JP2006275899A - 電波照射装置、および誘導装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 海面からのマルチパスの影響によって、目標体に照射され目標体で反射される反射波のレベルが低下するという問題があった。
【解決手段】 目標体の存在方向、目標体高度および目標体までの距離の情報を計測し、計測した目標体の情報に基づいて、アレイアンテナ装置の送信ビームの指向方向を、目標体の存在方向から所定角度だけ上方にオフセットさせることによって、目標体に照射される電波に対するマルチパスの影響を緩和することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 目標体の存在方向、目標体高度および目標体までの距離の情報を計測し、計測した目標体の情報に基づいて、アレイアンテナ装置の送信ビームの指向方向を、目標体の存在方向から所定角度だけ上方にオフセットさせることによって、目標体に照射される電波に対するマルチパスの影響を緩和することができる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、目標に電波を照射する電波照射装置およびその誘導装置に関し、例えば、目標に照射し目標から反射された電波を、セミアクティブホーミング装置を備えた誘導飛翔体の誘導波として与えるものである。
従来の電波照射装置は、セミアクティブホーミング装置を備えた誘導飛翔体が目標からの誘導波の反射信号を受信することができるように、対処目標の存在方向に電波ビームを照射していた(例えば、非特許文献1参照)。
Carl D. Corse, Jr. "Introduction to Shipboard Weapon" 1975 by the United States Naval Institute Annapolis, Maryland, P316-318
従来の電波照射装置は艦船や海辺に設置されると、目標が海面付近の低高度から飛来して、電波照射装置の送信ビームの一部が海面を照射する場合に、海面でのマルチパスの影響によって目標へ照射される電波のレベルが低下する。このため、目標からの反射波を誘導波として、セミアクティブホーミング装置を備えた誘導飛翔体に与える場合、セミアクティブホーミング装置のシーカが受信する目標からの誘導波のレベルも低下する。この際、シーカの受信電力がシーカのロックオン感度以下となった場合は誘導信号の欠落となり、セミアクティブホーミング装置の誘導精度と、目標への会合確率が低下するという問題があった。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、海面からのマルチパスの影響による、目標体に照射され目標体で反射される反射波のレベル低下を抑えることを目的とする。
この発明による電波照射装置は、目標体に電波ビームを照射するアンテナ装置と、目標体の存在方向、目標体の高度および目標体までの距離の情報が与えられ、与えられた情報に基づいて、上記アンテナ装置の電波ビームの指向方向を、目標体の存在方向から上方に所定角度ずらして設定するビーム制御装置と、を備えたものである。
また、複数のアンテナ素子を有し、設定された位相値に基づいて電波ビームの指向方向が移相制御され、目標体に電波ビームを照射するアレイアンテナ装置と、目標体の存在方向、目標体の高度および目標体までの距離の情報を有して成る目標体情報と海面状態を示す情報とが与えられ、与えられた目標体情報と海面状態を示す情報に基づいて、電波ビームの指向方向を目標体の存在方向から上方に所定角度ずらすためのビームオフセット量を求めるビームオフセット量設定器と、上記ビームオフセット量設定器で求められたビームオフセット量と上記目標体の存在方向に基づいて、上記アレイアンテナ装置の各アンテナ素子に設定する上記位相値を求める位相演算器と、を備えたものであっても良い。
さらに、この発明による誘導装置は、上記電波照射装置と、セミアクティブホーミング装置を有する誘導飛翔体とを備え、当該電波照射装置から照射され目標体で反射された反射波に基づいて、当該誘導飛翔体を目標体に誘導するものである。
この発明によれば、海面からのマルチパスの影響下でも、目標体に照射し目標体から反射した所望の電波のレベル低下を緩和することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明における実施の形態1を示す電波照射装置の構成図である。図1において、電波照射装置は、アレイアンテナ装置1と、位相演算器4と、ビームオフセット量設定器5と、目標追尾装置6とを備えて構成される。電波照射装置は、例えば艦船や海辺などに設置される。
図1は、この発明における実施の形態1を示す電波照射装置の構成図である。図1において、電波照射装置は、アレイアンテナ装置1と、位相演算器4と、ビームオフセット量設定器5と、目標追尾装置6とを備えて構成される。電波照射装置は、例えば艦船や海辺などに設置される。
アレイアンテナ装置1は、アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子2と、各アンテナ素子2の移相制御を行う位相設定器3を備えて構成される。位相設定器3は、各アンテナ素子2の位相値を設定して、アレイアンテナ装置1の送信ビームの指向方向を移相制御する。目標追尾装置6は送受信アンテナ(図示せず)を備えたレーダ装置で構成され、飛来する移動目標体(以下、目標体)の存在を検知し、検知した目標体を追尾する。
次に、図1の電波照射装置の動作を説明する。
目標追尾装置6は、送受信アンテナから目標体に電波を送信し、目標体からの反射波を受信する。目標追尾装置6は受信信号に基づいて目標の存在を検知して、検知した目標体までの距離と目標体の存在する方向(存在方向)を高い測角精度で測定する。また、目標追尾装置6は、移動する目標体を常に送受信アンテナのメインローブ内に捕捉するように、送受信アンテナの指向方向を適宜移動させる。
目標追尾装置6は、送受信アンテナから目標体に電波を送信し、目標体からの反射波を受信する。目標追尾装置6は受信信号に基づいて目標の存在を検知して、検知した目標体までの距離と目標体の存在する方向(存在方向)を高い測角精度で測定する。また、目標追尾装置6は、移動する目標体を常に送受信アンテナのメインローブ内に捕捉するように、送受信アンテナの指向方向を適宜移動させる。
目標追尾装置6は目標体を追尾することによって、目標体の詳細な諸元(位置情報、速度情報等)を得る。この際、目標追尾装置6は、予め自己の設置位置(緯度経度)と基準方位(例えば北方向を方位0、水平面方向を仰角0と設定)とが判っているので、自己の設置位置と基準方位に基づいて、測定された目標体までの距離と目標体の存在方向から目標体の絶対位置を求める。この場合、目標体の諸元に含まれる位置情報としては、目標体の緯度経度と、海面からの高さが得られる。得られた目標体の諸元は、ビームオフセット量設定器5に送られる。
なお、目標追尾装置6が艦船に搭載される場合、艦船に搭載したGPS受信器や羅針盤や水準器(傾斜計)などによって、移動中の艦船の位置、基準方位や水平面傾斜度が計測されるので、予め自己の設置位置と基準方位とを容易に求めることができる。
ビームオフセット量設定器5は、目標追尾装置6から目標体の詳細な諸元(位置情報、速度等)が入力される。また、ビームオフセット量設定器5は、外部から海面状況の情報が入力される。海面状況とは海面の波浪状態(波の高さやうねりの状態)を示すもので、例えば、海面が荒れている、波が緩やか、波がほぼないの3段階に分けて、海面状況を判別する。海面状況は、例えば航空機や海辺付近で目標体の近海を観測する監視員によって判断してもいいし、目標体の近海を観測する観測衛星からの画像情報に基づいて監視員が判断しても良い。いずれにせよ、外部にて判断された海面状況の情報がビームオフセット量設定器5に入力されれば良い。
ビームオフセット量設定器5は、入力される海面状況に基づいて、海面におけるマルチパスの反射係数を決定する。海面状況と反射係数との対応関係は予め海面状況換算テーブルに設定されている。換算テーブルは、例えば、a)海面が荒れている(シーステート3)、b)波が緩やか(シーステート2)、c)波がほぼない(シーステート1)などの各状態に対応して、それぞれ反射係数を複数段階(例えば3段階)に分けて、適宜反射係数を設定する。
アレイアンテナ装置1は、目標追尾装置6と同様にして、予め自己の設置位置(緯度経度)と基準方位(例えば北方向を方位0、水平面方向を仰角0と設定)とが判っている。ビームオフセット量設定器5は、目標体の詳細な諸元から得られる目標位置と、予め判明しているアレイアンテナ装置1の設置位置と基準方位との位置関係から、アレイアンテナ装置1から目標体までの距離(目標距離)と目標の存在方向(目標方向)、および海面からの目標の高さ(目標高度)を適宜求める。目標方向は、仰角θELと方位角θAzとで与えられる。
なお、目標追尾装置6に対するアレイアンテナ装置1の相対位置から、アレイアンテナ装置1から目標体までの距離(目標距離)と目標の方向(目標方向)、および海面からの目標の高さ(目標高度)を求めても良い。
例えば、目標追尾装置6とアレイアンテナ装置1の基準方位が同じである場合、アレイアンテナ装置1に対する目標追尾装置6の位置ベクトルをRs、目標追尾装置6に対する目標体の位置ベクトルをR1、アレイアンテナ装置1の設置高さをz0とすると、アレイアンテナ装置1に対する目標の位置ベクトルは、Rs+R1=(x、y、z)で与えられる(x、yは水平面内方向、zは鉛直方向)。
この場合、目標方向は(x、y、z)、目標の高度はz+z0として簡単に求められ、目標追尾装置6はビームオフセット量設定器5に対して、目標追尾装置6に対する目標体の位置ベクトルR1を与えれば良い。また、目標距離は、(x2+y2+z2)の平方根として求められる。
この場合、目標方向は(x、y、z)、目標の高度はz+z0として簡単に求められ、目標追尾装置6はビームオフセット量設定器5に対して、目標追尾装置6に対する目標体の位置ベクトルR1を与えれば良い。また、目標距離は、(x2+y2+z2)の平方根として求められる。
ビームオフセット量設定器5は、求められた目標距離および目標高度と、入力される海面状況に応じて、目標体に照射する送信ビームを所定角度目標上方へずらすためのビームオフセット量θOを決定する。アレイアンテナ装置1のビーム幅をθdとすると、ビームオフセット量θOは、概ねθd/20(ビーム幅の20分の1)〜θd(ビーム幅)の範囲内で、マルチパスの影響を小さくする最適な値を選択すればよい。
ビームオフセット量設定器5は、内蔵するオフセット量情報テーブルに予めビームオフセット量の設定値を備えている。オフセット量情報テーブルは、目標距離、目標高度及び海面状況の各パラメータに対応付けて、マルチパスの影響を緩和するための最適なビームオフセット量の設定値を格納している。
図2はオフセット量情報テーブルのイメージを示す図である。図に示すように、各海面状況に応じて、目標距離と目標高度に対応したオフセット量が設定される。図中ではビームオフセット量θOを**、ビームオフセット量なしを0で図示し、ビームオフセット量の具体的な数値例については図示を省略している。
ビームオフセット量設定器5は、例えば、入力された海面状況が波の荒れた図2(a)のシーステート3に対応している場合、図2(a)のテーブルを選択する。そして、目標距離がRn−1+α(α>0、かつRn−1+α<Rn)、目標高度がH1+β(β>0、かつH1+β<H2)の場合には、目標距離Rn−1、目標高度H1に対応したビームオフセット量(*1*)を選択する。このようにして、オフセット量情報テーブルの中から、求められた目標距離よりも小さい最大の目標距離を選択し、求められた目標高度よりも小さい最大の目標高度を選択して、選択した目標距離と目標高度に対応するオフセット量情報テーブルのセルの値を、ビームオフセット量として求める。
なお、図2(a)のシーステート3では、目標距離がR1の場合には比較的低高度(高さH2)までビームオフセット量を0にすることができる。一方、波の穏やかな図2(b)のシーステート2では、目標距離がR1の場合であっても、低高度(高さH2)においてビームオフセット量を0にすることができない。
ビームオフセット量設定器5は、求められた目標方向の仰角θELに対してビームオフセット量θOを加算する。これによって、目標方向よりもビームオフセット量θOだけ上方(仰角方向)にずらした方向θ(θ=θEL+θO)を、アレイアンテナ装置1の送信ビームの指向方向に設定する。また、設定されたアレイアンテナ装置1の送信ビームの指向方向は、位相演算器3に送信される。なお、目標方向の方位角θAzについては、オフセット角を設定しない。
位相演算器3は設定された送信ビームの指向方向に基づいて、その方向に送信ビームを形成するための各アンテナ素子2の位相値を計算する。計算された各アンテナ素子2毎の位相値は、各アンテナ素子2にそれぞれ対応した位相設定器3に入力される。位相設定器3は入力される位相値に基づいて内蔵する移相器を制御して、各アンテナ素子2をフェーズドアレイアンテナで通常行われるように、適宜移相制御する。
これによって、アレイアンテナ装置1の送信ビームの指向方向が、目標体の存在方向よりも、ビームオフセット量θOで規定される角度だけ上方にオフセットされる。アレイアンテナ装置1の送信ビームは目標体で反射されて、セミアクティブホーミング装置に向かう誘導波となる。セミアクティブホーミング装置のシーカは誘導波を受信し、受信した誘導波の電力レベルが大きくなる方角(誘導波の到来方向)を求める。セミアクティブホーミング装置を備えた誘導飛翔体はこの誘導波の到来方向に向かって飛翔することによって、目標体を捉えた状態で目標体に接近し、目標体と会合する。誘導飛翔体と電波照射装置とは、誘導装置を構成する。
図3は電波照射装置の運用状態を示す図であり、図3(a)は目標体が高高度から飛来する場合を示し、図3(b)は目標体が低高度から飛来する場合を示す図である。
ここで、アレイアンテナ装置1から目標体までの距離と目標高度に依存して、送信ビームが海面11と干渉する海面反射点の位置が変化する。アレイアンテナ装置1と目標体との間に送信ビームの海面反射点が存在する場合は、その目標高度は低高度となる。
一方、アレイアンテナ装置1と目標体との間に送信ビーム12の海面反射点が存在しない場合は、その目標高度は高高度となる。
ここで、アレイアンテナ装置1から目標体までの距離と目標高度に依存して、送信ビームが海面11と干渉する海面反射点の位置が変化する。アレイアンテナ装置1と目標体との間に送信ビームの海面反射点が存在する場合は、その目標高度は低高度となる。
一方、アレイアンテナ装置1と目標体との間に送信ビーム12の海面反射点が存在しない場合は、その目標高度は高高度となる。
目標体までの距離によって異なるが、低高度は概ね0m〜500m程度の高さとなり、目標体までの距離が長い程、低高度の上限は高くなる。
例えば、アレイアンテナ装置1の送信ビームのビーム幅が1°である場合、10km先の低高度の上限は87.5mとなり、10km先では海面高さ85mよりも低高度を飛行する目標体は全て低高度の目標体となる。また、20km先の低高度の上限は175mとなり、20km先では海面高さ175mよりも低高度を飛行する目標体は全て低高度の目標体となる。
例えば、アレイアンテナ装置1の送信ビームのビーム幅が1°である場合、10km先の低高度の上限は87.5mとなり、10km先では海面高さ85mよりも低高度を飛行する目標体は全て低高度の目標体となる。また、20km先の低高度の上限は175mとなり、20km先では海面高さ175mよりも低高度を飛行する目標体は全て低高度の目標体となる。
図3(a)に示すように、目標体9(高高度飛来目標)が高高度から飛来し電波照射装置を構成するアレイアンテア装置1の送信ビーム12が海面11を照射しない場合は、送信ビーム12の指向方向13を目標体9の方向に一致させて、ビームオフセット量設定器5はビームオフセット量なし、すなわちビームオフセット量θO=0を設定する。この場合、誘導飛翔体10の受信する誘導波はマルチパスの影響を受けていない。
一方、図3(b)に示すように、目標体14(低高度飛来目標)が低高度から飛来して電波照射装置を構成するアレイアンテナ装置1の送信ビームが海面11を照射する場合、アレイアンテナ装置1と目標体14との間に送信電波の海面反射点が生じてマルチパスが発生する。この場合、マルチパスの影響を緩和するように、ビームオフセット量設定器5は最適な上方へのビームオフセット量θOを設定して、送信ビーム12の指向方向13を目標体14の方向よりもビームオフセット量θOだけ上方にずらす。これによって、送信ビームが海面を照射する電力レベルが低下し、マルチパスの影響が緩和される。この際、誘導飛翔体10の受信する誘導波はマルチパスの影響を受けているが、オフセット量θO=0とした場合に比べて、マルチパスの影響が小さくなる。
この実施の形態ではビームオフセット量を調整することによって、目標体14を直接照射する送信ビームと、海面(反射面)で反射され目標体を間接的に照射するマルチパス波との間で、両ビームの電力レベル差を増大させることにより、マルチパスの影響を緩和することができる。
ここで、海面でのマルチパスの影響によって、目標体への誘導波のレベルが低下する原理について説明する。
図4はアレイアンテナ装置1から放射された送信ビーム(直接波)12と、送信ビーム12が海面11で反射したマルチパス波16とが、互いに干渉する状態を示した図である。図において、海面11の海面反射点において、マルチパス波16の振幅変化および位相変化を生じる。このマルチパス波16と送信ビーム(直接波)12とが相互干渉することによって、目標体14への誘導波(反射波15)の電力レベルが低下する。
図4はアレイアンテナ装置1から放射された送信ビーム(直接波)12と、送信ビーム12が海面11で反射したマルチパス波16とが、互いに干渉する状態を示した図である。図において、海面11の海面反射点において、マルチパス波16の振幅変化および位相変化を生じる。このマルチパス波16と送信ビーム(直接波)12とが相互干渉することによって、目標体14への誘導波(反射波15)の電力レベルが低下する。
誘導波の振幅変化、および位相変化は、次式(1)、(2)によって決定される。
式(1)において、ρは反射係数を示す。スペキュラー反射係数ρsは、1点反射時の反射点における反射波の振幅係数である。ディフューズ散乱係数ρdは、反射点近傍(反射面)からの反射波の振幅係数である。フレネル反射係数Γは、偏波の違いにより生じる反射波の振幅係数である。ダイバージェンスファクタDは、地球が球体のため反射点近傍で電波が拡散することに起因する振幅係数である。
式(2)において、Φは位相差を示す。位相経路差ΔΦは、位相変動をもたらす直接波と間接波の経路差である。ディフューズ散乱係数Φdは、反射点近傍(反射面)からの反射波の位相係数である。フレネル反射係数ΦΓは、偏波の違いにより生じる反射波の位相係数である。
また、上記振幅変化、および位相変化によって、送信電力が増幅または減衰する比率を表すプロパゲーションファクタFΣを、次式(3)に示す。
図5はマルチパスにより、目標体に照射される電力レベルの受ける影響度合いの一例を示す図である。図において、符号31はマルチパス環境下でビームオフセットする前の状態、符号32はマルチパス環境下で所定角度ビームオフセットさせたときの状態、符号33はマルチパスのない状態を示す。
図に示すように、マルチパスの影響によって、目標体までの距離に応じて目標を照射する電力が増幅または減衰される。しかしながら、送信ビーム12を上方へ最適量オフセットさせることによって、目標体への照射電力の減衰量が緩和される。このように目標体への照射電力の減衰量が緩和されることにより、誘導飛翔体のシーカが受信する電力はビームオフセットなしの場合に比較して増大することがわかる。
この実施の形態によれば、セミアクティブホーミング装置を備えた誘導飛翔体へ電波を照射する電波照射装置において、低高度から飛来する目標体に対して照射する電波(送信ビーム)の指向方向を目標体の存在方向よりも上方へオフセットすることによって、マルチパスの影響によるセミアクティブホーミング装置への誘導信号のレベル低下を抑えることができる。
また、マルチパスが発生しても、照射する電波(送信ビーム)の指向方向を目標体の存在方向からオフセットしない場合に比べて、より大きな電力を目標体に照射することができるので、誘導飛翔体に対するセミアクティブホーミング装置の誘導精度を向上させることができるとともに、誘導飛翔体が目標体に会合する確率の低下を防ぐことができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、目標体に送信ビームを照射するアンテナ装置として、アレイアンテナ装置1を用いるとともに、送信ビームの指向制御のために位相演算器3を具備する構成とした。この実施の形態では、目標体に送信ビームを照射するアンテナ装置として、機械駆動方式のアンテナ装置1を用いることによって、実施の形態1と同様の動作を行わせる。
上記実施の形態1では、目標体に送信ビームを照射するアンテナ装置として、アレイアンテナ装置1を用いるとともに、送信ビームの指向制御のために位相演算器3を具備する構成とした。この実施の形態では、目標体に送信ビームを照射するアンテナ装置として、機械駆動方式のアンテナ装置1を用いることによって、実施の形態1と同様の動作を行わせる。
図6は機械駆動方式のアンテナを用いた電波照射装置を示す図である。図において、電波照射装置は、アンテナ装置7と、アンテナ装置7における送信ビームの指向方向を制御するアンテナ駆動制御器8とを備える。その他の構成については、実施の形態1と同様である。
図において、アンテナ装置7は仰角方向と方位角方向の2軸周りに回動可能に軸支されている。アンテナ駆動制御器8は、ビームオフセット量設定器5から目標方向とビームオフセット量θOを受信して、アンテナ装置7を回転駆動する。アンテナ駆動制御器8は、目標方向よりもビームオフセット量θOだけ上方に所定の仰角を成す方向に、アンテナ装置7の指向方向を向ける。
これによって、低高度から飛来する目標体に対して照射する電波の指向方向を目標体の存在方向よりも上方へ所定角度オフセットする(ずらす)ことにより、マルチパスの影響によるセミアクティブホーミング装置への誘導信号のレベル低下を抑えることができる。
実施の形態3.
上記実施の形態1及び2では、目標追尾装置6として電波センサを備えた構成について説明したが、目標追尾装置6を光波センサとすることによっても、同様の動作を行わせることができる。
上記実施の形態1及び2では、目標追尾装置6として電波センサを備えた構成について説明したが、目標追尾装置6を光波センサとすることによっても、同様の動作を行わせることができる。
光波センサは、目標の画像を捉えて目標の画像情報から目標を抽出する。抽出された目標を追尾することによって、目標の存在方向を求める。また、目標にレーザビームを照射して目標までの距離を求める。これによって、目標の存在方向と目標までの距離が判明するので、光波センサに対する目標の位置ベクトルR2を求めることができる。また、アレイアンテナ装置1またはアンテナ装置7に対する光波センサの設置位置の位置ベクトルRSと、基準方位は予め判明している。これによって、アレイアンテナ装置1またはアンテナ装置7に対する目標体の存在方向と目標の高さを求めることができる。
例えば、光波センサとアレイアンテナ装置1またはアンテナ装置7の基準方位が同じである場合、アレイアンテナ装置1またはアンテナ装置7に対する目標体の位置ベクトルは、Rs+R2=(x、y、z)で与えられる。この場合、目標方向は(x、y、z)、目標高度はz+z0(z0はアレイアンテナ装置1またはアンテナ装置7の設置高さ)、目標距離は(x2+y2+z2)の平方根として求められる。
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、ビームオフセット量設定器5は、目標距離または目標高度及び海面状況に応じて、マルチパスの影響を緩和する最適なビームオフセット量を、予めオフセット量情報テーブルに有した構成とした。
上記実施の形態1〜3では、ビームオフセット量設定器5は、目標距離または目標高度及び海面状況に応じて、マルチパスの影響を緩和する最適なビームオフセット量を、予めオフセット量情報テーブルに有した構成とした。
しかしながら、入力された目標の詳細な諸元(位置情報、速度等)及び海面状況の情報により、マルチパスの影響を緩和するための最適なビームオフセット量を、リアルタイムで演算する機能を持たせることによって、同様の動作を行わせることができる。なお、演算式についての詳細説明は省略する。
1 アレイアンテナ装置、2 アンテナ素子、3 位相設定器、4 位相演算器、5 ビームオフセット量設定器、6 目標追尾装置、7 アンテナ装置、8 アンテナ駆動制御器、9 高高度飛来目標、10 セミアクティブホーミングミサイル、11 海面、12 送信ビーム、13 送信ビームの指向方向(ビーム中心)、14 目標体(低高度飛来目標)。
Claims (6)
- 目標体に電波ビームを照射するアンテナ装置と、
目標体の存在方向、目標体の高度および目標体までの距離の情報が与えられ、与えられた情報に基づいて、上記アンテナ装置の電波ビームの指向方向を、目標体の存在方向から上方に所定角度ずらして設定するビーム制御装置と、
を備えた電波照射装置。 - 複数のアンテナ素子を有し、設定された位相値に基づいて電波ビームの指向方向が移相制御され、目標体に電波ビームを照射するアレイアンテナ装置と、
目標体の存在方向、目標体の高度および目標体までの距離の情報を有して成る目標体情報と海面状態を示す情報とが与えられ、与えられた目標体情報と海面状態を示す情報に基づいて、電波ビームの指向方向を目標体の存在方向から上方に所定角度ずらすためのビームオフセット量を求めるビームオフセット量設定器と、
上記ビームオフセット量設定器で求められたビームオフセット量と上記目標体の存在方向に基づいて、上記アレイアンテナ装置の各アンテナ素子に設定する上記位相値を求める位相演算器と、
を備えた電波照射装置。 - 目標体に電波ビームを照射するアンテナ装置と、
目標体の存在方向、目標体の高度および目標体までの距離の情報を有して成る目標体情報と海面状態を示す情報とが与えられ、与えられた目標体情報と海面状態を示す情報に基づいて、電波ビームの指向方向を目標体の存在方向から上方に所定角度ずらすためのビームオフセット量を求めるビームオフセット量設定器と、
上記アンテナ装置を回動させるとともに、上記ビームオフセット量設定器で求められたビームオフセット量に基づいて、上記アンテナ装置の指向方向を、上記目標体の存在方向から所定角度上方に設定する駆動制御器と、
を備えた電波照射装置。 - 目標体に電波を照射し反射波を受信して、受信した反射波から目標体を抽出し目標体を追尾するとともに、目標体の存在方向を測定する目標追尾装置を備え、
上記電波照射装置は、上記目標追尾装置から目標体の存在方向が与えられることを特徴とする請求項2もしくは請求項3に記載の電波照射装置。 - 目標体の画像情報を取得し、取得した画像情報から目標体を抽出して目標体を追尾するとともに、目標体の存在方向を測定する目標追尾装置を備え、
上記電波照射装置は、上記目標追尾装置から目標体の存在方向が与えられることを特徴とする請求項2もしくは請求項3に記載の電波照射装置。 - 上記請求項1から請求項5のいずれかに記載の電波照射装置と、セミアクティブホーミング装置を有する誘導飛翔体とを備え、当該電波照射装置から照射され目標体で反射された反射波に基づいて、当該飛翔体を目標体に誘導することを特徴とした誘導装置。
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JP (1) | JP2006275899A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008164494A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Mitsubishi Electric Corp | 誘導装置 |
JP2008164483A (ja) * | 2006-12-28 | 2008-07-17 | Mitsubishi Electric Corp | アレーアンテナ及びそのビーム制御方法 |
JP2010096650A (ja) * | 2008-10-17 | 2010-04-30 | Nippon Signal Co Ltd:The | レーダ装置 |
JP2015137925A (ja) * | 2014-01-22 | 2015-07-30 | 株式会社デンソー | 位置推定システム |
JP2019052937A (ja) * | 2017-09-14 | 2019-04-04 | 日本無線株式会社 | クラッタ除去装置及びクラッタ除去プログラム |
-
2005
- 2005-03-30 JP JP2005097943A patent/JP2006275899A/ja active Pending
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