JP2006278642A - 処理装置及び処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大面積の被処理体であっても均一に処理することができる処理装置を提供する。
【解決手段】電磁波が入射される電磁波入射面Fを有し、内部に被処理基板100を配置可能な真空容器10と、処理容器10に設けられ、ガスを真空容器10内に導入させるガス導入管51,61を有する少なくとも1系統のガス導入系50,60と、電磁波入射面Fを通じて真空容器10内に電磁波を入射させる走査アンテナ20とを備える。走査アンテナ20からの電磁波によってガスを励起させることでプラズマを発生させて被処理基板100を処理するように構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】電磁波が入射される電磁波入射面Fを有し、内部に被処理基板100を配置可能な真空容器10と、処理容器10に設けられ、ガスを真空容器10内に導入させるガス導入管51,61を有する少なくとも1系統のガス導入系50,60と、電磁波入射面Fを通じて真空容器10内に電磁波を入射させる走査アンテナ20とを備える。走査アンテナ20からの電磁波によってガスを励起させることでプラズマを発生させて被処理基板100を処理するように構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば半導体集積回路装置のような半導体装置や液晶表示装置のような表示装置の製造プロセス等で絶縁膜を形成する場合に適用される処理装置及び処理方法に関する。
従来、半導体装置や液晶表示装置等の製造プロセスにおいて、膜堆積、表面改質、あるいはエッチング等のプラズマ処理を施すためには、平行平板型の高周波プラズマ処理装置や、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理装置等が用いられている。
しかしながら、平行平板型プラズマ処理装置は、プラズマ密度が低く、電子温度が高いため、被処理体にダメージを与え易いという問題がある。また、ECRプラズマ処理装置は、プラズマ励起に直流磁場が必要であるため、大面積の基板の処理が困難であるという問題がある。
しかしながら、平行平板型プラズマ処理装置は、プラズマ密度が低く、電子温度が高いため、被処理体にダメージを与え易いという問題がある。また、ECRプラズマ処理装置は、プラズマ励起に直流磁場が必要であるため、大面積の基板の処理が困難であるという問題がある。
このような問題に対して、近年、プラズマ励起に磁場が不要であり、高密度でかつ電子温度が低いプラズマを生成することが可能なプラズマ処理装置が提案されている。
この種のプラズマ処理装置としては、同心円状或いは渦巻き状に形成された複数のスロットを有する円形の平面アンテナ部材を備えたものが知られている。このプラズマ処理装置では、マイクロ波発生器にて発生したマイクロ波が同軸導波管内を伝播して平面アンテナ部材に到達し、この平面アンテナ部材の中心部から放射状に周辺部に伝搬される間に、スリット間に静電界が生じるように構成されている。これにより、平面アンテナ部材直下に電界が形成されるため、この静電場によりエッチングガスが励起されてプラズマ化する(例えば、特許文献1参照。)。
この種のプラズマ処理装置としては、同心円状或いは渦巻き状に形成された複数のスロットを有する円形の平面アンテナ部材を備えたものが知られている。このプラズマ処理装置では、マイクロ波発生器にて発生したマイクロ波が同軸導波管内を伝播して平面アンテナ部材に到達し、この平面アンテナ部材の中心部から放射状に周辺部に伝搬される間に、スリット間に静電界が生じるように構成されている。これにより、平面アンテナ部材直下に電界が形成されるため、この静電場によりエッチングガスが励起されてプラズマ化する(例えば、特許文献1参照。)。
また、プラズマ処理装置としては、矩形状の導波管のH面に配された導波管アンテナをなす2つのスロットから、誘電体窓を介してチャンバ内にマイクロ波が供給されるように構成されたものが知られている。このプラズマ処理装置では、反射面に近いほど、スロットの幅が狭くなるように形成されている。また、スロットは、導波管の反射面に向かって狭くなるように、階段状あるいはテーパ状に形成されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、プラズマ処理装置としては、複数の矩形状の導波管を等間隔に平行に配置したものが知られている。各導波管には、その先端側に向かって結合係数を順次大きくした結合孔が設けられている。真空容器には、各結合孔に対応して分割形成した複数の誘電体窓が設けられている(例えば、特許文献3参照。)。
また、プラズマ処理装置としては、マイクロ波がマイクロ波導波管を介して板状の誘電体電路に導入されるように構成されたものが知られている。誘電体電路は、マイクロ波導波管に挿入されている導入部と、矩形部と、導入部と矩形部とを結ぶ整合部とを有している。このプラズマ処理装置では、マイクロ波は、整合部から導入され、仕切り板と矩形部とにより形成される導波管相当部分を通り、マイクロ波導入口から反応室に導かれる(例えば、特許文献4参照。)。
さらに、プラズマ処理装置としては、マイクロ波発振器から供給されたマイクロ波が、複数の分岐路を有するマイクロ波分配器を通って、複数の誘電体線路に分配されるように構成されたものが知られている。誘電体線路は、分岐路の先端から延びる複数の矩形板で構成されており、複数の矩形板の間は導電体板で仕切られている(例えば、特許文献5参照。)。
なお、本願発明者らは、電磁波源と結合する電磁波分配用導波管の電界面又は磁界面から垂直方向に分岐するように、複数の電磁波放射用導波管を互いに平行に並べて配置したプラズマ処理装置を提案している(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照。)。
第49回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集128頁 (2002年3月)
ESCAMPIG16&ICRP5 予稿集321頁 (2002年7月14日〜18日)
ところで、プラズマ処理装置等の処理装置としては、大面積の被処理体であっても均一に処理できるものが求められている。
本発明は、このような事情にもとづいてなされたもので、大面積の被処理体であっても均一に処理することができる処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような事情にもとづいてなされたもので、大面積の被処理体であっても均一に処理することができる処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態に係る処理装置は、電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、前記処理容器に設けられ、ガスを前記処理容器内に導入させるガス導入部を有する少なくとも1系統のガス導入系と、前記電磁波入射面を通じて前記処理容器内に電磁波を入射させる走査アンテナとを具備し、前記走査アンテナからの電磁波によって前記ガスを励起させることでプラズマを発生させて前記被処理体を処理するものである。
本発明の第2の形態に係る処理装置は、電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、前記処理容器に設けられ、第1のガスを前記処理容器内に導入させる第1のガス導入部を有する第1のガス導入系と、前記処理容器に設けられ、第2のガスを前記処理容器内に導入させる第2のガス導入部を有する第2のガス導入系とを具備し、前記第1のガス導入部と前記電磁波入射面との間の距離が10mm未満に設定されているとともに、前記第2のガス導入部と前記電磁波入射面との間の距離が10mm以上に設定されており、前記第1のガス及び第2のガスのうちの少なくとも一方のガスを前記走査アンテナから放射された電磁波によって励起させることでプラズマを発生させて前記被処理体を処理するものである。
本発明の第3の形態に係る処理装置は、電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、この処理容器内に前記電磁波入射面を通じて電磁波を入射させる走査アンテナとを具備し、プラズマを生成させるためのガスを前記処理容器の内部に導入するとともに、前記走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を前記電磁波入射面を通じて前記処理容器の内部に入射させることで、前記処理容器の内部に表面波プラズマを生成させて、前記被処理体を処理するものである。
これらの処理装置によれば、走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させることで、電磁波入射面から処理容器の内部に入射される電磁波の強度分布を時間領域で平均化させることができる。したがって、これらの処理装置によれば、処理容器の内部においてより均一にプラズマをたてる(生成する)ことができるため、大面積の被処理体であっても均一に処理することができる。
本発明の第5の形態に係る処理方法は、電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、前記処理容器に設けられ、ガスを前記処理容器内に導入させるガス導入部と、前記電磁波入射面を通じて前記処理容器内に電磁波を入射させる走査アンテナとを具備する処理装置により前記処理容器内に設けられる前記被処理体を処理するに際し、前記処理容器内に導入されたガスを前記走査アンテナから放射された電磁波により励起させて電磁波の放射領域にプラズマを発生させ、電磁波の放射領域を変化させることによりプラズマの発生領域を変化させて前記被処理体を処理する。
この処理方法によれば、電磁波の放射領域を変化させることによりプラズマの発生領域を変化させて被処理体を処理するため、被処理体を均一に処理することができる。
本発明の第5の形態に係る処理方法は、電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、この処理容器内に前記電磁波入射面を通じて電磁波を入射させる走査アンテナとを具備する処理装置を用い、前記被処理体を処理する処理方法であって、希ガス及び酸素ガスのうちの少なくとも一方を含む第1のガスを、前記電磁波入射面からの距離が10mm未満となる位置から前記処理容器の内部に導入させるとともに、有機シリコン化合物又は有機金属化合物のうちの少なくとも一方を含む第2のガスを、前記電磁波入射面からの距離が10mm以上となる位置から、前記第1のガスと分離して前記処理容器の内部に導入させる工程と、前記走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を前記電磁波入射面を介して前記処理容器の内部に入射させることにより、前記処理容器の内部に前記第1及び第2のガスによる表面波プラズマを生じさせ、前記被処理体に酸化膜を形成する工程と、を有する。
本発明の第5の形態に係る処理方法は、電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、この処理容器内に前記電磁波入射面を通じて電磁波を入射させる走査アンテナとを具備する処理装置を用い、前記被処理体を処理する処理方法であって、希ガス及び酸素ガスのうちの少なくとも一方を含む第1のガスを、前記電磁波入射面からの距離が10mm未満となる位置から前記処理容器の内部に導入させるとともに、有機シリコン化合物又は有機金属化合物のうちの少なくとも一方を含む第2のガスを、前記電磁波入射面からの距離が10mm以上となる位置から、前記第1のガスと分離して前記処理容器の内部に導入させる工程と、前記走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を前記電磁波入射面を介して前記処理容器の内部に入射させることにより、前記処理容器の内部に前記第1及び第2のガスによる表面波プラズマを生じさせ、前記被処理体に酸化膜を形成する工程と、を有する。
上述のように、走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を電磁波入射面から処理容器の内部に入射させることで、該処理容器に入射される電磁波の強度分布を時間領域で平均化させることができる。したがって、この処理方法によれば、電磁波の指向性を時間変化させながら、該電磁波を処理容器の内部に入射させることで、第1及び第2のガスによる表面波プラズマを電磁波入射面の全域にわたってより均一に生成することができる。したがって、被処理基体を均一にプラズマ処理することができる。すなわち、被処理基板に均一に酸化膜を形成することができる。
本発明によれば、大面積の被処理体であっても均一に処理することができる処理装置及び処理方法が得られる。
以下、本発明の第1の実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。本実施形態では、本発明の処理装置の一例として、プラズマ処理装置の一実施形態を説明する。また本実施形態では、本発明の処理方法の一例として、被処理体としての被処理基板100に絶縁膜101を形成するプラズマ処理方法について説明する。
図1に示すように、処理装置としてのプラズマ処理装置1は、処理容器としての真空容器10、走査アンテナ20、導波管30、電磁波源としての高周波電源40、第1のガス導入系としての上部ガス導入系50、第2のガス導入系としての下部ガス導入系60、及び、ガス排出系70等を備えている。
前記真空容器10は、上壁11a、底壁11b、及び、上壁11aの周縁と底壁11bの周縁とを繋ぐ周壁11cを有して、内部を真空状態或いはその近傍にまで減圧することが可能な強度に形成されている。上壁11a、底壁11b、及び周壁11cを形成する材料としては、例えばアルミニウム等の金属材料を用いることができる。
上壁11aには、真空容器10の壁の一部を構成するように、複数の誘電体部材12が設けられている。これらの誘電体部材12もまた、真空容器10の内部を真空状態或いはその近傍にまで減圧することが可能な強度に形成されている。誘電体部材12を形成する誘電体材料としては、例えば合成石英を用いることができる。
詳しく説明すると、図2及び図5に示すように、上壁11aは、複数例えば10個の開口部13を有している。これら開口部13は夫々、横断面(x−y断面)略T字状の細長な空間を形成している。これら開口部13は、所定の間隔を置いて互いに平行に設けられている。
複数例えば10個の誘電体部材12は夫々、前記開口部13に嵌合するような横断面(x−y断面)略T字状の細長部材とされている。これら誘電体部材12は、対応する開口部13に嵌合させることで、該開口部13を夫々気密に閉塞させている。つまり、真空容器10の上壁11aには、真空容器10の壁の一部を構成するように、複数の誘電体部材12が互いに並べて設けられている。前記上壁11aは、真空容器10の壁の一部であるとともに、誘電体部材12を支持する梁としても機能している。以下、誘電体部材12を誘電体窓と言う。
また、前記真空容器10は、図示しないが、上壁11aと各誘電体窓12との間を夫々封止する封止機構を有している。封止機構は、例えば、各開口部13を規定する内面(梁の周面)にその周方向に沿って夫々設けられた溝と、これら溝に沿って夫々設けられたシール部材としてのO−リングとを有して構成されている。このような封止機構により、開口部13を規定する内面とこれに対応する誘電体窓12との間が夫々気密にシールされている。
前記真空容器10の内部には、被処理体としての矩形状の被処理基板100を支持する基板支持台14が設けられている。本実施形態では、この基板支持台14は、例えば、被処理基板100が、後述する下部ガス導入系60のガス噴出口62の下方25mmの位置に保持されるように、その配置位置が設定されている。
走査アンテナは、一般に指向性合成により所望の指向性を得ることができる。放射指向性を得るために、前記走査アンテナ20は、例えば、複数の放射素子を配列させてなるアレーアンテナとなっている。アレーアンテナは、放射指向性の主ビームを立体的に振り回すビーム走査が可能である。すなわち、素子(素子アンテナ)の励振位相を変化させることにより、主ビームを空間の任意の方向に向けることができる。配列される素子アンテナとしては、線状アンテナ、スロットアンテナ、ループアンテナ、ヘリカルアンテナ、ホーンアンテナ、開口面アンテナ等が挙げられる。
また、走査アンテナとしては、
(i)周波数を変化させるもの(周波数走査)
(ii)給電線の途中に移相器を設けて位相を変化させるもの(位相走査)
(iii)ビーム形成回路を給電部に組込みスイッチで切換えて走査するもの(給電点切換走査)
がある。
(i)周波数を変化させるもの(周波数走査)
(ii)給電線の途中に移相器を設けて位相を変化させるもの(位相走査)
(iii)ビーム形成回路を給電部に組込みスイッチで切換えて走査するもの(給電点切換走査)
がある。
本実施形態では、前記走査アンテナ20として、例えば、上記(ii)に記載した位相走査を行うフェーズドアレイアンテナ(phased array antenna)を用いている。フェーズドアレイアンテナとしては、例えば、給電部22に各々移相器23を有する複数の導波管スロットアンテナ21が挙げられる。
図1及び図2に示すように、導波管スロットアンテナ21は、上述した10個の誘電体窓12に夫々対応するように10個設けられている。これら導波管スロットアンテナ21は、対応する誘電体窓12の外面と夫々対向し、且つ、その長手方向が互いに平行となるように並べて配置されている。なお、本実施形態の走査アンテナ20では、互いに隣り合う導波管スロットアンテナ21同士が接触しているが、互いに隣り合う導波管スロットアンテナ21の間には所定の間隔を設けてもよい。また、夫々の導波管スロットアンテナ21が夫々の誘電体窓12と1対1対応している必要はなく、複数本の導波管スロットアンテナ21を一枚の誘電体窓12と対応させても良い。
これら導波管スロットアンテナ21は夫々、給電部22に移相器23を有しているとともに、管壁の一部である下壁に複数のスリット状の開口部(スロット)21aを有している。これら導波管スロットアンテナ21は、該開口部21a近傍で起きる電磁界結合を利用して電磁波を放射することで、夫々がアンテナとして機能する。
導波管スロットアンテナは、一般に金属で構成されるため、誘電体で形成されるアンテナと比べて誘電損失が少なく、大電力に対する耐性が高いという特長がある。また、導波管スロットアンテナは、構造が単純で放射特性の設計が比較的正確に行えるため、大型の被処理基板をプラズマ処理するためのプラズマ処理装置に好適である。特に、複数の導波管スロットアンテナ21を互いに並べて配置してなる前記走査アンテナ20を設けたプラズマ処理装置1は、大型の液晶表示装置等に用いる角型で面積の大きい基板に絶縁膜を形成するようなプラズマ処理に好適である。
これら導波管スロットアンテナ21の長手方向の一端部は夫々、導波管30を介して高周波電源40と連結されている。これにより、高周波電源40が発生した電磁波は、導波管30を介して各導波管スロットアンテナ21に導かれる。すなわち、給電部22は、導波管スロットアンテナ21と導波管30とが連結している部分(導波管スロットアンテナ21の長手方向の一端部)ということになる。また、このプラズマ処理装置1では、導波管スロットアンテナ21に導かれた電磁波は、誘電体窓12を透過して真空容器10の内部に入射することとなる。したがって、誘電体窓12の内面が電磁波入射面Fとなる。前記高周波電源としては、例えば、2.45GHzの電源を用いることができる。
前記移相器23としては、例えば、ラッチングフェライト移相器を用いることができる。本実施形態では、図1及び図3に示すように、前記移相器23として、例えば、22.5°、45°、90°、180°の位相を与える4種の長さを有するフェライト23a,23b,23c,23dを備えて、22.5°間隔で位相を変える4ビット移相器を用いている。なお、移相器23は、4ビットのラッチングフェライト移相器に限定されるものではなく、任意に選定することが可能であることは言うまでもない。
図3及び図4に示すように、移相器(ここではラッチングフェライト移相器)23は、フェライト23a,23b,23c,23dを導波管スロットアンテナ21の一端部の中央、すなわち、給電部22に挿入することで構成されている。各フェライト23a,23b,23c,23dの中には、導体線がラッチのように鎖交している。各導線は、パルス状の互いに反対方向となる大きな電流を流すことが可能な回路、例えば回路24と電気的に接続されている。このようにすることにより、各フェライト23a,23b,23c,23dは、図4中矢印Xと矢印Yとに示す方向に、夫々飽和するまで磁化される。なお、本実施形態では、10個の導波管スロットアンテナに夫々4ビット移相器を設けているため、上述のような回路24は40個必要となる。図3では、1つの移相器23に対してのみ回路24を記載し、9つの移相器23に対する回路24は省略して示しているが、回路24は全てのフェライト23a,23b,23c,23dに1対1対応で設けられている。
前記走査アンテナ20を上述のように構成することにより、電磁波の位相を所望の間隔(本実施形態では、22.5°)で時間変化させることが可能となる。すなわち、上述のように構成した走査アンテナ20は、各導波管スロットアンテナ21の指向性合成により所望の指向性を得ることができるとともに、電磁波の指向性を時間変化させることが可能である。
また、前記真空容器10には、前記上部ガス導入系50と、前記下部ガス導入系60と、前記ガス排出系70とが設けられている。
図2及び図5に示すように、上部ガス導入系50は、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、又はキセノンのうちの少なくとも1種の希ガス又は酸素のうちの少なくとも一方のガスを含む第1のガスを真空容器10の内部に導入するためのものである。本実施形態のプラズマ処理装置1では、上部ガス導入系50は、例えば、第1のガス導入部としての上部ガス導入管51を有している。
図2及び図5に示すように、上部ガス導入系50は、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、又はキセノンのうちの少なくとも1種の希ガス又は酸素のうちの少なくとも一方のガスを含む第1のガスを真空容器10の内部に導入するためのものである。本実施形態のプラズマ処理装置1では、上部ガス導入系50は、例えば、第1のガス導入部としての上部ガス導入管51を有している。
上部ガス導入管51は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等の金属、或いは酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の誘電体によって形成されている。なお、上部ガス導入管51が電磁界やプラズマに影響を与える影響を考慮すると、上部ガス導入管51は、誘電体材料で形成するのが好ましい。しかしながら、管の形成する際の加工を考慮すると、上部ガス導入管51は、金属材料で形成する方が安価で容易である。そのため、上部ガス導入管51を金属材料で形成するような場合には、上部ガス導入管51の外面に絶縁膜を形成しておくとよい。
図5に示すように、上部ガス導入管51は、誘電体窓12が形成されている領域を避けて、真空容器10の上壁(梁)11aの内面に沿って設けられている。詳しくは、上部ガス導入管51は、複数の配管部51aと1つの延出部51bとを有している。複数の配管部51aは、真空容器10の上壁(梁)11aの内面に沿うように互いに平行に配管されている。また、これら配管部51aには、複数のガス噴出口52が略等間隔で下向きに設けられている。したがって、複数のガス噴出口52は、略同一面上に位置することとなる。延出部51bは、これら配管部51aと夫々直交するように配管されているとともに、これら配管部51aを互いに連通させている。この延出部51bの両端は、真空容器10の周壁11cを介して、真空容器10の外方に延出している。延出部51bの両端又は一端には、上記第1のガスを収容する第1のガスシリンダ(図示せず)を着脱自在に取り付けることができるようになっている。
図2及び図6に示すように、下部ガス導入系60は、例えば、有機シリコン化合物又は有機金属化合物のような原料ガスを含む第2のガスを真空容器10の内部に導入するためのものである。本実施形態のプラズマ処理装置1では、下部ガス導入系60は、例えば、第2のガス導入部としての下部ガス導入管61を有している。
下部ガス導入管61は、上部ガス導入管51と同様に、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等の金属、或いは酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の誘電体によって形成されている。
ところで、本実施形態のプラズマ処理装置1は、後に詳しく説明するように、電磁波入射面Fの近傍に表面波プラズマを生成させて、被処理基板100にプラズマ処理を施すものである。そのため、放電初期のプラズマが表面波プラズマ状態に至るまでの間のような過渡状態では、電磁波は下部ガス導入系60まで到達することがある。そのため、下部ガス導入管61を金属材料によって形成すると、上記過渡状態において、下部ガス導入系60が電磁界やプラズマに影響を与える場合がある。そのため、下部ガス導入管61が電磁界やプラズマに影響を与える影響を考慮すると、下部ガス導入管61は、誘電体材料で形成するのが好ましい。下部ガス導入管61を金属材料で形成するような場合には、下部ガス導入管61の外面に絶縁膜を形成しておくのが好ましい。
ところで、本実施形態のプラズマ処理装置1は、後に詳しく説明するように、電磁波入射面Fの近傍に表面波プラズマを生成させて、被処理基板100にプラズマ処理を施すものである。そのため、放電初期のプラズマが表面波プラズマ状態に至るまでの間のような過渡状態では、電磁波は下部ガス導入系60まで到達することがある。そのため、下部ガス導入管61を金属材料によって形成すると、上記過渡状態において、下部ガス導入系60が電磁界やプラズマに影響を与える場合がある。そのため、下部ガス導入管61が電磁界やプラズマに影響を与える影響を考慮すると、下部ガス導入管61は、誘電体材料で形成するのが好ましい。下部ガス導入管61を金属材料で形成するような場合には、下部ガス導入管61の外面に絶縁膜を形成しておくのが好ましい。
図6に示すように、下部ガス導入管61は、環状部61aと一対の延出部61bとを有している。環状部61aは、被処理基板100の外周よりも一回り大きく形成されている。この環状部61aには、複数のガス噴出口62が略等間隔で下向きに設けられている。したがって、複数のガス噴出口62は、略同一面上に位置することとなる。各延出部61bは、環状部61aと連通されている。各延出部61bの一端は、真空容器10の周壁11cを介して、真空容器10の外方に延出している。少なくとも一方の延出部61bの一端には、上記第2のガスを収容する第2のガスシリンダ(図示せず)を着脱自在に取り付けることができるようになっている。
図2に示すように、ガス排出系70は、真空容器10の内部と連通するようにこの真空容器10に設けられたガス排出部71、及び真空排気システム72等を有している。真空排気システム72は、例えば、ターボ分子ポンプを用いることができる。この真空排気システム72を稼動させることにより、真空容器10の内部の気体を所定の真空度に達するまで外部に排出することができる。
このプラズマ処理装置1では、真空容器10の内部に電磁波入射面Fから電磁波を入射させると、上部ガス導入系50によって真空容器10の内部に導入される第1ガス及び下部ガス導入系60によって真空容器10の内部から導入される第2のガスが励振されてプラズマが生じ、電磁波入射面F近傍のプラズマ内の電子密度が増加する。電磁波入射面F近傍のプラズマ内の電子密度が増加していくと、電磁波はプラズマ内を伝播することが困難になり、このプラズマ内で減衰する。したがって、電磁波入射面Fから離れた領域には電磁波が届かなくなり、第1のガス及び第2のガスが電磁波によって励振される領域は、電磁波入射面Fの近傍に限られるようになる。この状態が、表面波プラズマが生じている状態である。
つまり、表面波プラズマが生じている状態においては、電磁波によるエネルギーが与えられて化合物の電離が生じる領域が電磁波入射面Fの近傍に局在する。つまり、表面波プラズマは、電磁波入射面Fからの距離によってその状態が異なる。また、表面波プラズマが生じている状態においては、被処理基板100の表面近傍に生じるシースの電界が小さい。そのため、被処理基板100へのイオンの入射エネルギーが低く、イオンによる被処理基板100の損傷が少ない。
表面波プラズマが発生する領域の境界は、電磁波入射面(ここでは誘電体窓の内面)Fと真空容器10の内部空間(第1のガスが供給されている領域)との界面である。また、表面波プラズマが発生している状態において、プラズマのエネルギーが高い領域、すなわち、電磁波が到達して第1及び第2のガスを直接励振させている領域は、表皮厚さδによって知ることができる。表皮厚さδは、電磁波入射面Fから電磁波の電界が1/eに減衰する位置までの距離を示しており、その値は電磁波の入射面近傍の電子密度に依存する。
つまり、表面波プラズマが発生している状態において、電磁波入射面Fからの距離が表皮厚さδよりも小さい領域では、高密度のプラズマが発生している。また、電磁波入射面Fからの距離が表皮厚さδよりも大きい領域(表皮厚さを外れた領域)では、電磁波は高密度のプラズマによって遮蔽されて到達せず、酸素ラジカルは拡散流として到達する。
したがって、真空容器10の内部で表面波プラズマを生じさせ、該真空容器10の内部に配置された被処理基板100上に絶縁膜を形成するようなプラズマ処理においては、電磁波入射面Fからの距離L2が表皮厚さδよりも大きくなるような位置から第2のガスを供給すれば、有機シリコン化合物又は有機金属化合物の過度な分解を抑止でき、しかも、酸素ラジカルと有機シリコン化合物又は有機金属化合物とを効率良く反応させ、被処理基板100に、酸素欠損が少なく、均一で、段差被覆性に優れる良好な膜質の絶縁膜(酸化シリコン膜又は金属酸化物膜)を形成することができると考えられる。
表皮厚さδは、以下の(1)式で求めることができる。
n0:電子密度
ε0:真空中の誘電率(定数)
me:電子の質量(定数)
電磁波入射面(誘電体窓)とプラズマの境界面を表面波が伝播するには、(3)式の分母が正の値をとる必要がある。そのため、(4)式の関係も含めると、以下の(5)式の関係を満たす必要がある。
ε0:真空中の誘電率(定数)
me:電子の質量(定数)
εd:誘電体窓の誘電率
e:素電荷(定数)
ω:電磁波の角振動数
(5)式を用い、電磁波の周波数が2.45GHz、5.8GHz及び22.125GHzであって、且つ、誘電体窓に合成石英(比誘電率 3.8)及びアルミナ(比誘電率 9.9)を用いた場合に関し、プラズマの境界面を表面波が伝播するのに必要な電子密度n0を夫々求め、このときの表皮厚さδを計算すると表1のようになる。なお、2.45GHz、5.8GHz及び22.125GHzの電磁波源(高周波電源)は、日本国内において、工業目的の電磁波使用のため、基本波又はスプリアス発射による電界強度の許容値の特例として最大許容値を定めずに用いることができる(無線設備規則第65条、及び郵政省告示第257号)。表1より、電磁波の周波数が2.45GHz以上、誘電体窓の比誘電率が3.8以上の場合、完全な表面波プラズマ状態では、表皮厚さδは10mm以下であることがわかる。
また、本発明者らは、電子温度が2eV以下となるような位置から第2のガスを真空容器10の内部に導入すれば、有機シリコン化合物や有機金属化合物といった化合物が過度に分解されるのを抑制できることを突き止めた。また、プラズマを発生させるための第1のガスの種類及び分圧を変化させても、電磁波入射面Fから10mm以上離れた領域では、電子温度が大凡2eV以下であり、上述の推論と矛盾しないことがわかった。
さらに、本発明者らは、電子密度が電磁波入射面Fの50%以下に減少するような位置から第2のガスを真空容器10の内部に導入すれば、有機シリコン化合物や有機金属化合物が過度に分解されるのを抑制できることを突き止めた。また、プラズマを発生させるための第1のガスの種類及び分圧を変化させても、電磁波入射面Fから10mm以上離れた領域では、電子密度は電磁波入射面の50%以下に減少しており、上述の推論と矛盾しないことがわかった。
このような結果から、本発明者らは、電磁波入射面Fから10mm以上離れた位置から第2のガスを処理容器の内部に導入することで、酸素欠損が少なく、均一で、段差被覆性に優れた絶縁膜(シリコン酸化膜又は金属酸化物膜)を、イオン損傷を殆ど与えることなく被処理基板に形成することができることを突き止めた。
したがって、被処理基板100に絶縁膜101を形成するようなプラズマ処理を行う場合、ガス噴出口52は、電磁波入射面Fからの距離が表面波プラズマの表皮厚さδよりも小さくなる位置に設けるのが好ましい。本実施形態では、図2に示すように、ガス噴出口52が設けられている仮想平面F1と電磁波入射面Fとの距離L1が10mm未満、例えば、3mmとなるように、上部ガス導入管51が形成されている。
また、ガス噴出口62は、電磁波入射面Fからの距離L2が表面波プラズマの表皮厚さδよりも大きくなる位置に設けるのが好ましい。本実施形態では、図2に示すように、ガス噴出口62が設けられている仮想平面F2と電磁波入射面Fとの距離が10mm以上、例えば、30mmとなるように、下部ガス導入管61が形成されている。
有機シリコン化合物ガスや有機金属化合物ガスは、モノシラン等と比べて沸点が高いため、液化し易い。そのため、第2のガスとして、有機シリコン化合物ガスや有機金属化合物ガスを用いる場合、第2のガスを安定して真空容器2の内部に導入するためには、下部ガス導入系60を適切な温度、すなわち80℃から200℃程度に保つのが望ましい。そのため、本実施形態のプラズマ処理装置1では、下部ガス導入系60に加熱手段80を設けている。加熱手段80は、例えば、ヒータを有している。
ヒータは、各延出部61bの外周に設けるのが好ましい。このようにすることにより、下部ガス導入管61を構成する材料の熱伝導によって下部ガス導入系60全体に熱を伝えることができる。また、このようにすることにより、加熱手段80を真空容器10内に設置する場合に比べて簡単な構成で下部ガス導入系60を適切な温度に保つことができる。なお、本実施形態のように、下部ガス導入管61を構成する材料の熱伝導によって下部ガス導入系60全体に熱を伝えるような構成とする場合には、下部ガス導入管61は、窒化アルミニウム等のように、熱伝導係数の大きい材料で形成するのが望ましい。
次に、上述したプラズマ処理装置1を用いたプラズマ処理方法の一例を説明する。本実施形態では、第1のガスとして酸素ガスを用いるともに、第2のガスとしてテトラアルコキシシランの一種であるテトラエトキシシランを用い、被処理基板100に絶縁膜101を形成するようなプラズマ処理方法について説明する。
まず、基板支持台14上に被処理基板100を配置する。ガス排出系70を稼動させ、真空容器10内を実質的に真空とする。真空容器10内のガス圧が80Paとなるように、上部ガス導入系50から真空容器10内に酸素ガスを400SCCMの流量で供給するとともに、下部ガス導入系60から真空容器10内にテトラエトキシシランガスを12SCCMの流量で供給する。このとき、加熱手段80によって、下部ガス導入系60を適切な温度(80℃から200℃程度)に保っておく。
高周波電源40をONにする。これにより、2.45GHzの電磁波は、導波管30を介して走査アンテナ20を構成する各導波管スロットアンテナ21に導かれる。これと略同時に、各移相器23のフェライト23a,23b,23c,23dに、パルス状の互いに反対方向となる大きな電流を所望の時間だけずらして流す。これにより、高周波電源40によって発生された電磁波は、各導波管スロットアンテナ21の指向性合成によってその指向性を時間変化させながら、前記電磁波入射面Fを介して真空容器10の内部に所定の電力密度で入射される。
電磁波の指向性が一定である場合には、真空容器の上壁である梁の影となる部分に電磁波が届き難い。これに対し、本実施形形態のプラズマ処理装置1では、上述のように、各導波管スロットアンテナ21の指向性合成によって電磁波の指向性を時間変化させながら、電磁波入射面Fを介して真空容器10の内部に該電磁波を入射させている。そのため、梁の内面近傍及び誘電体窓の内面近傍により均一に電磁波を照射することができる。これにより、酸素ガスが励振されて、誘電体窓の内面近傍及び梁の内面近傍に均一にプラズマが生じ、電磁波入射面F近傍及び梁の内面近傍のプラズマ内の電子密度が増加する。
電磁波入射面F近傍及び梁の内面近傍のプラズマ内の電子密度が増加していくと、電磁波はプラズマ内を伝播することが困難になり、このプラズマ内で減衰する。したがって、電磁波入射面F及び梁の内面から離れた領域には電磁波が届かなくなる。つまり、表面波プラズマが生じる。酸素ガスは、電磁波入射面Fとの距離L1が3mmとなる位置、すなわち、電磁波入射面Fからの距離L1が表皮厚さδよりも小さい領域から真空容器10内に導入されているため、表面波プラズマが生じている状態において、高密度なプラズマにより酸素分子が励振され、効率良く酸素ラジカルが生成される。
一方、テトラエトキシシランガスは、電磁波入射面Fとの距離L2が30mmとなる位置、すなわち、電磁波入射面Fからの距離L2が表皮厚さδよりも大きい領域から真空容器10内に導入されている。したがって、テトラエトキシシランガスが真空容器10内に導入されている領域には、電磁波は高密度のプラズマに遮蔽されて到達しないため、テトラエトキシシランが電磁波によって過度に分解されるのを抑制できる。また、電磁波入射面との距離が30mmとなる位置であっても、酸素ラジカルは拡散流として到達するため、テトラエトキシシランと酸素ラジカルとは効率良く反応し、テトラエトキシシランの分解は促進される。したがって、被処理基板100の表面には、酸化シリコンが堆積する。
また、テトラエトキシシランは、モノシラン等と比べて分子容積の大きい化合物であるため、その立体効果により被処理基板100の表面でマイグレーションしながら、この被処理基板100の表面に比較的均一に付着する。したがって、被処理基板100に膜質の良好な絶縁膜(酸化シリコン膜)101を形成することができる。
以上のように、本実施形態のプラズマ処理装置1は、真空容器10内に電磁波入射面Fを通じて電磁波を入射させる走査アンテナ20を備えている。そして、プラズマを生成させるための第1及び第2のガスを真空容器10の内部に導入するとともに、走査アンテナ20によって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を電磁波入射面Fを通じて真空容器10の内部に入射させることで、真空容器10の内部に表面波プラズマを生成させて、被処理基板100をプラズマ処理するように構成されている。
また、本実施形態のプラズマ処理装置1は、前記走査アンテナ20とともに、第1のガスを真空容器10内に導入させる上部ガス導入管51を有する上部ガス導入系50と、第2のガスを真空容器10内に導入させる下部ガス導入管61を有する下部ガス導入系60とを備えている。そして、第1のガス及び第2のガスのうちの少なくとも一方を走査アンテナ20から放射された電磁波によってプラズマ化させて被処理基板100をプラズマ処理するように構成されている。
本実施形態のプラズマ処理装置1によれば、走査アンテナ20によって電磁波の指向性を時間変化させることで、電磁波入射面Fから真空容器10の内部に入射される電磁波の強度分布を時間領域で平均化させることができる。そのため、本実施形態のプラズマ処理装置1によれば、真空容器10の内部において、誘電体窓12が設けられている領域と梁の影となる領域とにおいてより均一にプラズマをたてることができる。したがって、大面積の被処理基板100であっても、これを均一にプラズマ処理することができる。
また、本実施形態のプラズマ処理装置1では、走査アンテナ20として、給電部22に各々移相器23を有する複数の導波管スロットアンテナ21を備えたフェーズドアレーアンテナを用いている。そして、複数の導波管スロットアンテナ21は、その長手方向が互いに平行となるように並べて配置されている。金属で形成された導波管スロットアンテナ21は、誘電体で形成されたアンテナを用いた場合と比べて誘電損失が少なく、大電力に対する耐性が高い。しかも、導波管スロットアンテナ21は、構造が単純で放射特性の設計が比較的正確に行えるため、大型の被処理基板100(例えば、大型の液晶表示装置等に用いる角型で面積の大きい基板)をプラズマ処理するような場合であっても装置の設計が容易である。また、このような大型の被処理基板100であっても、均一にプラズマ処理することができる。
さらに、本実施形態のプラズマ処理装置1では、第1のガス導入部51と電磁波入射面Fとの間の距離L1が10mm未満に設定されているとともに、第2のガス導入部61と電磁波入射面Fとの間の距離L2が10mm以上となるように設定されている。そのため、被処理基板100に損傷が与えられるのを抑制しつつ、該被処理基板100にプラズマ処理を施すことができる。
また、本実施形態のプラズマ処理方法は、本実施形態のプラズマ処理装置1のように、真空容器10内に電磁波入射面Fを通じて電磁波を入射させる走査アンテナ20を備えたプラズマ処理装置を用いて被処理基板100にプラズマ処理を施している。第1のガスは、電磁波入射面Fからの距離が10mm未満となる位置から真空容器10の内部に導入させ、第2のガスは、電磁波入射面Fからの距離が10mm以上となる位置から、第1のガスと分離して真空容器10の内部に導入させている。そして、走査アンテナ20によって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を電磁波入射面Fを介して真空容器10の内部に入射させることにより、真空容器10の内部に第1及び第2のガスによる表面波プラズマを生じさせ、被処理基板100に酸化膜101を形成している。
本実施形態のプラズマ処理方法によれば、電磁波の指向性を時間変化させながら、該電磁波を真空容器10の内部に入射させているため、第1及び第2のガスによる表面波プラズマを電磁波入射面Fの全域にわたってより均一に生成させることができる。したがって、被処理基板100に均一にプラズマ処理、すなわち、酸化膜101の形成を行うことができる。
また、表面波プラズマを用いることによって、プラズマのエネルギーの高い領域を被処理基板100から離れた位置に局在化させることができる。これにより、被処理基板100近傍のシース電界が小さくなるため、被処理基板100に入射するイオンのエネルギーも減少する。したがって、被処理基板100やこの被処理基板100に形成される絶縁膜101に与えられるイオン損傷を抑制することができる。
しかも、電磁波入射面Fからの距離L1が10mm未満となる位置から第1のガスを真空容器10の内部に導入するようにしている。電磁波入射面Fからの距離L1が10mm未満となる領域では、電磁波による電界で電子が直接に加速されるため、電子のエネルギーが大きい。したがって、真空容器10内において酸素ラジカルを効率良く生成させることができる。
さらに、電磁波入射面Fからの距離L2が10mm以上となる位置から第2のガスを真空容器10の内部に導入するようにしている。電磁波入射面Fからの距離L2が10mm以上となる領域では、電磁波が高密度のプラズマによって遮蔽されるため、有機シリコン化合物や有機金属化合物が過度に分解されるのを抑制することができる。したがって、被処理基板100に、酸素欠損が少なく、均一で、段差被覆性に優れる良好な膜質の絶縁膜101を形成することができる。
また、電磁波入射面から10mm以上離れた位置では、その殆どの場合において、電子温度が2eV以下となる。このように、電子温度の低い領域、すなわち電子のエネルギーが低く、有機シリコン化合物又は有機金属化合物の電子の衝突による過度な分解が抑止される領域で、拡散流として到達する酸素ラジカルと有機シリコン化合物又は有機金属化合物とを反応させ、被処理基板100への絶縁膜堆積を行うことで、被処理基板100に損傷を殆ど与えることなく、酸素欠損が少なく、均一で、段差被覆性に優れる良好な膜質の絶縁膜101を形成することができる。
さらに、電磁波入射面から10mm以上離れた位置では、その殆どの場合において、電子密度が電磁波の入射面の50%以下に減少している。このように、電子密度が低い領域、すなわち電子とプロセスガスとの衝突頻度が低く、有機シリコン化合物又は有機金属化合物の電子の衝突による過度な分解が抑止される領域で、拡散流として到達する酸素ラジカルと有機シリコン化合物又は有機金属化合物とを反応させ、被処理基板100への絶縁膜堆積を行うことで、被処理基板100に損傷を殆ど与えることなく、酸素欠損が少なく、均一で、段差被覆性に優れる良好な膜質の絶縁膜101を形成することができる。
なお、本実施形態では、プラズマ処理として、絶縁膜の形成を例に挙げたが、本発明の処理装置は、絶縁膜の形成だけでなく、表面改質やエッチング等にも広く用いることができる。また、本実施形態のプラズマ処理方法のように、被処理基板100上に絶縁膜101を形成するようなプラズマ処理を行う場合、第1のガスは、希ガス及び酸素ガスのうちの少なくとも一方を含むガスを採用すればよい。第1のガスとしては、酸素と、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンのうちの1以上の希ガスと混合ガスを用いることもできる。酸素へのヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの添加は、10%から99%までの広い添加比率で可能であり、その添加比率によって絶縁膜の形成速度を増加させることができる。
また、有機シリコン化合物及び有機金属化合物は、その殆どが構成元素中に酸素を含んでいる。そのため、第1のガスには、必ずしも酸素ガスを含ませなくてもよく、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、又はキセノンのうちの少なくとも1種の希ガスを含ませることで、真空容器内において酸素ラジカルを発生させ、被処理基板に絶縁膜を形成することができる。
ただし、第1のガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、又はキセノンのうちの少なくとも1種の希ガスと酸素ガスとを含んでいるガスを用いるのがさらに好ましい。このようにすることにより、処理容器内において酸素ラジカルを多く発生させ、被処理基板に酸素欠損の少ない絶縁膜を形成することができる。
また、真空容器内において酸素ラジカルをより効率良く生成するためには、誘電体窓近傍の領域、特に表面波プラズマ状態でも電磁波が到達してガスを直接励振している領域、すなわち表皮厚さで示される領域に酸素を供給することが望ましい。つまり、第1のガスとして酸素ガスを含むガスを用いる場合には、第1のガスは、表皮厚さδで示される領域内に供給するのが好ましい。
さらに、第1のガスが酸素ガスを含んでいる場合、酸素ガスを真空容器の内部に供給する際の流量が、第2のガスを真空容器の内部に供給する際の流量よりも多くなるように設定するのが好ましい。このようにすることにより、第2のガスが導入される位置よりも下方において、酸素ラジカルを第2のガスよりも多く存在させることができる。したがって、有機シリコン化合物中のシリコン原子や有機金属酸化物中の金属原子の酸化が促進されるので、より酸素欠損の少ない高品質な酸化膜を形成することができる。
第2のガスとしては、モノシラン等のように比較的分子量の小さい化合物を含むガスを用いるよりも、有機シリコン化合物や有機金属酸化物のように比較的分子量が大きく、被処理基板上でマイグレーションを起こしやすい化合物を含むようなガスを採用するのが好ましい。このようにすることにより、被処理基板100上により均一に絶縁膜101を形成することができる。
また、第2のガスとしては、例えば、テトラアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、ポリメチルジシロキサン、ポリメチルシクロテトラシロキサン等を用いることもできる。さらに、第2のガスとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、テトラプロポキシジルコニウム、ペンタエトキシタンタル、テトラプロポキシハフニウム等を用いることもできる。トリメチルアルミニウム又はトリエチルアルミニウムを選択することで、被処理基板に酸化アルミニウム膜を形成することができる。テトラプロポキシジルコニウムを選択することで、被処理基板に酸化ジルコニウム膜を形成することができる。ペンタエトキシタンタルを選択することで、被処理基板に酸化タンタル膜を形成することができる。テトラプロポキシハフニウムを選択することで、被処理基板に酸化ハフニウム膜を形成することができる。また、酸化ハフニウムや酸化ジルコニウムは、酸化シリコンよりも誘電率が高い。したがって、テトラプロポキシハフニウムやテトラプロポキシジルコニウムを選択することで、酸化シリコン膜よりも絶縁性の良好な絶縁膜を形成することができる。
以下、本発明の第2の実施形態を、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態では、本発明の処理装置の他の実施形態について説明する。
本実施形態の処理装置としてのプラズマ処理装置1は、導波管スロットアンテナ21及び誘電体窓12を夫々9個ずつ備えている。また、下部ガス導入系60及び加熱手段80が第1の実施の形態で説明したプラズマ処理装置1と異なっている。他の構成は上述した第1の実施形態のプラズマ処理装置1と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
本実施形態の処理装置としてのプラズマ処理装置1は、導波管スロットアンテナ21及び誘電体窓12を夫々9個ずつ備えている。また、下部ガス導入系60及び加熱手段80が第1の実施の形態で説明したプラズマ処理装置1と異なっている。他の構成は上述した第1の実施形態のプラズマ処理装置1と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
下部ガス導入系60は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等の金属、或いは、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の誘電体により形成されている。なお、下部ガス導入系60の材料として誘電体を用いるのが望ましいことは、第1の実施形態のプラズマ処理装置1と同様である。
図7及び図8に示すように、下部ガス導入系60は、第1のガス導入部(下部ガス導入部)としてのシャワープレート63を有している。このシャワープレート63は、互いに対向する一対の板材63a,63bを有して偏平な箱状に形成されており、内部空間Sに第2のガスが流通されるようになっている。このシャワープレート63は、真空容器10を上側の部屋と下側の部屋とに分断する大きさに形成されており、基板支持台4を上方から覆うように設けられている。シャワープレート63から延びる延出部分は、真空容器10の周壁11cに設けられた開口部65を介して、真空容器10の外方に開放している。シャワープレート63から延びる延出部分には、第1のガスが収容された第1のガスシリンダ(図示せず)を着脱自在に取り付けることができるようになっている。
また、このシャワープレート63には、第1のガスや酸素ラジカルを上側の部屋と下側の部屋との間で流通させるための多数の貫通部66が設けられている。さらに、このシャワープレート63には、下側の板材63bの壁に多数のガス噴出口67が設けられている。
さらに、このシャワープレート63には、高温媒体循環器69を有する加熱手段68が設けられている。高温媒体循環器69は、ポンプ69a、循環路69b、ヒータ(図示せず)、及び、高温流体(図示せず)等を有して構成されている。高温流体としては、例えば、空気や、窒素、アルゴン、クリプトン、キセノン等のガス、或いは、水、エチレングリコール、鉱油、アルキルベンゼン、ジアリールアルカン、トリアリールジアルカン、ジフェニル-ジフェニルエーテル混合体、アルキルビフェニル、アルキルナフタレン等の液体から選択することができる。
高温流体(高温気体又は高温液体)を循環させる循環路69bは、シャワープレート63の内部に設けられている。なお、上記循環路69bは、第1のガスを流通させる内部空間Sからは隔離されている。この高温媒体循環器69では、ヒータで流体を加熱するとともに、ポンプ69aを稼動させて加熱された高温流体をシャワープレート63の内部に流通させることによって、下部ガス導入系60を80℃乃至200℃程度の温度に保つように構成されている。
このように下部ガス導入系60を高温媒体の循環によって加熱すると、下部ガス導入系60にすばやく熱エネルギーが伝えられるとともに、下部ガス導入系60を均等に加熱することができる。そのため、有機シリコン化合物ガスや有機金属化合物ガスを含むガスを使用して絶縁膜を形成するようなプラズマ処理に好適であり、有機シリコン化合物ガスや有機金属化合物ガスの液化によるガス供給量の変動を抑止することができる。したがって、被処理基板100上に絶縁膜101を形成する場合において、良好な膜厚制御性及び膜厚均一性を実現することが可能である。
以上のように、本実施形態のプラズマ処理装置1を用いれば、有機シリコン化合物ガスや有機金属化合物ガスの液化によるガス供給量の変動を抑止することができる。そのため、本実施形態のプラズマ処理装置1は、有機シリコン化合物ガスや有機金属化合物ガスといった比較的液化し易いガスを用いるようなプラズマ処理に好適である。
以下、本発明の第3の実施形態を、図9及び図10を参照して説明する。本実施形態では、本発明の処理装置のさらに他の一実施形態について説明する。本実施形態の処理装置としてのプラズマ処理装置1では、走査アンテナ20が第1及び第2の実施の形態で説明したプラズマ処理装置1と異なっている。
本実施形態のプラズマ処理装置1では、走査アンテナ20が、複数例えば7本の分配導波管31と、各分配導波管31に夫々設けられた複数例えば10個のホーンアンテナとを備えている。分配導波管31は夫々、導波管30と直交し、且つ、真空容器の上壁11aと対向するように、互いに平行に略等間隔で並んでいる。各分配導波管31には夫々、複数例えば10個のホーンアンテナ25が略等間隔で設けられている。すなわち、本実施形態のプラズマ処理装置1は、70個のホーンアンテナ25を備えた走査アンテナ20を適用している。
分配導波管31とホーンアンテナ25との間、すなわち、各ホーンアンテナ25の給電部22には夫々、移相器23が設けられている。各移相器23は、パルス状の互いに反対方向となる大きな電流を流すことが可能な回路24と電気的に接続されている。このような構成とすることにより、高周波電源40において発生させた電磁波を、導波管30を介して各分配導波管31に導き、さらに各ホーンアンテナ25に分配することができる。したがって、上述のように構成した走査アンテナ20では、各ホーンアンテナ25の指向性合成により所望の指向性を得ることができるとともに、電磁波の指向性を時間変化させることが可能である。なお、図10では、1つの移相器23に対してのみ回路24を記載し、他の移相器23に対する回路24は省略して示しているが、回路24は全てのフェライト23a,23b,23c,23dに1対1対応で設けられている。
上述のような走査アンテナ20を使用するのに伴い、真空容器11の上壁11aには、各ホーンアンテナ25と対向するように誘電体窓12が設けられている。すなわち、図9に示すように、真空容器10の上壁11aには、例えば、7列×10個の平面略正方形状の誘電体窓12が設けられている。他の構成は上述した第1の実施形態のプラズマ処理装置1と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
本実施形態のプラズマ処理装置1によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のプラズマ処理装置1によれば、走査アンテナ20が複数のホーンアンテナ(素子アンテナに相当)を二次元に配置したフェーズドアレーアンテナであるため、二次元の走査が可能であり、二次元平面内の任意の方向において電磁波の強度分布を時間領域で平均化させることができる。
また、本実施形態のプラズマ処理装置1によれば、走査アンテナ20が複数のホーンアンテナ(素子アンテナに相当)を二次元に配置したフェーズドアレーアンテナであるため、二次元の走査が可能であり、二次元平面内の任意の方向において電磁波の強度分布を時間領域で平均化させることができる。
なお、本発明の処理装置及び処理方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々に実施することができる。
ガスを処理容器の内部に導入するためのガス導入部は、誘電体部材(誘電体窓12)と一体化に形成してもよい。
ガスを処理容器の内部に導入するためのガス導入部は、誘電体部材(誘電体窓12)と一体化に形成してもよい。
また、被処理体としては、例えば、ガラス基板、石英ガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、又は、シリコンウエハ等の基板を用いることができる。また、被処理体としては、上述のような基板上に、単結晶シリコン、レーザ結晶化や固相結晶化等により形成した多結晶シリコン、微結晶シリコン、又は、アモルファスシリコン等の半導体層が形成されたものを用いてもよい。さらに、被処理体としては、上述のような基板上に、半導体層と絶縁膜とを順不同で積層させたものや、上述のような基板上に、半導体層と絶縁膜とが順不同で積層されてなる部分を有する回路素子や回路素子の一部を形成したもの等を用いてもよい。
さらに、上記第1乃至第3の実施形態のプラズマ処理装置1では、ガスを処理容器(真空容器10)に導入させるガス導入系を2系統有しているが、本発明の処理装置では、ガスを処理容器(真空容器10)に導入させるガス導入系を、少なくとも1系統有していればよい。ガス導入系は、被処理体に対する処理(例えば、成膜、エッチング、酸化等)や、使用するガスの数や種類等によって、任意に選択することができる。
1…プラズマ処理装置、 10…真空容器(処理容器)、 20…走査アンテナ、 21…導波管スロットアンテナ、 22…給電部、 23…移相器、 25…ホーンアンテナ、 50…上部ガス導入系(第1のガス導入系)、51…第1のガス導入管(第1のガス導入部) 60…下部ガス導入系(第2のガス導入系)、61…第2のガス導入管(第2のガス導入部) 100…被処理基板(被処理体)、 F…電磁波入射面
Claims (11)
- 電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、
前記処理容器に設けられ、ガスを前記処理容器内に導入させるガス導入部を有する少なくとも1系統のガス導入系と、
前記電磁波入射面を通じて前記処理容器内に電磁波を入射させる走査アンテナとを具備し、
前記走査アンテナからの電磁波によって前記ガスを励起させることでプラズマを発生させて前記被処理体を処理することを特徴とする処理装置。 - 電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、
前記処理容器に設けられ、第1のガスを前記処理容器内に導入させる第1のガス導入部を有する第1のガス導入系と、
前記処理容器に設けられ、第2のガスを前記処理容器内に導入させる第2のガス導入部を有する第2のガス導入系とを具備し、
前記第1のガス導入部と前記電磁波入射面との間の距離が10mm未満に設定されているとともに、前記第2のガス導入部と前記電磁波入射面との間の距離が10mm以上に設定されており、
前記第1のガス及び第2のガスのうちの少なくとも一方のガスを前記走査アンテナから放射された電磁波によって励起させることでプラズマを発生させて前記被処理体を処理することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。 - 前記走査アンテナは、フェーズドアレーアンテナであることを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
- 前記フェーズドアレーアンテナは、給電部に各々移相器を有する複数の導波管スロットアンテナを備えていることを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
- 前記複数の導波管スロットアンテナは、その長手方向が互いに平行となるように並べて配置されていることを特徴とする請求項4に記載の処理装置。
- 前記フェーズドアレーアンテナは、給電部に各々移相器を有する複数のホーンアンテナを備えていることを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
- 前記第1のガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、又はキセノンのうちの少なくとも1種の希ガス又は酸素ガスのうちの少なくとも一方のガスを含むガスであることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
- 前記第2のガスは、有機シリコン化合物及び有機金属化合物のうちの少なくとも一方のガスを含むガスであることを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
- 電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、
この処理容器内に前記電磁波入射面を通じて電磁波を入射させる走査アンテナとを具備し、
プラズマを生成させるためのガスを前記処理容器の内部に導入するとともに、前記走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を前記電磁波入射面を通じて前記処理容器の内部に入射させることで、前記処理容器の内部に表面波プラズマを生成させて、前記被処理体を処理することを特徴とする処理装置。 - 電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、
前記処理容器に設けられ、ガスを前記処理容器内に導入させるガス導入部と、
前記電磁波入射面を通じて前記処理容器内に電磁波を入射させる走査アンテナとを具備する処理装置により前記処理容器内に設けられる前記被処理体を処理するに際し、
前記処理容器内に導入されたガスを前記走査アンテナから放射された電磁波により励起させて電磁波の放射領域にプラズマを発生させ、電磁波の放射領域を変化させることによりプラズマの発生領域を変化させて前記被処理体を処理することを特徴とする処理方法。 - 電磁波が入射される電磁波入射面を有し、内部に被処理体を配置可能な処理容器と、この処理容器内に前記電磁波入射面を通じて電磁波を入射させる走査アンテナとを具備する処理装置を用い、前記被処理体を処理する処理方法であって、
希ガス及び酸素ガスのうちの少なくとも一方を含む第1のガスを、前記電磁波入射面からの距離が10mm未満となる位置から前記処理容器の内部に導入させるとともに、有機シリコン化合物又は有機金属化合物のうちの少なくとも一方を含む第2のガスを、前記電磁波入射面からの距離が10mm以上となる位置から、前記第1のガスと分離して前記処理容器の内部に導入させる工程と、
前記走査アンテナによって電磁波の指向性を時間変化させながら該電磁波を前記電磁波入射面を介して前記処理容器の内部に入射させることにより、前記処理容器の内部に前記第1及び第2のガスによる表面波プラズマを生じさせ、前記被処理体に酸化膜を形成する工程と、を有することを特徴とする処理方法。
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JP2005094494A JP2006278642A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | 処理装置及び処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2005
- 2005-03-29 JP JP2005094494A patent/JP2006278642A/ja not_active Abandoned
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