JP2006280588A - 神経刺激強度設定および心臓治療装置 - Google Patents

神経刺激強度設定および心臓治療装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 迷走神経刺激強度を最適に制御する。
【解決手段】 本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、所定のレートで心房を刺激する心房刺激部3と、心房刺激部3に応答して迷走神経13を刺激する神経刺激信号を発生する神経刺激部14と、房室伝導時間を計測する房室伝導時間(AVD)計測タイマ28と、神経刺激部14と房室伝導時間(AVD)計測タイマ28に接続する神経刺激信号パラメータ制御部20とを備え、神経刺激信号パラメータ制御部20が、房室伝導時間(AVD)計測タイマ28の出力に応答して神経刺激信号のパラメータを調節するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、迷走神経刺激に基づいた心臓治療に用いられる装置において、特に、迷走神経への刺激強度を最適に設定する神経刺激強度設定装置および該装置を組み込んだ心臓治療装置に関する。
突然死の中で特に心臓病に起因するものを心臓突然死といい、その数は国内で年間約5万人にのぼる。心臓突然死の直接的な原因は、致死的不整脈と呼ばれる、血行動態の破綻をきたす心室頻拍や、心室細動の発生である。心室頻拍は、心室が発作的に異常に速く拍動した状態であり、心室細動は、心室を構成する個々の筋繊維がばらばらに興奮を始めて、心室全体としては小刻みに震えているだけの状態である。このような心室頻拍や心室細動が発生すると、心臓のポンプ機能が低下あるいは消失して、必要な血液量を全身に送り出すことができなくなる。その結果、脳血流量の減少に伴う意識消失をきたし、直ちに適切な処置を施さなければ死に至ることもある。
ところで、心臓活動は、自律神経系の支配を受けるが、自律神経系には交感神経系と副交感神経系があり、心臓の副交感神経系は迷走神経である。交感神経の活動が高まる(緊張する)と心活動(心拍数及び心拍出量)が増加し、迷走神経の活動が高まると心活動(心拍数)は低下する。この交感神経と迷走神経の活動は通常拮抗しているが、疾病などによってそのバランスが崩れると、心筋の刺激伝導系における自動能の亢進や不応期の短縮によって不整脈が起こりやすくなる。特に、心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患患者では、迷走神経の活動が著しく低下するとともに、交感神経の活動が亢進しており、心臓の器質的病変と、この迷走神経活動の低下及び交感神経活動の亢進があいまって致死的不整脈発生の可能性が非常に高くなる。
このような致死的不整脈に対して、迷走神経の電気的刺激がその発生に対して予防的に作用することが知られている。迷走神経の電気的刺激は、低下した迷走神経活動を補うとともに、求心性に作用して交感神経の緊張を抑制する。また、迷走神経の電気的刺激に伴う心拍数の低下(心拍間隔の増大)は、心筋の酸素消費量を減少させ、心筋障害部位での酸欠状態を予防あるいは改善して、心筋虚血や心筋梗塞、及びこれに伴う致死的不整脈の発生を防止することが知られている。また、迷走神経の電気的刺激の制御による心拍数の安定化は、心臓の不応期分布を均一として致死的不整脈を起こりにくくすると考えられている。
このような作用を利用して、最近、迷走神経の電気刺激を行うことにより心室性不整脈を治療することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案は、頻脈性不整脈を検知した際に、神経刺激用の電流発生器からの賦活電流を迷走神経に送り、心臓の細動を除く(除細動を行う)ものである。
また、自律神経系から心臓への情報を伝達する神経信号の活動に応答して不整脈を検出する装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この不整脈検出装置は、神経活動を検知するためのセンサと、不整脈の存在に対する条件を形成する閾値を備えたコンパレータを有し、このコンパレータは、不整脈の発生を示す出力信号を神経活動が条件に一致するか否かに依存して出力する。すなわち、自律神経系の活動の変化などから慢性細動又はその他の危険な頻脈性不整脈を検知すると直ちに、迷走神経を5秒間軽く賦活する。そして通常状態への戻りを検知すると治療は終了するが、心臓に対する異常状態を継続して検知する場合は、治療は継続し、追加的に交感神経のブロックが有利であれば星状神経節で数秒間行われる。電流が迷走神経及び交感神経に供給されたことで心活動が所定レートを下回る場合は、ペースメーカブロックが自動的に心臓への刺激を開始し、これによって正常の心拍を維持又は修復しようとするものである。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、いずれも賦活電流を迷走神経及び/又は交感神経に供給することによって頻脈性不整脈を予防するものであるが、迷走神経に対する刺激強度を最適に制御する機構を備えておらず、所望の効果を維持できなかったり、副作用が発生したりする問題があった。
特開平8−38625号公報 特開平8−52121号公報
迷走神経の過度な刺激は、迷走神経と刺激電極の界面での神経細胞膜の興奮性を低下させ、神経終末においては神経伝達物質のアセチルコリンを枯渇させて、所望の効果を継続的に維持することを困難とした。また、生理的には、心臓抑制に起因した違和感や不快感、息切れ、易疲労感が、心臓以外の臓器への影響としては、消化不良や悪心、咳増加、咽頭炎、喉頭癌攣、知覚麻痺、呼吸困難、噛息発作を誘発するといった問題があった。
このような問題を解決するためには、所望の効果を得ると同時に迷走神経に対する刺激エネルギがより小さくなるように、迷走神経の刺激強度を最適に制御する必要があった。一般的に迷走神経の刺激は心拍数を低下させるため、迷走神経刺激に伴う心拍数低下の程度によって刺激強度設定の妥当性を確認することが可能である。
しかしながら、心拍数は交感神経と迷走神経の相互作用によって調整されており、交感神経の活動状態によってその応答が異なるために定量的な評価が困難であった。特に交感神経の活動が低く心拍数が低下している状態では、迷走神経を刺激しても心拍数の低下をほとんど観察することができない。したがって刺激強度の設定や確認が必要な治療装置の植え込み時や検診時においては、交感神経活動を亢進させる薬剤の投与等が必要で患者への負担も非常に大きい。
また、迷走神経の刺激は、直接的な作用として房室伝導時間を延長させるが、迷走神経刺激に伴う心拍数の低下は、房室伝導に対しては促進的に作用する。この房室伝導時間の変化における交感神経と迷走神経の相互作用は線形加算で、他方の自律神経の活動状態とは無関係である。このような関係を利用して、所定のレートで心房を刺激した状態で迷走神経刺激に対する房室伝導時間を計測することにより、迷走神経と房室伝導時間の関係を定量的に調べることができる。このときに用いられている迷走神経刺激の刺激強度は極大刺激であり、このような関係を利用した神経刺激強度を最適に設定する装置については知られていない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、迷走神経の刺激強度を最適に設定することができる神経刺激強度設定装置および心臓治療装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、心臓の房室伝導時間を計測する房室伝導時間計測手段と、迷走神経を刺激する神経刺激信号を発生する神経刺激手段と、神経刺激手段と房室伝導時間計測手段に接続する制御手段とを備え、制御手段が、房室伝導時間計測手段の出力に応答して神経刺激信号のパラメータを調節することを特徴としている。
これにより、迷走神経刺激に対する房室伝導時間の応答を計測することによって、その後の迷走神経刺激強度を最適に制御することができる。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、上述した手段の他に、所定のレートで心房を刺激する心房刺激手段と、心室の収縮を検出する心室収縮検出手段とを更に備え、前記房室伝導時間計測手段が、前記心房刺激手段による心房刺激から前記心室収縮検出手段による心室収縮検出までの時間を計測するものである。
これにより、一定のレートで心房を刺激した状態で、迷走神経刺激に対する房室伝導時間の応答を複数回に渡って計測し、各計測結果を比較することによって、迷走神経刺激強度を最適に制御することができる。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、上述した手段の他に、心拍数を計測する心拍数計測手段を更に備え、前記制御手段は、さらに前記心房刺激手段と前記心拍数計測手段に接続され、前記心拍数計測手段の出力に基づいて前記心房刺激手段の前記レートを設定するものである。
これにより、自発レートよりも高いレートで心房を刺激した状態で、迷走神経刺激に対する房室伝導時間の応答を心房刺激レートに関連づけられた閾値と比較することによって、迷走神経刺激強度の制御を行うようにすることにより、迷走神経刺激強度を最適に制御することができる。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、神経刺激信号の発生が、心房の刺激と同時であることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、神経刺激信号の発生が、心房の刺激から所定の遅延時間を経過した後に行われるものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、心房の刺激から神経刺激信号発生までの所定の遅延時間は、心室収縮の検出前までの時間であることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、心房の刺激から神経刺激信号発生までの所定の遅延時間が、房室伝導時間内の時間であることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、制御手段が、心拍数計測手段の出力に所定値を加算した値を心房刺激手段のレートとして設定するものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、所定値が、固定された心拍数値であることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、所定値が、計測した心拍数の所定の割合であることを特徴とするものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、更に、心房刺激パルスの発生から第1の所定時間を経過しても心室収縮の検出が得られなかった場合に心室を刺激するための心室刺激パルスを発生する心室刺激手段を備えるものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、迷走神経刺激後の心臓サイクルにおいて第1の所定時間を延長することを特徴とする。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、更に制御手段が房室伝導時間計測手段と接続する比較手段を備え、比較手段の出力に応答して神経刺激信号のパラメータを調節するものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、比較手段が、房室伝導時間計測手段出力と第2の所定時間を比較するものであり、この第2の所定時間は、心房刺激手段の刺激レートの関数であることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、房室伝導時間計測手段出力が第2の所定時間よりも小さいときに、神経刺激信号の刺激エネルギが増加するようにパラメータを調節し、房室伝導時間計測手段出力が第2の所定時間よりも大きいときに、神経刺激信号の刺激エネルギが減少するようにパラメータを調節することを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、第2の所定時間と比較を行う房室伝導時間が、神経刺激信号を印加した心臓サイクルよりも後の心臓サイクルにおける房室伝導時間であるものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、比較手段が、第1の心臓サイクルで計測した房室伝導時間と第2の心臓サイクルで計測した房室伝導時間を比較するものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、第1の心臓サイクルが神経刺激信号を印加する前あるいは印加したときの心臓サイクルであり、第2の心臓サイクルが神経刺激信号を印加した後の心臓サイクルであることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、第2の心臓サイクルが神軽刺激信号を印加した後の心臓サイクルであり、第1の心臓サイクルが第2の心臓サイクルよりも後の心臓サイクルであることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、比較手段が、第1の心臓サイクルで計測した房室伝導時間(AVDl)と第2の心臓サイクルで計測した房室伝導時間(AVD2)の較差(AVD2−AVDl)と第3の所定時間を比較するものであり、この第3の所定時間が、心房刺激手段の刺激レートの関数であることを特徴としている。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、較差(AVD2−AVDl)が前記第3の所定時間よりも小さいときに、神経刺激信号の刺激エネルギが増加するように前記パラメータを調節するものであり、較差(AVD2−AVDl)が第3の所定時間よりも大きいときに、神経刺激信号の刺激エネルギが減少するように前記バラメータを調節するものである。
また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、神経刺激信号が単発パルスの信号、あるいは複数のパルスからなるバースト信号であることを特徴としている。また、本発明の神経刺激強度設定装置および心臓治療装置は、神経刺激信号のパラメータの調節が、パルス振幅とパルス幅の少なくとも1つを含むものである。
本発明によれば、所定のレートで心房を刺激した状態で、迷走神経刺激に対する房室伝導時間の応答を比較することによって、迷走神経の刺激強度を設定するようにしたので、心拍数が低下した状態でも迷走神経の刺激強度を最適に設定することができ、患者に特別な違和感や不快感を与えることなく迷走神経刺激を行うことができる。
以下、本発明による神経刺激強度設定装置および心臓治療装置の実施の形態の例について、図面を参照にして詳細に説明する。
図1は、本発明による実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の例を示すブロック図である。
本例の心臓治療装置1は、その基本的な構成要素として、心房の収縮を検出する心房収縮検出部2と、心房に心房刺激パルスを供給する心房刺激部3と、心室の収縮を検出する心室収縮検出部6と、心室に心室刺激パルスを供給する心室刺激部7を備える。心房収縮検出部2と心房刺激部3は共通の心房電極リード4を介して、心臓10の右心房11に配置される心房刺激/検出電極5に接続されている。また、心室収縮検出部6と心室刺激部7は、共通の心室電極リード8を介して、心臓10の右心室12内に配置された心室刺激/検出電極9に接続されている。心臓治療装置1自体は生体適合性の高いチタンケースの筐体に覆われ、胸部皮下あるいは腹部皮下に植え込まれる。
また、本例においては、迷走神経13を刺激するための神経刺激パルスを発生する神経刺激部14が設けられており、この神経刺激部14は神経電極リード15を介して迷走神経13に巻きつけられた神経刺激電極16に接続されている。
一般に、心房電極リード4と心室電極リード8は、いずれも最初は大静脈を通って心臓10の右心房11に導かれる。そして、大静脈から右心房11に挿入された心房電極リード4は、J字状に曲げられた先端部を右心房11の壁から出っ張った袋状の右心耳内に引っ掛けるように挿入し、心房刺激/検出電極5が右心耳内壁に接触するように配置される。
また、大静脈から右心房11に挿入された心室電極リード8は、更に、右心房11と右心室12の間に位置する弁である三尖弁を通って右心室12に挿入され、その先端部にある心室刺激/検出電極9は右心室12の下部に配置される。
神経刺激電極16は上述したように通常は迷走神経13に巻きつけるようにして配置される。神経刺激電極16を巻きつける領域としては、頚部領域、詳しくは右外頚動脈中央に伴走する迷走神経部位が好適である。また、神経刺激電極16は、血管内から血管壁に隣接した迷走神経13を刺激するように配置することも可能である。配置領域としては、鎖骨下静脈内が好適である。
本例の心臓治療装置1は、上記基本的な構成のほかに、心房刺激部3、心室刺激部7及び神経刺激部14を制御するための一連の制御手段を備えている。
この制御手段は、第1に、通常の心臓治療制御としての、心臓刺激と迷走神経刺激の制御のための動作を司る通常制御部17と、第2に、最適な迷走神経刺激強度の制御のための動作を司る神経刺激信号パラメータ制御部20との二つを備えている。
切替制御部21は、通常制御部17と神経刺激信号パラメータ制御部20の一方の動作をオンにしたとき、他方の動作をオフにするように切替制御を行う。通常は、通常制御部17の動作がオンとされ、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作がオフに制御されるが、心臓治療装置1の外部からの操作入力部22による入力操作時、又はタイマ23によって計時される所定時刻毎に切替制御部21に切替命令が入力されると、通常制御部17の動作をオフにし、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオンにする。ここで、タイマ23によって計時される所定時刻は、本実施形態の心臓治療装置1が植え込まれた患者に対し、できるだけ生活に影響の少ない時刻が周期的に選定される。具体的には、患者が就寝している深夜の数分〜1時間程度に、毎日または週に1度程度動作するようにセットされる。
まず、通常制御部17の構成について説明する。
通常制御部17は、神経刺激制御部18と心臓刺激制御部19とから構成されており、神経刺激制御部18は、神経刺激部14に接続され、この神経刺激制御部18は神経刺激部14の動作を制御する。
また、神経刺激制御部18と接続される心臓刺激制御部19は、心房収縮検出部2、心房刺激部3、心室収縮検出部6、心室刺激部7にそれぞれ接続されている。
この心臓刺激制御部19は、従来の心臓ペースメーカの機能を有するとともに、神経刺激制御部18からの制御信号に基づいて、神経刺激治療に関連した心臓刺激を心房刺激部3及び心室刺激部7を介して行う。また、神経刺激制御部18は、心臓刺激制御部19から、心房収縮検出部2による心房収縮の検出、心房刺激部3による心房刺激、心室収縮検出部6による心室収縮の検出、及び心室刺激部7による心室刺激の情報を受け取り、この情報をもとにして内蔵する治療制御アルゴリズムを作動させて、心臓刺激制御部19に対して心臓刺激の指示を、神経刺激部14に対して迷走神経刺激の指示を行う。
次に、神経刺激信号パラメータ制御部20の構成について説明する。
神経刺激信号パラメータ制御部20において、心房収縮検出部2の出力は、OR回路24の一方の比較入力端子に接続されている。OR回路24の比較出力端子は心房刺激のインターバルを計測する心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に接続されている。
そして、心房刺激インターバルタイマ25と心房刺激インターバル設定部26が心房刺激インターバル比較部27に接続され、心房刺激インターバル比較部27の出力が心房刺激部3に供給されるとともに、OR回路24の他方の比較入力端子を介して心房刺激インターバルタイマ25にフィードバックされている。
心室収縮検出部6は、心房から心室への伝導時間を示す房室伝導時間(AVD)を計測するAVD計測タイマ28のストップ端子に接続され、AVD計測タイマ28のスタート端子にはOR回路24の比較出力端子が接続されている。そして、AVD計測タイマ28とAVD限界値記憶部29は、AVD比較部30に接続されており、このAVD比較部30の出力が心室刺激部7に供給されるように接続されている。
また、AVD計測タイマ28は、計測AVD比較部31に接続され、計測AVD比較部31において、予め記憶された最適なAVD基準値とAVD計測タイマ28のAVD計測値とが比較される。
計測AVD比較部31は、神経刺激タイミング部32に接続され、神経刺激タイミング部32は神経刺激部14に接続されている。
そして、計測AVD比較部31には心房刺激インターバル比較部27の出力が接続されており、計測AVD比較部31は、この心房刺激インターバル比較部27の出力のタイミング、すなわち、心房刺激のタイミングで、1回だけ神経刺激タイミング部32に、神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可すると共に、その他のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止するようにしている。
また、計測AVD比較部31は神経刺激信号パラメータ設定部33に接続され、神経刺激信号パラメータ設定部33は神経刺激部14に接続されている。神経刺激信号パラメータ設定部33は、計測AVD比較部31における最適なAVD基準値とAVD計測タイマ28のAVD計測値との比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号のパラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。
図14は、「AVD計測値と第2の所定時間との比較」における計測AVD比較部31の詳細構成を示すブロック図である。
図14において、計測AVD比較部31は、最適なAVD基準値が予め記憶された所定値記憶部52と、AVD計測タイマ28から供給されるAVD計測値と所定値記憶部52から読み出される最適なAVD基準値とを比較する比較部51とから構成されている。そして、比較部51は、この比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給するようにしている。
また、計測AVD比較部31は、他の実施形態の例として、図15に示されるような例が考えられている。
図15は、「AVD2計測値/AVD1計測値と第2の所定値との比較」における計測AVD比較部31の詳細構成を示すブロック図である。
図15に示すように、計測AVD比較部31は、最適なAVD基準割合が予め記憶された所定割合記憶部56と、AVD計測タイマ28から供給されるAVD1計測値を格納するAVD1記録部53と、同じくAVD計測タイマ28から供給されるAVD2計測値を格納するAVD2記録部54と、AVD2記録部54から読み出したAVD2計測値に対するAVD1記録部53から読み出したAVD1計測値との相対的割合を演算するAVD2/AVD1演算部55と、AVD2/AVD1演算部55で演算されたAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合と、所定割合記憶部56から読み出される最適なAVD基準割合とを比較して、比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する比較部51とを有している。
次に、以上のように構成された本例の心臓治療装置1の動作について説明する。
まず、心房収縮検出部2の心房収縮の検出により、心房刺激インターバルタイマ25がスタートする。心房刺激インターバル設定部26には、自脈心拍数よりも高い心拍数に相当する心房収縮間隔、例えば600ms(100回/分)が記憶されており、心房刺激インターバルタイマ25のタイマ値が心房刺激インターバル設定部26に記憶されている設定値に達する前に心房収縮を検出すると、この心房収縮の検出信号がOR回路24を介して心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25は再びリセットしてスタートする。一方、心房刺激インターバルタイマ25のタイマ値が、心房刺激インターバル設定部26に記憶されている設定値に達しても心房収縮が検出されない場合には、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3、心房電極リード4、及び心房刺激電極5を介して右心房11が刺激される。同時に、心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25はそのタイマ値をリセットして再びスタートする。
切替制御部21は、通常、通常制御部17の動作をオンにし、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオフにしているが、心臓治療装置1の外部の操作入力部22による入力操作時、又はタイマ23によって計時される所定時刻毎に切替制御部21に切替命令が入力されると、通常制御部17の動作をオフにし、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオンにする。心臓治療装置1外部の操作入力部22からの切替制御部21へ対する切替命令は、従来の、心臓ペースメーカや植え込み型除細動器とプログラマ間で行われているテレメトリ通信によって行うこともできるし、操作入力部22としてマグネットを用い、切替制御部21に内蔵されたリードスイッチをオンすることによっても実現することができる。
心房収縮の検出(心房収縮検出部2出力)や心房刺激(心房刺激インターバル比較部27出力)はOR回路24によって、AVD計測タイマ28をスタートさせる。また、心室収縮の検出(心室収縮検出部6出力)は、AVD計測タイマ28をストップさせる。このとき、計測AVD比較部31は、AVD計測タイマ28出力からAVD計測値を取得する。自発的あるいは刺激によって心房が収縮すると、その興奮は心房と心室を連絡する房室伝導路を通って心室に伝わり、心室の収縮が起こる。心房の収縮から心室が収縮するまでの時間(房室伝導時間)は、通常、120ms程度であるが、迷走神経13が刺激されると一般にこの房室伝導時間は延長する。AVD限界値記憶部29には、迷走神経13の刺激によって延長される房室伝導時間よりも若干大きい値、例えば300msが第1の所定時間として記憶されており、AVD計測タイマ28の出力がAVD限界値記憶部29に記憶された設定値を超えても心室収縮が検出されない場合、例えば、迷走神経13に対する刺激強度が強く、房室伝導がブロックされた場合には、安全のため、AVD比較部30から出力が発せられ、心室刺激部7、心室電極リード8、及び心室刺激電極9を介して右心室12が刺激されて、心室収縮が確保される。
また、計測AVD比較部31は、予め記憶された最適なAVD基準値(第2の所定時間)とAVD計測タイマ28のAVD計測値とを比較する。
図14に示したように、計測AVD比較部31では、所定値記憶部52には最適なAVD基準値が予め記憶されており、比較部51において、AVD計測タイマ28から供給されるAVD計測値と上記所定値記憶部52から読み出される最適なAVD基準値とが比較されて、この比較結果が神経刺激信号パラメータ設定部33に供給される。
また、計測AVD比較部31には心房刺激インターバル比較部27の出力が接続されており、計測AVD比較部31は、この心房刺激インターバル比較部27の出力のタイミング、すなわち、心房刺激のタイミングで、1回だけ神経刺激タイミング部32に、神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可すると共に、その他のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止するようにしている。
また、計測AVD比較部31は、最適なAVD基準値とAVD計測タイマ28のAVD計測値との比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する。神経刺激信号パラメータ設定部33は、この比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号のパラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。例えば、AVD計測値が最適なAVD基準値よりも小さいときは、AVD計測値が最適なAVD基準値を超えるまで、神経刺激信号パラメータ設定部33は、迷走神経13の刺激の強度を増加させるようにパラメータを可変調節して設定する。
これにより、AVD計測値と第2の所定時間との比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御することができる。
また、図15のように構成された「AVD2計測値/AVD1計測値と第2の所定値との比較」を行う計測AVD比較部31は、以下のような動作をする。
すなわち、図15に示す計測AVD比較部31においては、所定割合記憶部56に最適なAVD基準割合が予め記憶されている。AVD1記録部53には、AVD計測タイマ28から供給されるAVD1計測値が格納され、AVD2記録部54には、同じくAVD計測タイマ28から供給されるAVD2計測値が格納される。そして、AVD2/AVD1演算部55において、AVD2記録部54から読み出したAVD2計測値に対するAVD1記録部53から読み出したAVD1計測値との相対的割合が演算される。比較部51は、AVD2/AVD1演算部55で演算されたAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合と所定割合記憶部56から読み出される最適なAVD基準割合とを比較して、比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する。
これにより、AVD計測値の相対的割合と第2の所定値の比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御することができる。
以上、本発明の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の実施形態例の構成と動作を説明したが、以下では本例の動作を図2〜図4に示すフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
なお、図1に示す心臓治療装置1における計測AVD比較部31の詳細構成としては、図14に示す計測AVD比較部31を用いた場合の動作として説明する。
まず、操作入力部22による入力操作、もしくはタイマ23による所定時刻の計時が、切替制御部21に対する切替命令として入力されることによってスタートする。
次に、通常制御部17において、心臓刺激制御部19から心房刺激部3への心房刺激の指示、あるいは、心房収縮検出部2から心臓刺激制御部19への心房収縮の検出を待って(ステップS1)、ステップS2に進む。
次に、このステップS1における心臓刺激制御部19での心房刺激の指示あるいは心房収縮の検出のタイミングに合わせて、切替制御部21は、通常制御部17の動作をオフにし、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオンにする(ステップS2)。これにより、通常制御部17と神経刺激信号パラメータ制御部20の切替の前後で、心房刺激のタイミングの整合が取られる。
続いて、神経刺激信号パラメータ制御部20において、神経刺激信号パラメータ設定部33は、初期化信号を神経刺激部14に供給する。神経刺激部14では、この初期化信号に基づいて現在設定されている神経刺激信号パラメータが下限値に設定される(ステップS3)。次に、計測AVD比較部31は、後述する心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Nに“0”を入れる(ステップS4)。
上述した切替制御部21に対する切替命令からステップS4の心房刺激回数Nを“0”にする処理までが、初期設定の工程となる。
そして、心房刺激インターバルタイマ25をリセットしタイマをスタートさせた後(ステップS5)、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトするのを待つ(ステップS6)。この判断ステップS6で心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトした判断された場合、すなわち、心房刺激インターバルタイマ25の計時時間が心房刺激インターバル設定部26に記憶された予め決められた設定値を超えると、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3により右心房11が刺激される(ステップS7)。
次に、計測AVD比較部31は、ステップS7の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力に応答して、心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Nに“N+1”を入れてカウンタ値Nをインクリメントする(ステップS8)。続いて、計測AVD比較部31において、ステップS8のカウンタ値Nのインクリメントによって心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Nが予め定められた所定値(N=3〜5)に等しいか否かが判断される(ステップS9)。このステップS5〜ステップS9の工程は、心房刺激回数をカウントするカウンタ値Nが予め定められた所定値(N=3〜5)になるまで繰り返される。そして、判断ステップS9でこの心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Nが予め定められた所定値(N=3〜5)になったとき、次の工程に進む。
上述したステップS5の心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理からステップS9の心房刺激回数Nの判断までが、心房刺激によって心拍数を一定に保つための工程となる。
次に、ステップS7の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25をリセットしタイマをスタートさせる(ステップS10)。心房刺激インターバル比較部27の出力は、計測AVD比較部31にも供給されており、計測AVD比較部31は、この心房刺激インターバル比較部27の出力のタイミング、すなわち、心房刺激のタイミングで1回だけ神経刺激タイミング部32に神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可する(ステップS11)と共に、これ以降のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止する。なお、神経刺激タイミング部32では、心房刺激と同時に神経刺激部14を介して迷走神経13を刺激することもできるし、心房刺激から予め設定した遅延時間を待った後、神経刺激部14を介して迷走神経13を刺激することも可能である。
そして、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトするのを待ち(ステップS12)、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトすると、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3により右心房11が刺激される(ステップS13)。
そして、ステップS13の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子とAVD計測タイマ28のスタート端子に供給されて、心房刺激インターバルタイマ25がリセットされて再びタイマの計時が開始される(ステップS14)とともに、AVD計測タイマ28の計時が開始され(ステップS15)、図3に示す次工程(A)に進む。
上述したステップS10の心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理からステップS15のAVD計測タイマ28の計時開始の処理までが、AVD計測前処理の工程となる。
次に、図3のフローチャートに基づいて図2に続く本例の動作を説明する。まず、心室収縮検出部6において心室の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS16)。 そして、判断ステップS16で心室収縮検出部6から心室の収縮が検出されたと判断されると、AVD計測タイマ28はAVD計測を停止し、計測AVD比較部31はこのときのAVD計測値を取得する(ステップS17)。
判断ステップS16において心室収縮検出部6から心室の収縮が検出されないと判断されたときは、続いてAVD計測タイマ28がタイムアウトしたかどうかを判断する(ステップS18)。そして判断ステップS18でAVD計測タイマ28がタイムアウトしたと判断された場合、すなわち、AVD計測タイマ28の計時時間がAVD限界値記憶部29に記憶された設定値(第1の所定時間)を超えた場合には、AVD比較部30からの出力信号が心室刺激部7に送られて心室刺激が行われる(ステップS19)。一方、AVD計測タイマ28の計時時間がAVD限界値記憶部29に記憶された設定値(第1の所定時間)を超えず、AVD計測タイマ28がタイムアウトしていない場合には、判断ステップS16に戻り、次の心室収縮を待つ。
上述したステップS16の心室収縮の検出の判断からステップS19の心室刺激の処理までが、AVD計測値取得の工程となる。
次に、計測AVD比較部31において、所定値記憶部52に予め記憶された最適なAVD基準値(第2の所定時間)と、ステップS17で取得したAVD計測値とが比較され(ステップS20)、その比較結果が比較部51から神経刺激信号パラメータ設定部33に供給される。神経刺激信号パラメータ設定部33は、この比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号のパラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。判断ステップS20において、AVD計測値が最適なAVD基準値(第2の所定時間)よりも小さい場合には、迷走神経刺激による効果が小さいと判断して、神経刺激信号パラメータ設定部33は、神経刺激信号のエネルギ、すなわち、振幅やパルス幅等のパラメータを現在設定されている値よりも所定量だけ増加させて神経刺激部14に設定する(ステップS21)。
また、判断ステップS20において、AVD計測値が最適なAVD基準値(第2の所定時間)を超えた場合には、神経刺激信号パラメータ設定部33は、現在の刺激強度の設定により所望の迷走神経刺激の効果があると判断し、生体状況の変動があっても確実な迷走神経刺激の効果が保証されるように、神経刺激信号のパラメータ値を現在設定されている値よりも所定のマージン分だけ高い値で更新し、神経刺激部14に設定する(ステップS22)。その後、切替制御部21は、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオフに、通常制御部17の動作をオンにして通常の制御動作に戻る(ステップS23)。
これにより、AVD計測値と第2の所定時間の比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御することができる。
上述したステップS20のAVD計測値の比較の判断処理からステップS23の通常制御への切替処理までが、AVD計測値に基づく神経刺激信号パラメータ変更の行程となる。
続いて、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトするのを待ち(ステップS24)、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトすると、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3により右心房11が刺激される(ステップS25)。
ここで、計測AVD比較部31は、ステップS11の迷走神経13の刺激の影響がなくなるまでM拍待つため、後述する心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Mに“0”を入れる(ステップS26)。
そして、ステップS25の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子とAVD計測タイマ28のスタート端子に供給されて、心房刺激インターバルタイマ25をリセットし計時を開始させる(ステップS27)とともに、AVD計測タイマ28の計時が開始され(ステップS28)、図4に示す次工程(B)に進む。
次に、図4に基づいて図3の工程に続く本例の工程を説明する。図3のステップS28でAVD計測タイマ28が計時を開始すると、心室収縮検出部6において、心室の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS29)。この判断ステップS29で心室収縮検出部6から心室の収縮が検出されたと判断されると、AVD計測タイマ28はAVD計測を停止する(ステップS30)。判断ステップS29で、心室の収縮が検出されないと判断された場合は、続いてAVD計測タイマ28がタイムアウトしたかどうか(第1の所定時間を超過したかどうか)が判断される(ステップS31)。そしてこの判断ステップS31でAVD計測タイマ28がタイムアウトしたと判断されたときは、AVD比較部30から心室刺激部7に信号が発せられ、右心室12の刺激が行われる(ステップS32)が、AVD計測タイマ28がタイムアウトしていないと判断されると、判断ステップS29に戻り、次の心室収縮を待つ。
次に、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトするのを待ち(ステップS33)、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトすると、心房刺激インターバル比較部27から心房刺激部3に出力が発せられ、心房刺激部3により右心房11が刺激される(ステップS34)。
続いて、計測AVD比較部31は、ステップS34の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力に応答して、心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Mに“M+1”を入れてカウンタ値Mをインクリメントする(ステップS35)。
そして、計測AVD比較部31において、ステップS35のカウンタ値Mのインクリメントによって心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Mが予め定められた所定値(M=5〜10)に等しいか否かが判断される(ステップS36)。判断ステップS36で、カウンタ値Mが予め定められた所定値(M=5〜10)に達していないと判断された場合(C)は、図3のステップS27に戻り、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理が行われる。判断ステップS36でカウンタ値Mが予め定められた所定値(M=5〜10)に達したと判断された場合(D)は、図2に示すAVD計測前処理の工程のステップS10の心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理に戻って、上述した工程から本工程までを繰り返す。
上述したステップS24の心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウトの判断からステップS36のカウンタ値Mの判断までが、ステップS11における迷走神経刺激の影響がなくなるまでのM拍待つ工程となる。
次に、ステップS11の迷走神経13の刺激の処理と、ステップS17のAVD計測値取得の処理のタイミングを異ならせる例の動作を図5〜図7に示すフローチャートに基づいて説明する。計測AVD比較部31の詳細構成としては、図15に示す計測AVD比較部31を用いた場合の動作を説明する。
ここでは、上述した図2〜図4に示したフローチャートと異なる部分について説明し、同一の処理については、同一のステップ名、工程名を示してその説明を省略する。
スタートからステップS104までの処理は、図2に示した切替制御部21に対する切替命令からステップS4の心房刺激回数Nを“0”にする処理までの初期設定の工程と同一となる。
ステップS105からステップS109までの処理は、図2のステップS5の心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理からステップS9の心房刺激回数Nの判断までの、心房刺激によって心拍数を一定に保つための工程と同一となる。
ここでは、ステップS110以降の工程について説明する。
ステップS107の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子とAVD計測タイマ28のスタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25をリセットしタイマをスタートさせる(ステップS110)とともに、AVD計測タイマ28の計時を開始させる(ステップS111)。この心房刺激インターバル比較部27の出力は、計測AVD比較部31にも供給されており、計測AVD比較部31は、心房刺激インターバル比較部27の出力のタイミング、すなわち、心房刺激のタイミングで1回だけ神経刺激タイミング部32に神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可する(ステップS112)と共に、これ以降のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止するように作動する。なお、神経刺激タイミング部32では、心房刺激と同時に神経刺激部14を介して迷走神経13を刺激することもできるし、心房刺激から予め設定した遅延時間を待った後、神経刺激部14を介して迷走神経13を刺激することも可能である。
次に、心室収縮検出部6において、心室の収縮が検出されるのを待ち(ステップS113)、心室収縮検出部6において心室の収縮が検出されると、AVD計測タイマ28がAVD計測を停止して、計測AVD比較部31はこのときのAVD計測値をAVD1計測値として取得する(ステップS114)。このAVD1計測値は図15に示されるAVD1記録部53に格納される。
上述したステップS110の心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理からステップS114のAVD1計測値の取得/格納の処理までが、迷走神経13の刺激を行った心臓サイクルにおけるAVD1計測値取得/格納の工程となる。
次に、図6のフローチャートに基づいて図5の工程に続く工程(A以降の工程)について説明する。まず、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトするのを待ち(ステップS115)、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトすると、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3により右心房11が刺激される(ステップS116)。
そして、ステップS116の心房刺激において心房刺激部3に供給された心房刺激インターバル比較部27の出力が、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子とAVD計測タイマ28のスタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25をリセットしタイマをスタートさせる(ステップS117)とともに、AVD計測タイマ28の計時を開始させる(ステップS118)。
次に、心室収縮検出部6において心室の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS119)。この判断ステップS119で心室の収縮が検出されたと判断されると、AVD計測タイマ28はAVD計測を停止し、計測AVD比較部31はこのときのAVD計測値をAVD2計測値として取得する(ステップS120)。このAVD2計測値は、図15に示すAVD2記録部54に格納される。
また、判断ステップS119において、心室の収縮が検出されないと判断されたときは、AVD計測タイマ28がタイムアウトしたかどうか(第1の所定時間を超過したかどうか)を判断する(ステップS121)。この判断ステップS121でAVD計測タイマ28がタイムアウトしたと判断されたときは、AVD比較部30から心室刺激部7に信号が発せられ、右心室12の刺激が行われる(ステップS122)が、AVD計測タイマ28がタイムアウトしていないと判断されると、判断ステップS119に戻り、次の心室収縮を待つ。
上述したステップS115の心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウトの判断からステップS122の心室刺激の処理までが、迷走神経13の刺激を行った次の心臓サイクルにおけるAVD2計測値取得/格納の工程となる。
次に、計測AVD比較部31において、所定割合記憶部56に予め記憶された最適なAVD基準割合(第2の所定値)と、AVD2/AVD1演算部55において演算されたステップS120で取得したAVD2計測値に対するステップS114で取得したAVD1計測値の相対的割合とが比較部51で比較され(ステップS123)、その比較結果が比較部51から神経刺激信号パラメータ設定部33に供給される。神経刺激パラメータ設定部33は、この比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号のパラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。判断ステップS123において、AVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合が最適なAVD基準割合(第2の所定値)よりも小さい場合は、迷走神経刺激による効果が小さいと判断して、神経刺激信号パラメータ設定部33は、神経刺激信号のエネルギ、すなわち、振幅やパルス幅等のパラメータを現在設定されている値よりも所定量だけ増加させて神経刺激部14に設定する(ステップS124)。
また、判断ステップS123において、AVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合が最適なAVD基準割合(第2の所定値)をよりも大きい場合には、神経刺激信号パラメータ設定部33は、現在の刺激強度の設定により所望の迷走神経刺激の効果があると判断し、生体状況の変動があっても確実な迷走神経刺激の効果が保証されるように、神経刺激信号のパラメータ値を現在設定されている値よりも所定のマージン分だけ高い値で更新し、神経刺激部14に設定する(ステップS125)。その後、切替制御部21は、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオフにし、通常制御部17の動作をオンにして通常の制御動作に戻る(ステップS126)。
これにより、AVD計測値の相対的割合と第2の所定値との比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御することができる。
上述したステップS123のAVD計測値の相対的割合の比較の判断からステップS126の通常制御への切替処理までが、AVD計測値の相対的割合に基づく神経刺激信号パラメータ変更の行程となる。
そして、次のステップS127からステップS139までの処理及び判断は、図2に示したステップS24の心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウトの判断からステップS36のカウンタ値Mの判断までの処理及び判断までの工程と同様、ステップS112における迷走神経刺激の影響がなくなるまでM拍待つ工程と同一となる。
図8は、迷走神経刺激とAVD計測値の取得のタイミングを示す図である。
図8では、心房刺激インターバル設定部26に記憶された設定値の時間間隔で心房刺激(AP)が繰り返し行われ、第3番目の心房刺激(AP)から所定の遅延時間後に迷走神経刺激(VNS)が行われている。
図2〜図4に示したフローチャートの動作では、迷走神経刺激(VNS)が行われた心臓サイクルの次の心臓サイクルにおける、心房刺激(AP)から心室収縮(VS)までの房室伝導時間であるAVD(1)と第2の所定時間を比較することによって迷走神経13の刺激の強度を制御しようとするものである。AVD(1)に代えて、AVD(2)やAVD(3)と第2の所定時間を比較することも可能であるが、迷走神経刺激による房室伝導時間に対する効果は、迷走神経刺激を行った心臓サイクルの次の心臓サイクルで最も大きく、それ以降の心臓サイクルでは段々と効果が減弱していくため、比較を行う房室伝導時間としてはAVD(1)が好適である。
また、図5〜図7に示したフローチャートの動作では、迷走神経刺激(VNS)が行われた心臓サイクルでの心房刺激(AP)から心室収縮(VS)までの房室伝導時間であるAVD(0)をAVD1計測値、迷走神経刺激(VNS)が行われた心臓サイクルの次の心臓サイクルでの心房刺激(AP)から心室収縮(VS)までの房室伝導時間であるAVD(1)をAVD2計測値として、AVD2計測値/AVD1計測値と第2の所定値を比較することにより迷走神経13の刺激の強度を制御しようとするものである。ここで、AVD(0)は迷走神経刺激(VNS)の影響を受けない房室伝導時間を、AVD(1)は迷走神経刺激(VNS)の影響を受けた房室伝導時間をあらわす。したがって、AVD(0)に代えて、迷走神経刺激(VNS)の影響を受けない房室伝導時間であるAVD(−2)やAVD(−1)をAVD1計測値として用いることも可能である。
また、図示しない変形例として、迷走神経刺激(VNS)が行われた心臓サイクルの次の心臓サイクル以降で計測した房室伝導時間の差分や比(例えば、AVD(1)−AVD(3)やAVD(1)/AVD(3)等)と第3の所定時間あるいは第2の所定値を比較することにより迷走神経13の刺激の強度を制御することも可能である。
このように、迷走神経刺激とAVD計測値の取得のタイミングにおいては、上述した組み合わせの他、その他の図示しない変形例により各種の組み合わせが可能となる。
上述した実施の形態では、AVD計測値と第2の所定時間、第3の所定時間、あるいは第2の所定値の比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御する例を示したが、これに限らず、AVD計測値と刺激レートに対応した第2の所定時間、第3の所定時間、あるいは第2の所定値の比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御するようにしてもよい。
以下、AVD計測値と刺激レートに対応した第2の所定値、あるいは第3の所定時間の比較に基づく制御の例について説明する。
図9は、本発明による他の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の例を示すブロック図である。
図9において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。図9では、神経刺激信号パラメータ制御部40のみが図1と異なるので、以下に、神経刺激信号パラメータ制御部40の構成について説明する。
神経刺激信号パラメータ制御部40において、心房収縮検出部2の出力は、OR回路24の一方の比較入力端子に接続されている。OR回路24の比較出力端子は自脈心拍数を計測する心拍数計測部41に接続されるとともに、AVD計測タイマ28のスタート端子に接続されている。
心拍数計測部41は、計測した自脈心拍数の所定割合を演算する心拍数増分値演算部42及び加算部45の一方の入力に接続されている。心拍数増分値演算部42及び心拍数固定増分値記憶部43は共に選択部44に接続され、選択部44は加算部45の他方の入力に接続される。加算部45の出力は心拍数を時間間隔に変換するHR(ハートレート)/P−P(心房収縮P波の時間間隔)変換部46に接続されている。
また、心房収縮検出部2の出力は、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に接続されている。そして、心房刺激インターバルタイマ25とHR/P−P変換部46が心房刺激インターバル比較部27に接続され、心房刺激インターバル比較部27の出力が心房刺激部3に供給されるとともに、OR回路24を介して心房刺激インターバルタイマ25にフィードバックされている。また、心房刺激インターバル比較部27の出力は、計測AVD比較部31に接続されている。
心室収縮検出部6は、AVD計測タイマ28のストップ端子に接続され、神経刺激タイミング部32の出力はAVD設定部49に接続されている。そして、AVD計測タイマ28とAVD設定部49は、AVD比較部30に接続されており、このAVD比較部30の出力が心室刺激部7に供給されるように接続されている。
また、正常房室伝導における心室収縮を確保するためのAVD値(例えば、150ms)を記憶する第1AVD記憶部47と迷走神経刺激時房室伝導における心室収縮を確保するためのAVD値(例えば、300ms)を記憶する第2AVD記憶部48とがAVD設定部49に接続されている。
また、心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)を記憶した比較値テーブル記憶部50が計測AVD比較部31に接続されている。加算部45の出力は比較値テーブル記憶部50に接続されている。
計測AVD比較部31は、比較テーブル記憶部50に記憶した心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とAVD計測タイマ28のAVD計測値とを比較する。計測AVD比較部31は、神経刺激タイミング部32に接続され、神経刺激タイミング部32は神経刺激部14に接続されている。
計測AVD比較部31は、心房刺激インターバル比較部27の出力のタイミング、すなわち、心房刺激のタイミングで、1回だけ神経刺激タイミング部32に、神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可すると共に、その他のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止する。
また、計測AVD比較部31は、神経刺激信号パラメータ設定部33に接続されている。神経刺激信号パラメータ設定部33は神経刺激部14に接続されている。
計測AVD比較部31は、比較テーブル記憶部50に記憶される心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とAVD計測タイマ28のAVD計測値との比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給し、神経刺激信号パラメータ設定部33は、この比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号のパラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。
また、この実施の形態の例では、計測AVD比較部31は、「刺激レートに対応した第2の所定値、あるいは第3の所定時間との比較」を行うが、このための構成を説明する。
図16は、「刺激レートに対応した第2の所定値、あるいは第3の所定時間との比較」における計測AVD比較部31の詳細構成を示すブロック図である。
図16において、計測AVD比較部31は、AVD計測タイマ28から供給されるAVD1計測値を格納するAVD1記録部53と、AVD計測タイマ28から供給されるAVD2計測値を格納するAVD2記録部54と、AVD2記録部54から読み出したAVD2計測値に対するAVD1記録部53から読み出したAVD1計測値とを用いてAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分を演算する比較値演算部57と、比較値演算部57で演算されたAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分と比較テーブル記憶部50から読み出される心房刺激レートに対応した最適なAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とを比較して、比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する比較部51とを有している。
次に、以上のように構成された本例の心臓治療装置1の動作について説明する。
心拍数計測部41は、心房収縮検出部2の心房収縮の検出信号から自脈心拍数を計測して心拍数増分値演算部42に供給し、心拍数増分値演算部42は、この供給された自脈心拍数から、自脈心拍数の所定割合を演算する。心拍数増分値演算部42において演算された自脈心拍数の所定割合は、選択部44を介して加算部45に供給され、加算部45においては、計測された自脈心拍数とその所定割合が加算されて、自脈心拍数よりも少し高い心拍数が出力される。なお、加算部45において加算される値として、心拍数増分値演算部42からの自脈心拍数の所定割合とする代わりに、選択部44を切り替えて、心拍数固定増分値記憶部43に予め記憶された設定値を用いることも可能である。この選択部44に接続された心拍数増分値演算部42と心拍数固定増分値記憶部43のどちらを選択するかは、予め初期設定されている一方を選ぶことも、操作入力部22を介して他方を選ぶことも可能である。加算部45から出力される自脈心拍数よりも少し高い心拍数は、HR/P−P変換部46において時間間隔に変換された後、心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウト時間の閾値として心房刺激インターバル比較部27に供給される。
また、心房収縮検出部2の心房収縮の検出により、心房刺激インターバルタイマ25がスタートする。心房刺激インターバル比較部27には、HR/P−P変換部46出力の自脈心拍数よりも少し高い心拍数に相当する時間間隔が心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウト時間の閾値として供給されており、心房刺激インターバルタイマ25のタイマ値が自脈心拍数よりも少し高い心拍数に相当する時間間隔に達する前に心房収縮を検出すると、この心房収縮の検出信号がOR回路24を介して心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25は再びリセットしてスタートする。一方、心房刺激インターバルタイマ25のタイマ値が、自脈心拍数よりも少し高い心拍数に相当する時間間隔に達しても心房収縮が検出されない場合には、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3、心房電極リード4、及び心房刺激電極5を介して右心房11が刺激される。したがって、自脈心拍数よりも少し高い心房刺激レートで心房が刺激されることになる。同時に、心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25はそのタイマ値をリセットして再びスタートする。
また、心房収縮の検出(心房収縮検出部2出力)や心房刺激(心房刺激インターバル比較部27出力)はOR回路24によって、AVD計測タイマ28をスタートさせる。また、心室収縮の検出(心室収縮検出部6出力)は、AVD計測タイマ28をストップさせる。このとき、計測AVD比較部31は、AVD計測タイマ28出力からAVD計測値を取得する。AVD設定部49は、神経刺激タイミング部32から神経刺激部14に対する神経刺激のトリガのタイミングで、正常房室伝導における心室収縮を確保するための第1AVD記憶部47の選択から、迷走神経刺激時房室伝導における心室収縮を確保するための第2AVD記憶部48の選択に切り替える。AVD計測タイマ28の出力がAVD設定部49で選択されたAVD計測タイマ28のタイムアウト時間の閾値を超えても心室収縮が検出されない場合には、安全のため、AVD比較部30から出力が発せられ、心室刺激部7、心室電極リード8、及び心室刺激電極9を介して右心室12が刺激されて、心室収縮が確保される。
また、比較値テーブル記憶部50は、心拍数とAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)の関係を保持し、入力した心拍数に対して対応するAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)を出力する。加算部45は、自脈より少し高い心拍数、すなわち心房刺激レートを比較値テーブル記憶部50に入力して、心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)が比較値テーブル記憶部50から計測AVD比較部31に供給される。
計測AVD比較部31は、比較テーブル記憶部50に記憶した心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とAVD計測タイマ28のAVD計測値とを比較する。
図16に示すように、計測AVD比較部31において、AVD1記録部53はAVD計測タイマ28から供給されるAVD1計測値を格納し、AVD2記録部54はAVD計測タイマ28から供給されるAVD2計測値を格納する。比較値演算部57は、AVD2記録部54から読み出したAVD2計測値と、AVD1記録部53から読み出したAVD1計測値を用いて、AVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分を演算する。比較部51は、比較値演算部57で演算されたAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分と比較テーブル記憶部50から読み出される心房刺激レートに対応した最適なAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とを比較して、比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する。
計測AVD比較部31は、心房刺激インターバル比較部27の出力のタイミング、すなわち、心房刺激のタイミングで、1回だけ神経刺激タイミング部32に、神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可すると共に、その他のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止するようにしている。
また、計測AVD比較部31は、心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とAVD計測タイマ28のAVD計測値との比較結果を神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する。神経刺激信号パラメータ設定部33は、この比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号のパラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。
次に、上述した例の動作を図10〜図13に示すフローチャートに基づいて説明する。
ここでは、上述した図2〜図4に示したフローチャートと異なる部分について説明し、同一の処理については、同一のステップ名、工程名を示してその説明を省略する。
スタートからステップS201、ステップS202、及びステップS203の処理は図2で説明したステップS1、ステップS2、及びステップS3の処理と同じであり、ステップS208の処理は同じく図2で説明したステップS4の心房刺激回数Nを“0”にする処理と同じである。
ステップS203で、神経刺激信号パラメータ設定部33からの初期化信号によって、神経刺激部14に現在設定されている神経刺激信号パラメータが下限値で初期化された後、心拍数計測部41がOR回路24を介して心房収縮検出部2の心房収縮の検出信号から自脈心拍数を計測する(ステップS204)。次に、心拍数計測部41によって計測された自脈心拍数は心拍数増分値演算部42に供給され、心拍数増分値演算部42では、この心拍数計測部41によって計測された自脈心拍数の所定割合の心拍数値が演算される。この演算された自脈心拍数の所定割合の心拍数値は、選択部44を介して加算部45に供給され、加算部45では、自脈心拍数と自脈心拍数の所定割合が加算されて、自脈心拍数より少し高い心拍数としての心房刺激レートが算出される(ステップS205)。なお、加算部45において加算される値として、心拍数増分値演算部42からの自脈心拍数の所定割合とする代わりに、選択部44を切り替えて、心拍数固定増分値記憶部43に予め記憶された設定値を用いることも可能である。
続いて、加算部45において、ステップS205で算出された心房刺激レートが予め定められた上限レート以下であるか否かが判断される(ステップS206)。この判断ステップS206において心房刺激レートが上限レート以下であると判断されたときは、ステップS205で算出された心房刺激レートがHR/P−P変換部46で時間間隔に変換される。そして、HR/P−P変換部46は、変換された時間間隔を心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウト時間の閾値として心房刺激インターバル比較部27に供給する(ステップS207)。判断ステップS206において心房刺激レートが予め定められた上限レートを超えたと判断されたとき(D)は、高レートで心臓が刺激されるのを防ぐため、安全のために、図13のステップS248に進み、通常制御に切り替えられる。
以上説明した、ステップS204の自脈心拍数計測の処理〜ステップS207の心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウト時間の閾値設定を行う処理までが自脈心拍数計測と心房刺激レート設定の工程となる。
次に、ステップS209以下の工程を説明する。
まず、心房刺激インターバルタイマ25をリセットしタイマをスタートさせる(ステップS209)。続いて、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS210)。判断ステップS210で心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトしたと判断された場合、すなわち、心房刺激インターバルタイマ25の計時時間がHR/P−P変換部46から供給される心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウト時間の閾値を超えると、心房刺激インターバル比較部27から出力が発せられ、心房刺激部3により右心房11が刺激される(ステップS212)。
また、判断ステップS210において、心房刺激インターバルタイマ25の計時時間がHR/P−P変換部46から供給される心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウト時間の閾値を超えずに心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトしていない場合は、心房収縮検出部2で心房の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS211)。そしてこの判断ステップS211において心房の収縮が検出されたと判断された場合は、ステップS204の自脈心拍数の計測処理に戻る。判断ステップS211において心房の収縮が検出されないと判断されたときは、ステップS210の心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウトの判断の処理に戻る。
次に、ステップS212の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25がリセットされ、計時をスタートする(ステップS213)。そして、AVD設定部49は、AVD計測タイマ28のタイムアウト時間の閾値として、第1AVD記憶部47に記憶される正常房室伝導における心室収縮を確保するためのAVD値(例えば、150ms)を設定する(ステップS214)。続いて、ステップS212の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介してAVD計測タイマ28のスタート端子にも供給されており、AVD計測タイマ28の計時が開始し(ステップS215)、図11の工程に進む。
次に、図11に基づいて工程(A)について説明する。
図11に示すように、まず、計測AVD比較部31において、ステップS212の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力に応答して、後述する心房刺激部3による右心房11の刺激回数をカウントするカウンタ値Nに“N+1”を入れてカウンタ値Nをインクリメントする(ステップS216)。そして、このカウンタ値が所定回数に到達したか否か、すなわち、予め定めた心房刺激部3による右心房11の刺激回数の所定値(N=3〜5)に等しいか否かが判断される(ステップS217)。
判断ステップS217において、Nが予め定められた所定値(N=3〜5)に等しいと判断されたときは、計測AVD比較部31が、ステップS212の心房刺激のタイミングで1回だけ神経刺激タイミング部32に神経刺激部14を介した迷走神経13の刺激を許可する(ステップS218)と共に、これ以降のタイミングでは迷走神経13の刺激を禁止する。なお、神経刺激タイミング部32では、心房刺激と同時に神経刺激部14を介して迷走神経13を刺激することもできるし、心房刺激から予め設定した遅延時間を待った後、神経刺激部14を介して迷走神経を刺激することも可能である。
次に、心室収縮検出部6において心室の収縮が検出されたか否かが判断され(ステップS219)、この判断ステップS219で心室の収縮が検出されたと判断された場合は、AVD計測タイマ28がAVD計測を停止し、計測AVD比較部31はこのときのAVD計測値を取得する(ステップS220)。そして、図12に示される工程(B)の処理に移行する。
判断ステップS217において、Nが予め定められた所定値(N=3〜5)に等しくないと判断されたときは、続いて心室収縮検出部6から心室の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS221)。そして判断ステップS221において心室の収縮が検出されたと判断されたときは、AVD計測タイマ28がAVD計測を停止し、計測AVD比較部31はこのときのAVD計測値を取得する(ステップS222)。そして、図12に示す次の工程(B)に移る。
また、判断ステップS221において、心室収縮検出部6から心室の収縮が検出されないと判断されたときは、続いてAVD計測タイマ28がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS223)。そしてこの判断ステップS223でAVD計測タイマ28がタイムアウトしたと判断された場合は、AVD比較部30から心室刺激部7に出力信号が発せられ、右心室12が刺激される(ステップS224)。そして、AVD計測タイマ28をストップし(ステップS225)、図12に示される工程(B)に進む。判断ステップS223でAVD計測タイマ28がタイムアウトしていないと判断された場合は、ステップS221に戻り、次の心室の収縮検出を待つ。
次に、判断ステップS219において、心室収縮検出部6で心室の収縮が検出されないと判断されたときは、AVD計測タイマ28がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS226)。この判断ステップS226でAVD計測タイマ28がタイムアウトしていると判断されたときは、AVD比較部30から心室刺激部7に信号が送られ、右心室12の刺激がなされる(ステップS227)。そして、AVD計測タイマ28をストップさせ(ステップS228)、図12に示される工程(B)に進む。判断ステップS226でAVD計測タイマ28がタイムアウトしていないと判断されたときは、ステップS219に戻り、次の心室収縮の検出を待つ。
次に、図12に基づいて、ステップS220及びステップS222のAVD計測値の取得、並びに、ステップS225及びステップS228のAVD計測タイマ28のストップに続く工程(B)について説明する。
まず、計測AVD比較部31において、AVD計測値を取得できたか否かが判断される(ステップS229)。この判断ステップS229において、AVD計測値を取得できたと判断されたとき、すなわちステップS200あるいはステップS222においてAVD計測値を取得できた場合は、計測AVD比較部31は、取得したAVD計測値の平均値をAVD1計測値として、図16に示すAVD1記録部53に格納する(ステップS230)。一方、判断ステップS229において、AVD計測値を取得できなかったと判断されたとき、すなわちステップS219で心室収縮が検出されずにステップS226、ステップS227、ステップS228経由でこの判断ステップS229に進んだ場合、あるいはステップS221で心室収縮が検出されずにステップS223、ステップS224、ステップS225経由でこの判断ステップS229に進んだ場合には、AVD計測値に基づく迷走神経13の刺激の強度の制御ができないため、図13の(D)に進み、通常制御に切り替わる。
以上説明した、ステップS209の心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタートの処理〜ステップS230の取得したAVD計測値の平均値をAVD1計測値とする処理までがAVD1計測値の取得工程となる。
次に、心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS231)。この判断ステップS231で心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトしたと判断された場合は、心房刺激インターバル比較部30から心房刺激部3に信号が送られ、右心房11の刺激が行われる(ステップS233)。一方、判断ステップS231で心房刺激インターバルタイマ25がタイムアウトしていないと判断された場合は、続いて心房収縮検出部2において心房の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS232)。この判断ステップS232で心房収縮検出部2から心房の収縮が検出されたと判断されたとき(D)は、心房刺激によって心拍数を一定に保つことができず、迷走神経刺激によるAVD計測値への影響を正確に捉えることが困難なため、図13の(D)に進み、通常制御に切り替わる。判断ステップS232で心房収縮検出部2から心房の収縮が検出されない場合には、ステップS231の判断に戻る。
次に、ステップS233で心房刺激が行われた後は、この心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力が、OR回路24を介して、心房刺激インターバルタイマ25のリセット/スタート端子に供給され、心房刺激インターバルタイマ25がリセットされ、計時が開始される(ステップS234)。そして、AVD設定部49において、AVD計測タイマ28のタイムアウト時間の閾値として、第2AVD記憶部48に記憶される迷走神経刺激後房室伝導における心室収縮を確保するためのAVD値(例えば、300ms)が設定される(ステップS235)。
続いて、ステップS233の心房刺激において心房刺激部3に対して供給された心房刺激インターバル比較部27の出力は、OR回路24を介してAVD計測タイマ28のスタート端子に供給され、AVD計測タイマ28は計時を開始する(ステップS236)。次に、心室収縮検出部6において心室の収縮が検出されたか否かが判断される(ステップS237)。この判断ステップS237において、心室の収縮が検出されたと判断されたときは、AVD計測タイマ28がAVD計測を停止して、AVD計測値を取得する(ステップS238)。そして、計測AVD比較部31は取得したAVD計測値をAVD2計測値とし(ステップS239)、図16に示すAVD2記録部54に格納する。続いて、計測AVD比較部31が心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)を比較値テーブル記憶部50から取得し(ステップS240)、その後の図13の工程(C)に進む。
また、判断ステップS237において、心室の収縮が検出されないと判断された場合は、続いてAVD計測タイマ28がタイムアウトしたか否かが判断される(ステップS241)。そして、この判断ステップS241でAVD計測タイマ28がタイムアウトしたと判断された場合は、AVD比較部30から心室刺激部3に信号が送られ、右心室12の刺激が行われた(ステップS242)後、AVD計測タイマ28を停止する(ステップS243)。そして、AVD2計測値を取得できず、AVD計測値に基づく迷走神経13の刺激の強度の制御ができないため、図13に示す工程(D)に進んで通常の制御に切り替わる。判断ステップS241でAVD計測タイマ28がタイムアウトしていない場合には、ステップS237に戻り、次の心室収縮の検出を待つ。
ステップS231の心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウトの判断〜ステップS240の心房刺激レートに対応したAVD基準比較値の取得の処理までがAVD2計測値とAVD基準比較値の取得工程となる。
次に、図13に基づいて、図12のステップS240でAVD基準比較値を取得した後の処理(C)について説明する。
まず、計測AVD比較部31において、AVD1記録部53に格納されたAVD1計測値とAVD2記録部54に格納されたAVD2計測値が比較値演算部57に供給される。そして、比較値演算部57からは、AVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合(AVD2/AVD1)又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分(AVD2−AVD1)が出力され、この比較値演算部57の出力とステップS240で取得したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)が比較部51において比較される(ステップS244)。
そして、この比較の結果、つまり比較値テーブル記憶部50から取得した心房刺激レートに対応したAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)とAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分との比較結果を、神経刺激信号パラメータ設定部33に供給する。神経刺激信号パラメータ設定部33は、この比較結果に基づいて迷走神経13に対する神経刺激信号パラメータを決定し、神経刺激部14にそのパラメータ値を設定する。
例えば、心房刺激レートに対応したAVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分が最適なAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)よりも小さいときは、迷走神経刺激による効果が小さいと判断して、神経刺激信号パラメータ設定部33は、神経刺激信号のエネルギ、すなわち、振幅やパルス幅等のパラメータを現在設定されている値よりも所定量だけ増加させて神経刺激部14に設定する(ステップS245)。そして、心房刺激回数Nを“0”にした(ステップS246)後、図10に示す心房刺激インターバルタイマ25のタイムアウトの判断に戻って、AVD1計測値の取得工程、AVD2計測値とAVD比較値の取得工程、及び本工程を繰り返す。
また、判断ステップS244において、AVD2計測値に対するAVD1計測値との相対的割合又はAVD2計測値とAVD1計測値との差分が、最適なAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)よりも大きいときは、神経刺激信号パラメータ設定部33は、現在の刺激強度の設定により所望の迷走神経刺激の効果があると判断し、生体状況の変動があっても確実な迷走神経刺激の効果が保証されるように、神経刺激信号のパラメータ値を現在設定されている値よりも所定のマージンだけ高い値で更新し、神経刺激部14に設定する(ステップS247)。その後、切替制御部21は、神経刺激信号パラメータ制御部20の動作をオフにし、通常制御部17の動作をオンにして通常の制御動作に戻る(ステップS248)。
これにより、AVD計測値と刺激レートに対応した第2の所定値、あるいは第3の所定時間との比較に基づいて、迷走神経13の刺激の強度を最適に制御することができる。
上述したステップS244のAVD計測値の相対的割合あるいは差分とAVD基準比較値(第2の所定値、あるいは第3の所定時間)の比較判断以降が、AVD計測値の相対的割合あるいは差分に基づく神経刺激信号パラメータ変更の工程となる。
以上、本発明の神経刺激強度設定装置の実施形態について、体内植込み型の迷走神経刺激に基づく心臓治療装置における神経刺激強度の制御を例としてあげたが、本発明の形態はこれに限られるものではなく、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置を体内に植え込む手術の際に神経刺激閾値や神経刺激応答特性の確認を行うための体外式の計測装置にも適用が可能である。
本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の構成例を示したブロック図である。 本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 迷走神経刺激とAVD計測値の取得のタイミングを示す図である。 本発明の他の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の構成例を示したブロック図である。 本発明の他の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の他の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の他の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 本発明の他の実施の形態の神経刺激強度設定装置を搭載した、迷走神経刺激に基づく心臓治療装置の動作を説明するための部分フロー図である。 「AVD計測値と第2の所定時間との比較」における計測AVD比較部31の詳細構成を示すブロック図である。 「AVD2計測値/AVD1計測値と第2の所定値との比較」における計測AVD比較部31の詳細構成を示すブロック図である。 「AVD計測値と刺激レートに対応した第2の所定値、あるいは第3の所定時間との比較」における計測AVD比較部31の詳細構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…心臓治療装置、2…心房収縮検出部、3…心房刺激部、6…心室収縮検出部、7…心室刺激部、13…迷走神経、14…神経刺激部、20…神経刺激信号パラメータ制御部、25…心房刺激インターバルタイマ、27…心房刺激インターバル比較部、28…AVD計測タイマ、30…AVD比較部、31…計測AVD比較部、32…神経刺激タイミング部、33…神経刺激信号パラメータ設定部、41…心拍数計測部、42…心拍数増分値演算部、43…心拍数固定増分値記憶部、44…選択部、45…加算部、46…HR/P−P変換部、47…第1AVD記憶部、48…第2AVD記憶部、49…AVD設定部、50…比較値テーブル記憶部、51…比較部、52…所定値記憶部、53…AVD1記録部、54…AVD2記録部、55…AVD2/AVD1演算部、56…所定割合記憶部、57…比較値演算部

Claims (33)

  1. 心臓の房室伝導時間を計測する房室伝導時間計測手段と、
    迷走神経を刺激する神経刺激信号を発生する神経刺激手段と、
    前記神経刺激手段と前記房室伝導時間計測手段に接続する制御手段とを備え、
    前記制御手段が、前記房室伝導時間計測手段の出力に応答して前記神経刺激信号のパラメータを調節することを特徴とする神経刺激強度設定装置。
  2. 所定のレートで心房を刺激する心房刺激手段と、心室の収縮を検出する心室収縮検出手段とを更に備え、前記房室伝導時間計測手段が、前記心房刺激手段による心房刺激から前記心室収縮検出手段による心室収縮検出までの時間を計測するものであることを特徴とする請求項1に記載の神経刺激強度設定装置。
  3. 心拍数を計測する心拍数計測手段を更に備え、
    前記制御手段は、さらに前記心房刺激手段と前記心拍数計測手段に接続され、前記心拍数計測手段の出力に基づいて前記心房刺激手段の前記レートを設定することを特徴とする請求項2に記載の神経刺激強度設定装置。
  4. 前記神経刺激信号の発生が、前記心房の刺激と同時であることを特徴とする請求項2又は3に記載の神経刺激強度設定装置。
  5. 前記神経刺激信号の発生が、前記心房の刺激から所定の遅延時間を経過した後に行われることを特徴とする請求項2又は3に記載の神経刺激強度設定装置。
  6. 前記所定の遅延時間は、前記心室収縮の検出前までの時間であることを特徴とする請求項5に記載の神経刺激強度設定装置。
  7. 前記所定の遅延時間は、房室伝導時間内の時間であることを特徴とする請求項5に記載の神経刺激強度設定装置。
  8. 前記制御手段が、前記心拍数計測手段の出力に所定値を加算した値を前記心房刺激手段の前記レートとして設定することを特徴とする請求項3に記載の神経刺激強度設定装置。
  9. 前記所定値が、固定された心拍数値であることを特徴とする請求項8に記載の神経刺激強度設定装置。
  10. 前記所定値が、前記計測した心拍数の所定の割合であることを特徴とする請求項8に記載の神経刺激強度設定装置。
  11. 更に、前記心房刺激パルスの発生から第1の所定時間を経過しても前記心室収縮の検出が得られなかった場合に心室を刺激するための心室刺激パルスを発生する心室刺激手段を備えることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  12. 前記迷走神経刺激後の心臓サイクルにおいて前記第1の所定時間を延長することを特徴とする請求項11に記載の神経刺激強度設定装置。
  13. 更に前記制御手段が前記房室伝導時間計測手段と接続する比較手段を備え、該比較手段の出力に応答して前記神経刺激信号のパラメータを調節することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  14. 前記比較手段が、前記房室伝導時間計測手段出力と第2の所定時間を比較することを特徴とする請求項13に記載の神経刺激強度設定装置。
  15. 前記第2の所定時間が、前記心房刺激手段の刺激レートの関数であることを特徴とする請求項14に記載の神経刺激強度設定装置。
  16. 前記房室伝導時間計測手段出力が前記第2の所定時間よりも小さいときに、前記神経刺激信号の刺激エネルギが増加するように前記パラメータを調節することを特徴とする請求項14又は15に記載の神経刺激強度設定装置。
  17. 前記房室伝導時間計測手段出力が前記第2の所定時間よりも大きいときに、前記神経刺激信号の刺激エネルギが減少するように前記パラメータを調節することを特徴とする請求項14又は15に記載の神経刺激強度設定装置。
  18. 前記第2の所定時間と比較を行う房室伝導時間が、前記神経刺激信号を印可した心臓サイクルよりも後の心臓サイクルにおける房室伝導時間であることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  19. 前記比較手段が、第1の心臓サイクルで計測した房室伝導時間と第2の心臓サイクルで計測した房室伝導時間を比較することを特徴とする請求項13に記載の神経刺激強度設定装置。
  20. 前記第1の心臓サイクルが前記神経刺激信号を印加する前あるいは印加したときの心臓サイクルであり、前記第2の心臓サイクルが前記神経刺激信号を印加した後の心臓サイクルであることを特徴とする請求項19に記載の神経刺激強度設定装置。
  21. 前記第2の心臓サイクルが前記神経刺激信号を印加した後の心臓サイクルであり、前記第1の心臓サイクルが前記第2の心臓サイクルよりも後の心臓サイクルであることを特徴とする請求項19に記載の神経刺激強度設定装置。
  22. 前記比較手段が、第1の心臓サイクルで計測した房室伝導時間(AVDl)と第2の心臓サイクルで計測した房室伝導時間(AVD2)の較差(AVD2−AVDl)と第3の所定時間を比較することを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  23. 前記第3の所定時間が、前記心房刺激手段の刺激レートの関数であることを特徴とする請求項22に記載の神経刺激強度設定装置。
  24. 前記較差(AVD2−AVDl)が前記第3の所定時間よりも小さいときに、前記神経刺激信号の刺激エネルギが増加するように前記パラメータを調節することを特徴とする請求項22又は23に記載の神経刺激強度設定装置。
  25. 前記較差(AVD2−AVDl)が前記第3の所定時間よりも大きいときに、前記神経刺激信号の刺激エネルギが減少するように前記バラメータを調節することを特徴とする請求項22又は23に記載の神経刺激強度設定装置。
  26. 前記比較手段が、第1の心臓サイクルで計測した房室伝導時間(AVDl)と第2の心臓サイクルで計測した房室伝導時間(AVD2)の比(AVD2/AVDl)と第2の所定値を比較することを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  27. 前記第2の所定値が、前記心房刺激手段の刺激レートの関数であることを特徴とする請求項26に記載の神経刺激強度設定装置。
  28. 前記比(AVD2/AVDl)が前記第2の所定値よりも小さいときに、前記神経刺激信号の刺激エネルギが増加するように前記パラメータを調節することを特徴とする請求項26又は27に記載の神経刺激強度設定装置。
  29. 前記比(AVD2/AVDl)が前記第2の所定値よりも大きいときに、前記神経刺激信号の刺激エネルギが減少するように前記バラメータを調節することを特徴とする請求項26又は27に記載の神経刺激強度設定装置。
  30. 前記神経刺激信号が単発パルスの信号であることを特徴とする請求項1〜29のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  31. 前記神経刺激信号が複数のパルスからなるバースト信号であることを特徴とする請求項1〜29に記載の神経刺激強度設定装置。
  32. 前記神経刺激信号のパラメータの調節が、パルス振幅とパルス幅の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜29のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置。
  33. 請求項1〜32のいずれかに記載の神経刺激強度設定装置を有し、生体へ植え込み可能な筐体を有することを特徴とする心臓治療装置。
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