JP2006251469A - プラスチック光ファイバー及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents

プラスチック光ファイバー及びその製造方法並びに製造装置 Download PDF

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隆喜 山崎
Tomohiro Agatani
智宏 阿賀谷
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Abstract

【課題】一段階でクラッド径、コア径のばらつきの少ないコアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造方法を提供することを目的とする。
【解決のための手段】コアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造方法であって、コアを硬化性のポリマーとしクラッドを硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とする組み合わせにてコア用硬化性ポリマーを注入しながら同時押出する方法において、クラッド用の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を成形用液中で押出し、前記クラッド用の硬化性のポリマーの注入圧と前記成形用液からの圧力を均衡させた状態で成形硬化させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバー及びその製造方法に関する。
プラスチック光ファイバーは近距離用の光通信等に用いられており、コアがポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略す)等の高光透過性樹脂で作られその外側に、コアより屈折率の小さい例えばポリビニリデンフルオライド等によるクラッドを設けた光伝送損失を防ぐ構成とされている。本構造によればコアよりしみ出た光はクラッドにてもどされるため光ファイバー外への漏出がなく伝送効率がよい。
このようなプラスチック光ファイバーの製造方法としては成形したコア繊維上にクラッドを浸漬、塗布等の方法により被覆し必要に応じて硬化させることや複合紡糸法により製造されていたが、均一な外径を有する繊維を紡糸することが難しく均一な厚みをもつクラッドを成形することが困難であった。
更に熱可塑性樹脂でコアとクラッドを同時押出する方法もあるが、熱可塑性樹脂を高温で低粘度化させて成形加工するものであるため、成形時に樹脂の焼けによる変色等、更には金型中の滞留によりゲル化物や炭化物等を生じ、特にコア中の光行路中に存在すれば、伝送損失が本来の材料の持つものよりも大きくなり、伝送効率が十分上がらないという問題がある。
このためクラッドを熱可塑性樹脂製の予め成形されたパイプを加熱下引っ張ることにより800μmのパイプに形成しこの中空部に硬化性の液状材料を滴下する等にて充填しコアを硬化させてプラスチック光ファイバーを得る方法が提案されている(特許文献1)。
又クラッドを形成するための液状ポリマーを外層とし、コアを形成するための液状ポリマーを内層として流下させ、流下中に液状ポリマーを架橋させることが提案されている(
特許文献2)。
さらに光損失を小さくするためにコアを硬化性の有機シロキサンポリマーとしクラッドを熱可塑性樹脂とした組み合わせにて同時押出し、コアを硬化させる方法が提案されている(特許文献3)。実施例には通常のチューブ押出機を、空気注入口に有機シロキサンポリマーが供給される様に改造してクラッドを形成する熱可塑性樹脂と同時に有機シロキサンポリマーを上向きに同時押し出ししている。しかしながら本方法では有機シロキサンポリマーを注入するためその圧力で外径が大きくなり制御が困難となる問題が生じ易い。
以上の如く、上記プラスチック光ファイバーの製造方法では二段階生産のものは生産性が悪く、一段階生産のものは外径、内径制御が困難であるという問題があった。
特開昭57−102604 特開昭61−259202 特開昭63−169602
以上のような事情に鑑みて、本発明は、一段階で外径、内径の制御が容易なプラスチック光ファイバーの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法は、コアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造方法において、コア用樹脂と、クラッド用樹脂とを一の金型から同時押出する方法であって、前記金型は円環状開口と同一中心を有する円環状開口内の円状開口を有し、クラッド用樹脂を前記金型の円環状開口から成形用液中に押出し固化させてクラッド層を形成し、一方コア用樹脂を円状開口から前記クラッド層内に圧出し固化させるに当たり、コア用樹脂の圧出圧力と前記クラッド層を介した前記成形用液の圧力を均衡させた状態で成形することを特徴とするプラスチック光ファイバーの製造方法である。
請求項2に記載のプラスチック光ファイバーの製造方法は請求項1記載の製造方法において同時押し出しする方向が上向きであることを特徴とする。
請求項3に記載のプラスチック光ファイバーの製造装置は、
コアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造装置であって、
一面にクラッド用樹脂用円環状開口と同円環状開口の中心部にコア用硬化性樹脂用円状開口を有し、円環状開口と連通するクラッド用樹脂供給用開口と、円状開口と連通するコア用硬化性樹脂供給用開口とを有する金型と、
クラッド用樹脂を流動状態で前記金型に供給するクラッド用樹脂供給手段と、
コア用硬化性樹脂を前記金型に加圧下供給するコア用硬化性樹脂供給手段と、
前記金型から吐出されるクラッド用樹脂を固化・成形させるための一定圧の成形用液を入れる加圧容器と、
前記成形用液を加圧する手段と、
を有することを特徴とするプラスチック光ファイバーの製造装置である。
以下詳細に説明する。
クラッド用の樹脂としては使用波長域において透明な樹脂であれば特に限られないが、通信に用いる光の領域例えば可視光、近赤外において透明度が高く屈折率にムラが少なく、十分な機械強度性を有し、耐熱性、耐候性、耐化学性、耐油性等を有し、硬化が容易で、収縮が小さければ、何でもよい。
クラッド用の樹脂が熱硬化性樹脂であれば、硬化方法は熱、光、電子線等の電磁放射線によるもの等を適宜選択することができ、硬化方法に対応した硬化剤は予めあるいは押出直前に混合しておくことができる。コアに対しクラッドは相対的に屈折率が小さくなければならないため屈折率を考慮して組み合わせが決められる。フッ素樹脂、シリコーン系樹脂等が好適に用いられる。特にシリコーン系熱硬化樹脂が好ましい。
上記シリコーン系熱硬化樹脂の中でも室温または加温により硬化する1液または2液タイプのものが好ましく、例えば旭化成株式会社製 ELASTOSOL RT601、ELASTOSOL RT604が高い透明性及び高い流動性を有するため好ましい。
クラッド用熱可塑性樹脂としてはPMMA、PSt、PC、ノルボルネン樹脂、アクリル共重合体等が好適に用いられる。
コア用樹脂としては使用波長域において透明な樹脂であれば特に限られないが、通信に用いる光の領域例えば可視光、近赤外において透明度が高く屈折率にムラが少なく、十分な機械強度性を有し、耐熱性、耐候性、耐化学性、耐油性等を有し、硬化が容易で、硬化収縮が小さければ、熱可塑性樹脂でも、硬化性樹脂でもよい。
特にクラッドに注入するためクラッドとの親和性が高い方が硬化後剥離しないため好ましい。クラッドに比し屈折率が高いものが組み合わせて用いられる。又製造上、未硬化状態あるいは熱流動状態においては粘度が低いものが好ましい。
コア用樹脂としてもシリコーン系樹脂等が好適に用いられる。特にシリコーン系熱硬化樹脂が好ましい。上記シリコーン系熱硬化樹脂の中でも室温または加温により硬化する1液または2液タイプのものが好ましく、例えば旭化成株式会社製 ELASTOSOL RT601、ELASTOSOL RT604が高い透明性及び高い流動性を有するため好ましい。
本発明において同時押し出し金型を用いる。成形後のコアは円柱状でありクラッドはコアを取り巻く円筒(パイプ)状であるので、対応する金型の開口も対応して中心を一とする円状及びその外側に円環(ドーナツ)状の開口を有する。円状の開口はコア用硬化性樹脂の金型への導入口と連通しており、円環状の開口はクラッド用樹脂の導入口と連通している。但し樹脂が通過する限り一部ブリッジ等の実質状の障害とならないものが形成されていてもよい。
上記円環状開口からクラッド用樹脂を成形用液中に押出し、前記円環状開口の内側の開口からコア用硬化性樹脂を前記クラッド用樹脂を押出した円筒形の固化または半固化の樹脂の内部に圧入し固化させる。この場合においてクラッド用樹脂は成形用液中により側面から圧力を受けて固化され、円筒状のクラッド層を形成する。クラッド用樹脂が熱可塑性樹脂の場合には、成形用液は冷却作用を果たす必要がありそのように温度制御される。クラッド用樹脂が熱硬化性である場合には成形用液は加熱作用を果たす必要がありそのように温度制御される。
上記円状開口から押し出されたコア用硬化性樹脂は上述の如くクラッド用樹脂を押出した円筒形の固化または未固化の樹脂の内部に圧入し固化させる。
本発明においてはクラッド用樹脂を押出した円筒形の固化または未固化の樹脂の内部に圧入するコア用樹脂の圧力とクラッドを介して与えられる成形用液の圧力を均衡させた状態にすることが必要である。コア用樹脂の圧力が大き過ぎればコア径が大きくなり、コア用硬化性樹脂の圧力が小さければ注入が不十分になりコア径が小さくなるからである。このことによりクラッド内で過不足なく一定の径のコアが厚み及び形状制御性よく形成される。又コア用樹脂が圧力下でクラッド層に注入されるため密着がよい。
コア用樹脂が硬化性樹脂の場合、クラッド中で固化するよう硬化速度を触媒の種類・添加量を適宜選択することにより調整され、又成形用液の温度もクラッドのみならずコアの形成にも配慮して適宜設定される。
クラッド用硬化性樹脂又はコア用硬化性樹脂は硬化用ヒーター、光、電子線等の放射装置等により本製造工程中で後硬化してもよいが、硬化を急速にすることにより光学歪みが生じる場合には別装置で熱、光、電磁放射等により完全効果させても良い。
本発明における成形用液体はクラッドの冷却又は硬化させる作用及びクラッドの内から膨張しようとする圧入されるコア用硬化性樹脂の圧力とを均衡させるために用いられる。 成形用液体の圧力、温度は圧力ポンプ、温調循環媒体等の通常の手段により精妙に制御される。
同時押出する方向は特定しないが上向きであることが好ましい。液位及び液深さにより圧力、温度が制御し易く、製造装置が簡便になるためである。尚下向きの場合には鉛直方向に重力が作用するため延伸効果として働くが強ければ分子の配向を生じるため好ましくなく、成形用液体からの浮力が相殺されるという利点もある。
本発明にかかる連続溶融押出成形したクラッド材となるチューブ中に連続的にコア材用樹脂を注入しコア材を形成することを特徴とするコア材とクラッド材が積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造方法によれば、コア用樹脂注入圧をクラッド層を介した前記成形用液の圧力と均衡させた状態にて注入するので、クラッド層の内から膨張しようとする圧入されるコア用硬化性樹脂の圧力とが均衡するため、製造される光ファイバーの外径が大きくならず、コア用硬化性樹脂の圧力が不足することなくクラッド層の内部に均一に充満し長尺の光ファイバーを寸法安定性よく製造することができる。
以下に、本発明を、その実施の形態を表す図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明に係る光ファイバー製造方法を実施するための装置全体図であり、図2は押出金型内外近傍の樹脂の流動等を表す図である。
押出し金型Dは中心を一とする円状及びその外側に円環(ドーナツ)状の開口を有する。円状の開口はコア用硬化性樹脂の金型への導入口と連通しており、円環状の開口はクラッド用樹脂の金型への導入口と連通している。
押出金型Dを取り付けた単軸押出機4のホッパー3にクラッド材形成材料として熱可塑性フッ素樹脂(三井・デュポンフロロケミカル社製 FEP5100−J)を供給し押出機4内で溶融混練し押出金型Dのからクラッド材形成材料を上方向に押出し加圧容器8中の成形用高沸点液81で冷却し固化させチューブ5を形成する。成形用高沸点液81は15及び16の液出入口より温調器(図示せず)で定温化し循環させている。加圧容器8中の液位にて押出金型D周辺の圧力を調節することができるが、更に加圧容器8内の気相の圧力をポンプ等(図示せず)で調整することもできる。14は圧力バルブであり43は排気用ベント口である。
押出金型Dの円状開口にはコア材供給タンク9から送り込まれるコア材形成用樹脂と硬化触媒10を混合する混合機11で混合された硬化性組成物を熱硬化開始温度以下の温度に加温し、粘度を下げて流動性を増すための混合・加温部(図示せず)が設けられている。ポンプ12にて圧力を付加して押出金型Dに連続的に注入されるようになっている。
コア材形成用硬化性樹脂として旭化成株式会社製 ELASTOSOL RT601を用いた。硬化促進剤には旭化成ワッカーシリコーン社製のキャタリシスEPを、硬化遅延剤には旭化成ワッカーシリコーン社製のインキビターPT88を用いた。それぞれ、必要に応じ使い分け、ELASTOSOL RT601 100重量部に対し0.01〜01部程度混合し用いた。
チューブ5の内部にコア用硬化性組成物が圧入され赤外線発生器19から発生する赤外線によりコア用硬化性樹脂が硬化され、コア材とクラッド材が積層されてなるプラスチック光ファイバー11が得られた。ピンチローラー17で引き取られ巻き芯20上に巻き取り光ファイバー巻き18が得られた。
光ファイバー巻き18を装置から取り出し後硬化炉中で別途完全硬化させた。
得られた光ファイバーはクラッド外径、コア外径とも寸法安定性に優れていた。
(比較例1)
成形用高沸点液81を入れない以外は実施例1と同様にして光ファイバーを成形した。
得られた光ファイバーは寸法安定性が良くなかった。
本発明の製造方法によるプラスチック光ファイバーの製造方法によれば、一段で成形されるためコストが安く、コアが熱可塑性樹脂の押出でないため、コアが変色、ゲル化物や炭化物等が混入しないため優れた光伝送性を有するプラスチック光ファイバーが得られる。内径、外径の制御ができるため伝送距離の長い用途にももちいることができ、性能、コスト両面で優れた光ファイバーを製造することができる。
実施例1に係るプラスチック光ファイバーの製造方法に用いる装置を模式的に表す図である。 実施例1に係るプラスチック光ファイバーの製造方法に用いる装置中の押出金型近傍を模式的に表す図である。
符号の説明
3 ホッパー
4 一軸押出機
43 ガス排出口
D 押出金型
5 クラッドとなるチューブ
8 加圧容器
9 コア材用硬化性樹脂供給タンク
10 コア材用硬化性樹脂用硬化剤供給タンク
11 コア材用硬化性樹脂と硬化剤の混合器
12 コア材用硬化性組成物圧入用ポンプ
13 コア材用硬化性組成物圧力メーター
14 加圧容器8の圧力調整弁
15、16 加圧成形用液81の流出入口
17 引き取りピンチ
18 光ファイバー巻き
19 硬化用赤外線発生器
20 光ファイバー巻き取り用芯

Claims (3)

  1. コアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造方法において、コア用樹脂と、クラッド用樹脂とを一の金型から同時押出する方法であって、前記金型は円環状開口と同一中心を有する円環状開口内の円状開口を有し、クラッド用樹脂を前記金型の円環状開口から成形用液中に押出し固化させてクラッド層を形成し、一方コア用樹脂を円状開口から前記クラッド層内に圧出し固化させるに当たり、コア用樹脂の圧出圧力と前記クラッド層を介した前記成形用液の圧力を均衡させた状態で成形することを特徴とするプラスチック光ファイバーの製造方法。
  2. 同時押出する方向が上向きであることを特徴とする請求項1記載のプラスチック光ファイバーの製造方法。
  3. コアとクラッドが積層されてなるプラスチック光ファイバーの製造装置であって、
    クラッド用樹脂用円環状開口と同円環状開口の中心部にコア用樹脂用円状開口を有し、円環状開口と連通するクラッド用樹脂供給用開口と、円状開口と連通するコア用樹脂供給用開口とを有する金型と、
    クラッド用樹脂を流動状態で前記金型に供給するクラッド用樹脂供給手段と、
    コア用樹脂を前記金型に加圧下供給するコア用樹脂供給手段と、
    前記金型から吐出されるクラッド用樹脂を固化・成形させるための一定圧の成形用液を入れる加圧容器と、
    前記成形用液を加圧する手段と、
    を有することを特徴とするプラスチック光ファイバーの製造装置。


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