JP2006246787A - 細胞に導入するためのポリヌクレオチドの前処理方法、ポリヌクレオチドの細胞導入方法、およびそれに用いる細胞導入用キャリアー - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、細胞に導入するためのポリヌクレオチドの前処理方法、ポリヌクレオチドの細胞導入方法、およびそれに用いる細胞導入用キャリアーに関する。
近年、アンチセンスやRNAi(RNA干渉)を利用した遺伝子発現の制御方法が、各種疾患の遺伝子治療に応用されている。これらの制御方法は、DNAやRNA等の核酸を細胞内に導入する必要があるが、核酸分子のみでは効率良く細胞内への導入を行うことができない。このため、核酸導入用のキャリアー分子の開発が行われており、特に、高い安全性が望まれている。
現在使用されている核酸分子の導入用キャリアーとしては、例えば、カチオニックリポソーム(例えば、特許文献1参照)があげられるが、濃度の最適化が困難である。また、ウィルスベクター等は、安全性の面で問題がある。
米国特許第5,334,761
そこで、本発明は、優れた安全性でポリヌクレオチドを細胞に導入するためのポリヌクレオチドの前処理方法、前記ポリヌクレオチドの細胞導入方法、ならびに新たな細胞導入用キャリアーの提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、ポリヌクレオチドを細胞に導入するために、前記ポリヌクレオチドを前処理する方法であって、目的のポリヌクレオチドに、下記式(1)で表される修飾核酸をホスホジエステル結合させる工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、目的のポリヌクレオチドを細胞に導入する方法であって、前記細胞への導入に先立って、前記ポリヌクレオチドを前記本発明の前処理方法によって処理することを特徴とする。
また、本発明の細胞導入用キャリアーは、前記本発明の前処理方法に使用するキャリアーであって、前記式(1)で表される修飾核酸を含むことを特徴とする。
本発明によれば、目的のポリヌクレオチドに前記修飾核酸を結合させる前処理を施すだけで、前記ポリヌクレオチドの細胞内への導入を容易に実現することができる。前記式(1)で表される化合物は、ピリミジン塩基が修飾されたヌクレオチド誘導体であり、前記従来のキャリアーに比べて極めて安全性が高い。また、前記修飾核酸は三リン酸基を有するため、目的のポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドにおける糖の水酸基との間において、容易にホスホジエステル結合させることができる。このように、本発明の前処理方法によりポリヌクレオチドを処理し、この処理済みポリヌクレオチドを細胞に接触させれば、優れた安全性で細胞内にポリヌクレオチドの導入を行うことができる。したがって、このような前処理方法や細胞導入方法ならびに前記修飾核酸を含む細胞導入用キャリアーは、例えば、アンチセンス導入やRNAi等に有用であり、特にこれらを利用した遺伝子治療に極めて有用であるといえる。なお、このような修飾核酸によりポリヌクレオチドの細胞導入を可能とすることは、本発明者らがはじめて見出したことである。
前述のように、本発明の前処理方法は、ポリヌクレオチドを細胞に導入するために、前記ポリヌクレオチドを前処理する方法であって、目的のポリヌクレオチドに、下記式(1)で表される修飾核酸をホスホジエステル結合させる工程を含むことを特徴とする。
なお、本発明において、「目的のポリヌクレオチドに前記修飾核酸をホスホジエステル結合させる」とは、目的ポリヌクレオチドの末端に前記修飾核酸を結合させる形態だけでなく、例えば、目的ポリヌクレオチドの構成成分として鎖の内部に前記修飾核酸を有する形態であってもよい。
前記式(1)で表される修飾核酸は、下記式(2)で表される化合物や、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
また、具体例としては、下記式(4)で表される化合物が好ましく、特に、下記式(5)で表される化合物(n=6)が好ましい。下記式(5)で表される化合物を、以下、「三リン酸Tg」という。
前記修飾核酸としては、これらには限定されず、他にも、例えば、前記式(1)において、Q、R、Xが以下の組合せである化合物もあげられる。
なお、本発明における前述の種々の修飾核酸は、当業者であれば通常の合成方法に基づいて作製することができ、また、例えば、特開2004-238353号公報の記載に基づいて合成することもできる。
本発明の前処理方法において、前記修飾核酸は、前記ポリヌクレオチド1分子に対して、例えば、3分子〜7分子を結合させることが好ましい。
目的ポリヌクレオチドにおける前記修飾核酸の結合部位は、特に制限されないが、例えば、5'末端もしくは3'末端、特に3'末端であることが好ましい。この場合、例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ等を用いて、前記ポリヌクレオチドの糖の3位水酸基と修飾核酸のリン酸基との間でホジホジエステル結合させることができる。また、この他にも、従来公知の合成方法や、化学合成法であるホスホロアミダイト法等によって修飾核酸を結合させることができる。
前記修飾核酸を目的ポリヌクレオチドの末端に結合させる場合、修飾核酸の長さは特に制限されないが、前記ポリヌクレオチド1分子に対して、例えば、3分子〜7分子である。
結合させる修飾核酸の分子数の制御方法は、特に制限されず、例えば、従来公知のポリヌクレオチドの合成方法等によって、予め、所望の数の修飾核酸を結合させておき、それを目的ポリヌクレオチドに結合させることができる。また、以下のような方法をとることもできる。まず、目的のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列であるポリヌクレオチドを準備し、その5'末端に、使用する修飾核酸における塩基と相補的な塩基を有するヌクレオチドを結合させ、これを鋳型ポリヌクレオチドとする。一方、目的ポリヌクレオチドをプライマーとする。そして、前記鋳型ポリヌクレオチド、プライマーならびに修飾核酸を用いて、PCRの要領で、前記プライマーの5'末端に修飾核酸を結合させる。具体的に説明すると、例えば、修飾核酸として前記式(5)の三リン酸Tgを使用する場合、その核酸部分はウリジンであるため、鋳型ポリヌクレオチドの3'末端にはアデニンを結合させておく。そうすると、プライマーの3'末端には、鋳型の3'末端に相補的な修飾核酸が結合することとなる。この場合、鋳型ポリヌクレオチドの末端に結合させるヌクレオチドの個数によって、プライマーに結合させる修飾核酸の数を調整することが可能である。
また、前述のように修飾核酸は、目的のポリヌクレオチドの構成成分として鎖内に組み込まれていてもよい。この場合、例えば、目的ポリヌクレオチドと相補的な塩基配列であるポリヌクレオチドを鋳型とし、修飾核酸とdNTPもしくはNTPとを用いて、PCRの要領で、鋳型と相補的なポリヌクレオチドを伸長することもできる。また、従来公知の合成方法によっても、修飾核酸を内部に有するポリヌクレオチドを作製できる。
本発明において、目的のポリヌクレオチドの塩基数は、特に制限されない。
前記目的ポリヌクレオチドは、例えば、RNAまたはDNAであり、本発明をRNAiに適用する場合は、RNAである。
前記式(5)で表される修飾核酸三リン酸Tg(5-[(6-グアニジド-ヘキシルカルバミル)-メチル]-2'-デオキシウリジン-5'-三リン酸)を以下の方法によって合成した。なお、合成スキームを下記式に示す。
5-[(6-アミノ-ヘキシルカルバミル)-メチル]-2'-デオキシウリジン-5'-三リン酸(以下、「三リン酸Ta」という)のトリエチルアンモニウム塩 (1μmol)を、1M S-エチルチオウレア臭化水素酸塩を含むN,N-ジメチルホルムアミド(DMF:2.4 ml)に溶解した。前記三リン酸Taは、参考文献("Expansion of structural and functional diversities of DNA using new 5-substituted deoxyuridine derivatives by PCR with superthermophilic KOD Dash DNA polymerase", H. Sawai, A. N. Ozaki, F. Satoh, T. Ohbayashi, M. M. Masud, and H. Ozaki, Chem. Commun., 2604-2605 (2001))に従って合成した。溶解後、トリエチルアミン(660μl、4.7mmol)を加え、室温で8時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去し、逆相高速液体クロマトグラフィーにより反応生成物の精製を行った。逆相カラム(C18, 20×250mm)からの目的生成物の精製溶出は、45分での、50mM トリエチル酢酸アンモニウム緩衝溶液(pH7.2)のアセトニトリル直線的濃度勾配(3.5-14 %)で行った。このカラム精製によって、三リン酸Taから収率70%で目的物である三リン酸Tgを得た。なお、生成物は、ESI-マススペクトル(アプライドバイオシステム社: MDS-Sciex API-100)により、ESI-MS(ネガティブモード) m/z [帰属] 665.1 [(M-H)-]であることを確認した。この分析結果を図6に示す。
1.修飾核酸三リン酸TgのDNAオリゴマー3'末端への付加
DNAポリメラーゼによるプライマー伸長法(一本鎖プライマーPCR法)を用いて、DNAオリゴマーへ前記実施例1で合成した修飾核酸三リン酸Tgを付加した。
DNAポリメラーゼによるプライマー伸長法(一本鎖プライマーPCR法)を用いて、DNAオリゴマーへ前記実施例1で合成した修飾核酸三リン酸Tgを付加した。
プライマーとしては、配列番号1(5'-dTGTGAAGTGTCCCAGCCTGT-3')で表されるDNAオリゴマー(20mer)を使用した。これが、細胞へ導入する目的ポリヌクレオチドに相当し、後述するように、PCR法によって3'末端に修飾核酸三リン酸Tgが付加される。なお、前記プライマーの5'末端には、細胞導入の有無を確認するため、修飾蛍光物質(6-FAM:6-カルボキシフルオロセイン)を結合させた。
一方、鋳型DNAとしては、配列番号2、3、4のDNAオリゴマーをそれぞれ使用した。これらの鋳型DNAは、前記プライマーに相補的な配列を有し、さらに、前記プライマーに修飾核酸三リン酸Tgが付加するように、その5'末端に「dATP」を3分子(A3)、5分子(A5)、10分子(A10)、それぞれ結合させている。なお、前記式(5)で表される修飾核酸三リン酸Tgはウリジン塩基を有するため、これに相補的なアデニン塩基を使用している。
配列番号2:5'-dA3-ACAGGCTGGGACACTTCACA-3'
配列番号3:5'-dA5-ACAGGCTGGGACACTTCACA-3'
配列番号4:5'-dA10-ACAGGCTGGGACACTTCACA-3'
配列番号2:5'-dA3-ACAGGCTGGGACACTTCACA-3'
配列番号3:5'-dA5-ACAGGCTGGGACACTTCACA-3'
配列番号4:5'-dA10-ACAGGCTGGGACACTTCACA-3'
前記プライマー、鋳型DNAおよび修飾核酸三リン酸Tgを用いてPCR反応を行った。反応条件は、100μL容量、5.0μM 鋳型DNA、7.5μMプライマー、5.0U DNAポリメラーゼ(商品名KOD Dash DNAポリメラーゼ:東洋紡社製)、200μM 修飾核酸三リン酸Tgとした。PCRのサイクルは以下に示す。
配列番号2で表される鋳型DNAを用いたPCRは、サイクル条件1(1cycle:94℃で1min → 10cycles:94℃で0.5 min, 52℃で0.5 min, 74℃で5 min → 1cycle:74℃で5 min)で増幅反応を行った。反応後、反応溶液をカラム(商品名Sep-Pak cartridge column, C18:Waters社製、以下同様)を用いて脱塩し、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により下記式で表される生成物(以下、「Tg3」という)の分離・回収を行った。ゲルから前記生成物をTBE buffer (45mM tris-borate, 1mM EDTA)を溶媒として抽出した後、抽出溶液を前記カラムにより再度脱塩した。得られた脱塩溶液を凍結乾燥し、これをサンプルとして後述する細胞導入実験に使用した。なお、前記プライマーに結合した修飾核酸三リン酸Tgの数は、DNA分解酵素でサンプルを分解して鎖長の確認を行った。
配列番号3で表される鋳型DNAを用いたPCRは、前記サイクル条件1で増幅反応を行った。反応後、前述と同様にして脱塩し、下記式で表される主生成物(以下、「Tg4」という)をPAGEにより分離・回収し、同様にして、抽出、脱塩、凍結乾燥を行い、サンプルを調製した。
配列番号4で表される鋳型DNAを用いたPCRは、サイクル条件2(1cycle:94℃で1min →20cycles:94℃で0.5 min, 52℃で0.5 min, 74℃で5min →1cycle:74℃で5 min)で増幅反応を行った。反応後、前述と同様にして脱塩し、下記式で表される主生成物(以下、「Tg6」という)をPAGEにより分離・回収し、同様にして、抽出、脱塩、凍結乾燥を行い、サンプルを調製した。なお、修飾核酸三リン酸Tgを7分子結合させた「Tg7」も「Tg6」と同様にして調製した。
2. HeLa細胞への導入実験
10% ウシ胎児血清(FBS)を添加したMEM培地(Eagle's minimum essential medium)でHeLa細胞を懸濁し、これを4.0×104cells・cm-2の濃度となるように96 well プレートにまき、5%CO2、37℃の条件で一晩培養した。培養後、前記培地を除去し、培養細胞をPBS bufferで洗浄した。そして、前記サンプルを4μM含有する前記MEM培地100μlを前記プレートに添加して、さらに細胞を培養した(5%CO2、37℃、24時間および48時間)。なお、比較例として、修飾核酸三リン酸Tgを付加していない配列番号1で表されるポリデオキシヌクレオチド(以下、「Tg0」という)を、同様にして細胞内に導入した。また、コントロールとして、ポリヌクレオチド未添加(DNA未添加)で細胞培養を行った。
10% ウシ胎児血清(FBS)を添加したMEM培地(Eagle's minimum essential medium)でHeLa細胞を懸濁し、これを4.0×104cells・cm-2の濃度となるように96 well プレートにまき、5%CO2、37℃の条件で一晩培養した。培養後、前記培地を除去し、培養細胞をPBS bufferで洗浄した。そして、前記サンプルを4μM含有する前記MEM培地100μlを前記プレートに添加して、さらに細胞を培養した(5%CO2、37℃、24時間および48時間)。なお、比較例として、修飾核酸三リン酸Tgを付加していない配列番号1で表されるポリデオキシヌクレオチド(以下、「Tg0」という)を、同様にして細胞内に導入した。また、コントロールとして、ポリヌクレオチド未添加(DNA未添加)で細胞培養を行った。
3. フローサイトメトリー測定
培養後、前記培地を除去し、培養細胞を前記PBS bufferで洗浄した。そして、0.25重量% トリプシンで培養細胞をプレートからはぎ取り、採取した細胞の蛍光強度をフローサイトメーター(商品名BD LSR Flow cytometer:Becton Dickinson Biosciences Co.)で測定した。蛍光強度は、488nmのレーザーで励起して530nmの蛍光を観測した。
培養後、前記培地を除去し、培養細胞を前記PBS bufferで洗浄した。そして、0.25重量% トリプシンで培養細胞をプレートからはぎ取り、採取した細胞の蛍光強度をフローサイトメーター(商品名BD LSR Flow cytometer:Becton Dickinson Biosciences Co.)で測定した。蛍光強度は、488nmのレーザーで励起して530nmの蛍光を観測した。
図1に、サンプル(Tg4、Tg0)添加後の培養時間が24時間である培養細胞の蛍光強度、図2に、サンプル添加後の培養細胞が48時間である培養細胞の蛍光強度を示す。両図において、(A)は、実施例であるTg4を導入した細胞の蛍光強度を示すグラフであり、(B)は、比較例であるTg0を導入した細胞の蛍光強度を示すグラフである。両図ともに、コントロール(without DNA)の結果をあわせて示す。
図1および図2に示すように、修飾核酸を付加していないTg0は、24時間(図1(B))および48時間(図2(B))培養しても、蛍光強度がシフトしていないことから、細胞内への導入がほとんど行われていないことがわかる。これに対して、Tg4は、図1(A)および図2(A)に示すように、培養時間に伴って蛍光強度のシフトが観察された。このことから、修飾核酸を付加することにより、ポリヌクレオチドを細胞内へ導入できたと言える。
また、各サンプル(Tg3、Tg4、Tg6、Tg7、Tg0)を導入した培養細胞(48時間)について、細胞の母集団の蛍光強度値を下記表1に示す。さらに、各サンプルを導入した培養細胞(48時間)について、SSC(Side scatter)とFSC(Forward scatter)との関係を図3に示す。
(表1)
サンプル 蛍光強度
Tg3 7.10
Tg4 15.68
Tg6 7.04
Tg7 6.87
Tg0 5.47
サンプル 蛍光強度
Tg3 7.10
Tg4 15.68
Tg6 7.04
Tg7 6.87
Tg0 5.47
前記表1の結果より、Tg3、Tg4、Tg6およびTg7によれば、修飾核酸を付加していないTg0に比べて、細胞内への導入が行われており、特にTg4は優れた導入効率を示すことがわかる。なお、図3の結果から、修飾核酸の付加による細胞死の増加は認められず、修飾核酸三リン酸Tgは毒性が低く極めて安全性に優れたキャリアーであることがわかる。
4. 蛍光顕微鏡測定
前述と同様に培養を行った後、培地を除去し、培養細胞を前記PBS buffer洗浄した。つぎに、0.1mg/ml Hoechst 33342を含有する前記MEM培地を培養細胞に添加し、37℃で15分インキュベートした後、再度培地を除去してPBS bufferで細胞を洗浄することによって、核染色を行った。そして、核染色を行った培養細胞について、蛍光顕微鏡(商品名OLYMPUS IX-71:オリンパス社製)で蛍光画像を測定した。測定には、488nmで励起して500nm以上の蛍光を検出できるフィルターを用いた。この結果を、図4に示す。同図(A)は、実施例であるTg4を導入した細胞の蛍光顕微鏡写真であり、(B)は、比較例であるTg0を導入した細胞の蛍光顕微鏡写真である。同図において、青色部分が染色された核であり、緑色部分が細胞に導入されたTg0およびTg4の6-FAMの蛍光である。
前述と同様に培養を行った後、培地を除去し、培養細胞を前記PBS buffer洗浄した。つぎに、0.1mg/ml Hoechst 33342を含有する前記MEM培地を培養細胞に添加し、37℃で15分インキュベートした後、再度培地を除去してPBS bufferで細胞を洗浄することによって、核染色を行った。そして、核染色を行った培養細胞について、蛍光顕微鏡(商品名OLYMPUS IX-71:オリンパス社製)で蛍光画像を測定した。測定には、488nmで励起して500nm以上の蛍光を検出できるフィルターを用いた。この結果を、図4に示す。同図(A)は、実施例であるTg4を導入した細胞の蛍光顕微鏡写真であり、(B)は、比較例であるTg0を導入した細胞の蛍光顕微鏡写真である。同図において、青色部分が染色された核であり、緑色部分が細胞に導入されたTg0およびTg4の6-FAMの蛍光である。
図4の蛍光顕微鏡写真の結果から、Tg0を使用した細胞には蛍光発色が認められなかったが、Tg4を使用した細胞において蛍光発色が認められたことから、確実に細胞内にTg4が導入されていることがわかる。また、蛍光発色が細胞質において確認されたため、Tg4は修飾核酸によりHeLa細胞の細胞質に導入されていることがわかった。通常のキャリアーは、核内への導入が一般的であるが、本発明の修飾核酸によれば細胞質への導入が可能であることから、例えば、RNAi等への適用に極めて優れているといえる。
実施例1において調製したサンプル(Tg4、Tg0)を用いて、RAW264細胞への導入を行った。培地として、10% ウシ胎児血清(FBS)および0.1mM非必須アミノ酸を添加したMEM培地を使用した以外は、前記実施例1と同様にして細胞培養ならびに前記サンプルの細胞への導入(培養時間48時間)、フローサイトメトリー測定を行った。
図5に、培養細胞の蛍光強度を示す。同図(A)は、実施例であるTg4を導入した細胞の蛍光強度を示すグラフであり、(B)は、比較例であるTg0を導入した細胞の蛍光強度を示すグラフである。また、両図ともに、コントロール(without DNA)の結果をあわせて示し、同図(B)には、HeLa細胞にサンプル(Tg4)を導入した結果をあわせて示す。
図5に示すように、Tg0を用いた場合、ほとんど細胞内における蛍光は検出できなかったが(同図(B))、Tg4によれば、RAW264細胞においても蛍光が検出された(同図(A))。
本発明によれば、目的のポリヌクレオチドに前記修飾核酸を結合させる前処理を施すだけで、前記ポリヌクレオチドの細胞内への導入を容易に実現することができる。したがって、本発明は、アンチセンス導入やRNAi等を利用した遺伝子治療に極めて有用であるといえる。
Claims (16)
- 目的のポリヌクレオチドの3'末端に、前記修飾核酸を結合させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前処理方法。
- 目的のポリヌクレオチドが、RNAまたはDNAである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の前処理方法。
- 目的のポリヌクレオチドを細胞に導入する方法であって、前記細胞への導入に先立って、前記ポリヌクレオチドを請求項1〜7のいずれか一項に記載の前処理方法によって処理することを特徴とする導入方法。
- 前処理済みのポリヌクレオチドを含む培地において、細胞をインキュベートする工程を含む、請求項8記載の導入方法。
- 目的のポリヌクレオチドが、相補的な塩基配列であるポリヌクレオチドと二本鎖を形成している、請求項8または9記載の導入方法。
- RNAiにおける二本鎖ポリヌクレオチドの細胞への導入方法である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の導入方法。
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JPN6010071556, Nucleic Acids Symposium Series, 2004, No.48, p.265−266 * |
JPN6010071559, J. Am. Chem. Soc., 2003, vol.125, p.6878−6879 * |
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