JP2006267370A - 液晶表示装置 - Google Patents

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祐介 大橋
Junichi Hirakata
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Abstract

【課題】 熱等の歪みによる光漏れを低減させた液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板9,13と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶層11と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板とを有し、
該偏光板は偏光膜3,18と少なくとも一層の光学異方性層7,14とを有し、
該偏光膜の吸収軸4,19と表示装置の画面左右方向が概略平行あるいは垂直であり、
かつ、前記液晶層は、一画素に視野角特性が異なる複数の領域を有するマルチドメイン方式であることを特徴とする液晶表示装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に画面周辺部の光漏れを低減したマルチドメイン方式の液晶表示装置に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニタなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる表示装置としては、CRT(Cathode Ray Tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display(液晶ディスプレイ))が、薄型で、軽量で、且つ消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を含む。偏光板は、通常、保護膜と偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、更には一枚以上の光学補償シートを配置することもある。また、反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート及び偏光板の順に配置する。液晶セルは、通常、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いでON−OFF表示をおこない、透過型、反射型及び半透過型のいずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)のような表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大したりするために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。様々な表示モードに対応した光学補償シートが、既に種々提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶分子がねじれ構造を解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる。
現在主流であるTNモードのTFT液晶表示装置においては、特許文献1に記載のように光学補償シートを偏光板と液晶セルの間に挿入し、表示品位の高い液晶表示装置を実現している。
しかし、この方法によると液晶表示装置自体が厚くなるなどの問題点があった。
そこで、特許文献2には、偏光膜の片面に位相差板、他方の面に保護フィルムを有する楕円偏光板を用いることで、液晶表示装置を厚くすることなく、正面コントラストを高くすることができる液晶表示装置が提案されている。しかし、この提案では、位相差フィルム(光学補償シート)に、熱等の歪みにより液晶表示装置の端部に予期しない位相差が発生しやすく、耐久性に問題があることがわかった。つまり、この位相差により液晶表示装置に黒表示時に額縁状の光漏れ(液晶表示装置の端部での透過率の上昇)が生じ、液晶表示装置の表示品位が低下してしまうという問題があった。
歪みによる位相差発生の問題に対し、特許文献3及び特許文献4においては、透明支持体上にディスコティック(円盤状)化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フィルムとして用いることが提案されており、かかる提案により液晶表示装置を厚くすることなく、上述の耐久性に関する問題を解決した。
また、特許文献5では、光学補償シートの光弾性係数と粘着剤層の弾性率との積を1.2×10-5以下とすることが、特許文献6では、粘着剤層の弾性率を0.06MPa以下とすることが、特許文献7では、偏光板保護層の線膨張係数と粘着剤層の弾性率との積を1.0×10-5(℃-1・MPa)以下とすることが、特許文献8では、偏光板保護層の光弾性係数と粘着剤層の弾性率との積を8.0×10-12(m2/N・MPa)以下とすることが、それぞれ提案されており、これらにより上記耐久性に関する問題が解決できるとされている。
特開平8−50206号公報 特開平2−247602号公報 特開平7−191217号公報 欧州特許出願公開第911656号明細書 特開2001−264538号公報 特開2001−272542号公報 特開2002−122739号公報 特開2002−122740号公報
しかし、最近では17インチ以上の大型の液晶表示装置の要望が多く、かかる大型の液晶表示装置用の大型パネルに、上述した各提案にかかる光学補償シートを保護フィルムに用いた偏光板を装着したところ、熱歪みによる額縁状等の光漏れは完全には無くならないことが判明した。
本発明の目的は、熱等の歪みによる光漏れを低減させた液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、液晶パネルに熱がかかった(熱歪による光漏れが顕著に観察される条件である高温ドライの乾燥機に入れ取り出して見た)場合、表示装置の画面左右方向に対して、偏光膜の吸収軸方向が概略平行または垂直となるように偏光板を配置した液晶表示装置では、偏光板膜の吸収軸方向が−45度と45度となるように偏光板を配置した液晶表示装置に比べ、液晶パネル周辺部や液晶パネルコーナー部に発生する上記熱歪みによる光漏れが、格段に小さくなることを発見した。
その原因は、偏光板の光学補償シートの各部分に発生する位相差の遅相軸のほとんどは表示装置の画面左右方向に対して、ほぼ平行又は垂直に発生しているためであった。
従来のマルチドメインの液晶表示装置においては、偏光板吸収軸の配置角度が、画面左右方向に対して45°、−45°となっていたが、上記の発見により、0°、90°とすることによって、画面周辺部の光漏れを低減したマルチドメイン液晶表示装置を考察するに到った。
つまり、偏光板の吸収軸の配置角度を変更し、かつ液晶セルをマルチドメインにすることによって、目的を達成することができる。
すなわち、上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1) 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶層と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板とを有し、
該偏光板は少なくとも偏光膜と少なくとも一層の光学異方性層とを有し、
該偏光膜の吸収軸と、表示装置の画面左右方向が、概略平行あるいは垂直であり、
かつ、前記液晶層は、一画素に視野角特性が異なる複数の領域を有するマルチドメイン方式であることを特徴とする液晶表示装置。
(2) 前記複数の領域ではそれぞれ液晶の配向の向きが異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
(3) 前記複数の領域ではそれぞれ同一の入力信号に対して複数の電界が出力として印加されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
(4) 前記液晶層がTNモードであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶表示装置。
液晶表示装置に熱等がかかった場合に発生する光漏れが生ずることがなく、表示品位の高いマルチドメイン方式の液晶表示装置を提供しうるものである。
また、本発明の方法は、画像表示品位に優れ、TNモードの液晶表示装置に有利に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶層と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板と、該液晶層と該一対の偏光板との間に、少なくとも一層の光学異方性層とを有する液晶表示装置に関する。
本発明をTNモードの液晶表示装置に適用した実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1の液晶表示装置は、上側基板9及び下側基板13と、これらに挟持され、液晶分子から形成される液晶層とからなる液晶セル22を有する。基板9及び13の液晶分子に接触する表面(対向面)は、所望により配向膜(不図示)が形成されている。対向面は、ラビング処理等により配向軸(ラビング方向)を有し、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子の配向が制御されている。また、基板9及び13の対向面には、液晶分子からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。なお、本発明の液晶セルはマルチドメインとなっている。
図1の液晶表示装置は、TNモードの液晶表示装置を示している。
TNモードの液晶表示装置においては、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル22中の液晶分子は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向が上下基板の間で捩れている。ノートPCやモニタなどのパネルではツイスト角は90°であり、携帯電話用パネルなどではツイスト角は40°〜80°である。印加電圧を大きくしていくと液晶分子7は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。
TNモードでは、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2μm〜1.2μmが好ましく、0.2μm〜0.5μmがさらに好ましい。また、液晶層のねじれ角(ツイスト角)は0°より大きく100°未満が好ましく、85°〜95°がより好ましい。これらの範囲では白表示輝度が高く、視野角の広い液晶表示装置が得られる。液晶分子のツイスト角を0°より大きく100°未満とするには、基板9及び13のそれぞれのラビング方向のなす角を0°より大きく100°未満とする。例えば、基板の水平面中の左右方向を0°とした場合に、バックライト側には、0°の方向に傾いたラビング方向を有する基板を配置し、観察者側には、90°の方向に傾いたラビング方向を有する基板を配置するのが好ましい。
液晶セル中の液晶材料は、ネマチック液晶であれば、特に制限はない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減できる。屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。また、Δnが大きい方がセルギャップを小さくでき、高速応答が可能となる。
図1の液晶表示装置は、上記液晶セル22の両側に配置された一対の偏光膜3及び18を有する。さらに、液晶セルと一対の偏光膜との間には、任意の配向状態に固定された化合物を含有する光学異方性層7及び14が、液晶セルを中心としてそれぞれ対照的位置に配置され、液晶セルを光学的に補償している。光学異方性層7及び14は、ラビング方向8及び15によって配向制御され、且つその状態に固定された化合物を含有する。また、直線偏光膜3及び18は、それぞれの吸収軸4及び19が略直交になるように、配置されている。なお、図1中では、液晶セルと表示面側及びバックライト側の偏光板との間にそれぞれ光学異方性層を有する態様を示したが、本発明では、液晶セルに対し表示面側とバックライト側の少なくとも一方に1層有すればよい。それぞれ1層以上配置されるのが好ましい。また、光学異方性層は、旋光性があってもよい。
なお、図1には、偏光膜3及びそれを挟持する一対の透明保護膜1及び5によって構成されている上側偏光板と、偏光膜20及びそれを挟持する一対の透明保護膜16及び20によって構成されている下側偏光板とを有する態様を示したが、偏光膜3及び18の液晶セルに近い側の保護膜5及び16は、光学異方性層7及び14の支持体を兼ねていてもよく、即ち、偏光膜3及び18は、光学異方性層7及び14と共に一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれていてもよい。本発明の液晶表示装置では、光学補償シートの透明支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜と兼ねた構成、即ち、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)及び光学異方性層の順序で積層した一体型楕円偏光板を用いることができる。この一体型楕円偏光板は、光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、該一体型楕円偏光板を用いると、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明支持体及び光学異方性層の順序で積層することが好ましい。
また、本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、バックライトと液晶セルとの間に輝度向上フィルムや拡散フィルムを配置してもよい。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん該光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の一画素の中で反射部と透過部を設けた半透過型であってもよい。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
次に、本発明の液晶表示装置に用いられる各部材について説明する。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜及びその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。そして、本発明では、一方の保護膜として、後述する光学補償シートを用いる。他方の保護膜は、光透過率が80%以上の通常のポリマーフィルムを用いることができる。該ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。セルロースアセテートフィルムについては、光学補償シートに用いられる支持体として記載するものと同じものを用いることができる。
本発明の偏光板は、粘着剤層、光学補償シート、偏光膜、保護層を順次積層した層構成を有することが好ましい。該粘着剤層を介して偏光板は、液晶表示装置に装着される。
本発明は、表示装置の画面左右方向に対して、偏光板の吸収軸方向が概略平行又は垂直となるように配置した液晶表示装置である。ここで概略平行又は垂直とは、好ましくは0°±10°の範囲又は90°±10°の範囲、より好ましくは、0°±5°の範囲又は90°±5°の範囲である。
上記偏光膜としては、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があげられる。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。製造方法としては、従来公知の方法が適用でき、例えば特許文献5に記載の方法が挙げられる。
[粘着剤]
本発明の偏光板を構成する粘着剤層に用いる粘着剤(接着剤と呼ばれるものも含まれ得る)の素材としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等の感圧系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤の場合には、そのベースポリマーであるアクリル系重合体に使用されるモノマーとしては、各種(メタ)アクリル酸エステル〔(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを総称した表現であり、以下(メタ)の付く化合物名は同様の意味である。〕を使用できる。かかる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を例示でき、これらを単独もしくは組合せて使用できる。また、得られるアクリル系重合体に極性を付与するために前記(メタ)アクリル酸エステルの一部に代えて(メタ)アクリル酸を少量使用することもできる。さらに、架橋性単量体として(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等も併用しうる。更に所望により、(メタ)アクリル酸エステル重合体の粘着特性を損なわない程度において他の共重合可能な単量体、たとえば酢酸ビニル、スチレン等を併用しうる。
ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、たとえば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、さらにはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等があげられる。
シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等があげられる。
ポリエーテル系粘着剤のベースポリマーとしては、たとえば、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等があげられる。
現在、富士写真フイルム製WVフィルムの光学補償シートに用いられている粘着剤層(サンリッツ社製PET−W(S))の光弾性係数Cnは測定の結果、−750×10-12(1/Pa)と負であったが、粘着剤層の光弾性係数の絶対値はより小さくなるほど好ましく、その光弾性係数の絶対値が500×10-12(1/Pa)以下であることがより好ましい。
粘着剤層の光弾性係数を所望の値に合わせるには、粘着剤に用いられる主剤としてのポリマーを、選択する方法がある。それ以外には以下の方法が考えられるが、この方法に限定されることはない。その一つは、樹脂の分子自身の光学異方性即ち固有複屈折を調節する方法であるが、これは有効な手段である。固有複屈折を調節する方法としては、「光学用透明樹脂」、技術情報協会、(2001年刊)、20頁に(1)分子構造の変性、(2)ランダム共重合法、(3)アロイ化法が述べられており、これらの方法は本発明においても応用することが可能である。
更に、成形加工、(2003年)、第15巻、第3号、196頁に述べられているような、異方性低分子のドープ法も好ましく用いることが出来る。
また、SCIENCE、(2003)、VOL301、P812に開示されている、異方性無機粒子ドープ法も特に好ましく用いることが出来る。
また粘着剤層の弾性率を所望の値に合わせるには、粘着剤に用いられるポリマーの分子量を調整したり、素材の混合比を調整したりすればよい。
また、前記粘着剤は、架橋剤を含有することができる。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。
さらに、前記粘着剤には、必要に応じて、従来公知の、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各適宜に使用することもできる。
偏光板上への、粘着剤層の形成方法としては、特に制限されず、偏光板に粘着剤の溶液を塗布し乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートにより転写する方法等の従来公知の方法があげられる。
粘着剤層の厚さは特に限定されないが、乾燥膜厚で10μm〜40μm程度とするのが好ましい。
以上のようにして偏光板の光学補償シートの上面(光学異方性層のある面)に粘着剤層を設けて粘着剤層付偏光板が得られる。
[光学補償シート]
本発明に使用可能な光学補償シートの例は、光学的に透明な支持体と、該支持体上に、光学異方性層とを有する。この光学補償シートを液晶表示装置に用いることで、他の諸特性を低下させることなく、液晶セルを光学的に補償することができる。
以下、光学補償シートの構成材料について説明する。
《光学異方性層》
本発明において、光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するように設計することが好ましい。黒表示における液晶セル中の液晶化合物の配向状態は、液晶表示装置のモードにより異なる。この液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、P411〜P414に記載されている。 光学異方性層は、ラビング方向等によって配向制御され、その配向状態に固定された化合物を含有する。
本発明において、光学異方性層が、液晶性化合物から形成されているのが好ましい。光学異方性層の形成に用いる液晶性化合物の例には、分子の形状が棒状である棒状液晶性化合物及び分子の形状が円盤状である円盤状液晶性化合物が含まれる。棒状分子及び円盤状化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋されたものも含まれる。光学異方性層の作製に棒状化合物を用いた場合は、棒状分子は、その長軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が、配向方向に対して平行であるのが好ましい。また、光学異方性層の作製に円盤状化合物を用いた場合は、円盤状化合物は、その短軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が配向方向に対して平行であるのが好ましい。また、円盤面と層平面とのなす角(傾斜角)が深さ方向に変化する、後述のハイブリッド配向が好ましい。
《棒状分子》
棒状分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状分子として用いることができる。言い換えると、棒状分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
《円盤状化合物》
円盤状(ディスコティック)分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett、A、78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
円盤状化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。円盤状化合物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が円盤状化合物である必要はなく、例えば、低分子の円盤状化合物が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。円盤状分子の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、円盤状分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状化合物を重合により固定するためには、円盤状化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報の段落番号[0151]〜「0168」記載の化合物等が挙げられる。
ハイブリッド配向では、円盤状化合物の円盤面と層平面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ支持体面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。さらに、角度は連続的に変化することが好ましい。
支持体面側の円盤状化合物の長軸の平均方向は、一般に円盤状化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)の円盤状化合物の円盤面方向は、一般に円盤状化合物あるいは円盤状化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。円盤状化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、分子と添加剤との選択により調整できる。
《光学異方性層中の他の添加物》
上記の分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。上記の分子と相溶性を有し、分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。 好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状分子に対して一般に1質量%〜50質量%の範囲にあり、5質量%〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
円盤状化合物とともに使用するポリマーは、円盤状化合物に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、分子に対して0.1質量%〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1質量%〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。円盤状化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70℃〜300℃が好ましく、70℃〜170℃がさらに好ましい。
《光学異方性層の形成》
光学異方性層は、分子及び必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、支持体の表面、又は所望により用いられる配向膜の表面に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
光学異方性層の厚さは、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.5μm〜15μmであることがさらに好ましく、1μm〜10μmであることが最も好ましい。
《分子の配向状態の固定》
配向させた分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01質量%〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20mJ/cm2〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
なお、保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
《支持体》
前記光学異方性層は、支持体上に形成してもよい。本発明に使用可能な透明支持体の材料としては、透明である限りどのような材料でも使用することができる。光透過率が80%以上を有する材料が好ましい。このような材料としては、市販品から入手することができ、例えばゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)及びフジタック(富士写真フイルム(株)製)などを使用することができる。さらに、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルホン等の大きい固有複屈折率を有する素材も、溶液流延、溶融押し出し等の条件、さらには縦、横方向に延伸状検討を適宜設定することにより使用することができる。偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、その透湿性等からセルロースアセテートフィルムを用いることが最も好ましく、汎用されている。
以下、汎用されているセルロースアセテートフィルムを例として、本発明に用いることのできる透明支持体について説明する。
《透明支持体のレターデーション》
本明細書において、Reレターデーション値及びRthレターデーション値は、以下に基づき算出するものとする。
Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。この時、平均屈折率の仮定値及び膜厚を入力することが必要である。KOBRA 21ADHはRth(λ)に加えてnx、ny、nzも算出する。
平均屈折率は、セルロースアセテートでは1.48を使用するが、セルロースアセテート以外の代表的な光学用途のポリマーフィルムの値としては、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)、等の値を用いることが出来る。その他の既存のポリマー材料の平均屈折率値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS、INC.)やポリマーフィルムのカタログ値を使用することが出来る。また、平均屈折率が不明な材料の場合は、アッベ屈折計を用いて測定することができる。
本発明では、セルロースアセテートフィルムのReレターデーション値を−150nm〜20nmに、そして、Rthレターデーション値を−300nm〜400nmに調節するのが好ましい。
さらに、組込まれる液晶表示装置のモードによって最適に調節されるが、液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、TNモードではReレターデーション値は−100nm〜10nmであり、Rthレターデーション値は70nm〜150nmであることが好ましく、同様にVAモードではReレターデーション値は−100nm〜−20nmであり、Rthレターデーション値は120nm〜200nm、OCBモードではReレターデーション値は−150nm〜−20nmであり、Rthレターデーション値は−150nm〜10nmが好ましい。さらにIPSモードでは、Reレターデーション値は−150nm〜10nmであり、Rthレターデーション値は−300nm〜−100nmが好ましい。
液晶表示装置に一枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は−300nm〜400nmであることが好ましい。
《セルロースアセテート》
本発明では、酢化度が59.0%〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
又セルロースアセテート以外のセルロース系ポリマーとして、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステル、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエート等を単独や、セルロースアセテートとの併用で使用する事ができる。
セルロースアセテートの製法他の詳細について、(小林網羅特許)に記載されており、本発明においても使用できる。
《ポリマーフィルム(支持体)の製造方法》
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18%〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。 この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延してもよい。
上記のような二層以上の複数のセルロースアシレート溶液を共流延する方法としては、例えば、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる方法(例えば、特開平11−198285号公報記載の方法)、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延する方法(特開平6−134933号公報記載の方法)、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出す方法(特開昭56−162617号公報記載の方法)等が挙げられる。本発明ではこれらに限定されるものではない。これらのソルベントキャスト方法の製造工程については、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(発行日2001年3月15日)の22頁〜30頁に詳細に記載され、溶解、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。本発明のフィルム(支持体)の厚さは、15μm〜120μmであることが好ましく、更には30μm〜80μmが好ましい。
《ポリマーフィルム(支持体)の表面処理》
ポリマーフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理及び紫外線照射処理が含まれる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745号の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、鹸化液中に浸漬、鹸化液を塗布する等何れでもよいが、塗布方法が好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1mol/l〜3.0mol/lの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。具体的には、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開第W02/46809号パンフレットに内容の記載が挙げられる。
表面処理の代わりに、表面処理に加えて下塗り層(特開平7−333433号公報記載)、或は疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布するいわゆる重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
《配向膜》
本発明では、光学異方性層中の化合物を配向制御するために、配向膜を利用してもよい。液晶性化合物の配向は、例えば、配向膜のラビング方向により決定することができる。但し、本発明において配向方向はラビング方向に限定されるものではなく、ラビング方向と同様に化合物を配向制御し得るものであれば、いかなるものであってもよい。
配向膜は、分子の配向方向を規定する機能を有する。従って、配向膜は本発明の好ましい態様を実現する上では必須である。しかし、化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板等を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、分子を配向させる機能のある分子構造を有する。本発明では、分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70%〜100%が好ましく、80%〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。が発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜を形成する際に利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1μm〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜pH5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行なうことにより実施される。
ラビング処理面に、液晶性化合物等を含有する塗布液を塗布して、分子を配向させてその状態に固定することで、光学異方性層を形成することができる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
配向膜の膜厚は、0.1μm〜10μmの範囲にあることが好ましい。
[楕円偏光板]
本発明は、前記光学異方性層を直線偏光膜と一体化させた楕円偏光板を用いることができる。楕円偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込める様に、液晶セルを構成している一対の基板と略同一な形状に成型されているのが好ましい(例えば、液晶セルが矩形状ならば、楕円偏光板も同一な矩形状に成型されているのが好ましい)。
前記楕円偏光板は、前記光学補償シートと直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」という場合は「直線偏光膜」をいうものとする)とを積層することによって作製することができる。光学補償シートの透明支持体が、直線偏光膜の保護フィルムを兼ねていてもよい。
直線偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素又は二色性色素からなる偏光膜が好ましい。直線偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマー又はポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号及び同9−316127号の各公報に記載がある。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1質量%〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
偏光膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。 但し、残存する架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許発明第23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。二色性色素の例としては、例えば、前記の公技番号2001−1745号、58頁に記載の化合物が挙げられる。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30%〜50%の範囲にあることが好ましく、35%〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40%〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90%〜100%の範囲にあることが好ましく、95%〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99%〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
《楕円偏光板の製造》
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10度〜80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度が、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の吸収軸と液晶セルの縦又は横方向のなす角度と等しくなるように、延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型及び半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5倍〜30.0倍が好ましく、3.0倍〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5倍〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0倍〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行なうことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10度〜80度斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行なうことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1゜〜90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1m/min〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0゜〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40゜〜50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
直線偏光膜の光学異方性層と反対側の表面には、ポリマーフィルムを配置する(光学異方性層/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。
ポリマーフィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、マルチドメイン方式の説明と共にさらに説明する。これらの実施形態は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの実施形態に限定されるものではない。
[マルチドメイン]
LCDの視野角特性を全方向で改善する方法として、液晶セルのマルチドメイン構造がある。液晶セルの一画素を複数の領域に分割し、各領域での視野角特性が異なるようにし、一画素での全方向の視野角特性を平均化させる。一画素を複数の領域に分割する方法としては、配向分割や、駆動電圧を変える容量分割がある。
≪配向分割≫
液晶表示パネルではツイストネマチック型の液晶がよく使用される。液晶分子は両基板の配向膜に従ってプレチルト及びツイストする。すなわち、液晶の分子の長軸方向が基板の配向膜の配向方向と平行に延び、両基板の配向膜の配向方向は相互にほぼ垂直になっているので、一方の基板から他方の基板に向かうにつれて螺旋状にツイストしていく。また、液晶の分子は配向方向に従ってプレチルトすることが知られている。
液晶の配向は、配向膜にそれぞれ所定の方向にラビングを行うことにより達成され、ラビングの方向が液晶の配向方向と一致する。また、液晶の配向は、例えば配向膜を斜め蒸着により形成することでも支配できる。液晶に電圧を印加しないときに、液晶の分子は初期のツイスト及びプレチルトを維持した状態にあり、入射光は液晶のツイストに沿って旋回しながら進み、液晶セルから出射する。このときに、白表示が得られる。電圧を印加すると、液晶が立ち上がり、液晶の複屈折作用が弱くなり、上記した光の旋回作用が弱くなって、入射光が液晶セルを透過しにくくなり、黒表示が得られるようになる。このようにして、液晶への印加電圧を制御しながら、全体で明暗のコントラストのある画像を形成する。
液晶に電圧を印加したときには、液晶の分子はプレチルトを有する方向に立ち上がる。 実際には、電圧を印加したときに全ての液晶の分子が同様に立ち上がるのではなく、基板の配向膜の近くに位置する液晶の分子は配向膜に規制されてわずかしか立ち上がらず、両基板の中間部に位置する液晶の分子が最も大きく立ち上がる。従って、電圧印加時に黒表示を形成するのは、主として両基板の中間部に位置する液晶の分子の挙動による。
液晶の分子は長い棒状の形状をしており、その長軸方向から光が当たった場合と、短軸方向から光が当たった場合とでは、複屈折作用が異なる。電圧を印加したときに液晶の分子は基板の表面に垂直になるまで立ち上がるわけではなく、基板の表面に対してある程度の角度まで立ち上がる。従って、電圧印加により液晶の分子が基板の表面に対してある角度まで立ち上がったとき、観視者は、画面と観視者との位置関係により、液晶の分子の長軸方向が相対的に変化し、光の透過率の差が発生して得られる黒表示の程度が異なる。このため、観視者の位置によっては、画像の明暗のコントラストが低下する。これは、液晶表示装置の視角特性として一般に認識されている。
このような問題点を解決するために、特開昭54─5754号公報は、液晶の微小な単位領域の各々に液晶の分子のツイスト方向が異なる2つの液晶配向区分を形成することを提案している。また、特開昭63─106624号公報は、一画素内で液晶の分子の配向方向の異なる2つの液晶配向区分を形成することを提案している。これらの提案によれば、ある視角特性の液晶配向区分と別の異なる視角特性の液晶配向区分とを混合することにより、全体としての視覚特性の向上を図ることができる。
例えば一画素内で配向状態の異なった2つの液晶配向区分A、Bを形成した例が図2、図3に示されている。
図2の(a)〜(e)では、一画素を観察者側から見たときの、2つの液晶配向区分A、Bの配向方向が矢印で示されている。実線の矢印10が上側基板の液晶配向用ラビング方向を表し、破線の矢印12が下側基板の液晶配向用ラビング方向を表している。
図3は図2(a)の画素の点線位置での断面図であり、ツイストネマチック型液晶に電圧を印加したときの図である。
図4は、ある液晶表示装置の電圧−透過率特性を示し、一点鎖線Cは真正面から見た場合の特性、破線L、Uは角度40度の斜め下方及び斜め上方から見た場合の電圧−透過率曲線である。破線L、Uで示されるように液晶表示装置には見る位置による視野角特性があり、そこで、破線Lと破線Uの特性を加えて2で割る特性を示したのが実線Iである。 実線Iの特性は、一点鎖線Cの特性に近くなり、極端に透過率の高い部分と極端に透過率の低い部分とがなくなって視野角特性が改善される。
≪容量分割≫
特開2001−235751号公報の段落番号[0016]に記載のように、LCDをアクティブ駆動で表示するタイプとし、一対の基板間に挟持された液晶と、該基板の一方側に形成され横方向に延びる複数本のゲートバスライン及び縦方向に延びる複数本のドレインバスラインとを有し、複数の画素が上記ゲートバスラインと上記ドレインバスラインとの交点の各々に対応してマトリックス状に配置され、上記画素の各々に、スイッチング素子と、画素電極と、上記液晶に対して斜め方向の電界を発生させて複数の配向領域を一画素内に形成する。
図5は、TNモード液晶セルの模式平面図を示す。2つの配向領域a、bを有するが、液晶セルの配向制御方向(ラビング方向)は同一にし、前記制御電極は上記スイッチング素子の一つの端子に接続されて、前記画素電極は前記制御電極との間に結合容量を有し、前記制御電極には、対応する上記ゲートバスライン選択時に、対応する上記スイッチング素子を介して対応する上記ドレインバスラインから信号電圧が印加され、前記画素電極には上記結合容量を介して上記信号電圧の分圧が印加され、領域A、Bに駆動電界が印加される構造にする。
図6は、例えば、黒表示時の図5の点線位置でのa、b領域のLCD模式断面図を表すとし、同一の入力信号レベルが印加された場合に、a領域にVa、b領域のVbというように異なる電圧が印加され、セル中の液晶の傾斜角がa領域ではδ、b領域ではθとなり、それぞれの視野角特性が異なる。しかし、一画素としては視野角が平均化される。
(まとめ)
図1は、本発明の一例として液晶表示装置の構成を示したものである。上側偏光板偏光膜吸収軸4及び下側偏光板偏光膜吸収軸19は、表示装置の画面左右方向に対し、それぞれ90°(垂直)、0°(平行)となっている。液晶セルは、図2、3、5、6に示すような、配向分割又は容量分割されたマルチドメイン構造を有する。この場合、画面周辺部の光漏れはない。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 配向分割型マルチドメイン液晶セルの画素の平面図である。 配向分割型マルチドメイン液晶セルの画素の断面図である。 配向分割型マルチドメイン液晶セルでの電圧−透過率の関係を示す。 容量分割型マルチドメイン液晶セルの画素の平面図である。 容量分割型マルチドメイン液晶セルの画素の断面図である。
符号の説明
1 上側偏光板外側保護膜
2 上側偏光板外側保護膜遅相軸
3 上側偏光板偏光膜
4 上側偏光板偏光膜吸収軸
5 上側偏光板液晶セル側保護膜(支持体)
6 上側偏光板液晶セル側保護膜(支持体)遅相軸
7 上側光学異方性層
8 上側光学異方性層の支持体側の配向用ラビング方向(配向制御方向)
9 液晶セル上側基板
10 上側基板液晶配向用ラビング方向
11 液晶分子(液晶層)
12 下側基板液晶配向用ラビング方向
13 液晶セル下側基板
14 下側光学異方性層
15 下側光学異方性層の支持体側の配向用ラビング方向(配向制御方向)
16 下側偏光板液晶セル側保護膜(支持体)
17 下側偏光板液晶セル側保護膜(支持体)遅相軸
18 下側偏光板偏光膜
19 下側偏光板偏光膜の吸収軸
20 下側偏光板外側保護膜
21 下側偏光板外側保護膜遅相軸
22 マルチドメイン液晶セル

Claims (4)

  1. 少なくとも一方に電極を有し、対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の対向面がそれぞれ有する配向軸によって配向制御された液晶層と、該液晶層を挟んで配置された一対の偏光板とを有し、
    該偏光板は少なくとも偏光膜と少なくとも一層の光学異方性層とを有し、
    該偏光膜の吸収軸と、表示装置の画面左右方向が、概略平行あるいは垂直であり、
    かつ、前記液晶層は、一画素に視野角特性が異なる複数の領域を有するマルチドメイン方式であることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記複数の領域ではそれぞれ液晶の配向の向きが異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記複数の領域ではそれぞれ同一の入力信号に対して複数の電界が出力として印加されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記液晶層がTNモードであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
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