JP2006272545A - 圧入接合構造及び圧入接合方法 - Google Patents

圧入接合構造及び圧入接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属製要素部品を構成する部材同士の接合に関し、製造容易で経済効果に優れ、かつ仕上精度が良く強度的にも優れた圧入接合構造及び圧入接合方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 圧入部分の断面が同一の内壁面部が形成された孔部13を有する第一の部材2と、上記孔部13と相似形状で、かつ一定の断面を有する第二の部材4とを用い、上記第一の部材2の孔部13に対する第二の部材4の圧入代を0.1mm以上とし、上記第一の部材2の孔部13内に上記第二の部材4を所定の圧力で押圧するとともに、これら両部材間に通電して両者の接合部に電気抵抗熱を発生させ、上記第二の部材4を上記孔部13に圧入し、上記第二の部材4と上記孔部13の内壁面部との接合面部に接合界面を形成させ、かつこの接合を固相状態の接合とした構造とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属製要素部品を構成する部材同士の圧入接合構造及び圧入接合方法に関する。
従来、自動車等に使用される金属製要素部品を製造する場合、通常、アーク溶接等により部材同士を接合している。これは、例えばプレートに軸体(又は筒体)を接合する場合には、プレートに設けた孔に軸体を嵌め込み、アーク溶接等により溶加材を用いて軸体との嵌め合せ部位の全周又は局部的に溶接を行うものである。また、抵抗溶接法として、スポット溶接法、プロジェクション溶接法による接合、或いはかしめ加工により部材同士を接合する方法も行われている。
また、パイプ接続孔に挿入するパイプ部の挿入側元部にビードを形成し、あるいは上記パイプ接続孔の入口側周縁にリップを形成して、抵抗溶接するものもある(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−40058号公報 特開2001−353628号公報
しかし、上記接合方法によれば、アーク溶接の溶接熱による熱変形等により、プレート、軸体等の母材の熱的劣化や、寸法歪みが発生して精度への影響が避けられない。この場合には、溶接後に後加工を加えて製品の精度を高め、また溶接部分の不要な溶加材を削除するなど、溶接後の仕上げ加工に多くの手間と費用を要するといった問題がある。
また、上記抵抗溶接法は重ね抵抗溶接法が主力であり、いずれも接合部にナゲットと呼ばれる溶融組織を形成することで接合している。この重ね抵抗溶接では、溶接を強くするためにはナゲットの数を増やすしかなく、結果として接合母材の熱的劣化や、寸法精度への影響が避けられない。また、上記ビード、或いはリップの形成には製造工程が複雑化し、また後加工等を要することから、費用がかかるという問題がある。
これに対して、本件出願人は先に非全周の圧入接合構造を提案した(特許文献2参照)。しかし、非全周の圧入接合構造の場合には、接合部の気密性の点で例えば流体を通過させるパイプ同士の接合には不向きであるという問題がある。
ここで、全周の圧入接合構造では下記の問題が考えられている。
(1) 圧入時のしごきによって削り取られるバリの量が多いため、全周接合を想定したとき、バリが邪魔になって所定の圧入深さの圧入接合を行うことが難しい。
(2) 初期通電時の接触面積が増えるため、所要電流が多く必要となり、接合構造の大きさが制限される。これから、先の非全周の圧入接合構造のままの条件で全周接合を行うのは適当でなく、新たな条件が必要となることが予想される。そこで、本件出願人は、上記問題点を解決するため試験行い全周の圧入接合構造の実用化を図った。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、製造容易で経済効果に優れ、かつ仕上精度が良く強度的にも優れた圧入接合構造及び圧入接合方法を提供することを目的としている。
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る圧入接合構造は、図1に示すように、圧入部分の断面が同一の内壁面部が形成された孔部13,21を有する第一の部材2,20と、上記孔部13,21と相似形状で、かつ一定の断面を有する第二の部材4,22とを用い、上記第一の部材2,20の孔部13,21に対する第二の部材4,22の圧入代を0.1mm以上とし、上記第一の部材2,20の孔部13,21内に上記第二の部材4,22を所定の圧力で押圧するとともに、これら両部材間に通電して両者の接合部に電気抵抗熱を発生させ、上記第二の部材4,22を上記孔部13,21に圧入し、上記第二の部材4,22と上記孔部13,21の内壁面部との接合面部に接合界面を形成させ、かつこの接合を固相状態の接合としたことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記圧入接合の後、再度上記第一の部材と上記第二の部材との間に通電し、両者の接合部に電気抵抗熱を発生させて焼き戻しを行うことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記圧入代の上限を0.4mmとし、上記圧入代と、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さを(1−2×圧入代)mm以上として両部材を接合したことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記圧入代の上限を0.4mmとし、上記圧入代と、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さを1.0mm以上として両部材を接合したことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さの上限を(9−20×圧入代)mmとして両部材を接合したことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記第一の部材を、内部に貫通した円形の孔部を有する筒体に形成したことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記第一の部材及び上記第二の部材をそれぞれ円形の筒体に形成し、この第一の部材における上記第二の部材との接合部の内周を一様に拡径して第一の接合部を形成する一方、上記第二の部材の接合部の外周を一様に縮径して第二の接合部を形成し、上記第一の接合部内に上記第二の接合部を接合したことである。
また、本発明に係る圧入接合構造は、上記第一の部材を、板面から垂直方向に内壁面部が形成された円形の孔部を有する板体に形成したことである。また、上記第一の部材と第二の部材との接合部の断面積を20平方cm以下としたことである。
本発明に係る圧入接合方法は、圧入部分の断面が同一の内壁面部が形成された孔部13,21を有する第一の部材2,20と、上記孔部13,21と相似形状で、かつ一定の断面を有する第二の部材4,22とを用い、上記第一の部材の孔部13,21に対する第二の部材4,22の圧入代を0.1mm以上とし、上記第一の部材2,20の孔部13,21内に上記第二の部材4,22を所定の圧力で押圧するとともに、これら両部材間に通電して両者の接合部に電気抵抗熱を発生させ、上記両部材の軟化によって第二の部材4,22を上記孔部13,21に圧入し、上記第二の部材4,22と上記孔部13,21の内壁面部との接合面部に接合界面を形成させ、かつこの接合を固相状態の接合としたことである。
また、本発明に係る圧入接合方法は、上記圧入代の上限を0.4mmとし、上記圧入代と、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さとの関係を、(1≦圧入深さ(mm)≦9−20×圧入代)の範囲で、両部材を接合したことである。
また、本発明に係る圧入接合方法は、上記圧入接合の後、再度上記第一の部材と上記第二の部材との間に通電し、両者の接合部に電気抵抗熱を発生させて焼き戻しを行うことである。
本発明に係る圧入接合構造は、第一の部材の孔部に対する第二の部材の圧入代を0.1mm以上とし、第一の部材の孔部内に第二の部材を押圧し通電して電気抵抗熱を発生させ、接合界面の接合を固相状態の接合とした構成としたから、簡単な工程で迅速に接合が行えて経済性に優れ、また接合界面が清浄化されて接合が良好に行われて強度的にも優れ、加えて接合を固相状態の溶接としたことから、接合部の熱的劣化がなく仕上り精度が良いという効果がある。
また、本発明に係る圧入接合構造によれば、圧入代の上限を0.4mmとし、圧入深さの下限を、(1−2×圧入代)mm、又は1.0mm以上の範囲内で、両部材を接合したから、上記効果に加え、安定した強度が得られるとともに、仕上り精度が良く後加工の必要がないという効果がある。
また、本発明に係る圧入接合構造は、さらに圧入深さの上限を、(9−20×圧入代)mmの範囲内で、両部材を接合したから、特に仕上り精度が良く、このため後加工の必要がないので経済的であるという効果がある。
また、本発明に係る圧入接合構造は、第一の部材を、内部に貫通した円形の孔部を有する筒体に形成したから、さらに、パイプ同士の接合が容易かつ迅速に行えかつ仕上がり精度が良く強度的にも優れるという効果がある。
本発明に係る圧入接合方法は、第一の部材の孔部に対する第二の部材の圧入代を0.1mm以上とし、第一の部材の孔部内に第二の部材を押圧し、通電して電気抵抗熱を発生させ、接合面部に接合界面を形成させ、かつこの接合を固相状態の接合としたから、簡単な工程で製造が容易に行え、また接合界面が清浄化されて接合が良好に行われ強度的にも優れ、加えて仕上り精度が良いという効果がある。
また本発明に係る圧入接合方法は、圧入接合の後、再度第一の部材と第二の部材との間に通電して焼き戻しを行うこととしたから、上記効果に加えて、接合部の靭性が確保でき、優れた品質の接合が行えるという効果がある。
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態に係る圧入接合構造及び圧入接合方法では、ワークとして、筒体同士の接合、及びプレートと筒体との接合について説明する。
図1はワークAとして、冶具を用いて第一の筒体2に第二の筒体4を接合する形態を示している。この冶具は、上部に円柱状の穴部7が設けられたクローム銅製の下型6と、下部に円柱状の穴部9が設けられたクローム銅製の上型8とを有する。これら下型6と上型8とは、それぞれ電極10,12としても機能し両型間に通電可能である。
上記下型6には、第一の筒体2が上部の接合部14を残した状態で上記穴部7内に嵌入され、第一の筒体2の側壁面部2aと穴部7の側壁部7aとは通電のため密着している。このように第一の筒体2の側壁面部2aに電極10を設ける構成としたのは、第一の筒体2の下面部に電極を設けたのでは、第一の筒体2自体の抵抗が通電に影響するので、これを軽減して通電を良好にするためである。勿論、第一の筒体2に電極を設ける形態は、上記以外の方法、例えば第一の筒体2の筒内に電極を突入する等の方法であってもよく、要は第一の筒体2の接合部14の近傍に電極を設けることである。そして、上型8には図示しないプレス機構が装備され、上型8を加圧降下する。
上記第一の筒体2は図2(a)に示すように、筒の内径φ1(直径)が19mm、外径φ2が22mm、筒厚tが1.5mmの円筒形状である。その接合部14は、第一の筒体2の端部から一定範囲の内周面が外向に一様に切り欠かれて拡径し、内径がφ3の円周面からなる孔部13を形成している。
第二の筒体4は図2(b)に示すように、筒の内径φ4が19mm、外径φ5が22mm、及び筒厚tが1.5mmの円筒形状である。その接合部16は、第二の筒体4の外周面が端部から一定範囲にかけて内向(中心向)に一様に切り欠かれて縮径し、外径がφ6の円周面を形成している。そして、図2(c)に示すように、上記第一の筒体2の接合部14に上記第二の筒体4の接合部16を接合する。
このとき図1(b)に示すように、第二の筒体4の外径φ6は第一の筒体2の内径φ3より僅かに大きく、その差(φ6−φ3)が圧入代(d)となる(半径に対してはd/2の圧入代)。この圧入代(d)により、第二の筒体4の外周部位が、第一の筒体2の内周部位と接して接合面部を形成する。
これら両筒体の接合部14,16に圧入代(d)を設ける場合、それぞれ接合部14,16の筒厚を等しくしてバランスをとる。このため、接合部14の内径φ3の大きさを、20.5mm−圧入代(d)/2に、また接合部16の外径φ6を、20.5mm+圧入代(d)/2とする。
圧入深さについては、通常、図1(b)に示すように両筒体2,4の接合部14,16として、段差を形成する部位の全体が圧入深さ(h)となる。試験では、バリ15等の観測を行う都合上、図1(c)に示すように、接合部14,16の一部を残した状態で、圧入深さ(h)とした。
ここで、社内試験により、上記ワークAとして上記第一の筒体2と上記第二の筒体4とを圧入接合し、接合状態を観察した結果について説明する。この第一の筒体2及び第二の筒体4の材料として、ともにクロムモリブデン鋼(SCM420)を用いた。他の材料として、SUS(ステンレス鋼)を第一の筒体2及び第二の筒体4に用いることができ、SUSと炭素鋼とを組み合わせて用いることもできる。
さらに他の材料として、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、耐熱鋼、工具鋼、バネ鋼、鋳鉄、快削鋼、軸受鋼、一般加工用鋼材、圧力容器用鋼材、チタン、アルミニウムなどの軽金属等が適用可能である。また、この圧入接合においては、低炭素鋼同士、低炭素鋼と高炭素鋼及び高炭素鋼同士のいずれの組み合わせも可能である。要は、接合部における電気抵抗熱を利用した圧入加工であるから、金属であれば特に制限はされない。特に、同一の材料同士、また融点及び硬度が同程度の材料同士を接合することが、接合界面の組織が均一に形成され、良好な接合が行われる。
実施条件として、印加電流は22kAとした。加圧力は0.4MPa(但し、400kgfから450kgfの範囲)とした。この加圧力は、母材の応力(ここでは第二の筒体4が第一の筒体2に突入することを妨げる抵抗力)よりも低い圧力としている。したがって、この加圧力が、母材の軟化により低下した応力を上回った時点から、圧入が開始されることになる。
さて、接合に際しては図1に示すように、上記下型6の穴部7に上記第一の筒体2を嵌入する一方、第二の筒体4を上型8の穴部9に嵌入する。そして、上型8を一定の加圧力を付勢して押圧し、併せて第一の筒体2と第二の筒体4間に通電する。すると、電気抵抗熱の発生とともに第二の筒体4の圧入が開始され、第二の筒体4の接合部16が第一の筒体2の孔部13の接合部14内を降下移動する。この場合に、両部材の接合界面にしごきの作用が生じ、しごき加工による製造工程により圧入接合が行われる。
このとき、一定の加圧力、一定の降下速度で圧入接合が行われ、瞬時に接合部が発熱され短時間で第二の筒体4の先端部17は第一の筒体2の段差部18に至り接合を完了する。このとき、第一の筒体2の接合部16と第二の筒体4の接合部14との間には固相溶接の接合界面19が形成される。固相溶接においては、その接合面に清浄な表面組織が得られていることが、接合の良否を左右する。この実施の形態に係る圧入接合によれば、上記接合界面19には第二の筒体4と第一の筒体2との各壁面同士の間が滑り方向の移動によりしごかれ、これにより表面の不純物質層が削られて表面が清浄化され、この清浄な組織に固相溶接が行われる。
図3は、上記接合の過程を、抵抗熱による接合部の温度推移に対する加圧力及び、母材接合部の応力の変化で捉えたものである。ここで、縦軸には、接合部の温度と、接合部の母材応力、横軸には接合プロセスの時間軸をとっている。まず、時間軸に沿って説明すると、スタート時点では、接合部の温度は常温のままであり、母材(第一の筒体2及び第二の筒体4)の硬さも素材の硬さそのままである為、加圧力に対し充分な応力を保っている。したがって、この時点では、加圧されているものの第二の筒体4は第一の筒体2の上部に位置したままである。
時間の経過とともに通電による抵抗熱により接合面部が昇温し、それに伴って接合面部の軟化が始まる。接合面部の軟化によって応力が低下し、加圧力を克服する点が同図の圧入スタートの時点であり、第二の筒体4が第一の筒体2の接合部14をしごきながら降下移動する。このスタート時点で接合面部の温度は最高点に達していると考えられる。
その後、圧入が進むにつれて、接合面部の接合面積が増加し、反対に断面積差が減少するので電流密度が下がり、結果的に抵抗熱の発生が減少し、接合面部の温度は低下する。このように、母材としての第二の筒体4が第一の筒体2内を移動して接合過程を終了する。以上の、加圧及び通電の開始、圧入スタート、圧入の完了までの全プロセスが、1秒に満たない短時間の間に行われる。そして、圧入の完了後、冷却により接合部の母材の硬さが回復して強固に接合する。
ここで、焼き戻しを行わない場合には、加圧→通電→圧入→放冷(急冷)の経過をたどる。このように圧入後は、そのまま放冷すれば銅製の電極により急速に冷却が行われる。このため、焼き入れ性の良い材料の圧入接合を行った場合、接合部には焼きが入り材質が脆くなる。この焼きが入る理由として、上記圧入接合では局部的にかつ急激に熱が加わるため、接合部と非接合部との温度勾配は大きくなり、鋼の変態点(A3)以上に加熱された接合部は加熱が途絶されると共に急冷され、マルテンサイト組織に変化するためである。このマルテンサイト組織は、材料の炭素当量と接合材料の大きさに比例して増加する。
この実施の形態では、加熱後の急速冷却により接合が行われた直後に、再度、第一の筒体2と第二の筒体4との間にテンパー(熱処理)通電を行って加熱する。この再加熱によって焼き戻し処理が行われ、接合部の靭性が回復する。図4は、上記圧入接合工程に、焼き戻しの工程を加えたときの温度の変化をグラフで示したものである。同図に示すように全体は順に、工程(1) 加圧、通電(圧入)、工程(2) 放冷(急冷)、工程(3) 通電(焼戻し)、工程(4) 放冷(徐冷)の4つの工程からなる。
上記焼き戻しとなる理由は、最初の加熱接合時の熱の伝熱により、周辺部材が加熱され、部材の温度が高くなる。このため、少し時間をおいて上記テンパー通電を行うことにより、周辺部材の温度が高められ、2回目の通電によって加熱された接合部は冷却速度が遅くなる。このとき、焼入れ組織であるマルテンサイトは焼き戻しマルテンサイトに変化し、靭性が回復して焼き戻しが行えるのである。これらの工程は短時間で行われるため、最初に部材をセットした治具で行うことが望ましい。上記焼き戻しは、特にワークとしてS30C以上の炭素含有量の鋼材、または炭素当量0.3%以上の材料を用いた場合に有効である。
図5及び図6は、上記第一の筒体2に第二の筒体4を圧入接合したときの、接合界面における接合部の金属顕微鏡撮影写真である。このときの、圧入代(d)は0.2mmである。ワークを観察した結果、接合部の周囲の熱影響範囲(硬度変化範囲)が比較的狭く、接合部の周囲の熱影響部では、結晶粒が成長せず、不規則で粒状の組織が観察される。そして、接合界面には異常な炭化物や酸化物が見られなく良好な接合状態にあり、これから機械的強度が確保される。
上記観察結果より、圧入の直後は接合面部が狭いことから電流が集中して組織の表層部が軟化或いは限られた薄層だけが溶融するものの、接合状態は、圧入による塑性変形(熱塑性)を伴った固相溶接に至ったものといえる。したがって上記実施の形態に係る圧入接合は、従来の重ね溶接とは異なり、接合部に溶融凝固層が殆ど存在しないことから、固相溶接あるいは固相溶接に近い接合方法である。
特に、上記圧入接合で重要な点は、圧入の工程において、圧入というプロセスの効果として、接合界面には滑り方向の動きが生まれ、これにより表面の不純物質層が削り取られ、かつ除去されるという作用が得られることにある。この作用により、固相溶接に必須の清浄な接合表面が形成されて、両者の接合が強固に行われるものであり、この接合方法における特徴的な作用効果といえる。
ここで、上記ワークAについて行った、社内における第一の試験について説明をする。この試験では、上記ワークAにつき上記圧入代(d)が0.1mm〜0.4mmの範囲で、また圧入深さ(h)を0.5mm〜10.0mmの範囲で圧入接合を行なった。下記表1は、そのときの接合部の引き抜き強度、及び接合端部に発生するバリ15の量、圧入深さについての試験結果をまとめたものである。
Figure 2006272545
この試験では、第一の筒体2と第二の筒体4との圧入代(d=φ6−φ3)が0.1mm以下については行わなかったが、これは圧入代の削り量が少なく接合が不安定であることが予測されたこと、及び抵抗溶接の際に初期加圧力で圧入されてしまうために試験が困難であり正確なデータを得ることができないことから試験の対象から除外した。また、圧入代(d)が0.5mm以上の場合には、圧入深さと圧入代による削り量が多すぎるため、仕上りが雑となり接合面の歪みが大きくなって仕上りにむらができ好ましくないので試験対象から除外した。
また同表に示す抜け強度は、試験サンプルの第一の筒体2を固定し、圧入方向と反対方向から、第二の筒体4の端面にオートグラフで静荷重を加え、第二の筒体4が第一の筒体2から剥離して抜ける荷重(接合部の破壊荷重)を測定した結果である。強度の試験機として、引張り試験機オートグラフ(島津製作所製)を用いた。
「抜け強度」の単位は(kN)であり、「母材」と記入されているのは母材自体が破断したものである。この母材の破断は、母材の接合部と非接合部との境界である熱影響部において発生しており、接合部で破断することは見られなかった。
図7(a)は、第一の筒体2に第二の筒体4を圧入接合したときのバリ15(第一の筒体2の先端部のバリ)、及びバリ15'(第二の筒体4の先端部のバリ)の形状を示したものである。この第一の筒体2と第二の筒体4の接合のように、接合部が対称的(各断面形状が略同一)な形態の場合には、材料の高温変形抵抗の違いによって、バリの発生状態が異なる。第一の筒体2の高温変形抵抗が第二の筒体4より大の場合には、バリ15がバリ15'に比べて大きく形成され、小の場合はバリ15が小さく、また等しい場合にはバリ15、15'は同じ大きさに形成される。図7(b)は、後述するプレート20に筒体22を圧入接合したときのバリ37の形状を示したものである。
バリ15の量は目視で判定したものである。この目視の判定では図7に示すように、概ね、圧入深さ(h)に対する同方向のバリのはみ出し量(v)を基準とし、この割合が約2割以内であればはみ出し量が少ないと、また2割以上であればはみ出し量が多いと判断した。なお、試験の際には、各接合部材については接触する部位の端部に面取りを施して圧入接合を行ったが、測定の都合上、この面取り部分を加えた深さを圧入深さとした。
表1および下記表2において、「バリ」の判定結果については、「〇」はバリのはみ出しがほとんど無い状態、「△」はバリのはみ出し量が少ない状態、「×」はバリのはみ出し量が多い状態、をそれぞれ示している。また、「圧入深さ」については、その深さまで圧入できたか否かを示し、(〇)は圧入できたこと、(×)はその深さまで圧入できなかったことを示している。
図8は、上記試験結果に基づいて、良好な接合が得られる範囲をグラフで示したものである。ここで、接合が良好といえる目安として、(1)接合強度が10kN以上であること、(2)圧入接合によって生じるバリの量が少ないこと、(3)圧入接合により圧入物が挫屈、縮小などの永久変形をしないこと、を考慮した。
試験結果によれば、同図に示すように、圧入代、或いは圧入深さが大きくなるにつれて接合強度が増加する。接合強度の適否の目安は、製品の用途によっても異なるが、通常数kNであることから、「10kN程度以上」を、好適な強度としての目安とした。
先ず、圧入代が0.1mmに満たない場合は、圧入代の削り量が少なく接合が不安定であるため排除した。したがって、圧入代の範囲は下記式(3)となる。
0.1≦圧入代(mm) 式(3)
圧入代が多いとバリによって接合部の外観が悪くなるので圧入代は少ないほうが良いが、この圧入代を少なくすると接合力が低下する。接合の際、接合界面の清浄度は、圧入時にこの接合部に加えられるしごきがある限り、酸化皮膜除去機能が発揮され接合力は確保される。このしごきが適切に行われる圧入代が、上記式(3)の範囲である。
次に、良好な強度(10kN程度以上)及び品質(バリ)が得られるための、各圧入代における圧入深さの範囲(下限及び上限)について検討する。上記範囲の下限については、品質(バリ)は良好であり問題とならないので、この場合には接合強度により制限される。表1から、圧入代0.1mmでは圧入深さが1.0mm、圧入代0.2mmでは圧入深さが1.0mm、圧入代0.3mmでは圧入深さが0.5mm、圧入代0.4mmでは圧入深さが0.5mmであり、これらを(△)でプロットした。
これらの、△を特に、圧入代0.1mm及び圧入代0.3mmに注目して直線で結び、これを圧入深さの下限とすると、
1−2×圧入代≦圧入深さ(mm) 式(4)
なる簡単な式が導かれる。これから、圧入深さの下限はこの式(4)の範囲が良好である。圧入深さが式(4)の範囲より小さいと、圧入の際の削り量が少ないため接合強度が出ない。
全ての範囲の圧入代(0.1〜0.4mm)で良好な強度が得られるのは、圧入深さが1.0mm以上であり、この範囲であればより安定しかつ良好な圧入強度が確保できる。
次に、上記範囲の上限については、接合強度は良好(10kN)であり問題とならないので、この場合は、品質(バリ)により制限される。圧入深さの良否については、圧入深さが否(×)の場合であっても、強度は十分得られることから、範囲の判断には圧入深さを考慮しないこととした。品質が良好であることの目安は、製品の仕上げ加工を必要としない範囲として、はみ出し量少(△)までの範囲を良好とした。
この結果、良好な品質が得られるための、各圧入代における圧入深さの上限については、圧入代0.1mmでは圧入深さが10.0mm、圧入代0.2mmでは圧入深さが5.0mm、圧入代0.3mmでは圧入深さが3.0mm、圧入代0.4mmでは圧入深さが3.0mmであり、これらをプロット(〇)した。
これらの、プロットを特に圧入代0.2mm及び圧入代0.3mmに注目して直線で結び、これを圧入深さの上限とすると、
圧入深さ(mm)≦9−20×圧入代 式(2)
なる簡単な式が導かれる。これから、圧入深さの上限はこの式(2)の範囲が良好である。
この圧入接合では、圧入によって両部材の接合界面においてしごき加工が行われ、このしごきによって削り取られた部分がバリとなって接合部にたまる。このバリは、製品の外観を損なうため、接合強度に影響のない範囲でできるだけ少ないことが望ましい。圧入深さが式(2)の範囲外では、圧入深さと圧入代による削り量が多すぎて仕上りが悪くなる。
したがって、この圧入接合が良好に行えるための、圧入代に対する圧入深さの好適な範囲として、上記範囲(2)、範囲(3)及び範囲(4)で区画された三角形状の範囲(1)が導ける。この範囲(1)内における圧入代と圧入深さの関係を維持した圧入接合であれば、圧入強度についても、またバリ量についてもともに良好な圧入接合が行える。
さらに、圧入代が0.3mm以上になると、表1には具体的に表れてないが、0.4mmではバリの量も比較的多くなり、これからすれば圧入代が0.3mm以下がより好適である。また、圧入深さが3.0mm以上になると、接合強度は略、母材のレベルとなるので、強度の点からすればこれ以上の圧入深さは必要なく、かえってバリの量を増加させることになることから、圧入深さは3.0mm以下がより好適である。
上記第二の筒体4は、棒状(中実)であっても、圧入接合における技術的な差異はなく同様な効果が期待できる。ここでのワークの接合部は、製造容易或いは実用上の点で断面を円形としているが、これは他の形状、例えば楕円形、三角、四角等の多角形であっても、技術的には同様であって適用は可能であり、同程度の圧入代を設けた場合には同様の効果が期待できる。
また、ワークの接合部の断面の大きさは、理論的には制限はないが、特に全周接合の場合は電気抵抗が小さくて大容量の電流が必要となり、またアーク溶接等他の溶接との兼ね合いから、実質的には、接合部の断面積が20平方cm以下(これは断面が円形の場合の直径50mm以下に略相当)が好適である。ワークの接合部の大きさがこれ以上になると、電流供給設備の能力の問題(一般溶接機の最大容量は45kA程度)、電極自体の抵抗の影響等の実用上の問題が生じる。
図9は、ワークBとして円形の孔部21が設けられた円形状のプレート20と円形の筒体22とを接合する形態を示す。この場合も、冶具を用いてプレート20に筒体22を接合する。この冶具は、クローム銅製の下型24と、下部に円柱状の穴部26が設けられたクローム銅製の上型28とを有し、これら下型24と上型28とは、それぞれ電極30,32としても機能する。
上記上型28には、筒体22が下部の接合部34を残した状態で上記穴部26内に嵌入され、筒体22の側壁面部22aと穴部26の側壁面部26aとは通電のため密着している。このように電極32を設ける構成とした理由については、上述した通りである。そして、上型28には図示しないプレス機構が装備され、上型28を加圧降下する。
図10に示すように、上記プレート20は所定の厚さ(p)を有し、このプレート20に設けられた孔部21は、断面の直径φ10の円形であり、プレート20の板面から垂直方向に孔部21の内壁面部としての接合部36が形成されている。
接合に際しては図9に示すように、上記下型24の上面部35に上記プレート20を載置する一方、上記筒体22を上型28の穴部26に嵌入する。そして、上型28を一定の加圧力を付勢して押圧し、併せて電極30,32を介してプレート20と筒体22間に通電する。すると、電気抵抗熱の発生とともに筒体22の圧入が開始され、筒体22の接合部34がプレート20の孔部21の接合部36内を降下移動する。この場合、圧入代(d2)により両部材の接合界面にしごきの作用が生じ、圧入接合が行われる。圧入は、図9(c)に示すように、プレート20の板厚の範囲の圧入深さ(h2)まで行われる。
同図に示すように、上記筒体22の接合部34の外径(直径)φ11は、プレート20の孔部21の直径φ10より僅かに大きく、圧入代(d2)はこれらの差(d2=φ11−φ10)となる(半径に対してはd2/2の圧入代)。この圧入代(d2)により、筒体22の接合部34の外周部位が、プレート20の孔部21の接合部36と接して接合面部を形成する。具体的には上記筒体22は、外径φ11が17.0+圧入代(d2)mmの円形形状であり、内径φ12は14mmで、肉厚(t2)が略1.5mmの円筒形である。
次に、社内における第二の試験について説明する。この試験では、上記ワークBとして孔部21が設けられたプレート20に筒体22を圧入接合する。ここでは、上記圧入代(d2)を0.1mm〜0.4mmの範囲で、また圧入深さ(h2)を1.0mm〜7.0mmの範囲で圧入接合を行なった。上記第一の試験では、圧入深さが0.5について試験を行ったが、第二の試験では、プレート20の板厚を0.5mmとして圧入深さ(0.5mm)を得ることが試験的に困難であり、試験の対象から外した。また、材料の都合で圧入深さが3.2mmについて(3.0mmに代えて)試験を行った。
下記表2は、そのときの接合部の引き抜き強度、及び接合端部に発生するバリ37の量、圧入深さについての試験結果をまとめたものである。材料については、プレート20は浸炭処理材、筒体22はS20C(炭素鋼)を用いた。また、上記第一の試験と同様に、再通電による焼き戻しを行った。
Figure 2006272545
この試験で、圧入代(d2)が0.1mm以下、0.5mm以上について行わなかったのは上記第一の試験の場合と同様な理由による。その他の条件及び試験内容は、第一の試験の場合と同様である。
この表2についても、上記表1と略同様な結果が見られ、接合強度、バリの量、圧入深さ等につき上記表1から検討した事項については、この表2においても略当てはまり、これからすれば接合の形態、及び部材が異なっても同様な圧入接合の作用効果が期待できる。
図10は、上記試験結果に基づいて、良好な接合が得られる範囲をグラフで示したものである。ここで、接合が良好といえる目安として上記第一の試験と同様、(1)接合強度が10kN以上であること、(2)圧入接合によって生じるバリ37の量が少ないこと、(3)圧入接合により圧入物が挫屈、縮小などの永久変形をしないこと、を考慮した。
先ず、圧入代については、上述したように0.1mmに満たない場合は、圧入代の削り量が少なく接合が不安定であるため排除した。したがって、圧入代の範囲は下記式(3)'となる。
0.1≦圧入代(mm) 式(3)'
次に、良好な強度(10kN程度以上)及び品質(バリ)が得られるための、各圧入代における圧入深さの範囲(下限及び上限)について検討する。上記範囲の下限については、品質(バリ)は良好であり問題とならないので、この場合には接合強度により制限される。表2から、圧入深さが1.0mmの場合には、いずれの圧入代0.1mm〜0.4mmであっても接合強度は問題ない。
したがって、圧入深さは1.0mm以上であれば良好であり、下記(4)'が得られる。
1.0≦圧入深さ(mm) 式(4)'
圧入深さが式(4)'の範囲に満たないと、圧入の際の削り量が少ないため接合強度が出ない。
次に、圧入深さの上限については、接合強度は良好(10kN)であり問題とならないので、この場合は、品質(バリ)により制限される。圧入深さの良否については、圧入深さが否(×)の場合であっても、強度は十分得られることから、上記範囲の判断には考慮しないことした。品質が良好の目安は、製品の仕上げ加工を必要としない範囲として、はみ出し量少(△)までを良好とした。
この結果、良好な品質が得られるための、各圧入代における圧入深さの上限については、圧入代0.1mmでは圧入深さが7.0mm以上、圧入代0.2mmでは圧入深さが5.0mm、圧入代0.3では圧入深さが3.2mm、圧入代0.4では圧入深さが3.2mmであり、これらをプロット(〇)した。
これらの、プロットを特に圧入代0.2mm及び圧入代0.3mmに注目して直線で結び、これを圧入深さの上限とすると、
圧入深さ(mm)≦9−20×圧入代 式(2)'
なる簡単な式が導かれる。これから、圧入深さの上限はこの式(2)'の範囲が良好である。
したがって、この圧入接合が良好に行えるための、圧入代に対する圧入深さの好適な範囲は、上記範囲(2)'範囲(3)'及び範囲(4)'で区画された三角形状の範囲(1)'が導ける。この範囲(1)'内における圧入代と圧入深さの関係が保てる圧入接合構造であれば、圧入強度及びバリ量について良好な圧入接合が行える。
さらに、表2には具体的に表れてないが、圧入代が0.3mm以上になるとバリ37の量も比較的多くなり、これからすれば圧入代が0.3mm以下がより好適である。また、圧入深さが略3.0mm以上になると、接合強度は十分得られ、強度の点からすればこれ以上の圧入深さは必要なく、かえってバリの量を増加させることになることから、圧入深さは3.0mm以下がより好適である。
上記筒体22は、棒状(中実)であっても、技術的な差異はなく同様な効果が期待できる。ここでのワークの接合部は、断面を円形としているが、これは他の形状、例えば楕円形、三角、四角等の多角形であっても、技術的には同様であって適用は可能であり、同程度の圧入代を設けた場合には同様の効果が期待できる。
上記圧入接合方法は、自動車の要素部品等の製造に用いることができ、例えばトランスミッションのコントロールレバーコンポーネント、シフトレバーコンポーネント等、プレート部に筒体を接合した形態の部品、或いはエンジン部品等の製造に好適である。
従って上記実施の形態に係る圧入接合によれば、圧入と通電のみの簡単な工程で、しかも迅速に接合が行えて製造が容易に行えて製造コストが安価で経済性に優れる。また、接合界面が清浄化されて接合が良好に行われて強度的にも優れ、加えて接合を固相状態の溶接としたことから、母材に与える熱影響範囲が少ないことから、高精度な接合が確保され仕上り精度が良く、後加工が殆ど不要なものとなる等の効果がある。
このため、板体と筒体の各単品精度を向上することでそのまま完成品の精度を高めることができ、部品の直角度、同軸度、穴ピッチなどの溶接後の精度変化を修正することなくそのまま完成品として扱える。また、全周接合では接合部の気密性が確保でき、特にパイプ同士の接合には有効である。
このように上記圧入溶接方法は、母材の熱的劣化が極めて限定的な範囲の為、溶接後の歪取りや、応力除去の熱処理が不要であり、また、寸法精度に与える影響が殆ど無いため、溶接後の仕上げ加工が不要であり、加工費用が大幅に削減できる。また、この溶接の接合強度についても、溶接に匹敵する強度が確保でき、カシメ等の接合方法と異なり、溶接後の熱処理も可能であり、高炭素鋼の溶接も可能であり、費用も安価である。さらに、上記圧入接合方法は、電極を筒体の接合面部近傍の側壁面部に設けたから、筒体自体の抵抗の影響が排除され、通電が良好に行えて適切な電気抵抗熱が確保される。
本発明の実施の形態に係り、ワークAを用いた圧入接合の説明図であり、(a)は治具にセットされた部材を、(b)は部材同士の圧入代を、(c)は部材同士の圧入深さを示す。 ワークAを示す図で、(a)は第一の筒体を、(b)は第二の筒体を、(c)は部材同士の圧入接合状態を示す。 実施の形態に係り、接合の過程を温度推移に対する加圧力及び圧力の変化でとらえた説明図である。 実施の形態に係り、加熱及び再通電による焼き戻しにおける時間と温度との関係を示すグラフである。 実施の形態に係り、ワークAの接合界面の金属顕微鏡撮影写真である。 金属顕微鏡撮影写真の部分拡大写真(a)(b)である。 実施の形態に係り、(a)はワークAを圧入接合したときのバリの形状を示す図であり、(b)はワークBについてのバリの形状を示す図である。 実施の形態に係り、ワークAを用いた第一の試験に基づき、好適な圧入代と圧入深さとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係り、ワークBを用いた圧入接合の説明図であり、(a)は治具にセットされた部材を、(b)は部材同士の圧入代を、(c)は部材同士の圧入深さを示す。 ワークBに係るプレート及び筒体を示す図である。 実施の形態に係り、ワークBを用いた第二の試験に基づき、好適な圧入代と圧入深さとの関係を示す図である。
符号の説明
2 第一の部材(第一の筒体)
4 第二の部材(第二の筒体)
13,21 孔部
20 第一の部材、板体(プレート)
22 第二の部材(筒体)

Claims (12)

  1. 圧入部分の断面が同一の内壁面部が形成された孔部を有する第一の部材と、
    上記孔部と相似形状で、かつ一定の断面を有する第二の部材とを用い、
    上記第一の部材の孔部に対する第二の部材の圧入代を0.1mm以上とし、
    上記第一の部材の孔部内に上記第二の部材を所定の圧力で押圧するとともに、これら両部材間に通電して両者の接合部に電気抵抗熱を発生させ、上記第二の部材を上記孔部に圧入し、上記第二の部材と上記孔部の内壁面部との接合面部に接合界面を形成させ、かつこの接合を固相状態の接合としたことを特徴とする圧入接合構造。
  2. 上記圧入接合の後、再度上記第一の部材と上記第二の部材との間に通電し、両者の接合部に電気抵抗熱を発生させて焼き戻しを行うことを特徴とする請求項1に記載の圧入接合構造。
  3. 上記圧入代の上限を0.4mmとし、上記圧入代と、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さを(1−2×圧入代)mm以上として両部材を接合したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧入接合構造。
  4. 上記圧入代の上限を0.4mmとし、上記圧入代と、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さを1.0mm以上として両部材を接合したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧入接合構造。
  5. 上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さの上限を(9−20×圧入代)mmとして両部材を接合したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の圧入接合構造。
  6. 上記第一の部材を、内部に貫通した円形の孔部を有する筒体に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の圧入接合構造。
  7. 上記第一の部材及び上記第二の部材をそれぞれ円形の筒体に形成し、
    この第一の部材における上記第二の部材との接合部の内周を一様に拡径して第一の接合部を形成する一方、上記第二の部材の接合部の外周を一様に縮径して第二の接合部を形成し、
    上記第一の接合部内に上記第二の接合部を接合したことを特徴とする請求項6に記載の圧入接合構造。
  8. 上記第一の部材を、板面から垂直方向に内壁面部が形成された円形の孔部を有する板体に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の圧入接合構造。
  9. 上記第一の部材と第二の部材との接合部の断面積を20平方cm以下としたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の圧入接合構造。
  10. 圧入部分の断面が同一の内壁面部が形成された孔部を有する第一の部材と、
    上記孔部と相似形状で、かつ一定の断面を有する第二の部材とを用い、
    上記第一の部材の孔部に対する第二の部材の圧入代を0.1mm以上とし、
    上記第一の部材の孔部内に上記第二の部材を所定の圧力で押圧するとともに、これら両部材間に通電して両者の接合部に電気抵抗熱を発生させ、
    上記両部材の軟化によって第二の部材を上記孔部に圧入し、
    上記第二の部材と上記孔部の内壁面部との接合面部に接合界面を形成させ、かつこの接合を固相状態の接合としたことを特徴とする圧入接合方法。
  11. 上記圧入代の上限を0.4mmとし、
    上記圧入代と、上記第一の部材と上記第二の部材とが接合する圧入深さとの関係を、(1≦圧入深さ(mm)≦9−20×圧入代)の範囲で、両部材を接合したことを特徴とする請求項10に記載の圧入接合方法。
  12. 上記圧入接合の後、再度上記第一の部材と上記第二の部材との間に通電し、両者の接合部に電気抵抗熱を発生させて焼き戻しを行うことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の圧入接合方法。

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