JP2006275926A - 製品の性能を予測可能なシミュレーション方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シミュレーション結果の精度を確保しつつ、入力を簡易に行なうことができる製品の性能を予測可能なシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】粘弾性材料の製品と、衝突対象が衝突した際の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法で、解析対象として複数の層に分割された製品モデル10と衝突対象モデル11とを設定し、制御因子として、各層の層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とを選択し、複数の水準を設定し、複数の水準に従って層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度との複数の組み合わせを設定し、誤差因子として、弾性係数と密度とを選択し、複数の水準を設定し、信号因子として衝突速度を選択し、制御因子の組み合わせごとに、該制御因子と、各水準の誤差因子と、信号因子とに基づいて演算し、制御因子の少なくとも1つを同定し、同定された層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とを製品モデル10の入力値として用いる。
【選択図】図1
【解決手段】粘弾性材料の製品と、衝突対象が衝突した際の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法で、解析対象として複数の層に分割された製品モデル10と衝突対象モデル11とを設定し、制御因子として、各層の層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とを選択し、複数の水準を設定し、複数の水準に従って層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度との複数の組み合わせを設定し、誤差因子として、弾性係数と密度とを選択し、複数の水準を設定し、信号因子として衝突速度を選択し、制御因子の組み合わせごとに、該制御因子と、各水準の誤差因子と、信号因子とに基づいて演算し、制御因子の少なくとも1つを同定し、同定された層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とを製品モデル10の入力値として用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、製品の性能を予測可能なシミュレーション方法に関する。
一般に、粘弾性材料からなる製品について、試作の費用と時間節約等のために、シミュレーションを用いた製品開発が多方面で行なわれている。
例えば、特許第3466583号公報、特許第3466584号公報、特許第3466585号公報、特許第3466590号公報には、ゴルフボールの性能予測を行なうためのシミュレーション方法が記載されている。
このシミュレーション方法においては、まず、ゴルフボールの実使用状態を想定した測定条件下で、ゴルフボールに生じるひずみ、ひずみ速度、応力の時々刻々の値を実測する。そして、これらひずみと、ひずみ速度と、応力との時々刻々のデータと、粘弾性材料の粘性を考慮した粘弾性モデルとから、粘弾性材料の粘性抵抗の時刻歴データを算出する。
そして、ゴルフボールのモデルに時々刻々のひずみと、ひずみ速度と、粘性抵抗の関係を入力して、粘性材料からなる製品の反発係数を算出して、ゴルフボールの性能を予測する。
特許第3466583号公報
特許第3466584号公報
特許第3466585号公報
特許第3466590号公報
しかし、上記従来のシミュレーション方法においては、製品のモデルの入力値として、ひずみと、ひずみ速度と、粘性抵抗との時々刻々のデータを入力する必要があり、入力に手間と時間とを要するものとなっていた。さらに、入力値のデータ量が多いため、反発係数等を算出するために要する時間も長くなるという問題があった。本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シミュレーションによる結果の精度を確保しつつ、入力量を抑えることができるシミュレーション方法を提供することである。
本発明に係る製品の性能を予測可能なシミュレーション方法は、1つの局面では、粘弾性材料からなる製品と、該製品と衝突する衝突対象とが衝突した際の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法であって、解析対象として、複数の層に分割された製品モデルと衝突対象モデルとを設定し、制御因子として、各層の層厚と、各層のポアソン比と、各層の弾性係数と、各層の密度とを選択し、層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とについて複数の水準を設定し、複数の水準に従って層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度との複数の組み合わせを設定し、誤差因子として、弾性係数と密度とを選択し、誤差因子に複数の水準を設定し、信号因子として製品と衝突対象との衝突速度を選択し、制御因子の組み合わせごとに、該制御因子と、各水準の誤差因子と、信号因子とに基づいて演算を行い、演算結果を、実測値に近づけるように、層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とのうち、少なくとも1つを同定し、同定された層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とを製品モデルの入力値として用いる。好ましくは、ポアソン比と、弾性係数と、密度との水準数は、層厚の水準数より多く設定する。好ましくは、演算により、製品モデルと衝突モデルと、衝突対象モデルとの接触時間が得られ、製品と衝突対象との接触時間の実測値により、層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とのうち、少なくとも1つを同定する。好ましくは、演算結果から感度と、SN比を算出して、感度と、SN比とに基づいて層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とを同定する。好ましくは、信号因子として、複数の水準を設定し、水準ごとの信号因子について、演算を行い、演算結果を実測値に近づけるように、層厚と、ポアソン比と、弾性係数と、密度とのうち、少なくとも1つを同定する。
本発明に係るシミュレーション方法によれば、シミュレーション結果の精度を確保しつつ、入力量を低減することができ、入力を簡易に行なうことができる。
図1から図7を用いて、本発明に係る実施の形態について説明する。本実施の形態に係るシミュレーション方法は、粘弾性材料からなる製品と、この製品と衝突する衝突対象とが衝突した際に生ずる接触力を予測可能なシミュレーション方法である。粘弾性材料からなる製品としては、例えば、ゴルフボール等があり、また、衝突対象としては、例えば、ゴルフクラブヘッド等がある。そして、図1は、解析対象としての製品モデルと、衝突対象モデルとを示した斜視図である。この図1に示されるように、衝突対象モデルとしては、剛体壁モデル11が設定されている。この剛体壁モデル11は、複数の要素16に分割されており、要素16は、外表面に露出した面の一辺が4mmとされた四角形の平面要素とされている。製品モデルとしては、径が42.7mmとされた球体状のゴルフボールモデル10が設定されている。ここで、略4mmとしたのは、製品の最外層の要素の大きさと略一致させたためである。また、図2は、製品モデルの内部構造を示す斜視図である。この図2に示されるように、ゴルフボールモデル10は、複数の層に分割されており、表面を覆うカバー層12と、このカバー層12の内側に配置されたミッド層13と、このミッド層13の内側に配置された球体状のコア層14とを備えている。
そして、カバー層12と、ミッド層13とは、いずれも厚さ方向に2層に分割されており、カバー層12と、ミッド層13との厚さは、2mm程度とされている。これら、カバー層12と、ミッド層13と、コア層14とは、いずれも複数の要素12a,13a,14aから構成されており、この要素12a,13a,14aは、6面体とされている。また、最外層に位置する要素12aは、一辺が4mmの6面体とされており、この要素12a,13a、14aの要素種別は、ムーニーリブリン超弾性要素とされている。このように複数の要素12a,13a,14aに分割されたゴルフボールモデル10は、節点数が9618とされ、要素数が9344とされている。なお、本実施の形態においては、ゴルフボールモデル10は、3層構造とされているが、これに限られず、さらに複数の層に分割してもよく、また、単層構造または2層構造であってもよい。また、ゴルフボールモデル10の要素数は、今後計算機の能力が向上するにつれ、解析時間が短縮されるため、上記の数に限られないことは、容易に想像できる。
ゴルフボールモデル10の入力値としては、カバー層12の厚さt1と、ミッド層13の厚さt2と、コア層14のポアソン比ν1と、ミッド層13のポアソン比ν2とカバー層12のポアソン比ν3と、カバー層12の弾性係数E1と、ミッド層13の弾性係数E2と、コア層14の弾性係数E3と、カバー層12の密度ρ1と、ミッド層13密度ρ2と、コア層14の密度ρ3とがある。
ここで、ゴルフボールモデルの入力値を算出する方法について説明する。図3は、ゴルフボールモデル10の入力値の算出方法を示す、フローチャート図である。まず、カバー層12の厚さt1とミッド層13の厚さt2との組み合わせをt(t1、t2)とし、コア層14のポアソン比ν1とミッド層13のポアソン比ν2とカバー層12のポアソン比ν3の組み合わせをν(ν1、ν2、ν3)とする。そして、制御因子として、厚さt(t1、t2)と、ポアソン比ν(ν1、ν2、ν3)と、コア層14の弾性係数E3と、ミッド層13の弾性係数E2と、カバー層12の弾性係数E1と、コア層14の密度ρ3と、ミッド層13の密度ρ2と、カバー層12の密度ρ1とを選択する。そして、t(t1、t2)について2水準を設定しν(ν1、ν2、ν3)と、E3と、E2と、E1と、ρ3と、ρ2とρ1とについて、3水準を設定する。
すなわち、厚さtについて、第1水準としてt01(t1、t2)=t01(2.0、1.7)を設定し、第2水準としてt02(t1、t2)=t02(2.65、2.65)を設定する。なお、t01(t1、t2)は、実験で用いたゴルフボールの肉厚を用いており、第2水準t02(t1、t2)は、カバー層12およびコア層14の層厚を上記第1水準t01(t1、t2)より厚く設定している。
また、ポアソン比νについて、第1水準ν01(ν1、ν2、ν3)=ν01(0.44、0.44、0.39)、第2水準ν02(ν1、ν2、ν3)=ν02(0.46、0.46、0.41)、第3水準ν03(ν1、ν2、ν3)=ν03(0.49、0.49、0.45)を設定する。金属材料は、一般にポアソン比νは、0.3程度とされている一方で、ゴルフボールを構成する材料は、金属材料よりもポアソン比が大きい。また、ゴルフボールに一般に用いられるブタジエンラバーのポアソン比が0.5の近傍である。そこで、本実施の形態においては、ポアソン比νを0.5〜0.3の範囲内で、0.5の近傍で3水準設定することにした。
そして、カバー層12の弾性係数E1について、第1水準E11=147、第2水準E12=294、第3水準E13=588を設定した。弾性係数E1についての上記3水準は、ゴルフボールのカバー層を構成する材料の文献やカタログに開示されている材料の代表的な弾性係数を第2水準E12とし、この第2水準E12の1/2を第1水準E11とし、第2水準の2倍を第3水準E13とした。
さらに、ミッド層13の弾性係数E2について、第1水準E21=9.8、第2水準E22=19.6、第3水準E23=39.2を設定した。弾性係数E2についての上記3水準は、ゴルフボールのカバー層およびミッド層を構成する材料の弾性係数に近似する値を第2水準E22とし、この第2水準E22の1/2を第1水準E12とし、さらに、この第2水準E22の2倍を第3水準E23とした。
また、コア層14の弾性係数E3について、第1水準E31=19.6、第2水準E32=39.2、第3水準E33=78.4を設定する。コア層14の弾性係数E3の上記3水準は、ゴルフボールで一般的に用いられているブタジエンラバーの文献やカタログに開示されている材料の代表的な弾性係数を第2水準E32とし、この第2水準E32の1/2を第1水準E31とし、第2水準E32の2倍を第3水準E33とする。
カバー層12の密度ρ1について、第1水準ρ11=475、ρ12=950、ρ13=1900を設定する。カバー層12の密度ρ1の上記3水準は、ゴルフボールのカバー層を構成する材料の密度を第2水準ρ2とし、この第2水準ρ2の1/2を第1水準ρ1とし、第2水準ρ2の2倍を第3水準ρ3とする。
ミッド層13の密度ρ2について、第1水準ρ21=575、ρ22=1150、ρ23=2300を設定する。ミッド層13の上記3水準は、ゴルフボールのミッド層を構成する材料の密度に近似する値を第2水準ρ2とし、この第2水準ρ2の1/2を第1水準ρ1とし、第2水準ρ2の2倍を第3水準ρ3とした。
コア層14の密度ρ3について、第1水準ρ31=575、第2水準ρ32=1150、第3水準ρ33=2300を設定する。このコア層14の上記3水準は、ゴルフボールを構成するブタジエンラバーの密度を第2水準ρ32とし、この第2水準ρ2の1/2を第1水準ρ1とし、そして、第2水準ρ2の2倍を第3水準ρ3とした。
このように、制御因子としての、カバー層12の厚さt1と、ミッド層13の厚さt2と、コア層14のポアソン比ν1と、ミッド層13のポアソン比ν2とカバー層12のポアソン比ν3と、カバー層12の弾性係数E1と、ミッド層13の弾性係数E2と、コア層14の弾性係数E3と、カバー層12の密度ρ1と、ミッド層13密度ρ2と、コア層14の密度ρ3とについて、複数の水準を設定する。ここで、各層の層厚t1、t2、t3は、他の制御因子より出力結果に与える影響が小さいため、各層の層厚t1、t2、t3の水準数は、他の制御因子の水準数より小さく設定されている。このように、水準数を低減することにより、演算量が低減される。そして、下記表1に示すように、L18直交表に割りつけを行なう。
そして、図3に示されるように、誤差因子の設定を行なう。誤差因子は、各層の弾性係数E1,E2,E3と密度ρ1、ρ2、ρ3との±20%としている。すなわち、誤差因子についても、3水準を設定している。そして、下記表2に示されるように、外側直交表の割り付けを行なう。なお、本実施の形態においては、信号因子として、図1に示されたゴルフボールモデル10と、剛体壁モデル11との衝突速度が設定されており、26m/Sと、36m/Sと、46m/Sとの3水準が設定されている。
この表2に基づいて、順次、ゴルフボールモデル10と剛体壁モデルとの衝突シミュレーションを行い、ゴルフボールモデル10と、剛体壁モデルとの接触時間を算出する。なお、接触時間や接触力の解析には、有限要素法を用いて算出する。ここで、ゴルフボールモデル10と、剛体壁モデルとの接触時間とは、ゴルフボールモデル10と剛体壁モデルとが接触し始めてから、ゴルフボールモデル10が剛体壁モデルから離間するまでの時間のことである。
なお、このシミュレーションのソルバーとしては、PAMCRSH(ESI社)を用い、ムーニリブソン係数A01およびA10は、弾性係数とポアソン比とから、下記換算式から算出する。
[A01]≒[A10]/4
E≒6・([A01]+[A10])
そして、図3に示されるように、接触時間に関する動特性について、SN比と、感度Sを算出する。下記表3は、接触時間に関する動特性としてのSN比を示す表であり、表4は、接触時間に関する動特性としての感度Sを表す表である。ここでSN比とは、通信工学などで使用する信号雑音比と同じ意味を持つものであり、測定したデータが、理想とする入力と出力との直線関係にどれだけ近いかを示したものであり、実際には、ばらつきの大きさを信号の大きさで割ったものの逆数により示される。さらに、感度Sとは、入力信号により出力がどのように影響を受けているのかを表す尺度で、入出力の直線関係の傾きを意味する。
[A01]≒[A10]/4
E≒6・([A01]+[A10])
そして、図3に示されるように、接触時間に関する動特性について、SN比と、感度Sを算出する。下記表3は、接触時間に関する動特性としてのSN比を示す表であり、表4は、接触時間に関する動特性としての感度Sを表す表である。ここでSN比とは、通信工学などで使用する信号雑音比と同じ意味を持つものであり、測定したデータが、理想とする入力と出力との直線関係にどれだけ近いかを示したものであり、実際には、ばらつきの大きさを信号の大きさで割ったものの逆数により示される。さらに、感度Sとは、入力信号により出力がどのように影響を受けているのかを表す尺度で、入出力の直線関係の傾きを意味する。
そして、図3に示されるように、同定条件に基づいて、各制御因子の調整を行なう。ここで、同定条件としては、各層の厚さtや各層の密度ρ1、ρ2、ρ3については、測定値を優先し、他の制御因子に基づいて調整を行い、実測の接触時間と、シミュレーションにより算出された接触時間とを近似させる。なお、本実施の形態においては、表4に示されるように、感度の大きいコア層14の弾性係数E3と、カバー層12の弾性係数E1とに基づいて調整を行なう。この調整の結果、カバー層12の厚さt1は、2.0mm、ミッド層13の厚さは、1.7mm、コア層14のポアソン比ν1は、4.5、ミッド層13のポアソン比ν2は、4.9、カバー層12のポアソン比ν3は、4.9、コア層14の弾性係数E3は、39.2×1.8MPa、ミッド層13の弾性係数E2は、39.2MPa、カバー層12の弾性係数E1は、149×0.7MPa、コア層14の密度ρ3は、1150Kg/m3、ミッド層13の密度ρ2は、1150Kg/m3、カバー層12の密度ρ1は、950kg/m3となる。なお、同定方法としては、一般的な品質工学的手法により同定する。
表5は、上記のように算出されたゴルフボールモデル10の入力値を用いて、衝突速度、26m/Sと、36m/Sと、46m/Sにおけるゴルフボール10と、剛体壁モデル11との接触時間(mS)と、最大接触力(N)とのシミュレーション結果を示したものである。また、この表5には、ゴルフボールの衝突速度が26m/S、36m/S、46m/Sにおいて、ゴルフボールの接触時間と、最大接触力との測定結果が示されている。
この表5に示されるように、シミュレーションの最大接触力と、実測による最大接触力とは、近似しており、また、シミュレーションにより算出された接触時間と、実測により測定された接触時間とは、近似している。具体的には、衝突速度が26m/Sにおいては、実測の接触力の最大値は7074MPaであり、シミュレーションにより算出された最大接触力は、7740MPaとなる。また、衝突速度が36m/Sにおいては、実測の接触力の最大値は、9477MPaであり、シミュレーションにより算出された接触力の最大値は、11100MPaである。さらに、衝突速度が46m/Sにおいては、実測の接触力の最大値は、12752MPaとなり、シミュレーションにより算出された接触力の最大値は、14800MPaとなっている。また、接触時間においては、シミュレーションにおいては、衝突速度が26m/Sにおいては、実測の接触時間は、0.53(mS)であり、シミュレーションにより算出された接触時間は、0.55(mS)となる。衝突速度が36m/Sにおいては、実測の接触時間は、0.51(mS)であり、シミュレーションにより算出された接触時間は、0.51(mS)となる。衝突速度が46m/Sにおいては、実測の接触時間は、0.47(mS)であり、シミュレーションにより算出された接触時間は、0.48(mS)となる。
図4は、衝突速度が26m/Sにおける時々刻々の接触力について、シミュレーション結果と、実測値とを示したグラフである。また、図5は、衝突速度が36m/Sにおける時々刻々の接触力について、シミュレーション結果と、実測値とを示したグラフである。さらに、図6は、衝突速度が46m/Sにおける時々刻々の接触力について、シミュレーション結果と、実測値とを示したグラフである。これら図4から図6に示されるように、衝突速度が、26m/S、36m/S、46m/Sにおけるシミュレーション結果の時々刻々の接触力の形状は、26m/S、36m/S、46m/Sにおける測定値の時々刻々の接触力の形状の相似形となっている。具体的には、シミュレーション結果の接触力は、測定値の接触力よりも、10%以上15%以下程度大きいものの、シミュレーション結果の接触力がピーク値をとるときの接触時間と、測定値の接触力がピーク値をとる接触時間とが略一致している。このため、接触力が最大値となる発現のタイミングがシミュレーションの場合と、実測との場合とが近似しており、シミュレーションにより、接触力が最大値となる発現のタイミングを予測することができる。
なお、ゴルフボールの接触力と、接触時間との測定は、ホプキンソンバー試験機を用いて行なう。図7は、ホプキンソンバー試験機の概略構成を示す図である。図7に示されるように、ホプキンソンバー試験機50は、ホプキンソンバー51と、ゴルフボール60を打ち出すエアーガン52と、ゴルフボール60の速度を測定する速度測定器53と、ゴルフボール60の状態を撮影するカメラ57とを備えている。この速度測定器53は、レーザ光を発射するレーザ発射装置55と、レーザを検出する検出器56とを備えている。ホプキンソンバー51は、Steel製の長さ2mの棒を備え、その長手方向の中央部には、ひずみゲージ54が貼着されている。このように構成されたホプキンソンバー試験機50を用いて、ゴルフボール60の衝突実験を行なう。なお、ゴルフボール60としては、一般に市販されているゴルフボール(ブリヂストンスポーツ(株)製:商品名ニューイング「NEWING」)を用いた。
エアーガン52は、ゴルフボール60をホプキンソンバー51の先端部に向けて発射する。そして、ホプキンソンバー51の先端部にゴルフボール60が当接して、ゴルフボール60が跳ね返るまでの間をカメラ57が記録する。この記録に基づいて、ゴルフボール60がホプキンソンバー51の先端部に当接した瞬間から、離間するまでの接触時間が測定される。このように、接触時間は、ゴルフボールがホプキンソンバー51の先端部に接触状態、非接触から検出されるため、接触時間は、高精度かつ容易に実測することができる。そして、この高精度に実測された接触時間に基づいて、制御因子を設定している。このため、実際のゴルフボールの動作に近似するように、制御因子を設定することができる。
カメラ57の記録に基づいて、時々刻々のゴルフボール60の変形量が測定される。その上、ゴルフボール60がホプキンソンバー51の先端部に当接することにより、ホプキンソンバー51に歪みが生じる。そして、ひずみゲージ54がホプキンソンバー51に生じる時々刻々の歪み量を検出する。この検出された時々刻々の歪み量に基づいて、ゴルフボール60がホプキンソンバー51に加えた時々刻々の接触力を算出する。
そして、図8は、このホプキンソンバー試験機50を用いて、時々刻々の接触力を測定したグラフである。この図8においては、同一条件で8個のゴルフボールを用いて、各接触力を算出したものであり、横軸に時間(S)、縦軸に接触力(N)を示したものである。また、図9は、図4に示されたカメラ57の記録により測定されたゴルフボール60の変形量と、測定された接触力との時々刻々の関係を示したグラフである。この図9においては、縦軸に接触力(N)、横軸に変形量(%)を示したものである。
本実施の形態に係るシミュレーション方法においては、衝突速度が、26m/S以上46m/S以下の範囲においては、ゴルフボールに生じる時々刻々の接触力を予測することができる。また、接触力が最大値となる発現のタイミングを正確に予測することができる。さらに、ゴルフボールと衝突対象としてのゴルフクラブヘッドとの接触時間を正確に予測することができる。その上、本実施の形態においては、シミュレーションを行なう際に入力する入力値は、カバー層12の厚さt1と、ミッド層13の厚さt2と、コア層14のポアソン比ν1と、ミッド層13のポアソン比ν2と、カバー層12のポアソン比ν3と、カバー層12の弾性係数E1と、ミッド層13の弾性係数E2と、コア層14の弾性係数E3と、カバー層12の密度ρ1と、ミッド層13密度ρ2と、コア層14の密度ρ3とについての、定数値であり、入力が簡易かつ容易なものとなっている。このため、シミュレーションを簡易に行なうことができ、かつ、一般的に粘弾性材料の弾性係数、ポアソン比等の物性値は、歪みの大きさや衝突速度(歪速度)によって大きく変化しているにもかかわらず、入力値が定数であるので、計算に時間を要さず、短時間にシミュレーションの結果を得ることができる。このように、本実施の形態に係るシミュレーション方法は、製品と、衝突対象との接触力の予測に好適である。なお、本実施の形態においては、接触力と、接触時間について、シミュレーションを行い、測定値を予測する場合について、説明を行なったが、これに限られない。例えば、反発係数、反発速度などについても、同様に実測値を予測することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、製品の性能を予測可能なシミュレーション方法に好適である。
10 ゴルフボールモデル、11 剛体壁モデル、12 カバー層、13 ミッド層、14 コア層、50 ホプキンソンバー試験機、60 ゴルフボール。
Claims (5)
- 粘弾性材料からなる製品と、該製品と衝突する衝突対象とが衝突した際の前記製品の性能を予測可能なシミュレーション方法であって、
解析対象として、複数の層に分割された製品モデルと衝突対象モデルとを設定し、
制御因子として、前記各層の層厚と、前記各層のポアソン比と、前記各層の弾性係数と、前記各層の前記密度とを選択し、
前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度とについて複数の水準を設定し、
前記複数の水準に従って前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度との複数の組み合わせを設定し、
誤差因子として、前記弾性係数と前記密度とを選択し、
前記誤差因子に複数の水準を設定し、
信号因子として前記製品と前記衝突対象との衝突速度を選択し、
前記制御因子の組み合わせごとに、該制御因子と、各水準の前記誤差因子と、前記信号因子とに基づいて演算を行い、
前記演算結果を、実測値に近づけるように、前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度とのうち、少なくとも1つを同定し、
同定された前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度とを前記製品モデルの入力値として用いる、
製品の性能を予測可能なシミュレーション方法。 - 前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度との前記水準数は、前記層厚の水準数より多い、請求項1に記載の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法。
- 演算により、前記製品モデルと前記衝突モデルと、前記衝突対象モデルとの接触時間が得られ、前記製品と前記衝突対象との接触時間の実測値により、前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度とのうち、少なくとも1つを同定する、請求項1または請求項2に記載の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法。
- 前記演算結果から感度と、SN比を算出して、前記感度と、前記SN比とに基づいて前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度とを同定した、請求項1から請求項3のいずれかに記載の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法。
- 前記信号因子として、複数の水準を設定し、
水準ごとの前記信号因子について、前記演算を行い、前記演算結果を前記実測値に近づけるように、前記層厚と、前記ポアソン比と、前記弾性係数と、前記密度とのうち、少なくとも1つを同定した、請求項1から請求項4のいずれかに記載の製品の性能を予測可能なシミュレーション方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105158060A (zh) * | 2015-09-25 | 2015-12-16 | 南京市口腔医院 | 一种模拟测定后牙纵折粘结再植后牙槽骨受力的方法 |
CN112384924A (zh) * | 2018-07-26 | 2021-02-19 | 西门子股份公司 | 产品性能预测模型的建立方法和装置、计算机设备、计算机可读存储介质、产品性能预测方法及预测系统 |
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2005
- 2005-03-30 JP JP2005098571A patent/JP2006275926A/ja not_active Withdrawn
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