JP2006271533A - 治癒促進材料、治癒促進用具、治癒促進装置、治癒促進組成物 - Google Patents

治癒促進材料、治癒促進用具、治癒促進装置、治癒促進組成物 Download PDF

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學 山田
Futoshi Yama
太 矢間
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Abstract

【課題】 黒鉛珪石の健康促進効果を目的とした製品は知られているが、生体の損傷部の治癒を積極的に促進するものではなかった。
【解決手段】 黒鉛珪石を主成分とする組成物21を損傷保護ドレッシング材、ギプス、副木、治療用テント又は治療用ボックス等に含有あるいは塗布する。損傷保護ドレッシング材に適用する場合には、損傷部に黒鉛珪石が直接接触しないように、損傷部との接触層は無害の膜などとする。あるいは損傷部をガーゼ等で被覆し、ガーゼを黒鉛珪石を含有した粘着テープ22などで接着する。これにより、損傷治癒を積極的に促進することができる。
【選択図】 図11

Description

本発明は、治癒促進材料、治癒促進用具、治癒促進装置および治癒促進組成物に係り、特に黒鉛珪石を主成分とする組成物により生体の治癒を促進する治癒促進材料、治癒促進用具、治癒促進装置および治癒促進組成物に関する。
黒鉛珪石は遠赤外線を放射することが知られ、人体に対する健康促進効果が期待されている。例えば、黒鉛珪石を身体に装着する装身具に加工して健康の増進を図った製品が知られている(例えば特許文献1参照。)。また、黒鉛珪石は鎮静作用も有するとされており、医療分野でも注目を集めている。
ところで、創傷や骨折部位を被覆し治癒を促す材料として、ガーゼ、包帯、テープなどに代表される創傷保護ドレッシング材や、骨折部位を被覆する被覆器材も様々なものが開発されている(例えば特許文献2参照。)。
特開2003−135115号公報 特表平8−506028号公報
特許文献1に記載の装身具は、貴金属装身による精神的効果に加えて健康促進効果を図ることを目的としたものである。従って、創傷など人体の損傷部の治癒を積極的に促進するものではない。
また、特許文献2の如き被覆材料は、創傷を外部から保護または固定することを主目的としている。例えば絆創膏において、細菌の繁殖を防ぐために創傷部に接触する繊維(ガーゼ)に消毒液が塗布されるものは知られているが、外用することにより創傷の治癒をより積極的に促進するものではない。これは、骨折部位を被覆して固定するギプス、副木、コルセットなどの被覆器材についても同様である。
本発明は上述した諸々の事情に鑑み成されたものであり、第1に、黒鉛珪石を主成分とする組成物よりなり、該組成物を生体の損傷部に外用することにより解決するものである。
また、前記損傷部は、機械的損傷部または非機械的損傷部であることを特徴とするものである。
また、前記損傷部は、創傷部、挫傷部、骨折部であることを特徴とするものである。
第2に、黒鉛珪石を主成分とする組成物よりなり、生体の損傷部またはその近傍に前記組成物を接触させることにより解決するものである。
また、前記組成物はシート状の接触層であり、該接触層をテープ状の粘着材に接着し、前記接触層により前記損傷部を被覆することにより解決するものである。
また、前記組成物はテープ状の粘着材であり、該粘着材に前記損傷部との接触層を接着することにより解決するものである。
第3に、繊維材料から成り生体の損傷部に外用される治癒促進材料であって、黒鉛珪石を含有する組成物よりなる内層部と、前記損傷部の接触層となる外層部と、を備えることにより解決するものである。
また、前記繊維材料は前記損傷部の被覆が可能な織物材料であることを特徴とするものである。
また、前記繊維材料は前記内層部をコアとし前記外層部で周囲を被覆した糸であることを特徴とするものである。
第4に、生体の一部に接触する固定部を有し、前記生体の損傷部の治療を補助する治癒促進用具であって、前記固定部を黒鉛珪石を主成分とする組成物により構成することにより解決するものである。
また、前記固定部は、前記組成物を固定基材に混入または塗布して構成することを特徴とするものである。
また、前記固定部は、前記組成物を含有する繊維材料からなることを特徴とするものである。
また、前記損傷部は骨折部であることを特徴とするものである。
第5に、生体の損傷部を非接触で包囲するカバー材を備え、前記損傷部の治癒を促進する治癒促進装置であって、前記損傷部に対向する前記カバー材の内面に黒鉛珪石を主成分とする組成物を設けることにより解決するものである。
第6に、浮遊性の物質素材に黒鉛珪石を付着あるいは混入し、温水に懸濁させることにより解決するものである。
本発明によれば以下の効果が得られる。
第1に、黒鉛珪石を主成分とするシート状の接触層を粘着テープ構造の損傷保護ドレッシング材に接着することにより、例えばガーゼ部に黒鉛珪石を含有させた絆創膏を提供できる。絆創膏のガーゼ部には消毒薬が含有されることが一般的であるが、それに加えて黒鉛珪石を含有させることで、より積極的に損傷治癒の促進を図ることができる。
第2に、粘着テープと損傷部の接触層からなる損傷保護ドレッシング材の粘着テープに黒鉛珪石を含有させることで、損傷部位の周囲の細胞に効果的に働きかけ、損傷部位の治癒促進を図ることができる。
第3に、繊維材料の内層部に黒鉛珪石を含有させ、外層部に生体に無害の保護膜を設けることにより、損傷部に直接黒鉛珪石を接触させることなく治癒促進効果を高めることができる。
天然鉱石である黒鉛珪石が例え粉末状であるにせよ、直接創口に接触することは好ましくない。本実施形態によれば、黒鉛珪石を含有する繊維を内層部とし、その表面を生体に無害な膜などの外層部で覆った繊維材料を提供できる。例えばシート状の内層部と外層部を積層することによりガーゼや包帯などの繊維材料が実現できる。
また、内層部をコアとしその表面を外層部で被覆した糸を提供できる。つまり、本実施形態の糸を用いてガーゼや包帯、サポータなどの繊維材料に加工することができる。
更に本実施形態の糸を縫合糸にすることにより、創口の組織の修復を早めることができる。
第4に、固定部に黒鉛珪石を含有した治癒促進用具を提供できる。例えば骨折部を固定するギプスの石膏または副木に黒鉛珪石を含有させる。これにより骨折部の固定のみならずより積極的に骨折の回復に寄与することができる。
第5に、熱傷などの治療を行う治療用テントまたは治療用ボックスの内壁に黒鉛珪石を塗布等することにより、治療用テントまたは治療用ボックスの治療効果に加えて、ダメージを受けた細胞の修復を促進できる。
第6に、入浴剤に黒鉛珪石を含有させることにより、入浴効果に加えて損傷の治癒を助長させることができる。
図1から図14を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の治癒促進材料、治癒促進用具、治癒促進装置、治癒促進組成物は、黒鉛珪石(ブラックシリカ)を主成分とする組成物よりなる。
黒鉛珪石は、海底の珪藻類が長年堆積して鉱石化し、多量の天然ミネラルを多量に含み、遠赤外線、マイナスイオンの輻射を特徴とすることで知られている。これらは、機能低下を来した細胞に対する賦活作用や鎮静作用などとして注目されている。
一方、本出願人は、黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性に着目し、これについて検証した。
まず、黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性についての実験について説明する。実験は、損傷部の一例としてマウスの新鮮創に対して行った。
本実施形態では、天然の黒鉛珪石を素材として作成した黒鉛珪石のシートと、黒鉛珪石を含まないコントロールシートを、マウス新鮮創に接着、被覆し、損傷治癒における経過の比較を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて組織形態学的に観察、検討した。
以下、実験材料と実験方法について説明する。
クリーンな実験動物として、成熟したddy系マウスオス7匹、メス9匹を使用した。マウスは予め麻酔薬(10倍滅菌蒸留水希釈 Pentobarbital sodium注射液)を0.5mL/KgBWで腹腔内投与し、鎮痛化した。麻酔期のマウスは直ちに伏臥位固定し、新鮮創を作成するための除毛を行った。すなわち、背中央部の縦3cm×横2cmをハサミで剪毛後、除毛クリームを塗布し、10分間放置した。その後、クリームはぺ一パータオルできれいにふき取り、除毛2日後からのマウスを実験に使用した。
次に、新鮮創の作成のために、除毛時と同様の方法で麻酔と固定を行った後、70%酒精綿で術野を消毒した。マウス皮膚をピンセットで摘み、脊柱を軸として左右対称に2箇所ずつ、約5mmの長さで、外科用メスを用いて皮膚を切開した。なお、本実験の初期には創口を縫合針と縫合糸を用いて縫合したが、創面が上手く合わせることが不可能であったので、後の実験では縫合は行わなかった。従って、結果の中の一部に縫合を施したものが混じっているが、結果に影響するものではなかった。
そして、新鮮創に供試材を貼付し維持した。供試材は、10mm×10mmの黒鉛珪石シートである。黒鉛珪石シートは、粉末状の黒鉛珪石を溶解した溶液を紙に吹き付け、それをシート状に編んだものである。また、コントロールとして黒鉛珪石シートと同じサイズの黒紙(色画用紙、以下コントロールシート)を準備した。
そして、黒鉛珪石シートとコントロールシートのいずれかを創傷表面部に貼付し、ずれないようにテーピングで固定し、試験期間中維持した。マウスは20〜25℃の室温下で、マウス用固形飼料と水の給与によって飼育された。
試験期間が経過したマウスは、直ちに充分量のPentobarbital sodium注射液を腹腔内に投与後、伏臥位に固定し、創傷部を病理組織切片作成用に摘出した。
次に組織標本用ブロックを作製するため、摘出した組織は直ちに前固定として、2.5%Glutaric dialdehyde−2%Formaldehyde in 0.1M Phosphate buffer solution(リン酸緩衝液:PBS、pH7.2)で室温において、90〜120分固定した。これを0.1M PBSで10分づつ3回洗浄し、前固定液を除去した。次いで後固定として、1% Osmium tetraoxide in 0.1M PBS(pH7.2)中で90分間、室温において固定した。これを1夜、蒸留水で洗浄後、エタノール上昇系列(70%→80%→90%→99.5→99.9%→100%)で各10分間脱水し、次いでPropylene oxideに10分間を3回夫々浸漬し、脱水させた。包埋前処理としての馴化は、30% Poly(Bisphenol A-co-epichlorohydrin:EPON) in Propylene oxideに一昼夜浸潰した。さらに、50% EPON in Propylene oxideに一昼夜浸漬後、容器の蓋を開けてデシケータ内に移し、6時間以上かけてPropylene oxideを揮発させた。この後、標本組織は包埋用ケースに入れ、100% EPONを流し込んだ。さらにPropylene oxideを完全に飛ばすため、このケースを37℃に6時間、続いて60℃に48時間留置してブロックを完成させた。
その後、光学顕微鏡用のスライド標本を作製した。まず、組織切片の作成は、ミクロトームで4μmの厚さに切り、トルイジンブルーで染色した。そして、100%EPONをスライドガラスにのせ、その上からカバーガラスを被せ、60℃時間以上加温した。
出来上がった光学顕微鏡用スライド標本を、光学顕微鏡で、200倍及び400倍で観察、写真撮影を行った。
また、走査型電子顕微鏡用標本を作製し、観察した。すなわち、超薄切片を作成し、これにウラン、鉛による電子二重染色を施した。観察および写真の撮影は、透過型電子顕微鏡(TEM)で行った。
以下に、実験結果について説明する。
創傷の治癒過程において一期癒合と呼ばれ、手術創に代表される新鮮で感染がなく、経過がもっともスムーズに進む創傷の治癒機転は、3期に分けて説明されている。
受傷から3日目までが滲出期と言われ、受傷直後は出血が起こり、開放創に血小板の粘着・凝集、フィブリン変換による止血栓の形成、次いで炎症反応が見られ、白血球の遊走が認められる。上皮組織では上皮細胞の増殖が起こり、上皮や粘膜部の欠損は充填され、48時間以内に痂皮が形成される。
4日目から約2週間目までは増殖期と呼ばれ、血塊中に毛細血管が新生し、線維芽細胞の増殖とコラーゲンが産出して、いわゆる肉芽となる。この間、1週目位に抜糸が行われ、日常生活が可能となる。受傷後2週以降は成熟期といわれ、新生した毛細血管や線維芽細胞が退行して、創面が縮小して瘢痕となる過程である。
一方、この創傷の治癒を阻害する要因には全身性と局所性がある。全身性のものとして、栄養欠乏、酸素欠乏、末梢循環不全、抗炎症剤の使用、細胞分裂の抑制があり、局所的なものには、創ロの乖離、異物・刺激物の存在、細菌感染、血流障害等がある。
出願人は、滲出期が経過する受傷3日後までの組織学的変化について検討した。
図1から図5は、黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証する実験において、受傷前および受傷から3日目までのトルイジンブルー染色による組織標本を200倍の光学顕微鏡レベルで観察し、創傷全体の治癒経過を比較検討した結果である。
図1が受傷前、図2が受傷2時間後、図3が受傷1日後、図4が受傷2日後、図5が受傷3日後の写真である。
創傷の治癒促進材料としては、前述のコントロールシート(Black Paper)と、黒鉛珪石シート(Silica black)を用いた。尚図2〜図5の各図において(A)がコントロールシートを用いた場合の写真であり、(B)が黒鉛珪石シートを用いた場合の写真である。また、各写真の上方が表皮であり、下方が皮膚の深部である。
図1において、受傷前の皮膚では、最上部の角化層1、次いで表皮2と最下部には広範囲に真皮3と規則的に配置している像が認められる。また、右上部の表皮2と真皮3の境目付近に円形を呈する毛根4が確認できる。
図2を参照して受傷2時間後について比較する。図2(A)の如く、コントロールシートでは、上部に血塊5が付着した縫合糸6が認められ、創傷7が真皮3まで至っていることが確認できる。しかし内部は少量の血塊5が認められるのみで、殆ど空洞化している。また創傷7の右側は縫合のため表皮2(上皮)がそのまま陥入している。
一方図2(B)の如く、黒鉛珪石シートを貼付した場合は、シートを剥離することで創傷7の創口が開き、創内は何も見られない空洞となったが、両者に差はないものと考えられた。
図3を参照して、受傷1日後について比較する。この時点ではいずれも痂皮8が形成され、表層部には炎症性細胞9の遊走が認められるけれども、この画像からは両者に顕著な差は認められない。
しかし、図4の如く受傷2日の、コントロールシートでは創傷7内部の空洞が目立つ(図4(A))。一方、黒鉛珪石シートを貼付した場合(図4(B))は、炎症性細胞9が充満しており、炎症の進行の早いことが伺えた。受傷により炎症を起こした細胞は白血球により殺菌され治癒へ進行する。すなわち空洞であった創傷7内部に炎症性細胞9(すなわち白血球14)の増加が認められることから炎症が進行していることが判る。炎症の進行が早まることはすなわち治癒までの期間も短縮されるということになる。
図5を参照して、受傷3日後では、コントロールシートでは表皮2は形成されてきているけれども、深部は空洞のままで、創傷7は開放創の状態の継続していることが確認できる(図5(A))。一方、図5(B)の如く、黒鉛珪石シートを貼付したものでは痂皮8の下部の角化層1および表皮2の乳頭部の形成が認められ、創内深部も線維芽細胞10およびコラーゲン線維11と思われる細胞群で殆ど埋め尽くされてきていることから、この時期になると黒鉛珪石シートを使用による顕著な効果として確認できた。
図6および図7は、受傷2時間後と受傷1日後の標本について、光学顕微鏡で400倍に拡大し、黒鉛珪石シートおよびコントロールシートの貼付による影響について細部を検討した結果を示す。
図6が受傷2時間後の写真であり、図7が受傷1日後の写真である。また、各図(A)がコントロールシートの場合であり、各図(B)が黒鉛珪石シートの場合である。
図6を参照して受傷2時間後について比較する。図6(A)の如くコントロールシートでは創傷7内深部に血塊5が認められている。一方図6(B)の如く、黒鉛珪石シートを貼付した場合は皮膚摘出時のシート剥離による創傷7の開放があり、創傷7内部には何も残っていない。
図7の如く受傷1日後では、コントロールシートでは痂皮8が形成された下部に空洞が形成され、少しの炎症性細胞9が認められる(図7(A))。一方黒鉛珪石シートを貼付した場合は、痂皮8の形成された下部にコントロールシートに比べてはるかに多い炎症性細胞9が認められる(図7(B))。
図8および図9は、受傷3日目の創傷について、創傷表面(創口部)と創傷深部とに分けて、光学顕微鏡で400倍に拡大し、黒鉛珪石シートを貼付した影響について細部を検討した結果を示す。
図8はコントロールシートの場合であり図8(A)が創口部、図8(B)が創傷深部の写真である。図9は黒鉛珪石シートの場合であり、図9(A)が創口部、図9(B)が創傷深部の写真である。
図8の如く、コントロールシートでは、痂皮8が形成された下部で表皮2の形成がなされておるもののそれ以下は空洞化しており、線維芽細胞10やコラーゲン線維11の出現も創面に沿って少量が認められるのみで、大半は未だに空洞化している。
一方、図9の如く黒鉛珪石シートを貼付した場合は、角化層1、痂皮8、表皮2の形成が豊かで、乳頭層12の形成にまで及んでいる。さらに真皮3の部位にあたる創傷7部位には、線維芽細胞10等の修復系の細胞が多数出現し、ぎっしり埋まった状態を呈している。
図10は、受傷3日後の線維芽細胞増殖部位の透過型電子顕微鏡による解析の結果である。すなわち、受傷3日後の創傷について、黒鉛珪石シートを貼付した場合による線維芽細胞が多数出現したことを光学顕微鏡によって確認した部位を、透過型電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscopy)により観察した。
これによれば、線維芽細胞10(F)が出現している間隙を、コラーゲン線維11がぎっしりと埋め尽くし、損傷の修復が活発に行われていることが確認できる。
このように、黒鉛珪石は、創傷に対して、生理学的な損傷治癒の経過における反応を促進することが判った。そこで、本実施形態では黒鉛珪石を治癒促進材料、治癒促進用具、治癒促進装置および治癒促進組成物に適用した。
図11は、治癒促進材料20を示す。
治癒促進材料20は、生体の損傷部またはその近傍に、黒鉛珪石を主成分とする組成物を接触させ治癒を促進するものである。
図11(A)において、治癒促進材料20は、シート状の組成物21と組成物21が接着するテープ状の粘着材22よりなり、組成物21により損傷部を被覆するものである。ここでは、絆創膏を例に説明する。テープ状の粘着材(粘着テープ)22のほぼ中央に黒鉛珪石を主成分とする組成物21よりなる接触層が接着している。接触層21は、シート状であり黒鉛珪石の粉末を付着、含有した例えばガーゼなどの繊維、不織布などである。
図の絆創膏20は、接触層21により生体の損傷部を接触させ、粘着テープ22を損傷部周囲の皮膚に接着させて損傷部を被覆して使用する。これにより、損傷部の治癒を積極的に促進させることができる。
また図11(B)は、絆創膏20の粘着テープを組成物21で構成したものである。すなわち、絆創膏20の粘着テープ21は、ポリウレタン、ハイドロコロイド、アルギン酸、ハイドロジェル、ハイドロポリマー等により構成されており、その中に黒鉛珪石の粉末を含有させる。この粘着テープ21に接触層となるガーゼ部25を接着する。この場合ガーゼ部25は消毒薬等を含有させることができる。
更には図11(C)のごとく、ガーゼ26などを損傷部に固定する粘着テープ21(サージカルテープ)に黒鉛珪石の粉末を含有させても良い。
図11(B)、図11(C)の場合は、損傷部の周囲に黒鉛珪石を主成分とする組成物21が接触するものである。炎症性細胞はその周囲の正常な細胞により炎症が進行し、治癒に至ると考えられることから、損傷部の周囲に本実施形態の治癒促進材料を接触させることにより、損傷部の治癒をより積極的に促進できる。
また、図11(D)は含水性ゲルに黒鉛珪石の粉末を含有させた組成物21の表面に粘着性を持たせたシート28である。このシート28を損傷部やその周囲に接触させることにより、損傷部の組織の修復を早めると共に、損傷部の保護にも効果的に働く。
更に含水性ゲルに吸熱材等を含有させてもよく、発熱する損傷部を冷却し、鎮痛効果も図ることができる。
図12および図13は、治癒促進材料30、40を示す図である。
図12の如く、治癒促進材料30は例えばガーゼ、包帯など繊維材料よりなる損傷保護ドレッシング材である。図12(A)は平面図であり図12(B)は図12(A)のa−a線の断面図である。
損傷保護ドレッシング材30は、内層部31に外層部32を積層した構造である。内層部31は黒鉛珪石の粉末を塗布または含有させた繊維(織物)材料である。外層部32は例えばポリウレタン、ハイドロコロイドなどの生体に無害な膜であり、この外層部32が生体の損傷部との接触層となる。これにより、損傷部に直接黒鉛珪石を接触させることなく治癒促進効果を高めることができる。
天然鉱石である黒鉛珪石が例え粉末状であるにせよ、直接創口に接触することは好ましくない。本実施形態によれば、例えば繊維材料の内層部31と外層部32を積層することによりガーゼや包帯などの損傷保護ドレッシング材30が実現できる。また、サポータ、靴下などにも適用できる。
尚、図では内層部31の表裏面に外層部32を設けてあるが、外層部32は少なくとも損傷部との接触層となる表面または裏面のいずれか一方にあればよい。
図13は、他の損傷治癒材料40の図である。図13(A)は外観図であり図13(B)は図13(A)のb−b線断面図である。すなわち、損傷治癒材料40は、内層部31をコアとしその表面を外層部32で被覆した糸40である。この糸40によりガーゼや包帯、サポータなどの繊維材料を形成しても、積極的な治癒促進効果を得ることができる。
また、図の糸40を用いて形成した繊維材料を図11(A)の接触層21としてもよい。
更に本実施例の糸40を縫合糸にすることにより、創口の組織の修復を早めることができる。また、患者用シーツや枕カバーなどを糸40による繊維で構成してもよい。
黒鉛珪石の組成物によって、生体の一部に接触する固定部を有し、生体の損傷部の治療を補助する治癒促進用具も実現できる。
治癒促進用具は、例えば骨折部を固定するギプスや、副木である。ギプスの場合、例えば石膏に黒鉛珪石の粉末を混入させる。また副木の場合表面に黒鉛珪石の粉末を付着するか、あるいはポリウレタン、ハイドロコロイド、アルギン酸、ハイドロジェル、ハイドロポリマー等に含有させて塗布する。
上記の実験において、皮膚の形成について、受傷1−2日目で痂皮の形成が速く、しっかりしている点、白血球の遊走が多く、局所の炎症反応を早めている点を確認し、また3日目で、線維芽細として確かめている。骨折も生体の修復系の反応であるため、黒鉛珪石の組成物により骨折部を固定することにより、同様の効果が有ると推測できる。
図14は、治癒促進装置50を示す外観図である。黒鉛珪石の組成物は、寝たきりの治療、長期間、広範囲の治療の際に用いる治癒促進装置50にも適用できる。例えば熱傷等の治療用テント、治療用ボックス等である。
治癒促進装置50は、生体の損傷部を非接触で包囲するカバー材51を備える。そして、カバー材51の内面に黒鉛珪石を主成分とする組成物52を塗布等する。組成物52は接着剤等に含有されて塗布されるか、あるいは紙などのシート状に加工されて内面に貼付される。
カバー材51は全身を覆う大きさでも良いし、例えば腕や足等部分的に覆う大きさでも良い。
また、浮遊性の物質素材に黒鉛珪石を付着あるいは混入し、温水に懸濁させる入浴剤に適用しても良い。入浴効果と治癒促進効果を兼ね備えることができる。
以上、具体的な実施例を示したが、一般的に創傷の速やかな治癒を促すため、損傷部は損傷保護ドレッシング材を用いて被覆される。その用材としては包帯、ガーゼ、油紙、絆創膏、テープのほか、最近ではサージカルドレッシングと言われるフィルム材やハイドロコロイド材、アルギン酸塩等の被覆機能を持つ素材も商品化され、活用されている。これらの創傷の被覆材料以外に、損傷や骨折を被覆する器材としては副木、ギプス、コルセット、サポーター、固定用装具、ソックスなどがある。
これらの製品に、本実施形態の如く損傷の治癒を積極的に促進させる治癒促進材料が適用されれば、損傷の治療期間を単に短縮できるだけでなく、難治性の症例や慢性化した症例の治療効果をも期待できる。
損傷部の治癒を促進するものであって、損傷部を被覆・保護する包帯、ガーゼ、油紙、絆創膏、テープのほか、サージカルドレッシング、ハイドロコロイド材、アルギン酸塩等の被覆機能を持つ素材に適用可能である。また、損傷や骨折を被覆する器材として副木、ギプス、コルセット、サポーター、固定用装具、ソックスなどに利用できる。
更に患者用シーツやテント、治療用の全身回復ボックス、天然素材や合成樹脂等でできた膜やゲルなどに混入させたもの、入浴剤にも適用可能であり、応用性は広範なものに展開可能である。
黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷前の組織標本を示す写真である。 黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷2時間後の組織学的変化を示した写真である。 黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷1日後の組織学的変化を示した写真である。 黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷2日後の組織学的変化を示した写真である。 黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷3日後の組織学的変化を示した写真である。 黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷2時間後の組織学的変化について示した写真である。 黒鉛珪石の損傷治癒過程における優位性を検証した実験において、受傷1時間後の組織学的変化について示した写真である。 受傷3日後のコントロールシートの貼付による、創傷表面と創傷深部の組織学的変化について示した写真である。 受傷3日後の黒鉛珪石シートの貼付による、創傷表面と創傷深部の組織学的変化について示した写真である。 受傷3日後の線維芽細胞増殖部位の透過型電子顕微鏡による解析の結果である。 本発明の実施例を示す平面図である。 本発明の実施例を示す(A)平面図、(B)断面図である。 本発明の実施例を示す(A)外観図、(B)断面図である。 本発明の実施例を示す外観図である。
符号の説明
1 角化層
2 表皮
3 真皮
4 毛根
5 血塊
6 縫合糸
7 創傷
8 痂皮
9 炎症性細胞
10 線維芽細胞
11 コラーゲン線維
14 白血球
20、30、40 治癒促進材料
21 組成物
22 粘着材
25 ガーゼ部
26 ガーゼ
28 シート
31 内層部
32 外層部
50 治癒促進装置
51 カバー材
52 組成物

Claims (15)

  1. 黒鉛珪石を主成分とする組成物よりなり、該組成物を生体の損傷部に外用し該損傷部の治癒を促進する治癒促進材料。
  2. 前記損傷部は、機械的損傷部または非機械的損傷部であることを特徴とする請求項1に記載の治癒促進材料。
  3. 前記損傷部は、創傷部、挫傷部、骨折部であることを特徴とする請求項1に記載の治癒促進材料。
  4. 黒鉛珪石を主成分とする組成物よりなり、生体の損傷部またはその近傍に前記組成物を接触させ前記損傷部の治癒を促進する治癒促進材料。
  5. 前記組成物はシート状の接触層であり、該接触層をテープ状の粘着材に接着し、前記接触層により前記損傷部を被覆することを特徴とする請求項4に記載の治癒促進材料。
  6. 前記組成物はテープ状の粘着材であり、該粘着材に前記損傷部との接触層を接着することを特徴とする請求項4に記載の治癒促進材料。
  7. 繊維材料から成り生体の損傷部に外用される治癒促進材料であって、
    黒鉛珪石を含有する組成物よりなる内層部と、
    前記損傷部の接触層となる外層部と、
    を備えたことを特徴とする治癒促進材料。
  8. 前記繊維材料は前記損傷部の被覆が可能な織物材料であることを特徴とする請求項7に記載の治療促進材料。
  9. 前記繊維材料は前記内層部をコアとし前記外層部で周囲を被覆した糸であることを特徴とする請求項7に記載の治療促進材料。
  10. 生体の一部に接触する固定部を有し、前記生体の損傷部の治療を補助する治癒促進用具であって、
    前記固定部が黒鉛珪石を主成分とする組成物により構成されることを特徴とする治癒促進用具。
  11. 前記固定部は、前記組成物を固定基材に混入または塗布して構成されることを特徴とする請求項10に記載の治癒促進用具。
  12. 前記固定部は、前記組成物を含有する繊維材料からなることを特徴とする請求項10に記載の治癒促進用具。
  13. 前記損傷部は骨折部であることを特徴とする請求項10に記載の治癒促進用具。
  14. 生体の損傷部を非接触で包囲するカバー材を備え、前記損傷部の治癒を促進する治癒促進装置であって、
    前記損傷部に対向する前記カバー材の内面に黒鉛珪石を主成分とする組成物が設けられたことを特徴とする治癒促進装置。
  15. 浮遊性の物質素材に黒鉛珪石を付着あるいは混入し、温水に懸濁させることを特徴とする治癒促進組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007175300A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Teikoku Seiyaku Co Ltd 貼付剤及びその製造方法
CN113350004A (zh) * 2021-06-01 2021-09-07 黑龙江中医药大学 一种维持脊柱生理曲度支具及脊髓损伤大鼠用脊柱矫正法

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