JP2006279509A - アンプ出力制御装置、オーディオ装置及びアンプ出力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、スピーカのボイスコイルによる逆起電力の影響を除去した高音質な音を出力できるようにする。
【解決手段】
本発明は、D級アンプ2と当該D級アンプ2に接続されるスピーカ5との間に設けられた電流検出抵抗4によってスピーカ5による影響を受けて出力オーディオ信号S7に生じた歪成分データS3だけを高精度に算出し、その歪成分データS3を予め元のディジタルデータS1に加算しておくことにより、実際にスピーカ5のボイスコイル29による逆起電力の影響を受けて歪を生じた場合でも、その歪成分が相殺された歪のない出力オーディオ信号S7をスピーカ5へ供給することができる。
【選択図】 図1
本発明は、スピーカのボイスコイルによる逆起電力の影響を除去した高音質な音を出力できるようにする。
【解決手段】
本発明は、D級アンプ2と当該D級アンプ2に接続されるスピーカ5との間に設けられた電流検出抵抗4によってスピーカ5による影響を受けて出力オーディオ信号S7に生じた歪成分データS3だけを高精度に算出し、その歪成分データS3を予め元のディジタルデータS1に加算しておくことにより、実際にスピーカ5のボイスコイル29による逆起電力の影響を受けて歪を生じた場合でも、その歪成分が相殺された歪のない出力オーディオ信号S7をスピーカ5へ供給することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アンプ出力制御装置、オーディオ装置及びアンプ出力制御方法に関し、例えばD級アンプのアンプ出力を制御してスピーカから高音質な音を出力させる場合に適用して好適なものである。
従来、D級アンプにおいては、スピーカへの出力インピーダンスを0Ωに近づけることによりオーディオデータの信号電圧を忠実にスピーカへ伝達するように設計されている。しかしながらD級アンプにおいては、アンプ自体の出力インピーダンスや、アンプ及びスピーカ間のケーブルインピーダンス等により、当該スピーカへの出力インピーダンスとして実際には数Ω発生してしまう。
このような場合、D級アンプではオーディオデータの信号電圧をスピーカへ忠実に伝達した場合であっても、当該スピーカにおける入力インピーダンスの周波数特性と、当該スピーカのボイスコイルによる逆起電力とによって、当該ボイスコイルに流れる実際の電流波形が理想的な電流波形に比べて歪んでしまう。
従ってD級アンプでは、ボイスコイルに流す電流波形の歪に応じてスピーカの振動板における振動動作についても歪の影響が発生することになり、音質が悪化してしまうという問題があった。
そこで、このような音質の悪化を防止する手法として、スピーカのボイスコイルに流れる電流波形の歪成分を低減する負帰還方式を採用した低歪スピーカ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62-120195号公報(第1〜2頁、第4図)
ところでかかる構成のD級アンプにおいては、上述の特許文献1で示した低歪スピーカ装置における負帰還方式を採用した場合、スピーカに流れる駆動電流を検出するための電流検出器を当該スピーカとグランドとの間に設けることになるので、当該D級アンプ内の電源回路等からノイズの回り込みが生じ、電流検出器にいわゆる回生電流が流れることがあった。
この場合、D級アンプでは回生電流の影響によりスピーカに流れる電流だけを正確に検出し得ないため、当該スピーカのボイスコイルにより発生する逆起電力によって生じた歪成分を正確に検出することができない。従ってD級アンプでは、当該歪成分を完全に除去することができないのでスピーカから出力する音の音質を低下させてしまうという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、アンプ出力対象の影響による歪を完全に除去した信号を当該アンプ出力対象に供給し得るアンプ出力制御装置、オーディオ装置及びアンプ出力制御方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、ディジタル信号源から供給されるディジタルデータをパルス幅変調することによりパルス幅変調データを生成するパルス幅変調手段と、パルス幅変調データを所定レベルに増幅して出力するアンプと、アンプによる増幅結果をアナログ信号に変換するアナログ変換手段と、アンプとアナログ信号の出力先となる所定のアンプ出力対象との間に設けられ、当該アンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた電流波形でなるアナログ信号を検出する検出手段と、歪を生じたアナログ信号をディジタルの検出データに変換する変換手段と、ディジタル信号源から供給されるディジタルデータと検出データとの差分を歪データとして算出し、当該歪データをディジタルデータに加算することにより得られた加算結果を上記パルス幅変調手段に供給する演算手段とを設けるようにする。
これにより、アンプと当該アンプの出力先となるアンプ出力対象との間に設けられた検出手段によってアンプ出力対象による影響を受けて生じた歪データだけを正確に算出し、その歪データを予め元のディジタルデータに加算してディジタル演算補正を行うことができるので、実際にアンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた場合でも、結果的に歪成分が相殺された歪のないアナログ信号をアンプ出力対象に供給することができる。
また本発明においては、ディジタル信号源から供給される複数チャンネルのディジタルオーディオデータをそれぞれ増幅し、各チャンネルで共用化されたグランド線を介して当該各チャンネルのスピーカへそれぞれ送出するオーディオ装置であって、各チャンネル毎にディジタルデータをパルス幅変調することによりパルス幅変調オーディオデータを生成するパルス幅変調手段と、各チャンネル毎にパルス幅変調オーディオデータを所定レベルに増幅して出力するアンプと、各チャンネル毎にアンプによる増幅結果をアナログ信号に変換するアナログ変換手段と、各チャンネル毎にアンプとスピーカとの間に設けられ、アナログ信号が当該アンプから当該スピーカへ送出される際に当該スピーカの影響及びグランド線を介した他のチャンネルからの影響による歪成分が重畳された電流波形でなるアナログ信号をそれぞれ検出する検出手段と、各チャンネル毎に歪を生じたアナログ信号をディジタルの検出データに変換する変換手段と、各チャンネル毎にディジタル信号源から供給されるディジタルオーディオデータと検出データとの差分を歪データとして算出し、当該歪データをディジタルオーディオデータに加算することにより得られた加算結果をパルス幅変調手段に供給する演算手段とを設けるようにする。
これにより、アンプと当該アンプの出力先となるスピーカとの間に設けられた検出手段によって、スピーカの影響及びグランド線を介した他のチャンネルからの影響によりアナログ信号に重畳された歪成分を歪データとして正確に算出し、その歪データを予め元のディジタルオーディオデータに加算してディジタル演算補正を行うことができるので、共用化されたグランド線を介して実際にスピーカの影響及び他チャンネルの影響を双方受けて歪が生じた場合でも、結果的に歪成分が相殺された歪のないアナログ信号をアンプ出力対象に供給することができる。
さらに本発明においては、ディジタル信号源から供給されるディジタルデータをパルス幅変調することによりパルス幅変調データを生成するパルス幅変調ステップと、パルス幅変調データをアンプにより所定レベルに増幅して出力する増幅ステップと、アンプによる増幅結果をアナログ信号に変換するアナログ変換ステップと、アンプとアナログ信号の出力先となる所定のアンプ出力対象との間に設けられた検出手段により、アンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた電流波形でなるアナログ信号を検出する検出ステップと、ディジタル信号源から供給されるディジタルデータと検出データとの差分を歪データとして算出し、当該歪データをディジタルデータに加算することにより得られた加算結果をパルス幅変調ステップ及びアナログ変換ステップを介してアンプ出力対象へ供給することにより歪を補正する歪補正ステップとを設けるようにする。
これにより、アンプと当該アンプの出力先となるアンプ出力対象との間に設けられた検出手段によってアンプ出力対象による影響を受けて生じた歪データだけを正確に算出し、その歪データを予め元のディジタルデータに加算してディジタル演算補正を行うことができるので、実際にアンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた場合でも、結果的に歪成分が相殺された歪のないアナログ信号をアンプ出力対象に供給することができる。
本発明によれば、アンプと当該アンプの出力先となるアンプ出力対象との間に設けられた検出手段によってアンプ出力対象による影響を受けて生じた歪データだけを正確に算出し、その歪データを予め元のディジタルデータに加算してディジタル演算補正を行うことができるので、実際にアンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた場合でも、結果的に歪成分が相殺された歪のないアナログ信号をアンプ出力対象に供給し得るアンプ出力制御装置及びアンプ出力制御方法を実現することができる。
また本発明によれば、アンプと当該アンプの出力先となるスピーカとの間に設けられた検出手段によって、スピーカの影響及びグランド線を介した他のチャンネルからの影響によりアナログ信号に重畳された歪成分を歪データとして正確に算出し、その歪データを予め元のディジタルオーディオデータに加算してディジタル演算補正を行うことができるので、共用化されたグランド線を介して実際にスピーカの影響及び他チャンネルの影響を双方受けて歪が生じた場合でも、結果的に歪成分が相殺された歪のないアナログ信号をアンプ出力対象に供給し得るオーディオ装置を実現することができる。
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)電流負帰還D級アンプ装置の構成
図1において1は全体として、本発明のアンプ出力制御装置に相当する電流帰還D級アンプ装置の構成を示し、D級アンプ2、積分回路3、電流検出抵抗4、スピーカ5及びDSP(Digital Signal Processor)6によって構成されている。
(1−1)電流負帰還D級アンプ装置の構成
図1において1は全体として、本発明のアンプ出力制御装置に相当する電流帰還D級アンプ装置の構成を示し、D級アンプ2、積分回路3、電流検出抵抗4、スピーカ5及びDSP(Digital Signal Processor)6によって構成されている。
実際上、電流負帰還D級アンプ装置1は、電流負帰還動作を行わない通常モードにおいて、DSP6のディジタル信号源10から供給されるオーディオデータS1を演算部9による演算処理を行うことなくPWM(Pulse Width Modulation)パルスジェネレータ14へ送出する。
PWMパルスジェネレータ14は、オーディオデータS1における信号波形のデューティー比を調整することによりPWM変調し、その結果得られるPWM変調データS5をD級アンプ2へ送出する。
D級アンプ2は、PWM変調データS5を所定レベルに増幅し、コイル7及びコンデンサ8からなる積分回路3によりアナログのオーディオ信号S6に変換した後、これを電流検出抵抗4を介して出力オーディオ信号S7としてスピーカ5へ供給する。
ここでスピーカ5は、図2の断面図に示すように、コーン型の振動板21を有しており、略すり鉢状のフレーム22の前側外周部において可撓性を有する樹脂素材でなるエッジ31を介して振動板21が取り付けられ、当該フレーム22に対して当該振動板21を前後方向へ自在に移動(振動)し得るようになされている。
フレーム22は、その後ろ側にそれぞれ略円盤状のトッププレート23、マグネット24及びバックプレート25が取り付けられており、当該バックプレート25の中央部から前方向に突出してポールヨーク26が設けられている。ポールヨーク26はマグネット24を貫通しており、トッププレート23との間に磁気ギャップ27を形成することにより磁気回路を構成するようになされている。
ボイスコイルボビン28は、略円筒形の金属材料でなり、ダンパー30によって軸支されると共に振動板21の後方中央部に取り付けられており、またボイスコイル29が磁気ギャップ27内に位置するように回巻されている。ボイスコイル29は、リード線(図示せず)を介してフレーム22に取り付けられた接続端子(図示せず)に接続されており、電流負帰還D級アンプ装置1から交流波形の出力オーディオ信号S7が供給されるようになされている。
すなわちスピーカ5は、電流負帰還D級アンプ装置1から供給された出力オーディオ信号S7に応じた電流をボイスコイル29に流すことにより、当該出力オーディオ信号S7の電流に応じた電磁力を発生させる。
このときスピーカ5は、当該電磁力により振動板21、ボイスコイルボビン28及びボイスコイル29を一体としてフレーム22等の他の部品に対して前後方向に振動させ、周囲の空気を振動させることにより出力オーディオ信号S7に応じた音を発生し得るようになされている。
ところでスピーカ5は、図3に示すように、ボイスコイル29の性質により周波数に応じてインピーダンスが変化しており、低音共振周波数でインピーダンスが極大値となり、当該低音共振周波数から周波数が上昇するとインピーダンスが減少して極小値、すなわち公称インピーダンスをとり、さらに周波数が上昇するに連れてインピーダンスが徐々に増加する。
またスピーカ5は、出力オーディオ信号S7に応じた電流がボイスコイル29に流れる際、一般的なコイルの性質により、当該ボイスコイル29において逆起電力を生じてしまうため、当該逆起電力によって出力オーディオ信号S7の電流波形を歪ませて、出力すべき音の音質を低下させてしまう。
そこで電流負帰還D級アンプ装置1(図1)は、D級アンプ2を介して増幅し、積分回路3及び電流検出抵抗4を介して得られた出力オーディオ信号S7がスピーカ5のボイスコイル29の影響を受けて歪成分を生じた場合に、当該歪成分をDSP6によって補正し得るようになされている。
すなわち電流負帰還D級アンプ装置1は、DSP6により電流負帰還動作を行う歪補正モードにおいて、積分回路3から出力されたアナログのオーディオ信号S6を電流検出抵抗4を介して出力オーディオ信号S7としてスピーカ5へ供給する。
ここで電流検出抵抗4は、リアクタンス分を殆ど有さない純抵抗でなり、D級アンプ2及び積分回路3を介して供給されたオーディオ信号S6を僅かに減衰させ出力オーディオ信号S7としてスピーカ5へ送出する。
このとき電流検出抵抗4は、オーディオ信号S6と出力オーディオ信号S7との間に電位差を生じさせることにより、当該オーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7における電流値の大きさの違いを当該電位差に基づいて検出するようになされている。なお電流検出抵抗4は純抵抗であるため、両端における電位差は当該電流検出抵抗4に流れる電流の大きさにのみ比例する。
ちなみに電流検出抵抗4は、例えば0.1[Ω]程度の比較的小さな抵抗値が選定されており、当該電流検出抵抗4によるオーディオ信号S6の電力損失を最小限に抑えるようになされている。
ここで、歪成分は初期状態において「0」であるため、PWMパルスジェネレータ14から出力された時点のPWM変調データS5に歪は発生していないが、オーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7は、上述したスピーカ5のボイスコイル29において生じる逆起電力の影響によって電流波形に歪みが生じている。
実際上、例えば図4(A)に示すように元のオーディオデータS1には歪成分が発生していないため、アナログ信号としてみれば歪のない正弦波として表されるのに対し、図4(B)及び図4(C)に示すように、オーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7は、逆起電力の影響により元のオーディオデータS1(図4(A))に対して歪んだ電流波形となっている。なお図4における「73H(t)」、「55H(t)」、「35H(t)」等の表示は、時点tにおける16進数表示された振幅レベルを示している。
この電流検出抵抗4の両端におけるオーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7は、電流検出回路17(図1)のアナログ/ディジタル変換器15に送出される。
アナログ/ディジタル変換器15は、オーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7をディジタルデータに変換することにより得られた信号電圧データS8及び出力信号電圧データS9を第1の比較演算回路16へ送出する。
この信号電圧データS8及び出力信号電圧データS9は、図4(B)及び(C)に示したようにオーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7の歪がそのまま反映されたディジタルデータである。
第1の比較演算回路16は、図4(D)に示すように信号電圧データS8と出力信号電圧データS9との差分データS10を算出し、図4(E)に示すように当該差分データS10をディジタル信号源10から供給されるオーディオデータS1の信号レベルとほぼ同等となるようにk倍程度に増幅することにより、電流検出データS11を得、これを演算部9における第2の比較演算回路11へ送出する。
ここで電流検出データS11は、スピーカ5におけるボイスコイル29の逆起電力の影響を受けて歪成分を含んでいる。
第2の比較演算回路11は、歪成分の含まれていない元のオーディオデータS1と、電流検出データS11とを比較し、両者の差分を算出することにより、オーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7にのみ含まれていた当該歪成分データS2(図4(F))のみを抽出し、これを増幅演算回路12へ送出する。
ここで歪成分データS2は、スピーカ5におけるボイスコイル29の逆起電力により生じた歪成分だけを表したディジタルデータである。
増幅演算回路12は、歪成分データS2を僅かに増幅し、その結果得られる歪成分データS3を加算演算回路13へ送出する。加算演算回路13は、ディジタル信号源10から供給された歪成分の含まれていない元のオーディオデータS1から歪成分データS3を差し引く、すなわち当該オーディオデータS1に対して歪成分データS3の位相を反転させて加算することにより、図4(G)に示すような歪成分が逆位相で加算された歪補正データS4を生成し、これをPWMパルスジェネレータ14へ供給するようになされている。
PWMパルスジェネレータ14は、歪補正データS4をPWM変調し、その結果得られるPWM変調データS5をD級アンプ2を介して所定レベルに増幅した後、積分回路3によりアナログのオーディオ信号S6に変換し、これを電流検出抵抗4を介して出力オーディオ信号S7としてスピーカ5へ供給するようになされている。
ここで歪補正データS4は、出力オーディオ信号S7に比べて逆方向に歪が生じているため、当該歪補正データS4を基にPWM変調され、アナログ変換されてスピーカ5へ出力される出力オーディオ信号S7についても同様の歪が生じることになるが、スピーカ5におけるボイスコイル29の逆起電力によりその歪が相殺され、最終的にスピーカ6へ供給される出力オーディオ信号S7はその信号波形に歪成分が含まれない状態に補正されることになる。
このように電流負帰還D級アンプ装置1は、電流検出抵抗4、DSP6の電流検出回路17及び演算部9を介してPWMパルスジェネレータ14に対して負の電流帰還をかけることにより、スピーカ5のボイスコイル29の逆起電力の影響に拘わらず、元のオーディオデータS1とほぼ同等の歪のない出力オーディオ信号S7をスピーカ5へ供給することができるので、当該スピーカ5からオーディオデータS1に基づく高音質な音を忠実に再現させることができる。
(1−2)動作及び効果
以上の構成において、電流帰還D級アンプ装置1のDSP6は、D級アンプ2とスピーカ5との間に電流検出抵抗4を設け、当該スピーカ5へ送出する出力オーディオ信号S7の電流波形を電流検出抵抗4及び電流検出回路17により電流検出データS11として検出し、当該電流検出データS11と元のオーディオデータS1との差分を算出することにより歪成分データS3を抽出し、これを元のオーディオデータS1に加算する。
以上の構成において、電流帰還D級アンプ装置1のDSP6は、D級アンプ2とスピーカ5との間に電流検出抵抗4を設け、当該スピーカ5へ送出する出力オーディオ信号S7の電流波形を電流検出抵抗4及び電流検出回路17により電流検出データS11として検出し、当該電流検出データS11と元のオーディオデータS1との差分を算出することにより歪成分データS3を抽出し、これを元のオーディオデータS1に加算する。
これにより電流負帰還D級アンプ装置1のDSP6は、オーディオデータS1に対して負の電流帰還をかけることになるため、スピーカ5のボイスコイル29において生じる逆起電力による出力オーディオ信号S7の歪成分を無くした状態で当該出力オーディオ信号S7をスピーカ5へ供給することができる。
スピーカ5は、歪成分が含まれていない元のオーディオデータS1とほぼ同等の歪のない出力オーディオ信号S7の電流がボイスコイル29に供給されるため、当該元のオーディオデータS1に忠実な音を出力することができる。
なお電流負帰還D級アンプ装置1のDSP6は、元のオーディオデータS1に対して負の電流帰還をかけているため、出力オーディオ信号S7に何時どのような歪が発生した場合であっても、オーディオデータS1に対して即座に歪成分を考慮した補正を行うことができるので、常時スピーカ5から高音質な音を出力することができる。
ところで図5(A)に示すように、本発明の電流負帰還D級アンプ装置1とは異なり、電流検出抵抗4をグランド側に接続した電流負帰還D級アンプ装置40では、電源回路等の他の回路からの影響によりグランドを介して回生電流ITが生じた場合、DSP6の電流検出回路17を介して電流帰還をかけてはいるものの、当該回生電流ITの影響によりグランド線上のインピーダンスZGによって点P1における電位が変動し、電流検出データS11の電位を表す電圧eoに当該回生電流ITの影響が及んでしまう。
このとき電流負帰還D級アンプ装置40では、当該電圧eoが電流検出抵抗4の両端における電位差と異なることになり、スピーカ5のボイスコイル29において生じる逆起電力のよる歪成分を高精度に算出できず、その結果スピーカ5を流れる信号電流ISに生じた歪成分を正確に補正できなくなってしまう。
これに対して本発明の電流負帰還D級アンプ装置1は、図5(B)に示すように、D級アンプ2とスピーカ5との間(すなわち信号ライン側)に電流検出抵抗4を接続しているため、電流検出データS11の電位を表す電圧eoが回生電流ITによって影響を及ぼされることがない。
従って電流負帰還D級アンプ装置1では、当該電流検出データS11により電流検出抵抗4の両端における電位差を正しく検出することができるので、回生電流ITの影響を受けずに出力オーディオ信号S7に発生した歪成分を高精度に算出し、当該出力オーディオ信号S7に生じた歪みを正確に補正することができる。
さらに、図6(A)に示すように電流負帰還D級アンプ装置40では、電流検出抵抗4の両端において電磁波等による外乱の影響を受けた場合、当該電流検出抵抗4の両端における信号波形G1及びG2のように、当該外乱によって出力オーディオ信号に同レベルの外乱ノイズ成分N1及びN2がそれぞれ重畳される。
しかしながら電流負帰還D級アンプ装置40では、グランド側のインピーダンスが低いために出力オーディオ信号のノイズ成分N2がノイズ成分N1よりも小さくなり、電流検出回路17により差分を算出したときの電圧eoにノイズ成分N1及びN2の差となる信号波形G3のノイズ成分N3が重畳されてしまい、電流検出抵抗4の両端における電位差を高精度に検出することができない。
これに対して本発明の電流負帰還D級アンプ装置1では、図6(B)に示すように、電流検出抵抗4の両端において電磁波等による外乱の影響を受けた場合、当該電流検出抵抗4の両端におけるインピーダンスがほぼ等しいため、当該電流検出抵抗4の両端における信号波形G11及びG12のように、当該電流検出抵抗4の両端を流れるオーディオ信号S6及び出力オーディオ信号S7にそれぞれ重畳されるノイズ成分N11及びN12の大きさがほぼ等しくなり、電流検出回路17により差分を算出したときの信号波形G13に示す電圧eoのようにノイズ成分が重畳されることはない。
この結果、電流負帰還D級アンプ装置1は、電流検出抵抗4の両端における電位差を正しく検出し、歪成分を高精度に算出することができるので、出力オーディオ信号S7に生じる歪みを正確に補正することができる。
そのうえ電流負帰還D級アンプ装置1では、仮に当該電流負帰還D級アンプ装置1とスピーカ5とを接続するケーブルが外乱等の影響を受け、出力オーディオ信号S7にノイズ成分が重畳された場合にも、DSP6の電流検出回路17及び演算部9によって外乱等の影響による歪成分データS3を算出し、当該出力オーディオ信号S7に生じた歪成分を補正することができるので、当該外乱の影響に拘らずオーディオデータS1を忠実に再現した音をスピーカ5から出力させることができる。
以上の構成によれば、電流負帰還D級アンプ装置1のDSP6は、D級アンプ2とスピーカ5との間に電流検出抵抗4を設け、当該電流検出抵抗4、DSP6の電流検出回路17及び演算部9により歪成分データS3を正確に算出して元のオーディオデータS1に逆位相で加算することにより、スピーカ5のボイスコイル29における逆起電力により生じた出力オーディオ信号S7の歪成分を相殺させ、元のオーディオデータS1と同様の歪のない出力オーディオ信号S7をスピーカ5に供給することができ、かくして当該スピーカ5から出力される音の音質を格段に向上させることができる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)オーディオ装置の構成
図1との対応箇所に同一符号を付して示す図7において、60は全体として第2の実施の形態におけるオーディオ装置を示し、電流負帰還D級アンプ装置1(図1)を2台用いた構成となっている。
(2−1)オーディオ装置の構成
図1との対応箇所に同一符号を付して示す図7において、60は全体として第2の実施の形態におけるオーディオ装置を示し、電流負帰還D級アンプ装置1(図1)を2台用いた構成となっている。
このオーディオ装置60は、例えばポータブルCD(Compact Disc)プレーヤやDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤでなり、CD再生部やDVD再生部を構成するディジタル信号源10R及び10Lから供給される左右2チャンネルのオーディオデータS1R及びS1LをそれぞれD級アンプ2R及び2Lにより増幅し、3極コネクタ62を介してヘッドホン61へ送出することにより、当該ヘッドホン61の右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lから左右それぞれの音を出力させるようになされている。
オーディオ装置60は、単体の電流負帰還D級アンプ装置1(図1)と比較して、左右2チャンネル分のDSP6R及びDSP6Lを有する点と、スピーカ5に対応したヘッドホン61の右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lがグランド線76Cを共用化した3芯ケーブル76によって接続されている点が異なる以外、共通の構成を有している。
ここで3芯ケーブル76は、DSP6Rと右側音響ユニット77Rとをケーブル76Rによって接続し、DSP6Lと左側音響ユニット77Lとをケーブル76Lによって接続すると共に、右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lがグランド線76Cを共用化している。
オーディオ装置60のDSP6R(右(R)チャンネル)は、上述した電流負帰還D級アンプ装置1(図1)のDSP6と同様に、ディジタル信号源10Rから供給されるオーディオデータS1RをPWMパルスジェネレータ14RによってPWM変調し、その結果得られるPWM変調データS5RをD級アンプ2Rへ送出する。
D級アンプ2Rは、PWM変調データS5Rを所定レベルに増幅し、積分回路3Rによりアナログのオーディオ信号S6Rに変換した後、これを純抵抗からなる電流検出抵抗4Rを介して出力オーディオ信号S7Rとして右側音響ユニット77Rへ供給する。
ところでDSP6Rでは、右側音響ユニット77Rへ送出する出力オーディオ信号S7Rの電流波形を電流検出抵抗4R及び電流検出回路17Rを介して電流検出データS11Rとして演算部9Rへ送出する。演算部9Rは、当該電流検出データS11Rと元のオーディオデータS1Rとの差分を算出することにより求めた歪成分データS3Rを当該オーディオデータS1Rに加算する。
これによりオーディオ装置60は、右側音響ユニット77Rのボイスコイル78Rにおいて生じる逆起電力による出力オーディオ信号S7Rの歪みをDSP6Rによって予め補正することができるため、元のオーディオデータS1Rとほぼ同等の歪のない出力オーディオ信号S7Rの電流を右側音響ユニット77Rのボイスコイル78Rに流すことができ、かくして当該音響ユニット77Rから元のオーディオデータS1Rに忠実な音を出力させることができる。
なおオーディオ装置60のDSP6L(左(L)チャンネル)についても、DSP6R(右チャンネル)と同様、元のオーディオデータS1Lとほぼ同等の歪のない出力オーディオ信号S7Lの電流を左側音響ユニット77Lのボイスコイル78Lに流すことができるので、当該左側音響ユニット77Lから元のオーディオデータS1Lに忠実な音を出力させることができる。
(2−2)動作及び効果
以上の構成においてオーディオ装置60のDSP6R及び6L(図7)は、第1の実施の形態における電流負帰還D級アンプ装置1のDSP6(図1)と同様、D級アンプ2R及び2Lと右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lとの間に電流検出抵抗4R及び4Lをそれぞれ設け、当該右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lへ供給する出力オーディオ信号S7R及びS7Lの電流波形を当該電流検出抵抗4R、4L及び電流検出回路17R、17Lにより電流検出データS11R及びS11Lとして検出し、当該電流検出データS11R及びS11Lと元のオーディオデータS1R及びS1Lとの差分を算出することにより歪成分データS3R3S3Lを抽出し、当該歪成分データS3R及びS3Lを逆位相で元のオーディオデータS1R及びS1Lにそれぞれ加算することにより、いわゆる負の電流帰還をかける。
以上の構成においてオーディオ装置60のDSP6R及び6L(図7)は、第1の実施の形態における電流負帰還D級アンプ装置1のDSP6(図1)と同様、D級アンプ2R及び2Lと右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lとの間に電流検出抵抗4R及び4Lをそれぞれ設け、当該右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lへ供給する出力オーディオ信号S7R及びS7Lの電流波形を当該電流検出抵抗4R、4L及び電流検出回路17R、17Lにより電流検出データS11R及びS11Lとして検出し、当該電流検出データS11R及びS11Lと元のオーディオデータS1R及びS1Lとの差分を算出することにより歪成分データS3R3S3Lを抽出し、当該歪成分データS3R及びS3Lを逆位相で元のオーディオデータS1R及びS1Lにそれぞれ加算することにより、いわゆる負の電流帰還をかける。
これによりDSP6R及び6Lは、元のオーディオデータS1R及びS1Lに対してそれぞれ負帰還をかけることになるため、右側音響ユニット77Rのボイスコイル78R及び左側音響ユニット77Lのボイスコイル78Lにおいて生じる逆起電力による出力オーディオ信号S7R及びS7Lの歪みを相殺し、歪成分が含まれない出力オーディオ信号S7R及びS7Lを右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lに供給することができる。
右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lは、歪成分が含まれない元のオーディオデータS1R及びS1Lとほぼ同等の歪のない出力オーディオ信号S7R及びS7Lがボイスコイル78R及び78Lに供給されるため、当該元のオーディオデータS1R及びS1Lに対して極めて忠実に再現した音を出力することができる。
またDSP6R及び6Lは、元のオーディオデータS1R及びS1Lに対してそれぞれ負の電流帰還をかけているため、出力オーディオ信号S7R及びS7Lにどのような歪みが生じた場合であっても、或いは歪みが生じていない場合であっても、それぞれ元のオーディオデータS1R及びS1Lと同等の歪のない状態で当該出力オーディオ信号S7R及びS7Lを右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lに供給することができる。
さらに、オーディオ装置60においては、ヘッドホン61のグランド線76Cが右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lの双方で共用化されていることによる他チャンネルへの漏れ電流の影響について検討する。
図8(A)に示すように、本発明におけるオーディオ装置60とは異なり、D級アンプ2R及び2Lのみを有し、歪成分の補正が行われないオーディオ装置80では、例えば右チャンネルにのみDSP6RからオーディオデータS1Rが供給された場合、グランド線76CがインピーダンスZCを有し、当該グランド線76Cの分岐点P2における電位が「0」にならないため、信号電流ISの漏れ電流ILが左チャンネルの左側音響ユニット77Lに流れて当該左側響ユニット77Lから僅かに右チャンネルの音が出力され、いわゆるチャンネルセパレーションが悪化してしまう。
これに対して図8(B)に示すように、本発明のオーディオ装置60の場合、右チャンネルにのみDSP6RからオーディオデータS1Rが供給された場合、オーディオ装置80(図8(A))の場合と同様に、グランド線76CにおけるインピーダンスZCの影響により分岐点P2の電位が「0」にならず、信号電流ISの漏れ電流ILが左チャンネルの左側音響ユニット77Lに流れてしまう。
しかしながらオーディオ装置60では、左チャンネルのDSP6Lによって、右チャンネルからの信号電流ISの漏れ電流ILによる歪成分データS3Lを検出し、当該歪成分データS3Lを逆位相として加算した出力オーディオ信号S7Lを左側音響ユニット77Lへ供給することにより、漏れ電流ILによる歪成分が結果的に相殺されることになるので、左側音響ユニット77Lへ最終的に供給される出力オーディオ信号S7Lの信号波形に歪が生じることを防止することができる。
これによりオーディオ装置60は、左チャンネルのDSP6Lにより、漏れ電流ILによる歪成分が相殺された歪のない出力オーディオ信号S7Lを左側音響ユニット77Lへ出力することができるので、左側音響ユニット77Lから左チャンネルの音を出力する際に、右チャンネルからの漏れ電流ILによる音が重畳されて出力されることを防止し、チャンネルセパレーションを向上させることができる。
またオーディオ装置60は、右チャンネルから左チャンネルへの漏れ電流ILと同様に、左チャンネルから右チャンネルへの漏れ電流についても、同様に当該漏れ電流による歪成分データS3Rを検出して補正することができるので、左右両チャンネルのチャンネルセパレーションを向上させることができる。
すなわちオーディオ装置60では、右チャンネルのDSP6RからオーディオデータS1Rが供給され、かつ左チャンネルのDSP6LからオーディオデータS1Lが供給された場合でも、右チャンネル及び左チャンネルからの信号電流ISの漏れ電流ILによる歪成分データS3R及びS3Lを補正した出力オーディオ信号S7R及びS7Lを右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lに供給することにより、漏れ電流の影響を回避してチャンネルセパレーションを向上させることができる。
また、図9(A)に示す本発明のオーディオ装置60とは異なるオーディオ装置90のように、共用化されたグランド側に電流検出抵抗93を接続した場合、当該電流検出抵抗93に左右両チャンネルの信号電流ISR及びISLが流れるため、左チャンネル及び右チャンネルにそれぞれ流れる電流波形を独立して検出することができず、すなわち歪成分データを高精度に算出することができないために出力オーディオ信号S7R及びS7Lの歪成分を正確に補正することもできない。
これに対して図9(B)に示すように、本発明のオーディオ装置60では、DSP6R及び6Lと右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lとの間(すなわち信号ライン側)に電流検出抵抗4R及び4Lをそれぞれ接続しているため、当該電流検出抵抗4R及び4Lによって左チャンネル及び右チャンネルにそれぞれ流れる信号電流ISR及びISLの電流波形を独立して検出することができ、左チャンネル及び右チャンネルそれぞれの歪成分データS3R及びS3Lを高精度に算出し出力オーディオ信号S7R及びS7Lの歪成分を正確に補正することができる。
以上の構成によれば、オーディオ装置60のDSP6R及び6L(図7)は、当該D級アンプ2R及び2Lと右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lとの間に電流検出抵抗4R及び4Lをそれぞれ設け、当該電流検出抵抗4R及び4L、電流検出回路17R及び17Lにより左右各チャンネルの歪成分データS3R及びS3Lを算出して元のオーディオデータS1R及びS1Lにそれぞれ逆位相で加算することにより、当該オーディオデータS1R及びS1Lにそれぞれ逆位相で加算した歪成分と、右側音響ユニット77Rのボイスコイル78R及び左側音響ユニット77Lのボイスコイル78Lにおいて生じる逆起電力や他のチャンネルからの漏れ電流によって生じる出力オーディオ信号S7R及びS7Lの歪成分とを相殺させ、当該出力オーディオ信号S7R及びS7Lを元のオーディオデータS1R及びS1Lと同等の歪のない状態に補正することができ、かくして当該右側音響ユニット77R及び左側音響ユニット77Lから出力させる音のチャンネルセパレーションを向上して高音質化を図ることができる。
(3)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、電流検出抵抗4を用いてスピーカ5に流れる電流波形を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばソレノイドコイル等を用いて当該スピーカ5に流れる電流波形を検出するようにしても良い。これは第2の実施の形態についても同様である。
なお上述した第1の実施の形態においては、電流検出抵抗4を用いてスピーカ5に流れる電流波形を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばソレノイドコイル等を用いて当該スピーカ5に流れる電流波形を検出するようにしても良い。これは第2の実施の形態についても同様である。
また上述した第2の実施の形態においては、左右2チャンネルを有しグランド線76Cを共用化したオーディオ装置60(図7)において左右両チャンネル毎に歪成分データS3R及びS3Lを抽出し、当該歪成分データS3R及びS3LをDSP6R及び6Lによってそれぞれ補正するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばサラウンドシステムを実現するべく4チャンネルを有し当該4チャンネルのグランド線を共用化したオーディオ装置等、任意数でなるチャンネルのグランド線を共用化したオーディオ装置において各チャンネル毎の歪成分を抽出し当該歪成分をそれぞれ補正するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、コーン型のスピーカ5へ出力オーディオ信号S7を送出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばドーム型スピーカ等、ボイスコイルを有する他の方式のスピーカへ当該出力オーディオ信号S7を送出するようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、オーディオアンプとして動作する電流負帰還D級アンプ装置1及びポータブルCDプレーヤ等でなるオーディオ装置60について、本発明を適用するようにした場合について述べたが、これに限らず、例えばテレビジョン受信機に搭載されるオーディオ回路部や、パーソナルコンピュータや携帯電話機のオーディオ回路部等、所定のオーディオ信号源から供給されるオーディオ信号を増幅してスピーカやヘッドホン等へ供給するオーディオ信号増幅回路を有する種々の電子機器に本発明を適用しても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、アナログ変換手段として積分回路3を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ディジタルアナログ変換回路を用いるようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、アンプ出力対象としてスピーカ5を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯電話機のバイブレータを動かすためのモータや、ロボットを駆動するためのモータ等をアンプ出力対象として用いるようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、パルス幅変調手段としてのPWMパルスジェネレータ14と、アンプとしてのD級アンプ2と、アナログ変換手段としての積分回路3と、検出手段としての電流検出抵抗4及び電流検出回路17と、演算手段としてのDSP6とによってアンプ出力制御装置としての電流負帰還D級アンプ装置1を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなるパルス幅変調手段、アンプ、アナログ変換手段、検出手段及び演算手段によってアンプ出力制御装置を構成するようにしても良い。
本発明は、バイブレータを有する携帯電話機、電子カーペット、炊飯器、エアーコンディショナー等の種々の電子機器についても利用することができる。
1……電流負帰還D級アンプ装置、2……D級アンプ、3……積分回路、4……電流検出抵抗、5……スピーカ、6……DSP、9……演算部、10……ディジタル信号源、11……第2の比較演算回路、12……増幅演算回路、13……加算演算回路、14……PWMパルスジェネレータ、15……アナログ/ディジタル変換回路、16……第1の比較演算回路、60、80、90……オーディオ装置、61……ヘッドホン、62……3極コネクタ、76……3芯ケーブル。
Claims (5)
- ディジタル信号源から供給されるディジタルデータをパルス幅変調することによりパルス幅変調データを生成するパルス幅変調手段と、
上記パルス幅変調データを所定レベルに増幅して出力するアンプと、
上記アンプによる増幅結果をアナログ信号に変換するアナログ変換手段と、
上記アンプと上記アナログ信号の出力先となる所定のアンプ出力対象との間に設けられ、当該アンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた電流波形でなるアナログ信号を検出する検出手段と、
上記歪を生じたアナログ信号をディジタルの検出データに変換する変換手段と、
上記ディジタル信号源から供給される上記ディジタルデータと上記検出データとの差分を歪データとして算出し、当該歪データを上記ディジタルデータに加算することにより得られた加算結果を上記パルス幅変調手段に供給する演算手段と
を具えることを特徴とするアンプ出力制御装置。 - 上記検出手段は、
上記アンプと上記アンプ出力対象との間に直列接続された純抵抗の両端における電位差を基に上記電流波形を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のアンプ出力制御装置。 - 上記アンプ出力対象は、スピーカであり、
上記演算手段は、上記スピーカのボイスコイルにおいて発生する逆起電力による影響を受けて生じた上記歪データを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のアンプ出力制御装置。 - ディジタル信号源から供給される複数チャンネルのディジタルオーディオデータをそれぞれ増幅し、各チャンネルで共用化されたグランド線を介して当該各チャンネルのスピーカへそれぞれ送出するオーディオ装置であって、
各チャンネル毎に上記ディジタルデータをパルス幅変調することによりパルス幅変調オーディオデータを生成するパルス幅変調手段と、
各チャンネル毎に上記パルス幅変調オーディオデータを所定レベルに増幅して出力するアンプと、
各チャンネル毎に上記アンプによる増幅結果をアナログ信号に変換するアナログ変換手段と、
各チャンネル毎に上記アンプと上記スピーカとの間に設けられ、上記アナログ信号が当該アンプから当該スピーカへ送出される際に当該スピーカの影響及び上記グランド線を介した他のチャンネルからの影響による歪成分が重畳された電流波形でなるアナログ信号をそれぞれ検出する検出手段と、
各チャンネル毎に上記歪を生じたアナログ信号をディジタルの検出データに変換する変換手段と、
各チャンネル毎に上記ディジタル信号源から供給される上記ディジタルオーディオデータと上記検出データとの差分を歪データとして算出し、当該歪データを上記ディジタルオーディオデータに加算することにより得られた加算結果を上記パルス幅変調手段に供給する演算手段と
を具えることを特徴とするオーディオ装置。 - ディジタル信号源から供給されるディジタルデータをパルス幅変調することによりパルス幅変調データを生成するパルス幅変調ステップと、
上記パルス幅変調データをアンプにより所定レベルに増幅して出力する増幅ステップと、
上記アンプによる増幅結果をアナログ信号に変換するアナログ変換ステップと、
上記アンプと上記アナログ信号の出力先となる所定のアンプ出力対象との間に設けられた検出手段により、上記アンプ出力対象による影響を受けて歪を生じた電流波形でなるアナログ信号を検出する検出ステップと、
上記ディジタル信号源から供給される上記ディジタルデータと上記検出データとの差分を歪データとして算出し、当該歪データを上記ディジタルデータに加算することにより得られた加算結果を上記パルス幅変調ステップ及び上記アナログ変換ステップを介して上記アンプ出力対象へ供給することにより歪を補正する歪補正ステップと
を具えることを特徴とするアンプ出力制御方法。
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JP2005095320A JP2006279509A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | アンプ出力制御装置、オーディオ装置及びアンプ出力制御方法 |
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JP2017525264A (ja) * | 2014-06-25 | 2017-08-31 | デヴィアレ | 音声増幅器 |
-
2005
- 2005-03-29 JP JP2005095320A patent/JP2006279509A/ja active Pending
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