JP2006265103A - CysLT2受容体遺伝子および受容体リガンドの利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 CysLT2およびそのリガンドの新しい用途を提供すること
【解決手段】 本発明は、CysLT2およびそのリガンドによりアポトーシスを制御する方法を提供する。本発明の方法は、疾患の治療および医薬品などの創製に関わる生物学的な研究に役立つ。本発明はまた、CysLT2リガンドを有効成分とする、アポトーシスに関連する疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。本発明はまた、CysLT2やそれをコードする遺伝子、ならびにCysLT2リガンドを用いて、アポトーシスを制御する物質やアポトーシス関連疾患の治療薬をスクリーニングする方法を提供する。本発明はまた、モルモットのCysLT2およびこれを安定発現したヒト胎児腎臓HEK293細胞を提供する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、CysLT2受容体およびリガンドの新規用途に関する。これらの用途は疾患の治療および医薬品などの創製に関わる生物学的な研究に役立つ。
システイニルロイコトリエンの受容体にはCysLT1(cysteinyl leukotriene receptor 1; CysLTR1)およびCysLT2(cysteinyl leukotriene receptor 2; CysLTR2)の2種類の受容体が存在する。システイニルロイコトリエン受容体拮抗薬は臨床において喘息あるいは鼻炎の疾患の治療に用いられているが、これらはヒトにおいてCysLT1受容体に選択性を有する化合物である(非特許文献1: Ogasawara et al., J Biol Chem 2002, 277: 18763-18768)。一方、CysLT2受容体の機能はまだ十分に明らかにされていない。
ヒト、ブタ、およびマウスのCysLT2のアミノ酸配列およびこれをコードする遺伝子はすでに知られている(非特許文献2: Takasaki et al., Biochem Biophys Res Commun 2000, 274:316-322; WO 01/19986 A1; 非特許文献3: .Hui etal., J Biol Chem 2001, 276: 47489-47495)。
CysLT2受容体アゴニストには、ロイコトリエンC4、ロイコトリエンD4、ロイコトリエンE4が知られている。CysLT2受容体パーシャルアゴニストには、BAY u9773が知られている。
CysLT2受容体アンタゴニストには、特許EP00791576の化合物、特許WO04/004773の化合物、非特許文献4:Tsuji et al., Org Biomol Chem 2003, 1; 3139-3149の化合物、非特許文献5:Ando et al., Org Biomol Chem 2004, 2: 625-635の化合物が知られている。
ヒトとマウスのCysLT2の間には、細胞内セカンドメッセンジャーとの結合や前に挙げたアゴニストの結合については明確な違いが報告されていないが、アンタゴニストの結合能に一部違いがあり、マウスではONO1078がCysLT2拮抗作用を有することが報告されている(非特許文献1:Ogasawara et al., J Biol Chem 2002, 277: 18763-18768)。
CysLT2受容体は非常に多くの臓器や細胞種に分布していることが知られ、ヒトあるいはマウスにおいて、少なくとも心臓、胎盤、脾臓、末梢白血球、副腎、肺、脳、腎臓、前立腺、卵巣、脊髄、リンパ節、小腸、皮膚、肝臓に発現が認められ、単球、マクロファージ、肥満細胞、好酸球、CD34陽性造血前駆細胞、好中球、心プルキンエ細胞、副腎皮質のクロム親和性細胞ならびに神経節細胞、気管平滑筋、冠動脈平滑筋、線維芽細胞、冠動脈微小血管内皮細胞、新生児皮膚微小血管内皮細胞、肺動脈内皮細胞、臍帯静脈内皮細胞への発現が知られている(WO 01/19986 A1; 非特許文献1: Ogasawara et al., J Biol Chem 2002, 277: 18763-18768; 非特許文献6;Kanaoka and Boyce, J Immunol 2004, 173:1503-1510)。
CysLT2受容体を含むシステイニルロイコトリエン受容体を刺激するロイコトリエンC4等のシステイニルロイコトリエンは、主として活性化された好酸球、好塩基球、肥満細胞、マクロファージによって産生される。システイニルロイコトリエンは、最初は平滑筋および気管を収縮させる作用により同定され、現在ではさまざまな疾患の引き金となる強力な炎症メディエーターとして知られている(非特許文献6;Kanaoka and Boyce, J Immunol 2004, 173:1503-1510)。したがって、システイニルロイコトリエンは臓器に関わらず炎症が起きた際には産生されると考えられる。
細胞のアポトーシスはさまざまな疾患に関与していることが知られている。疾患において過増殖を起こしている細胞にアポトーシスを生じさせることによって癌、白血球の浸潤による糸球体腎炎、血管平滑筋の増殖による血管の狭窄などの疾患が改善される。また、虚血ストレス、抗癌剤、紫外線照射などによって生じるアポトーシスや遺伝的な理由によって生じる異常なアポトーシスを抑制することにより、さまざまな臓器におけるアポトーシスの増加が関与する疾患の症状を改善することができる。
システイニルロイコトリエンはさまざま細胞の生存を高めることが知られており、CysLT1活性化は細胞のアポトーシスを抑制すること、CysLT1受容体刺激によりmitogen-activated protein kinase (MAPK)およびprotein kinase Cパスウエイを介してグリア細胞の増殖と活性化を起こすこと、およびT細胞のアポトーシスの促進がcysLT1受容体アンタゴニストの喘息改善効果の作用機序であることが示唆されている(非特許文献7: Lee et al., Am J Respir Crit Care Med 2000, 161: 1881-1816; 非特許文献8: Ciccarelli et al., Eur J Neurosci 2004, 20:1514-1524; .非特許文献9: Ohd et al., Gastroenterology 2000, 119: 1007-1018; 非特許文献10: Spoinozzi et al., Clin Exp Allegy 2004, 34; 1876-1882)。しかしながら、CysLT2がアポトーシスを誘発することは発明者の知る限り報告されていない。
結合組織成長因子(connective tissue growth factor; CTGF)の発現量が増加することは形質転換成長因子(TGF-β)によるアポトーシスを媒介していることが知られている(非特許文献11: Hishikawa et al., Eur J Pharmacol 1999, 385: 287-90)。また、CTGF結合組織成長因子(connective tissue growth factor; CTGF)は、組織細胞の線維化を生じさせる物質であることが広く知られており、線維化を生じる種々の疾患においてCTGFの発現量が増加している(非特許文献12: Leask et al., Curr Rheumatol Rep 2002, 4: 136-142)。線維症におけるCTGF発現量の増加は、肺、腸、腎臓、皮膚、脳、肺癌、肝臓、心臓において示されている。TGF-βやアンジオテンシンIIは線維化を起こすことが広く知られているが、これらの物質による線維化はCTGFの発現量が増加することによって生じることが明らかになっている(非特許文献13: Grotendorst, Cytokine Growth Factor Rev 1997, 8: 171-9; 非特許文献14: Duncan et al., FASEB J 1999, 13: 1774-1786; .非特許文献15: Liu et al., Acta Pharmacol Sin 2003, 24: 67-73; 非特許文献16: Finckenberg et al., Am J Pathol 2003, 163: 355-366)。
抗CTGFモノクロー-ナル抗体は、ラットの腎線維症モデルを抑制した(非特許文献17;Stiver et al., American College of Veterinary Pathologists Annual Meeting, T-23)。また、Iloprostは、強皮症患者皮膚におけるCTGF濃度を抑制し、患者皮膚から採取した線維芽細胞の線維化能を抑制する(非特許文献18; Stratton et al., Clin Invest, July 2001, Volume 108, Number 2, 241-250)。これらのことから、CTGFの発現を抑制することは、さまざまな臓器において線維化を抑制し、線維症の治療が可能であることがわかる。
肺の炎症と線維化に関しては、CysLT2受容体が線維症の発症に関与していることが示されている(非特許文献19;Beller et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2004, 101: 3047-3052; 非特許文献20;Beller et al., J Biol Chem 2004, 279: 46129-46134; 非特許文献6;Kanaoka and Boyce, J Immunol 2004, 173:1503-1510)。しかしながら、まだその機序は明確にはなっていないため、他の臓器においてもCysLT2受容体が線維症の形成に関わるか否かは明らかではない。CysLT2受容体とCTGFの発現量との関係も発明者の知る限り明らかにはされていない。
EP00791576 WO04/004773 WO 01/19986 Ogasawara et al., J Biol Chem 2002, 277: 18763-18768) Takasaki et al., Biochem Biophys Res Commun 2000, 274:316-322; Hui etal., J Biol Chem 2001, 276: 47489-47495)。 Tsuji et al., Org Biomol Chem 2003, 1; 3139-3149 Ando et al., Org Biomol Chem 2004, 2: 625-635 Kanaoka and Boyce, J Immunol 2004, 173:1503-1510 Lee et al., Am J Respir Crit Care Med 2000, 161: 1881-1816 Ciccarelli et al., Eur J Neurosci 2004, 20:1514-1524; Ohd et al., Gastroenterology 2000, 119: 1007-1018; Spoinozzi et al., Clin Exp Allegy 2004, 34; 1876-1882 Hishikawa et al., Eur J Pharmacol 1999, 385: 287-90 Leask et al., Curr Rheumatol Rep 2002, 4: 136-142 Grotendorst, Cytokine Growth Factor Rev 1997, 8: 171-9 Duncan et al., FASEB J 1999, 13: 1774-1786 Liu et al., Acta Pharmacol Sin 2003, 24: 67-73 Finckenberg et al., Am J Pathol 2003, 163: 355-366 Stiver et al., American College of Veterinary Pathologists Annual Meeting, T-23 Stratton et al., Clin Invest, July 2001, Volume 108, Number 2, 241-250 Beller et al., Proc Natl Acad Sci U S A 2004, 101: 3047-3052 Beller et al., J Biol Chem 2004, 279: 46129-46134
本発明は、CysLT2およびそのリガンドの新しい用途を提供することを目的とする。これらの用途は疾患の治療および医薬品などの創製に関わる生物学的な研究に役立つ。
本発明は、CysLT2およびそのリガンドによりアポトーシスを制御する方法を提供する。
別の観点においては、本発明はCysLT2リガンドを有効成分とする、アポトーシスに関連する疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
さらに別の観点においては、本発明はCysLT2やそれをコードする遺伝子、ならびにCysLT2リガンドを用いて、アポトーシスを制御する物質やアポトーシス関連疾患の治療薬をスクリーニングする方法を提供する。
さらに別の観点においては、本発明はCysLT2アンタゴニストを有効成分とする、線維症の予防または治療を行うための医薬組成物を提供する。さらに別の観点においては、本発明はCysLT2やそれをコードする遺伝子、ならびにCysLT2リガンドを用いて、線維症を予防あるいは治療するための医薬品をスクリーニングする方法を提供する。
別の様態において、本発明はモルモットのCysLT2およびこれを安定発現したヒト胎児腎臓HEK293細胞を提供する。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
モルモットCysLT2およびこれを安定発現した細胞の作製。
モルモットCysLT2をクローニングした(図7;配列1)。モルモットCysLT2は、ヒト、マウス、ラットCysLT2と、それぞれ75.3%、75.2%、73.3%の相同性を示した(配列2)。モルモットCysLT2をHEK293細胞に組み込み安定発現させた。
細胞内Ca2+濃度の測定によるモルモットCysLT2の薬理学的特徴の検討。
コラーゲンコートした96 MicroWellTM Optical Bottom Plates (NUNC)にHEKgpCysLT2細胞を2万cell/wellにて一晩培養した。Calcium kit fluo3(Dojindo)を用いてLeukotriene刺激による細胞内カルシウム上昇を測定した。培養液を除去し、Fluo3を含んだloading mediumを100μl加え、室温にて1時間インキュベートした。次にloading mediumを除去し、recording mediumを100μl加え、Wallac ARVOにてexcitation 485nm、emission 535nmにて測定した。LeukotrieneはARVOのインジェクターを用いて11×濃度にて10μl添加した。
Leukotriene添加時の測定値をFとした。TritonX100を終濃度0.1%w/v にて加え、10 minインキュベートしたのちに測定した値をFmaxとした。さらにEGTAを終濃度10mMにて加え、10 minインキュベートしたのちに測定した値をFminとした。Kdは室温にほぼ等しい 20°C での値である400nMに設定した。
細胞内カルシウム濃度の計算には以下の式を用いた。
[Ca2+]i = Kd[(F - Fmin )/(Fmax - F)]。
Antagonistはassay15min前に添加した。すべてのassayはLTC4安定のために、recording medium中にSBC(5 mM serine and 10 mM borate)を添加した。
CysLT2の内因性アゴニストであるロイコトリエンC4(LTC4)およびロイコトリエンD4(LTD4)の効果を図1に示す。LTC4およびLTD4はいずれもHEKgpCysLT2細胞の細胞内カルシウムを上昇させた。一方、モルモットCysLT2の導入に用いたベクターだけを組み込んだ細胞では、LTC4およびLTD4は顕著な細胞内カルシウム上昇作用を示さなかった。モルモットCysLT2に対しては、LTC4がLTD4よりも作用強度が強いという特徴があった。
CysLT2のパーシャルアゴニストであるBAY u9773のHEKgpCysLT2細胞に対する作用を検討した。結果は図2に示す。BAY u9773のパーシャルアゴニストの性質から予想される通り、単独で刺激した場合にはモルモットCysLT2に対するアゴニスト作用が示された。
CysLT2アゴニストであるLTC4 10 nM刺激に対するCysLT2パーシャルアゴニストBAY u9773、CysLT1選択的アンタゴニストMK571、マウス受容体においてCysLT1およびCysLT2非選択的アンタゴニストであるONO1078のHEKgpCysLT2細胞に対する作用を検討した。結果は図3に示す。BAY u9773は、そのパーシャルアゴニストの性質から予想される通り、アゴニストの細胞内カルシウム上昇作用を抑制した。MK571が顕著な抑制効果を示さなかったことから、LTC4による細胞内カルシウム上昇作用は主としてCysLT2を介して生じていることが示された。ONO1078はモルモットCysLT2に対し遮断作用を示した。
CysLT2過剰発現細胞におけるLTC 4 刺激によるアポトーシス関連遺伝子の発現変動。
コラーゲンコートした96 MicroWellTM Optical Bottom Plates (NUNC)にHEKgpCysLT2細胞を2万cell/wellにて一晩培養した。無血清培地にて24時間インキュベートしSBC存在下にてleukotriene C4(LTC4)を終濃度10nMにて添加した。4時間後に回収しtRNAを抽出した。ACEGENE(Hitachi soft)を用いてマイクロアレイ解析を行った。手技は添付のマニュアルに従った。
結果は表1に示す。表1に示したアポトーシス関連遺伝子の発現が増加した。
CysLT2過剰発現細胞におけるLTC 4 刺激によるcaspase活性の上昇。
Caspaseを介するアポトーシスの過程において、エフェクターとして働くcaspase 3、6、7が限定分解されて活性化する。そこで、CysLT2刺激によるcaspase 3/7の活性化を測定した。
HEKgpCysLT2細胞を実施例3と同じ方法にて培養を行った後、無血清培地にて24時間インキュベートし、SBC存在下にてLTC4を終濃度100nMにて添加した。24時間後にcaspase3/7活性を測定した。測定はApo-ONETM Homogeneous Caspase-3/7 Assay (Promega)を用いた。Homogeneous Caspase-3/7 Reagentを培養液と等量添加し2時間後にWallac ARVOにてexcitation 485nm、emission 535nmにて測定した。ロイコトリエン受容体アンタゴニストおよび抗酸化剤N-acetyl-L-cysteine (NAC) はLTC4添加15min前に添加した。Leukotriene添加以降の行程はSBC(5 mM serine and 10 mM borate)存在下にて行った。
結果を図4に示す。LTC4によるcaspase活性の上昇がHEKgpCysLT2細胞において認められ、ベクターのみを導入したHEK239細胞では認められなかった。LTC4によるcaspase活性の上昇は選択的CysLT1拮抗薬MK571およびNACではほとんど抑制されず、CysLT2受容体を遮断するONO1078により抑制されたことから、CysLT2を介した作用であることが示された。
CysLT2過剰発現細胞におけるLTC 4 刺激による細胞死の増加。
HEKgpCysLT2細胞からLTC4添加までは実施例4と同じ方法にて実施した。48時間後に培養液中のLDHを測定する事により死細胞率を測定した。LDHの測定にはCytoTox 96(R) Non-Radioactive Cytotoxicity Assay (Primega)を用いた。
細胞培養とNon-Radioactive Cytotoxicity Assay Reagent等量混和にて1時間インキュベートし490nmにて吸光度を測定し、Experimental LDH releaseとした。Cell lysis bufferを加えた培養液をMaximum LDH releaseとした。
死細胞率の計算には以下の式を用いた。
%Cell death= Experimental LDH release / Maximum LDH release.
結果は図5に示す。LTC4による細胞死の増加がHEKgpCysLT2細胞において認められ、ベクターのみを導入したHEK239細胞では認められなかった。LTC4による細胞死の増加は選択的CysLT1拮抗薬MK571では抑制されず、CysLT2受容体を遮断するONO1078により抑制されたことから、CysLT2を介した作用であることが示された。
LTC 4 刺激によるアポトーシスへのDNA転写の関与。
LTC4による細胞死の増加に対するDNAの転写および翻訳の関与を検討した。試験方法については実施例5と同じ方法にて実施した。転写阻害剤アクチノマイシンD (ActD; 5 μg/ml)あるいは翻訳阻害剤シクロヘキシミド(CHX; 1μg/ml)を、LTC4の2時間前に添加した。
結果は図6に示す。ActDはLTC4による細胞死の増加を抑制した。CHXもLTC4による細胞死の増加を抑制した。これらの結果は、LTC4によるCysLT2を刺激にもとづくアポトーシスは、遺伝子発現や蛋白合成を介して生じていることが示された。
LTC 4 刺激によるアポトーシスへのp53の関与。
アポトーシス誘導の経路は複数存在するが、p53はその1つの経路においてアポトーシスの誘導に関わる蛋白である。LTC4による細胞死の増加はp53の関わる経路を介しているか否かを検討した。試験方法については実施例4と同じ方法にて実施した。ただし、p53抑制剤pifithrin-a (PFT) (25 μM)は、LTC4添加2時間前に添加した。
結果は図7に示す。PFTはLTC4による細胞死の増加を部分的に抑制した。LTC4によるCysLT2を刺激にもとづくアポトーシスは、一部はp53活性化の経路、および一部は他の経路を介して生じることが示された。
CysLT2過剰発現細胞におけるLTC 4 刺激によるアポトーシス関連遺伝子の発現変動-2。
コラーゲンコートした96 MicroWellTM Optical Bottom Plates (NUNC)にHEKgpCysLT2細胞を2万cell/wellにて一晩培養した。無血清培地にて24時間インキュベートしSBC存在下にてleukotriene C4(LTC4)を終濃度10nMにて添加した。4時間後に回収しtRNAを抽出した。ACEGENE(Hitachi soft)を用いてマイクロアレイ解析を行った。手技は添付のマニュアルに従った。
結果は表2に示す。表2に示したアポトーシス関連遺伝子の発現が増加した。また、細胞の線維化を生じさせるCTGFの発現量の増加が認められた。
モルモットCysLT2受容体を過剰発現させたHEK293細胞におけるアゴニスト刺激による細胞内[Ca2+]iの動員。 モルモットCysLT2受容体を過剰発現させたHEK293細胞におけるリガンド刺激による細胞内[Ca2+]iの動員。 モルモットCysLT2受容体を過剰発現させたHEK293細胞における細胞内[Ca2+]iの動員。 モルモットCysLT2受容体を過剰発現させたHEK293細胞におけるcaspase 3/7活性の変化。 モルモットCysLT2受容体を過剰発現させたHEK293細胞における細胞死の変化。 LTC4による細胞死に及ぼすActDおよびCHXの影響。 モルモットCysLT2受容体を過剰発現させたHEK293細胞における細胞死の変化。 モルモットCysLT2受容体のアミノ酸配列およびその種間比較。

Claims (15)

  1. CysLT2受容体のリガンドを用いてアポトーシスを制御する方法。
  2. CysLT2受容体のリガンドを有効成分とするアポトーシスが関連する疾患の予防または治療剤。
  3. アポトーシスを制御する物質をスクリーニングする方法であって、被検物質がCysLT2受容体とそのアゴニストとの結合を抑制するか否かを測定することを含む方法。
  4. モルモットCysLT2受容体。
  5. モルモットCysLT2受容体を安定発現させたHEK293細胞。
  6. CysLT2受容体の阻害剤を有効成分とする線維症の予防または治療剤。
  7. 肺を除く請求項6の線維症の予防または治療剤。
  8. 腎臓および肝臓の請求項6の線維症の予防または治療剤。
  9. CysLT2受容体の阻害剤を有効成分とする強皮症の予防または治療剤。
  10. 線維症の予防または治療剤をスクリーニングする方法であって、被検物質がCysLT2受容体とそのアゴニストとの結合を抑制するか否かを測定することを含む方法。
  11. 肺を除く線維症の予防または治療剤をスクリーニングする請求項10記載の方法。
  12. 腎臓および肝臓の線維症の予防または治療剤をスクリーニングする請求項10記載の方法。
  13. 強皮症の予防または治療剤をスクリーニングする方法であって、被検物質がCysLT2受容体とそのアゴニストとの結合を抑制するか否かを測定することを含む方法。
  14. アポトーシスを抑制する物質をスクリーニングする方法であって、CysLT2受容体を発現する細胞と試験物質とを接触させ、CysLT2受容体のアゴニストによるMYC、CYCS、GADD45A、GADD45B、PMAIP1、TFPI2、CTGFの発現量の増加が抑制されるか否かを測定することを含む方法。
  15. CysLT2受容体を発現した細胞にCysLT2受容体に親和性がある物質を単独または他の既知のリガンドとともに接触させ、アポトーシス、線維化、MYC、CYCS、GADD45A、GADD45B、PMAIP1、TFPI2、CTGFの発現量を調べる方法。
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