、例えば、平均密度ρaveが、0.8g/cm〜1.2g/cm、好ましくは、1g/cm〜1.2g/cmとなるようにすれば、それらの材料と略同等な強度特性が得られて好都合である。
なお、上記の説明では、肉厚方向の密度分布が、図4に示すような下に凸の円弧状の変化を示す例で説明したが、以下に、表面から漸次減少するような、下に凸のグラフで表される密度分布の例を挙げる。
図6(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品の肉厚方向の密度分布の変形例について説明するための模式的なグラフである。
図6(a)に曲線101で表される密度分布は、バスタブ状の密度分布の場合を示す。この場合、高圧縮部10a、10cが、低圧縮部10bに比べて薄くなる密度分布となる。したがって、比較的柔軟性に優れる圧縮木材成形品が得られる。
図6(b)に曲線102で表される密度分布は、密度が直線的に変化する密度分布の場合を示す。この場合、高圧縮部10a、10cが比較的厚い状態で、低圧縮部10bと同等程度の厚さとなる密度分布となる。したがって、比較的強度に優れる圧縮木材成形品が得られる。
図6(c)に曲線103で表される密度分布は、内表面1Aと外表面1B上とで密度がρ、ρ(ただし、ρ>ρ>ρ)と異なる値をとり、肉厚の中央に対して非対称な密度分布が形成された場合である。この場合、高圧縮部10a、10cの厚さを変えることができるので、外力が一方の側から加わることが多い場合に、効率的に補強できるという利点がある。例えば、高圧縮部10aを幅tとし、高圧縮部10cをそれより狭い幅tとすることで、低圧縮部10bを幅tとして比較的大きくとることができるので、内表面1A側を高強度として、全体としては靱性も向上できるものである。
また、上記の説明では、ブランク部材として、平板状のブランク平板5を用いる場合で説明したが、例えば、より深い3次元形状やより複雑な3次元形状を効率的に成形するために、ブランク部材として、金型面に略沿う3次元形状に圧縮代を含んだ肉厚で形成した3次元ブランク部材を用いてもよい。
また、上記の説明では、主として圧縮工程が1つの場合で説明したが、例えば、上記に説明したうち2回の圧縮を行う製造方法では、それぞれの圧縮の間に、1回目の圧縮状態を固定するための養生工程などを設けて圧縮工程を分離してもよい。この場合、1回目に圧縮される部分が確実に固定されるので、密度分布の制御が容易となるという利点がある。
また、圧縮工程を、1次金型で1次圧縮成形を行い、1次金型と異なる金型面を有する2次金型を用いて1次圧縮された部材を2次圧縮することにより最終的な3次元形状を形成する圧縮工程とし、それぞれの圧縮工程において、肉厚方向に密度分布を形成するようにしてもよい。
本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品について説明するための斜視説明図である。 図1のA−A断面図である。 図2のB部の模式的な拡大断面図である。 図3のC−C線に沿う断面での密度分布を示す模式的なグラフである。 本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品の各製造工程に付いて説明するための、図1のA−A線に沿う断面視の模式的な工程説明図である。 本発明の実施形態に係る圧縮木材成形品の肉厚方向の密度分布の変形例について説明するための模式的なグラフである。
符号の説明
1 木材成形品(圧縮木材成形品)
1A 内表面
1B 外表面
5 ブランク平板(ブランク部材)
10a、10c 高圧縮部
10b 低圧縮部
20 成形部材
30A コア金型(金型)
30B キャビティ金型(金型)

Claims (3)

  1. 木材を3次元形状の板状またはシェル状に圧縮成形した圧縮木材成形品であって、
    前記木材の未圧縮気乾状態の密度をρ、前記木材の木質繊維間の空隙が消失したときの密度をρmax(ただし、ρmax>2・ρ)とするときに、肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が2・ρとρmaxとの間にあり、肉厚方向の中間部の密度がρより高く前記表面側の密度より低いことを特徴とする圧縮木材成形品。
  2. 前記肉厚方向の中間部の密度が、前記表面側から肉厚方向の中央部に向けて漸次減少していることを特徴とする請求項1に記載の圧縮木材成形品。
  3. 前記肉厚方向のそれぞれの表面側の密度が略同一とされたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮木材成形品。
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