JP2006281384A - 研磨装置、基板の研磨終点位置検出方法、及び基板の膜厚測定方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】 研磨における加工終点を十分に検出することができる方法及びかかる方法を適用することが可能な研磨装置を提供することを目的とする。
【構成】 基板200を研磨する研磨パッド230、ターンテーブル220や、トップリング210等から構成される研磨部と、前記基板200の表面側と裏面側とのうち、いずれか一方に配置され、前記研磨部が前記基板を研磨する間、複数の陽電子112を放出する陽電子線源110と、前記基板200を挟んで前記陽電子線源110と対向して配置され、放出された前記複数の陽電子112の寿命を測定する、シンチレータ122,124、CFD142,144、TAC150や、MCA160等から構成される測定部と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【構成】 基板200を研磨する研磨パッド230、ターンテーブル220や、トップリング210等から構成される研磨部と、前記基板200の表面側と裏面側とのうち、いずれか一方に配置され、前記研磨部が前記基板を研磨する間、複数の陽電子112を放出する陽電子線源110と、前記基板200を挟んで前記陽電子線源110と対向して配置され、放出された前記複数の陽電子112の寿命を測定する、シンチレータ122,124、CFD142,144、TAC150や、MCA160等から構成される測定部と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、研磨装置、基板の研磨終点位置検出方法、及び基板の膜厚測定方法に係り、例えば、半導体基板を化学機械研磨(CMP)するCMP装置、及びCMP装置における基板の研磨終点位置検出方法、或いは基板の膜厚測定方法に関する。
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(ケミカル・メカニカル・ポリッシング:chemical mechanical polishing:CMP)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、或いは埋め込み工程において頻繁に利用されている技術である。
ここで、CMP法を用いて半導体基板表面を研磨する場合、研磨加工の終点を示す位置を検出する必要がある。そして、加工しながら研磨加工の終点を示す位置を検出する場合、加工終点時における固体同士の界面の位置を非破壊、非接触で評価することが望まれる。加工しながら終点を検出する方法としては、CMP装置の加工トルク変化を検出する手法が一般に用いられている。これは、半導体基板を回転させながら加工する際、半導体基板面と研磨布(研磨パッド)との摩擦力により生じる加工トルク変化を検出するものである。
しかしながら、かかる手法では、加工トルクの違いが小さい材料間の界面を検出することができない。例えば、シリコン基板上にシリコンをエピタキシャル成長させた場合、CMP法を用いて、シリコン基板上のエピタキシャルシリコン(ホモエピタキシャルシリコン)をシリコン基板との界面まで加工しても、加工トルクが一定であり界面検出が出来ない。また、異種界面、例えば、ポリシリコン/酸化膜界面であってもトルク変化が小さく検出が困難な場合が生じる。
また、CMP法における研磨加工の終点を示す位置を検出する別の手法として、固体中を透過する光を使って、界面で生じる反射率の変化を光の干渉効果を利用して検出するという手法が試みられている。しかし、このような手法では固体中を光が透過する必要があるので適用できる材質に制約がある。また、シリコン基板上にシリコンをエピタキシャル成長させた構造では界面での反射率変化は生じず界面を検出することが出来ない。このような構造を加工する場合には、同一サンプルを破壊して界面の位置を特定することが必要となる。
上述したように、CMP装置の加工トルク変化を検出する手法や、固体中を透過する光を使って、界面で生じる反射率の変化を光の干渉効果を利用して検出する手法といった従来の手法では、十分な界面検出ができない状況にあった。そのため、CMP法における加工終点検出ができない場合があった。さらに、CMP装置の加工トルク変化を検出する手法や、固体中を透過する光を使って、界面で生じる反射率の変化を光の干渉効果を利用して検出する手法といった従来の手法では、検出できる材料を用いたとしても界面まで研磨しないとその界面検出ができないため、CMP加工の事前に、非破壊、非接触で基板上に形成されたかかる材料の膜の膜厚を測定することができなかった。そのため、CMP加工の事前に、或いは、加工中に非破壊、非接触で膜の膜厚を把握することができなかった。
その他、一般に材料の表面状態や欠陥の評価を行なう手法として、陽電子を用いた技術がある。陽電子を用いた技術として、例えば、基板表面をプラズマにより処理しつつ、基板裏面に陽電子を照射し、陽電子と電子とによる対消滅で生じるγ線を測定することにより基板の表面状態をその場解析するという技術(例えば、特許文献1参照)が提案されている。その他にも、陽電子を用いた技術が文献に開示されている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。
特開平3−179759号公報
米国特許番号5200619号公報
白井泰治著「陽電子による構造欠陥解析技術」,まてりあ第37巻第1号(1998)pp61−67
本発明は、上述した問題点を克服し、研磨における加工終点を十分に検出することができる方法及びかかる方法を適用することが可能な研磨装置を提供することを目的とし、さらには、非破壊、非接触で基板上に形成された膜の膜厚を測定できる方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の研磨装置は、
基板を研磨する研磨部と、
前記基板の表面側と裏面側とのうち、いずれか一方に配置され、前記研磨部が前記基板を研磨する間、複数の陽電子を放出する陽電子線源と、
前記基板を挟んで前記陽電子線源と対向して配置され、放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定部と、
を備えたことを特徴とする。
基板を研磨する研磨部と、
前記基板の表面側と裏面側とのうち、いずれか一方に配置され、前記研磨部が前記基板を研磨する間、複数の陽電子を放出する陽電子線源と、
前記基板を挟んで前記陽電子線源と対向して配置され、放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定部と、
を備えたことを特徴とする。
そして、本発明の一態様の基板の研磨終点位置検出方法は、
基板を研磨する間、前記基板に複数の陽電子を放出する陽電子放出工程と、
放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定工程と、
を備え、
前記基板を研磨する間測定される所定の寿命を有する陽電子の数の変曲点を前記基板の研磨終点位置として検出することを特徴とする。
基板を研磨する間、前記基板に複数の陽電子を放出する陽電子放出工程と、
放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定工程と、
を備え、
前記基板を研磨する間測定される所定の寿命を有する陽電子の数の変曲点を前記基板の研磨終点位置として検出することを特徴とする。
また、基板の研磨終点位置を検出する他に、基板の膜厚を測定する方法として、本発明の一態様の基板の膜厚測定方法は、
材料の異なる複数の層が形成された基板に、入射エネルギーの異なる複数の陽電子を放出する陽電子放出工程と、
放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定工程と、
を備え、
所定の寿命を有する陽電子群の入射エネルギーの最小値と最大値とをそれぞれ前記基板内への陽電子の進入長さに変換し、変換された陽電子の進入長さの差分値を所定の層の膜厚とすることを特徴とする。
材料の異なる複数の層が形成された基板に、入射エネルギーの異なる複数の陽電子を放出する陽電子放出工程と、
放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定工程と、
を備え、
所定の寿命を有する陽電子群の入射エネルギーの最小値と最大値とをそれぞれ前記基板内への陽電子の進入長さに変換し、変換された陽電子の進入長さの差分値を所定の層の膜厚とすることを特徴とする。
本発明によれば、複数の陽電子の寿命を測定することにより、所定の寿命の陽電子の個数や陽電子の寿命変化を検出することができる。かかる所定の寿命の陽電子の個数や陽電子の寿命変化から非破壊、非接触で界面検出を行なうことができる。界面検出を行なうことができるので、研磨における加工終点を十分に検出することができる。さらに、界面検出を行なうことができるので、界面位置に存在した陽電子の入射エネルギーから所定の層の膜厚を測定することができる。
実施の形態1.
以下、図面を用いて、実施の形態1について説明する。
図1は、実施の形態1におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図1において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100は、研磨部と陽電子線源110と測定部とを備えている。研磨部は、研磨時に回転するターンテーブル220と、ターンテーブル220上に配置された研磨パッド(研磨布)230と、被研磨試料となるウェハ等の基板200の表面を研磨パッド230側に向けた状態で保持する保持部となるトップリング210と、スラリー液等の研磨液250を研磨パッド230上に供給する供給ノズル240とを有している。測定部は、シンチレータ122、光電子増倍管132、コンスタント・フラクションディスクリミネータ(CFD)142、高圧電源172、シンチレータ124、光電子増倍管134、コンスタント・フラクションディスクリミネータ(CFD)144、高圧電源174、ファースト・コインシデンス180、時間差波高変換器(TAC)150、マルチ・チャネルアナライザ(MCA)160を有している。
以下、図面を用いて、実施の形態1について説明する。
図1は、実施の形態1におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図1において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100は、研磨部と陽電子線源110と測定部とを備えている。研磨部は、研磨時に回転するターンテーブル220と、ターンテーブル220上に配置された研磨パッド(研磨布)230と、被研磨試料となるウェハ等の基板200の表面を研磨パッド230側に向けた状態で保持する保持部となるトップリング210と、スラリー液等の研磨液250を研磨パッド230上に供給する供給ノズル240とを有している。測定部は、シンチレータ122、光電子増倍管132、コンスタント・フラクションディスクリミネータ(CFD)142、高圧電源172、シンチレータ124、光電子増倍管134、コンスタント・フラクションディスクリミネータ(CFD)144、高圧電源174、ファースト・コインシデンス180、時間差波高変換器(TAC)150、マルチ・チャネルアナライザ(MCA)160を有している。
陽電子線源110は、トップリング210に配置され、基板200の裏面に接触或いは近傍に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、基板200を挟んで前記陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、ターンテーブル220の下に配置される。シンチレータ122には、光電子増倍管132が接続される。同様に、シンチレータ124には、光電子増倍管134が接続される。CMP本体内には、かかる研磨部と陽電子線源110とシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が配置され、その他の測定部の構成(信号処理系統)は、別の信号処理系の中に配置されればよい。シンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134以外の測定部の構成を別の信号処理系の中に配置することができるので、CMP装置本体をコンパクトな構成とすることができる。また、従来のCMP装置を改造して用いることもできる。そして、改造する場合でも、既存の装置を大幅に改造する必要は無い。以上のように、陽電子線源110をCMP装置100のトップリング210側に設け、ターンテーブル220裏側に陽電子寿命測定装置となるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134を設けた。そして、後述するように、シンチレータ122、シンチレータ124により、ターンテーブル220を透過するγ線を検出する。陽電子線源110は、後述するように、例えば、直径19mmの円柱密封容器で構成できるため、CMP装置のトップリング210に容易に取り付け可能である。また、ターンテーブル220下にはγ線の検出用のシンチレータ/光増幅器を設けるだけにして、信号処理系統をCMP装置外に設置することで、既存の装置を大幅に改造する必要も無く、使用することができる。
CMP装置100において、ターンテーブル220上に配置された、研磨パッド230上に、研磨面を下に向けて基板200をトップリング210が保持する。そして、スラリーを研磨液250として、供給ノズル240から供給する。トップリング210を回転することで基板200を回転させ、ターンテーブル220も回転させる。ターンテーブル220の回転方向先に位置する基板200の手前に研磨液250を供給することで、研磨液250が基板200面内に供給される。そして、研磨パッド230と研磨液250とによって、基板200の表面を化学機械研磨することができる。
図2は、陽電子線源から陽電子が放出される様子を示す図である。
陽電子112とは、電子と同じ質量を持ち、電子とまったく同じ絶対値のプラスの電荷を持った電子の反粒子(e+)である。陽電子線源110からは、この陽電子112が全方向に均等に放出される。陽電子112は、β+壊変型放射性同位体の崩壊過程で発生する。よって、陽電子線源110としては、かかる放射性同位体を用いる。例えば、22Na、58Co、68Ge、サイクロトロン等を用いることができる。中でも、22Naは、半減期が2.6年と長く、入手しやすく取り扱いが容易で、化学的にはNaCl固体状態で安定しているので望ましい。例えば、22Naは、カプトン膜やNi膜で密封された状態で陽電子線源110として用いることができる。例えば、直径19mm程度の大きさで構成することができる。
陽電子112とは、電子と同じ質量を持ち、電子とまったく同じ絶対値のプラスの電荷を持った電子の反粒子(e+)である。陽電子線源110からは、この陽電子112が全方向に均等に放出される。陽電子112は、β+壊変型放射性同位体の崩壊過程で発生する。よって、陽電子線源110としては、かかる放射性同位体を用いる。例えば、22Na、58Co、68Ge、サイクロトロン等を用いることができる。中でも、22Naは、半減期が2.6年と長く、入手しやすく取り扱いが容易で、化学的にはNaCl固体状態で安定しているので望ましい。例えば、22Naは、カプトン膜やNi膜で密封された状態で陽電子線源110として用いることができる。例えば、直径19mm程度の大きさで構成することができる。
図3は、陽電子の寿命を測定する手法を説明するための図である。
陽電子放出工程として、陽電子線源110から放出された陽電子112は、基板200内に入射され、基板200内の電子と衝突し、対消滅する。ここで、陽電子線源110、特に、22Naは、β+崩壊の際、すなわち、陽電子112を発生する際に、1.28MeVのγ線を放出する。そして、基板200内の電子と衝突し、対消滅する際に、511keVのγ線を放出する。よって、測定工程として、1.28MeVのγ線をシンチレータ122で検出し、その検出時間をスタート信号とし、511keVのγ線をシンチレータ124で検出し、その検出時間をストップ信号として測定すれば、発生してから消滅するまでの時間をかかる陽電子112の寿命として測定することができる。
陽電子放出工程として、陽電子線源110から放出された陽電子112は、基板200内に入射され、基板200内の電子と衝突し、対消滅する。ここで、陽電子線源110、特に、22Naは、β+崩壊の際、すなわち、陽電子112を発生する際に、1.28MeVのγ線を放出する。そして、基板200内の電子と衝突し、対消滅する際に、511keVのγ線を放出する。よって、測定工程として、1.28MeVのγ線をシンチレータ122で検出し、その検出時間をスタート信号とし、511keVのγ線をシンチレータ124で検出し、その検出時間をストップ信号として測定すれば、発生してから消滅するまでの時間をかかる陽電子112の寿命として測定することができる。
シンチレータ122は、陽電子112が放出される際に、発生した1.28MeVのγ線を検出する。そして、1.28MeVのγ線が入射するとシンチレータ122では発光が起こり、光電子増倍管132で増幅して電気信号に変換する。電気信号は、CFD142に送信される。CFD142では、γ線のエネルギーが1.28MeVであることを確認する。そして、確認した場合に受信したタイミング信号をスタート信号としてTAC150に送信する。高圧電源172は、光電子増倍管132に電源を供給する。同様に、シンチレータ124は、陽電子112が対消滅する際に、発生した511keVのγ線を検出する。そして、511keVのγ線が入射するとシンチレータ124では発光が起こり、光電子増倍管134で増幅して電気信号に変換する。電気信号は、CFD144に送信される。CFD144では、γ線のエネルギーが511keVであることを確認する。そして、確認した場合に受信したタイミング信号をストップ信号としてTAC150に送信する。高圧電源174は、光電子増倍管134に電源を供給する。ここで、ファースト・コインシデンス180は、光電子増倍管132と光電子増倍管134から電気信号を入力し、スタート信号とストップ信号との同時性を確認する。そして、TAC150は、スタート信号が入力された時刻とストップ信号が入力された時刻との差分値(時間差)を電圧に変換して、MCA160に送信する。ここで、TAC150は、ファースト・コインシデンス180により、スタート信号とストップ信号との同時性が確認された場合にのみ差分値(時間差)を電圧に変換するようにするとよい。同時性を確認することで他の放射線の影響を排除することができる。MCA160では、入力された電圧を数値に変換し、各数値ごとに入力された数を集積していく。言い換えれば、所定の寿命の陽電子数をカウントしていく。そして、例えば、縦軸を計測数(カウント数)、横軸を時間とするヒストグラムを作成する。ヒストグラムを作成することで、陽電子寿命スペクトルを得ることができる。計測数としては、例えば、106〜7個/S計測すれば十分である。
図4は、シンチレータの配置を示す図である。
シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子112の寿命を測定するので、配置位置を、基板200を挟んで前記陽電子線源110から実質的に同距離となるように配置することが望ましい。前記陽電子線源110から同距離となるように配置することにより、γ線検出のタイム誤差を減らすことができ、より正確な陽電子112の寿命を測定することができる。ここで、陽電子112が対消滅してγ線を放出する際、運動量保存則から180°の方向に2本のγ線が放出される。そこで、シンチレータ122とシンチレータ124との向きをずらして配置することにより、誤検出を抑制することができる。シンチレータ122とシンチレータ124との向きを、鋭角になるように配置するとよい。例えば、図4に示すような90°になるように配置すると好適である。
シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子112の寿命を測定するので、配置位置を、基板200を挟んで前記陽電子線源110から実質的に同距離となるように配置することが望ましい。前記陽電子線源110から同距離となるように配置することにより、γ線検出のタイム誤差を減らすことができ、より正確な陽電子112の寿命を測定することができる。ここで、陽電子112が対消滅してγ線を放出する際、運動量保存則から180°の方向に2本のγ線が放出される。そこで、シンチレータ122とシンチレータ124との向きをずらして配置することにより、誤検出を抑制することができる。シンチレータ122とシンチレータ124との向きを、鋭角になるように配置するとよい。例えば、図4に示すような90°になるように配置すると好適である。
シンチレータは、例えば、プラスチックシンチレータやBaF2等を用いると好適である。特に、BaF2を用いることにより、γ線の光電ピークを明瞭に観測することができるためなおよい。また、光電子増倍管の受光窓は、石英を用いるのが望ましい。石英を用いることにより、減衰時間の短い紫外領域の成分にも対応することができる。
図5は、上部から見たCMP装置の動作を説明するための図である。
図5に示すように、研磨パッド230がターンテーブル220と共に回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。ここでは、陽電子線源110は、基板200の回転中心位置に配置され、基板中央部の状態を検出することができる。
図5に示すように、研磨パッド230がターンテーブル220と共に回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。ここでは、陽電子線源110は、基板200の回転中心位置に配置され、基板中央部の状態を検出することができる。
図6は、陽電子のエネルギー分布を示す図である。
例えば、22Naを陽電子線源110として用いた場合、放出される陽電子は、白色陽電子となり、0〜540keVのエネルギー分布(平均エネルギー240keV)を持つ。
例えば、22Naを陽電子線源110として用いた場合、放出される陽電子は、白色陽電子となり、0〜540keVのエネルギー分布(平均エネルギー240keV)を持つ。
以下、かかるCMP装置100を用いて、多層構造でかつ層中の陽電子寿命が異なる材料の界面を非破壊、非接触で評価する手法を説明する。
図7は、low−k膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
ここでは、一例として、シリコン(Si)基板202上にアルミ(Al)配線205が形成され、その上に多孔質の低誘電率(low−k)膜208が厚く形成された基板200を用いる。ここで、Al配線205には、側面と上部に拡散防止のためのバリアメタル(BM)膜206が形成されている。また、配線が形成されていないSi基板202上には、SiO2膜204が形成されている。ここでは、かかるlow−k膜208をCMPによりBM膜206表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
図7は、low−k膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
ここでは、一例として、シリコン(Si)基板202上にアルミ(Al)配線205が形成され、その上に多孔質の低誘電率(low−k)膜208が厚く形成された基板200を用いる。ここで、Al配線205には、側面と上部に拡散防止のためのバリアメタル(BM)膜206が形成されている。また、配線が形成されていないSi基板202上には、SiO2膜204が形成されている。ここでは、かかるlow−k膜208をCMPによりBM膜206表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
図7(a)に示すように、基板200の裏面側の陽電子線源110から0〜540keVのエネルギー分布をもった陽電子112が放出されると、それぞれの陽電子112のもつエネルギーに応じた深さまで基板200内部に打ち込まれる。また、陽電子112は、各エネルギーによって、深さ方向に略均一に分散される。よって、Si基板202に留まる陽電子112もあれば、low−k膜208内に進入する陽電子112も存在する。図7(a)では、同時に複数の陽電子112が放出され、基板200内部に存在するようにも見えるが、各陽電子112は、1つずつ順に放出され、次の陽電子112が放出される前に所定の寿命で消滅することになる。ここで、low−k材料は多孔質であり陽電子112は、low−k材料中の空孔にトラップされて寿命が延びる。例えば、ポーラスシリコン酸化膜の場合は、142nsecとなる。
図8は、low−k材料の内部の様子を説明するための図である。
図8に示すように、ポーラスシリコン酸化膜に代表されるlow−k材料は、ナノメータスケールの空孔(ポア)を有しておりこのような材料に陽電子(数keV)を照射すると、クーロン結合で結ばれた陽電子−電子束縛状態(ポシトロニウム)が生じるため、寿命が142nsecとなる。ポシトロニウムの寿命が142nsecに対してシリコン結晶中の陽電子寿命は220psecであるため、多孔質のlow−k材料では、寿命を延ばすことができる。
図8に示すように、ポーラスシリコン酸化膜に代表されるlow−k材料は、ナノメータスケールの空孔(ポア)を有しておりこのような材料に陽電子(数keV)を照射すると、クーロン結合で結ばれた陽電子−電子束縛状態(ポシトロニウム)が生じるため、寿命が142nsecとなる。ポシトロニウムの寿命が142nsecに対してシリコン結晶中の陽電子寿命は220psecであるため、多孔質のlow−k材料では、寿命を延ばすことができる。
かかる状態で、low−k膜208をCMP加工すると、当初は、low−k膜208の体積が大きいため、low−k膜208中に打ち込まれた陽電子112の数も相対的に多いはずである。そのため、寿命が142nsecとなる陽電子112の数も多く検出される。しかし、CMP加工が進むにつれ、low−k膜208の体積が減少していくため、それに相関して寿命が142nsecとなる陽電子112の数も減少していく。ここで、図7(b)に示すように、CMP加工面がBM膜206上面まで進むと、low−k膜208が存在するのは、配線が形成されていないパターン領域のみとなり、それまでとは、体積減少量が大きく変化する。よって、それに相関して寿命が142nsecとなる陽電子112の数の減少傾向も変曲点を迎えることになる。
図9は、142nsecの寿命をもつ陽電子のカウント数とCMP加工時間との関係を示す図である。
図9に示すように、加工面がBM膜206表面に達するとlow−k材料に起因する142nsecのスペクトル強度(陽電子のカウント数)の推移が不連続に変化する。上述したように、CMPによる連続的なlow−k材量の体積減少により寿命スペクトル強度も連続的に変化するのに対してポリッシュ面がBM膜206表面に達すると寿命スペクトルは配線が無い領域に埋め込まれた体積のlow−k材料に起因するようになるためスペクトル強度変化が不連続(変曲点)となる(スペクトル強度変化率の減少)ためである。
図9に示すように、加工面がBM膜206表面に達するとlow−k材料に起因する142nsecのスペクトル強度(陽電子のカウント数)の推移が不連続に変化する。上述したように、CMPによる連続的なlow−k材量の体積減少により寿命スペクトル強度も連続的に変化するのに対してポリッシュ面がBM膜206表面に達すると寿命スペクトルは配線が無い領域に埋め込まれた体積のlow−k材料に起因するようになるためスペクトル強度変化が不連続(変曲点)となる(スペクトル強度変化率の減少)ためである。
以上のように、low−k材料をCMP加工する場合に、寿命スペクトルの変化(信号強度、寿命)を測定することによりポリッシュの進行状況、終点を判定することができる。
図10は、ポリシリコン膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
ここでは、一例として、Si基板202上に形成されたトレンチとその上部にポリシリコン310の膜が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、かかるポリシリコン310の膜をCMPによりSi基板202表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
ここでは、一例として、Si基板202上に形成されたトレンチとその上部にポリシリコン310の膜が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、かかるポリシリコン310の膜をCMPによりSi基板202表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
図10(a)に示すように、基板200の裏面側の陽電子線源110から0〜540keVのエネルギー分布をもった陽電子112が放出されると、それぞれの陽電子112のもつエネルギーに応じた深さまで基板200内部に打ち込まれる。図10(a)では、同時に複数の陽電子112が放出され、基板200内部に存在するようにも見えるが、上述したように、各陽電子112は、1つずつ順に放出され、次の陽電子112が放出される前に所定の寿命で消滅することになる。ここで、ポリシリコンは単結晶粒の境界(グレインバウンダリ)で電子密度が低下するため、ここで陽電子112がトラップされ、寿命が延びる。例えば、ポリシリコンの場合は、500psecとなる。
かかる状態で、ポリシリコン310の膜をCMP加工すると、当初は、ポリシリコン310の膜の体積が大きいため、ポリシリコン310の膜中に打ち込まれた陽電子112の数も相対的に多いはずである。そのため、寿命が500psecとなる陽電子112の数も多く検出される。しかし、CMP加工が進むにつれ、ポリシリコン310の膜の体積が減少していくため、それに相関して寿命が500psecとなる陽電子112の数も減少していく。ここで、図10(b)に示すように、CMP加工面がSi基板202上面まで進むと、ポリシリコン310の膜が存在するのは、トレンチ領域のみとなり、それまでとは、体積減少量が大きく変化する。よって、それに相関して寿命が500psecとなる陽電子112の数の減少傾向も変曲点を迎えることになる。
図11は、500psecの寿命をもつ陽電子のカウント数とCMP加工時間との関係を示す図である。
図11に示すように、加工面がSi基板202表面に達するとポリシリコンのグレインに起因する500psecのスペクトル強度が不連続に変化する。上述したように、CMPによる連続的なポリシリコン材料の体積減少により寿命スペクトル強度(カウント数)も連続的に変化するのに対してポリッシュ面がSi基板202表面に達すると寿命スペクトルはトレンチに埋め込まれた体積のポリシリコン材料に起因するようになるためスペクトル強度変化が不連続となる(スペクトル強度変化率の減少)ためである。
図11に示すように、加工面がSi基板202表面に達するとポリシリコンのグレインに起因する500psecのスペクトル強度が不連続に変化する。上述したように、CMPによる連続的なポリシリコン材料の体積減少により寿命スペクトル強度(カウント数)も連続的に変化するのに対してポリッシュ面がSi基板202表面に達すると寿命スペクトルはトレンチに埋め込まれた体積のポリシリコン材料に起因するようになるためスペクトル強度変化が不連続となる(スペクトル強度変化率の減少)ためである。
以上のように、シリコン単結晶基板上にポリシリコンを成膜してCMPによりトレンチ内に埋め込む工程では上記low−k材料の場合と同様にポリッシュ終点で長寿命のスペクトル強度が不連続に変化するのでCMPの進行状況、終点判定を行なうことが出来る。
図12は、ヘテロエピタキシャルシリコン膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
ここでは、一例として、Si基板202上にヘテロエピタキシャルシリコン(Si)320が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、かかるヘテロエピタキシャルSi320をCMPによりSi基板202表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
ここでは、一例として、Si基板202上にヘテロエピタキシャルシリコン(Si)320が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、かかるヘテロエピタキシャルSi320をCMPによりSi基板202表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
図12(a)に示すように、基板200の裏面側の陽電子線源110から0〜540keVのエネルギー分布をもった陽電子112が放出されると、それぞれの陽電子112のもつエネルギーに応じた深さまで基板200内部に打ち込まれる。図12(a)では、同時に複数の陽電子112が放出され、基板200内部に存在するようにも見えるが、上述したように、各陽電子112は、1つずつ順に放出され、次の陽電子112が放出される前に所定の寿命で消滅することになる。ここで、ヘテロエピタキシャルSi界面にはミスフィット転位、積層欠陥などの格子欠陥が局所的に存在する。このような格子欠陥では電子密度が低下しているため、シリコン結晶中に較べて陽電子寿命が長くなる。例えば、約240psecとなる。
かかる状態で、ヘテロエピタキシャルSi320をCMP加工し、図12(b)に示すように、CMP加工面がSi基板202上面まで進むと、格子欠陥の消滅に伴い寿命が約240psecとなる陽電子の数が急激に減少する変曲点を迎えることになる。
図13は、240psecの寿命をもつ陽電子のカウント数とCMP加工時間との関係を示す図である。
図13に示すように、加工面がSi基板202表面、すなわち、界面に達すると格子欠陥の消滅に伴い陽電子寿命が不連続に変化する。すなわち、スペクトル強度変化が不連続となる(スペクトル強度の減少)ためである。
図13に示すように、加工面がSi基板202表面、すなわち、界面に達すると格子欠陥の消滅に伴い陽電子寿命が不連続に変化する。すなわち、スペクトル強度変化が不連続となる(スペクトル強度の減少)ためである。
以上のように、シリコン単結晶基板上に成膜したヘテロエピタキシャルSiをCMPにより除去する工程では、ポリッシュ終点となる界面での格子欠陥の消滅に伴いスペクトル強度が不連続に変化するのでCMPの進行状況、終点判定を行なうことが出来る。ここで、ヘテロエピタキシャルSi界面において、さらに、空孔との相互作用がある場合にはさらに長寿命となる。
図14は、n型ホモエピタキシャルシリコン膜上に形成されたp型ホモエピタキシャルシリコン膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
ここでは、一例として、Si基板202上に成膜されたn型ホモエピタキシャルシリコン膜(n−ホモエピタキシャルSi)332のトレンチ及びその上部にp型ホモエピタキシャルシリコン膜(p−ホモエピタキシャルSi)334が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、かかるp−ホモエピタキシャルSi334をCMPによりn−ホモエピタキシャルSi332表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。p−ホモエピタキシャルSi334とn−ホモエピタキシャルSi332は、いわゆるスーパージャンクション構造を形成する。
ここでは、一例として、Si基板202上に成膜されたn型ホモエピタキシャルシリコン膜(n−ホモエピタキシャルSi)332のトレンチ及びその上部にp型ホモエピタキシャルシリコン膜(p−ホモエピタキシャルSi)334が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、かかるp−ホモエピタキシャルSi334をCMPによりn−ホモエピタキシャルSi332表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。p−ホモエピタキシャルSi334とn−ホモエピタキシャルSi332は、いわゆるスーパージャンクション構造を形成する。
図14(a)に示すように、基板200の裏面側の陽電子線源110から0〜540keVのエネルギー分布をもった陽電子112が放出されると、それぞれの陽電子112のもつエネルギーに応じた深さまで基板200内部に打ち込まれる。図14(a)では、同時に複数の陽電子112が放出され、基板200内部に存在するようにも見えるが、上述したように、各陽電子112は、1つずつ順に放出され、次の陽電子112が放出される前に所定の寿命で消滅することになる。ここで、ヘテロエピタキシャルSi界面と同様、p−ホモエピタキシャルSi334とn−ホモエピタキシャルSi332との界面(例えばシリコン基板上にシリコンをエピタキシャル成長させた界面)にも不純物濃度の違いによりミスフィット転位、積層欠陥などの格子欠陥が局所的に存在する。このような格子欠陥では電子密度が低下しているため、シリコン結晶中に較べて陽電子寿命が長くなる。
かかる状態で、p−ホモエピタキシャルSi334をCMP加工し、図14(b)に示すように、CMP加工面がn−ホモエピタキシャルSi332上面まで進むと、格子欠陥の消滅に伴い、寿命が長い陽電子の数が急激に減少する変曲点を迎えることになる。よって、界面に達すると格子欠陥の消滅に伴い陽電子寿命が不連続に変化する。すなわち、スペクトル強度変化が不連続となる(スペクトル強度の減少)ためである。
以上のように、シリコン単結晶基板上に成膜したヘテロエピタキシャルSiをCMPにより除去する場合と同様、ポリッシュ終点となる界面での格子欠陥の消滅に伴いスペクトル強度が不連続に変化するのでCMPの進行状況、終点判定を行なうことが出来る。
ここで、ホモエピタキシャル層界面の検出感度を上げる手法を以下に説明する。
図15は、Si基板上に形成されたホモエピタキシャルシリコン膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
図15(a)に示すように、ここでは、一例として、Si基板202上にホモエピタキシャルシリコン膜330が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、Si基板202上の一部に酸化膜(SiO2膜)204を形成する工程を追加する。SiO2膜204はダイシングライン上など素子を作りこむ領域外に形成することが望ましい。素子を作りこむ領域外に形成することで、Si基板202上から完全に除去しなくて済ますことができる。Si基板202上にエピタキシャルシリコンを成長させる工程において、SiO2膜204上では、エピタキシャル成長することが出来ずポリシリコン310が形成される。上述したように、ポリシリコンのグレインバウンダリは陽電子112のトラップサイトとなる。ここでは、かかるホモエピタキシャルシリコン膜330をCMPによりSi基板202表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
図15は、Si基板上に形成されたホモエピタキシャルシリコン膜をCMP法により研磨する場合の加工終点検出を行う手法を説明するための図である。
図15(a)に示すように、ここでは、一例として、Si基板202上にホモエピタキシャルシリコン膜330が厚く形成された基板200を用いる。ここでは、Si基板202上の一部に酸化膜(SiO2膜)204を形成する工程を追加する。SiO2膜204はダイシングライン上など素子を作りこむ領域外に形成することが望ましい。素子を作りこむ領域外に形成することで、Si基板202上から完全に除去しなくて済ますことができる。Si基板202上にエピタキシャルシリコンを成長させる工程において、SiO2膜204上では、エピタキシャル成長することが出来ずポリシリコン310が形成される。上述したように、ポリシリコンのグレインバウンダリは陽電子112のトラップサイトとなる。ここでは、かかるホモエピタキシャルシリコン膜330をCMPによりSi基板202表面まで研磨する場合の加工終点検出を行なう。
かかる状態で、ホモエピタキシャルシリコン膜330をCMP加工し、図15(b)に示すように、CMP加工面がSiO2膜204上面まで進むと、ポリシリコン310が研磨により消失してしまいポリシリコン起因の陽電子寿命スペクトルの長寿命成分が消失する変曲点を迎えることになる。SiO2膜204上面以下に残るはずのホモエピタキシャルシリコン膜330は、加工終点検出後にオーバーポリッシュによりSiO2膜204の膜厚分研磨してもよいし、CMPのディッシングにより研磨されてもよい。
図16は、240psecの寿命をもつ陽電子のカウント数とCMP加工時間との関係と、500psecの寿命をもつ陽電子のカウント数とCMP加工時間との関係とを示す図である。
図16に示すように、エピタキシャル成長膜がポリッシュされた時点で酸化膜上のポリシリコン310も消失し、これに対応してポリシリコン起因の陽電子寿命スペクトルの長寿命成分が消失する。これはエピ−基板界面に存在する格子欠陥起因の信号のみを検出する図13の検出方法に対して界面判定の信号強度変化が強調され、より界面判定を正確にすることができる。
図16に示すように、エピタキシャル成長膜がポリッシュされた時点で酸化膜上のポリシリコン310も消失し、これに対応してポリシリコン起因の陽電子寿命スペクトルの長寿命成分が消失する。これはエピ−基板界面に存在する格子欠陥起因の信号のみを検出する図13の検出方法に対して界面判定の信号強度変化が強調され、より界面判定を正確にすることができる。
以上のように、陽電子放出工程として、基板を研磨する間、前記基板に複数の陽電子を放出し、測定工程として、放出された前記複数の陽電子の寿命を測定することで、所定の寿命を有する陽電子の数を計測することができる。その結果、前記測定工程において測定される所定の寿命を有する陽電子の数の変曲点を前記基板の研磨終点位置として検出することにより、非破壊、非接触で界面検出を行なうことができる。界面検出を行なうことができるので、CMP法における加工終点を十分に検出することができる。
実施の形態2.
図17は、実施の形態2におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図17において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、複数の陽電子線源110(ここでは、陽電子線源110a、陽電子線源110b、陽電子線源110c)が、基板200の裏面に沿って、基板に対して半径位置が異なるようにトップリング210に配置され、基板200の裏面に接触或いは近傍に配置される。そして、測定部の一部であるシンチレータ122とシンチレータ124が、基板200を挟んで前記複数の陽電子線源110のいずれかと対向して配置される。ここでは、ターンテーブル220の下に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、他の陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出することができるように、可動機構260によって基板200面と平行に移動可能に配置される。また、1つの陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出するため、遮蔽部の一例となるγ線シールド190を陽電子線源110とシンチレータ群との間に配置している。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図17は、実施の形態2におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図17において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、複数の陽電子線源110(ここでは、陽電子線源110a、陽電子線源110b、陽電子線源110c)が、基板200の裏面に沿って、基板に対して半径位置が異なるようにトップリング210に配置され、基板200の裏面に接触或いは近傍に配置される。そして、測定部の一部であるシンチレータ122とシンチレータ124が、基板200を挟んで前記複数の陽電子線源110のいずれかと対向して配置される。ここでは、ターンテーブル220の下に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、他の陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出することができるように、可動機構260によって基板200面と平行に移動可能に配置される。また、1つの陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出するため、遮蔽部の一例となるγ線シールド190を陽電子線源110とシンチレータ群との間に配置している。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図18は、上部から見たCMP装置の動作を説明するための図である。
図18に示すように、研磨パッド230がターンテーブル220と共に回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。トップリング210が回転することにより、3つの陽電子線源もトップリング210回転軸を軸に回転する。ここでは、陽電子線源110aは、基板200の回転中心位置に配置され、基板中央部の状態を検出することができる。そして、陽電子線源110bは、基板200の回転中心位置から半径方向にずれて配置され、基板中央部の外側に位置する領域の状態を検出することができる。陽電子線源110cは、基板200の外周部に配置され、基板外周部の所定の領域の状態を検出することができる。
図18に示すように、研磨パッド230がターンテーブル220と共に回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。トップリング210が回転することにより、3つの陽電子線源もトップリング210回転軸を軸に回転する。ここでは、陽電子線源110aは、基板200の回転中心位置に配置され、基板中央部の状態を検出することができる。そして、陽電子線源110bは、基板200の回転中心位置から半径方向にずれて配置され、基板中央部の外側に位置する領域の状態を検出することができる。陽電子線源110cは、基板200の外周部に配置され、基板外周部の所定の領域の状態を検出することができる。
ここで、CMPの加工速度は、ウェハ面内で必ずしも均一ではない。そのため、加工終了時間がウェハ面内で変化することがある。一方、基板200は回転してCMP加工されるため、半径が同じ周方向領域での加工量は略同一と想定することができる。よって、半径方向に異なった位置に複数の陽電子線源を配置することにより、異なった位置(場所)での加工終点を測定し、かかる位置の違いによる変化を評価することができる。例えば、基板200の中心部の方が、他の領域より加工速度が小さい場合、加工圧力分布を変更するなどの調整を行なうことができる。
ここで、シンチレータは、必要に応じていずれかの陽電子線源からの陽電子を測定するように制御すればよい。CMPの加工時間やトップリング210の回転速度に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。言い換えれば、時分割で各陽電子線源からの陽電子を測定すればよい。また、シンチレータを、トップリング210と共に回転させても構わないが、常にモニタする必要はないため、回転させる必要もない。
γ線シールド190は、γ線を透過させないで遮蔽する材料、例えば、鉛、タングステン等を用いることが望ましい。また、γ線シールド190は、検出している陽電子線源以外から放出される陽電子が発生するγ線がシンチレータに届かないように配置する。ウェハの特定位置からのγ線のみを測定することによりウェハ面内の加工終点分布を検出することができる。例えば、γ線シールド190を筒状に形成し、内径を陽電子線源と同等の大きさにすると好適である。
実施の形態3.
図19は、実施の形態3におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図19において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、トップリング210に配置された陽電子線源110が、図示していない可動機構によって、基板200の裏面に沿って、基板に対して半径位置に移動可能に配置され、基板200の裏面に接触或いは近傍に配置される。そして、測定部の一部であるシンチレータ122とシンチレータ124が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、ターンテーブル220の下に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出することができるように、可動機構260によって、陽電子線源110の移動に同期して、基板200面と平行に移動可能に配置される。言い換えれば、ウェハ面を走査して面内の寿命分布を測定することができる。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図19は、実施の形態3におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図19において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、トップリング210に配置された陽電子線源110が、図示していない可動機構によって、基板200の裏面に沿って、基板に対して半径位置に移動可能に配置され、基板200の裏面に接触或いは近傍に配置される。そして、測定部の一部であるシンチレータ122とシンチレータ124が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、ターンテーブル220の下に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出することができるように、可動機構260によって、陽電子線源110の移動に同期して、基板200面と平行に移動可能に配置される。言い換えれば、ウェハ面を走査して面内の寿命分布を測定することができる。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図20は、上部から見たCMP装置の動作を説明するための図である。
図20に示すように、研磨パッド230がターンテーブル220と共に回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。トップリング210が回転することにより、陽電子線源110もトップリング210回転軸を軸に回転する。基板200は回転してCMP加工されるため、半径が同じ周方向領域での加工量は略同一と想定することができるので、陽電子線源110を基板200の半径方向に移動させることにより、基板全面の状態を検出することができる。
図20に示すように、研磨パッド230がターンテーブル220と共に回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。トップリング210が回転することにより、陽電子線源110もトップリング210回転軸を軸に回転する。基板200は回転してCMP加工されるため、半径が同じ周方向領域での加工量は略同一と想定することができるので、陽電子線源110を基板200の半径方向に移動させることにより、基板全面の状態を検出することができる。
実施の形態2では、半径方向の一定の場所での測定であったが、本実施の形態3によれば、半径方向に連続してウェハ面内の加工終点分布を検出することができる。
実施の形態4.
上述した各実施の形態では、トップリング210側に陽電子線源110を配置していたが、これに限るものではなく、基板の表面側、すなわち、ターンテーブル220側に配置しても構わない。
図21は、実施の形態4におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図21において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、陽電子線源110が、ターンテーブル220に配置されている。そして、研磨パッド230を介して基板200に陽電子を放出する。そして、測定部の一部であるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、トップリング210の上部に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出する。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
上述した各実施の形態では、トップリング210側に陽電子線源110を配置していたが、これに限るものではなく、基板の表面側、すなわち、ターンテーブル220側に配置しても構わない。
図21は、実施の形態4におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図21において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、陽電子線源110が、ターンテーブル220に配置されている。そして、研磨パッド230を介して基板200に陽電子を放出する。そして、測定部の一部であるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、トップリング210の上部に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出する。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図22は、上部から見たCMP装置の動作を説明するための図である。
図22に示すように、ターンテーブル220が回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。ターンテーブル220が回転することにより、陽電子線源110もターンテーブル220回転軸を軸に回転する。上述したように、CMPの加工時間やターンテーブル220の回転速度に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。また、シンチレータを、陽電子線源110と共に回転させても構わないが、常にモニタする必要はないため、回転させる必要もない。
図22に示すように、ターンテーブル220が回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。ターンテーブル220が回転することにより、陽電子線源110もターンテーブル220回転軸を軸に回転する。上述したように、CMPの加工時間やターンテーブル220の回転速度に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。また、シンチレータを、陽電子線源110と共に回転させても構わないが、常にモニタする必要はないため、回転させる必要もない。
ここで、陽電子線源110から放出される陽電子は、0〜540keVのエネルギー分布をもっているため、研磨パッド230を透過して基板200内まで陽電子112を打ち込むことができる。陽電子の進入深さは、進入する材料の密度ρ(kg/m3)と厚さt(m)との積とに相関関係をもつ。例えば、エネルギーが100keVの陽電子は、ρ×t=1以上でも透過することができる。すなわち、上述した各実施の形態において、例えば、シリコン基板の厚さtが600μmの基板200を用いるとすると、ρ×t=1.45となり、0〜540keVのエネルギー分布をもっている陽電子であればシリコン基板を十分透過してシリコン基板上の膜にも進入することができる。一方、研磨パッド230は、例えば、密度ρが780kg/m3で厚さtが2.8×10−3mとすると、ρ×t=2.2となり、0〜540keVのエネルギー分布をもっている陽電子であれば十分透過することができる。よって、研磨パッド230を介して基板200に陽電子112を放出するようにしても基板200内の所定の寿命を検出することができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、陽電子線源110をターンテーブル220側に配置した場合であって、研磨パッド230を透過できないようなエネルギーの陽電子を放出する陽電子線源を用いた場合でも基板内での寿命測定が可能な構成について説明する。
図23は、実施の形態5におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図23において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、陽電子線源110が、ターンテーブル220の外側に離れて配置されている。そして、研磨パッド230上を離れて、オーバーハングした位置に基板200が移動した際に、測定部の一部であるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向する位置となるように配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出する。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
実施の形態5では、陽電子線源110をターンテーブル220側に配置した場合であって、研磨パッド230を透過できないようなエネルギーの陽電子を放出する陽電子線源を用いた場合でも基板内での寿命測定が可能な構成について説明する。
図23は、実施の形態5におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図23において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、陽電子線源110が、ターンテーブル220の外側に離れて配置されている。そして、研磨パッド230上を離れて、オーバーハングした位置に基板200が移動した際に、測定部の一部であるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向する位置となるように配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出された陽電子から出るγ線を検出する。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図24は、上部から見たCMP装置の動作を説明するための図である。
図24に示すように、ターンテーブル220が回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。CMP加工面の状態を検出する場合には、基板200をターンテーブル220の外側にはみ出させることにより、陽電子線源110と測定部とに基板200を挟むことにより、その位置での状態を検出することができる。上述したように、CMPの加工時間に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。
図24に示すように、ターンテーブル220が回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。CMP加工面の状態を検出する場合には、基板200をターンテーブル220の外側にはみ出させることにより、陽電子線源110と測定部とに基板200を挟むことにより、その位置での状態を検出することができる。上述したように、CMPの加工時間に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。
以上のように、測定対象となる基板と陽電子線源との間に他の材料を置かないようにすることにより、エネルギー分布の小さな陽電子線源を用いることができる。
実施の形態6.
実施の形態6では、陽電子線源110をターンテーブル220側に配置した別の構成について説明する。
図25は、実施の形態6におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図25において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、陽電子線源110が、ターンテーブル220の下側に離れて配置されている。ターンテーブル220には、一部に切り欠き部を形成している。そして、研磨パッド230を介して基板200に陽電子を放出する。そして、測定部の一部であるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、トップリング210の上部に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出され、ターンテーブル220の切り欠き部を通過した陽電子から出るγ線を検出する。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
実施の形態6では、陽電子線源110をターンテーブル220側に配置した別の構成について説明する。
図25は、実施の形態6におけるCMP装置の構成を示す概念図である。
図25において、研磨装置の一例であるロータリ型のCMP装置100では、陽電子線源110が、ターンテーブル220の下側に離れて配置されている。ターンテーブル220には、一部に切り欠き部を形成している。そして、研磨パッド230を介して基板200に陽電子を放出する。そして、測定部の一部であるシンチレータ122、光電子増倍管132、シンチレータ124、光電子増倍管134が、基板200を挟んで陽電子線源110と対向して配置される。ここでは、トップリング210の上部に配置される。そして、シンチレータ122とシンチレータ124は、陽電子線源110から放出され、ターンテーブル220の切り欠き部を通過した陽電子から出るγ線を検出する。その他の構成は、図1と同様で構わないため説明を省略する。
図26は、上部から見たCMP装置の動作を説明するための図である。
図26に示すように、ターンテーブル220が回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。ターンテーブル220が回転することにより、ターンテーブル220の外周部の一部に形成された切り欠き部が陽電子線源110上に移動し、このとき切り欠き部を通ってきた陽電子112から出るγ線を検出する。0〜540keVのエネルギー分布の陽電子では、所定の厚みがあるステンレスのターンテーブル220を透過させることは難しい。そこで、ターンテーブル220に切り欠き部を形成することにより、陽電子を基板200に打ち込むことができる。上述したように、CMPの加工時間やターンテーブル220の回転速度に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。
図26に示すように、ターンテーブル220が回転し、基板200もトップリング210と共に回転する。ターンテーブル220が回転することにより、ターンテーブル220の外周部の一部に形成された切り欠き部が陽電子線源110上に移動し、このとき切り欠き部を通ってきた陽電子112から出るγ線を検出する。0〜540keVのエネルギー分布の陽電子では、所定の厚みがあるステンレスのターンテーブル220を透過させることは難しい。そこで、ターンテーブル220に切り欠き部を形成することにより、陽電子を基板200に打ち込むことができる。上述したように、CMPの加工時間やターンテーブル220の回転速度に対し、陽電子の発生から消滅までの寿命は著しく短いため、常にモニタする必要はなく、所定の間隔で、或いは所定の回転回数ごとに測定すればよい。
以上のように、陽電子線源110は、前記基板200の表面側と裏面側とのうち、いずれか一方に配置されていればよい。
実施の形態7.
上記各実施の形態では、陽電子線源110として、所定のエネルギー分布を有する白色陽電子を用いて、かかる白色陽電子を基板200中に打ち込んだが、本実施の形態7では、単色陽電子を用いた場合について説明する。
図27は、単色陽電子を生成する装置の構成を示す概念図である。
図27に示すように、所定のエネルギー分布(例えば、22Naのような0〜540keVのエネルギー分布)を有する白色陽電子線源110から放出される白色陽電子112を減速材(モデレータ)410に進入させる。例えば、減速材410として、タングステン(W)が好適である。所定のエネルギー分布で減速材410に進入した白色陽電子である陽電子112は、減速材410の結晶格子を振動させることによりエネルギーを失っていく。そして、一定の熱エネルギー値まで下がってしまう。また、Wの表面ポテンシャル(仕事関数)は、陽電子に対して負になっているので、自発的に表面から一定の方向に向かって飛び出す。よって、方向性を制御することができる。減速材410を通過して外部に出力される全ての陽電子は、例えば、熱エネルギーに相当する5〜6eV程度の一定のエネルギーをもった単色陽電子114となる。ここで、5〜6eV程度のエネルギーでは、基板200に向けて放出されても基板表面で止まってしまうことになる。そこで、減速材410に正の電圧を印加することにより、減速材410を通過して外部に出力される単色陽電子114(e+)にエネルギーを与えることができる。かかる正の電圧の値を制御することにより、所望のエネルギーをもった単色陽電子114を生成することができる。ここでは、減速材410に接続されない負極側は地絡されている。例えば、22Naに対して図27に示す構成にて単色陽電子114を生成すると、100〜500eVまでエネルギーをもった単色陽電子114を生成することができる。
上記各実施の形態では、陽電子線源110として、所定のエネルギー分布を有する白色陽電子を用いて、かかる白色陽電子を基板200中に打ち込んだが、本実施の形態7では、単色陽電子を用いた場合について説明する。
図27は、単色陽電子を生成する装置の構成を示す概念図である。
図27に示すように、所定のエネルギー分布(例えば、22Naのような0〜540keVのエネルギー分布)を有する白色陽電子線源110から放出される白色陽電子112を減速材(モデレータ)410に進入させる。例えば、減速材410として、タングステン(W)が好適である。所定のエネルギー分布で減速材410に進入した白色陽電子である陽電子112は、減速材410の結晶格子を振動させることによりエネルギーを失っていく。そして、一定の熱エネルギー値まで下がってしまう。また、Wの表面ポテンシャル(仕事関数)は、陽電子に対して負になっているので、自発的に表面から一定の方向に向かって飛び出す。よって、方向性を制御することができる。減速材410を通過して外部に出力される全ての陽電子は、例えば、熱エネルギーに相当する5〜6eV程度の一定のエネルギーをもった単色陽電子114となる。ここで、5〜6eV程度のエネルギーでは、基板200に向けて放出されても基板表面で止まってしまうことになる。そこで、減速材410に正の電圧を印加することにより、減速材410を通過して外部に出力される単色陽電子114(e+)にエネルギーを与えることができる。かかる正の電圧の値を制御することにより、所望のエネルギーをもった単色陽電子114を生成することができる。ここでは、減速材410に接続されない負極側は地絡されている。例えば、22Naに対して図27に示す構成にて単色陽電子114を生成すると、100〜500eVまでエネルギーをもった単色陽電子114を生成することができる。
さらに、高エネルギーの任意の単色陽電子114を生成するには、単色陽電子114を加速、収束させればよい。
図28は、高エネルギーの単色陽電子を生成する装置の構成を示す概念図である。
真空ポンプ440により真空引きされたチャンバ400内で、白色陽電子線源である陽電子線源110から放出される白色陽電子である陽電子112を減速材410に進入させる。例えば、5〜6eV程度の一定の熱エネルギー値までエネルギーを失って通過した単色陽電子114をグリッド420により負の電場を形成することで加速させ、電磁レンズ430により磁場を形成し、収束させることで、高エネルギーの任意の単色陽電子114を生成することができる。
図28は、高エネルギーの単色陽電子を生成する装置の構成を示す概念図である。
真空ポンプ440により真空引きされたチャンバ400内で、白色陽電子線源である陽電子線源110から放出される白色陽電子である陽電子112を減速材410に進入させる。例えば、5〜6eV程度の一定の熱エネルギー値までエネルギーを失って通過した単色陽電子114をグリッド420により負の電場を形成することで加速させ、電磁レンズ430により磁場を形成し、収束させることで、高エネルギーの任意の単色陽電子114を生成することができる。
図29は、Si基板上に形成された所定の膜の膜厚を測定する基板の膜厚測定方法を説明するための図である。
図29では、例えば、Si基板202上に膜厚R2のlow−k膜208が形成され、low−k膜208上に膜厚R1のポリシリコン310が形成されている。図27或いは図28の装置を用いて、入射エネルギーを変えながら基板に単色陽電子114を打ち込んでいく。単色陽電子114は、自身のもつエネルギーに応じた深さで消滅することになる。よって、任意のエネルギーで陽電子を加速することにより陽電子の打ち込み距離を任意に設定することができる。図29では、エネルギーE1の単色陽電子114は、ポリシリコン310の膜表面に位置する。エネルギーE2の単色陽電子114は、ポリシリコン310とlow−k膜208との界面に位置する。エネルギーE3の単色陽電子114は、low−k膜208中に位置する。エネルギーE4の単色陽電子114は、low−k膜208とSi基板202との界面に位置する。エネルギーE5の単色陽電子114は、Si基板202中に位置する。そして、それぞれの位置で電子と衝突し、対消滅した際に511keVのγ線を放出する。
図29では、例えば、Si基板202上に膜厚R2のlow−k膜208が形成され、low−k膜208上に膜厚R1のポリシリコン310が形成されている。図27或いは図28の装置を用いて、入射エネルギーを変えながら基板に単色陽電子114を打ち込んでいく。単色陽電子114は、自身のもつエネルギーに応じた深さで消滅することになる。よって、任意のエネルギーで陽電子を加速することにより陽電子の打ち込み距離を任意に設定することができる。図29では、エネルギーE1の単色陽電子114は、ポリシリコン310の膜表面に位置する。エネルギーE2の単色陽電子114は、ポリシリコン310とlow−k膜208との界面に位置する。エネルギーE3の単色陽電子114は、low−k膜208中に位置する。エネルギーE4の単色陽電子114は、low−k膜208とSi基板202との界面に位置する。エネルギーE5の単色陽電子114は、Si基板202中に位置する。そして、それぞれの位置で電子と衝突し、対消滅した際に511keVのγ線を放出する。
図30は、陽電子寿命とエネルギーとの関係を示した図である。
図30に示すように、エネルギーE1の単色陽電子114は、ポリシリコン310に起因する期間で消滅する。一方、エネルギーE2からE4の単色陽電子114は、low−k材に起因する期間で消滅する。上述したように、グレインバウンダリで陽電子がトラップされるポリシリコンにおける陽電子の寿命が500psecであるのに対し、low−k材では、low−k材中のポアにおいてポシトロニウムが生じるため、寿命が142nsecとなりその差が大きく図30では、縦軸を対数で表している。そして、例えば、エネルギーE4の単色陽電子114が打ち込まれる距離とエネルギーE2の単色陽電子114が打ち込まれる距離との差分値が、low−k膜208の膜厚として測定することができる。
図30に示すように、エネルギーE1の単色陽電子114は、ポリシリコン310に起因する期間で消滅する。一方、エネルギーE2からE4の単色陽電子114は、low−k材に起因する期間で消滅する。上述したように、グレインバウンダリで陽電子がトラップされるポリシリコンにおける陽電子の寿命が500psecであるのに対し、low−k材では、low−k材中のポアにおいてポシトロニウムが生じるため、寿命が142nsecとなりその差が大きく図30では、縦軸を対数で表している。そして、例えば、エネルギーE4の単色陽電子114が打ち込まれる距離とエネルギーE2の単色陽電子114が打ち込まれる距離との差分値が、low−k膜208の膜厚として測定することができる。
エネルギーと陽電子の打ち込み距離との関係は、実験或いは解析により求めればよい。そして、かかるエネルギーと陽電子の打ち込み距離との関係をテーブルとして用意することにより、エネルギーを陽電子の打ち込み距離に変換することができる。かかる変換を図示していないコンピュータ等の制御装置に演算させてもよい。そして、制御装置に図示していないバスにて接続されるモニタ等の出力装置によりユーザに示せるように構成してもよい。
本実施の形態7では、一例として、Si基板202上に膜厚R2のlow−k膜208が形成され、low−k膜208上に膜厚R1のポリシリコン310が形成されている基板を用いて説明したが、これに限るものではなく、材料の異なる複数の層が形成されたものであればよい。材料が異なることで、陽電子の寿命が異なればよい。特に、材料が異なることで、陽電子の寿命が大きく異なる膜が形成されている場合、判定が容易となりさらに好適である。
以上のように、陽電子放出工程として、材料の異なる複数の層が形成された基板200に、入射エネルギーの異なる複数の単色陽電子114を放出し、測定工程として、放出された複数の単色陽電子114の寿命を測定する。そして、前記測定工程において測定される所定の寿命を有する単色陽電子114の入射エネルギーの最小値と最大値とをそれぞれ陽電子の進入長さに変換し、変換された陽電子の進入長さの差分値を所定の層の膜厚とすることで、基板200の膜厚を測定することができる。
よって、上述した各実施の形態において説明した装置の陽電子線源として、例えば、図27に示した構成を用いて、低速陽電子線源として放射性同位元素から放出される陽電子をタングステン等の減速材410を使って、減速し、正の高電圧を減速材410に印加して任意のエネルギーで陽電子を加速することにより単色化した陽電子の打ち込み距離を任意に設定できる。そして、陽電子エネルギーを変えて陽電子寿命を測定することにより、バルク中の陽電子寿命の異なる材料を積層した試料の界面検出ができ、その結果、試料表面から内部の界面までの距離を推定することができる。具体的には1eV程度まで減速した陽電子を任意のエネルギーで加速、収束することにより材料中の任意の深さに陽電子を注入し寿命を測定する。そして、単色の陽電子エネルギーを連続的に変化させて深さ方向の寿命の変化を測定することにより界面の位置が推定できる。多層膜材料の境界面の位置が陽電子寿命の不連続な変化として検出できる。
図31は、単色陽電子線源をターンテーブル側に配置したCMP装置の構成を示す概念図である。
図31に示すCMP装置では、ターンテーブル220の下側に、例えば、単色陽電子線源として図28に示した構成を用いた。以上説明した各実施の形態では、所定の厚みをもつ例えばステンレス材で出来たターンテーブル220と研磨パッド230を透過して、基板200まで、例えば、22Naから放出される陽電子を進入させるには、エネルギーが不足する場合がある。そこで、単色陽電子を用いる場合には、真空ポンプにより真空引きされたチャンバ400内で、白色陽電子線源である陽電子線源110から放出される白色陽電子である陽電子112を減速材410に進入させ、通過した単色陽電子114をグリッド420により負の電場を形成することで加速させ、電磁レンズ430により磁場を形成し、収束させることで、ターンテーブル220と研磨パッド230を透過して、基板200まで進入可能な高エネルギーの任意の単色陽電子114を生成することができる。よって、単色陽電子線源をターンテーブル220側に配置することができる。そして、各単色陽電子114から発生するγ線をシンチレータ122、シンチレータ124等で検出することにより各単色陽電子114の寿命を測定することができる。各単色陽電子114の寿命を測定することができるので、基板200上に成膜された膜の厚さを測定することができる。
図31に示すCMP装置では、ターンテーブル220の下側に、例えば、単色陽電子線源として図28に示した構成を用いた。以上説明した各実施の形態では、所定の厚みをもつ例えばステンレス材で出来たターンテーブル220と研磨パッド230を透過して、基板200まで、例えば、22Naから放出される陽電子を進入させるには、エネルギーが不足する場合がある。そこで、単色陽電子を用いる場合には、真空ポンプにより真空引きされたチャンバ400内で、白色陽電子線源である陽電子線源110から放出される白色陽電子である陽電子112を減速材410に進入させ、通過した単色陽電子114をグリッド420により負の電場を形成することで加速させ、電磁レンズ430により磁場を形成し、収束させることで、ターンテーブル220と研磨パッド230を透過して、基板200まで進入可能な高エネルギーの任意の単色陽電子114を生成することができる。よって、単色陽電子線源をターンテーブル220側に配置することができる。そして、各単色陽電子114から発生するγ線をシンチレータ122、シンチレータ124等で検出することにより各単色陽電子114の寿命を測定することができる。各単色陽電子114の寿命を測定することができるので、基板200上に成膜された膜の厚さを測定することができる。
以上の説明において、図27や図28に示した単色陽電子線源としての装置は、基板200の表面側にあっても裏面側にあっても構わないことは言うまでも無い。言い換えれば、図27や図28に示した単色陽電子線源としての装置が、ターンテーブル220側に、シンチレータ122、シンチレータ124等がトップリング210側にあってもよいし、図27や図28に示した単色陽電子線源としての装置が、トップリング210側に、シンチレータ122、シンチレータ124等がターンテーブル220側にあってもよい。
上記実施の形態においては、多孔質のlow−k膜の材料としては、多孔質無機絶縁体膜材料、多孔質有機絶縁体膜材料を用いることができる。例えば、各種のシルセスキオキサン化合物、ポリイミド、炭化フッ素(fluorocarbon)、パリレン(parylene)、ベンゾシクロブテンをはじめとする各種の材料を挙げることができる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、各実施の形態において、白色陽電子線源は、基板200の表面側にあっても裏面側にあっても構わないことは言うまでも無い。言い換えれば、陽電子線源110が、ターンテーブル220側に、シンチレータ122、シンチレータ124等がトップリング210側にあってもよいし、陽電子線源110が、トップリング210側に、シンチレータ122、シンチレータ124等がターンテーブル220側にあってもよい。また、加工終点検出位置となる変曲点を、MCAから出力させ、図示していないコンピュータ等の制御装置にCMP加工を制御させてもよい。そして、制御装置に図示していないバスにて接続されるモニタ等の出力装置によりユーザに示せるように構成してもよい。
さらに、成膜される膜の膜厚や、材料、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての研磨装置、基板の研磨終点位置検出方法、及び基板の膜厚測定方法は、本発明の範囲に包含される。特に、基板の膜厚測定方法に用いる装置は、CMP装置に限らず、他の装置に応用することもできる。
100 CMP装置
110 陽電子線源
112 陽電子
114 単色陽電子
122,124 シンチレータ
132,134 光電子増倍管
142,144 CFD
150 TAC
160 MCA
200 基板
202 Si基板
208 low−k膜
210 トップリング
220 ターンテーブル
230 研磨パッド
260 可動機構
310 ポリシリコン
320 ヘテロエピタキシャルSi
330 ホモエピタキシャルシリコン膜
332 n−ホモエピタキシャルSi
334 p−ホモエピタキシャルSi
410 減速材
110 陽電子線源
112 陽電子
114 単色陽電子
122,124 シンチレータ
132,134 光電子増倍管
142,144 CFD
150 TAC
160 MCA
200 基板
202 Si基板
208 low−k膜
210 トップリング
220 ターンテーブル
230 研磨パッド
260 可動機構
310 ポリシリコン
320 ヘテロエピタキシャルSi
330 ホモエピタキシャルシリコン膜
332 n−ホモエピタキシャルSi
334 p−ホモエピタキシャルSi
410 減速材
Claims (5)
- 基板を研磨する研磨部と、
前記基板の表面側と裏面側とのうち、いずれか一方に配置され、前記研磨部が前記基板を研磨する間、複数の陽電子を放出する陽電子線源と、
前記基板を挟んで前記陽電子線源と対向して配置され、放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定部と、
を備えたことを特徴とする研磨装置。 - 前記測定部は、前記基板の複数の位置に向けて放出された前記複数の陽電子の寿命をそれぞれ測定することを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
- 前記陽電子線源は、前記基板面に沿って複数配置され、
前記測定部は、前記複数の陽電子線源のうち、寿命を測定する1つの陽電子線源以外の他の陽電子線源から放出された前記複数の陽電子の寿命の測定を遮蔽する遮蔽部を有することを特徴とする請求項2記載の研磨装置。 - 基板を研磨する間、前記基板に複数の陽電子を放出する陽電子放出工程と、
放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定工程と、
を備え、
前記基板を研磨する間測定される所定の寿命を有する陽電子の数の変曲点を前記基板の研磨終点位置として検出することを特徴とする基板の研磨終点位置検出方法。 - 材料の異なる複数の層が形成された基板に、入射エネルギーの異なる複数の陽電子を放出する陽電子放出工程と、
放出された前記複数の陽電子の寿命を測定する測定工程と、
を備え、
所定の寿命を有する陽電子群の入射エネルギーの最小値と最大値とをそれぞれ前記基板内への陽電子の進入長さに変換し、変換された陽電子の進入長さの差分値を所定の層の膜厚とすることを特徴とする基板の膜厚測定方法。
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JP2010010610A (ja) * | 2008-06-30 | 2010-01-14 | Shin Etsu Handotai Co Ltd | ウェーハの研磨方法及び半導体素子の製造方法 |
JP2015230239A (ja) * | 2014-06-05 | 2015-12-21 | 株式会社豊田中央研究所 | 機械システムの流体分布計測システム |
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US10804376B2 (en) | 2019-02-27 | 2020-10-13 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Method of manufacturing semiconductor device |
-
2005
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