以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のマイクロデバイスは、デバイス本体と封止流体収容部とを備えている。
デバイス本体は、各々に流路形成部が形成された複数の本体形成部材を有する。デバイス本体は、それらの複数の本体形成部材が分解可能な組み合わせ構造を構成したものであり、また、複数の本体形成部材の流路形成部が組み合わされて内部に流体流路が形成されている。
封止流体収容部は、封止流体を収容するための封止流体収容領域を形成する。この封止流体収容領域は、デバイス本体の内部の流体流路よりも外側において露出した複数の本体形成部材のうち少なくとも一対により形成された線状の部材合わせ部を覆う領域である。
このようなマイクロデバイスによれば、封止流体収容部に封止流体を収容し、流体流路を流通する流通流体及び封止流体収容部の封止流体の圧力の大小関係を制御すれば、部材合わせ部を覆うように封止流体雰囲気を形成することができると共に、その封止流体雰囲気によって部材合わせ部から流体流路の流通流体が漏洩するのを規制することができる。
流体流路の流通流体及び封止流体収容部の封止流体は、それらのうち少なくとも一方の圧力が制御されればよい。従って、流体流路の流通流体の圧力及び封止流体収容部の封止流体の圧力の両方を制御しても、また、どちらか一方の圧力を制御してもよい。
ここで、デバイス本体の具体的構成として、例えば、複数の本体形成部材の組み合わせ構造が、複数のブロック状部材の組み合わせ構造であるものや複数の基板状部材の重ね合わせ構造であるもの等を挙げることができる。
デバイス本体が複数の基板状部材の重ね合わせ構造で構成されていると、解体メンテナンス及び組み付け作業を容易に行うことができる。また、重ね合わせ構造であるので、各基板状部材を最大限に活用して流路形成部を形成することにより、全体として多数又は長距離の流体流路を構成することができる。
封止流体収容部の具体的構成として、例えば、デバイス本体を収容すると共に封止流体収容領域がデバイス本体を覆うように形成されたデバイス本体収容容器による第1構成や複数の基板状部材の重ね合わせ構造で構成されたデバイス本体において線状の部材合わせ部が露出した外周を囲うように形成されたものによる第2構成等を挙げることができる。
第1構成によれば、封止流体収容部がデバイス本体収容容器で構成されるので、封止流体収容領域と外気との構造的隔絶を確実に行え、封止流体の圧力制御を行う場合に好都合である。また、従来のマイクロデバイス自体を特定の容器に収容すればよく、新規の装置設計を必要とせずに構成することができる。一方、第2構成によれば、複数の基板状部材の重ね合わせ構造で構成された従来のマイクロデバイスに封止流体収容部を取り付ける、或いは、マイクロデバイスに加工を施して封止流体収容部を形成すればよく、装置を容易に構成することができる。また、第2構成によれば、デバイス構成がコンパクトとなるので、封止流体収容領域に収容する封止流体量が少なくてよいというメリットがある。第1及び第2構成のいずれにしても、従来のマイクロデバイス自体をそのまま活用して構成することができるというメリットがある。
マイクロデバイスに特有の作用効果は、デバイス本体内部の流体流路が狭いことに起因して奏される。従って、かかる観点からは、流体流路の流路断面の等価直径が2000μm以下であるのがよく、500μm以下であるのがより好ましく、100μm以下であるのがさらに好ましい。ここで、等価直径とは、流路断面の面積と同面積の正円の直径のことである。一方、加工精度及び生産性の観点からは、流体流路の流路断面の等価直径が20μm以上であるのが好ましい。
部材合わせ部からの流体流路の流通流体の漏洩の規制は、線状の部材合わせ部を覆うように、部材合わせ部から流体流路の流通流体が漏洩するのを規制する封止流体雰囲気を形成することによって達成される。
その最も効果的な方法は、流体流路の流通流体の圧力よりも封止流体雰囲気の封止流体の圧力を高くすることである。但し、必ずしも流体流路の流通流体の圧力よりも封止流体雰囲気の封止流体の圧力を高くする必要はなく、両者の圧力差を1.5MPa以下にすれば、仮に流体流路の流通流体の圧力よりも封止流体雰囲気の封止流体の圧力の方が高くても、部材合わせ部からの流通流体の漏洩を十分に規制することができる。ここで、両者の圧力差が1.5MPaよりも大きいと、流体流路の流通流体の圧力の方が封止流体雰囲気の封止流体の圧力よりも高い場合、流通流体のデバイス本体からの漏洩が容易となる一方、その逆の場合、封止流体のデバイス本体への流入が容易となる。以上の観点から、両者の圧力差を0.5MPa以下にすればより効果的である。
部材合わせ部からの流通流体の漏洩は、流体流路の流通流体の圧力を高く設定した場合に特に著しくなる。従って、流体流路の流通流体の圧力を5.0MPa以上に設定した場合に、本発明による特に顕著な効果を得ることができる。
流通流体が漏洩するのを規制するための封止流体雰囲気を形成するのに加えて、封止流体を流通させるようにしてもよい。このようにすれば、万が一にも有害な流通流体が漏洩した場合にも、その希釈効果により安全性を確保することができる。また、封止流体の圧力制御を行う場合に、その圧力操作を安定に行うことができる。
この場合、流通させる封止流体を熱媒体としてデバイス本体を温度調節するようにしてもよい。このようにすれば、封止流体により、部材合わせ部からの流通流体の漏洩の規制に加え、デバイス本体の温度調節を行うことができる。
封止流体雰囲気の封止流体を反応不活性なガスとしてもよい。このようにすれば、封止流体が反応不活性なガスであるので、流通流体が封止流体に接触して反応するのを防止することができる。ここで、反応不活性なガスの封止流体は、ヘリウムやアルゴンなどの希ガス、窒素、二酸化炭素及びこれらの混合物のいずれかである。
以上の構成のマイクロデバイスは、マイクロリアクターやマイクロミキサー等、用途が特に限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態としてマイクロリアクターの例について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るマイクロリアクターシステム(マイクロデバイスシステム)Sを示す。
このマイクロリアクターシステムSは、マイクロリアクター(マイクロデバイス)100と反応流体供給系等の付帯部とからなる。
マイクロリアクター100は、リアクター本体(デバイス本体)10と、それを収容するリアクター本体収容容器(デバイス本体収容容器)201とを備えている。従って、このマイクロリアクター100は、上記の第1構成に係るものである。
リアクター本体10は、基板積層型のものであって、上下に分解可能な重ね合わせ構造(組み合わせ構造)を構成した同一外形の第1及び第2基板状部材(本体形成部材)11,12を有している。
第1基板状部材11には、貫通孔が形成されている。そして、この貫通孔が反応流体流入部161に構成されている。
第2基板状部材12には、貫通孔が形成されていると共に、上面側、つまり、第1基板状部材11との合わせ面側に、この貫通孔と第1基板状部材11の貫通孔とを連通するように凹溝が形成されている。第2基板状部材12の貫通孔は反応流体流出部162に構成されている。
リアクター本体10は、これらの第1及び第2基板状部材11,12が、それらの合わせ面同士が当接されて上下に重ね合わされるように積層され、ボルト及びナットによる共留め等のクリップ手段(不図示)によって一体化された構成となっている。そして、第2基板状部材12の凹溝及びこれに対応した第1基板状部材11の下面部分は、各々が流路形成部17に構成されており、第1及び第2基板状部材11,12が重ね合わされることで組み合わされてリアクター本体10の内部に反応流体流路18を形成している。また、リアクター本体10の側面には、重ね合わせられた第1基板状部材11と第2基板状部材12との線状の部材合わせ部19が外周に沿って延びるように形成されている。この線状の部材合わせ部19は、リアクター本体10の内部の反応流体流路18よりも外側において露出している。
このような第1及び第2基板状部材11,12の重ね合わせ構造で構成されたリアクター本体10によれば、解体メンテナンス及び組み付け作業を容易に行うことができ、また、各基板状部材11,12を最大限に活用して流路形成部17を形成すれば、全体として多数又は長距離の反応流体流路18を構成することができる。なお、このリアクター本体10は、従来の基板積層型のマイクロリアクター自体と同様の構成である。
リアクター本体10の第1及び第2基板状部材11,12のそれぞれを形成する材料としては、特に限定されるものではなく、金属材、セラミック材、樹脂材等を幅広く用いることができるが、これらの中でも耐熱性や流通流体たる反応流体に対する耐薬品性の観点から、寸法安定性に富むと共に第1及び第2基板状部材11,12の合わせ面の加工精度に変化が生じないものが好ましく、また、工業操作上の取り扱いの観点から、部材同士の接触による傷が生じ難いものが好ましい。具体的には、上記材料として、ビッカース硬度(JIS Z 2244準拠)が80HV以上である高硬度の金属材やセラミック材が好ましく、例えば、SUS304やSUS316等に代表されるオーステナイト鋼、SUS430に代表されるフェライト鋼、SUS329に代表されるフェライトとオーステナイトの2相ステンレス鋼、ハステロイ276C、Ni合金等の金属材、純チタンや6−4チタン合金に代表されるチタン合金等の金属材、耐熱硬質ガラス、石英硝子、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等のセラミック材を挙げることができる。但し、使用条件により耐圧性が要求されるような場合には金属材が好ましい。また、第1及び第2基板状部材11,12は、同一材料で形成されていても、また、相互に異なる材料で形成されていてもよい。
第1及び第2基板状部材11,12のそれぞれの形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形板状、円盤状等を挙げることができる。また、一般的には、外径寸法が10〜200mm程度で、厚さが0.5〜10mm程度である。さらに、合わせ面の算術平均粗さRa(JIS B 0601準拠)が0.1μm以下で、最大高さRy(JIS B 0601準拠)が1.0μm以下である。また、表面うねり(JIS B 0601準拠)が20μm以下である。
反応流体流路18は、流路断面積における等価直径において20〜2000μm(好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下)の幅の形状を有する。反応流体流路18の断面形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、半円形、半楕円形、正方形、長方形、台形、平行四辺形、星形、不定形等を挙げることができる。なお、第1及び第2基板状部材11,12のそれぞれに相互に対応するように断面半円形、或いは、断面半楕円形の凹溝を形成し、断面形状が円形、或いは、楕円形の反応流体流路18を形成するようにしてもよい。また、反応流体流路18の長さ方向に延びる軌跡の形状としては、図1には直線状に延びるものが図示されているものの、特に限定されるものではなく、例えば、直線状の他、円形状、蛇行形状、らせん形状等を挙げることができる。反応性及び加工性の観点からは、反応流体流路18の断面形状として、円形、半円形、楕円形、半楕円形、正方形、長方形が好ましく、反応流体流路18の長さ方向に延びる軌跡の形状として、直線状、円形状、蛇行形状が好ましい。反応流体流路18は、長さ方向に沿って断面形状が必ずしも一定形状に形成されている必要はなく、長さ方向に必ずしも規則的な軌跡が形成されている必要もない。また、反応流体流路18は、反応の目的に応じて、単一路であっても、合流路や分割路が形成されていてもよい。さらに、反応流体流路18には、触媒や吸着剤等が設けられていてもよい。
第1及び第2基板状部材11,12は、メンテナンス等の操作上の簡便性を図るため、分解可能なようにそれぞれの合わせ面同士が当接させられているのみである。そのため、その部分で不均等な加重配分が生じると局所的な浮きができ、反応流体流路18からリアクター本体10の外部への漏れ流路が形成されて実用を損なうばかりか、反応流体の流れや伝熱性、反応時間にまで異常を来たして正常な反応操作を実施できなくなるので、組み付けに際しては細心の注意を要する。
リアクター本体収容容器201は、リアクター本体10を収容可能であると共にさらにそれを覆う空間領域が形成される内部空間、つまり、リアクター本体10の体積よりも大きい内容積を有する箱状に形成されている。このリアクター本体10を覆う空間領域が封止流体収容領域21であり、従って、リアクター本体収容容器201が封止流体収容部を構成している。リアクター本体収容容器201は、リアクター本体10を出し入れのために開閉可能に構成されており、閉状態において、内部の封止流体収容領域21が密閉される。
このようなリアクター本体収容容器201で構成された封止流体収容部によれば、封止流体収容領域21と外気との構造的隔絶を確実に行え、封止流体の圧力制御を行う場合に好都合である。また、従来のマイクロリアクター自体を特定の容器に収容すればよく、新規の装置設計を必要とせずに構成することができる。
リアクター本体収容容器201には、リアクタ本体に着脱可能に接続された結合管22が挿通された一対の貫通孔が形成されている。それらの貫通孔のうち一方が供給管接続部23及び他方が回収管接続部24にそれぞれ構成されている。
リアクター本体収容容器201には、封止流体収容領域21に連通した上下に一対の貫通孔が形成されている。それらの貫通孔のうち上側が封止流体流入部25及び下側が封止流体流出部26にそれぞれ構成されている。
リアクター本体収容容器201を形成する材料としては、リアクター本体10を形成する材料と同様の材料を挙げることができる。
リアクター本体収容容器201の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、立方体状、直方体状、円柱状、等を挙げることができる。また、容器寸法は、封止流体収容領域21が形成されるのであれば特に限定はない。
リアクター本体収容容器201の供給管接続部23には、反応流体供給源41から延びた反応流体供給管42が接続されている。反応流体供給管42には、反応流体を流通させる反応流体供給器43が介設されており、また、反応流体の圧力を検知する反応流体圧力計44が取り付けられている。
反応流体供給源41は、例えば、反応流体を貯蔵した反応流体貯蔵タンクや複数の原料流体を混合して反応流体を送り出すマイクロミキサーである。
反応流体供給器43は、特に限定されるものではなく、反応流体の種類により好適なものが選択される。具体的には、反応流体がガスの場合、例えば、コンプレッサーやブロアー等が用いられる。また、反応流体が液体の場合、例えば、送液器等が用いられる。送液器として、例えば、渦巻きポンプ、ディフューザーポンプ、渦巻き斜流ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、ギヤポンプ、スクリューポンプ、カムポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、渦流ポンプ、粘性ポンプ、気泡ポンプ、ジェットポンプ、電磁ポンプ等を挙げることができる。これらのうち脈流が発生しない形式のものが好ましい。その理由は、リアクター本体10内で異なる反応流体が混合される場合、脈流が発生すると、均一に混合する性能が得られなくなるばかりか、伝熱面でも能力低下が予見されるからである。
リアクター本体収容容器201の回収管接続部24からは反応流体回収管51が延びており、反応流体回収タンク52に接続されている。反応流体回収管51には、反応流体の圧力を調整する反応流体圧力調整器53が介設されている。反応流体圧力調整器53には、反応流体圧力計44が電気的に接続されている。反応流体圧力調整器53は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び反応流体圧力計44で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
反応流体圧力調整器53は、例えば、減圧弁装置や背圧弁装置等である。
リアクター本体収容容器201の封止流体流入部25には、封止流体貯蔵タンク61から延びた封止流体供給管62が接続されている。封止流体供給管62には、封止流体を流通させる封止流体供給器63が介設されており、また、封止流体の圧力を検知する封止流体圧力計64が取り付けられている。
封止流体供給器63は、特に限定されるものではなく、封止流体の種類により好適なものが選択される。具体的には、封止流体がガスの場合、例えば、コンプレッサーやブロアー等が用いられる。また、封止流体が液体の場合、例えば、送液器等が用いられる。送液器として、例えば、渦巻きポンプ、ディフューザーポンプ、渦巻き斜流ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、ギヤポンプ、スクリューポンプ、カムポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、渦流ポンプ、粘性ポンプ、気泡ポンプ、ジェットポンプ、電磁ポンプ等を挙げることができる。なお、封止流体がガス及び液体のいずれの場合も、封止流体貯蔵タンク61と封止流体供給器63とが一体となった圧力タンクが用いられてもよい。
リアクター本体収容容器201の封止流体流出部26からは封止流体回収管71が延びており、封止流体回収タンク72に接続されている。封止流体回収管71には、封止流体の圧力を調整する封止流体圧力調整器73が介設されている。封止流体圧力調整器73には、封止流体圧力計64が電気的に接続されている。封止流体圧力調整器73は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び封止流体圧力計64で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
封止流体圧力調整器73は、例えば、減圧弁装置や背圧弁装置等である。
次に、このマイクロリアクターシステムSの動作について説明する。
マイクロリアクターシステムSが稼働すると、反応流体供給器43は、反応流体を、反応流体供給源41から反応流体供給管42を介し、供給管接続部23、結合管22及び反応流体流入部161を順に経由させてリアクター本体10の反応流体流路18に継続的に供給する。また、反応流体圧力計44は、検知した反応流体の圧力情報を反応流体圧力調整器53に送る。ここで、反応流体は、特に限定されるものではなく、気相、液相、気液混合相、乳化相、固液混合相(スラリー)、超臨界流体など固相状態以外の流動性を保持する性状のものであればよい。
リアクター本体10では、反応流体流路18で反応流体が流通すると共に反応が進行し、生成物の反応流体が生成される。生成物の反応流体は、反応流体流出部162、結合管22、回収管接続部24を順に経由して反応流体回収管51に送り出され、反応流体圧力調整器53を経由して反応流体回収タンク52に回収される。ここで、リアクター本体10で実施される反応としては、特に限定されるものではなく、触媒反応、イオン交換反応、電気化学反応、ラジカル反応、超臨界反応等を挙げることができる。
一方、封止流体供給器63は、封止流体を、封止流体貯蔵タンク61から封止流体供給管62を介し、封止流体流入部25を経由させてリアクター本体収容容器201の封止流体収容領域21に供給する。また、封止流体圧力計64は、封止流体の圧力情報を封止流体圧力調整器73に送る。ここで、封止流体は、特に限定されるものではなく、気相、液相、気液混合相、乳化相、固液混合相(スラリー)など固相状態以外の流動性を保持する性状のものであればよい。
そして、封止流体供給器63を継続的に稼働させると、リアクター本体収容容器201では、封止流体が封止流体収容領域21を流通する。封止流体収容領域21を流通した封止流体は、封止流体流出部26を経由して封止流体回収管71に送り出され、封止流体圧力調整器73を経由して封止流体回収タンク72に回収される。また、封止流体が封止流体圧力調整器73の設定圧力に達したときに封止流体供給器63を停止させると、リアクター本体収容容器201では、封止流体が流通せずに封止流体収容領域21に密閉封入される。
以上の全過程を通じ、反応流体圧力調整器53は、反応流体圧力計44で検知した反応流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。また、封止流体圧力調整器73は、封止流体圧力計64で検知した封止流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。つまり、反応流体圧力調整器53及び封止流体圧力調整器73は、圧力制御部を構成している。
次に、このマイクロリアクターシステムSによるマイクロリアクター100の制御方法について説明する。
制御方法として、反応流体圧力調整器53の設定圧力よりも封止流体圧力調整器73の設定圧力を高く設定し、反応流体の圧力よりも封止流体の圧力を高くする方法、或いは、反応流体圧力調整器53の設定圧力と封止流体圧力調整器73の設定圧力とを近接させて設定し、反応流体及び封止流体の圧力差を小さくする方法がある。
このとき、反応流体の供給及び封止流体の供給のいずれをも継続的に行ってそれらを流通させつつ、反応流体及び封止流体のそれぞれの圧力を各々の設定圧力に維持する第1の制御方法を採っても、反応流体の供給を継続的に行って流通させる一方、封止流体の供給をその圧力が設定圧力に到達するまでとし、封止流体を流通させずに設定圧力で封止流体収容領域21に密閉封入した状態を維持し、反応流体の圧力を設定圧力に維持する第2の制御方法を採ってもいずれでもよい。
以上のようにすれば、リアクター本体10の部材合わせ部19を覆うように封止流体雰囲気を形成することができると共に、その封止流体雰囲気によって部材合わせ部19からの反応流体流路18の反応流体の漏洩を規制することができる。特に、反応流体が有害な場合には、反応流体の漏洩規制による安全性の確保をも図ることができる。
また、第1の制御方法によれば、万が一にも有害な反応流体が漏洩した場合にも、その希釈効果により安全性を確保することができる。加えて、封止流体の圧力制御を行う場合に、その圧力操作を安定に行うことができる。
より具体的には、反応流体及び封止流体の圧力差が1.5MPa以下になるように、反応流体圧力調整器53の設定圧力及び封止流体圧力調整器73の設定圧力を設定するのがよく、0.5MPa以下とするのがより好ましい。また、反応流体及び封止流体の圧力差が1.5MPa以下という場合、前者の圧力よりも後者の圧力の方が低くなるように設定する場合も含まれるが、反応流体の漏洩防止及び安全性の確保の観点からは、前者の圧力よりも後者の圧力の方が高くなるように設定することが好ましい。
また、部材合わせ部19からの反応流体の漏洩は、反応流体流路18の反応流体の圧力を高く設定した場合に特に著しくなる。従って、反応流体流路18の反応流体の設定圧力を5.0MPa以上にした場合乃至超臨界状態で使用する場合に、特に、反応流体の漏洩規制の顕著な効果を得ることができる。
さらに、第1の制御方法においては、封止流体を流通させると共に、封止流体を熱媒体としてリアクター本体10の温度調節を行うようにしてもよい。このようにすれば、封止流体に反応流体の漏洩規制の他に追加の機能が付与される。この場合、リアクター本体10に温度センサを取り付けると共に、封止流体供給管62にヒータを取り付け、温度センサ及びヒータをそれぞれ温度制御部に電気的に接続し、そして、温度制御部が、温度センサで検知したリアクター本体10の温度情報に基づいてヒータをON/OFF制御し、封止流体を温度調節する構成にすればよい。ここで、熱媒体に好適な封止流体として、シリコンオイル、エステル油、水、水蒸気、空気、フロン、代替フロン等を挙げることができる。
また、第1及び第2のいずれの制御方法においても、封止流体として、反応不活性なガスを用いてもよい。このようにすれば、封止流体が封止流体に接触して反応するのを防止することができ、また、爆発性を有するような危険な反応を防爆的に実施することができ、安全面で革新的効果を得ることができる。ここで、反応不活性なガスの封止流体は、ヘリウムやアルゴンなどの希ガス、窒素、二酸化炭素及びこれらの混合物のいずれかである。
(実施形態2)
図2及び3は、実施形態2に係るマイクロリアクターシステム(マイクロデバイスシステム)Sを示す。
このマイクロリアクターシステムSは、マイクロリアクター(マイクロデバイス)100と反応流体供給系等の付帯部とからなる。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は同一符号で示す。
マイクロリアクター100は、リアクター本体(デバイス本体)10と、その外側に取り付けられた封止流体収容部202と、リアクター本体10に取り付けられた本体温度調節器30とを備えている。従って、このマイクロリアクター100は、上記の第2構成に係るものである。
リアクター本体10は、基板積層型のものであって、上下に分解可能な重ね合わせ構造(組み合わせ構造)を構成した同一外形の第1及び第2基板状部材(本体形成部材)11,12を有している。なお、図2及び3では、第1及び第2基板状部材11,12が円盤状に形成されているが、これに限定されるものではない。
第1基板状部材11には、一対の貫通孔が形成されている。それらの貫通孔のうち一方が反応流体流入部161及び他方が反応流体流出部162にそれぞれ構成されている。また、第1基板状部材11には、下面側、つまり、第2基板状部材12との合わせ面側に、反応流体流入部161及び反応流体流出部162を連通するように凹溝が形成されている。
一方、第2基板状部材12は平板である。
リアクター本体10は、これらの第1及び第2基板状部材11,12が、それらの合わせ面同士が当接されて上下に重ね合わされるように積層され、ボルト及びナットによる共留め等のクリップ手段(不図示)によって一体化された構成となっている。そして、第1基板状部材11の凹溝及びこれに対応した第2基板状部材12の上面部分は、各々が流路形成部17に構成されており、第1及び第2基板状部材11,12が重ね合わされることで組み合わされてリアクター本体10の内部に反応流体流路18を形成している。また、リアクター本体10の側面には、重ね合わせられた第1基板状部材11と第2基板状部材12との線状の部材合わせ部19が外周に沿って延びるように形成されている。この線状の部材合わせ部19は、リアクター本体10の内部の反応流体流路18よりも外側において露出している。
このような第1及び第2基板状部材11,12の重ね合わせ構造で構成されたリアクター本体10によれば、解体メンテナンス及び組み付け作業を容易に行うことができ、また、各基板状部材11,12を最大限に活用して流路形成部17を形成すれば、全体として多数又は長距離の反応流体流路18を構成することができる。なお、このリアクター本体10は、従来の基板積層型のマイクロリアクター自体と同様の構成である。
封止流体収容部202は、リアクター本体10の外周を囲うように外嵌め可能な環状に形成されていると共に、全周に亘って内側に開口した断面略U字状に形成されている。封止流体収容部202は、内側の開口で部材合わせ部19を覆うようにリアクター本体10に着脱可能に取り付けられており、これにより、部材合わせ部19の外周を全周に亘って覆う封止流体収容領域21を形成している。なお、封止流体収容部202とリアクター本体10との当接部分には、封止流体収容領域21が密封されるようにシール材を狭持する等のシール処理を施していてもよい。
このような構成によれば、複数の基板状部材の重ね合わせ構造で構成された従来のマイクロリアクター自体に封止流体収容部202を取り付ければよいだけであるので、装置を容易に構成することができる。また、デバイス構成がコンパクトであるので、封止流体収容領域21に収容する封止流体量が少なくてよい。
封止流体収容部202には、側面に一対の貫通孔が形成されている。それらの貫通孔のうち一方が封止流体流入部25及び他方が封止流体流出部26にそれぞれ構成されている。
封止流体収容部202を形成する材料としては、リアクター本体10を形成する材料と同様の材料を挙げることができる。
リアクター本体10の反応流体流入部161には、反応流体供給源41から延びた反応流体供給管42が接続されている。反応流体供給管42には、反応流体を流通させる反応流体供給器43が介設されており、また、反応流体の圧力を検知する反応流体圧力計44が取り付けられている。
リアクター本体10の反応流体流出部162からは反応流体回収管51が延びており、反応流体回収タンク52に接続されている。反応流体回収管51には、反応流体の圧力を調整する反応流体圧力調整器53が介設されている。反応流体圧力調整器53には、反応流体圧力計44が電気的に接続されている。反応流体圧力調整器53は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び反応流体圧力計44で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
封止流体収容部202の封止流体流入部25には、封止流体貯蔵タンク61から延びた封止流体供給管62が接続されている。封止流体供給管62には、封止流体を流通させる封止流体供給器63が介設されており、また、封止流体の圧力を検知する封止流体圧力計64が取り付けられている。
封止流体収容部202の封止流体流出部26からは封止流体回収管71が延びており、封止流体回収タンク72に接続されている。封止流体回収管71には、封止流体の圧力を調整する封止流体圧力調整器73が介設されている。封止流体圧力調整器73には、封止流体圧力計64が電気的に接続されている。封止流体圧力調整器73は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び反応流体圧力計64で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
本体温度調節器30は、発熱材により、リアクター本体10の第1及び第2基板状部材11,12と同一外形の板状に形成されており、第2基板状部材12に下側に積層するように設けられている。
本体温度調節器30には、電源ユニット31に繋がった出力コントローラ32が電気的に接続されている。また、出力コントローラ32には、第2基板状部材12に取り付けられた温度センサ33aを含む温度測定ユニット33が電気的に接続されている。出力コントローラ32は、設定温度の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定温度情報及び温度測定ユニット33からの温度情報に基づいて本体温度調節器30への通電を制御する。
次に、このマイクロリアクターシステムSの動作について説明する。
マイクロリアクターシステムSが稼働すると、反応流体供給器43は、反応流体を、反応流体供給源41から反応流体供給管を介し、反応流体流入部161を経由させてリアクター本体10の反応流体流路18に継続的に供給する。また、反応流体圧力計44は、検知した反応流体の圧力情報を反応流体圧力調整器53に送る。
リアクター本体10では、反応流体流路18で反応流体が流通すると共に反応が進行し、生成物の反応流体が生成される。生成物の反応流体は、反応流体流出部162を経由して反応流体回収管51に送り出され、反応流体圧力調整器53を経由して反応流体回収タンク52に回収される。
一方、封止流体供給器63は、封止流体を、封止流体貯蔵タンク61から封止流体供給管62を介し、封止流体流入部25を経由させて封止流体収容部202の封止流体収容領域21に供給する。また、封止流体圧力計64は、封止流体の圧力情報を封止流体圧力調整器73に送る。
そして、封止流体供給器63を継続的に稼働させると、封止流体収容部202では、封止流体が封止流体収容領域21を流通する。封止流体収容領域21を流通した封止流体は、封止流体流出部26を経由して封止流体回収管71に送り出され、封止流体圧力調整器73を経由して封止流体回収タンク72に回収される。また、封止流体が封止流体圧力調整器73の設定圧力に達したときに封止流体供給器63を停止させると、封止流体収容部202では、封止流体が流通せずに封止流体収容領域21に密閉封入される。
以上の全過程を通じ、反応流体圧力調整器53は、反応流体圧力計44で検知した反応流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。また、封止流体圧力調整器73は、封止流体圧力計64で検知した封止流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。つまり、反応流体圧力調整器53及び封止流体圧力調整器73は、圧力制御部を構成している。
リアクター本体10の温度制御について、温度測定ユニット33は、温度センサ33aでリアクター本体10の温度を検知してその温度情報を出力コントローラ32に送る。出力コントローラ32は、リアクター本体10の温度が設定温度に維持されるように本体温度調節器30への通電をON/OFF制御する。
リアクター本体10等の詳細構成、制御方法、及び、作用効果は、実施形態1と同一である。
また、図4は、実施形態2に係るマイクロリアクターシステムSの変形例を示す。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は同一符号で示す。
このマイクロリアクターシステムSのマイクロリアクター100では、封止流体収容部202の側面に封止流体流入部25のみが形成されている。
封止流体収容部202の封止流体流入部25には、封止流体貯蔵タンク61から延びた封止流体供給管62が接続されている。封止流体供給管62には、封止流体圧力調整器73及び封止流体供給器63が上流側から順に介設されており、また、封止流体圧力計64が取り付けられている。封止流体圧力調整器73には、封止流体圧力計64が電気的に接続されている。
そして、封止流体供給器63は、封止流体を、封止流体貯蔵タンク61から封止流体供給管62を介し、封止流体圧力調整器73及び封止流体流入部25を順に経由させて封止流体収容部202の封止流体収容領域21に供給する。また、封止流体圧力計64は、封止流体の圧力情報を封止流体圧力調整器73に送る。封止流体が封止流体圧力調整器73の設定圧力に達すると、封止流体圧力調整器73が流路を閉じ、封止流体収容部202では、封止流体が流通せずに封止流体収容領域21に密閉封入される。つまり、この変形例のマイクロリアクターシステムSでは、上記の第2の制御方法のみを行うことができる。
その他の構成、動作等は、実施形態2に係るマイクロリアクターシステムSと同一である。
(実施形態3)
図5及び6は、実施形態3に係るマイクロリアクターシステム(マイクロデバイスシステム)Sを示す。
このマイクロリアクターシステムSは、マイクロリアクター(マイクロデバイス)100と反応流体供給系等の付帯部とからなる。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は同一符号で示す。
マイクロリアクター100は、リアクター本体(デバイス本体)10のみで構成されている。このマイクロリアクター100は、上記の第2構成に係るものである。
リアクター本体10は、基板積層型のものであって、上下に分解可能な重ね合わせ構造(組み合わせ構造)を構成した同一外形の第1及び第2基板状部材(本体形成部材)11,12を有している。なお、図5及び6では、第1及び第2基板状部材11,12が細長長方形状に形成されているが、これに限定されるものではない。
第1基板状部材11には、一対の貫通孔が形成されている。それらの貫通孔のうち一方が反応流体流入部161及び他方が反応流体流出部162にそれぞれ構成されている。第1基板状部材11には、下面側、つまり、第2基板状部材12との合わせ面側に、反応流体流入部161及び反応流体流出部162を連通するように凹溝が形成されている。
第2基板状部材12には、上面側、つまり、第1基板状部材11との合わせ面側に、流路形成部17を囲うように環状凹溝27が形成されている。また、第2基板状部材12には、下面側から環状凹溝27に貫通した一対の貫通孔が形成されている。それらの貫通孔のうち一方が封止流体流入部25及び他方が封止流体流出部26にそれぞれ構成されている。
リアクター本体10は、これらの第1及び第2基板状部材11,12が、それらの合わせ面同士が当接されて上下に重ね合わされるように積層され、ボルト及びナットによる共留め等のクリップ手段(不図示)によって一体化された構成となっている。そして、第1基板状部材11の凹溝及びこれに対応した第2基板状部材12の上面部分は、各々が流路形成部17に構成されており、第1及び第2基板状部材11,12が重ね合わされることで組み合わされてリアクター本体10の内部に反応流体流路18を形成している。
このような第1及び第2基板状部材11,12の重ね合わせ構造で構成されたリアクター本体10によれば、解体メンテナンス及び組み付け作業を容易に行うことができ、また、各基板状部材11,12を最大限に活用して流路形成部17を形成すれば、全体として多数又は長距離の反応流体流路18を構成することができる。なお、このリアクター本体10は、従来の基板積層型のマイクロリアクター自体と同様の構成である。
また、第2基板状部材12の環状凹溝27及びこれに対応した第1基板状部材11の下面部分は、第1及び第2基板状部材11,12が重ね合わされることで組み合わされて、環状凹溝27の内側の側縁が第1基板状部材11の下面に接触して線状の部材合わせ部19を形成すると共に、その部材合わせ部19を覆うように封止流体収容領域21を形成している。つまり、第2基板状部材12は、封止流体収容部をも構成している。線状の部材合わせ部19は、リアクター本体10の内部の反応流体流路18よりも外側において露出している。
このような構成によれば、複数の基板状部材の重ね合わせ構造で構成された従来のマイクロリアクター自体に加工を施して封止流体収容部202を形成すればよいだけであるので、装置を容易に構成することができる。また、デバイス構成がコンパクトであるので、封止流体収容領域21に収容する封止流体量が少なくてよい。
リアクター本体10の第1基板状部材11の反応流体流入部161には、反応流体供給源41から延びた反応流体供給管42が接続されている。反応流体供給管42には、反応流体を流通させる反応流体供給器43が介設されており、また、反応流体の圧力を検知する反応流体圧力計44が取り付けられている。
リアクター本体10の第1基板状部材11の反応流体流出部162からは反応流体回収管51が延びており、反応流体回収タンク52に接続されている。反応流体回収管51には、反応流体の圧力を調整する反応流体圧力調整器53が介設されている。反応流体圧力調整器53には、反応流体圧力計44が電気的に接続されている。反応流体圧力調整器53は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び反応流体圧力計44で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
リアクター本体10の第2基板状部材12の封止流体流入部25には、封止流体貯蔵タンク61から延びた封止流体供給管62が接続されている。封止流体供給管62には、封止流体を流通させる封止流体供給器63が介設されており、また、封止流体の圧力を検知する封止流体圧力計64が取り付けられている。
リアクター本体10の第2基板状部材12の封止流体流出部26からは封止流体回収管71が延びており、封止流体回収タンク72に接続されている。封止流体回収管71には、封止流体の圧力を調整する封止流体圧力調整器73が介設されている。封止流体圧力調整器73には、封止流体圧力計64が電気的に接続されている。封止流体圧力調整器73は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び封止流体圧力計64で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
次に、このマイクロリアクターシステムSの動作について説明する。
マイクロリアクターシステムSが稼働すると、反応流体供給器43は、反応流体を、反応流体供給源41から反応流体供給管を介し、反応流体流入部161を経由させてリアクター本体10の反応流体流路18に継続的に供給する。また、反応流体圧力計44は、検知した反応流体の圧力情報を反応流体圧力調整器53に送る。
リアクター本体10では、反応流体流路18で反応流体が流通すると共に反応が進行し、生成物の反応流体が生成される。生成物の反応流体は、反応流体流出部162を経由して反応流体回収管51に送り出され、反応流体圧力調整器53を経由して反応流体回収タンク52に回収される。
一方、封止流体供給器63は、封止流体を、封止流体貯蔵タンク61から封止流体供給管62を介し、封止流体流入部25を経由させてリアクター本体10の封止流体収容領域21に供給する。また、封止流体圧力計64は、封止流体の圧力情報を封止流体圧力調整器73に送る。
そして、封止流体供給器63を継続的に稼働させると、リアクター本体10では、封止流体が封止流体収容領域21を流通する。封止流体収容領域21を流通した封止流体は、封止流体流出部26を経由して封止流体回収管71に送り出され、封止流体圧力調整器73を経由して封止流体回収タンク72に回収される。また、封止流体が封止流体圧力調整器73の設定圧力に達したときに封止流体供給器63を停止させると、リアクター本体10では、封止流体が流通せずに封止流体収容領域21に密閉封入される。
以上の全過程を通じ、反応流体圧力調整器53は、反応流体圧力計44で検知した反応流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。また、封止流体圧力調整器73は、封止流体圧力計64で検知した封止流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。つまり、反応流体圧力調整器53及び封止流体圧力調整器73は、圧力制御部を構成している。
リアクター本体10等の詳細構成、制御方法、及び、作用効果は、実施形態1と同一である。
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係るマイクロリアクターシステム(マイクロデバイスシステム)Sを示す。
このマイクロリアクターシステムSは、マイクロリアクター(マイクロデバイス)100と反応流体供給系等の付帯部とからなる。なお、実施形態1のものと同一名称の部分は同一符号で示す。
マイクロリアクター100は、リアクター本体(デバイス本体)10と、それを収容したリアクター本体収容部204とを備えている。従って、このマイクロリアクター100は、上記の第2構成に係るものである。
リアクター本体10は、基板積層型のものであって、上下に分解可能な重ね合わせ構造(組み合わせ構造)を構成した同一外形の第1乃至第5基板状部材(本体形成部材)11〜15を有している。
第1基板状部材11には、貫通孔が形成されている。そして、この貫通孔が反応流体流入部161に構成されている。
第2基板状部材12には、貫通孔が形成されていると共に、上面側、つまり、第1基板状部材11との合わせ面側に、この貫通孔と第1基板状部材11の貫通孔とを連通するように凹溝が形成されている。
第3乃至第5基板状部材13,14,15のそれぞれも、第2基板状部材12と同様に、貫通孔及び凹溝が形成されている。また、第5基板状部材15の貫通孔が反応流体流出部162に構成されている。
リアクター本体10は、これらの第1乃至第5基板状部材11〜15が、合わせ面同士が当接されて順番に上下に重ね合わされて積層され、ボルト及びナットによる共留め等のクリップ手段(不図示)によって一体化された構成となっている。そして、第2基板状部材12の凹溝及びこれに対応した第1基板状部材11の下面部分は、各々が流路形成部17に構成されており、第1及び第2基板状部材11,12が重ね合わされることで組み合わされて反応流体流路18を形成している。同様に、第3乃至第5基板状部材13,14,15のそれぞれも、凹溝及びそれに対応した上側の基板状部材の下面部分が反応流体流路18を形成している。これらにより、リアクター本体10の内部には、第1基板状部材11の反応流体流入部161から第5基板状部材15の反応流体流出部162まで上下に連通した反応流体流路18が形成されている。また、リアクター本体10の側面には、重ね合わせられた第1乃至第5基板状部材11〜15により相互に並行に延びる4本の線状の部材合わせ部19が外周に沿って延びるように形成されている。これらの線状の部材合わせ部19は、リアクター本体10の内部の反応流体流路18よりも外側において露出している。
このような第1〜第5基板状部材11〜15の重ね合わせ構造で構成されたリアクター本体10によれば、解体メンテナンス及び組み付け作業を容易に行うことができ、また、各基板状部材11〜15を最大限に活用して流路形成部17を形成すれば、全体として多数又は長距離の反応流体流路18を構成することができる。なお、リアクター本体10は、従来の基板積層型のマイクロリアクター自体と同様の構成である。
リアクター本体収容部204には、リアクター本体10を収容するための上面側に開口した本体収容凹部が形成されている。本体収容凹部は、開口端部分の内径が、リアクター本体10の第1基板状部材11の上側部分が嵌合するように形成されていると共に、底部分の内径が、第5基板状部材15の下側部分が嵌合するように形成されている。本体収容凹部は、第1基板状部分の下側部分乃至第5基板状部分の上側部分に対応する中間部分の内径がリアクター本体10の外径よりも大きく形成されている。そして、リアクター本体収容部204にリアクター本体10が収容されることにより、それらの間に、リアクター本体10の中間部分の外周の4本の線状の部材合わせ部19を覆う封止流体収容領域21が形成されるようになっている。つまり、リアクター本体収容部204が封止流体収容部を構成している。なお、リアクター本体収容部204の開口端部分とリアクター本体10との当接部分には、封止流体収容領域21が密封されるようにシール材を狭持する等のシール処理を施していてもよい。
このような構成によれば、複数の基板状部材の重ね合わせ構造で構成された従来のマイクロリアクター自体にリアクター本体収容部204を組み合わせればよいだけであるので、装置を容易に構成することができる。また、デバイス構成がコンパクトであるので、封止流体収容領域21に収容する封止流体量が少なくてよい。
リアクター本体収容部204には、側面から本体収容凹部に達する上下一対の貫通孔が複数箇所に形成されている。それらの貫通孔のうち上側が封止流体流入部25及び下側が封止流体流出部26にそれぞれ構成されている。また、リアクター本体収容部204には、リアクター本体10の第5基板状部材15の反応流体流出部162に対応して、本体収容凹部から底面に貫通した接続流路28が形成されている。
リアクター本体収容部204を形成する材料としては、リアクター本体10を形成する材料と同様の材料を挙げることができる。
リアクター本体10の第1基板状部材11の反応流体流入部161には、反応流体供給源41から延びた反応流体供給管42が接続されている。反応流体供給管42には、反応流体を流通させる反応流体供給器43が介設されており、また、反応流体の圧力を検知する反応流体圧力計44が取り付けられている。
リアクター本体10の第1基板状部材11の反応流体流出部162からは接続流路28を経由して反応流体回収管51が延びており、反応流体回収タンク52に接続されている。反応流体回収管51には、反応流体の圧力を調整する反応流体圧力調整器53が介設されている。反応流体圧力調整器53には、反応流体圧力計44が電気的に接続されている。反応流体圧力調整器53は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び反応流体圧力計44で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
リアクター本体収容部204の各封止流体流入部25には、封止流体貯蔵タンク61から延びた封止流体供給管62が接続されている。封止流体供給管62には、封止流体を流通させる封止流体供給器63が介設されており、また、封止流体の圧力を検知する封止流体圧力計64が取り付けられている。
リアクター本体収容部204の各封止流体流出部26からは封止流体回収管71が延びており、封止流体回収タンク72に接続されている。封止流体回収管71には、封止流体の圧力を調整する封止流体圧力調整器73が介設されている。封止流体圧力調整器73には、封止流体圧力計64が電気的に接続されている。封止流体圧力調整器73は、設定圧力の入力が可能に構成されていると共に演算素子が組み込まれており、設定圧力情報及び封止流体圧力計64で検知された圧力情報に基づいて流路を開閉する。
次に、このマイクロリアクターシステムSの動作について説明する。
マイクロリアクターシステムSが稼働すると、反応流体供給器43は、反応流体を、反応流体供給源41から反応流体供給管を介し、反応流体流入部161を経由させてリアクター本体10の反応流体流路18に継続的に供給する。また、反応流体圧力計44は、検知した反応流体の圧力情報を反応流体圧力調整器53に送る。
リアクター本体10では、反応流体流路18で反応流体が流通すると共に反応が進行し、生成物の反応流体が生成される。生成物の反応流体は、反応流体流出部162及び接続流路28を順に経由して反応流体回収管51に送り出され、反応流体圧力調整器53を経由して反応流体回収タンク52に回収される。
一方、封止流体供給器63は、封止流体を、封止流体貯蔵タンク61から封止流体供給管62を介し、封止流体流入部25を経由させて封止流体収容部202の封止流体収容領域21に供給する。また、封止流体圧力計64は、封止流体の圧力情報を封止流体圧力調整器73に送る。
そして、封止流体供給器63を継続的に稼働させると、リアクター本体収容部204では、封止流体が封止流体収容領域21を流通する。封止流体収容領域21を流通した封止流体は、封止流体流出部26を経由して封止流体回収管71に送り出され、封止流体圧力調整器73を経由して封止流体回収タンク72に回収される。また、封止流体が封止流体圧力調整器73の設定圧力に達したときに封止流体供給器63を停止させると、リアクター本体収容部204では、封止流体が流通せずに封止流体収容領域21に密閉封入される。
以上の全過程を通じ、反応流体圧力調整器53は、反応流体圧力計44で検知した反応流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。また、封止流体圧力調整器73は、封止流体圧力計64で検知した封止流体の圧力が設定圧力に維持されるように流路を開閉する。つまり、反応流体圧力調整器53及び封止流体圧力調整器73は、圧力制御部を構成している。
リアクター本体10等の詳細構成、制御方法、及び、作用効果は、実施形態1と同一である。
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜4では、マイクロリアクター100としたが、特にこれに限定される物ではなく、マイクロミキサー等の他のマイクロデバイスであってもよい。
また、上記実施形態1〜4では、封止流体を封止流体貯蔵タンク61から封止流体回収タンク72に流通させる構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、封止流体循環流路に封止流体を循環させる構成としてもよい。
また、上記実施形態1〜4では、反応流体圧力調整器53及び封止流体圧力調整器73により圧力制御部を構成したが、特にこれに限定されるものではなく、単一のリアクター制御部により圧力制御部を構成し、それにより反応流体の圧力及び/又は封止流体の圧力を制御するようにしてもよい。
また、上記実施形態1〜4では、封止流体を封止流体収容領域21に流通させることも、封止流体を封止流体収容領域21に密閉封入することもできる構成であるが、上記実施形態2の変形例のように、上記実施形態1、3及び4でも、封止流体流入部25のみが設けられて後者のみを行うことができる構成としてもよい。