JP2006275221A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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裕巳 稲垣
Yasuhiro Arikawa
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秀俊 小堀
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後藤  勝
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Abstract

【課題】 電気的作動機構を作動させずに、ブレーキ作動状態を解除することができる車両用ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】 車両用ブレーキ装置10は、ディスクロータ18の両面に内・外側パッド22,23を臨ませ、内側パッド22に臨ませたブレーキピストン24をキャリパボディ21内に収容し、キャリパボディ21に外側パッド23をディスクロータ18に押圧する爪部28を有し、ブレーキピストン24を作動させる電気的作動機構25を備える。この車両用ブレーキ装置10は、爪部28と外側パッド23との間に、外側パッド23を爪部28側に人力操作で移動可能とするブレーキ解放手段15を介在させたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は車両用ブレーキ装置に係り、特に、電気的作動機構でブレーキピストンを作動させ、内外側のパッドでディスクロータを押圧する車両用ブレーキ装置に関する。
車両用ブレーキ装置のなかには、電動モータの駆動力でブレーキピストンを作動させ、ブレーキピストンでブレーキパッドをディスクロータに押し付ける電動駆動式のブレーキ装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−321599号公報
特許文献1の車両用ブレーキ装置によれば、電動モータを駆動して、電動モータの回転力を減速機を介してスラスト変換機構に伝え、スラスト変換機構で回転力を軸方向のスラスト力に変換する。
このスラスト力でブレーキピストンを作動させ、ブレーキピストンの押圧力でブレーキパッドをディスクロータに押し付ける。ブレーキパッドをディスクロータに押し付けることで、車輪に制動力をかける。
この車両用ブレーキ装置はパーキングブレーキとして兼用するケースが多い。ここで、車両用ブレーキ装置をパーキングブレーキとして使用し、車両を長期間停車させた場合、例えば、バッテリが自然放電し、電動モータを駆動させることができない虞がある。
このため、万が一、電動モータなどの電気的作動機構を駆動させることができない場合でも、ブレーキ作動状態を解除することができる車両用ブレーキ装置の実用化が望まれていた。
本発明は、電気的作動機構を作動させずに、ブレーキ作動状態を解除することができる車両用ブレーキ装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、ディスクロータのアウター面に外側パッドを臨ませるとともに、ディスクロータのインナー面に内側パッドを臨ませ、この内側パッドをインナー面に向けて押圧するブレーキピストンをキャリパボディ内に収容し、このキャリパボディが前記ディスクロータを跨いで前記外側パッド側に延び、この外側パッド側に延びた部位に、前記外側パッドを前記アウター面に押圧する爪部を設け、前記ブレーキピストンを電気的な制御で作動させる電気的作動機構を備えた車両用ブレーキ装置において、前記爪部と前記外側パッドとの間に、外側パッドを爪部側に人力操作で移動可能とするブレーキ解放手段を介在させたことを特徴とする。
爪部と外側パッドとの間にブレーキ解放手段を介在させた。そして、ブレーキ解放手段を人力操作で操作することで外側パッドを爪部側に移動可能とした。
ここで、ブレーキ作動状態、すなわち、内側パッドおよび外側パッドでディスクロータにブレーキ力を作用させた状態において、内側パッドおよび外側パッドにディスクロータからブレーキ力の反力が作用している。
よって、ブレーキ作動状態において、ブレーキ解放手段を人力操作で操作すると、外側パッドが反力で爪部側に移動する。外側パッドが爪部側に移動することで、外側パッドがアウター面から離れる。
このため、キャリパボディが内側パッド側に移動可能になり、内側パッドが反力でインナー面から離れる方向に移動する。内側パッドがインナー面から離れる方向に移動することで、内側パッドがインナー面から離れる。
このように、外側パッドがアウター面から離れるとともに、内側パッドがインナー面から離れることで、ブレーキ作動状態を人力により解除することができる。
ここで言う「電気的作動機構」とは、電動モータの回転力をスラスト力に変換して、該スラスト力でブレーキピストンをブレーキピストンを作動させるものだけではなく、電動モータでポンプを駆動し、該ポンプで発生した液圧でブレーキピストンを作動させ、該ブレーキピストンの作動状態を機械的または液圧的にロックするような、液圧を電気的に発生、制御する液圧制御式等のものも含む。
また、ここで言う「人力により解除可能」とは、人が直接ブレーキ解放手段を作動させるものだけではなく、動力源を備えた工具を人が操作して、該工具によりブレーキ解放手段を作動させるものも含む。
請求項1に係る発明では、人力でブレーキ解放手段を操作することで、電気的作動機構を作動させずにブレーキ作動状態を解除することができるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る第1実施の形態の車両用ブレーキ装置を示す概略図である。
車両用ブレーキ装置10は、ディスクブレーキ11と、ディスクブレーキ11を操作するブレーキペダル12と、ブレーキペダル12のストロークを検知するペダルストロークセンサー13と、ペダルストロークセンサー13からのストローク信号に基づいてディスクブレーキ11に作動信号を送る制御部14と、ディスクブレーキ11のブレーキ力を人力で解除するブレーキ解放手段15とを備える。
ディスクブレーキ11は、ディスクロータ18の外周側にキャリパボディ21を配置し、キャリパボディ21をキャリパーブラケット(図示せず)に水平方向にスライド自在に支持するとともに、このキャリパーブラケットを介して車体に取り付け、このキャリパーブラケットで内側パッド22および外側パッド23を水平方向にスライド自在に支え、内側パッド22を押圧するブレーキピストン24をキャリパボディ21に内蔵し、ブレーキピストン24を作動させる電気的作動機構25を備える。
ここで、キャリパボディ21、ブレーキピストン24、内側パッド22および外側パッド23でブレーキ機構19を構成する。
ディスクロータ18は、車両の車輪(図示せず)に同軸上に取り付けられ、車輪と一体に回転する部材である。
内側パッド22は、内側裏金22aに内側摩擦パッド22bを固定したものである。
外側パッド23は、外側裏金23aに外側摩擦パッド23bを固定したものである。
ディスクロータ18のアウター面18aに、外側パッド23の外側摩擦パッド23bを臨ませる。ディスクロータ18のインナー面18bに、内側パッド22の内側摩擦パッド22bを臨ませる。
この内側パッド22の内側裏金22aにブレーキピストン24を臨ませ、ブレーキピストン24で内側裏金22aをインナー面18bに向けて押圧する。
キャリパボディ21は、内側パッド22側の部位27に、電気的作動機構25およびブレーキピストン24を収容し、この部位27からディスクロータ18の外周を跨いで外側パッド23側に延び、外側パッド23側に延びた部位で爪部28を形成する。
爪部28は、外側パッド23をアウター面18aに押圧する部位である。
電気的作動機構25は、ブレーキピストン24を電気的な制御で作動させるものである。
具体的には、電気的作動機構25は、キャリパボディ21に電動モータ31を設け、この電動モータ31に減速機32を連結し、この減速機32にスラスト変換機構33を連結し、スラスト変換機構33をブレーキピストン24に連結したものである。
減速機32は、電動モータ31の駆動軸31aにウォーム35を設け、ウォーム35にウォームホイール36を噛み合わせ、ウォームホイール36をスクリューシャフト37の基部に設けたものである。
スクリューシャフト37は、キャリパボディ21(具体的には、内側パッド22側の部位27)に一対の軸受を介して回転自在に支持されている。
この減速機32は、ウォーム35にウォームホイール36を噛み合わせることでセルフロック機能を備える。
セルフロック機能とは、スクリューシャフト37側からウォームホイール36に回転力が作用した際に、作用した回転力が電動モータ31側に伝わらないようにロック状態を保つ機能をいう。
スラスト変換機構33は、ブレーキピストン24内にナット部材38を一体的に設け、ナット部材38にスクリューシャフト37を回転自在に設けたものである。
スクリューシャフト37にフランジ37aを設け、フランジ37aとキャリパボディ21(具体的には、内側パッド22側の部位27)との間にスラスト軸受39を配置する。
車両用ブレーキ装置10によれば、ブレーキペダル12を踏んで矢印Aの如く移動すると、ブレーキペダル12のストロークをペダルストロークセンサー13で検知し、検知した信号を制御部14に伝える。
制御部14は、ペダルストロークセンサー13からのストローク信号に基づいて電動モータ31に駆動信号を伝える。
電動モータ31が駆動することにより、駆動軸31aの回転が減速機32のウォーム35に伝わる。
ウォーム35の回転がウォームホイール36に伝わり、ウォームホイール36の回転がスクリューシャフト37に伝わる。
スクリューシャフト37が右回転することで、ナット部材38が内側パッド22に向けて前進移動する。ナット部材38が前進移動することで、ブレーキピストン24で内側パッド22を矢印Bの如く押圧する。
内側パッド22をディスクロータ18に押し付けることで、キャリパボディ21が矢印Cの如く移動して外側パッド23をディスクロータ18に押し付ける。
ディスクブレーキ11には、ブレーキ力を人力で解除するブレーキ解放手段15を備える。
ブレーキ解放手段15は、ディスクブレーキ11に設けられ、ブレーキ力を解除するブレーキ解除部41と、このブレーキ解除部41を操作する操作部42とを備える。
図2は第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置を示す斜視図である。
図2において、第1実施の形態の理解を容易にするためにカム部材45を車両用ブレーキ装置10から取り出した状態で示す。
ブレーキ解除部41は、爪部28の中央28aに収納空間44を形成するとともに、爪部28の両端部28b,28bに軸受部(図示せず)を備え、収納空間44にカム部材45のカム本体46を収納し、カム部45の両支持軸47,47を、両端部28b,28bの軸受部で回動自在に支持したものである。
カム部材45は、カム本体46を円柱状に形成し、カム本体46の中心に対して支持軸47,47の中心がオフセット(偏心)されて設けられている。
支持軸47,47は同軸上に設けられている。
さらに、ブレーキ解除部41は、両支持軸47,47のうち、一方の支持部47を一方の端部28bから突出させ、他方の支持部47を他方の端部28bから突出させ、突出させた一方の支持部47にコイルばね49を取り付け、コイルばね49の外側にスイングレバー51を取り付けたものである。
コイルばね49は、一端部49aを爪部28に係止するとともに、他端部49bをスイングレバー51に係止することで、スイングレバー51を時計回り方向に付勢する。
これにより、スイングレバー51の下端部51aが爪部28のロック片52に当接し、スイングレバー51をブレーキ位置P1(図1も参照)に保持する。
図1に戻って、ブレーキ解除部41は操作部42で操作される。操作部42は、スイングレバー51を操作ケーブル55を介してレバー56に連結し、レバー56を支持軸57を介して車体58に連結し、支持軸57に操作レバー59を連結したものである。
操作レバー59は、車室内の適所に配置することができ、好ましくは車両運転者が運転席に座った状態で操作が可能な位置に配置する。
その際、この操作レバー59は、電動モータ31を電気的に駆動できない故障(バッテリや制御部14の故障)時に操作するものであるから、運転席と助手席の間のコンソールボックス内やインストルメントパネルの下面(運転者の膝上の位置)などの普段の運転操作には邪魔にならず、また見え難い位置に配置することが好ましい。
これにより、車室内のレイアウト性、デザイン性が向上するとともに、誤解除の防止にも役立つ。
操作ケーブル55は、アウターケーブル61の基端部61aを取付ブラケット63を介して車体58に取り付け、アウターケーブル61の先端部61bを取付ブラケット64を介して車体58に取り付ける。
アウターケーブル61内にインナーケーブル62をスライド自在に収納し、アウターケーブル61の基端部61aからインナーケーブル62の基端部62aを突出させ、アウターケーブル61の先端部61bからインナーケーブル62の先端部62bを突出させる。
インナーケーブル62の基端部62aをスイングレバー51の上端部51bに連結し、インナーケーブル62の先端部62bをレバー56に連結する。
操作部42によれば、操作レバー59を支持軸57を軸にして矢印Dの如く人力で操作することにより、レバー56が支持軸57を軸に矢印Eの如くスイング移動する。
レバー56でインナーケーブル62を矢印Fの如く移動させて、ブレーキ解除部41のスイングレバー51を、支持軸47,47を中心にして矢印Gの如くスイング移動させる。
これにより、スイングレバー51をブレーキ位置P1からブレーキ解放位置P2(図3(b)参照)に移動する。
スイングレバー51をブレーキ解放位置P2に移動することで、ブレーキ作動状態を人力で解放する。
図3(a),(b)は第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ解除部を示す断面図であり、(a)はブレーキ解除部41のスイングレバー51をブレーキ位置P1に保持した状態を示し、(b)はブレーキ解除部41のスイングレバー51をブレーキ解放位置P2に保持した状態を示す。
カム部材45は、カム本体46の中心66に対して支持軸47,47の中心67がL1だけオフセット(偏心)されて設けられている。
カム本体46の押圧部位46aが、支持軸47,47の中心67から離れ、中心67から隆起した部位となる。
(a)に示すように、ブレーキ解除部41のスイングレバー51をブレーキ位置P1に保持する。この状態において、カム本体46の中心66が支持軸47,47の中心67に対して外側パッド23側に位置する。
カム本体46は、押圧部位46aが爪部28の内壁面29から外側パッド23に向けて突出した状態に保持される。このとき、押圧部位46aが内壁面29から突出する量はL2である。以下、L2を突出量と称す。
押圧部位46aを内壁面29から突出量L2だけ突出することで、外側パッド23を内壁面29からL2離した位置に保持する。
(b)に示すように、ブレーキ解除部41のスイングレバー51を、コイルばね49(図2参照)のばね力に抗してブレーキ解放位置P2に移動する。
カム本体46が支持軸47,47を中心に矢印Hの如く回転して、カム本体46の押圧部位46aが収納空間44内に入り込む。
これにより、カム本体46が爪部28の内壁面29から突出しない状態に保持される。
すなわち、ブレーキ解放手段15は、爪部28と外側パッド23との間にブレーキ解除部41を介在させた。
そして、カム本体46の押圧部位46aを、爪部28の内壁面29から外側パッド23に向けて突出させたブレーキ作動状態と、カム本体46の押圧部位46aを、収納空間44内に入り込ませたブレーキ解放状態とに、人力で切り替え可能とした。
次に、第1実施の形態の車両用ブレーキ装置10の作用を図4〜図6に基づいて説明する。
先ず、車両用ブレーキ装置10をブレーキペダルで操作する例を図4に基づいて説明する。
図4(a),(b)は第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置をブレーキペダルで操作する例を説明する図である。
(a)において、ブレーキ解除部41のスイングレバー51がブレーキ位置P1に保持されている。この状態で、カム本体46の押圧部位46aが内壁面29からL2だけ突出し、外側パッド23を内壁面29からL2離した位置に保持する。
ブレーキペダル12を踏むことにより、ブレーキペダル12に踏力が作用し、ブレーキペダル12が矢印Aの如く移動する。
ブレーキペダル12の移動ストロークをペダルストロークセンサー13で検知する。検知した信号を制御部14に伝え、制御部14から電動モータ31に駆動信号を伝える。
電動モータ31の駆動軸31aが正転して、駆動軸31aの回転が減速機32を介してスラスト変換機構33のスクリューシャフト37に伝わる。
スクリューシャフト37が矢印の如く右回転することで、ナット部材38がスクリューシャフト37の先端に向けて前進移動する。ナット部材38と一体にブレーキピストン24が移動し、ブレーキピストン24で内側パッド22を矢印Bの如く押圧する。
内側パッド22をディスクロータ18に押し付けることで、キャリパボディ21が矢印Cの如く移動して外側パッド23をディスクロータ18に押し付ける。
このように、内側パッド22および外側パッド23をディスクロータ18の両側に押し付けることで、車輪に制動力が作用する。
(b)において、ブレーキペダル12への踏力を解除することにより、ブレーキペダル12がリターンスプリング68のばね力で矢印Iの如くブレーキをかける前の状態に復帰する。
ブレーキペダル12のストロークをペダルストロークセンサー13で検知する。
検知した信号を制御部14に伝え、制御部14から電動モータ31に駆動信号を伝える。
電動モータ31の駆動軸31aが逆転して、駆動軸31aの回転が減速機32を介してスラスト変換機構33のスクリューシャフト37に伝わる。
スクリューシャフト37が矢印の如く左回転することで、ナット部材38がスクリューシャフト37の先端から離れる方向に後進移動する。
ナット部材38と一体にブレーキピストン24が移動し、ブレーキピストン24による内側パッド22への押圧力を解除する。
これにより、内側パッド22がディスクロータ18から矢印Jの如く離れるとともに、キャリパボディ21が矢印Kの如く元の位置に復帰して外側パッド23がディスクロータ18から離れる。
このように、内側パッド22および外側パッド23がディスクロータ18の両側から離れることで、車輪に作用していた制動力が解除される。
次に、車両用ブレーキ装置10のブレーキ作動状態を人力で解除する例を図5〜図6に基づいて説明する。
図5(a),(b)は第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置の操作部を操作する例を説明する図である。
(a)において、ブレーキ作動状態のとき、ディスクロータ18から外側パッド23および内側パッド22に、ブレーキ力の反力F1、F2がそれぞれ作用している。
加えて、ピストンシリンダ69内のシール材71が外側に向けて弾性変形している。
このブレーキ作動状態において、操作レバー59を支持軸57を軸にして矢印Dの如く人力で操作することにより、レバー56が支持軸57を軸に矢印Eの如くスイング移動する。
レバー56でインナーケーブル62を引っ張ることにより、スイングレバー51を支持軸47,47を中心に矢印Gの如くスイング移動させる。
(b)において、カム本体46が支持軸47,47を中心に矢印Hの如く回転する。カム本体46の押圧部位46aが収納空間44内に入り込むように移動する。
ここで、ディスクロータ18から外側パッド23に反力F1が作用している。よって、外側パッド23が反力F1で押圧部位46aに追従し、内壁面29に向けて矢印Lの如く移動する。
図6(a),(b)は第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ作動状態を人力で解除する例を説明する図である。
(a)において、スイングレバー51がブレーキ解放位置P2まで移動して、カム本体46の押圧部位46aが収納空間44内に入り込む。
これにより、カム本体46が爪部28の内壁面29から突出しない状態に保持される。
外側パッド23が反力F1(図5(b)参照)で内壁面29まで移動し、ディスクロータ18から離れる。
(b)において、外側パッド23がディスクロータ18から離れることにより、図5(a)に示す反力F2で、キャリパボディ21が矢印Mの如く移動して内側パッド22がディスクロータ18から離れる。
外側パッド23および内側パッド22がディスクロータ18の両側から離れることで、車輪に作用していた制動力が解除される。
以上説明したように、第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置10は、ブレーキ解放手段15のブレーキ解除部41を爪部28と外側パッド23との間に介在させ、ブレーキ解放手段15を人力で操作することで外側パッド23を爪部28側に移動可能に構成した。
よって、ブレーキ作動状態において、ブレーキ解放手段15を人力で操作すると、外側パッド23が、ブレーキ力の反力で爪部28側に移動する。外側パッド23が爪部28側に移動することで、外側パッド23がディスクロータ18から離れる。
このため、キャリパボディ21が内側パッド22側に移動可能になり、内側パッド22が、ブレーキ力の反力でディスクロータ18から離れる方向に移動する。
このように、外側パッド23がディスクロータ18から離れるとともに、内側パッド22がディスクロータ18から離れることで、ブレーキ作動状態を解除することができる。
次に、第2実施の形態を図7〜図11に基づいて説明する。
なお、図7〜図11の第2実施の形態において、第1実施の形態と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
図7は本発明に係る第2実施の形態の車両用ブレーキ装置を示す概略図である。
第2実施の形態の車両用ブレーキ装置80は、第1実施の形態のブレーキ解放手段15をブレーキ解放手段81に代えたもので、その他の構成は第1実施の形態の車両用ブレーキ装置10と同様である。
ブレーキ解放手段81は、ディスクブレーキ11に設けられ、ブレーキ力を解除するブレーキ解除部82と、このブレーキ解除部82を操作する操作部42とを備える。
図8は第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置を示す斜視図である。
図8において、第2実施の形態の理解を容易にするためにカムユニット85を車両用ブレーキ装置80から取り出した状態で示す。
ブレーキ解除部82は、爪部28の中央28aに収納空間84(図9参照)を形成するとともに、爪部28の両端部28b,28bに軸受部(図示せず)を備え、収納空間84にカムユニット85を収納したものである。
カムユニット85は、外側パッド23に臨ませて移動ブロック88を備え、移動ブロック88に第1ガイド部材91を介して昇降ブロック92を備え、昇降ブロック92と収納空間84の壁面84a(図9参照)との間に第2ガイド部材93を備え、昇降ブロック92の上方にカム部材95を備える。
移動ブロック88は、外側パッド23に臨む当接面88aと、第1ガイド部材91に臨む上向き傾斜面88bと、収納空間84の底面84bに接触する底面88cを備える。
昇降ブロック92は、第1ガイド部材91に臨む下向き傾斜面92aと、収納空間84の壁面84a(図9参照)に臨む鉛直面92bと、カム部材95に接触する上面92cを備える。
第1ガイド部材91は、保持プレート91aに一定間隔をおいてローラー(ころ)91b…を回転自在に設けたものである。
第2ガイド部材93は、保持プレート93aに一定間隔をおいてローラー(ころ)93b…を回転自在に設けたものである。
カム部材95は、カム本体96を円柱状に形成し、カム本体96の両端部に支持軸97,97が設けられている。
支持軸97,97は、カム本体96の中心に対して中心がオフセット(偏心)されて設けられている。
支持軸97,97は、それぞれが同軸上に設けられ、両端部28b,28bの軸受部(図示せず)で回動自在に支持されている。
さらに、ブレーキ解除部82は、カム部材95の両支持軸97,97のうち、一方の支持部97を一方の端部28bから突出させ、他方の支持部97を他方の端部28bから突出させ、突出させた一方の支持部97にコイルばね98を取り付け、コイルばね98の外側にスイングレバー101を取り付けたものである。
コイルばね98は、一端部98aを爪部28に係止するとともに、他端部98bをスイングレバー101に係止することで、スイングレバー101を時計回り方向に付勢する。
これにより、スイングレバー101の下端部101aが爪部28のロック片102に当接し、スイングレバー101をブレーキ位置P3(図7も参照)に保持する。
図7に戻って、スイングレバー101の上端部101bが、操作ケーブル55のインナーケーブル62に連結されている。
操作部42によれば、操作レバー59を支持軸57を軸にして矢印Nの如く人力で操作することにより、スイングレバー101を、支持軸97,97を中心にして矢印Oの如くスイング移動させる。
これにより、スイングレバー101をブレーキ位置P3からブレーキ解放位置P4(図11参照)に移動する。
スイングレバー101をブレーキ解放位置P4に移動することで、ブレーキ作動状態を人力で解放する。
図9は第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ解除部を示す断面図である。
移動ブロック88は、当接面88aを外側パッド23と平行に形成し、上向き傾斜面88bを傾斜角θで上向きに傾斜させたものである。移動ブロック88は、ブロック幅が上方に向けて徐々に小さくなるように楔状に形成されている。
移動ブロック88の底面88cを、収納空間84の底面84bに載せることで、移動ブロック88を底面84bに沿って矢印方向に移動可能とする。
昇降ブロック92は、下向き傾斜面92aを傾斜角θで下向きに傾斜させ、鉛直面92bを壁面84aと平行に形成したものである。下向き傾斜面92aは、上向き傾斜面88bと平行な面である。
昇降ブロック92は、ブロック幅が下方に向けて徐々に小さくなるように楔状に形成されている。
下向き傾斜面92aと上向き傾斜面88bとの間に第1ガイド部材91を介在させる。さらに、鉛直面92bと壁面84aとの間に第2ガイド部材93を介在させる。
これにより、昇降ブロック92は、第1、第2のガイド部材91,93で矢印方向に円滑に昇降する。
昇降ブロック92の上方にカム部材95を備える。カム部材95は、カム本体96の中心104に対して支持軸97,97の中心105がL3だけオフセット(偏心)されて設けられている。
カム本体96の押圧部位96aが、支持軸97,97の中心105から離れ、中心105から隆起した部位となる。
ブレーキ解除部82のスイングレバー101をブレーキ位置P3に保持する。この状態において、カム本体96の中心104が支持軸97,97の中心105に対して昇降ブロック92側に位置する。
カム本体96の押圧部位96aが昇降ブロック92の上面92c側に位置し、押圧部位96aで上面92cを押し下げる。これにより、昇降ブロック92が下降する。
昇降ブロック92が下降することで、移動ブロック88が爪部28の内壁面29から外側パッド23に向けて突出した状態に保持される。
このとき、移動ブロック88が内壁面29から突出する量はL4である。以下、L4を突出量と称す。
移動ブロック88を内壁面29から突出量L4だけ突出することで、外側パッド23を内壁面29からL4離した位置に保持する。
次に、第2実施の形態の車両用ブレーキ装置80のブレーキ作動状態を人力で解除する例を図10〜図11に基づいて説明する。
図10(a),(b)は第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置の操作部を操作する例を説明する図である。
(a)において、ブレーキ作動状態のとき、ディスクロータ18から外側パッド23および内側パッド22に、ブレーキ力の反力F3、F4がそれぞれ作用している。
加えて、ピストンシリンダ69内のシール材71が外側に向けて弾性変形している。
このブレーキ作動状態において、操作レバー59を支持軸57を軸にして矢印Nの如く人力で操作することにより、レバー56が支持軸57を軸に矢印Pの如くスイング移動する。
レバー56でインナーケーブル62を引っ張ることにより、スイングレバー101を支持軸97,97を中心に矢印Oの如くスイング移動させる。
(b)において、カム本体96が支持軸97,97を中心に矢印Qの如く回転する。カム本体96の押圧部位96aが、昇降ブロック92の上面92cから離れるように上方に移動する。
ここで、ディスクロータ18から外側パッド23に反力F3が作用している。よって、反力F3で移動ブロック88を矢印Sの如く移動させ、移動ブロック88に追従して外側パッド23が内壁面29に向けて移動する。
移動ブロック88が矢印Sの如く移動することで、昇降ブロック92を矢印Tの如く移動する。
図11は第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ作動状態を人力で解除する例を説明する図である。
スイングレバー101がブレーキ解放位置P4まで移動して、カム本体96の押圧部位96aが昇降ブロック92の上面92cから離れる。
この状態で、移動ブロック88が爪部28の内壁面29から突出しない状態、すなわち移動ブロック88の当接面88aが内壁面29と面一の状態に保持される。
外側パッド23が反力F3で内壁面29まで移動し、ディスクロータ18から離れる。
外側パッド23がディスクロータ18から離れることにより、図10(a)に示す反力F4で、キャリパボディ21が矢印Uの如く移動して内側パッド22がディスクロータ18から離れる。
外側パッド23および内側パッド22がディスクロータ18の両側から離れることで、車輪に作用していた制動力が解除される。
次に、図12に基づいてブレーキ力の反力がカム本体96に及ぼす力について説明する。
図12は第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のカム本体に作用する力について説明する図である。
ブレーキ作動状態において、ディスクロータ18から外側パッド23に、ブレーキ力の反力F3が作用する。この反力F3が移動ブロック88を介して昇降ブロック92に伝わる。
ここで、移動ブロック88の上向き傾斜面88bを傾斜角θで上向きに傾斜させ、移動ブロック88を楔状に形成した。昇降ブロック92の下向き傾斜面92aを角度θで下向きに傾斜させ、昇降ブロック92を楔状に形成した。
上向き傾斜面88bと下向き傾斜面92aとを第1ガイド部材91を介して当接させた。
よって、反力F3のうち、分力F5のみがカム本体96(すなわち、押圧部位96a)に作用する。
これにより、カム本体96の押圧部位96aに作用する力F5が反力F3より小さくなり、カム本体96の押圧部位96aにかかる負担の軽減が図られる。
以上説明したように、第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置80は、ブレーキ解放手段81のブレーキ解除部82を爪部28と外側パッド23との間に介在させた。
そして、操作部42を人力で操作することで、移動ブロック88の当接面88aを、爪部28の内壁面29から外側パッド23に向けて突出させたブレーキ作動状態と、移動ブロック88の当接面88aを、内壁面29と面一に配置させたブレーキ解放状態とに切り替え可能とした。
よって、ブレーキ作動状態において、ブレーキ解放手段81を人力で操作すると、外側パッド23が、ブレーキ力の反力で爪部28側に移動する。外側パッド23が爪部28側に移動することで、外側パッド23がディスクロータ18から離れる。
このため、キャリパボディ21が内側パッド22側に移動可能になり、内側パッド22が、ブレーキ力の反力でディスクロータ18から離れる方向に移動する。
このように、外側パッド23がディスクロータ18から離れるとともに、内側パッド22がディスクロータ18から離れることで、ブレーキ作動状態を解除することができる。
すなわち、第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置80によれば、第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置10と同様の効果を得ることができる。
なお、前記第1、第2実施の形態では、操作レバー59を車室内に配置したが、その他にエンジンルームやトランクルーム(荷室)に配置してもよい。
特に、本発明の電動モータ31を用いたブレーキ装置を、パーキングブレーキ専用として後輪用ブレーキに適用する場合には(この場合は、サービスブレーキは従来型の液圧式ブレーキを前後輪に用いる)、操作レバー59をトランクルーム(荷室)に配置するとよい。
それにより、前記のレイアウト性、デザイン性の向上、誤解除防止に加え、ケーブルの全長を短縮することができる。
また、前記第1、第2実施の形態では、スイングレバー51,101をコイルばね49,98のばね力でブレーキ位置P1,P3に保持する例を説明したが、これに限らないで、その他の部材や構成でスイングレバー51,101をブレーキ位置P1,P3に保持することも可能である。
さらに、前記第1、第2実施の形態では、操作レバー59を人力で上方に操作してブレーキ作動状態を解放する例について説明したが、これに限らないで、例えば、操作レバー59を人力で下方に操作してブレーキ作動状態を解放するように構成することも可能である。
また、前記第2実施の形態では、移動ブロック88と、外側パッド23の裏金23aとを別部材で構成した例について説明したが、これに限らないで、移動ブロック88と、外側パッド23の裏金23aとを一体にすることも可能である。
さらに、前記第1、第2実施の形態では、電気的作動機構25として電動モータ31で駆動する機構を例示したが、これに限らないで、その他の電気的作動機構としては、例えば、駆動源に油圧を用い、この油圧を電磁バルブ類で制御するものを含む。電磁バルブ類は電気的に制御されるものである。
本発明は、電気的作動機構でブレーキピストンを作動させ、内外側のパッドでディスクロータを押圧する車両用ブレーキ装置への適用に好適である。
本発明に係る第1実施の形態の車両用ブレーキ装置を示す概略図である。 第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置を示す斜視図である。 第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ解除部を示す断面図である。 第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置をブレーキペダルで操作する例を説明する図である。 第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置の操作部を操作する例を説明する図である。 第1実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ作動状態を人力で解除する例を説明する図である。 本発明に係る第2実施の形態の車両用ブレーキ装置を示す概略図である。 第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置を示す斜視図である。 第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ解除部を示す断面図である。 第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置の操作部を操作する例を説明する図である。 第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のブレーキ作動状態を人力で解除する例を説明する図である。 第2実施の形態に係る車両用ブレーキ装置のカム本体に作用する力について説明する図である。
符号の説明
10,80…車両用ブレーキ装置、15,81…ブレーキ解放手段、18…ディスクロータ、18a…アウター面、18b…インナー面、21…キャリパボディ、22…内側パッド、23…外側パッド、24…ブレーキピストン、25…電気的作動機構、28…爪部。

Claims (1)

  1. ディスクロータのアウター面に外側パッドを臨ませるとともに、ディスクロータのインナー面に内側パッドを臨ませ、この内側パッドをインナー面に向けて押圧するブレーキピストンをキャリパボディ内に収容し、このキャリパボディが前記ディスクロータを跨いで前記外側パッド側に延び、この外側パッド側に延びた部位に、前記外側パッドを前記アウター面に押圧する爪部を設け、前記ブレーキピストンを電気的な制御で作動させる電気的作動機構を備えた車両用ブレーキ装置において、
    前記爪部と前記外側パッドとの間に、外側パッドを爪部側に人力操作で移動可能とするブレーキ解放手段を介在させたことを特徴とする車両用ブレーキ装置。
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