JP2006264638A - 中空粒子量算出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、タイヤに応じた粒子の適量を簡便に調査することができる中空粒子量算出方法を提供する。
【解決手段】 タイヤ気室に所定の内圧を有し、荷重をかけた場合において、サイドウォール部が路面と接し得る荷重である第1荷重を測定するステップと、タイヤ気室の内圧を0kPaとし、荷重をかけ、サイドウォール部が路面と接する時点の荷重である第2荷重を測定するステップと、タイヤ気室の内圧が低下した場合において、中空粒子が支持すべき荷重である中空粒子支持荷重を、第1荷重から第2荷重を減算することによって算出するステップとを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、サイドウォール部を有するタイヤと、樹脂による連続相と独立気泡とからなる略球形状であり、タイヤとリムとによって区画されるタイヤ気室に、大気圧を超える高圧気体とともに充填され、タイヤ気室の内圧が低下した場合に、所定の温度(Ts2)に達することにより膨張する複数の中空粒子との集合体であるタイヤ粒子集合体における中空粒子量算出方法に関する。
従来、パンク状態においても走行を可能とする、いわゆる安全タイヤについて多くの提案がなされている。
例えば、大気圧よりも高圧に保持された独立気泡を有する粒子がタイヤ気室内に挿填された空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1)。このような大気圧よりも高圧に保持された独立気泡を有する粒子がタイヤ気室内に挿填された空気入りタイヤは、タイヤがパンクした際に、該粒子が受傷部を塞ぐため、パンク後においても一定距離においては走行が可能である。
特開2003−118332号公報
しかしながら、上記のような粒子を効果的に作用させるためにも、タイヤに適量の該粒子を挿填することが必要であるが、使用されるタイヤのサイズやブランドによって適量が異なるため、タイヤ毎に該粒子の適量を調べる必要があった。
そのため、従来においては、挿填された粒子の量が異なる複数のタイヤを、使用する車の前輪に装着し、タイヤの内圧を0kPaにしてランフラット走行を行い、例えば、80km/hにて80km走行した場合の走行可能の可否を調査し、これに基づいて該タイヤにおける該粒子の適量を調べていた。また、軸重が異なるため、使用する車の後輪を用いて再度上記調査を行っていた。
しかしながら、上記のような調査をタイヤ毎に行うことは非常に煩わしく、多くの時間を有するため、タイヤ毎の粒子の適量をより簡便に調査できる方法の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、タイヤに応じた粒子の適量を簡便に調査することができる中空粒子量算出方法を提供することを課題とする。
まず、本発明の第1の特徴は、サイドウォール部を有するタイヤと、樹脂による連続相と独立気泡とからなる略球形状であり、タイヤとリムとによって区画されるタイヤ気室に、大気圧を超える高圧気体とともに充填され、タイヤ気室の内圧が低下した場合に、所定の温度(Ts2)に達することにより膨張する複数の中空粒子との集合体であるタイヤ粒子集合体における中空粒子量算出方法であって、タイヤ気室に所定の内圧を有し、荷重をかけた場合において、サイドウォール部が路面と接し得る荷重である第1荷重を測定するステップと、タイヤ気室の内圧を0kPaとし、荷重をかけ、サイドウォール部が路面と接する時点の荷重である第2荷重を測定するステップと、タイヤ気室の内圧が低下した場合において、中空粒子が支持すべき荷重である中空粒子支持荷重を、第1荷重から第2荷重を減算することによって算出するステップとを含むことを要旨とする。
かかる特徴によれば、タイヤに応じた中空粒子の適量を簡便に調査することができる。中空粒子の充填量が適量より多いと、常用走行時において中空粒子が膨張してしまい、パンク時において中空粒子の効力を発揮できない可能性がある。また、中空粒子の充填量が適量より少ないと、パンク時において中空粒子の発熱が不十分となり、確実に膨張せず、中空粒子の効力を発揮できない。そのため、中空粒子を適量充填することが重要であり、本発明を用いることにより、この中空粒子の適当な充填量を簡便に調査することができる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、中空粒子が支持可能な荷重である中空粒子支持可能荷重に基づいて、中空粒子支持荷重を満たす中空粒子の量を算出するステップを更に含むことを要旨とする。
かかる特徴によれば、中空粒子の適量を簡便に、より適確に調査することができる。
本発明によれば、タイヤに応じた粒子の適量を簡便に調査することができる中空粒子量算出方法を提供することができる。
(タイヤ粒子集合体)
次に、本発明に係るタイヤ粒子集合体の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
図1は、本実施形態におけるタイヤ粒子集合体100である。図1に示すように、タイヤ粒子集合体100は、サイドウォール部7を有するタイヤ1と、樹脂による連続相と独立気泡とからなる略球形状であり、タイヤ1とリム2とによって区画されるタイヤ気室3に、大気圧を超える高圧気体とともに充填され、タイヤ気室3の内圧が低下した場合に、所定の温度(Ts2)に達することにより膨張する複数の中空粒子4との集合体である。
タイヤ1は、ビードコア5a及びビードフィラー5bを含む一対のビード部5を有している。具体的には、ビード部5を構成するビードコア5aには、スチールコードなどが用いられる。
タイヤ1は、ビードコア5aの周りで、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返された少なくとも1層のカーカス層6を有している。
タイヤ1は、タイヤ走行中において最も屈曲が激しい部分であり、カーカス層6を保護するためのサイドウォール部7を有している。
カーカス層6のタイヤ径方向内側には、チューブに相当する気密性の高いゴム層であるインナーライナー8が設けられている。また、カーカス層6のタイヤ径方向外側には、ベルト層9が配置されている。さらに、ベルト層9のタイヤ径方向外側には、路面と接するトレッド部10が配置されている。
また、リム2には、中空粒子4をタイヤ気室3で堰き止め、かつ気体のみをタイヤ気室3の外に通過可能とするバルブ12が配置されている。図2に示すように、このバルブ12は、所定の繊維(例えば、不織布)で構成されているフィルター13を備えている。
このようなタイヤ用バルブ12を取り付けることによって、常用走行におけるタイヤ気室3の内圧の自然低下に対し、中空粒子4を漏洩させることなく気体補充作業を行うことができ、簡便にタイヤ気室3の内圧をメンテナンスすることができる。また、本発明のタイヤ粒子集合体100を製造する際、1つのバルブ12のみにて中空粒子4をタイヤ気室3に充填することが可能となるため、1つのバルブ穴しか持たない汎用リムをそのまま使用することができる。
中空粒子4は、タイヤ1とリム2とによって区画されたタイヤ気室3に、大気圧を超える高圧気体とともに充填されている。なお、中空粒子4の詳細については、後に詳述する。
ここで、タイヤ1は、各種自動車用タイヤ、トラックやバス用のタイヤ等、例えば乗用車用のタイヤなどの一般に従うタイヤであれば、特に構造を限定する必要はない。
ところで、タイヤ気室3の内圧が低下しながら走行する(いわゆる、パンク状態で走行する)と、後述する中空粒子4の機構により内圧が復活するため、状況によっては運転者がパンクしたことに気が付かない場合がある。また、タイヤ1は外傷を受けてパンクしているため、そのまま走行を続けるとタイヤ1が故障してしまう恐れがあり大変危険である。
そのため、運転者にパンクしたことを警報(報知)する機能として、図1に示すように、バルブ12の近傍には、タイヤ圧力センサー14が配置されている。
このタイヤ圧力センサー14は、タイヤ気室3の内圧の直接測定方式に基づいて、タイヤ気室3における内圧の低下を警報するものである。
具体的には、図3に示すように、タイヤ圧力センサー14は、タイヤ気室3の内圧の直接測定方式に基づいて、タイヤ気室3における内圧が低下(いわゆる、パンク)したことを検知した場合、車輌50の受信部50aに、パンクしたことに関するデータを送信する。
車輌50の受信部50aが、パンクしたことに関するデータを受信したことにより、警報部50bを介して運転者に警報(報知)することができる。
なお、本実施形態において、パンクしたことを運転者に警報(報知)する機能として、タイヤ圧力センサー14のみに限定されるものではなく、車輪速度センサーが用いられていてもよい。
例えば、図3に示すように、アンチロックブレーキシステムにおける車輪速度センサー15は、検知した車輪速度に基づいて、パンクしたことを検知した場合、警報部50bを介して運転者に警報(報知)する。また、アンチロックブレーキシステムにおける車輪速度センサー15に限定されるものではなく、アンチロックブレーキシステムにおける車輪速度センサー15とは別の車輪速度センサーが用いられてもよい。
なお、本実施形態において、タイヤ圧力センサー14が用いられて運転者に警報することができる機能は、第1タイヤ圧力低下警報機能を構成し、アンチロックブレーキシステムにおける車輪速度センサー15が用いられて運転者に警報することができる機能は、第2タイヤ圧力低下警報機能を構成する。
(中空粒子の構成)
次に、上述した中空粒子4の構成について説明する。
中空粒子4は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、例えば粒径が10μm〜500μm程度の範囲で粒径分布を持った中空体、あるいは独立気泡による小部屋の多数を含む海綿状構造体である。
すなわち、中空粒子4は、外部と連通せずに密閉された独立気泡を内包する粒子であり、独立気泡の数は単数であってもよく、複数であってもよい。
本実施形態では、この『中空粒子群の独立気泡内部』を略称して『中空部』と表現する。また、この中空粒子4が独立気泡を有することは、中空粒子4が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指す。さらに、上記の樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成については後述する。
この中空粒子4の複数個(多数個)である中空粒子群は、高圧気体とともにタイヤ気室3の内側に充填されることによって、通常の使用条件下ではタイヤ1の『使用内圧』を部分的に担うとともに、タイヤ1が外傷を受けた(以下、受傷)時には、タイヤ気室3の失った内圧を復活(回復)させる機能を発現する源となる。この『内圧復活機能』については後述する。
ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車輌毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
さて、従来のタイヤ1は、タイヤ気室3の内圧が大気圧まで低下した状態で走行すると、荷重によりタイヤ1が大きく撓むため、サイドウォール部7が接地することによって該サイドウォール部7が大きな損傷を受けてしまうと、中空粒子4によって受傷部を塞ぐことが困難となることがあった。
そこで、本実施形態では、外傷によってタイヤ気室3の気体が漏れ出た際に、サイドウォール部7が接地することを抑制し、その後の走行に必要な最低限のタイヤ気室3の内圧を適正に与え、失った内圧を復活させることを主目的としている。よって、本実施形態では、タイヤ1とリム2とによって区画されたタイヤ気室3を圧力容器と捉えている。
すなわち、パンクにより傷ついてしまったタイヤ気室3の受傷部を、サイドウォール部7が接地する前にタイヤ気室3に充填された中空粒子群により暫定的に封止した上で、中空粒子4を機能させて失った圧力を復活することによって、この目的を達成しようとするものである。
より具体的には、タイヤ気室3に充填される中空粒子4について、下記式(I)
中空粒子4の充填率=(粒子体積値/タイヤ気室3容積値)×100 …(I)
によって算出される中空粒子4の充填率が、5vol%以上80vol%以下とすることが好ましい。
ここで、粒子体積値は、タイヤ気室3に充填された中空粒子群の大気圧下での合計体積と粒子周囲の空隙体積との合計量(cm3)であり、以下の方法で算出できる。
まず、中空粒子4の大気圧下での平均嵩比重を求める。例えば、大気圧下にて既知体積であるものの重量を測定することにより算出する。最初に、大気圧下でメスシリンダーに中空粒子4を量りとり、超音波水溶液中にて振動を与え、中空粒子4間のパッキングが安定した状態にて、中空粒子4の総体積(粒子周囲の空隙体積を含む)と中空粒子4の総重量とを測定することによって、上記大気圧下での平均嵩比重を算出する。すなわち、中空粒子4の大気圧下での平均嵩比重は、
中空粒子4の大気圧下での平均嵩比重=(粒子の総重量)/(粒子の総体積)
である。
次に、タイヤ気室3に充填された中空粒子4の総重量を測定し、上述した中空粒子4の大気圧下での平均嵩比重で割ることによって、タイヤ1の内部に充填された『粒子体積』を算出することができる。すなわち、
粒子体積=(タイヤに充填した粒子の総重量)/(粒子の大気圧下での平均嵩比重)
である。
なお、容積が既知の容器に粒子を量り取りながらタイヤ気室3に充填する方法でも所望の粒子体積の中空粒子4をタイヤ1内に充填することができる。
また、タイヤ気室容積値は、タイヤ1とリム2とによって区画されたタイヤ気室3に空気のみを充填して使用内圧(kPa)に調整した後、充填空気を内圧が大気圧になるまで排出した際の充填空気排出量(cm3)を用いて、次式(II)から求めた値(cm3)である。
タイヤ気室容積値=(充填空気排出量)/(使用内圧/大気圧) …(II)
なお式(II)において使用内圧はゲージ内圧(kPa)を、大気圧値は気圧計による絶対値(kPa)を用いる。すなわち、大気圧は、ゲージ圧では0[kPa]で表されるが、大気圧値自体は日々刻々と変動するものであるため、その時点での気圧計から観測される絶対値を用いる。よって例えばある時の大気圧が1013hPaであった場合は、大気圧絶対値として101.3kPaを式(II)に用いる。
次に、上記した中空粒子4の充填率を5vol%以上80vol%以下とする理由について、常用使用からパンク状態となった場合の態様へと順に説明する。
まず、タイヤ気室3に中空粒子4が多数充填され、さらにタイヤ気室3に高圧気体が充填されて、タイヤ気室3の内圧を使用内圧とする場合から説明する。
本実施形態では、タイヤ気室3に中空粒子4が充填された後、中空粒子4の周囲の空隙部11、言い換えればタイヤ気室3の内圧が、装着車輌指定内圧等の所望の使用内圧となるように、空気や窒素等の高圧気体を充填することが肝要である。
タイヤ気室3に中空粒子4が充填され、さらに気体が充填されてタイヤ気室3の内圧を所望の内圧に設定すると、当初、中空粒子4の中空部圧力(独立気泡内の内圧)がタイヤ気室3の内圧より小さいために、粒子は体積減少する。この時点での中空粒子4の形状は略球形状ではなく、球形状から扁平化して歪んだ形状(いわゆる、つぶれたラグビーボールのような形状)となっている。
この中空粒子4の形状が扁平化して歪んだ状態のまま車輌の走行が開始すると、中空粒子4は、球形状の場合と比べて、当該中空粒子4同士の衝突やタイヤ1およびリム2内面との衝突により、破壊しやすくなる。すなわち、中空粒子4が扁平化して歪んだ形状では、衝突による入力を均一に分散させることができず、耐久性面で大きな不利をもたらすことになる。
一方、扁平化して歪んだ中空粒子4は、その中空部圧力とタイヤ気室3の内圧との差により体積減少した状態であるわけだが、一定期間にわたりタイヤ気室3(粒子周囲の空隙部11)の内圧を保ち続けることによって、中空粒子4の中空部圧力、言い換えれば、中空粒子4の独立気泡内の内圧を、タイヤ気室3の内圧程度に高めることができる。すなわち、扁平化した中空粒子4は変形させられているため、その殻の部分には元の略球形状に戻ろうとする力が働いている。
また、扁平化した中空粒子4の中空部圧力は、タイヤ気室3の内圧よりも低いことから、その内圧差を解消するために、タイヤ気室3の気体の分子が樹脂による連続相の殻を通過して粒子の中空部内に浸透する。さらに、中空粒子4の中空部は独立気泡であり、その中の気体は発泡剤に起因するガスで満たされているため、タイヤ気室3(粒子周囲の空隙部11)の気体とは異なる場合がある。この場合は、上述の単なる内圧差だけではなく気体の分圧差に従いながら、その分圧差を解消するまでタイヤ気室3の高圧気体が粒子中空部内へ浸透していく。
このように、タイヤ気室3の高圧気体は、時間とともに中空粒子4の中空部内へ浸透していくため、この中空部内に浸透した分だけ、タイヤ気室3の内圧が低下することとなる。よって、中空粒子4の中空部内に浸透した分を補うために、高圧気体を充填した上で所望の内圧をかけ続けることにより、所望の使用内圧に調整した、本実施形態のタイヤを得ることができる。
中空粒子4の中空部内の内圧は、タイヤ気室3(中空粒子4の周囲の空隙部11)の内圧に近づきながら、一旦減少した粒子体積を復活していき、粒子形状は扁平化されて歪んだ形状から元の略球形状へと復活していく。この形状を復活していく過程の中で、中空粒子4の中空部内の内圧がタイヤ気室3の内圧に対して少なくとも70%にまで増加することにより、粒子形状は扁平化した状態から略球形へ復活することができ、これによって上述した中空粒子4の耐久性を保証することができる。
このように、中空粒子4のまわりに高圧気体が介在することとなり、通常走行時に中空粒子4が負担する荷重を無視できるほど軽減できる。また、上述の粒子体積を復活した中空粒子4においては、粒子形状が略球形に復活するため、タイヤ転動時の繰り返し変形に伴って、中空粒子4に加わる疲労や破壊も大幅に低減できる。この結果、中空粒子4の耐久性が損なわれることはない。中空粒子4の耐久性が損なわれない範囲は、タイヤ気室3の内圧が、装着される車輌指定内圧等の所望する高圧下環境のなかで、中空粒子4が体積を復活しながら中空部圧力が増加する過程において、中空粒子4の中空部圧力がタイヤ気室3の内圧の70%以上であることが好ましい。さらには、80%以上、90%以上、そして100%以上と高く設定することが推奨される。
ここで、中空粒子4の中空部圧力がタイヤ気室3の内圧に対して少なくとも70%以上である状態とするには、中空粒子4周囲の空隙気体の圧力を、少なくとも装着される車輌指定内圧等の所望するタイヤ気室3の内圧に対して70%以上まで高めた状態で保持され、この圧力をかけ続けたまま適切な時間を経過させればよい。あるいは、中空粒子4がタイヤ1とは別の圧力容器内に充填され、中空粒子4の周囲の空隙11の内圧を少なくともタイヤ気室3の内圧に対して70%以上まで高めた状態で保持し、この圧力をかけ続けたまま圧力容器内にて適切な時間保持したうえで、中空粒子4の中空部圧力が増加した状態の中空粒子4をその周囲の気体とともにタイヤ気室3に充填することによっても、所望のタイヤ粒子集合体100を得ることができる。
なお、上述の適切な保持時間は、中空粒子4の殻の部分、すなわち中空粒子4の連続相に対する空隙気体の透過性と、粒子中空部内の気体と空隙気体との分圧差とを考慮して設定すればよい。
以上の中空粒子4における機構、形状、体積の変化過程に則り、タイヤ気室3(中空粒子4の周囲の空隙11)に充填される気体の種類と圧力とを適宜に選択、そして調節することによって、中空粒子4の中空部圧力を所望の範囲に設定できる。
以上のように、中空粒子4の中空部圧力をタイヤ気室3の内圧の70%以上とした中空粒子4が、タイヤ気室3に充填されることにより、タイヤ気室3の内圧が大気圧となった状態から走行した時に、少なくとも一定距離の走行を可能とするタイヤ気室の内圧まで、タイヤ気室3の内圧を復活させることを実現する必要がある。
次に、上述したタイヤ気室3の失った内圧を復活させる機能(いわゆる、『内圧復活機能』)について説明する。
上述した中空粒子群がタイヤ気室3に充填されたタイヤ粒子集合体100では、タイヤ1が受傷すると、中空粒子4の周囲の空隙11に存在するタイヤ気室3の高圧気体がタイヤ1の外側に漏れ出る結果、タイヤ気室3の内圧は大気圧と同程度の内圧にまで低下する。そして、このタイヤ気室3の内圧低下の過程において、以下のことがタイヤ気室3で起こっている。
まず、タイヤ1が外傷を受け、タイヤ気室3の内圧が低下し始めると、多数の中空粒子4が、外傷を受けたタイヤ部分である受傷部を封止し、急激なタイヤ気室3の内圧の低下を抑制する。
ここで、本実施形態では、中空粒子4の中空部圧力が、少なくとも常用走行使用時車輌指定タイヤの内圧の70%以上と規定しているが、受傷部の封止能力は中空部圧力に依存する。すなわち、中空部圧力が70%以上であれば略球形状を保つことが出来ることを上述したが、略球形状を保つことによって良好な流動性と弾力性を発現できるため、中空部内圧が低い場合に比べて、受傷部の封止限界が大幅に向上する。
また、タイヤ気室3の内圧の低下に伴いタイヤ1の撓み量は増加し、タイヤ気室容積が減少する。さらに、タイヤ気室3の内圧が低下するとタイヤが大きく撓み、タイヤ気室3の温度はタイヤ1自身の発熱によって上昇し始める。
一方、上述の使用内圧下で存在していた中空粒子4の中空部圧力(独立気泡中の気泡内圧力)は、受傷後も使用内圧に準じた高い圧力を保ったまま、言い換えれば、受傷前の粒子体積と中空部圧力を保持したままタイヤ気室3に存在することとなる。よって、さらにタイヤが転動することにより、タイヤ気室3の温度上昇に伴って中空粒子温度が上昇する。
そして、中空粒子温度が、再膨張開始温度(Ts2:樹脂のガラス転移温度に相当する)を超えると、中空粒子4の殻は軟化し始める。このとき、中空粒子4の中空部内圧力が使用内圧に準じた高い圧力であるのに加え、中空粒子温度の上昇によりさらに中空部内圧力が上昇しているために、中空粒子4が体積膨張し、中空粒子4の周囲の空隙11にある気体を圧縮することになるため、タイヤ気室3の内圧を復活(回復)させることができるのである。
すなわち、中空粒子4は、タイヤ気室3の内圧が低下した(いわゆる、タイヤ1が外傷を受けた)場合に、再膨張開始温度『Ts2』に達することにより再膨張(拡張)するものである。なお、本実施形態において、再膨張開始温度『Ts2』は、所定の温度であることを示す。
また、タイヤ気室3の内圧を復活させるには、中空部内圧力が使用内圧の少なくとも70%である中空粒子4を、5vol%以上80vol%以下の充填率の下にタイヤ気室内に充填しておくことが肝要である。その理由を、以下に示す。
中空粒子4の充填率が5vol%よりも小さいと、受傷部の封止は問題なく行えるが、中空粒子4の絶対量が不足しているために、充分な復活内圧を得ることが難しくなる。一方、中空粒子の充填率が80vol%を超えると、タイヤによっては常用時の高速走行での粒子摩擦による発熱のために、中空粒子4の再膨張開始温度(Ts2)を超えて膨張してしまい、本実施形態の主たる機能である内圧復活機能が常用走行中に失われる可能性がある。
また、内圧復活機能を確実に発現させるためには、内圧復活機能が発現する前に、受傷部を確実に封止する事が肝要である。すなわち、受傷部の封止が不完全であると、復活したはずの内圧が、受傷部から漏洩してしまう結果、内圧復活機能により得られた内圧がその後の走行に一時的にしか貢献できないために、タイヤの受傷後の走行性能を保証できなくなる恐れがあるからである。
中空粒子4は、中空構造による低比重かつ弾力性に富んだ粒子であるために、タイヤ1が外傷を受けた受傷部から中空粒子周囲の空隙気体が漏洩し始めると、空隙気体の漏洩による流れに乗って即座に受傷部に密集し、受傷部の傷口を瞬時に封止する。このように、中空粒子1による受傷部の封止機能は、本実施形態の内圧復活機能を支える必須機能である。
以上のように、タイヤ1とリム2とにより区画されたタイヤ気室3に中空粒子4が充填されると、パンク後の内圧低下に伴うタイヤ気室容積の減少とタイヤ1の撓み量の増大により、タイヤ気室3の温度上昇に伴う中空粒子4の温度上昇によって、中空粒子4の膨張による内圧復活を果たし、受傷後における安全走行を実現できる。
ところで、タイヤ粒子集合体100における中空粒子4間の摩擦は、常用走行下においても、微小ではあるが発生している。しかし、走行速度が100km/h以下の領域では、発生した摩擦熱自体が小さく、発生した熱が外気へ放熱されるため、中空粒子4の温度が再膨張開始温度(Ts2)未満の範囲で均衝している。
しかしながら、150km/hを超える高速度領域において、さらには外気の温度循環が著しく高い酷暑環境下においては、発生する摩擦熱が増加するわりに外気への放熱が不足する状態となり、中空粒子4の温度が著しく上昇してしまう。このような状況が長時間続くと、中空粒子4の温度が再膨張開始温度(Ts2)を上回ることによって、中空粒子が膨張してしまい、その結果、前述したパンク時の『内圧復活機能を実現することができない(損失する)こと』がある。
すなわち、タイヤ1は高速で回転することにより、速度に応じた遠心力を発生している。タイヤ気室3に充填された中空粒子群も同様の遠心力を受けている。この遠心力は、中空粒子4の重量に比例かつ速度の2乗に比例し、タイヤ1の半径に反比例する。さらに、タイヤ1に荷重を負担させることにより一定の撓みを生じており、路面と接地している領域は、路面と平行な面の状態となっているため、この接地領域は曲率を持たずに、遠心力がほぼゼロとなる。
これにより、荷重を負担しつつ回転するタイヤ粒子集合体100における中空粒子4は、路面と接地していない非接地領域おいて、上述のように遠心力を受ける。また、中空粒子4は、その一方で接地領域に入った瞬間に遠心力が抜けるといった『遠心力の変動が繰り返された状態』に置かれるのである。
従って、タイヤ気室3に充填された中空粒子群としては、粒子重量を極力抑えることが好ましい。すなわち、中空粒子4の平均真比重としては、出来るだけ小さいものを選択することが好ましい。
中空粒子4の充填率が80vol%を超えると、タイヤによっては常用時の高速走行での粒子摩擦による発熱のために、中空粒子4の再膨張開始温度(Ts2)を超えて膨張してしまい、本実施形態の主たる機能である内圧復活機能が失われる可能性があるため好ましくない。よって、中空粒子充填率の好ましい範囲は、5vol%以上80vol%以下であり、さらには、70vol%以下、60vol%以下、そして50vol%以下である。
また、中空粒子の平均粒径について、好ましい範囲は、40〜200μmの範囲である。該中空粒子の平均粒径が40μmを下回ると、上述の真比重分布が広がり大真比重粒子群の小真比重粒子群に対する相対的な慣性力差とその運動による摩擦発熱により耐発熱性が悪化するため、好ましくない。一方、該中空粒子の平均粒径が200μmを上回ると、常用走行下での粒子同士が衝突している状況や、パンク(受傷)によりタイヤ気室3の内圧が大気圧となったときの走行(いわゆる、パンク状態)にて中空粒子群が直接的に荷重を支える状況において、大粒径側の粒子から選択的に破壊してしまい、所望する受傷後における走行性能を得られなくなる不利が生ずるおそれがあるため好ましくない。
さらに、中空粒子4の平均真比重は、0.01〜0.06g/ccの範囲が好ましい。すなわち、0.01g/ccよりも小さいと、常用走行下での中空粒子4の耐久性が低下し、常用使用中に『内圧復活機能』が失われることがある。一方、0.06g/ccを超えると、常用高速走行における遠心力変動入力が大きくなって、発熱量が大きくなるため好ましくない。
ところで発明者らは、中空粒子4の発熱の実態についても鋭意検討し、中空粒子4の更なる耐熱耐久性の向上を達成した。
さて、中空粒子4はその原料である『膨張性樹脂粒子』を加熱膨張することにより得られ、この膨張性樹脂粒子には膨張開始温度『Ts1』が存在する。更に、加熱膨張によって得られた中空粒子4が再度加熱されると、中空粒子4は更なる膨張を開始し、ここに中空粒子の再膨張開始温度『Ts2』が存在する。
発明者らは、これまで多くの膨張性樹脂粒子から中空粒子4を製造し検討を重ねてきた結果、膨張開始温度『Ts1』を耐熱耐久性の指標としてきたが、耐熱耐久性の指標としては再膨張開始温度『Ts2』が適切であることを見出すに到った。
まず、膨張性樹脂粒子を膨張(加熱膨張)させる場合における膨張挙動を観察した。膨張性樹脂粒子は膨張する前の段階にあるため、中空粒子4の状態と比較して、粒径が極端に小さく、樹脂製の殻部の厚さが極端に厚い。よって、マイクロカプセルとしての剛性が高い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で樹脂製の殻部の連続相がガラス転移点を越えても、更なる加熱により殻部がある程度柔らかくなるまでは、内部ガスの膨張力が殻部の剛性にうち勝つことが出来ない。よって、膨張開始温度『Ts1』は実際の殻部のガラス転移点よりも高い値を示す。
一方で、中空粒子を再度膨張(再加熱膨張)させる場合では、中空粒子4の殻部の厚さが極端に薄く、中空体としての剛性が低い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で殻部の連続相がガラス転移点を越えると同時に膨張を開始するため、再膨張開始温度『Ts2』は、膨張開始温度『Ts1』より低い位置づけとなる。
本実施形態では、膨張性樹脂粒子の膨張特性を活用するのではなく、いったん膨張させた中空粒子4の更なる膨張特性を活用するものであるため、耐熱性(耐久性)を議論するには、従来の膨張開始温度『Ts1』ではなく、再膨張開始温度『Ts2』を指標とすべきである。
また、中空粒子4の再膨張開始温度『Ts2』が90℃〜200℃であることが肝要である。なぜなら、中空粒子4の再膨張開始温度『Ts2』が90℃よりも低いと、選択したタイヤサイズによっては、そのタイヤの保証速度に到達する以前に、中空粒子4が再膨張を開始する場合があるからである。
一方、中空粒子4の再膨張開始温度『Ts2』が200℃を超えると、受傷後におけるランフラット走行において、中空粒子4の摩擦発熱に起因する急激な温度上昇が起こっても、再膨張開始温度『Ts2』に達することが出来ない場合があり、よって目的とする『内圧復活機能』を十分に発現させることが出来なくなる場合がある。
このため、再膨張開始温度『Ts2』の範囲は90℃〜200℃であり、好ましくは110℃〜200℃、更に好ましくは130℃〜200℃であり、もっとも好ましくは160〜200℃の範囲である。
以上のように、上述した上限値および下限値に従う際、再膨張開始温度『Ts2』を有する中空粒子4が充填されることにより、内圧復活機能を確実に発現させるとともに、高速度走行での耐熱耐久性を向上させることで、常用走行時の『内圧復活機能保持』が達成される。
次に、中空粒子の内部にある気体は、窒素、空気、炭素数2〜8の直鎖状あるいは分岐状の脂肪族炭化水素及びそのフルオロ化物、炭素数2〜8の脂環式炭化水素及びそのフルオロ化物、そして下記一般式(III):
−O−R・・・(III)
(式中のRおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1〜5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の気体であることが好ましい。
また、タイヤ気室3に充填される気体は空気でも良いが、中空粒子4中の気体がフルオロ化物でない場合には、安全性の面から酸素を含まない気体、たとえば窒素や不活性ガス等であってもよい。
なお、独立気泡を有する中空粒子4を得る方法は特に限定されないが、発泡剤を用いて『膨張性樹脂粒子』を得、これを加熱膨張させる方法が一般的である。この発泡剤としては、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用する手法、熱分解によって気体を発生する熱分解性発泡剤を活用する手法などを挙げることができる。特に、熱分解性発泡剤には窒素を発生させる特徴のあるものが多く、これらによる発泡によって得られる膨張性樹脂粒子の反応を適宜制御することによって得た粒子は気泡内に主に窒素を有するものとなる。
この熱分解性発泡剤としては特に限定されないがジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルフォニルヒドラジンおよびその誘導体、そしてオキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジンを好適に挙げることができる。
以下、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用して中空粒子4となる『膨張性樹脂粒子』を得る手法を説明する。
中空粒子4を形成する樹脂による連続相を重合する際、炭素数2〜8の直鎖状あるいは分岐状の脂肪族炭化水素及びそのフルオロ化物、炭素数2〜8の脂環式炭化水素及びそのフルオロ化物、そして上述した一般式(III)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種を発泡剤として高圧下で液化させ、反応溶媒中に分散させつつ、乳化重合させる手法である。
これにより上記に示されるガス成分を液体状態の発泡剤として、上述した樹脂連続相にて封じ込めた『膨張性樹脂粒子』を得ることができ、これを加熱膨張させることによって、所望の中空粒子4を得ることができる。
また、『膨張性樹脂粒子』の表面に、シリカ粒子等のアンチブロッキング剤、カーボンブラック微粉、帯電防止剤、界面活性剤、油剤等をコーティングした上で加熱膨張させることにより、目的の中空粒子を得ることができる。
本実施形態の効果をさらに高める工夫としては以下の手法が挙げられる。すなわち、上述の中空粒子4に加え、『膨張性樹脂粒子』を一部添加することである。これにより、タイヤの受傷後の本実施形態による内圧復活機能をさらに早期に実現させることができる。
しかしながら、共存する中空粒子4の耐久性を低下させる要因となるために以下の範囲での適用が好ましい。両者の相反する特性をうまく活用しうる範囲として、タイヤ気室3に充填された全粒子重量に対する『膨張性樹脂粒子』の含有率を40mass%以下、さらには含有率を30mass%以下、20mass%以下、そして10mass%以下とすることが好ましい。
また、受傷によりタイヤ気室3の内圧が低下した状態において、中空粒子4によって必要最低限の内圧を付与するには、中空粒子4の中空部内に所定圧力で封入された気体が、粒子外部へ漏れでないこと、換言すると、中空粒子の殻の部分に相当する樹脂による連続相が気体を透過し難い性質を有することが肝要である。
すなわち、連続相を構成する樹脂は、ガス透過性の低い材質によること、具体的には、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体のいずれか少なくとも1種から成ることが肝要である。これらの材質は、タイヤ変形による入力に対して中空粒子としての柔軟性を有するため、本実施形態に特に有効である。
また、中空粒子4の連続相には、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれかを適用することが好ましい。さらに詳しくは、重合体を構成するモノマーが、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチルメタクリレート、メタクリル酸、塩化ビニリデンから選択される重合体であり、好ましくはアクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種がそれぞれ有利に適合する。これらの材料は、いずれもガス透過係数が小さくて気体が透過し難いために、中空粒子の中空部内の気体が外部に漏れ難く、中空部内圧力を適切に保持することができる。
さらに、中空粒子4の連続相は、30℃におけるガス透過係数が300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下、好ましくは30℃におけるガス透過係数が20×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下、さらに好ましくは30℃におけるガス透過係数が2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下であることが推奨される。
なぜなら、通常の空気入りタイヤにおけるインナーライナーのガス透過係数は300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下のレベルにあって、十分な内圧保持機能を有している実績を鑑み、粒子の連続相についても、30℃におけるガス透過係数を300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下とした。ただし、このバス透過係数のレベルでは、3〜6カ月に1度程度の内圧補充が必要であるから、そのメンテナンス性の点からも、20×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下とすることが推奨される。
ここで、本実施形態に従って、タイヤ気室3に中空粒子4が充填されるにあたり、タイヤ1が外傷を受けた際の受傷部の封止機能を高めるために、平均嵩比重が中空粒子の平均真比重よりも大きい発泡体の多数を中空粒子群に混在させる手段が有効である。
具体的には、直径が1〜15mmの略球体形状または一辺が1〜15mmの立方体形状であり独立または連通気泡を有し、平均嵩比重が0.06〜0.3g/ccであり、かつ粒子の平均真比重よりも大きい嵩比重値である発泡体の多数を加えることにより、内圧復活機能させる期間(タイミング)が早まり、タイヤの受傷後の走行能力を増大させることが可能である。
すなわち、中空粒子4は略球形状であるために流動性が高く、よってタイヤ用バルブ13等の内径の小さい導入口からタイヤ気室3の内部に、容易に充填することができる。その一方、タイヤの受傷時に、受傷部からタイヤの外側へ中空粒子4がタイヤ気室3の高圧気体とともに吹き出ようとして、受傷部の内面に集まることになる。
しかしながら、受傷部の内面からタイヤ外周面までの受傷経路は直線ではなく複雑に入り組んだ形状を呈するため、受傷部から入り込んだ中空粒子4は、経路の途上行く手を阻まれる結果、多数の中空粒子4が受傷部の内面に圧縮状態で集合することになり、受傷部が暫定的に封止される。ここで、暫定的に封止とは、中空粒子4そのものの漏洩はないが、中空粒子4の周囲の空隙11にある気体が徐々に漏洩する状態を指す。
その際、受傷部の外傷の形や大きさによっては、中空粒子のみによる暫定的封止が不完全な場合がある。このような場合において、上述した発泡体の多数を加えておくことにより、次のように封止のレベルを向上させることができる。
すなわち、転動中のタイヤ気室3においては、速度に応じた遠心力が発生しており、その遠心力下において嵩比重の大きい発泡体はタイヤ1のインナーライナー8側へ、そして真比重の小さい中空粒子4は、発泡体より回転中心に近い側へ夫々偏在する。
この状態においては、もし中空粒子4のみでは封止できない程の大きさの外傷を受けたとしても、タイヤ1の内面に配置されたインナーライナー8の近傍に、発泡体が多数偏在しているため、発泡体がタイヤ1の外部へ吹き出ようとして、受傷部の内面にいち早く密着することによって、受傷部を封止することとなり、極めて有効である。
特に、発泡体が連通気泡を持つ熱可塑性ウレタンによる発泡体の場合、圧縮性が高く、タイヤの受傷の形状に密着しやすいことと、結果的に大きな受傷部を発泡体により極めて複雑かつ微細化できることによって、その複雑・微細化された気体の散逸流路を中空粒子4にて封止するに最も適した様態へ変化させることが出来るため、大変有効な手段となる。
(中空粒子量算出方法)
次に、本発明に係る中空粒子量の算出方法について、図4乃至図8を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態における中空粒子量算出方法を示すフロー図である。
ステップ1において、第1荷重の測定を行う。具体的には、タイヤ気室3に所定の内圧を有し、荷重をかけた場合において、サイドウォール部7が路面と接し得る荷重である第1荷重を測定する。
ここで、所定の内圧とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2004年度版の最大負荷能力に対応する空気圧である。
日本以外では、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
また、ここで、タイヤにかける荷重とは、車毎に異なる軸重である。例えば、図5において、1000ccサイズの車輌では320kgf、1500ccサイズの車輌では400kgf、2500ccサイズの車輌では710kgfである。
ステップ2において、第2荷重の測定を行う。具体的には、ホイールにリム組し、タイヤ気室3の内圧を0kPaとし、アムスラーにて荷重をかけ、サイドウォール部7が路面と接する時点の荷重である第2荷重を測定する。
第2荷重とは、パンク時においてタイヤが負担可能な荷重である。例えば、図5において、タイヤAでは80kgf、タイヤBでは180kgf、タイヤCでは200kgf、タイヤDでは80kgf、タイヤEでは200kgfである。
なお、図4では、ステップ1の次にステップ2を示したが、この順序は逆でもよい。
ステップ3において、中空粒子支持荷重の算出を行う。具体的には、タイヤ気室3の内圧が低下した場合において、中空粒子4が支持すべき荷重である中空粒子支持荷重を、第1荷重から第2荷重を減算することによって算出する。
例えば、図5において、タイヤAでは240kgf(=320−80kgf)、タイヤBでは140kgf(=320−180kgf)、タイヤCでは200kgf(=400−200kgf)、タイヤDでは320kgf(400−80kgf)、タイヤEでは510kgf(710−200kgf)である。
このように、中空粒子4が支持すべき荷重である中空粒子支持荷重が算出されることにより、タイヤ気室3に充填すべき中空粒子4の量を判断する。
また、ステップ4において、中空粒子4の量を算出することが好ましい。具体的には、中空粒子4が支持可能な荷重である中空粒子支持可能荷重に基づいて、中空粒子支持荷重を満たす中空粒子4の量を算出するステップを更に含むことが好ましい。
中空粒子4は、複数の種類を有し、種類によって支持可能な荷重である中空粒子支持可能荷重が異なる。そのため、それぞれの中空粒子4の中空粒子支持可能荷重に応じて、中空粒子支持荷重を満たすように中空粒子の量を算出する。
これにより、中空粒子4の種類と量とが決定される。
ここで、算出された中空粒子4の量と、中空粒子支持荷重とをグラフ上に示すと、図6に示すように、直線関係が得られる。
なお、ヒステリシスロスが高い高ロスタイヤを用いると、通常のタイヤよりも中空粒子量を減らすことが可能である。
以下において、高ロスタイヤを用いることにより、中空粒子4の使用量を減らすことができる理由を説明する。
ここでは、タイヤDと同一のサイズであり、タイヤDよりもヒステリシスロスが高いタイヤFを用いて説明する。なお、タイヤFにおけるヒステリシスロスは、図7に示すように、内圧が0kPaである時点において61Jであり、タイヤDにおけるヒステリシスロスは、31Jである。
タイヤFのサイズがタイヤDと同一であることから、第1荷重は、図5に示すタイヤDと同様に400kgfである。また、第2荷重はタイヤDよりも大きい170kgfである。
これらにより、中空粒子支持荷重は、230kgfとなり、図8から、タイヤFにおける中空粒子の量は、7Lであることが分かる。
すなわち、内圧が0kPa時点における高ロスタイヤは、中空粒子4の膨張度合が向上し、温度が高温になることによる空隙圧の上昇が得られるため、通常のタイヤを使用する場合よりも中空粒子4の必要量を減らすことができる。
(本実施形態に係る中空粒子量算出方法の作用・効果)
本発明の中空粒子量算出方法によると、タイヤ気室3に所定の内圧を有し、荷重をかけた場合において、サイドウォール部7が路面と接し得る荷重である第1荷重を測定するステップと、タイヤ気室3の内圧を0kPaとし、荷重をかけ、サイドウォール部7が路面と接する時点の荷重である第2荷重を測定するステップと、タイヤ気室3の内圧が低下した場合において、中空粒子4が支持すべき荷重である中空粒子支持荷重を、第1荷重から第2荷重を減算することによって算出するステップとを含むことをため、タイヤ1に応じた中空粒子4の適量を簡便に調査することができる。中空粒子4の充填量が適量より多いと、常用走行時において中空粒子4が膨張してしまい、パンク時において中空粒子4の効力を発揮できない可能性がある。また、中空粒子4の充填量が適量より少ないと、パンク時において中空粒子4の発熱が不十分となり、確実に膨張せず、中空粒子4の効力を発揮できない。そのため、中空粒子4を適量充填することが重要であり、本発明を用いることにより、この中空粒子の適当な充填量を簡便に調査することができる。
また、中空粒子が支持可能な荷重である中空粒子支持可能荷重に基づいて、中空粒子支持荷重を満たす中空粒子の量を算出するステップを更に含むため、中空粒子の適量を簡便に、より適確に調査することができる。
以下において、本実施形態に係る中空粒子量算出方法における実施例について、説明する。
まず第1に、タイヤサイズが225/45R18 GR8000であるタイヤを用意し、ホイールにリム組する。該タイヤは4000ccサイズの車輌に装着するため、第1荷重は、530kgfであった。
次に、該タイヤの第2荷重の測定を行った。具体的には、該タイヤの内圧を0kPaにし、アムスラーにて荷重をかけたところ、サイドウォール部7が路面と接した時点における荷重が200kgfであった。
これらにより、第1荷重(530kgf)から第2荷重(200kgf)を減算したところ、中空粒子支持荷重は、330kgfであった。
ここで、横軸に中空粒子支持荷重、縦軸に中空粒子量をとったグラフに示された直線関係に基づいて中空粒子の適量を調べたところ、13Lであった。
これにより、該タイヤに13Lの中空粒子を充填し、タイヤをパンクさせ、ドラムに装着して
80km/hで走行させたところ、該タイヤが故障することなく、内圧復活が行われた。
これにより、中空粒子の適量を算出する際に、上記の方法を用いることにより、適切な中空粒子の量が簡便に算出することができることが分かった。
本発明の実施形態に係るタイヤ粒子集合体を示すタイヤ幅方向断面図である。 本発明の実施形態に係るタイヤ粒子集合体に充填される中空粒子及び気体の充填に併用するフィルターを備えたタイヤ用バルブの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るタイヤ気室の圧力の低下を警報する装置と車輌とを示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る中空粒子量算出方法を示すフロー図である。 本発明の実施形態に係る中空粒子支持荷重、第1荷重及び第2荷重を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る中空粒子の充填量を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るヒステリシスロスの値を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る中空粒子の充填量を示すグラフである。
符号の説明
1…タイヤ
2…リム
3…タイヤ気室
4…中空粒子
5…ビード部
5a…ビードコア
5b…ビードフィラー
6…カーカス層
7…サイドウォール部
8…インナーライナー
9…ベルト層
10…トレッド部
11…中空粒子の周囲の空隙
12…バルブ
13…フィルター
14…タイヤ圧力センサー
15…車輌速度センサー
50…車輌
50a…受信部
50b…警報部

Claims (2)

  1. サイドウォール部を有するタイヤと、樹脂による連続相と独立気泡とからなる略球形状であり、前記タイヤとリムとによって区画されるタイヤ気室に、大気圧を超える高圧気体とともに充填され、前記タイヤ気室の内圧が低下した場合に、所定の温度(Ts2)に達することにより膨張する複数の中空粒子との集合体であるタイヤ粒子集合体における中空粒子量算出方法であって、
    前記タイヤ気室に所定の内圧を有し、荷重をかけた場合において、前記サイドウォール部が路面と接し得る荷重である第1荷重を測定するステップと、
    前記タイヤ気室の内圧を0kPaとし、前記荷重をかけ、前記サイドウォール部が路面と接する時点の荷重である第2荷重を測定するステップと、
    前記タイヤ気室の内圧が低下した場合において、前記中空粒子が支持すべき荷重である中空粒子支持荷重を、前記第1荷重から前記第2荷重を減算することによって算出するステップとを含むことを特徴とする中空粒子量算出方法。
  2. 前記中空粒子が支持可能な荷重である中空粒子支持可能荷重に基づいて、前記中空粒子支持荷重を満たす前記中空粒子の量を算出するステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の中空粒子量算出方法。

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