しかしながら、ボーダーゾーンがL0層及びL1層を跨って記録される場合、例えばオポジット方式の場合、L1層にミドルエリアが既に緩衝用エリアとして配置されているため、本来の緩衝用エリアの役目を果たすボーダーゾーンは、L1層では不必要となってしまう。
一方、パラレル方式の場合も、L1層にリードインエリアが既に緩衝用エリアとして配置されているため、本来の緩衝用エリアの役目を果たすボーダーゾーンは、L1層では不必要となってしまう。
このように、ボーダーゾーンがL0層及びL1層を跨って記録される場合、L1層におけるボーダーゾーンは、冗長的な緩衝用エリアとして機能し、不必要である。それにも関わらず光ディスクの記録容量を浪費し、さらにボーダークローズ処理にかかる時間を長くさせてしまうという技術的な問題点がある。
そこで本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば多層型の情報記録媒体における各記録層において、効率的に情報を記録することが可能であると共に、記録時間を短縮させることが可能である情報記録装置及び方法を提供することを課題とする。
(情報記録装置)
以下、本発明の情報記録装置について説明する。
本発明の情報記録装置は上記課題を解決するために、複数の記録層を有する情報記録媒体に対して、記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記複数の記録層に書込可能な書込手段と、前記複数の記録層のうち一の記録層に記録された前記記録情報の終端に第1境界情報、又は、前記第1境界情報よりも小さな記録容量からなる第2境界情報を書き込むように前記書込手段を制御する制御手段と、前記一の記録層におけるデータエリアの空き容量を検出する検出手段とを備えており、前記制御手段は、前記検出された空き容量が第1閾値(「2938」ECCブロック)以上である場合、前記第1境界情報(通常のボーダーアウト)を前記終端に書き込むように前記書込手段を制御し、前記検出された空き容量が前記第1閾値未満である場合、前記第2境界情報(層間ボーダーアウト)を前記終端に書き込むように前記書込手段を制御する。
本発明の情報記録装置によれば、対象となる情報記録媒体は、例えば、ディスク状の基板上に少なくとも一の記録層(例えば、L0層)及び他の記録層(例えば、L1層)等の複数の記録層が積層されてなる。と共に、当該情報記録媒体は、例えば、一の記録層から他の記録層への記録又は再生位置の層間ジャンプを行うための、例えば、ミドルエリア、又はリードインエリア等の緩衝用エリアを一及び他の記録層の所定部分に有する。
以上のように構成されているため当該情報記録媒体への記録時には、例えば、光ピックアップ等の書込手段によって、記録すべき複数の記録情報を、基板の内周側及び外周側のうち一方側から他方側へ向かう記録方向で一の記録層に順番に、例えば、追記等の記録動作が行われ、続いて緩衝用エリアで層間ジャンプが行なわれると共に、例えば、オポジット方式では、記録方向を折り返して、又は、例えば、パラレル方式では、記録方向を揃えて他の記録層に順番に、記録動作が行われる。
CPU等の制御手段は、記録情報を一及び他の記録層に順番に記録するように書込手段を制御すると共に、ボーダークローズ処理においては、一の記録層に記録された記録情報の終端を示す位置から、境界情報を書き込むように書込手段を制御する。ここに、「境界情報」とは、例えば、記録すべき複数の記録情報の書き込みが終了する毎に、複数の記録情報間の境界である旨を示した、所謂、ボーダーアウトの情報である。
次に、CPU等の検出手段は、例えば、ボーダーアウト等の境界情報が一の記録層及び他の記録層を跨って記録される場合、一の記録層に記録された記録情報を書き込んだ状態で、一の記録層に残された緩衝用エリアを除く書き込み可能な空き容量を検出する。
次に、CPU等の制御手段は、この空き容量が、予め設定された第1閾値以上であるか否かを判定してもよい。ここに、本発明に係る「第1閾値」とは、「通常のボーダーアウト」の記録容量である。この「通常のボーダーアウト」の記録容量は、記録される開始位置によって異なると共に、1番最初に記録される場合には、半径方向に相対的に長いボーダーアウトが記録される。他方、2番目以降に記録される場合には、半径方向に相対的に短いボーダーアウトが記録される。具体的には、例えば、光ディスクの記録領域の外周側における1番最初のボーダークローズ処理においては、通常のボーダーアウトの記録容量は、「2938」ECCブロックであり、2番目以降のボーダークローズ処理においては、「602」ECCブロックである。より具体的には、光ディスクの記録領域の外周側の通常のボーダークローズ処理において、1番最初に記録されるボーダーゾーン(即ち、ボーダーアウト及びボーダーインが記録される領域)の記録容量は、該ボーダーゾーンの半径方向の長さを、約0.5mmとするために、「2944」ECCブロックと規定されているので、ここからボーダーインの記録容量「5」ECCブロック及びリンキングサイズが2KBの場合の余裕の記録容量「1」ECCブロックを差し引くと、2944−5−1=「2938」ECCブロックとなる。他方、2番目以降に記録されるボーダーゾーンの記録容量は、該ボーダーゾーンの半径方向の長さを、約0.1mmとするために、「608」ECCブロックと規定されているので、同様に計算して、608−5−1=「602」ECCブロックとなる。
次に、CPU等の制御手段は、この空き容量が、第1閾値以上であると判定された場合、情報記録媒体の記録時又は再生時における記録又は再生位置を境界で停止させるための緩衝用データを含むと共に、例えば、第1閾値以下の記録容量を有する第1境界情報を境界情報として書き込むように書込手段を制御する。ここに、本発明に係る「第1境界情報」とは、前述した「通常のボーダーアウト」として記録される境界情報である。より具体的には、第1境界情報は、最新のRMD(Recording Management Data)等の記録管理用のデータ、光ピックアップの暴走を防止するためのストップブロック、該第1境界情報の次に記録情報が記録されているか否かを示すマーカー情報、及び、緩衝用データを備えて構成されている情報である。第1境界情報の記録容量は、例えば、前述した通常のボーダーアウトの記録容量と同じであり、「2938」又は「602」ECCブロックである。
他方、例えば、CPU等の制御手段は、この空き容量が、第1閾値未満であると判定された場合、第1境界情報と比べて少ない緩衝用データを含む第2境界情報を境界情報として書き込むように書込手段を制御する。ここに、本発明に係る「第2境界情報」とは、境界情報が一の記録層及び他の記録層を跨って記録される場合に、一の記録層において、例えば、ミドルエリア又はリードインエリア等の緩衝用エリアの開始位置まで、又は、緩衝用エリアの中へ食み出して記録される境界情報である。より具体的には、第2境界情報は、前述した最新のRMD等の記録管理用のデータ、該第2境界情報の次に記録情報が記録されているか否かを示すマーカー情報、及び、緩衝用データを備えて構成されている情報である。第2境界情報の記録容量は、可変であり、例えば、最小値を、「43」ECCブロックとし、最大値を、光ディスクの記録領域の外周側における通常のボーダーアウトの記録容量より「1」ECCブロックだけ少ない「2937」ECCブロックとすることが可能である。以下、本願では適宜、この第2境界情報を「層間ボーダーアウト」とも称す。
以上より、本発明によれば、例えば、ボーダーアウト等の境界情報が一の記録層及び他の記録層を跨って記録される場合、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報が、ミドルエリアやリードイエリア等の本来の緩衝用エリアに加えて、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを効率的に又は完全に防止することが可能となる。仮に、ボーダーアウト等の境界情報が一の記録層及び他の記録層を跨って記録される場合、他の記録層におけるボーダーアウトは、冗長的な緩衝用エリアとして機能し、不必要となってしまう。それにも関わらず光ディスクの記録容量を浪費し、さらにボーダークローズ処理にかかる時間を長くさせてしまうのである。これに対して、本発明によれば、通常のボーダーアウト等の第1境界情報と比べて小さな記録容量の層間ボーダーアウト等の第2境界情報を一の記録層に記録し、他の記録層にはボーダーアウト等の境界情報が記録されるのを効率的に又は完全に防止することで、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを効率的に又は完全に防止することが可能となる。よって、光ディスクの記録容量の浪費を防止することができると共に、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。
本発明の情報記録装置の一態様では、前記第1閾値は、前記第1境界情報の記録容量と等しい。
この態様によれば、制御手段の制御下で、空き容量と第1閾値とを的確且つ迅速に比較することが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記制御手段は、前記検出された空き容量が、前記第1閾値よりも小さな第2閾値未満(「43」ECCブロック)である場合、前記第1境界情報を前記一の記録層におけるデータエリアの空き領域と、前記複数の記録層のうち他の記録層におけるデータエリアとに跨って書き込むように前記書込手段を制御する。
この態様によれば、CPU等の制御手段の制御下で、空き容量が前述した第1閾値よりも小さな第2閾値未満であると判定された場合、書込手段によって第1境界情報が一の記録層におけるデータエリアの空き領域と、他の記録層におけるデータエリアとに跨って書き込まれる。ここに本発明に係る「第2閾値」とは、第2境界情報の記録容量以上の値に設定された、第2境界情報の記録容量の最小値である。具体的には、「43」ECCブロックである。より具体的には、第2境界情報の記録容量の最小値は、最新のRMD等の記録管理用のデータの記録容量(「5」ECCブロック)、該第2境界情報の次に記録情報が記録されているか否かを示すマーカー情報(3×「2」ECCブロック)の記録容量、及び、緩衝用データ(4×「8」ECCブロック)の記録容量の合計である。
以上より、例えば、一の記録層における、ミドルエリア又はリードインエリア等の緩衝用エリア内に、層間ボーダーアウト等の第2境界情報は記録されることはなく、緩衝用エリアのデータ構造は変更されないので、既存の情報記録再生装置における再生動作を安定させることができる。
この態様では、前記第2閾値は、前記第2境界情報の記録容量と等しくなるように構成してもよい。
このように構成すれば、制御手段の制御下で、空き容量と第2閾値とをより的確且つ迅速に比較することが可能となると共に、より高精度の制御を実現可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記制御手段は、前記検出された空き容量が前記第2閾値(「43」ECCブロック)未満である場合、前記第2境界情報を前記一の記録層におけるデータエリアの空き領域と、当該データエリアの外周側に形成される緩衝用エリアとに跨って書き込むように前記書込手段を制御する。
この態様によれば、例えば、層間ボーダーアウト等の第2境界情報のうち少なくとも最新のRMD等の記録管理用のデータ(「5」ECCブロックの記録容量)は、一の記録層のデータエリア内に記録され、例えば、ネクストボーダーマーカー及び緩衝用データ等の食み出し部分(最大「38」ECCブロックの記録容量)は、一の記録層のデータエリアの外周側に形成されるミドルエリア又はリードアウトエリア等の緩衝用エリアに記録されることが可能となる。
従って、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのをより効率的に又は完全に防止することが可能となる。
また、少なくとも最新のRMD等の記録管理用のデータが、一の記録層のデータエリア内に記録されることで、情報記録装置によって光ディスクに記録された情報の信頼性を向上させるという利点がある。
加えて、一の記録層における、ミドルエリア又はリードインエリア等の緩衝用エリア内に、層間ボーダーアウト等の第2境界情報は記録される可能性を最小限にすることによって、緩衝用エリアのデータ構造の変更を最小限に抑制することができるので、既存の情報記録再生装置における再生動作を安定させることが可能となる。
この態様では、前記制御手段は、前記検出された空き容量が、前記第2閾値よりも小さな第3閾値未満である場合、前記第1境界情報を前記空き領域と、前記他の記録層におけるデータエリアとに跨って書き込むように前記書込手段を制御するように構成してもよい。
このように構成すれば、CPU等の制御手段の制御下で、空き容量が前述した第2閾値よりも小さな第3閾値未満であると判定された場合、書込手段によって第1境界情報が一の記録層におけるデータエリアの空き領域と、他の記録層におけるデータエリアとに跨って書き込まれる。ここに本発明に係る「第3閾値」とは、前述した第2境界情報の1つの構成要素である最新のRMD等の記録管理用のデータの記録容量(「5」ECCブロック)である。
以上より、例えば、一の記録層における、ミドルエリア又はリードインエリア等の緩衝用エリア内に、層間ボーダーアウト等の第2境界情報は記録されることはなく、緩衝用エリアのデータ構造は変更されないので、既存の情報記録再生装置における再生動作を安定させることができる。
更に、この態様では、前記第3閾値は、前記第2境界情報の先頭に配置された記録管理用データの記録容量と等しくなるように構成してもよい。
このように構成すれば、制御手段の制御下で、空き容量と第3閾値とをより的確且つ迅速に比較することが可能となると共に、より高精度の制御を実現可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記第2境界情報は、前記第1境界情報に含まれるストップブロックを除いて構成されている。
この態様によれば、第2境界情報の記録容量を、ストップブロックの記録容量(「2×2=4」ECCブロック)だけ小さくすることが可能となり、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを、より効率的に又は完全に防止することが可能となる。
(情報記録方法)
以下、本発明の情報記録方法について説明する。
本発明の情報記録方法は上記課題を解決するために、複数の記録層を有する情報記録媒体に対して、記録情報を前記複数の記録層に書込可能な書込手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記複数の記録層のうち一の記録層に記録された前記記録情報の終端に第1境界情報、又は、前記第1境界情報よりも小さな記録容量からなる第2境界情報を書き込むように前記書込手段を制御する制御工程と、前記一の記録層におけるデータエリアの空き容量を検出する検出工程とを備えており、前記制御工程は、前記検出された空き容量が第1閾値(「2938」ECCブロック)以上である場合、前記第1境界情報(通常のボーダーアウト)を前記終端に書き込むように前記書込手段を制御し、前記検出された空き容量が前記第1閾値未満である場合、前記第2境界情報(層間ボーダーアウト)を前記終端に書き込むように前記書込手段を制御する。
本発明の情報記録方法によれば、上述した本発明の情報記録装置の場合と同様に、制御工程の制御下で、検出工程の結果によって、書込手段が、通常のボーダーアウト等の第1境界情報と比べて小さな記録容量の層間ボーダーアウト等の第2境界情報を一の記録層に記録し、他の記録層にはボーダーアウト等の境界情報が記録されるのを効率的に又は完全に防止することで、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを効率的に又は完全に防止することが可能となる。よって、光ディスクの記録容量の浪費を防止することができると共に、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラム)
以下、本発明のコンピュータプログラムについて説明する。
本発明のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記制御手段、前記検出手段及び前記書込手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、例えば、通信手段等を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記制御手段、前記検出手段及び前記書込手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記制御手段、前記検出手段及び前記書込手段の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した前記制御手段、前記検出手段及び前記書込手段の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置及び方法によれば、制御手段及び工程、並びに、検出手段及び工程を備えているので、ボーダーアウト等の境界情報が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを効率的に又は完全に防止することが可能となる。また、本発明のコンピュータプログラムによれば、コンピュータを上述した本発明の情報記録装置として機能させるので、ボーダーアウト等の境界情報が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを効率的に又は完全に防止することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
(情報記録装置の第1実施例の対象となる情報記録媒体)
図1から図3を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る光ディスクについて詳細に説明する。
先ず図1を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の対象となる情報記録媒体に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1(a)は、本発明の情報記録装置の第1実施例の対象となる情報記録媒体に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、図1(b)は、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として本実施例に係るリードインエリア101、データエリア102並びにリードアウトエリア103又はミドルエリア104が設けられている。そして、光ディスク100の例えば、透明基板200に、記録層等が積層、或いは貼り合わされている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。また、このトラック10上には、データがECCブロック11という単位で分割されて記録される。ECCブロック11は、記録情報がエラー訂正可能なプリフォーマットアドレスによるデータ管理単位である。
尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア101、リードアウトエリア103又はミドルエリア104が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、後述するように、リードインエリア101、リードアウト103又はミドルエリア104は更に細分化された構成であってもよい。
特に、本実施例に係る光ディスク100は、図1(b)に示されるように、例えば、透明基板に、後述される本発明に係る一及び他の記録層の一例を構成するL0層及びL1層が積層された構造をしている。このような二層型の光ディスク100の記録再生時には、図1(b)中、上側から下側に向かって照射されるレーザ光LBの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、L0層における記録再生が行なわれるか又はL1層における記録再生が行われる。また、本実施例に係る光ディスク100は、2層片面、即ち、デュアルレイヤーシングルサイドに限定されるものではなく、2層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、上述の如く2層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、3層以上の多層型の光ディスクであってもよい。
尚、2層型光ディスクにおけるオポジット方式及びパラレル方式による記録再生手順及び各層におけるデータ構造については、後述される。
次に、図2を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生手順について説明する。ここに、物理的セクタ番号(以下適宜、セクタ番号と称す。)とは、光ディスクの記録領域における絶対的な物理的アドレスを示した位置情報である。また、図2は、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。縦軸は、16進数で表現されたセクタ番号を示し、横軸は、光ディスクの半径方向の相対的な位置を示す。
図2に示されるように、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる2層型光ディスク100は、前述した透明基板と該透明基板に積層された2層の記録層、即ち、L0層とL1層とを備えて構成されている。
具体的には、L0層には、内周側から外周側にかけて、リードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0が設けられている。このリードインエリア101−0内、またはその内周部には、OPC(Optimum Power Calibration)処理のためのPC(Power Calibration)エリアPCA及び記録管理情報が記録されているRM(Recording Management)エリアRMA等が設けられている。尚、PCエリア、RMエリアをリードインエリア101内のディスク内周側に配置しても良い。特に、データエリア102−0は、ボーダーゾーン105−0及びボーダーアウト105a−0又は105c−0によって、例えば、3つのボーダードエリア106−0(以下、適宜「ボーダー」と称す)を備えて構成されている。各ボーダーゾーン105−0は、後述されるように、半径方向の長さが0.5mmのボーダーアウト105a−0(又は半径方向の長さが0.1mmの105c−0)とボーダーイン105b−0を備えて構成されている。
他方、L1層には、外周側から内周側にかけて、ミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウト103−1が設けられている。このリードアウトエリア103−1にも、図示しないOPCエリア等が設けられていてもよい。特に、データエリア102−1も、例えば、外周側からボーダーゾーン105−1及びボーダーアウト105c−1が設けられ、それらの間に1つのボーダー106−1が構成されている。各ボーダーゾーン105−1は、L0層と同様に、半径方向の長さが0.5mmのボーダーアウト105a−1(又は半径方向の長さが0.1mmの105c−1)とボーダーイン105b−1を備えて構成されている。
以上のように2層型光ディスク100は構成されているので、該光ディスク100の記録又は再生の際には、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の図示しない光ピックアップによって、レーザ光LBは、図示しない基板の側から、即ち、図2中の下側から上側に向けて照射され、その焦点距離等が制御されると共に、光ディスク100の半径方向における移動距離及び方向が制御される。これにより、夫々の記録層にデータが記録され、又は、記録されたデータが再生される。
特に、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクの記録又は再生手順としてオポジット方式が採用されている。ここに、オポジット方式とは、より詳細には、2層型光ディスクの記録又は再生手順として、第1実施例に係る情報記録再生装置の光ピックアップが、L0層において、内周側から外周側へ向かって、即ち、図2中の矢印の右方向へ移動するのとは逆に、L1層においては、光ピックアップが外周側から内周側へ向かって、即ち、図2中の矢印の左方向へ移動することによって、2層型光ディスクにおける記録又は再生が行われる方式である。このオポジット方式では、L0層における記録又は再生が終了されると、L1層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要はなく、L0層からL1層への焦点距離だけを切り換えればよいため、L0層からL1層への切り換え時間がパラレル方式と比較して短いという利点があるためビデオデータのような記録、再生時にリアルタイム性を要求される、大容量のコンテンツ情報の記録に採用されている。
具体的には、先ず、L0層において、光ピックアップがリードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、セクタ番号が「02FFFFh」のリードインエリア101−0の終了位置(図2中のA地点を参照)、セクタ番号が「030000h」のデータエリア102−0の開始位置(図2中のB地点を参照)、セクタ番号が「1AFFFFh」のデータエリア102−0の終了位置(以下、適宜、L0層の「折り返し点」と称す:図2中のC地点を参照)に順次アクセスして、緩衝の役目を果たすミドルエリア104−0へと移動されることによって、L0層における記録又は再生が行われる。尚、本実施例において、「30000h」等の末尾の「h」とは16進数で表現されていることを示す。他方、L1層において、具体的には、光ピックアップがミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウトエリア103−1を外周側から内周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、緩衝の役目を果たすミドルエリア104−1、セクタ番号が「E50000h」のデータエリア102−1の開始位置(以下、適宜、L1層の「折り返し地点」と称す:図2中のD地点を参照)、セクタ番号が「FCFFEFh」のデータエリア102−1の終了位置(図2中のE地点を参照)に順次アクセスして、リードアウトエリア103−1へと移動されることによって、L1層における記録又は再生が行われる。
以上説明したL0層とL1層におけるセクタ番号はすべて、16進数における15の補数の関係にある。より具体的には、例えば、L0層における折り返し点(セクタ番号「1AFFFFh」)とL1層における折り返し点(セクタ番号「E50000h」)は15の補数の関係にある。形式的には、「1AFFFFh」の補数は、16進数のセクタ番号「1AFFFFh」を2進数「000110101111111111111111」に変換してからビット反転(インバート:invert)「111001010000000000000000」させ、16進数「E50000h」に再変換させることによって求められる。
よって、コンテンツ情報は、例えば、L0層のデータエリア102−0のセクタ番号「030000h」から「1AFFFFh」及びL1層のデータエリア102−1のセクタ番号「E50000h」から「FCFFEFh」において、光ピックアップが連続して移動されると同時に記録又は再生される。
以上説明した物理的セクタ番号に対して、論理ブロックアドレス(LBA:Logical Block Address)が、1対1に割り付けられている。より具体的には、例えば、セクタ番号「030000h」には「000000h」LBAが対応し、セクタ番号「FCFFEFh」には、「30FFEFh」LBAが対応する。尚、本発明の情報記録装置の第1実施例の作用効果の更なる検討については、後述される。
次に、図3を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのパラレル方式による記録又は再生手順について説明する。ここに、図3は、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのパラレル方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。縦軸及び横軸は、前述した図2と同様である。
図3に示されるように、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる2層型光ディスク100は、図示しない基板と該基板に積層された2層の記録層、即ち、L0層とL1層とを備えて構成されている。
具体的には、L0層には、内周側から外周側にかけて、リードインエリア101−0、データエリア102−0及びリードアウトエリア103−0が設けられている。このリードインエリア101−0内、或いはその内周側には、前述したOPC処理のためのPCエリアPCA及び記録管理情報が記録されているRMエリアRMA等が設けられている。特に、データエリア102−0におけるボーダーゾーン等の構造は、前述した図2の説明と同様である。
他方、L1層には、内周側から外周側にかけて、リードインエリア101−1、データエリア102−1及びリードアウト103−1が設けられている。このリードインエリア101−1にも、図示しないOPCエリア等が設けられていてもよい。特に、データエリア102−1も、例えば、内周側からボーダーゾーン105−1及びボーダーアウト105c−1が設けられ、図3においては、それらの間に1つのボーダー106−1が構成されている。各ボーダーゾーン105−1の構成は、前述したボーダーゾーン105−0と同様である。
以上のように2層型光ディスク100は構成されているので、該光ディスク100の記録又は再生の際の焦点距離等の制御は、前述したオポジット方式と同様である。
特に、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクの記録又は再生手順としてパラレル方式が採用されている。このパラレル方式では、L0層における記録又は再生が終了されると、L1層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要があるためL0層からL1層への切り換え時間がその分だけ掛かってしまう。
具体的には、先ず、L0層において、光ピックアップがリードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、セクタ番号が「02FFFFh」のリードインエリア101−0の終了位置(図3中のA地点を参照)、セクタ番号が「030000h」のデータエリア102−0の開始位置(図3中のB地点を参照)、セクタ番号が「1AFFFFh」のデータエリア102−0の終了位置(図3中のC地点を参照)に順次アクセスして、緩衝の役目を果たすリードアウトエリア103−0へと移動されることによって、L0層における記録又は再生が行われる。
他方、L1層において、具体的には、光ピックアップがリードインエリア101−1、データエリア102−1及びリードアウトエリア103−1を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、緩衝の役目を果たすリードインエリア101−1、セクタ番号が「030000h」のデータエリア102−1の開始位置(図3中のB地点を参照)、セクタ番号が「1AFFEFh」のデータエリア102−1の終了位置(図3中のD地点を参照)に順次アクセスして、リードアウトエリア103−1へと移動されることによって、L1層における記録又は再生が行われる。
よって、コンテンツ情報は、例えば、L0層のデータエリア102−0のセクタ番号「030000h」から「1AFFFFh」及びL1層のデータエリア102−1のセクタ番号「030000h」から「1AFFEFh」において、光ピックアップが連続して移動されると同時に記録又は再生される。
以上説明した物理的セクタ番号に対して、論理ブロックアドレス(LBA:Logical Block Address)が、1対1に割り付けられている。より具体的には、例えば、L0層におけるセクタ番号「030000h」には「000000h」LBAが対応し、セクタ番号「1AFFFFh」には、「17FFFFh」LBAが対応する。他方、L1層におけるセクタ番号「030000h」には「180000h」LBAが対応し、セクタ番号「1AFFEFh」には、「2FFFEFh」LBAが対応する。
次に、図4を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクにおける通常のボーダーゾーンの物理的な記録容量について説明する。ここに、図4は、第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクのL0層における通常のボーダーゾーンの物理的な記録容量を示したテーブルである。
図4に示されるように、横方向の列は、左から順番に、内周、中周及び外周に対応するボーダーゾーンの開始位置を示したセクタ番号である。縦方向の行は、上から順番に、1番最初に記録されるボーダーゾーン及び2番目以降に記録されるボーダーゾーンの記録容量をECCブロック数及びバイト数で示している。通常のボーダーゾーンの記録容量は、記録される開始位置によって異なると共に、1番最初に記録される場合には、半径方向に相対的に長いボーダーゾーンが記録される。他方、2番目以降に記録される場合には、半径方向に相対的に短いボーダーゾーンが記録される。
具体的には、1番最初に記録されるボーダーゾーンの半径方向の長さは、約0.5mmとなり、2番目以降に記録されるボーダーゾーンの半径方向の長さは約0.1mmとなるように規定されている。より具体的には、図4のテーブルに示されるように、光ディスクの記録領域のセクタ番号「165700h」以降の通常のボーダークローズ処理において、1番最初に記録されるボーダーゾーンの記録容量は、「2944」ECCブロックであり、「92」MBである。他方、2番目以降に記録されるボーダーゾーンの記録容量は、「608」ECCブロックであり、「19」MBである。詳細には、このように、1番最初に記録されるボーダーゾーンを0.5mmにする理由は、例えば、光ディスクのマルチボーダー構造を認識することができない初期に製造されたDVD−ROM再生専用ドライブ(以下、適宜「マルチボーダー非対応のドライブ」と称す)によっても、1番最初に記録されたボーダーゾーンによって形成された第1番目のボーダーを認識可能とするためである。より詳細には、マルチボーダー非対応のドライブは、基本的には、半径方向の長さの最小値が約0.5mmと規定されたリードアウトエリアを認識できるように設計されている。これにより、マルチボーダー非対応のドライブであっても、リードインエリアから1番最初に記録されたボーダーゾーンまでのデータエリアについては、通常のDVD−ROMと同様に再生することが可能とされる。このように、0.5mmと0.1mmを混在させることは、ボーダーゾーンをすべて0.5mmで規定する場合と比較して、ボーダークローズ処理の時間を短縮させることが可能となる点で有利である。
次に、図5を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクにおける通常のボーダーゾーンの詳細なデータ構造について説明する。ここに、図5は、第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクのL0層における通常のボーダーゾーンの詳細なデータ構造を示したデータ構造図である。
図5に示されるように、通常のボーダーゾーン105−0(105−1:以下、括弧内は、L1層における符号番号を示す)は、ボーダーアウト105a−0(105a−1)とボーダーイン105b−0(105b−1)を備えて構成されている。そして、通常のボーダーゾーンの記録容量は、例えば、「2944」ECCブロック(前述した0.5mm用)又は「608」ECCブロック(前述した0.1mm用)である。
ボーダーイン105b−0(105b−1)には、最新の「5」ECCブロックの制御又は記録管理用データが記録されている。この制御又は記録管理用データの構造は、リードインエリア内に記録されている制御又は記録管理用データの構造と同じである。尚、ボーダーイン105b−0(105b−1)の最後に設けられるBSGA(Block SYNC Guard Area)は、ボーダーインの制御又は記録管理用データが未記録の場合に次に隣接する記録済みのECCブロックが再生可能であることを保証するために記録されるものである。
ボーダーアウト105a−0(105a−1)、または105c−0(105c−1)は、更に、ボーダーRMDエリア105d−0、ストップブロックSB、3個のネクストボーダーマーカーNM及び緩衝用データを含んだ緩衝用エリアを備えて構成されている。
ボーダーRMDエリア105d−0には、最新のRMD(Recording Management Data)等の記録管理用データが5個だけコピーされて記録されている。このボーダーRMDエリア105d−0は、例えば、DVD−Rのリードインエリア内、またはその内周側にあるRMエリアを読めないDVD−ROM専用ドライブに、ボーダーに記録された情報を再生するための管理情報等を提供することが可能である。
ストップブロックSBは、「2」ECCブロックの記録容量であり、ボーダーアウト105a−0(105a−1)、または、105c−0(105c−1)の開始位置から相対的に38及び39番目に位置している。ストップブロックSBの領域の属性は、リードアウトエリアと同じ属性である。これは、光ピックアップにリードアウトエリアと同じ領域を認識させ、該光ピックアップの暴走を防止するためである。
各ネクストボーダーマーカーNMは、「2」ECCブロックの記録容量であり、このネクストボーダーマーカーNMによって、次のボーダーが存在するか否かを判定することができる。具体的には、次のボーダーが存在せず、リードアウトエリアがまだ記録されていない場合には、最後に位置するボーダーアウトのネクストボーダーマーカーNMは未記録状態である。そして、ボーダークローズ処理においては、最後から二番目のボーダーアウトの各ネクストボーダーマーカーNMには、例えば、「00h」が記録される。そして、ファイナライズ処理においては、最後のボーダーアウトの各ネクストボーダーマーカーNMには、例えば、「00h」がパディング(Padding)され、各ネクストボーダーマーカーNMの領域の属性は、リードアウトエリアと同じ属性にされる。
尚、DVD−RWの場合、ネクストボーダーマーカーNMは存在しない。
次に、図6を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置による光ディスクの記録領域における一般的なボーダークローズ処理の手順について説明する。ここに、図6は、第1実施例に係る情報記録再生装置による、光ディスクの記録領域におけるボーダークローズ処理の手順を4つフェイズで示した図式的概念図である。尚、図6は、理解しやすくするために、層をまたがない場合のL0層におけるボーダークローズ処理を示している。
先ず、図6の第1フェイズで示されるように、例えば、データ等の情報が、例えば、セクタ毎に、左側から右側へ(L0層の場合、ディスク内周側から外周側)、例えば、DVD−R記録ドライブによって追記される。このような記録方式はシーケンシャル記録方式と称される(図6中、ステップS1、ステップS2及びステップS3参照)。
次に、図6の第2フェイズで示されるように、光ディスクをROM再生専用ドライブで読込み可能とするためにボーダークローズ処理が行われる。具体的には、ボーダーアウト105a−0の記録(ステップS4)の後、リードインエリア101−0に管理情報等が記録される(ステップS5)。より具体的には、リードインエリア101−0にはボーダーアウト105a−0が開始される位置情報を示した物理的セクタ番号等に加えて、次のボーダーイン105b−0が開始される位置情報が記録される。尚、最初のボーダークローズ処理なので半径方向の長さが0.5mmのボーダーアウト105a−0が記録される(前述した、図4の説明参照)。
以上より、第2フェイズの光ディスクにおける第1番目のボーダー(ボーダードエリア)106−0は、例えば、マルチボーダー非対応のドライブを含めて、すべてのDVD−ROM再生専用ドライブによって読み込み可能となる。
次に、図6の第3フェイズで示されるように、データ等の情報が、セクタ毎に、ステップS6において、DVD−R記録ドライブによって追記が行われる。具体的には、このステップでは、次の第4フェイズにおいてボーダーイン105b−0が記録される領域が空けられて、追記が行われる。
以上より、第3フェイズの光ディスクにおいては、最初のボーダークローズ処理が完了した第1番目のボーダー106−0内のデータ等の情報だけが、DVD−ROM専用ドライブによって認識すること可能となる。
次に、図6の第4フェイズで示されるように、第3フェイズのステップS6において追記された情報を、ROM再生専用ドライブによって、読み込み可能とするために2回目のボーダークローズ処理が行われる。尚、2回目以降のボーダークローズ処理なので半径方向の長さが0.1mmのボーダーアウト105c−0が記録される(ステップS7)と共に、第3フェイズにおける空き領域に、ボーダーイン105b−0が記録される(ステップS8)。
以上より、第4フェイズの光ディスクにおいては、第1番目のボーダー106−0と第2番目のボーダー106−0の領域内のデータ等の情報を、光ディスクのマルチボーダー構造を認識することができるDVD−ROM再生専用ドライブ(以下、適宜「マルチボーダー対応のドライブ」と称す)によって読み込み可能となる。
次に、図7を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置による、例えば、DVD−R等の光ディスクの記録領域における一般的な追記の際の2種類のリンキングについて説明する。ここに、図7は、第1実施例に係る情報記録再生装置による光ディスクの記録領域における一般的な追記の際の2種類のリンキングにおける手順を示した概念図である。
図7に示されるように、例えば、DVD−Rのリンキングでは、2KBと32KBの2種類のリンキングサイズが定義されている。リンキングサイズが2KBの場合は、例えば、1ECC単位で記録が完了した場合には、次の未記録のECCブロックの第1シンクフレーム)において記録を終了する。(図7中、左側の中段参照)。
次に、記録を再開する際に、この第1シンクフレームから記録を再開し、2KBのリンキングロスエリアを生成した後、次の書き継ぎ地点を示すNWA(Next Writable Address)からユーザーデータの追記が開始される(図7中、左側の下段参照)。このように、リンキングサイズが2KBの場合においては、オーバーヘッドをより少なくさせることができるが、リンキングが発生した場所のECCブロックにおける誤り訂正の品質は低下してしまう。他方、リンキングサイズが32KBの場合は、例えば、1ECC単位で記録が完了した場合には、2KBの場合と同様に、次の未記録のECCブロックの第1シンクフレームにおいて記録を終了する。(図7中、右側の中段参照)。
次に、記録を再開する際に、この第1シンクフレームから記録を再開し、32KBのリンキングロスエリアを生成し、NWA、すなわち次のECCブロックの先頭からユーザーデータの追記が開始される(図7中、右側の下段参照)。このように、リンキングサイズが32KBの場合においては、オーバーヘッドはより大きくなるが、ユーザーデータが記録されるECCブロックの誤り訂正の品質は、リンキングの影響を受けないので、高品質のままである。
次に、図8を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる2層型光ディスクにおいて、本発明に係る「第2境界情報」が記録された領域の一具体例である所謂、「層間ボーダーゾーン」の詳細なデータ構造の一具体例について説明する。ここに、層間ボーダーゾーンとは、2層間をまたいだボーダークローズ処理において記録されるボーダーゾーンである。また、図8は、第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる2層型光ディスクにおける層間ボーダーゾーンの詳細なデータ構造の一具体例を示した図式的データ構造図である。
図8に示されるように、第1実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる2層型光ディスクにおいて、層間ボーダーゾーンの記録容量は、2層間をまたいだボーダークローズ処理において記録されるため、前述の図5において説明した通常のボーダーゾーンより縮小されている。具体的には、層間ボーダーソーン107−0は、層間ボーダーアウト107a−0及び前述した通常のボーダーイン105b−1を備えて構成されている。層間ボーダーアウト107a−0は、前述したボーダーRMDエリア105c−0及び3つのネクストボーダーマーカーNMを備えて構成されている。これらの領域の間には、例えば、「00h」等のダミーデータが「8」ECCブロックの記録容量でパディング(Padding)されている。
特に、層間ボーダーアウト107a−0の最後にパディングされるダミーデータの記録容量は、最小の記録容量を「8」ECCブロックとする可変長である。よって、層間ボーダーアウトの記録容量を、例えば、最小値「43」ECCブロックから、通常のボーダーアウトの記録容量である最大値「2937」ECCブロックまで可変とすることが可能となる。
(情報記録装置の第1実施例)
次に、図9を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の構成及び動作について詳細に説明する。特に、第1実施例は、本発明に係る情報記録装置を光ディスク用の情報記録再生装置に適用した例である。ここに、図9は、本発明の情報記録装置に係る第1実施例における情報記録再生装置のブロック図である。尚、情報記録再生装置300は、光ディスク100に記録データを記録する機能と、光ディスク100に記録された記録データを再生する機能とを備える。
図9において、情報記録再生装置300は、CPU(Central Processing Unit)の制御下で、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。情報記録再生装置300は、光ディスク100、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、操作制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、及びバス357を備えて構成されている。
スピンドルモータ351は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスクへのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ352は光ディスク100への記録再生を行うもので、半導体レーザ装置とレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。特に、光ピックアップ352は、本発明に係る「書込手段」の一例を構成する。
信号記録再生手段353は、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオード(LD)ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ(LDドライバ)は、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理等において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラムが格納されるROM領域と、映像データの圧縮伸張で用いるバッファやプログラム動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353、メモリ355と、バス357を介して接続され、各制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェアは、メモリ355に格納されている。特に、CPU354は、本発明に係る「制御手段」及び「判定手段」の一例を構成する。
データ入出力制御手段306は、情報記録再生装置300に対する外部からデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。データの入出力が映像信号である場合には、データ入力時には外部から受け取ったデータを例えば、MPEGフォーマットに圧縮(エンコード)してからメモリ355へ出力し、データ出力時には、メモリ355から受け取ったMPEGフォーマット等のエンコードされたデータを伸張(デコード)してから外部へ出力する。
操作制御手段307は情報記録再生装置300に対する動作指示受付と表示を行うもので、記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU354に伝え、記録中や再生中といった情報記録再生装置300の動作状態を蛍光管などの表示パネル311に出力する。特に、本実施例では、操作制御手段307は、ホストコンピューターとして、図示しないCPU及びメモリ等によって構成されていてもよい。
以上説明した、情報記録再生装置300の一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ355に格納されたプログラムをCPU354で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。
(情報記録再生装置による記録動作の流れ―第1実施例―)
次に図10から図15を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における光ディスクの記録動作の流れについて詳細に説明する。ここに、図10は本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における光ディスクの記録動作の流れを示したフローチャート図である。尚、図10中、「X」及び「α」は、共に変数であり、「L」及び「M」は、共に定数である。ここに、図11(a)は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置によって記録される通常のボーダーアウトの領域を示した概念図であり、図11(b)は、層間ボーダーアウトの領域を示した概念図である。尚、「L」は、本発明に係る「第1閾値」の一例を構成し、具体的には、前述したように、「2938(0.5mm用)」又は「602(0.1mm用)」ECCブロックである。また、「M」は、本発明に係る「第2閾値」の一例を構成し、具体的には、前述したように、「43」ECCブロックである。また、図12は、図10のステップS110からS114に対応した、L0層のデータエリアの空き容量「X」が「L」以上の場合のL0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、図中、右側が外周側を、左側が内周側を示す。図13は、図10のステップS116からS119に対応した、L0層のデータエリアの空き容量「X」が「M」以上且つ「L」未満である場合のL0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、内外周側の位置関係は図12と同様である。図14は、図10のステップS110からS114に対応した、L0層のデータエリアの空き容量「X」が「M」未満である場合に、通常のボーダークローズ処理を、層をまたいで行った時の、L0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、内外周側の位置関係は図12と同様である。図15は、図10のステップS104aの判定に基づいて、L1層における追記とボーダークローズ処理を行った時の、L0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、内外周側の位置関係は図12と同様である。
先ず、図10において、光ディスク100が装填されると、先ず、CPU354の制御下で、光ピックアップ352によりシーク動作が行われ、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理情報が取得されると同時に、例えばユーザーデータ等の追記を行うか否かが判定される(ステップS101)。ここで、光ディスク100への追記を行う場合(ステップS101:Yes)、情報記録再生装置による追記が、例えばL0層において、セクタ或いは、ECCブロック単位で行われる(ステップS102)。続いて、光ディスクが排出されるか否かが判定される(ステップS103)。ここで、排出されない場合(ステップS103:No)、更に、ボーダークローズ処理が行われるか否かが判定される(ステップS104)。ここで、ボーダークローズ処理が行われる場合(ステップS104:Yes)、更に、情報記録再生装置による追記が、L0層において行われているか否かが判定される(ステップS104a)。ここで、情報記録再生装置による追記が、L0層において行われている場合(ステップS104a:Yes)、L0層におけるデータエリアの残りの空き容量「X」(ECCブロック)が計算される(ステップS105)。但し、1ECCブロックに満たない空き容量は切り捨てて計算される。
他方、ステップS104の判定の結果、ボーダークローズ処理が行われない場合(ステップS104:No)、L0層における追記が行われる(ステップS102)。
続いて、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS106)。ここで、最初のボーダークローズ処理である場合(ステップS106:Yes)、定数「L」に例えば、「2938」(ECCブロック)が代入される(ステップS107)。より具体的には、このことによって、光ディスクの記録面における1番最初に記録されるボーダーゾーンの半径方向の長さを約0.5mmにすることができる。
他方、最初のボーダークローズ処理でない場合(ステップS106:No)、定数「L」に例えば、「602」(ECCブロック)が代入される(ステップS108)。より具体的には、このことによって、光ディスクの記録面における2番目以降のボーダーゾーンの半径方向の長さを約0.1mmにすることができる。続いて、空き容量「X」が定数「L」以上であるか否かが判定される(ステップS109)。ここで、空き容量「X」が定数「L」以上である場合(ステップS109:Yes)、更に、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS110)。ここで、最初のボーダークローズ処理である場合(ステップS110:Yes)、通常のボーダーアウト105a−0が記録される(ステップS111)。より具体的には、図12で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「L」以上であるので、半径方向の長さが0.5mmの通常のボーダーアウト105a−0(但し、L=「2938」ECCブロック:図11(a)を参照)がL0層において記録される。続いて、リードインエリア101−0に管理情報等が記録される(ステップS112)。より具体的には、リードインエリア101−0にはボーダーアウト105a−0が開始される位置情報を示した物理的セクタ番号等に加えて、次のボーダーイン105b−0が開始される位置情報が記録される。
他方、最初のボーダークローズ処理でない場合(ステップS110:No)、通常のボーダーアウト105c−0が記録される(ステップS113)。より具体的には、図12で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「L」以上であるので、半径方向の長さが0.1mmの通常のボーダーアウト105c−0(但し、L=「602」ECCブロック:図11(a)を参照)がL0層において記録される。
続いて、前回記録した通常のボーダーアウト105a−0又は105c−0の直後のボーダーイン105b−0が記録される(ステップS114)。
他方、ステップS109の判定の結果、空き容量「X」が定数「L」より小さい場合(ステップS109:No)、更に、空き容量「X」が定数「M」以上であるか否かが判定される(ステップS115)。ここで、空き容量「X」が定数「M」以上でない場合(ステップS115:No)、空き容量「X」が定数「M」より小さいので、通常のボーダークローズ処理であるステップS110からステップS114までの処理がなされる。但し、ステップS111及びステップS113においては、より具体的には、図14で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「M」より小さいので、通常のボーダーアウト(図11(a)を参照:L=「2938」又は「602」ECCブロック)がL0層及びL1層を跨って記録される。
他方、ステップS115の判定の結果、空き容量「X」が定数「M」以上である場合(ステップS115:Yes)、層間ボーダーアウトがL0層のデータエリアにおいて記録される(ステップS116)。具体的には、図13で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「M」 (例えば、「M」=「43」)以上で且つ定数「L」より小さいので、層間ボーダーアウト(図11(b)を参照)が拡張されて、L0層のデータエリアにおいて記録される。より具体的には、「M」ECCブロックは、データエリアに記録され、容量「X−M」ECCブロックはミドルエリアの開始位置まで、例えば、「0」又は「Null」等のダミーデータ「α」が、パディング(Padding)されて記録される。
続いて、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS117)。ここで、最初のボーダークローズ処理である場合(ステップS117:Yes)、リードインエリアに管理情報等が記録される(ステップS118)。
他方、ステップS117の判定の結果、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理でない場合(ステップS117:No)、前回記録した通常のボーダーアウトの直後にボーダーインが記録される(ステップS119)。
他方、ステップS104aの判定の結果、情報記録再生装置による追記が、L0層において行われていない場合、即ち、L1層において行われている場合(ステップS104a:No)について説明する。この場合、より具体的には、図15におけるステップS102−1及びS102−2にも示されるように、L1層において、データ等の情報の追記が外周側から内周側へ向かって行われる。
続いて、前述したステップS110のように、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される。但し、L1層におけるボーダークローズ処理は、このステップS110の判定処理が省略されて、無条件に、ステップS113に進んでもよい。より具体的には、図15におけるステップS113−1にも示されるように、L1層において、半径方向の長さが0.1mmの通常のボーダーアウト105c−1がL1層に記録されるようにしてもよい。
続いて、前述したステップS114のように、前回記録した通常のボーダーアウトの直後のボーダーイン105b−1が記録される(ステップS114)。より具体的には、図15におけるステップS114−1に示されるように、例えば、ステップS116においてL0層に記録された層間ボーダーアウト107a−0の直上に位置するL1層の空き領域にボーダーイン105b−1が記録される。但し、ボーダークローズ処理がL0層において、1度も行なわれずに、最初のボーダークローズ処理がL1層において行われる場合、ボーダーイン105b−0は、リードインエリアにおいて記録されるようにしてもよい。
他方、ステップS101の判定の結果、追記が行われない場合(ステップS101:No)、及び、ステップS103の判定の結果、光ディスクが排出される場合(ステップS103:Yes)、一連の追記処理、或いはボーダークローズ処理は終了する。
次に、前述した図2及び図3を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の作用効果について検討を加える。図2に示されるように、前述したように、2層型光ディスクは、1層型光ディスクと同様に、L0層とL1層とにおいて、論理ブロックアドレス(LBA:Logical Block Address)は連続している。したがって、ボーダーゾーン105−1に含まれるボーダーアウト105a−1又は105c−1がL0層及びL1層を跨って記録される場合、L0層に記録する条件と同様にして、L1層に記録されることが可能となる。
しかしながら、この場合、例えばオポジット方式においては、L1層にミドルエリアが既に緩衝用エリアとして配置されているため、本来の緩衝用エリアの役目を果たすボーダーアウト105a−1又は105c−1並びにボーダーイン105b−1を備えて構成されているボーダーゾーンは、L1層では不必要となってしまう。より具体的には、例えば、ボーダーゾーン105−0(105−1)がL0層(図2中、ボーダーアウト105c−0を参照)及びL1層(図2中、ボーダーアウト105c−1を参照)を跨って記録された場合、このボーダーゾーン105−1は、既に、ミドルエリア104−1が緩衝用エリアとして存在するため、不必要となってしまう。
一方、パラレル方式においても、図3に示されるように、ボーダーゾーン105−1がL0層及びL1層を跨って記録される場合、L1層にリードインエリア101−1が既に緩衝用エリアとして配置されているため、本来の緩衝用エリアの役目を果たすボーダーゾーン105−1は、L1層では不必要となってしまう。より具体的には、例えば、ボーダーゾーン105−0(105−1)がL0層(図3中、ボーダーアウト105c−0を参照)及びL1層(図3中、ボーダーアウト105c−1を参照)を跨って記録された場合、このボーダーアウト105c−1及びボーダーイン105b−1を備えて構成されているボーダーゾーン105−1は、既に、リードインエリア101−1が緩衝用エリアとして存在するため、不必要となってしまう。このように、ボーダーアウト105a−1又は105c−1がL0層及びL1層を跨って記録される場合、L1層におけるボーダーアウト105a−1又は105c−1は、冗長的な緩衝用エリアとして機能し、不必要となってしまう。それにも関わらず光ディスクの記録容量を浪費し、さらにボーダークローズ処理にかかる時間を長くさせてしまう。これに対して、図1から図15を参照して説明した本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置によれば、ボーダーアウト105a−1又は105c−1がL0層及びL1層を跨って記録される場合、通常のボーダーアウトと比べて小さな記録容量の層間ボーダーアウトをL0層に記録し、L1層にはボーダーアウト105a−1又は105c−1が記録されるのを効率的に又は完全に防止することで、L1層におけるボーダーアウト105a−1又は105c−1が、冗長的な緩衝用エリアとして機能するのを効率的に又は完全に防止することが可能となる。よって、光ディスクの記録容量の浪費を防止することができると共に、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。
更に、第1実施例では、例えば、L0層における、ミドルエリア又はリードインエリア等の緩衝用エリア内に、層間ボーダーアウトは記録されることはなく、緩衝用エリアのデータ構造は変更されないので、既存の情報記録再生装置における再生動作を安定させることができる。
(情報記録再生装置による記録動作の流れ―第2実施例―)
次に、図16から図18に加えて図11を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置における光ディスクの記録動作の流れについて詳細に説明する。ここに、図16は本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置における光ディスクの記録動作の流れを示したフローチャート図である。本発明の情報記録装置の第2実施例の基本構成及び動作及び該情報記録装置の記録対象となる情報記録媒体のデータ構造等は、図1から図15を参照して説明した第1実施例と概ね同様である。尚、図16中、「X」等の変数及び定数は、前述した図10と同様であり、「N」は定数である。また、図16において、第1実施例を示した図10と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。また、図17は、図16のステップS202に対応した、L0層のデータエリアの空き容量「X」が「N」以上且つ「M」未満である場合のL0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、内外周側の位置関係は図12と同様である。図18は、図16のステップS110からS114に対応した、L0層のデータエリアの空き容量「X」が「N」未満である場合に、通常のボーダークローズ処理を、層をまたいで行った時の、L0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、内外周側の位置関係は図12と同様である。
図16において、ステップS101からステップS108については、前述した図10で説明した第1実施例と同様である。次に、前述した第1実施例と同様に、ステップS109の判定の結果、空き容量「X」が定数「L」より小さい場合(ステップS109:No)、更に、空き容量「X」が定数「M」(例えば、「M」=「43」ECCブロック)以上であるか否かが判定される(ステップS115)。ここで、空き容量「X」が定数「M」以上でない場合(ステップS115:No)、更に、空き容量「X」が本発明に係る「第3閾値」の一例を構成する定数「N」(例えば、「5」ECCブロック)以上で且つ、定数「M」より小さいか否かが判定される(ステップS201)。ここで、空き容量「X」が定数「N」以上で且つ、定数「M」より小さい場合(ステップS201:Yes)、空き容量「X」が定数「M」より小さく且つ定数「N」以上なので、「M」ECCブロックの記録容量の層間ボーダーアウト(図11(b)を参照)がL0層のデータエリア及びミドルエリアにおいて記録される。具体的には、図17で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「M」より小さいので、定数「M」から空き容量「X」を引いた容量「M−X」ECCブロックは、L0層のミドルエリアに食み出して記録され、「X」ECCブロックは、データエリアに記録される(ステップS202)。より具体的には、「N」ECCブロックは、データエリアに記録されるのが好ましく、L0層の空き容量「X」が定数「N」と等しい場合、容量「M−N」ECCブロックはミドルエリアに食み出して記録される。尚、食み出した部分のデータ属性はミドルエリアと同じである。
他方、空き容量「X」が定数「N」以上で且つ、定数「M」より小さくない場合(ステップS201:No)、空き容量「X」は、定数「N」より小さいので、第1実施例と同様にして、通常のボーダークローズ処理であるステップS110からステップS114までの処理がなされる。但し、ステップS111及びステップS113においては、より具体的には、図18で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「N」より小さいので、通常のボーダーアウト(図11(a)を参照:L=「2938」又は「602」ECCブロック)がL0層及びL1層を跨って記録される。
以上のように、第2実施例では、例えば、層間ボーダーアウトの構成要素のうち少なくとも最新のRMD等の記録管理用のデータは、例えば、L0層のデータエリア内に記録され、例えば、ネクストボーダーマーカー及び緩衝用データは、例えば、L0層のミドルエリア又はリードアウトエリア等の緩衝用エリアに記録される。このように、少なくとも記録管理用のデータが、L0層のデータエリア内に記録されることで、情報記録装置によって光ディスクに記録された情報の信頼性を向上させるという利点がある。
(情報記録再生装置による記録動作の流れ―第3実施例―)
次に図19及び図20に加えて図11を適宜参照して、本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置における光ディスクの記録動作の流れについて詳細に説明する。ここに、図19は本発明の情報記録装置の第3実施例に係る情報記録再生装置における光ディスクの記録動作の流れを示したフローチャート図である。本発明の情報記録装置の第3実施例の基本構成及び動作及び該情報記録装置の記録対象となる情報記録媒体のデータ構造等は、図1から図15を参照して説明した第1実施例と概ね同様である。尚、図19中、「X」等の変数及び定数は、前述した図10と同様である。また、図19において、第1実施例を示した図10と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。また、図20は、図19のステップS301に対応した、L0層のデータエリアの空き容量「X」が「M」以上且つ「N」未満である場合のL0層及びL1層の記録領域を示した図式的概念図である。尚、内外周側の位置関係は図12と同様である。
図19において、ステップS101からステップS108については、前述した図10で説明した第1実施例と同様である。次に、前述した第1実施例と同様に、ステップS109の判定の結果、空き容量「X」が定数「L」より小さい場合(ステップS109:No)、更に、空き容量「X」が定数「M」(例えば、「M」=「43」ECCブロック)以上であるか否かが判定される(ステップS115)。ここで、空き容量「X」が定数「M」以上でない場合(ステップS115:No)、空き容量「X」が定数「M」より小さいので、「M」ECCブロックの記録容量の層間ボーダーアウト(図11(b)を参照)がL0層のデータエリア及びミドルエリアにおいて記録される。具体的には、図20で示されるように、L0層の空き容量「X」が定数「M」より小さいので、定数「M」から空き容量「X」を引いた容量「M−X」ECCブロックは、L0層のミドルエリアに食み出して記録され、「X」ECCブロックは、データエリアに記録される(ステップS301)。より具体的には、仮に、L0層の空き容量「X」が「0」ECCブロックと殆ど又は完全に等しい場合、容量「M」ECCブロックはミドルエリアに全て食み出して記録される。尚、食み出した部分のデータ属性はミドルエリアと同じである。
以上のように、第1及び第2実施例を更に改良した第3実施例によれば、例えば、ボーダーアウト等の境界情報が一の記録層及び他の記録層を跨って記録される場合、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報の緩衝用エリアとしての機能の冗長性を、殆ど又は完全に防止することが可能となる。具体的には、第1及び第2実施例においては、例えば、L0層のデータエリア内における空き容量が、例えば、層間ボーダーアウト等の第2境界情報の記録容量の最小値、又は、層間ボーダーアウトの構成要素のうち最新のRMD等の記録管理情報より小さくなると、例えば、「2938」又は「602」ECCブロックの最大の記録容量の通常のボーダーアウトを記録しなければならない可能性がある。これに対して、第3実施例によれば、第2境界情報のうち少なくとも最新のRMD等の記録管理情報以外の情報又は第2境界情報の全てが、L0層のミドルエリア等の緩衝用エリアに記録されるが、通常のボーダーアウト等の第1境界情報と比べて小さな記録容量の層間ボーダーアウト等の第2境界情報を一の記録層に記録し、他の記録層にはボーダーアウト等の境界情報が記録されるのを殆ど又は完全に防止することで、他の記録層におけるボーダーアウト等の境界情報の緩衝用エリアとしての機能の冗長性を、殆ど又は完全に防止することが可能となる。よって、光ディスクの記録容量の浪費を大幅に防止することができると共に、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。以上より、最も効率良く無駄なくボーダークローズ処理を行うことが可能となる。
本実施例では、情報記録装置の一具体例として、例えば、2層型DVD−R等の追記型光ディスクの情報記録再生装置について説明したが、本発明は、例えば、2層型DVD−RW等の書き換え型光ディスクの情報記録再生装置に適用可能である。加えて、例えば、3層型等のマルチプルレイヤ型の光ディスクの情報記録再生装置にも適用可能である。更に、ブルーレーザを記録再生に使用する光ディスクのような大容量記録媒体の情報記録再生装置にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
(産業上の利用可能性)
本発明に係る情報記録装置及び方法は、例えば、DVDレコーダ等の情報記録装置に利用可能である。また、例えば民生用或いは業務用の各種コンピュータ機器に搭載される又は各種コンピュータ機器に接続可能な情報記録装置等にも利用可能である。
100…光ディスク、101−0(101−1)…リードインエリア、102−0(102−1)…データゾーン、103−0(103−1又は103−1a)…リードアウトエリア、104−0(104−1)…ミドルエリア、105−0(105−1)…ボーダーゾーン、105a−0(105a−1)…ボーダーアウト(0.5mm用)、105b−0(105b−1)…ボーダーイン、105c−0(105c−1)…ボーダーアウト(0.1mm用)、105d−0…ボーダーRMDエリア、106−0(106−1)…ボーダー(ボーダードエリア)、107a−0…層間ボーダーアウト、300…情報記録再生装置、306…データ入出力制御手段、307…操作制御手段、310…操作ボタン、311…表示パネル、351…スピンドルモータ、352…光ピックアップ、353…信号記録再生手段、354…CPU(ドライブ制御手段)、355…メモリ、LB…レーザ光