JP2006247366A - サーフボード - Google Patents

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Abstract

【課題】サーフボードとして必要な強靭性を備え、しかも適度な弾力性をも有していて、従来とは異なる滑り方を楽しめるサーフボードを提供することを課題とする。
【解決手段】芯材1とこれをくるむ外層3と外層を被覆する外皮4とから成り、前記芯材1は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であり、前記外層3は低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であることを特徴とする。このように芯材及び外層を無架橋発泡ポリプロピレン製とすることにより弾力性が得られるが、ある程度の圧縮強度を保つようにするため、内側の芯材に発泡倍率の高い軽量な材料を用い、外側の外層に発泡倍率の低い耐圧強度のある材料を用いることにより、全体的にバランスのよいサーフボードとなる。
【選択図】図1

Description

本発明はサーフボード、より詳細には、サーフィンやウインドサーフィンを行なうためのサーフボードに関するものである。
スキー板やスノーボードの場合には、使用中にしなるように弾力性を有する資材製とされるが、サーフボードの場合は激しい波浪に晒され、且つこれを受けて波に乗るため、先ず第一に、堅固性と強靭性とが要求され、しなり性(弾力性)具備の要求はほとんどなかった。そのためにサーフボード用の芯素材としては、一般に、強度はあるが弾力性のない硬質ポリウレタン・フォーム又は発泡スチロールが用いられてきている。
しかるに近時、サーフボードにしなり性を具備させ、例えば、ロッカー(ボードの反り)の全くないテールを波に食い込ませ、恰もカミソリで切るように波のトップから滑り、波のボトムで、ボード全体のしなりによって貯まったパワーによってカーブを描いて滑るといったサーフィンの仕方が考えられている。
1960年代の初期から用いられてきている上記伝統的な素材、例えば硬質ポリウレタン・フォーム、ストリンガー(補強材)用のウッド、グラスファイバー、ポリエステル樹脂等は、すべて一定以上の弾力性に欠けており、これらを無理にしならせようとすると、弾力性が少ないために、ある段階で耐え切れずに砕損してしまう。
更に、ポリウレタン・フォームの場合には、高倍率発泡(低比重化)による物性(強度、繰り返し応力による脆弱化)の低下という欠点がある。また、発泡スチロールの場合には、やはり高倍率発泡(低比重化)による物性(強度、繰り返し応力による脆弱化)の低下の問題があり、この場合は更に、スチレン樹脂を溶解するスチレンモノマーを含むラミネート樹脂(ポリエステル樹脂等)を使用できないという欠点がある。
実用新案登録第3101966号公報 特開2000−335484号公報 実開昭63−102483号公報
本発明は上記背景の下になされたもので、サーフボードとして必要な強靭性を備え、しかも適度な弾力性をも有していて、従来とは異なる滑り方を楽しめるサーフボードを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載のサーフボードは、芯材とこれをくるむ外層と外層を被覆する外皮とから成り、前記芯材は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であり、前記外層は低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であることを特徴とする。
このように芯材及び外層を無架橋発泡ポリプロピレン製とすることにより弾力性が得られるが、ある程度の圧縮強度を保つようにするため、内側の芯材に発泡倍率の高い軽量な材料を用い、外側の外層に発泡倍率の低い耐圧強度のある材料を用いることにより、全体的にバランスのよいサーフボードとなる。
また、上記課題を解決するための請求項2に記載のサーフボードは、中発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製芯材と、それに被装される外皮との間に、マイクロバルーンを混合した樹脂製外層を介在させて成ることを特徴とする。
内側の無架橋発泡ポリプロピレン製芯材の物性と、外側の通例FRP製の外皮の物性との差が大きいことに起因して、クラックや剥離の問題が起きやすいが、芯材と外皮との間に、物性がその両者の物性の間にあるマイクロバルーンを混合した樹脂製外層を介在させることにより、物性の大きな差異を吸収緩和できる。
上記課題を解決するための請求項6に記載の発明は、芯材に、その中心軸に沿って延びる横向きの水平補強板を埋設したことを特徴とするサーフボードである。
このように、芯材中に横向きの水平補強板を埋設することにより、芯材の持つ柔軟性、反発弾性が失われることなく芯材の補強がなされる。
上記課題を解決するための請求項7に記載の発明は、ボードのレール部材の外皮に、そのデッキ側とボトム側との連結を切り離すためのスリットを形成したことを特徴とするサーフボードであり、この場合、前記スリットにシリコンゴム等の柔軟性資材を充填することもある。
このように、外皮にスリットを設けることにより、芯材の持つ柔軟性、反発弾性が封じ込まれることなく、効果的に発現する。
上記課題を解決するための請求項9に記載の発明は、芯材とこれを被覆する外皮と、前記両者の間にあって前記両者を接着する接着層とから成り、前記芯材は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であり、前記外皮は、低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレンをFRPで挟んだ三層構造であることを特徴とするサーフボードである。
好ましくは、前記FRPは、ガラス繊維にマトリックスとして不飽和ポリエステルを用いたものとし、前記接着層は、低倍率の発泡ウレタン樹脂、発泡エポキシ樹脂又は発泡ポリエステル樹脂である。
この構成においては、三層構造の外皮の中間層として低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレンを用いるので、その外層として作業性のよい不飽和ポリエステルの使用が可能であり、また、発泡ポリプロピレンには弾力性があるので、凹んでも復元するので、デッキに凹み傷ができにくくなる。
請求項1に記載の発明においては、芯材とこれをくるむ外層と外層を被覆する外皮とから成り、前記芯材は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であり、前記外層は低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であるため、全体的に軽量で弾力性があり、外層は耐圧強度にすぐれていて強靭であり、その弾力性を利用して従来とは異なる滑り方のサーフィンを楽しめる効果がある。
また、請求項2に記載の発明においては、中発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製芯材と、それに被装される外皮との間に、マイクロバルーンを混合したポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂製外層を介在させて成るので、外層が物性の差の大きい芯材と外皮との間にあって、その物性の差異を吸収緩和する。それにより、物性の差異が大きいことに起因する外皮のクラックや剥離発生の問題が解消される効果がある。
請求項6に記載の発明においては、水平補強板が芯材の柔軟性、反発弾性を損なうことなく芯材を補強し、また、請求項7及び8に記載の発明においては、外皮にスリットが形成されているために、外皮が芯材の柔軟性、反発弾性を損なうことがなく、これらいずれの場合にも芯材の柔軟性、反発弾性が効果的に発現し、以てその芯材の特性を生かした従来とは異なる滑り方のサーフィンを楽しめる効果がある。
請求項9に記載の発明においては、外皮が弾力性を有しているために、凹み傷ができにくく、芯材は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であるため、全体的に軽量で弾力性があり、その弾力性を利用して従来とは異なる滑り方のサーフィンを楽しめ、また、作業者の健康を害するおそれがなくて作業性のよい不飽和ポリエステルの使用が可能となる効果がある。
本発明を実施するための最良の形態について、図面に依拠して説明する。なお、図中の各層の厚みは、説明の便宜上誇張して表現してあり、実際の厚みに即していない。
図1は本発明の第1の実施形態を示すサーフボードの縦断面図であり、それは、芯材1と、芯材1の中心に縦方向に埋設されるストリンガー2と、芯材1及びストリンガー2をくるむ外層3と、外層3を被覆する、通例FRPの外皮4とから成る。
芯材1と外層3は共に無架橋の発泡ポリプロピレン製とし、芯材1は、発泡倍率の高い(通例45〜60倍)、軽量の材料を用いて型内発泡成形する。その際、ストリンガー2を配して一体成形する。ストリンガー2は、従来のものと同様のウッド、その他の資材製の補強材である。芯材1は、外層3との接着性を高めるために、その表面を適宜研削する。
外層3には、芯材1よりも発泡倍率が低くて(通例10〜15倍)、耐圧強度のある、無架橋低発泡ポリプロピレンのシート状材料を用い、これを芯材1をくるむようにして芯材1にバキューム接着、あるいは、加圧熱融着する。そして、外層3を、電気鉋やNCルーターマシン等の研削工具を用いてシェーピングする。
その後外層3の表面には、従来の方法と同様にして、硬化剤とガラスクロスによるグラッシングを行ない、更にその上にフィラーコーティングを行なう等して外皮4を形成する。
図2は本発明の第2の実施形態を示すサーフボードの縦断面図であり、それは、芯材11と、芯材11中に埋設されるストリンガー12と、芯材11及びストリンガー12をくるむ外層13と、外層13を被覆する外皮14とから成る。
芯材11は無架橋の発泡ポリプロピレン製で、中発泡倍率(通例20〜30倍)の材料を型内発泡成形し、上記実施形態の場合と同様に、ストリンガー12を配して一体成形する。芯材11は、電気鉋、NCルーターマシン等の研削工具を用いてシェーピングし、その後外層13を施し、更に、上記実施形態と同様の外皮14を被覆する。
外層13は、マイクロバルーン(人工軽量骨材)とポリエステル樹脂、又はエポキシ樹脂、あるいはその他の合成樹脂を混合した半パテ状(飲用ヨーグルト程度)のラミネートを施して成るものである。芯材11は発泡ポリプロピレン製であって、軽量で弾力性があり、その物性と外皮14となるFRPの物性との間には大きな差異がある。このように両者の物性に大きな差異があると、外皮14にクラックが生じたり、剥離現象が起こったりしやすくなる。そこで本実施形態においては、芯材11と外皮14との間に、物性が両者の間である上記外層13を配し、芯材11と外皮14の物性の差異を吸収緩和することとしている。
上述した本発明に係るサーフボードは、芯材1、11が無架橋発泡ポリプロピレン製であるため、軽量でねばりがあり、緩衝性にすぐれていて、強靭で壊れにくいものとなる。また、人に調和する弾力性のある反発特性が得られ、以て、より早く、また、より高く滑走、飛しょうでき、従来のサーフボードではできなかった滑りを楽しむことができるようになる。
更に芯材1、11は無架橋発泡ポリプロピレン製であるため、不飽和ポリエステル樹脂の使用が可能となり、また、それはリサイクルが可能で自然に優しい素材である。
図3に示す本発明の第3の実施形態は、芯材(以下の説明においては、芯材の表記として芯材1、11とするが、この第3の実施形態おける芯材には、上記素材製のものに限らず、従来の発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等製のものも含まれる。)の有する柔軟性、反発性等の特性を十分に発現させるための構成である。即ち、上記2つの実施形態では、芯材1、11は、その全体が強化プラスチック製の外皮4、14で完全に覆われるために、その柔軟性、反発性等の特性が十分に発現しないおそれがある。
そこでこの実施形態では、外皮4(14)生成のためのコーティング加工後に、ボードのレール部16に、デッキ17側とボトム18側との連結を切り離すためのスリット15を入れる。スリット15は一連のものであってもよいし、断続的なものであってもよい。スリット15は、図示したように、レール部16の上下に配設することが好ましく、その長さは、ボード全長の約3分の2程度とすることが好ましい。
上記と同様の目的で、外皮4(14)をデッキ17側とボトム18側とに分離し、当該分離部(スリット15)に、柔軟性のある材料、例えば、シリコンゴム19を充填して両者を連結することとしてもよい。この場合、シリコンゴム19の表面は、ボード面と面一にされる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、芯材1、11の中心部に縦向きにストリンガー2、12が配設されるが、このストリンガー2、12を用いる場合は、柔軟性のある発泡ポリプロピレン製である芯材1、11の柔軟性、反発弾性が、多少なりとも損なわれるおそれがある。
そこで、第4の実施形態においては、ストリンガー2、12に代えて、芯材(この第4の実施形態における芯材も第3の実施形態の場合と同様の広範囲のものである。)1(11)の中心部に水平補強板20を埋入する。水平補強板20は、カーボンファイバー、コアマット、グラスファイバー、木材等資材製であり、水平に配置されるため、芯材1(11)と共に変形可能である。即ち、水平補強板20は、芯材1(11)の中心部に延びるように配置されて芯材1(11)の補強機能を果たすが、従来のストリンガー2、12と異なり、芯材1(11)の反りに追随して変形し得るため、芯材1(11)の柔軟性、反発性の効果的発現を妨げることがない。
続いて、図6に示す第5の実施形態について説明する。この実施形態においては、第1の実施形態と同様の芯材1を用い、これに接着層22を介して外皮24を被覆する。接着層22としては、低倍率の発泡ウレタン樹脂、発泡エポキシ樹脂、あるいは、発泡ポリエステル樹脂を用いる。芯材1と外皮24は、接着層22を介して接着型締めして一体化される。
ここにおける外皮24は、低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン25をFRP26、27で挟んだ三層構造である。FRP26、27は、好ましくは、繊維としてガラス繊維を用い、マトリックスとなるプラスチックとして、不飽和ポリエステルを用いる。この場合、中間層の発泡ポリプロピレン25は、不飽和ポリエステル中にあるスチレンモノマーに溶けることはない。
不飽和ポリエステルは、エポキシ樹脂のように作業者の健康に悪影響を及ぼすことはなく、しかも作業性がよいので、不飽和ポリエステルを用いることができるということは、作業上有意義なことである。
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
本発明の第1の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の第4の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の第3及び第4の実施形態を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態の一部を示す縦断面図である。
符号の説明
1 芯材
2 ストリンガー
3 外層
4 外皮
11 芯材
12 ストリンガー
13 外層
14 外皮
15 スリット
16 レール部
17 デッキ
18 ボトム
19 シリコンゴム
20 水平補強板
22 接着層
24 外皮
25 ポリプロピレン
26 FRP
27 FRP

Claims (11)

  1. 芯材とこれをくるむ外層と前記外層を被覆する外皮とから成り、前記芯材は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であり、前記外層は低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であることを特徴とするサーフボード。
  2. 中発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製芯材と、それに被装される外皮との間に、マイクロバルーンを混合した樹脂製外層を介在させて成ることを特徴とするサーフボード。
  3. 前記外層を形成する樹脂はポリエステル樹脂、又はエポキシ樹脂その他の合成樹脂である請求項2に記載のサーフボード。
  4. 前記外皮はFRPである請求項1又は2に記載のサーフボード。
  5. 前記芯材に、その中心軸に沿って延びる縦向きのストリンガーを埋設した請求項1乃至4のいずれかに記載のサーフボード。
  6. 芯材に、その中心軸に沿って延びる横向きの水平補強板を埋設したことを特徴とするサーフボード。
  7. ボードのレール部分の外皮に、そのデッキ側とボトム側との連結を切り離すためのスリットを形成したことを特徴とするサーフボード。
  8. 前記スリットにシリコンゴム等の柔軟性資材を充填した請求項7に記載のサーフボード。
  9. 芯材とこれを被覆する外皮と、前記両者の間にあって前記両者を接着する接着層とから成り、前記芯材は高発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレン製であり、前記外皮は、低発泡倍率の無架橋発泡ポリプロピレンをFRPで挟んだ三層構造であることを特徴とするサーフボード。
  10. 前記FRPは、ガラス繊維にマトリックスとして不飽和ポリエステルを用いたものである請求項9に記載のサーフボード。
  11. 前記接着層は、低倍率の発泡ウレタン樹脂、発泡エポキシ樹脂又は発泡ポリエステル樹脂である請求項9に記載のサーフボード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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USD669548S1 (en) 2010-10-21 2012-10-23 Envisor Limited Surf or paddle board
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KR200463648Y1 (ko) * 2010-06-29 2012-11-15 김영현 갯보드
CN114379172A (zh) * 2020-10-16 2022-04-22 叶宗殷 发泡产品及其制造方法

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