JP2006262708A - α−アクチンプロモーター遺伝子、発現ベクター及び遺伝子導入魚類 - Google Patents

α−アクチンプロモーター遺伝子、発現ベクター及び遺伝子導入魚類 Download PDF

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Abstract

【課題】海産魚骨格筋の筋線維で特異的に発現するプロモーター遺伝子、このプロモーター遺伝子を含む発現ベクター、及びこの発現ベクターが導入された遺伝子導入魚類を提供する。
【解決手段】高級海産魚であり、養殖魚としても実績のあるマダイのゲノムDNAから、マダイの骨格筋の筋線維で特異的に発現するα−アクチン蛋白質の発現量を制御するプロモーター遺伝子を単離して、発現ベクターに組込み、この発現ベクターを魚類に遺伝子導入した。また、α−アクチン蛋白質をコードする遺伝子の下流側にあるポリアデニレーションシグナル配列と類似する塩基配列についても合わせて単離し、これについても発現ベクターに組込み、この発現ベクターを魚類に遺伝子導入した。その結果、前記プロモーター遺伝子及びポリアデニレーションシグナル配列と類似する塩基配列が、プロモーター遺伝子やポリアデニレーションシグナル配列として機能し、外来蛋白質を発現することが確認できた。
【選択図】図1

Description

この発明は、マダイなどの海産魚骨格筋の筋線維で特異的に発現するα−アクチンプロモーター遺伝子、このプロモーター遺伝子を含む発現ベクター、及びこの発現ベクターが導入された遺伝子導入魚類に関する。
わが国は魚の一大消費国であり、消費される魚の多くは現在、海面漁業、輸入、及び海面養殖によって賄われている。また、漁業従事者の高齢化や漁業資源の管理などの点から、海面漁業や輸入による魚類の確保は年々困難になってきており、魚の安定した供給源として魚の海面養殖への期待が年々高まっている。
その一方で、海面養殖は、輸入魚や他の食品、例えば食肉との厳しい価格競争に曝されており、これに対応するため、経済効果の高い魚、具体的にはより少ないエサや手間で高品質・高価格の魚を生産することが求められている。また、海面養殖においては、収穫量の増大を目的とした過密養殖や飼餌料の過剰投与による養殖漁場の環境悪化が生じており、これにともなう魚病の発生や品質低下も生じている。
このような課題に対応するため、養殖魚のエサ、飼育用生簀、養殖方法などの研究に加えて、より養殖に適した魚、具体的には成長が速くて肉質がよく、環境耐性があり、病気に罹り難い魚の育種についても研究もなされている。そして、魚の育種については、選抜育種などの従来からある方法に加えて、近年では、バイオテクノロジー技術の進歩の成果を取り入れた遺伝子導入による方法も試みられるようになっている。例えば、低温刺激によって外来遺伝子を発現するプロモーター遺伝子をゼブラフィッシュに導入してGFPなどのレポーター遺伝子を発現すること(特許文献1を参照。)や、β−アクチン遺伝子、β−アクチンプロモーター遺伝子、成長ホルモン遺伝子を含む発現ベクターを泥鯰に遺伝子導入して成長の早い泥鯰を育種すること(特許文献2を参照。)などが試みられている。また、α−アクチン遺伝子プロモーターの下流に蛍光遺伝子を配置した発現ベクターをゼブラフィッシュに導入して、全身が蛍光するゼブラフィッシュを育種すること(特許文献3を参照。)なども試みられている。
しかし、これら魚類の遺伝子組換えに関する研究の多くは、メダカやゼブラフィッシュなどの実験魚を対象とするものであり、これらの実験魚の多くは淡水魚であった。そのため、これらの研究成果は、養殖魚の多くを占める海産魚の遺伝子組換えによる育種、特に肉質の改善には利用することができなかった。
特開2003−159070号公報 特開2000−4889号公報 特開2004−129649号公報
そこで、この発明は、養殖魚の多くを占める海産魚の遺伝子組換えによる育種、特に肉質の改善に資することができる海産魚由来のα−アクチンプロモーター遺伝子、このプロモーター遺伝子を含む発現ベクター、及びこの発現ベクターが導入された遺伝子導入魚類を提供することを課題とする。
高級海産魚であり、養殖魚としても実績のあるマダイのゲノムDNAから、マダイの骨格筋で発現するα−アクチン蛋白質の発現量を制御するα−アクチンプロモーター遺伝子(配列表配列番号1)を単離して、発現ベクターに組込み、この発現ベクターを魚類に遺伝子導入した。また、ポリアデニレーションシグナル配列(配列表配列番号2)についてもマダイのゲノムDNAから単離し、発現ベクターに組込んで、この発現ベクターを魚類に遺伝子導入した。
海産魚の骨格筋で特異的に発現するα−アクチン蛋白質のプロモーター遺伝子を単離できたので、この下流側に外来遺伝子、例えば、代謝酵素、プロテアーゼインヒビター等の各種蛋白質をコードする遺伝子を導入した発現ベクターを構築できる。そして、この発現ベクターを魚類に導入することによって、優れた性質(肉質)を備えた海産魚を育種できる。また、海産魚で機能するプロモーター遺伝子や発現ベクターは少ないため、このプロモーター遺伝子は海産魚における遺伝子工学の進展にも寄与することができる。
本発明者らは、マダイの全血からゲノムDNAを抽出して全ゲノムDNAを調製し、この全ゲノムDNAからα−アクチン遺伝子を含むDNA断片をPCR法により増幅して、α−アクチン遺伝子を含むゲノムDNA断片を見つけ出し、その上流側及び下流側を含むDNA断片をゲノムウォーキングにより得て、そのDNA断片の塩基配列を決定した。
その結果、このゲノムDNA断片に含まれるα−アクチン遺伝子の上流側の塩基配列には、他の生物や他の遺伝子のプロモーター遺伝子に存在するE-ボックス様配列、CAATボックス様配列、CArGボックス様配列及びTATAボックス様配列が存在し、α−アクチンプロモーター遺伝子の下流側の塩基配列にはポリアデニレーションシグナル配列(AATAAA)と類似する部分を含む塩基配列が存在することが確認できた。
また、前記上流側の塩基配列の下流側にレポーター遺伝子を含む発現ベクターを構築し、この発現ベクターをマダイに遺伝子導入して、そのプロモーター活性を調べたところ、高い転写活性が確認できた。
さらに、この発現ベクターのレポーター遺伝子の下流側に前記下流側の塩基配列を含む発現ベクターを構築し、この発現ベクターをマダイに遺伝子導入して、プロモーター活性を調べたところ、同じく高い転写活性が確認できた。
上記プロモーター遺伝子のうち、上記E-ボックス様配列、CAATボックス様配列、CArGボックス様配列及びTATAボックス様配列以外の塩基配列(以下、非必須配列という。)については、欠失、置換、又は付加を行ってもプロモーター機能は維持されると考えられるため、このような修飾を行ったプロモーター遺伝子も本発明の特許請求の範囲に含まれる。なお、各非必須配列における欠失、置換は最大その50%以内が好ましく、各非必須配列に塩基配列を付加する場合でも、付加する塩基配列の長さは元の非必須配列の長さの50%以内である。なお、ポリアデニレーションシグナル配列を含む塩基配列についても同様のことが言える。
上記プロモーター遺伝子を含む発現ベクターのもとになるベクターとしては、魚類又はその培養細胞中で複製可能なものであればよい。また、上記プロモーター遺伝子に連結する外来遺伝子についても、その種類や由来は特に限定することはない。例えば、変異緑色蛍光タンパク質(EGFP;Enhanced green fluorescent protein)等のレポーター遺伝子、代謝酵素、筋肉タンパク質、各種ホルモン、抗菌・抗ウイルス性因子等をコードする様々な遺伝子を利用することができ、海産魚、淡水魚などの魚類以外の生物に由来する遺伝子についても利用することができる。なお、本発明の外来遺伝子には、マダイから単離した遺伝子を発現ベクターに連結し、これをマダイに遺伝導入する場合の前記単離した遺伝子も含む。また、外来遺伝子は単独の遺伝子だけではなく、複数の遺伝子から構成されていてもよい。
魚類又は培養細胞への遺伝子導入は、受精卵にDNAを顕微注入するマイクロインジェクション法のほか、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、リン酸カルシウム共沈法、DEAE-デキストラン法、リポフェクション法/リポソーム法、ウイルスベクターを用いる方法など当業者に周知の方法により行うことができる。
上記発現ベクターを導入可能な魚としては、マダイなどの海産魚は言うまでもなく、ゼブラフィッシュ、メダカなどの淡水魚も挙げることができる。なお、遺伝子の導入はこれら魚の受精卵だけではなく、株化した培養細胞に対しても行うことができる。
以下、実施例によって本願発明をより詳細に説明するが、この実施例の記載は、如何なる意味においても、請求項に記載した本願発明の技術的範囲を限定しない。
本実施例では、マダイのα−アクチンプロモーター遺伝子のクローニングについて説明する。このクローニングは、(1)マダイゲノムDNAの調製、(2)α−アクチン配列を含むDNA断片のクローニング、(3)α−アクチンの上流及び下流の配列を含むDNA断片のクローニング、(4)塩基配列の決定の順番で行った。そこで、以下にこの順番で詳説する。なお、詳細な実験手順、試薬の構成などについては、特に明記しない限りは各種キット類に添付の説明書に従った。
(1)マダイゲノムDNAの調製
ホモ接合型クローンマダイ(K. Kato, R. Hayashi, D. Yuasa, S. Yamamoto, S. Miyashita, O. Murata, and H. Kumai, Aquaculture, 207, 19-27, 2002)より0.5mlずつ全血を採取し、ゲノムDNAをSDS-フェノール/クロロホルム法(Andrew S. Harris, Sophie Bieger, Roger W. Doyle and Jonathan M. Wright, Aquaculture, 92, 157-163, 1991)によって抽出した。
(2)α−アクチン配列を含むDNA断片のクローニング
まず、抽出したゲノムDNAをテンプレートにして、2種類のプライマー(gAct-F1, 5’- GCACAGAGCAAAAGGGGTAT-3’(配列表配列番号3)及びgAct-R1,5’-CATGAGGTAGTCTGTGAGGT-3’ (配列表配列番号4))により、ExTaq HS(宝酒造株式会社)を使用してPCR増幅を行った。
つぎに、このPCR産物をアガロース電気泳動したところ、3本のバンドが出現したので、各バンドをゲルから回収し、GENECLEAN Kit(Q-BIO gene,アメリカ)で精製した。この精製PCR産物をTOPO TA Cloning Kit(Invtrogen, アメリカ)を使用してプラスミドにライゲーションし、大腸菌に形質転換した。そして、この大腸菌を培養したのち、プラスミドDNAをQIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen, アメリカ)を使用して精製し、精製したプラスミドDNAの挿入断片の塩基配列をCEQ DTCS-Quick Start Kit(Beckman Coulter, アメリカ)及びBeckman CEQ 8000(Beckman Coulter, アメリカ)によって決定した。その結果、これら挿入断片のうち481 bpの挿入断片がイントロンを含むα-アクチン遺伝子の断片であることが分かった。
(3)α−アクチンの上流及び下流の配列を含むDNA断片のクローニング
マダイα-アクチンの転写制御領域を含むゲノムDNA断片のクローニングは,Universal GenomeWalker Kit(Clontech,アメリカ)を用いて同社が提供するプロトコルに従って行った。
まず、上記のゲノムDNAを2.5 μgずつを,11種類の制限酵素(Dra I, EcoR V, Stu I及びPvu II(以上、キット付属), Sca I, Ssp I, Eco47 III, Ehe I, Nae I及びHinc III(以上、東洋紡績),Sma I(第一化学薬品))で37℃、2時間消化したのち、フェノール処理及びエタノール沈殿を行ってDNA断片を精製した。そして精製したDNA断片に上記キット付属のGenomeWalkerアダプターをライゲーションして、11種類のGenomeWalkerライブラリとした。
つぎに、上記のマダイα-アクチンゲノムDNA断片の上流及び下流領域のクローニングのため、2種類ずつのプライマーを上流用(UP-GPS1, 5’-TCTTAAACACCTGAGGAGTCTGTCAT-3’ (配列表配列番号5)及び UP-GPS2, 5’-GTTGTAGAAGGTGTGATGCCAGATTTT-3’(配列表配列番号6))並びに下流用(DO-GPS1, 5’-ATGACAGACTCCTCAGGTGTTTAAGA-3’(配列表配列番号7)及び DO-GPS2, 5’-GACTCTGGTGATGGTGTGACGCATAAT-3’(配列表配列番号8))をそれぞれ作成した。
さらに、上記の11種のGenomeWalkerライブラリをテンプレートにして、キット付属のアダプタープライマー1と上記UP-GPS1又は上記DO-GPS1とを組み合わせてAdvantage Genomic PCR Kit(Clontech,アメリカ)を使用してPCR増幅を行ったのち、その反応液を用いて、キット付属のアダプタープライマー2と上記UP-GPS2又は上記DO-GPS2とを組み合わせ、Advantage Genomic PCR Kit を使用してnested-PCR増幅を行った。
(4)塩基配列の決定
このようにして得られたnested-PCR増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動し、明瞭なバンドをゲルから切り出してGENECLEAN Kitで精製したのち、TOPO TA Cloning Kitを用いてプラスミドにライゲーションし、大腸菌に形質転換した。この大腸菌を培養したのち、プラスミドDNAをQIAprep Spin Miniprep Kitを使用して精製し、それぞれのプラスミドDNAの挿入断片の塩基配列を、CEQ DTCS-Quick Start Kit(Beckman Coulter, アメリカ)及びBeckman CEQ 8000(Beckman Coulter, アメリカ)を使用して決定した。
決定した塩基配列をもとに、さらに上流用に2種類(UP2-GPS1, 5’-CACGGCGGATCTGACCCTCATCCAAA-3’(配列表配列番号9)及びUP2-GPS2, 5’-AAACGACTATGTGACGATACTCGTCCTTA-3’(配列表配列番号10))、下流用に2種類(DO2-GPS1, 5’-TAAAGGCGTAGATTTCGCTGGAGTGA-3’(配列表配列番号11)及び DO2-GPS2,5’-CTGTCCCATCAGCTGTGGTTTAAAAG-3’(配列表配列番号12))のプライマーを作成し,同様の方法を繰り返して塩基配列を決定した。
その配列を基に、下流用にさらに1種類のプライマー(DO3-GPS1, 5’-GCTAACTCTCGCTAACTTGTGCGCTCT-3’(配列表配列番号13))を作成し、アダプタープライマー1との組み合わせでPCR増幅した。このPCR産物を電気泳動したところ、明瞭なバンドが得られたので、このDNA断片についても上記と同様の方法によりその塩基配列を決定した。
以上の方法により得られた断片の塩基配列を連結したところ、その全長は6,620 bpであり、α-アクチン翻訳領域と、配列番号1に示すプロモーター領域(3,053 bp)、及び配列番号2に示すポリアデニレーションシグナル配列(AATAAA)を含む領域(1,151 bp)とを含んでいることが分かった。なお、上記プロモーター領域は、E-ボックス様配列、CAATボックス様配列、CArGボックス様配列及びTATAボックス様配列を含んでいた。
このようにして得られたプロモーター遺伝子の転写活性を、変異型緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子をレポーター遺伝子として含むベクター使用して分析した。なお、分析は(5)発現ベクターの調製、(6)転写活性の確認の手順で行った。
(5)発現ベクターの調製
転写活性の測定に使用する発現ベクター1及び2は、アフリカツメガエルのEF-1αプロモーター遺伝子の下流側にEGFP遺伝子及びSimian Virus 40のポリアデニレーションシグナル配列を含む配列を連結したプラスミドDNAの発現ベクターpXI-EGFP(Knaut H, Steinbeisser H, Schwarz H, Nusslein-Volhard C, Curr Biol., 12(6), 454-66, 2002)から構築した。まず、この発現ベクターと2種類のプライマー(pXI-F2, 5’-ATGAGGATAAAATACTCTGAGTCCAAA-3’(配列表配列番号14)及びpXI-R2, 5’-GCCGGTCTCCCTATAGTGA-3’(配列表配列番号15))から、KOD-Plus-(東洋紡績)を使用するPCR法を行ってDNAを増幅し、このPCR産物を精製したのち、アルカリフォスファターゼ(東洋紡績)で両末端を脱リン酸化して、EF-1αプロモーター部位を含まない発現ベクター由来の平滑末端のDNA断片を調製した。
つぎに、配列番号1に示すα−アクチンプロモーター遺伝子領域を2種類のプライマー(aAct-F1, 5’-CCTTTTACACCAATGAGAGC-3’(配列表配列番号16)及び aAct-R1,5’-GGTGTCAGCTCTGAAACAAA-3’(配列表配列番号17)を用いて、同様の方法によりPCR増幅・精製・脱リン酸化し、プロモーター遺伝子を含む平滑末端のDNA断片を調製した。このようにして調製した発現ベクター由来のDNA断片とプロモーター遺伝子DNA断片とをTaKaRa BKL Kit(宝酒造)により連結して大腸菌XL1-Blue MRF’株に形質転換したのち、定法に従って、この大腸菌を大量培養してプラスミドDNAを精製し発現ベクター1とした。なお、参考のため、発現ベクター1の構成を図1に示す。
また、発現ベクター1を2種類のプライマー(pXI-F1, 5’-TATAGTGTCACCTAAATCGTATGTGTAT-3’(配列表配列番号18)、 pXI-R1及び 5’-TTAATTCGAGCTCCACCGC-3’(配列表配列番号19))を使用して、発現ベクター1と同様の方法によって、PCR法による増幅・精製・両末端脱リン酸化を行い、Simian Virus 40のポリアデニレーションシグナル配列を含まない平滑末端のDNA断片をクローニングした。つぎに、配列番号2に示したポリアデニレーションシグナル配列を含む領域を2種類のプライマー(aAct-F2, 5’- AGCGCCAGACTGCACC -3’(配列表配列番号20)及びaAct-R2, 5’- ATGGTCAAGGTGACTCTTGC -3’(配列表配列番号21))を用いて同様に増幅・精製・両末端脱リン酸化して、ポリアデニレーションシグナル配列を含む平滑末端のDNA断片をクローニングした。このようにしてクローニングしたポリアデニレーションシグナル配列を含まないDNA断片とポリアデニレーションシグナル配列を含む平滑末端とをTaKaRa BKL Kitにより連結して大腸菌XL1-Blue MRF’株に形質転換したのち、定法に従って、この大腸菌を大量培養してプラスミドDNAを精製し発現ベクター2とした。なお、参考のため、発現ベクター2の構成を図2に示す。
(6)転写活性の確認
まず、上記の2種類の発現ベクターを100 ng /μlになるようにリン酸緩衝液(pH 7.4)で希釈した。つぎに、受精して1分後のマダイの受精卵をライボビッツのL-15培地(Invtrogen)で洗浄したのち、アクリルプレート上の約1 mm幅の溝に並べ、希釈した発現ベクターのDNA溶液を実体顕微鏡下でガラスキャピラリーを使用して、マイクロインジェクション法により注入した。
つぎに、DNAを導入した卵を20℃の海水中で保温し、受精後42及び64時間後に、蛍光顕微鏡でEGFPの蛍光発現を観察した。その観察結果の一部を図3及び図4に示す。ここで、図3は発現ベクター1をマダイの受精卵に遺伝子導入して、42時間後に蛍光顕微鏡で撮影した写真であり、図4は発現ベクター2をマダイの受精卵に遺伝子導入して、64時間後に蛍光顕微鏡により撮影した写真である。なお、図4の(a)と(b)は同じ操作によって得られた異なる個体の写真である。
これらの図からも明らかなように、発現ベクター1及び2を遺伝子導入した受精卵(図3及び図4)は、EGFPが発現し蛍光している(発現している部分を図3及び図4の矢印で示す。)。このことから、発現ベクター1及び2に含まれる配列1は、プロモーター遺伝子特有の塩基配列を持っているだけではなく、EGFPを骨格筋の筋線維で特異的に発現させるプロモーター遺伝子としての機能を備えていることが確認できた。
この発明にかかるα−アクチンプロモーター遺伝子は、その下流側に任意の外来遺伝子を連結し、これをマダイなどの海産魚に導入することにより、前記外来遺伝子を海産魚の骨格筋細胞において特異的に安全かつ強力に発現させることができる。そのため、例えば、外来遺伝子として、コラーゲン分解酵素であるMMPの働きを阻害するTIMP2(Tissue Inhibitor of Matrix Metalloproteinase 2)などの遺伝子を利用すれば、魚肉の軟化を長期間に渡って防ぐことができ、他の臓器や器官に影響を与えることなく肉質の改善を行うことができる。また、外来遺伝子として、例えば脂質代謝に関連する遺伝子を利用すれば、脂質含量を高めたあるいは低くした海産魚を育種することができる。また、海産魚やその培養細胞で機能するプロモーター遺伝子や発現ベクターは少ないため、このプロモーター遺伝子は海産魚における遺伝子工学の進展にも寄与することができる。さらに、このプロモーター遺伝子は、実験魚として利用されてきた淡水魚でも働くため、海産魚と淡水魚における特定遺伝子の働き方の違いを研究する際にも利用できる。
発現ベクター1の構成を模式的に示した図である。 発現ベクター2の構成を模式的に示した図である。 発現ベクター1を遺伝子導入したマダイの受精卵中で、EGFPが発現する様子を受精後42時間後に蛍光顕微鏡で観察した様子を示す写真である。 発現ベクター2を遺伝子導入したマダイの孵化仔魚で、EGFPが発現する様子を受精後64時間後に蛍光顕微鏡で観察した様子を示す写真である。なお、(a)と(b)は同じ操作によって得られた異なる個体の写真である。

Claims (8)

  1. 次の(a)又は(b) の塩基配列からなるα−アクチンプロモーター遺伝子。
    (a) 配列表の配列番号1で表される塩基配列、
    (b) 配列表の配列番号1で表される塩基配列において、1又は複数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加され、かつプロモーター活性を有する塩基配列。
  2. 請求項1に記載のα−アクチンプロモーター遺伝子を含む発現ベクター。
  3. 次の(c)又は(d) の塩基配列を前記α−アクチンプロモーター遺伝子の下流側に含む請求項2に記載の発現ベクター。
    (c) 配列表の配列番号2で表される塩基配列、
    (d) 配列表の配列番号2で表される塩基配列において、1又は複数個のヌクレオチドが欠失、置換又は付加され、かつポリアデニレーションシグナル配列活性を有する塩基配列。
  4. 前記α−アクチンプロモーター遺伝子の下流側に外来遺伝子を含む請求項2又は3に記載の発現ベクター。
  5. 外来遺伝子がレポーター遺伝子である請求項4に記載の発現ベクター。
  6. 請求項2から5の何れかに記載の発現ベクターが遺伝子導入された遺伝子導入魚類。
  7. 魚類が海産魚である請求項6に記載の遺伝子導入魚類。
  8. 魚類がマダイである請求項7に記載の遺伝子導入魚類。
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