JP2006268448A - タグ検出装置 - Google Patents

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【課題】 本発明の目的は、磁気式タグが受信コイル24から離れても誤動作が起きにくいタグ検出装置を提供することにある。
【解決手段】 タグ検出装置10は、磁気式タグの保磁力を超える強さの交流磁界を印加する励磁手段12と、検査領域の磁界の変化を検出し、受信信号として出力する受信手段14と、受信信号から、磁気式タグの磁化反転に起因して生じる高調波成分の電圧波形を取り出す処理手段16と、磁化反転に起因して生じる電圧波形を矩形波列に変換する手段34と、予め決められた矩形波列数を矩形波列数設定値として記憶する手段36と、基本波をゼロクロスさせて方形波に変換する手段38と、方形波の立ち上がりまたは立ち下がりを基準とする時間において、変換された矩形波列数と記憶された矩形波列数設定値とを比較する手段と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、商品などに取り付けられたタグによって、物品の移動を監視し、物品の盗難を防止するタグ検出装置に関するものである。
磁気式タグを物品に取り付けて物品の盗難を防止するタグ検出装置がある。図3に従来より使用されているタグ検出装置50の構成を示す。タグ検出装置50は、励磁コイル20と、受信コイル24と、受信コイル24からの受信信号の高調波成分のみを取り出す処理手段16と、取り出した高調波成分の電圧信号の振幅を予め設定しておいた閾値と比較し、閾値よりも大きな信号であれば失効されていない磁気式タグをありと判定する判定手段52とを含む。ここで言う失効とは、物品を正規に購入し、商店等の外に持ち出しても問題ない場合に、失効器を使って磁気式タグに強い磁界を与え、後述する大バルクハウゼン効果を引き起こさせない状態にすることを言う。失効されていない磁気式タグの有無を判定することによって正規に金品を払ったかどうかを判定する。
上記の励磁コイル20等はゲートの中に設けられる。ゲートは、一般的に2枚の板等を一定間隔を有して対向させたものである。それぞれの板等の中に励磁コイル20等が設けられる。ゲート幅は、例えば約900mmであり、そこをタグが取り付けられた物品が通過するようにする。受信コイル24は2つであり、図4に示すように、励磁コイル20の内側に受信コイル24を設ける。励磁コイル20と受信コイル24の巻き数は任意である。後述する差動増幅をおこなうために、2つの受信コイル24の巻き数は同数である。
磁気式タグはアモルファス金属で形成される。所定周波数で励磁された交流磁界中のアモルファス金属からなる磁気式タグの磁化反転現象は、大バルクハウゼン効果と呼ばれる現象である。大バルクハウゼン効果とは、高透磁性でかつ低保磁力の金属において、外部磁界が、金属固有のある閾値を超えると、急激に金属内に逆磁区が形成され、磁壁が移動して金属の磁化反転が終了する現象である。高透磁性でかつ低保磁力であるアモルファス金属を使った磁気式タグでは容易に大バルクハウゼン効果を引き起こす(図5)。大バルクハウゼン効果による急激な磁化反転に伴う磁界の変化は、ある特定周波数の高調波成分であり、交流磁界の所定周波数成分とともに受信手段14で受信される。大バルクハウゼン効果は失効器によって発生しないようにすることができる。
処理手段16は、差動増幅回路26、ハイパスフィルタ28、ローパスフィルタ30、交流増幅回路32等が含まれる。差動増幅回路26は2つの受信コイル24からの受信信号の電位の差をとり、増幅する回路である。図6は、差動増幅の一例を示すグラフであり、上から順番に、差動増幅された信号(以降、これを基本波と定義する)、2つの受信コイル24の内の一方の受信コイル24の受信信号、他方の受信コイル24の受信信号である。グラフの縦軸は2V/divであり、横軸は1msec/divである。各波形は、振幅の中心が0Vとなっている。
ハイパスフィルタ28とローパスフィルタ30はバンドパスフィルタに置き換えても良い。処理手段16は、バンドパスフィルタと交流増幅回路32とが多段接続されている。
処理手段16は、差動増幅によって2つの受信コイル24の受信信号の電位の差分を取り、増幅する。差分された受信信号から大バルクハウゼン効果に伴う高調波成分のみをハイパスフィルタ28やローパスフィルタ30などからなる回路によって取り出す。失効された磁気式タグがある場合または磁気式タグがなければ図7(a)のように受信信号はほぼ0Vとなり、失効されていない磁気式タグがあれば図7(b)のように大バルクハウゼンジャンプによる電圧が現れる。
マイコンなどの演算装置56が、取り出した高調波成分による信号の振幅を記憶手段54に予め記憶しておいた振幅の閾値と比較し、その閾値より大きな信号であれば失効されていない磁気式タグをありとして判定している(特許文献1)。例えば、図8に示すように、失効された磁気式タグがある場合または磁気式タグがなければ、検出したい信号と同じ周波数のノイズが現れるのみである。また、図9に示すように、受信コイルから100mmのところに失効されていない磁気式タグがある場合、検出したい信号が現れる。この信号はノイズよりも大きいためタグ検出装置50が誤動作するおそれはない。
特開平8−235460号公報(請求項5または第6ページ)
しかし、磁気式タグと受信手段14との距離が離れている場合には、大バルクハウゼン効果による磁界の変化の大きさが距離の自乗に反比例して小さくなって受信手段14で受信されるため、磁気式タグによる高調波成分の信号振幅は外乱ノイズと同程度以下の大きさとなり、閾値と比較判定する方法では検出できない。例えば、図10のように受信コイルから500mmのところに失効されていない磁気式タグがある場合、ノイズの方が大きくなる。
また、閾値よりも大きな値の外乱ノイズが発生した場合、失効された磁気式タグがある場合または磁気式タグが無かった場合であっても失効されていない磁気式タグありとして誤判定してしまう。
上述のように、磁気式タグによる高調波成分の信号振幅を予め設定した閾値と比較判定する方法は、受信できる距離が制限され、また誤検出を起こす問題があった。
そこで本発明の目的は、磁気式タグが受信コイル24から離れても誤動作が起きにくいタグ検出装置を提供することにある。
本発明のタグ検出装置は、検査領域を通過する物品に取り付けられたアモルファス金属からなる磁気式タグを検出するタグ検出装置であって、前記磁気式タグの保磁力を超える強さの交流磁界を印加する励磁手段と、前記検査領域の磁界の変化を検出し、受信信号として出力する受信手段と、前記受信信号から、前記磁気式タグの磁化反転に起因して生じる電圧波形を取り出す処理手段と、磁化反転に起因して生じる前記電圧波形を矩形波列に変換する手段と、予め決められた矩形波列数を矩形波列数設定値として記憶する手段と、基本波をゼロクロスさせて方形波に変換する手段と、前記方形波の立ち上がりまたは立ち下がりを基準とした一定時間後の定められた期間において、変換された前記矩形波列数と記憶された前記矩形波列数設定値とを比較する手段と、を備える。
前記矩形波列数設定値以上の矩形波列が連続して生じる回数を連続回数として記憶する手段と、前記矩形波列数が矩形波列数設定値に比べて多い状態が前記連続回数発生した場合に、失効されていない磁気式タグがあると判定する手段と、を備える。
前記矩形波列に変換する手段は、閾値以上の電圧を矩形波に変換する手段である。
本発明によると、矩形波列数によって磁気式タグの有無を判定するので、磁気式タグと受信手段との距離が離れた場合であっても、外乱ノイズに影響されることなく確実に磁気式タグを検出することができるようになった。また、失効された磁気式タグまたは磁気式タグがない場合であっても、失効されていない磁気式タグをありと判定することがなくなった。
本発明に係るタグ検出装置について図面を用いて説明する。タグ検出装置は、薬局や本屋や宝石貴金属、メガネ、ビデオ、CD等の物品を販売または貸し出しをする商店等の出入り口に設置されるゲート状の装置であり、物品にタグを取り付けて、ゲート(検出領域)を通過する際のタグの情報を読み取って、正規に金品を払ったものかどうか判断するものである。タグ情報の読み取り方法は電波式、電磁波式、磁気式の種類がある。本発明は磁気式の読み取り方法によるタグについて取り扱う。
磁気式タグは鉄、ニッケル、コバルト、モリブデンなどを主成分としたアモルファス金属からなる。アモルファス金属を含んだ磁気式タグは、ラベル状のものやファスナー状のものがある。
図1に示すように、本発明のタグ検出装置10は、磁気式タグの保磁力を超える強さの交流磁界を印加する励磁手段12と、検査領域の磁界の変化を検出し、受信信号として出力する受信手段14と、受信信号から、磁気式タグの磁化反転に起因して生じる高調波成分の電圧波形を取り出す処理手段16と、失効されていない磁気式タグの有無を判定する判定手段18と、を備える。
励磁手段12、受信手段14、処理手段16、判定手段18は商店などの出入り口に設置されるゲートに設けられる。ゲートは、従来と同じく2枚の板等を対向させたものであり、それぞれの板等に励磁手段12等が設けられる。この2枚の板等の間が検出領域となる。
励磁手段12は、励磁コイル20と励磁コイル20に磁界を発生させるための励磁電源22からなる。励磁電源22は、励磁コイル20に磁界を発生さるため、所定周波数の正弦波からなる交流電圧を発生する。所定周波数は約100〜400Hz、好ましくは約200〜400Hz、最適には約300Hzの周波数帯である。励磁コイル20に流れる電流は約0.5〜2A程度、好ましくは1.0〜2A程度である。励磁コイルは、磁気式タグの保磁力を越える強さの交流磁界を発生する。磁気式タグの保磁力を超える磁界強度は数十〜数百ミリガウス程度である。
受信手段14は、受信コイル24からなる。1つの励磁コイル20に対して2つの受信コイル24を設ける。2つの受信コイル24の巻き数は同数である。受信コイル24は、検出領域の交流磁界の変化を検出し、受信信号として出力する。
処理手段16は、受信信号を処理するアナログ回路からなる。アナログ回路は、磁気式タグの磁化反転に起因して生じる波形を取り出す。具体的な回路としては、従来技術で説明したように、差動増幅回路26、ハイパスフィルタ28、ローパスフィルタ30、交流増幅回路32等が含まれる。磁化反転に起因して生じる電圧波形は約3000〜7000Hz、好ましくは約4000〜6000Hzの特定周波数帯の波形である。
判定手段18は、磁化反転に起因して生じる電圧波形を矩形波列に変換する手段34と、予め決められた矩形波列数を矩形波列数設定値として記憶する手段36と、基本波をゼロクロスさせて方形波に変換する手段38と、方形波の立ち上がりまたは立ち下がりを基準とする一定時間後の定められた期間において、変換された矩形波列数と記憶された矩形波列数設定値とを比較する手段と、を備える。なお、矩形波列は、矩形波が並んだものであり、矩形波列数は矩形波列中の矩形波の数であるとする。
矩形波列に変換する手段34は、閾値以上の電圧を飽和させて矩形波に変換する回路である。従来技術で説明したように、磁気式タグの影響による電圧よりもノイズによる電圧の方が高い場合があるので、閾値は、検査領域内で磁気式タグが受信コイル24から最も離れたときに発生する電圧を基準に決定する。閾値以上の電圧とノイズとが所定の電圧まで飽和し、頂点がフラットな矩形波に変換される。
図2(a)に示すように、差動増幅回路26で取り出された電圧波形は、基本波(正弦波)44の振幅の頂点付近で大バルクハウゼンジャンプによる電圧46が現れる。この基本波44および大バルクハウゼンジャンプによる電圧46は、ハイパスフィルタ28などを通過させて高調波成分のみをとりだし、矩形波列に変換する手段34によって図2(b)に示すような矩形波列48に変換される。
上記の矩形波列数設定値は、失効された磁気式タグまたは磁気式タグがないときでも商用電源等による外来ノイズによって発生する電圧波形から矩形波に変換したときの単位時間あたりの矩形波列数またはそれ以上の大きさである。この矩形波列数設定値を記憶する手段36は、コンピュータで使用されるメモリなどである。
方形波に変換する手段38は、図2(a)に示す基本波44が0Vになるタイミングで図2(b)に示すような立ち上がりまたは立ち下がりとなる方形波47を生成する。基本波44の周波数は、例えば約300Hzである。
比較する手段は、マイコンやシーケンサなどの演算装置38である。図2(b)に示すように、比較する手段は、例えば時間taを基準として時間t1〜t2の間の矩形波列数と矩形波列設定値とを比較する。これは、大バルクハウゼンジャンプによる電圧46が基本波44の振幅の頂点付近に現れるのを利用している。すなわち、大バルクハウゼンジャンプによる電圧46が周期的に現れるため、周期的な一定時間に現れる矩形波の矩形波列数を比較すれば商用電源等による外来ノイズによる影響を低くすることができる。
判定手段は、矩形波列数設定値以上の矩形波列が連続して生じる回数を連続回数として記憶する手段42を含む。この連続回数を記憶する手段はコンピュータに使用されるメモリなどである。
比較する手段による比較の結果、矩形波列数が矩形波列数設定値に比べて多い状態で、かつ、この状態が連続して上記の連続回数発生した場合に、失効されていない磁気式タグがあると判定する手段を備える。この判定の方法について図2(b)を利用して説明する。例えば、比較する手段は方形波47の立ち上がりを基準として上記比較をおこなうとする。連続回数を例えば3回と記憶しておく。したがって、時間ta,tc,teの3つの連続した立ち上がりのタイミングを基準として時間t1〜t2の間に矩形波列数と矩形波列数設定値とを比較した場合に、矩形波列数の方が多ければ、失効していない磁気式タグがあると判定する。
本発明は、ノイズの影響によって矩形波列が発生し、かつ、ノイズの発生するタイミングと基本波44の振幅が頂点となるタイミングとが一致した場合であっても、記憶した連続回数だけ連続してノイズによる矩形波列が発生しない限り失効していない磁気式タグがあると判定することはない。したがって、単に矩形波列数と矩形波列数設定値とを比較するよりも判定の精度が高くなっている。例えば、ノイズは一般に使用される電力系統の周波数(50Hzや60Hz)で発生することが多く、基本波44の周波数が約300Hzであればノイズと基本波44とは5倍や6倍の周波数の差があり、判定手段18が誤動作することはない。
以上、本発明について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態では、図2(b)の方形波47の立ち上がりを利用したが、立ち下がりを利用しても良い。また、立ち上がりと立ち下がりの両方を利用しても良い。
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
本発明のタグ検出装置の構成を示す図である。 (a)は基本波に大バルクハウゼンジャンプによる電圧が現れている図であり、(b)は方形波と矩形波列との関係を示す図である。 従来のタグ検出装置の構成を示す図である。 励磁コイルと受信コイルとをゲートに納めたときの図である。 アモルファス金属のヒステリシス曲線を示す図である。 差動増幅を示すグラフであり、上から差動増幅された信号、2つの受信コイルの内の一方の受信コイルの受信信号、他方の受信コイルの受信信号である。 大バルクハウゼンジャンプによる電圧を検出する図であり、(a)は磁気式タグが無い場合の図であり、(b)は磁気式タグがある場合の図である。 磁気式タグがない場合のノイズを示す図である。 失効されていない磁気式タグが受信コイルから100mmのところにあるときの受信結果を示す図である。 失効されていない磁気式タグが受信コイルから500mmのところにあるときの受信結果を示す図である。
符号の説明
10,50:タグ検出装置
12:励磁手段
14:受信手段
16:処理手段
18,52:判定手段
20:励磁コイル
22:励磁電源
24:受信コイル
26:差動増幅回路
28:ハイパスフィルタ
30:ローパスフィルタ
32:交流増幅回路
34:矩形波列に変換する回路
36:矩形波列数設定値を記憶する手段
38:方形波に変換する手段
40,56:演算装置
42:連続回数を記憶する手段
44:基本波
46:大バルクハウゼンジャンプによる電圧
47:方形波
48:矩形波列
55:振幅の閾値を記憶する手段

Claims (3)

  1. 検査領域を通過する物品に取り付けられたアモルファス金属からなる磁気式タグを検出するタグ検出装置であって、
    前記磁気式タグの保磁力を超える強さの交流磁界を印加する励磁手段と、
    前記検査領域の磁界の変化を検出し、受信信号として出力する受信手段と、
    前記受信信号から、前記磁気式タグの磁化反転に起因して生じる電圧波形を取り出す処理手段と、
    磁化反転に起因して生じる前記電圧波形を矩形波列に変換する手段と、
    予め決められた矩形波列数を矩形波列数設定値として記憶する手段と、
    基本波をゼロクロスさせて方形波に変換する手段と、
    前記方形波の立ち上がりまたは立ち下がりを基準とする定められた時間において、変換された前記矩形波列数と記憶された前記矩形波列数設定値とを比較する手段と、
    を備えたタグ検出装置。
  2. 前記矩形波列数設定値以上の矩形波列が連続して生じる回数を連続回数として記憶する手段と、
    前記矩形波列数が矩形波列数設定値に比べて多い状態が前記連続回数発生した場合に、失効されていない磁気式タグがあると判定する手段と、
    を備えた請求項1に記載のタグ検出装置。
  3. 前記矩形波列に変換する手段は、閾値以上の電圧を矩形波に変換する手段である請求項1または2に記載のタグ検出装置。
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