JP2006281867A - 車両のブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ABSが作動したことをドライバーに報知しながら、ABSの作動時に必要制動力を確保できるようにする。
【解決手段】 制動中に一つの車輪が濡れたマンホールの蓋に乗り上げてロック傾向になってABSが作動したような場合(破線参照)に、ABSの非作動時に比べてブレーキペダルの反力が増加しないので、ドライバーはブレーキペダルの踏力を緩めずに踏み増しすることができ、制動力に余裕のある残りの車輪の制動力を増加させて制動距離を短縮することができる。また少なくとも二つの車輪がロック傾向になってABSが作動した場合(実線参照)には、ABSの非作動時に比べてブレーキペダルの反力が増加するので、ドライバーはABSが作動していることを認識して安心感を得ることができ、ステアリングホイールによる回避操作に集中することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ドライバーの足で操作されるブレーキペダルと、ブレーキペダルの操作に対する反力を付与する反力付与手段と、反力付与手段の作動を制御する反力制御手段と、車輪のロック傾向に応じて制動力を制御するABS制御手段とを備えた車両のブレーキ装置に関する。
制動によって車輪がロック傾向になったときに、その車輪の制動力を減少させてロックを抑制することで停止までの制動距離の短縮を図るABS(アンチロック・ブレーキ・システム)では、それが作動したことをドライバーに報知するためにブレーキペダルに細かい振動を与えるようになっている。
ブレーキペダルに加えられたストロークを電気信号に変換し、この電気信号に基づいてブレーキアクチュエータを作動させて制動力を発生させるブレーキ・バイ・ワイヤ装置に、ブレーキペダルが踏まれたときに擬似的な反力を発生させるペダルストロークシミュレータを設けたものにおいて、ABSが作動したときにペダルストロークシミュレータが発生するブレーキペダルの反力を増加させることでストロークを抑制し、ドライバーにABSが作動したことを認識させるとともに、反力の増加によりドライバーに充分な制動力が発生しているとの安心感を与えるものが、下記特許文献1により公知である。
特開平11−157439号公報
ところで、車両が走行する路面の摩擦係数は一定ではなく、四輪のうちの特定の車輪だけが摩擦係数が小さい路面に乗る場合がある。例えば、制動中の車輪が濡れたマンホールの蓋を踏んだ場合、その車輪だけが一時的にロックしてABSが作動する場合がある。このような場合、残りの三輪は摩擦係数の大きい路面を踏んでいるので更に大きい制動力を発生する余裕を残しているが、上記特許文献1のものはブレーキペダルの踏力が増加してドライバーにABSが作動したことを報知してしまうため、ドライバーがブレーキペダルを踏み込むのを躊躇してしまい、ブレーキ装置の制動力を充分に活かしきれない可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ABSが作動したことをドライバーに報知しながら、ABSの作動時に必要制動力を確保できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ドライバーの足で操作されるブレーキペダルと、ブレーキペダルの操作に対する反力を付与する反力付与手段と、反力付与手段の作動を制御する反力制御手段と、車輪のロック傾向に応じて制動力を制御するABS制御手段とを備えた車両のブレーキ装置において、前記反力制御手段は、少なくとも二つの車輪がロック傾向になってABS制御手段が作動したときに、ABS制御手段の非作動時に比べて、ブレーキペダルのストロークに対する反力の大きさを増加させることを特徴とする車両のブレーキ装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記反力制御手段は、ABS制御手段が作動したときのブレーキペダルのストロークに対する戻し側の反力の大きさを、非制御時よりも小さくなるように設定したことを特徴とする車両のブレーキ装置が提案される。
尚、実施例の反力付与モータ12は本発明の反力付与手段に対応し、実施例のブレーキECU20は本発明のABS制御手段に対応し、実施例の反力制御ECU26は本発明の反力制御手段に対応する。
請求項1の構成によれば、制動中に一つの車輪が濡れたマンホールの蓋に乗り上げてロック傾向になってABS制御手段が作動したような場合に、ABS制御手段の非作動時に比べてブレーキペダルの反力が増加しないので、ドライバーはブレーキペダルの踏力を緩めずに踏み増しすることができ、制動力に余裕のある残りの車輪の制動力を増加させて制動距離を短縮することができる。また少なくとも二つの車輪がロック傾向になってABS制御手段が作動した場合に、ABS制御手段の非作動時に比べてブレーキペダルの反力が増加するので、ドライバーはABS制御手段が作動していることを認識して安心感を得ることができ、ステアリングホイールによる回避操作に集中することができる。
請求項2の構成によれば、ABS制御手段が作動したときのブレーキペダルのストロークに対する戻し側の反力の大きさを、非制御時よりも小さくなるように設定したので、ブレーキペダルの戻し時に踏力を緩めてもストロークが変化し難くなり、ABSが一度作動状態になるとその状態を維持することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1はブレーキ・バイ・ワイヤ式のブレーキ装置の全体構成を示す図、図2はブレーキECUの回路構成を示すブロック図、図3はブレーキ制御の作用を説明するフローチャート、図4はブレーキペダルのストロークと反力との関係を示すテーブルである。
図1に示すように、制動時にロック傾向になった車輪の制動力を低減してロックを回避することで制動距離の短縮を図るABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を備えたブレーキ・バイ・ワイヤ式のブレーキ装置は、ドライバーの足で操作されるブレーキペダル11を備えており、ブレーキペダル11の上端を揺動自在に枢支する支軸に反力付与モータ12と、制動信号出力手段としてのエンコーダ13とが接続される。ブレーキペダル11は反力スプリング14によりストローク量に応じた反力を付与される以外に、反力付与モータ12が発生するトルクによりストローク量、ストローク速度あるいは他の信号に応じた任意の大きさの反力が付与される。
反力付与モータ12はブレーキペダル11の操作に対する反力を発生し、エンコーダ13はブレーキペダル11の操作量(つまりブレーキペダル11のストローク)に応じた信号を出力する。またブレーキスイッチ15はドライバーによるブレーキペダル11の操作を検出する。
一方、車両の前後左右の車輪17(図1には1輪のみ図示)にそれぞれ設けられたホイールシリンダ18に接続されたブレーキアクチュエータ19は、モータで駆動される液圧ポンプや液圧シリンダで発生したブレーキ液圧を、任意の大きさに制御してホイールシリンダ18に供給することで車輪17を制動する。尚、ブレーキペダル11にマスタシリンダを接続しておき、電源の失陥や制御装置の故障によりブレーキアクチュエータ19が作動不能になったときに、マスタシリンダが発生するブレーキ液圧でホイールシリンダ18を作動させるフェイルセーフ機構を設けることができる。
ブレーキECU20は、4個の車輪17にそれぞれ設けた車輪速センサ22で検出した車輪速を比較することで、後述するABS制御およびEBD(エレクトロニック・ブレーキフォース・ディストリビューション)制御を実行する。
ブレーキECU20に接続された反力制御ECU26は、エンコーダ13で検出したブレーキペダル11のストロークと、ブレーキスイッチ15で検出したブレーキペダル11の操作状態とに基づいて反力付与モータ12の作動を制御するとともに、ブレーキECU20を介してブレーキアクチュエータ19の作動を制御する。
図2に示すように、反力制御ECU26はペダルストローク演算手段M1と、ペダル速度演算手段M2と、パッシブ反力推定手段M3と、剛性反力演算手段M4と、粘性摩擦反力演算手段M5と、アクティブ反力補償電流演算手段M6と、電流制御手段M7とを備えており、ペダルストローク演算手段M1およびペダル速度演算手段M2にエンコーダ13からの信号が入力され、電流制御手段M7に反力付与モータ12実電流がフィードバックされる。
ドライバーがブレーキペダル11を操作するとエンコーダ13からの信号がペダルストローク演算手段M1およびペダル速度演算手段M2に入力され、ペダルストローク演算手段M1はブレーキペダル11のストロークを演算するとともに、ペダル速度演算手段M2はブレーキペダル11のストローク速度を演算する。パッシブ反力推定手段M3はパッシブ反力、つまり反力スプリング14により発生する反力をブレーキペダル11のストロークに基づいて推定する。
アクティブ反力は反力付与モータ12により発生する反力であり、そこにはブレーキペダル11を踏んだ際にペダル位置に依存する反力をシミュレートする剛性反力と、ブレーキペダル11を踏んだ際にペダル位置に依存する反力をシミュレートする粘性摩擦反力とが含まれており、剛性反力はブレーキペダル11のストロークに基づいて剛性反力演算手段M4により演算され、粘性摩擦反力はブレーキペダル11のストローク速度に基づいて粘性摩擦反力演算手段M5により演算される。
アクティブ反力補償電流演算手段M6は、剛性反力および粘性摩擦反力の加算値からパッシブ反力推定手段M3で推定したパッシブ反力を減算して反力付与モータ12に発生させるべきアクティブ反力を算出するとともに、そのアクティブ反力を反力付与モータ12に供給すべき補償電流に換算する。そして電流制御手段M7は、反力付与モータ12に流れる実電流が前記補償電流に一致するようにフィードバック制御を行う。
以上は一般的なブレーキペダル11の反力の制御であるが、それ以外に本実施例ではブレーキECU20からの指令によってブレーキペダル11の反力が制御される。その作用を図3のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、ステップS1でドライバーがブレーキペダル11を踏んでブレーキスイッチ15がオンすると、ステップS2で4個の車輪17の車輪速を車輪速センサ22でそれぞれ検出するとともに、ステップS3でエンコーダ13によりブレーキペダル11のストロークを検出する。前記ステップS1でブレーキスイッチ15がオフしているとき、つまりブレーキペダル11が踏まれていないとき、ステップS12で剛性反力変更フラグが「0」にリセットされる。
続くステップS4でブレーキペダル11のストロークに基づいて反力付与モータ12の作動を制御する。剛性反力変更フラグが「0」にリセットされているときには、反力制御ECUは図4に破線で示す特性でブレーキペダル11の反力を制御し、剛性反力変更フラグが「1」にセットされているときには、反力制御ECUは図4に実線で示す特性でブレーキペダル11の反力を制御する。破線および実線の特性については後から詳述する。
続くステップS5でブレーキECU20はABS制御を実行する。即ち、4個の車輪17にそれぞれ設けた車輪速センサ22で検出した車輪速を比較して何れかの車輪17がロック傾向に入ったことを検出すると、ブレーキアクチュエータ19の作動を制御して前記車輪17の制動力を低減することでロックを回避し、最大限の制動力を確保して制動距離を短縮する制御を行う。
続くステップS6でブレーキECU20はEBD制御を実行する。即ち、前輪の車輪速と後輪の車輪速とを比較した結果に基づき、前輪の制動力と後輪の制動力とを適正に配分することで、特に重積載時の制動力を増加させる制御を行う。
続くステップS7で剛性反力変更フラグが「1」にセットされておらず、かつステップS8で、左右の前輪の少なくとも一方と、左右の後輪の少なくとも一方とがABS制御状態にあるとき、ステップS9で剛性反力変更フラグを「1」にセットする。つまり、ABS制御が開始されたとき、左右の前輪の少なくとも一方と左右の後輪の少なくとも一方とがABS制御状態に入れば、剛性反力変更フラグが「1」にセットされて図4の実線の特性でブレーキペダル11の反力が制御され、それ以外の場合には剛性反力変更フラグが「0」にリセットされて図4の破線の特性でブレーキペダル11の反力が制御される。
そして前記ステップS7で剛性反力変更フラグが「1」にセットされているときに、ステップS10でブレーキスイッチ15がオフすると、ステップS11で剛性反力変更フラグが「0」にリセットされる。従って、ブレーキペダル11を戻すときの反力特性は、ブレーキペダルを戻し終わってブレーキスイッチ15がオフするまで変化せずに維持される。
次に、図4に基づいてブレーキペダル11のストロークに対する反力の特性を説明する。
ABS制御が行われないときは、破線で示す反力特性が選択される。即ち、ブレーキペダル11を踏み込んでストロークが増加すると、反力勾配が次第に強くなり、そこからブレーキペダル11の踏力を緩めると、ストロークが減少し始める。その際に、ストロークの増加時に比べて減少時の方が踏力が小さくなるようにヒステリシスが設定される。
ここで踏力f0において前輪および後輪のうちの1輪のABS制御が開始されたとすると、従来技術の場合は、図中の鎖線に示す特性に変更される。ドライバーの一般的な習性として、ブレーキペダル11を踏み込んで制動を行った場合に何れかの車輪17がロック傾向になってABSし、反力特性が変化した場合は、制動力が強過ぎたと感じてブレーキペダル11の更なる踏み込みを躊躇する場合が多い。このため、従来技術の場合の最大踏力は、図中の踏力f2に抑えられてしまう。
一方、本発明では、左右の前輪の少なくとも一方と、左右の後輪の少なくとも一方とがABS制御状態に入るまで、図中の実線に示す特性のように反力特性が変化されないため、ドライバーは1輪のABS制御が開始される踏力f0から、左右の前輪の少なくとも一方と、左右の後輪の少なくとも一方とがABS制御状態に入る踏力f1まで躊躇なく踏力を上昇させることができる。この踏力f1において反力が急激に立ち上がるため、ドライバーはより大きな制動力を発生させつつ、ABS制御の作動を認識して安心感を得ることができ、ステアリングホイールによる障害物の回避操作に集中することができる。この際の最大踏力は前述の最大踏力f2よりも大きいf3を発生することができる。
次に戻り側の特性であるが、ABS制御が行われていないときは、破線で示す反力特性が選択されるため、最大踏力f3の発生後、f3よりも低い踏力f4まではヒステリシス特性のため、ストロークが減少しずらくなる。このため、踏力がf4まで低下しても制動力は維持される。しかし、そのヒステリシス量h1は比較的に小さく設定されている。
一方、本発明では、左右の前輪の少なくとも一方と、左右の後輪の少なくとも一方とがABS制御状態に入った後、図中の実線に示す特性のように戻り側の反力特性も変化される。つまり、ヒステリシス量h2はh1に比較して大きく設定されている。このため、ブレーキペダル11の踏力をf4よりも更に低い踏力f5まで緩めるまでは、ストロークが減少しずらくなる。つまり、ABS制御が一度作動状態になると、その状態をできるだけ長く維持することができる。
次に、図5に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
第1実施例ではブレーキ・バイ・ワイヤ式のブレーキ装置を例示したが、第2実施例は本発明をマスタシリンダを備えたコンベンショナルなブレーキ装置に適用したものである。
マスタシリンダ31を作動させる負圧ブースタ32に機械的に接続されたブレーキペダル11の上端を揺動自在に枢支する支軸に、反力付与モータ12およびエンコーダ13とが接続される。エンコーダ13はブレーキペダル11のストロークに応じた信号を出力し、ブレーキスイッチ15はドライバーによるブレーキペダル11の操作を検出し、踏力センサ16はブレーキペダル11に加えられる踏力を検出する。マスタシリンダ31と前後左右の車輪(図には1輪のみ表示)に設けられたホイールシリンダ18…とが油圧モジュール33を介して接続されており、この油圧モジュール33は追従走行ECU20からの信号で制御される。即ち、この第2実施例では、第1実施例のブレーキアクチュエータ19の代わりに、マスタシリンダ32が発生したブレーキ油圧でホイールシリンダ18…を作動させるようになっている。
しかして、この第2実施例ではブレーキペダル11に加えられた踏力が負圧ブースタ31を介してマスタシリンダ32を作動させ、マスタシリンダ32が発生したブレーキ油圧が油圧モジュール33を介してホイールシリンダ18…を作動させる。そして追従走行ECU20からの減速指令で油圧モジュール33が作動してブレーキ油圧を発生させることで、ホイールシリンダ18…を自動的に作動させるようになっている。
第2実施例のその他の構成および効果は、上述した第1実施例と同じである。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例では左右の前輪の少なくとも一方および左右の後輪の少なくと一方がロック傾向になってABSが作動した場合に、図4の破線の反力特性から実線の反力特性に変更しているが、4個の車輪17のうちの少なくとも2個の車輪17(例えば、左右の前輪あるいは左右の後輪)がロック傾向になってABSが作動した場合にも、図4の破線の反力特性から実線の反力特性に変更することができる。
ブレーキ・バイ・ワイヤ式のブレーキ装置の全体構成を示す図 ブレーキECUの回路構成を示すブロック図 ブレーキ制御の作用を説明するフローチャート ブレーキペダルのストロークと反力との関係を示すテーブル 第2実施例のブレーキ装置の全体構成を示す図
符号の説明
11 ブレーキペダル
12 反力付与モータ(反力付与手段)
19 ブレーキアクチュエータ
20 ブレーキECU(ABS制御手段)
26 反力制御ECU(反力制御手段)

Claims (2)

  1. ドライバーの足で操作されるブレーキペダル(11)と、ブレーキペダル(11)の操作に対する反力を付与する反力付与手段(12)と、反力付与手段(12)の作動を制御する反力制御手段(26)と、車輪のロック傾向に応じて制動力を制御するABS制御手段(20)とを備えた車両のブレーキ装置において、
    前記反力制御手段(26)は、少なくとも二つの車輪がロック傾向になってABS制御手段(20)が作動したときに、ABS制御手段(20)の非作動時に比べて、ブレーキペダル(11)のストロークに対する反力の大きさを増加させることを特徴とする車両のブレーキ装置。
  2. 前記反力制御手段(26)は、ABS制御手段(20)が作動したときのブレーキペダル(11)のストロークに対する戻し側の反力の大きさを、非制御時よりも小さくなるように設定したことを特徴とする、請求項1に記載の車両のブレーキ装置。
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