JP2006269730A - 封止用エポキシ樹脂成形材料及びそれを用いた電子部品装置 - Google Patents

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宏治 濱口
Kazuhiko Kurabuchi
和彦 蔵渕
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一良 天童
Seiichi Akagi
清一 赤城
Masaaki Yasuda
雅昭 安田
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Abstract

【課題】一括モールド型の片面封止型パッケージに用いた場合に反り変形を小さくし、リフロー工程後の繰り返しの温度サイクルによるはんだ接続部のクラックを抑制できる封止用エポキシ樹脂成形材料、及び薄肉基板と上記封止用エポキシ樹脂成形材料の組み合わせによって構成される電子部品装置を提供する。
【解決手段】180℃の金型寸法に対する後硬化後の硬化物の25℃での成形収縮率が0.25%以下、前記後硬化後の硬化物の25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上である封止用エポキシ樹脂成形材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、封止用エポキシ樹脂成形材料及びそれを用いた電子部品装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC等の半導体素子の封止分野では生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性などの諸特性にバランスがとれているためである。
近年、半導体装置などの電子部品装置の実装基板への高密度実装化に伴い、電子部品装置の形態は従来のピン挿入型のパッケージから、表面実装型のパッケージが主流になっている。表面実装型のIC、LSIなどは、実装密度を高くし実装高さを低くするために、薄型、小型のパッケージになっており、電子部品素子のパッケージに対する占有体積が大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなってきた。
また、さらなる小型軽量化に対応すべく、パッケージの形態もQFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)といったものから、より多ピン化に対応しやすく、かつより高密度実装が可能なCSP(Chip Size Package)を含めたBGA(Ball Grid Array)等のエリア実装パッケージへ移行しつつある。これらのパッケージは近年、高速化、多機能化を実現するために、フェースダウン型、積層(スタックド)型、フリップチップ型、ウェハーレベル型等、新しい構造のものが開発されているが、それらの多くが半導体素子搭載面側の片面のみをエポキシ樹脂成形材料等の封止材料で封止した後、裏面にはんだボールを形成して実装基板との接合を行う片面封止型パッケージの形態を有している。また、片面封止型パッケージに用いられる樹脂基板としては、ガラス基材エポキシ樹脂基板、ガラス基材ビスマレイミド・トリアジン樹脂基板等の硬質回路基板、あるいはポリイミド樹脂フィルム基板等のフレキシブル回路基板が主に使用される。さらに、片面封止型パッケージを作製する際の樹脂封止工程も従来の1チップ1キャビティの封止方法に代わって、複数のチップを1キャビティで封止する一括モールド型の封止方法が開発され、生産効率の向上、低コスト化が図られている。
片面封止型パッケージは、半導体装置の形状が片面封止であるため、基板と成形材料との物性値の差異等が原因で、成形温度から室温まで冷却した時、又はリフロー工程での熱履歴によって、半導体装置中心部を起点として反り変形が生じやすいという問題がある。この反り変形に伴って、成形品を搬送する際の搬送系エラーを誘発するだけでなく、半導体素子搭載用基板に同一面となるように配置した複数のはんだボールに高低差が生じ、パッケージD/C動作検査工程等の試験を行った場合、コネクタ接続に支障をきたして十分な検査を行えない等の不具合が発生することがある。また、半導体装置を実装基板に表面実装した時、はんだボールの一部が対応する配線層に完全に接続されず、接続部の信頼性を低下させることがある。
片面封止型パッケージはその構造上、半導体素子、ダイボンディング材、樹脂基板、ソルダレジスト、封止樹脂等、構成材料が多く、各材料の諸特性も異なるため、リフロー工程で各構成材料界面にはく離が発生し、最悪の場合、パッケージ表面にクラックが現れる場合がある。
片面封止型パッケージは、通常、実装基板とはんだボールを介して電気的に接続され、その機能を成すが、温度変化が激しい環境に曝された場合、はんだ接続部にクラックが発生し、繰り返し温度サイクルを受けることによって、最悪の場合、電気的に接続不良となる場合がある。
以上のように、片面封止型パッケージは、(1)反り変形を小さくでき、(2)リフロー工程でのはく離、クラックを抑制でき、(3)繰り返しの温度サイクルによるはんだ接続部のクラックを抑制できなければならない。以上のいずれかが一つでも満足できない場合は、パッケージとして機能しないことを意味する。
そこで、この反り変形量を低減する手法として、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂に多官能型樹脂を使用して架橋密度を高めることで封止用エポキシ樹脂成形材料硬化物の高Tg化を図る方法が開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、この方法だけでは樹脂の溶融粘度が高いために成形材料に十分な流動性を確保することが困難となる。一方、結晶性エポキシ樹脂と多官能型フェノール樹脂を使用して封止用エポキシ樹脂成形材料の粘度を低減し、充てん剤を高充てん化することで硬化物の低膨張率化と高Tg化の両立を図り反り変形を低減するとともに、合わせて耐リフロー性を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3参照。)。
特開平11−35803号公報 特開平11−100490号公報 特開平11−163224号公報
しかし、上記の手法においても流動性の改善は満足のいくレベルではなく、そのような封止用エポキシ樹脂成形材料を一括モールド型の電子部品装置に使用した場合に、未充てんを引き起こす問題がある。また、上記手法は、反り変形とリフロー時のはく離やクラックを考えれば、良い方向に作用すると推察できるが、充てん剤の高充てん化により硬化物の熱膨張係数が小さくなるために、硬化後の封止用エポキシ樹脂成形材料と実装基板との熱膨張係数差が大きくなり、繰り返しの温度サイクルを受けたときに、はんだボール部にクラックが生じ易くなってしまう。
特に、最近の携帯機器用片面封止型パッケージは、薄型化してきており、上記封止用エポキシ樹脂成形材料では、樹脂基板が薄くなるほど、温度サイクルの問題が顕在化してくる。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、一括モールド型の片面封止型パッケージに用いた場合に反り変形を小さくし、リフロー工程後の繰り返しの温度サイクルによるはんだ接続部のクラックを抑制できる封止用エポキシ樹脂成形材料、及び薄肉基板と上記封止用エポキシ樹脂成形材料の組み合わせによって構成される電子部品装置を提供しようとするものである。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、180℃の金型寸法に対する後硬化後の硬化物の25℃での成形収縮率が0.25%以下、25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上の封止用エポキシ樹脂成形材料、及び厚みが0.2mm未満の樹脂基板と上記封止用エポキシ樹脂成形材料の組み合わせによって構成される電子部品装置により上記の目的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に関する。
(1) 180℃の金型寸法に対する後硬化後の硬化物の25℃での成形収縮率が0.25%以下、前記後硬化後の硬化物の25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上である封止用エポキシ樹脂成形材料。
(2) (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充てん剤、(E)ケイ素含有重合物を含有し、(D)無機充てん剤の含有量が全体の70〜96質量%の範囲、(E)ケイ素含有重合物の含有量が全体の0.2質量%〜8.0質量%の範囲であって、(D)無機充てん剤の含有量Vf1(質量%)と(E)ケイ素含有重合物の含有量Vf2(質量%)とが次式(1)の関係を満たすことを特徴とする封止用エポキシ樹脂成形材料。
Vf2>(−0.325×Vf1+30.6) ・・・・・ 式(1)
(3) 複数の素子を樹脂基板上にダイボンディング材を介して格子状に実装し、素子を含む樹脂基板を封止用エポキシ樹脂成形材料で片面封止し、分割してなる樹脂封止型電子部品装置であって、厚みが0.2mm未満の樹脂基板と、前記(1)または(2)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料との組み合わせによって構成されることを特徴とする電子部品装置。
本発明による封止用エポキシ樹脂成形材料は、反り変形、耐温度サイクル性に優れ、高い信頼性を得ることができ、その工業的価値は大きい。
本発明の第一の実施形態について説明する。本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、180℃の金型寸法(硬化物の成形時の寸法)に対する後硬化後の硬化物の25℃での寸法から算出した成形収縮率が0.25%以下とすることが必要であり、0.22%以下が好ましい。なお、本発明において、180℃の金型寸法とは、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒による成形の直後の25℃での硬化物の寸法であり、後硬化は該成形の直後の硬化物に180℃で5時間行うものとする。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、前記後硬化後の硬化物の25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上である必要があり、好ましくは10.5×10−6/℃以上である。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料においては、例えば(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充てん剤、(E)ケイ素含有重合物及びその他の成分の組み合わせやこれらの配合量を調整することによって、180℃の金型寸法に対する後硬化後の硬化物の25℃での成形収縮率が0.25%以下、25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上の封止用エポキシ樹脂成形材料を得ることができる。
この場合、180℃の金型寸法に対する後硬化後の硬化物の25℃での成形収縮率が0.25%以下、25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上の封止用エポキシ樹脂成形材料を得るために、(D)成分として用いる無機充てん剤の配合量、(E)成分として用いるケイ素含有重合物の選定及び配合量が特に重要である。
すなわち、本発明の第二の実施形態は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充てん剤、(E)ケイ素含有重合物を含有し、(D)無機充てん剤の含有量が全体の70〜96質量%の範囲、(E)ケイ素含有重合物の含有量が全体の0.2質量%〜8.0質量%の範囲であって、(D)無機充てん剤の含有量Vf1(質量%)と(E)ケイ素含有重合物の含有量Vf2(質量%)とが次式(1)の関係を満たす封止用エポキシ樹脂成形材料である。
Vf2>(−0.325×Vf1+30.6) ・・・・・ 式(1)
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料に用いられる(A)エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上含有するもので特に制限ないが、たとえばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、チオビフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、シクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、流動性と低反り性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルであるビスフェノールF型エポキシ樹脂の内から1種又は2種以上を含有していることが好ましく、難燃性と低反り性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のフェノールとビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物及びアルキル置換、芳香環置換又は非置換のナフトール類とジメトキシパラキシレンから合成されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物の内から1種又は2種以上を含有していることが好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(I)中、R〜Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(I)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェノール化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(I)中のR〜Rとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4´−ビフェノール又は4,4´−(3,3´,5,5´−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品としてジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX−4000として入手可能である。上記ビフェニル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(II)中、R〜Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(II)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(II)中のR〜Rとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´−メチレンビス(2,3,6−トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´−メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも4,4´−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名YSLV−80XYとして入手可能である。上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物としては、たとえば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(III)中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の有機基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(III)で示されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のフェノールとビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(III)中のR〜Rとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、アミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換又は非置換のアミノ基で置換したアリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましく、たとえば下記一般式(IV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては、市販品として日本化薬株式会社製商品名NC−3000S及びCER−3000L(一般式(IV)のフェノール・アラルキル樹脂と4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニルの混合物(混合質量比2/8))として入手可能である。上記フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
Figure 2006269730
(一般式(IV)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物としては、たとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(V)中、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の有機基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(V)で示されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のナフトールとジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)から合成されるナフトール・アラルキル樹脂にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。
一般式(V)中のRとしてはたとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、アミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換又は非置換のアミノ基で置換したアリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられる。なかでも水素原子又はメチル基が好ましく、たとえば下記一般式(VI)又は(VII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物が挙げられる。
一般式(V)中、nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。また、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基、キシリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基を二価化した基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられ、なかでも、難燃性の観点からは置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましく、ビフェニレン基がより好ましい。
下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名ESN−375が挙げられ、下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名ESN−175が挙げられる。上記ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
Figure 2006269730
(一般式(VI)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
Figure 2006269730
(一般式(VII)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
これらのビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物及びナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いる場合の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、置換又は非置換のメラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なかでも、難燃性の観点からは、フェノール・アラルキル樹脂及びナフトール・アラルキル樹脂のうちの1種又は2種以上を含有していることが好ましく、低反り性の観点からはフェノール類とサリチルアルデヒドの縮合物であるノボラック型フェノール樹脂の1種又は2種以上を含有していることが好ましい。
フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(VIII)で示される樹脂が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(VIII)中、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の有機基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(VIII)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、アミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換又は非置換のアミノ基で置換したアリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
また、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基、キシリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基を二価化した基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられ、なかでも、難燃性の観点からは置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましく、ビフェニレン基がより好ましく、たとえば下記一般式(IX)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
Figure 2006269730
(一般式(IX)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(IX)で示されるフェノール・アラルキル樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH−7851が挙げられる。上記フェノール・アラルキル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(X)で示される樹脂が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(X)中、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の有機基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(X)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、アミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換又は非置換のアミノ基で置換したアリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
また、一般式(X)中のXは芳香環を含む二価の有機基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基、キシリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基を二価化した基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられ、なかでも、難燃性の観点からは置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましく、たとえば下記一般式(XI)及び(XII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
Figure 2006269730
(一般式(XI)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
Figure 2006269730
(一般式(XII)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XI)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、市販品として新日鐵化学株式会社製商品名SN−475が挙げられ、上記一般式(XII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、市販品として新日鐵化学株式会社製商品名SN−170が挙げられる。上記ナフトール・アラルキル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
フェノール類とサリチルアルデヒドの縮合物であるノボラック型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XIII)で示される樹脂が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(XIII)中、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の有機基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XIII)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基、アミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換又は非置換のアミノ基で置換したアリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましく、たとえば下記一般式(XIV)で示されるフェノールノボラック樹脂が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
Figure 2006269730
(一般式(XIV)で、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XIV)で示されるフェノールノボラック樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH−7500が挙げられる。上記フェノールノボラック樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(B)硬化剤全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
上記一般式(VIII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂、一般式(X)で示されるナフトール・アラルキル樹脂及び一般式(XIII)で示されるフェノールノボラック樹脂等の(B)硬化剤は、難燃性の観点からその一部または全部がアセナフチレンと予備混合されていることが好ましい。アセナフチレンはアセナフテンを脱水素して得ることができるが、市販品を用いてもよい。また、アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物として用いることもできる。アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物を得る方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等が挙げられる。また、重合に際しては従来公知の触媒を用いることができるが、触媒を使用せずに熱だけで行うこともできる。この際、重合温度は80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。得られるアセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物の軟化点は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。60℃より低いと成形時の染み出しにより成形性が低下する傾向にあり、150℃より高いと樹脂との相溶性が低下する傾向にある。アセナフチレンと共重合させる他の芳香族オレフィンとしては、スチレン、α−メチルスチレン、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル又はそれらのアルキル置換体等が挙げられる。また、上記した芳香族オレフィン以外に本発明の効果に支障の無い範囲で脂肪族オレフィンを併用することもできる。脂肪族オレフィンとしては、(メタ)アクリル酸及びそれらのエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマル酸及びそれらのエステル等が挙げられる。これら脂肪族オレフィンの使用量は重合モノマー全量に対して20質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましい。
(B)硬化剤の一部又は全部とアセナフチレンとの予備混合の方法としては、(B)硬化剤及びアセナフチレンをそれぞれ微細に粉砕し固体状態のままミキサー等で混合する方法、両成分を溶解する溶媒に均一に溶解させた後、溶媒を除去する方法、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度で両者を溶融混合する方法等で行うことができるが、均一な混合物が得られて不純物の混入が少ない溶融混合法が好ましい。前記の方法により予備混合物(アセナフチレン変性硬化剤)が、製造される。溶融混合は、(B)硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度であれば制限はないが、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。また、溶融混合は両者が均一に混合すれば混合時間に制限はないが、1〜20時間が好ましく、2〜15時間がより好ましい。(B)硬化剤とアセナフチレンを予備混合する場合、混合中にアセナフチレンが重合もしくは(B)硬化剤と反応しても構わない。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料中には、難燃性向上の観点から前述の予備混合物(アセナフチレン変性硬化剤)が(B)硬化剤中に50質量%以上含まれることが好ましい。アセナフチレン変性硬化剤中に含まれるアセナフチレン及び/又はアセナフチレンを含む芳香族オレフィンの重合物の量は5〜40質量%が好ましく、8〜25質量%がより好ましい。5質量%より少ないと難燃性の向上効果が得られない傾向があり、40質量%より多いと成形性が低下する傾向がある。本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料中に含まれるアセナフチレン構造の含有率は、難燃性と成形性の観点からは0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。0.1質量%より少ないと難燃性に劣る傾向にあり、5質量%より多いと成形性が低下する傾向にある。
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
本発明において用いられる(C)硬化促進剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているものであれば特に制限されるものではない。例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物、その誘導体、及びこれらに無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等のジアルキルアリールホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等のアルキルジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン等のトリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィンなどの有機ホスフィン類、その誘導体及びこれらにキノン化合物、無水マレイン酸、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモリホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体、有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも流動性の観点から下記一般式(XV)で示される第三ホスフィン化合物と下記一般式(XVI)で示されるキノン化合物との付加物が好ましい。
Figure 2006269730
(ここで、一般式(XV)中のR〜Rは、置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基を示し、全て同一でも異なっていてもよい。また、一般式(XVI)中のR〜Rは水素原子または置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基を示し、全て同一でも異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造となっていてもよい。)
上記一般式(XV)中のR〜Rは、置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基を示し、特に制限はなく、例えば、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜12のアリール基等が挙げられる。置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基等が挙げられる。また、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキル基置換アミノ基なども炭素数1〜12の有機基として挙げられる。
置換又は非置換の炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換又は非置換のアミノ基で置換したアリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられる。
上記一般式(XV)で示される第三ホスフィン化合物を例示するとトリフェニルホスフィン、ジフェニル−p−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、ジフェニル−p−メトキシフェニルホスフィン、トリ−p−メトキシフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシル−p−トリルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジブチル−p−トリルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ブチルジ−p−トリルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、ジオクチル−p−トリルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン、オクチルジ−p−トリルホスフィン等が挙げられ、中でも流動性と硬化性の観点からはトリフェニルホスフィンまたはトリブチルホスフィンが好ましい。
上記一般式(XVI)中のR〜Rは、水素原子又は置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基を示す。置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基としては特に制限はなく、例えば、脂肪族炭化水素基を含む置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基、脂環式炭化水素基を含む置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基、芳香族炭化水素基を含む置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基を含む置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、アリル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシル基、n-ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ドデシルチオ基等のアルキルチオ基、アミノ基置換アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、アリール基置換アルキル基等の置換アルキル基、アミノ基置換アルコキシ基、水酸基置換アルコキシ基、アリール基置換アルコキシ基等の置換アルコキシ基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基を含む置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等及びこれらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン等が置換したものなどが挙げられる。
芳香族炭化水素基を含む置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基としては、例えば、フェニル基、トリル基等のアリール基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基、フェノキシ基、クレゾキシ基等のアリーロキシ基、フェニルチオ基、トリルチオ基、ジフェニルアミノ基など、及びこれらにアミノ基、ハロゲン等が置換したもの等が挙げられる。
また、上記一般式(XVI)で示されるキノン化合物は、RとRが結合し環状構造となっていてもよい。本発明において用いられる、RとRが結合して環状構造をとる多環式のキノン化合物としては、特に制限はないが、例えば、置換したテトラメチレン基、テトラメチン基等が結合した下記一般式(XVII)〜(XIX)で示される多環式キノン化合物等が挙げられる。
Figure 2006269730
上記一般式(XVI)で示されるキノン化合物を例示すると1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、メトキシ−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノン、tert−ブチル−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等が挙げられ、中でも流動性や硬化性の観点からは1,4−ベンゾキノンが好ましい。
上記一般式(XV)で示される第三ホスフィン化合物と上記一般式(XVI)で示されるキノン化合物との付加物の構造としては、例えば、下記一般式(XX)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(XX)で、R〜Rは、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基もしくは置換又は非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、全て同一でも異なっていてもよい。R〜Rは水素原子又は置換又は非置換の炭素数1〜12の有機基を示し、全て同一でも、異なっていてもよく、RとRが結合して環状構造となっていてもよい。)
上記一般式(XX)で示される第三ホスフィン化合物とキノン化合物の付加物を例示するとトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、ジフェニル−p−トリルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、ジフェニル−p−メトキシフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、シクロヘキシルジフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリシクロヘキシルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリオクチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリオクチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリフェニルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、ジフェニル−p−トリルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、ジフェニル−p−メトキシフェニルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、シクロヘキシルジフェニルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリシクロヘキシルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリオクチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物、トリブチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物及びトリオクチルホスフィンとメチル−1,4−ベンゾキノンとの付加物等が挙げられる。また、流動性と硬化性の観点からは、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物及びトリブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物がさらに好ましい。
(C)硬化促進剤として用いられる第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては特に制限はないが、例えば、原料として用いられるホスフィン化合物とキノン化合物とを両者が溶解する有機溶媒中で付加反応させて単離する方法が挙げられる。具体的には、トリフェニルホスフィン41.6g(1モル)をアセトン120gに溶解したものと、1,4−ベンゾキノン17.6g(1モル)をアセトン80gに溶解したものとを、室温(25℃)〜80℃で混合し、2〜5時間放置後析出した黄褐色結晶をろ過して採取する方法で製造することができる。この際の溶剤としてはアセトンの代わりにアセトンとトルエンの混合溶剤等を用いてもよい。また、(B)硬化剤として用いるフェノール樹脂中で付加反応させる方法等でも製造可能であり、この場合、付加物を単離せずにそのままフェノール樹脂中に溶解した状態で、エポキシ樹脂成形材料の配合成分として用いることができる。
第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を(C)硬化促進剤として用いる場合、第三ホスフィン化合物とキノン化合物の付加物の配合量は、特に制限はないが、その性能を発揮するために(C)硬化促進剤全量に対して30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の配合量は、(A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤の総量に対して0.2〜10質量%が好ましい。0.2質量%未満では硬化性が不十分となる傾向があり、10質量%を超えると流動性が低下する傾向がある。
本発明において用いられる(D)無機充てん剤は、吸湿性、熱伝導性向上及び強度向上のために成形材料に配合されるものであり、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているものであれば特に制限されるものではない。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、充てん剤形状は成形時の流動性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
本発明の第二の実施形態において、(D)無機充てん剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性及び強度向上の観点から、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して70〜96質量%の必要がある。70質量%未満では、難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、96質量%を超えると流動性が不足する傾向がある。なお、反り変形や耐リフローの観点から80〜96質量%が好ましい。80質量%より少ない場合では十分な反り低減効果を得られにくい傾向があり、例えば成形収縮率を0.25%以下に調整することが困難となるだけでなく、吸湿率が大きくなり、耐リフロー性が低下する傾向があるためである。また、リフロー工程後の繰り返し温度サイクルの観点から70〜85質量%が好ましい。85質量%より多い場合は25℃での熱膨張係数が小さくなる傾向があり、実装基板との熱膨張係数差が増大するため、繰り返し温度サイクルによる温度サイクル性が低下する傾向があるためである。以上から、反り変形、耐リフロー及び温度サイクルの観点から80〜85質量%がさらに好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、さらに(E)ケイ素含有重合物を配合することが好ましい。(E)ケイ素含有重合物は、下記一般式(a)または(b)の結合を有し、末端がR、水酸基またはアルコキシ基から選ばれた官能基であれば特に制限はないが、このような重合物として例えば分岐状ポリシロキサンなどが挙げられる。
Figure 2006269730
(一般式(a)、(b)で、Rは炭素数1〜12の置換または非置換の1価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rはすべてが同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(a)及び(b)中のRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、なかでもメチル基又はフェニル基が好ましい。また、(E)ケイ素含有重合物の末端は重合物の保存安定性の点から前述のR、水酸基またはアルコキシ基のいずれかである。この場合のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。
(E)ケイ素含有重合物は、さらに下記一般式(c)の結合を有することが、得られる封止用エポキシ樹脂成形材料の成形性と低反り性の両立の観点から好ましい。
Figure 2006269730
(一般式(c)で、Rは炭素数1〜12の置換または非置換の1価の炭化水素基から選ばれ、ケイ素含有重合物中の全Rはすべてが同一でも異なっていてもよい。Xはエポキシ基を含む1価の有機基を示す。)
上記一般式(c)中のRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、なかでもメチル基又はフェニル基が好ましい。
また、上記一般式(c)中のXとしては2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等が挙げられ、なかでも3−グリシドキシプロピル基が好ましい。
さらに、(E)ケイ素含有重合物のエポキシ当量は、500〜4000の範囲であることが好ましく、1000〜2500がより好ましい。500未満では、封止用エポキシ樹脂成形材料の流動性が低下する傾向にあり、4000を超えて大きいと硬化物表面に染み出しやすく、成形不良を起こし易い傾向にある。
上記した(E)ケイ素含有重合物の軟化点は40℃〜120℃に設定されることが好ましく、50℃〜100℃に設定されることがより好ましい。40℃未満では得られる封止用エポキシ樹脂成形材料の硬化物の機械強度が低下する傾向にあり、120℃を超えて高いと封止用エポキシ樹脂成形材料中への(E)ケイ素含有重合物の分散性が低下する傾向にある。(E)ケイ素含有重合物の軟化点を調整する方法としては、(E)ケイ素含有重合物の分子量、構成結合単位(例えば前記一般式(a)〜(c)の含有比率等)、ケイ素原子に結合する有機基の種類を設定することで調整可能であるが、特に封止用エポキシ樹脂成形材料への(E)ケイ素含有重合物の分散性及び得られる封止用エポキシ樹脂成形材料の流動性の観点から(E)ケイ素含有重合物中のアリール基の含有量を設定して軟化点を調整することが好ましい。この場合のアリール基とは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基がより好ましい。好ましくは(E)ケイ素含有重合物中のケイ素原子に結合した一価の有機基中のフェニル基の含有量を60モル%〜100モル%に設定し、さらに好ましくは70モル%〜85モル%に設定することで、所望の軟化点を有する(E)ケイ素含有重合物を得ることができる。
(E)ケイ素含有重合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値で、1000〜30000、好ましくは2000〜20000、さらに好ましくは3000〜10000である。また(E)ケイ素含有重合物は、ランダム共重合体であることが好ましい。
このような(E)ケイ素含有重合物は以下に示す製造方法により得ることができるが、市販品としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名AY42−119として入手可能である。
(E)ケイ素含有重合物の製造方法は、特に制限なく公知の方法で製造することができる。例えば、加水分解縮合反応により上記一般式(a)〜(c)の単位を形成し得るオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、シロキサン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を原料及び反応生成物を溶解可能な有機溶剤と原料のすべての加水分解性基を加水分解可能な量の水との混合溶液中に混合し、加水分解縮合反応させて得ることができる。この際、封止用エポキシ樹脂成形材料中に不純物として含有される塩素量を低減させるためにオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンを原料とすることが好ましい。この場合、反応を促進する触媒として、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが好ましい。
(E)ケイ素含有重合物の原料となるオルガノアルコキシシラン及び/またはシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(フェニル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(フェニル)ジエトキシシラン、およびこれらの加水分解縮合物等が挙げられる。
本発明の第二の実施形態において、(E)ケイ素含有重合物の含有量は封止用エポキシ樹脂成形材料全体の0.2質量%〜8.0質量%である必要があり、2.5〜8.0質量%がより好ましい。0.2質量%未満では、(E)ケイ素含有重合物の添加効果が見られず、8.0質量%を超えて多いと得られる封止用エポキシ樹脂成形材料の熱時硬度が低下する傾向にある。
また、第二の実施形態において、(E)ケイ素含有重合物の含有量Vf2と(D)無機充てん剤の含有量Vf1は下記(1)式の関係を満たす必要がある。(D)無機充てん剤の含有量と(E)ケイ素含有重合物の含有量が、先に述べた範囲内にあった場合でも、(D)無機充てん剤の含有量が少ない場合は、(E)ケイ素含有重合物の含有量を多く配合しなければ、十分な反り低減効果を得られず、例えば硬化物の成形収縮率を0.25%以下に設定できないためである。
Vf2>−0.325×Vf1+30.6 ・・・・・ 式(1)
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、IC等の電子部品の素子の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、必要に応じてイオントラップ剤をさらに配合することができる。イオントラップ剤としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、下記組成式(XXI)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
(化20)
Mg1-XAlX(OH)2(CO3X/2・mH2O ……(XXI)
(組成式(XXI)で、0<X≦0.5、mは正の数)
イオントラップ剤の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、流動性及び曲げ強度の観点から(A)エポキシ樹脂に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、樹脂成分と無機充てん填剤との接着性を高めるために、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加することができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カップリング剤の配合量は、(D)無機充てん剤に対して0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましい。0.05質量%未満では各種パッケージ構成部材との接着性が低下する傾向があり、5質量%を超えるとボイド等の成形不良が発生し易い傾向がある。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には必要に応じて難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、従来公知の臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモンを用いることができるが、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を用いることもできる。たとえば、赤リン、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等で被覆された赤リン、リン酸エステル、酸化トリフェニルホスフィン等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属錯体化合物、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等の亜鉛化合物、酸化鉄、酸化モリブデン等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、下記組成式(XXII)で示される複合金属水酸化物などが挙げられる。
(化21)
p(M ab)・q(M cd)・r(M cd)・mH2O (XXII)
(組成式(XXII)で、M、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
上記組成式(XXII)中のM、M及びMは互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、Mが第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、MがIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、Mがマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、Mが鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、Mがマグネシウム、Mが亜鉛又はニッケルで、r=0のものが好ましい。p、q及びrのモル比は特に制限はないが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であることが好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。上記した難燃剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、液状ゴム、ゴム粉末、熱可塑性樹脂等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種原材料を均一に分散混合できるのであればいかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使いやすい。
本発明の電子部品装置は、複数の素子を樹脂基板上にダイボンディング材を介して格子状に実装し、素子を含む樹脂基板を封止用エポキシ樹脂成形材料で片面封止し、分割してなる樹脂封止型電子部品装置であって、厚みが0.2mm未満の樹脂基板と、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料との組み合わせによって構成されることを特徴とする。
本発明に用いられる樹脂基板は、ガラス織布、ガラス不織布に熱硬化性樹脂を含浸させたガラス基材エポキシ樹脂基板、ガラス基材ビスマレイミド・トリアジン樹脂基板など、いわゆるリジッド基板が挙げられる。あるいはポリイミド樹脂を用いた、いわゆるフレキシブル基板でも良い。樹脂基板表面には通常、配線回路を保護することを目的として、ソルダレジストが厚み20μmから50μmの範囲で塗布され、露光現像されることによって、外部と電気的接続をとる端子部が開口されるが、ソルダレジストを塗布しなくても良い。樹脂基板の厚みは、0.2mm未満である必要があり、0.01mm〜0.2mm未満が好ましく、更には0.025mm〜0.1mm以下が好ましい。厚みが0.2mm以上の基板では、ダイボンディング材等の構成材料の吸湿した水分がリフロー工程で気化膨張する際、パッケージの外部へ抜けづらくなり、水蒸気圧によって構成材料間にはく離やクラックが発生し易くなる。一方、0.01mmより薄い場合、加工が難しく、加工できたとしても、薄すぎることによりハンドリング性に劣るためである。
本発明で得られる樹脂基板と封止用エポキシ樹脂成形材料の組み合わせにより構成される電子部品装置としては、実装基板接続用の端子を形成した樹脂基板にダイボンディング材を介して半導体素子を搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより半導体素子と樹脂基板に形成された配線を接続した後、封止用エポキシ樹脂成形材料で半導体素子搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などの片面封止パッケージが挙げられる。
樹脂基板上の封止厚みは1.0mm未満で、かつ基板厚みの10倍以下が好ましい。封止厚みが1.0mm以上、または基板厚みの10倍を超えて厚いと、半導体素子や樹脂基板との熱膨張係数差による反りが大きくなる傾向があり、本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料を用いても十分な反り低減効果を得られにくくなるからである。封止用エポキシ樹脂成形材料に対する半導体素子の占有体積は5%〜50%の範囲が好ましい。10%〜40%の範囲がさらに好ましい。占有体積が5%より小さい場合は封止用エポキシ樹脂成形材料の体積が多くなるため、十分な反り低減効果が得られにくい傾向があり、50%より大きくなると、半導体装置の反りが上記と逆方向に増大する傾向があるからである。以上の半導体素子の占有体積は半導体素子の積層数や厚みを限定するものではなく、厚みの異なる半導体素子を実装した場合でも、多段に半導体素子を積層した場合でも同様である。ダイボンディング材の厚みは特に限定するものではないが、10μm〜50μmの範囲が好ましい。10μmより薄い場合は樹脂基板表面の段差をダイボンディング材で十分に埋め込むのが困難で、リフロー時に埋め込み不足に起因したはく離、クラックが発生する傾向があり、50μmより厚い場合、ワイヤボンディング時の超音波出力がダイボンディング材に吸収され、半導体素子上に十分な超音波を伝達できず、ワイヤボンディング不良が発生し易くなる傾向があるからである。
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料が適用可能な電子部品装置の外形サイズ(はんだボール取り付け高さは除く。)は、5.0mm(W)×5.0mm(D)×0.3mm(H)から25.0mm(W)×25.0mm(D)×2.0mm(H)までの範囲が好ましい。5.0mm(W)×5.0mm(D)×0.3mm(H)より小さい場合は、反り変形、耐リフロー性、耐温度サイクル性ともに大きな問題とはならず、既存の封止用エポキシ樹脂成形材料の適用で十分であるからである。一方、25.0mm(W)×25.0mm(D)×2.0mm(H)を超えて大きいと、本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料を適用しても、反り変形や耐温度サイクル性を十分に満足できない場合があるからである。上記電子部品装置の外形サイズは正方形であることが好ましいが、上記範囲内であれば、長方形であっても構わない。また、一括封止サイズは上記電子部品装置の10倍以下、すなわち、50.0mm(W)×50.0mm(D)から250mm(W)×250mm(D)の範囲が好ましい。
以上、本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料と樹脂基板との組み合わせによって構成された片面封止型パッケージは反り量が小さく、リフロー工程でのはく離やクラックを抑制でき、さらにリフロー工程後の温度サイクルにおいてはんだボールのクラックを抑制できる特徴を有し、携帯電話、PDA(Personal Display Assistance)、デジタルカメラ等の小型携帯機器に用いて最適である。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜2、比較例1〜8)
下記成分をそれぞれ表1に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
(A)エポキシ樹脂として、エポキシ当量241、軟化点95℃のフェノール・アラルキル型エポキシ樹脂/4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル混合物(混合質量比2/8)(日本化薬株式会社製商品名CER−3000L)を使用した。
(B)硬化剤として水酸基当量209、軟化点81℃のアセナフチレン含有β−ナフトール・アラルキル樹脂(新日鐵化学株式会社製商品名SN−170−AR10)を使用した。
(C)硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物を使用した。
(D)無機充てん剤として平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカ;(E)ケイ素含有重合物としてエポキシ当量1660、軟化点80℃のポリシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名AY42−119)を使用した。
カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー株式会社製商品名A−187)を使用した。その他の添加剤としてカルナバワックス(クラリアント社製)及びカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)を使用した。
Figure 2006269730
作製した実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の各試験により評価した。結果を表2及び表3に示す。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)成形収縮率
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で10mm(W)×80mm(D)×3mm(H)の試験片に成形し、後硬化した硬化物の25℃での長辺方向(D)の寸法を、マイクロメーターを用いて1μm単位まで測定して、180℃の金型寸法(硬化物の成形直後の25℃での寸法)に対する前記後硬化した硬化物の寸法から成形収縮率を算出した。
(2)熱膨張係数
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で3mm(W)×19mm(D)×3mm(H)の試験片に成形し、後硬化後、セイコーインスツルメンツ株式会社製の熱機械分析装置(EXSTAR6000システム、TMA/SS6100)により、圧縮法(荷重19.6mN)で25℃〜50℃の温度範囲、昇温速度2℃/minで昇温測定を行い、得られる熱膨張曲線から25℃での熱膨張係数を算出した。
(3)反り変形量
基板サイズ60mm(W)×90mm(D)、厚みが0.1mm、0.2mm、0.4mmのガラス基材エポキシ樹脂基板(日立化成工業株式会社製商品名MCL−E−679F(G))の両面にソルダレジスト(日立化成工業株式会社製商品名SR7200G)を25μm厚み塗布した基板上に、6.5mm(W)×6.5mm(D)×0.28mm(H)のシリコンチップをダイボンディング材(日立化成工業株式会社製商品名HS−231)を介して10mmピッチで4個×7個の格子状に実装し、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて40mm(W)×70mm(D)×0.8mm(H)の範囲に片面封止を行い、得られた成形物の後硬化後の25℃での反り量を評価した。反り量の測定は封止範囲の長辺方向に、非接触形状測定機を用いて高さ方向の変位を測定し、1サンプル内の高さ方向の測定値の最大値と最小値の差を反り変形量として評価した。
(4)耐リフロー性
上記(3)の後硬化後の成形物をシリコンチップが中心となるように10mm(W)×10mm(D)の大きさに28分割し、個々の半導体装置を得た。これら半導体装置に所定の吸湿(85℃/85%RH/168時間)を与えた後、リフロー試験(260℃/20秒、最高温度265℃、繰り返し回数3回)を行った。試験後に超音波探査映像装置を用いて半導体装置内部を詳細に調べるとともに、断面観察を行い、はく離やクラックが生じたものを不良とした。
(5)耐温度サイクル性
上記(3)の後硬化後の成形物をシリコンチップが中心となるように10mm(W)×10mm(D)の大きさに分割した半導体装置の基板裏面に直径0.3mmの錫銀銅系はんだボール(千住金属工業社製M705)を半導体装置1個あたり、4行4列に0.5mmピッチで256個搭載し、その後、実装基板(日立化成工業株式会社製商品名E−67)にリフロー実装することによって、評価用サンプルを得た。これら評価用サンプルを用いて、温度サイクル試験(高温保持条件125℃/15分、低温保持条件−55℃/15分、繰り返し回数1000回)を行った。試験後に、はんだボール接続部の導通試験を行い、初期(温度サイクル試験前)の抵抗値の2倍以上を不良とした。
Figure 2006269730
Figure 2006269730
本発明における封止用エポキシ樹脂成形材料から得られた硬化物の所定条件下で求めた成形収縮率が0.25%よりも大きいか、25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃より小さい比較例1〜8は反り変形、耐リフロー性、耐温度サイクル性の少なくともいずれかに劣っている。また、これに対して、実施例1及び2はいずれも反り変形、耐リフロー性、及び耐温度サイクル性のバランスに優れる。

Claims (3)

  1. 180℃の金型寸法に対する後硬化後の硬化物の25℃での成形収縮率が0.25%以下、前記後硬化後の硬化物の25℃での熱膨張係数が10.0×10−6/℃以上であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂成形材料。
  2. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充てん剤、(E)ケイ素含有重合物を含有し、(D)無機充てん剤の含有量が全体の70〜96質量%の範囲、(E)ケイ素含有重合物の含有量が全体の0.2質量%〜8.0質量%の範囲であって、(D)無機充てん剤の含有量Vf1(質量%)と(E)ケイ素含有重合物の含有量Vf2(質量%)とが次式(1)の関係を満たすことを特徴とする封止用エポキシ樹脂成形材料。
    Vf2>(−0.325×Vf1+30.6) ・・・・・ 式(1)
  3. 複数の素子を樹脂基板上にダイボンディング材を介して格子状に実装し、素子を含む樹脂基板を封止用エポキシ樹脂成形材料で片面封止し、分割してなる樹脂封止型電子部品装置であって、厚みが0.2mm未満の樹脂基板と、請求項1または2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料との組み合わせによって構成されることを特徴とする電子部品装置。
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