JP2006242862A - 熱レンズ分光分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品に位置ずれや振動が生じても分析の感度や精度の低下が生じにくく、且つ、分析前の細かな調整が不要な熱レンズ分光分析装置を提供する。
【解決手段】熱レンズ分光分析装置は、励起光Eの光源であるレーザー発光手段1と、プローブ光Pの光源であるレーザー発光手段2と、励起光E及びプローブ光Pを集光する1つの集光レンズ5と、試料溶液Sを収納する試料セル6と、プローブ光Pを受光する光ファイバ8を有するプローブ光Pの検出手段9と、を備えている。
集光レンズ5の開口数は0.15以下である。また、光ファイバ8が、プローブ光Pのうち熱レンズLにより変化した部分P’のみを受光し、熱レンズLの影響を受けていない部分は受光しないように、光ファイバ8の径が設定されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、微量試料の分析,検出を簡便に行う分析装置等に好適に用いられる熱レンズ分光分析装置に関する。
医療診断に必要な測定を患者近傍で行うベッドサイド診断用の分析(POC(point of care )分析)や、河川や廃棄物中の有害物質の分析を河川や廃棄物処理場等の現場で行うこと(POU( point of use )分析)や、食品の調理,収穫,輸入の各現場における汚染検査等のような、分析・計測が必要とされる現場又は現場の近傍で分析・計測を行うこと(以下、これらを「POC分析等」と総称する)の重要性が注目されている。そして、近年、このようなPOC分析等に適用される検出法や検出装置の開発が重要視されつつある。
このようなPOC分析等に適用される検出法や検出装置においては、低コストで分析が行われることと装置が小型であることが要求される。また、医療診断や環境分析においては、国が定める基準値との比較を精度良く行うために、一般的に高感度且つ高精度な分析が行われることが求められる。
このようなPOC分析等に適した検出法としては、溶液中の色素等の物質が光を吸収して、その緩和過程で発生する熱量を測定する光熱変換分光分析法がある。この光熱変換分光分析法は高感度な濃度測定法として知られており、特に、発生した熱により生じた温度分布による屈折率分布を利用する熱レンズ分光分析法は、透過光量を測定する吸光光度法と比較して、100倍以上高感度であることが知られている(特許文献1〜3及び非特許文献1〜6を参照)。
特開昭60−174933号公報 特開平10−142177号公報 特開平4−369467号公報 Manabu Tokeshi et al.,J. Lumin. Vol.83-84, 261-264, 1999 A. C. Boccara et. al., Appl. Phys. Lett.36, 130,1980 J. Liquid Chromatography 12,2575-2585 (1989) M. Harada et. al.,ぶんせきNo.4,280-284,1997 Anal. Chem. Vol.65,2938-2940,1993 川西他,日本分析化学会第44年会講演要旨集,p119,1995
POC分析等においては、分析を行う現場に分析装置を運搬する必要があるため、運搬時に振動を受けて分析装置の部品に位置ずれが生じるおそれがあった。そのため、分析の感度や精度が低下するおそれがあった。また、分析を行う現場では分析装置に振動等が生じやすく、分析に悪影響が及ぶことが多かった。さらに、現場において分析が簡便に行えることが好ましいので、分析前の分析装置の細かな調整が不要であることが求められていた。
そこで、本発明は上記のような従来の熱レンズ分光分析装置が有する問題点を解決し、部品に位置ずれや振動が生じても分析の感度や精度の低下が生じにくく、且つ、分析前の細かな調整が不要な熱レンズ分光分析装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の熱レンズ分光分析装置は、励起光の入射によって試料に生じた熱レンズにプローブ光を入射し、その際の前記プローブ光の前記熱レンズによる変化に基づいて前記試料の分析を行う熱レンズ分光分析装置であって、前記励起光を前記試料に集光する励起光集光用光学素子と、前記プローブ光を前記熱レンズに集光するプローブ光集光用光学素子と、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光し検出する検出手段と、を備えるとともに、以下の3つの条件を満足することを特徴とする。
(1)前記励起光集光用光学素子は、光線束の最大錐角の半角の正弦が0.15以下となるように前記励起光を集光するものである。
(2)前記プローブ光集光用光学素子は、光線束の最大錐角の半角の正弦が0.15以下となるように前記プローブ光を集光するものである。
(3)前記検出手段の受光部が、前記プローブ光のうち前記熱レンズにより変化した部分のみを受光し、前記熱レンズの影響を受けていない部分は受光しないように、前記受光部の大きさが設定されている。
なお、ここで言う「光線束の最大錐角の半角」とは、レンズ等の集光用光学素子によりレーザー等の光を集光した際に形成される結像部(理想的な焦点位置)を頂点とする光線束の円錐の頂角の半分の値を意味する。集光のためにレンズを用いた場合は、この光線束の最大錐角の半角をθとすると、NA(開口数)≡sinθ(媒質が空気の場合) が成り立つ。
ここで、前記3つの条件のうち(1)及び(2)の条件について説明する。励起光及びプローブ光は、光線束の最大錐角の半角の正弦が0.15以下となるように集光されており、絞られ方があまり強くないので、光路に沿う方向の位置ずれや同方向の振動が部品(例えば検出手段の受光部)に生じても、熱レンズ信号の変動の程度が小さく、分析の感度や精度の低下が小さい。また、熱ひずみや運搬時の振動等により前記方向の位置ずれが部品に生じていたとしても、分析の感度や精度の低下が小さいので、分析現場において分析前に熱レンズ分光分析装置を細かく調整する必要がない。
励起光及びプローブ光の絞られ方を好ましい程度とするためには、前述の最大錐角の半角の正弦を0.15以下、すなわち励起光集光用光学素子及びプローブ光集光用光学素子の開口数を0.15以下とする必要があり、前述の最大錐角の半角の正弦を0.1以下、すなわち励起光集光用光学素子及びプローブ光集光用光学素子の開口数を0.1以下とすることがより好ましい。
次に、(3)の条件について説明する。試料と受光部との間の距離に応じて受光部の大きさが設定されていて、受光部が、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分のみを受光し、熱レンズの影響を受けていない部分は受光しないようになっているので、本発明の熱レンズ分光分析装置は十分な分析感度を有している。
また、本発明に係る請求項2の熱レンズ分光分析装置は、請求項1に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記プローブ光の焦点位置と前記受光部との間の距離T、及び、前記受光部の径Dが、下記式を満足することを特徴とする。
T≧125000×(前記励起光又は前記プローブ光の光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+2×(前記受光部の許容位置ずれ量)〕/〔250+2×(前記受光部の許容位置ずれ量)〕
なお、T,D,及び前記受光部の許容位置ずれ量の単位はμmである。
さらに、本発明に係る請求項3の熱レンズ分光分析装置は、請求項1に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記プローブ光の焦点位置と前記受光部との間の距離T、及び、前記受光部の径Dが、下記式を満足することを特徴とする。
T≧(前記励起光又は前記プローブ光の光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+40〕×400
なお、T及びDの単位はμmである。
このように、試料と検出手段の受光部とが所定距離離れているので(本発明においては「試料と検出手段の受光部との間の距離」から「励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離」を差し引いた「プローブ光の焦点位置と受光部との間の距離」であるが、実質的に且つ考え方としてはほぼ同義であるため、以降においてもこの表現を用いる場合がある)、光路に直交する方向の位置ずれや同方向の振動が部品(例えば検出手段の受光部)に生じても、熱レンズ信号の変動の程度が小さく、分析の感度や精度の低下が小さい。このように、分析を行う現場で振動等の影響を受けにくいので、POC分析等に好適である。また、熱ひずみや運搬時の振動等により前記方向の位置ずれが部品に生じていたとしても、分析の感度や精度の低下が小さいので、分析現場において分析前に熱レンズ分光分析装置を細かく調整する必要がない。
受光部の許容位置ずれ量、すなわち、分析に対してほとんど悪影響が生じないような受光部の位置ずれ量(光路に直交する方向の位置ずれ量)は、望ましくは±20μmである。よって、請求項2に記載の式の「受光部の許容位置ずれ量」に20を代入して得られる請求項3に記載の式を満足することがより好ましい。
なお、受光部の形状がどのような形状であっても熱レンズ信号の検出は可能であるが、熱レンズが近似的にガウシアン的な分布をすると想定できるため、受光部の面積が同一であっても形状が異なると検出される熱レンズ信号は必ずしも同一ではない。レーザー等からなるプローブ光の断面形状は円形又は楕円形であり、その結果、熱レンズの分布も基本的に円形又は楕円形と考えられるので、受光部の形状についても円形又は楕円形が好ましい。ただし、四角形等の他の形状でも差し支えなく、その場合は、その形状に応じて上記式の「D」の値を補正する必要がある。
さらに、本発明に係る請求項4の熱レンズ分光分析装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記励起光の焦点位置と前記プローブ光の焦点位置とが所定距離離れており、且つ、前記プローブ光の焦点位置が前記励起光の焦点位置よりも前記受光部に近い位置に存在することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5の熱レンズ分光分析装置は、請求項4に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記励起光の焦点位置と前記プローブ光の焦点位置との間の距離が100μm以上であることを特徴とする。
励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置とをある程度離すことにより、十分な分析感度を有していると同時に、光路に沿う方向の位置ずれや同方向の振動が部品に生じても、分析の感度や精度の低下が小さいことを実現した。そして、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離を100μm以上とすれば、十分な分析感度を有しているとともに、前述の位置ずれや振動による分析の感度や精度の低下が特に生じにくい。励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離が100μm未満であると、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の割合が大きすぎるため、熱レンズにより変化した部分の形状が歪んで分析に支障が生じるだけでなく、後述する励起光とプローブ光との光軸のズレに対する耐性の低下の度合いが高まる。なお、このような不都合がより生じにくくするためには、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離を200μm以上とすることがより好ましい。
さらに、本発明に係る請求項6の熱レンズ分光分析装置は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記励起光集光用光学素子と前記プローブ光集光用光学素子とが同一の光学素子であることを特徴とする。
このような構成であれば、部品点数を減らすことになるから、コストや小型化の点でも好ましい。
さらに、本発明に係る請求項7の熱レンズ分光分析装置は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記検出手段の受光部の中心部分が、前記励起光の焦点位置と前記プローブ光の焦点位置とを結ぶ線の延長線上に位置することを特徴とする。
熱レンズ分光分析装置の製造時の組み立て精度等の影響により、同一の光学素子により集光されたとしても励起光の光軸とプローブ光の光軸とがずれることがあり、その場合には、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分は、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置とを結ぶ線の延長線上に位置することになる。よって、検出手段の受光部の中心部分を前記延長線上に配すれば、熱レンズ分光分析装置の感度を高めることができる。
本発明の熱レンズ分光分析装置は、部品に位置ずれや振動が生じても分析の感度や精度の低下が生じにくい。また、分析前の細かな調整が不要である。
図1は、本発明の一実施形態である熱レンズ分光分析装置の構成を説明する構成図である。図1の熱レンズ分光分析装置は、励起光Eの光源であるレーザー発光手段1(波長は約635nm)と、プローブ光Pの光源であるレーザー発光手段2(波長は約780nm)と、励起光E及びプローブ光Pを集光する1つの集光レンズ5(本発明の構成要件である励起光集光用光学素子とプローブ光集光用光学素子とに相当する)と、試料溶液Sを収納する試料セル6と、プローブ光Pを受光する光ファイバ8(本発明の構成要件である受光部に相当する)を有するプローブ光Pの検出手段9と、を備えている。なお、光ファイバ8の端面がプローブ光Pを受光するので、光ファイバ8の径が絞りに相当することになる。
このような熱レンズ分光分析装置においては、励起光Eがレーザー発光手段1から出力されるとともに、プローブ光Pがレーザー発光手段2から出力され、プローブ光Pが反射板3で反射されてビームスプリッタ4に入射される。そして、ビームスプリッタ4において励起光Eとプローブ光Pとが同軸とされ、集光レンズ5に導かれる。この集光レンズ5によって絞られた励起光Eは試料溶液Sに集光され、これにより図示しない熱レンズが形成される。そして、集光レンズ5によって絞られたプローブ光Pは前記熱レンズに向かって集光され、熱レンズ効果により発散又は集光される。
試料セル6を透過した励起光E及びプローブ光Pは、励起光カットフィルタ7により励起光Eのみが除去され、熱レンズを透過したプローブ光Pのみが前記径に応じて光ファイバ8に受光される。そして、受光されたプローブ光Pは、光ファイバ8により検出手段9に導かれて、そのレーザーパワーが測定される。
試料セル6に試料溶液Sが収納されている場合と収納されていない場合とにおいて、それぞれ測定を行い、検出手段9の検出値の差を熱レンズ信号とすればよい。この熱レンズ信号は、熱レンズの度、すなわち試料溶液Sの濃度に比例する。通常は、励起光Eに対し変調を掛け、その変調周波数に応じたプローブ光Pの変動のみをロックインアンプ等を用いて取り出すことで、より精度の高い結果を得ることができる。
一般的に、熱レンズ信号の感度は、励起光及びプローブ光の絞られ方が強いほど向上することが知られているが、絞られ方が強いと、光源,集光レンズ,光ファイバ等の部品の位置ずれや振動の影響を受けて分析の感度や精度が容易に低下する傾向があるだけでなく、測定部位への部品の位置合わせ等の調整もより難しくなる。一方、POC分析等においては分析を行う現場に熱レンズ分光分析装置を運搬する必要があり、運搬時に振動を受けて熱レンズ分光分析装置の部品に位置ずれが生じるおそれがある。また、分析時に分析環境に起因する振動を受ける場合がある。よって、部品の位置ずれや振動による悪影響が生じにくい性能が、熱レンズ分光分析装置には求められる。
本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、集光レンズ5の開口数が0.15以下であり、励起光E及びプローブ光Pの絞られ方があまり強くないので、光路に沿う方向の位置ずれや同方向の振動が集光レンズ5,光ファイバ8等の部品に生じても、熱レンズ信号の変動の程度が小さく、分析の感度や精度の低下が小さい(以降の説明においては、図2も併せて参照)。また、運搬時の振動等により前記方向の位置ずれが部品に生じていたとしても、分析の感度や精度の低下が小さいので、分析現場において分析前に熱レンズ分光分析装置を細かく調整する必要がない。
なお、2つの集光レンズを設けて、励起光Eとプローブ光Pとをそれぞれ別の集光レンズで集光する構成とすることもできる。また、集光レンズ5の代わりに凹型反射鏡等の他種の光学素子を用いて励起光E及びプローブ光Pを絞ってもよい。
さらに、試料溶液Sと光ファイバ8の受光面8aとの間の距離に応じて受光面8aの大きさ(光ファイバ8の径)が設定されていて、光ファイバ8の受光面8aが、プローブ光Pのうち熱レンズLにより変化した部分P’のみを受光し、熱レンズLの影響を受けていない部分は受光しないようになっているので(すなわち、光ファイバ8の受光面8aの大きさが、プローブ光Pのうち熱レンズLにより変化した部分P’よりも小さいか又は同一)、熱レンズ分光分析装置は十分な分析感度を有している。光ファイバ8の受光面8aが大きすぎると、プローブ光Pのうち熱レンズLの影響を受けていない部分も受光してしまうので、その影響を受けて熱レンズ信号の強度が小さくなる。
さらに、本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、プローブ光Pの焦点位置と光ファイバ8の受光面8a(光ファイバ8の端面)との間の距離T、及び、光ファイバ8の径Dが、下記式を満足している(T及びDの単位はμmである)。
T≧(励起光E及びプローブ光Pの光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+40〕×400
よって、光路に直交する方向の位置ずれや同方向の振動が部品に生じても、熱レンズ信号の変動の程度が小さく、分析の感度や精度の低下が小さい。また、運搬時の振動等により前記方向の位置ずれが部品に生じていたとしても、分析の感度や精度の低下が小さいので、分析現場において分析前に熱レンズ分光分析装置を細かく調整する必要がない。
さらに、本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、励起光Eの焦点位置とプローブ光Pの焦点位置との間の距離が200μm以上とされており(例えば300μmや500μm)、両焦点位置がある程度離れているので、プローブ光Pのうち熱レンズLにより変化した部分P’が形成する光線束の最大錐角が、プローブ光P全体が形成する光線束の最大錐角と比べて小さい。その結果、光路に沿う方向の位置ずれや同方向の振動が部品に生じても、プローブ光Pのうち熱レンズLにより変化した部分P’の断面積の変動が小さく、分析の感度や精度の低下が小さい。また、励起光Eの焦点位置とプローブ光Pの焦点位置との間の距離が前記範囲であれば、十分な分析感度を保つことが可能である。
なお、励起光Eの焦点位置とプローブ光Pの焦点位置との間の距離を調整するために、集光レンズ5の色収差を利用することも可能であるが、励起光E及びプローブ光Pのいずれか一方又は両方の光路上にビームエクスパンダー等を設置して、各焦点位置を独立して調整可能とした方が、両焦点位置間の距離をより高い精度で調整することができる。
さらに、本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、プローブ光Pの焦点位置が励起光Eの焦点位置よりも光ファイバ8の受光面8aに近い位置に存在する。そのため、熱レンズ信号が安定している。両焦点位置が同位置に存在したり、前述の場合とは逆に励起光Eの焦点位置がプローブ光Pの焦点位置よりも光ファイバ8の受光面8aに近い位置に存在したりすると、熱レンズ信号分布にムラや歪みが観測されることがあり、分析に不具合が生じる場合がある。
さらに、本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、光ファイバ8の受光面8aの中心部分が、同一の集光レンズ5で集光された励起光E及びプローブ光Pの焦点同士を結ぶ線の延長線上に位置するように、光ファイバ8が配置されている。これにより、調整不足等によって励起光Eとプローブ光Pとの光軸のズレが生じていたとしても、プローブ光Pのうち熱レンズLにより変化した部分P’を効率良く受光できるため、熱レンズ分光分析装置の感度が高められている。
以上説明したような構成を有することから、本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、光路に沿う方向及び光路に直交する方向の位置ずれや同方向の振動が部品に生じても、熱レンズ信号の変動の程度が小さく、分析の感度や精度の低下が小さい。しかも、本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、必要な感度を有している。よって、POC分析等に好適である。なお、前述の必要な感度とは、集光レンズ5の開口数、励起光Eの焦点位置とプローブ光Pの焦点位置との間の距離、試料溶液Sと光ファイバ8の受光面8a(光ファイバ8の端面)との間の距離、及び、光ファイバ8の受光面8aの大きさを、熱レンズ信号が最大値となるように設定した場合に得られる熱レンズ信号を最大熱レンズ信号値とすると、この最大熱レンズ信号値の80%以上の値が得られる感度を意味する。
以下に集光レンズ5以外の各部品について説明する。
励起光Eの光源であるレーザー発光手段1として用いられるレーザーの種類は特に限定されるものではなく、ガスレーザー,固体レーザー等を問題なく用いることができるが、安価且つ小型であることから半導体レーザーが望ましい。ただし、半導体レーザーを用いる場合には、各光学部品からの反射光が再び励起光Eの光源に入射すると出力変化によるノイズとなるので、半導体レーザーに高周波重畳をかけるか、又は、偏光依存ビームスプリッタと4分の1波長板との組み合わせによる光アイソレータを組み込むことが望ましい。
なお、レーザーではないが、熱レンズ測定において十分な感度を実現できるならば、発光ダイオード(LED)を励起光Eの光源として用いることもできる。特に、高出力化が進んでいる広い波長領域を備える白色光LEDに複数のフィルターを組み合わせることにより、複数の波長の光が励起光として使用可能となり、従来単一波長のレーザーでは不可能であった熱レンズによる吸収スペクトラムの測定が可能となる。
また、プローブ光Pの光源であるレーザー発光手段2として用いられるレーザーの種類も特に限定されるものではなく、励起光Eと波長が異なるものであれば、レーザー発光手段1と同様のレーザーを用いることができる。また、発光ダイオードをプローブ光Pの光源として用いることもできる。
さらに、反射板3はプローブ光Pをビームスプリッタ4に導くためのものであり、プローブ光Pの波長において十分な反射率を有するものであれば問題なく用いることができる。ただし、100%に近い反射率であることが望ましい。
さらに、ビームスプリッタ4は、励起光Eとプローブ光Pとを同軸にするためのものであり、プローブ光Pに対して反射率が十分高く、励起光Eに対して透過率が十分高いものであればよい。ただし、プローブ光Pに対して100%に近い反射率を有し、励起光Eに対して100%に近い透過率を有することが好ましい。例えば、励起光とプローブ光との波長が異なることを利用するもの、励起光とプローブ光との偏光面が異なることを利用するものなどがあげられる。なお、図1におけるレーザー発光手段1とレーザー発光手段2の配置を入れ替えても差し支えない。その場合は、反射板3及びビームスプリッタ4の特性も、両レーザー発光手段1,2の配置に応じて変更する必要があることは言うまでもない。
さらに、試料セル6は、測定する試料溶液Sを収納するためのものである。試料セル6の素材は、励起光E及びプローブ光Pに対して透明であれば特に限定されるものではないが、励起光E及びプローブ光Pの透過率がなるべく高いことが望ましい。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリカーボネート(PC),ポリスチレン(PS),シクロオレフィン系樹脂等の樹脂材料やガラスなどがあげられる。また、試料セル6の形状も特に限定されるものではないが、励起光E及びプローブ光Pが入射し透過する位置に平坦面が存在することが好ましい。なお、試料セル6のうち励起光E及びプローブ光Pが入射し透過する部分が、励起光E及びプローブ光Pに対して透明であればよいので、他の部分は前述の素材以外のもので構成されていてもよい。
さらに、励起光カットフィルター7としては、励起光Eを十分に除去できるものであれば問題なく使用することができるが、光学濃度が5以上であるものが好ましい。例えば、色ガラスフィルター,干渉フィルター等があげられる。なお、本実施形態においては、励起光カットフィルター7は光ファイバ8と一体とされているが、別体であっても差し支えない。
さらに、光ファイバ8の種類は、プローブ光の波長を持つレーザー光を導波するものであれば特に限定されるものではなく、SI(Step Index)型,GI(Graded Index)型等を用いることができる。また、導波モードは、シングルモード及びマルチモードのいずれでも差し支えない。ただし、曲げに対する許容度が要求される場合には、その許容度が高いことからマルチモードが好ましい。光ファイバ8の材質も特に限定されるものではなく、樹脂製,ガラス製など、いずれも問題なく用いることができる。低コスト化が可能であるという点を考えると、マルチモード導波型のプラスチック製光ファイバが最も好ましい。
検出手段9の種類は、プローブ光Pに対して十分な感度を有していれば特に限定されるものではなく、例えばフォトダイオード等があげられる。なお、本実施形態においては、検出手段9は光ファイバ8と一体とされているが、別体であっても差し支えない。また、光ファイバ8の代わりに、所定の開口径を有する絞りをフォトダイオード等の検出手段9に取り付けて、この絞りから検出手段9がプローブ光Pを直接受光するような構成としてもよい。このとき、絞りの開口径が、光ファイバ8の受光面8aの大きさに相当する。
次に、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離、試料とプローブ光の受光部との間の距離、及び、励起光とプローブ光との光軸のズレについて、さらに詳細に説明する。
〔励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離について〕
両焦点位置間の距離と熱レンズ信号の強度との関係を、図3のグラフに示す。このグラフから、両焦点位置間の距離が200μm以上であっても、熱レンズ信号の強度(熱レンズ信号の総和)が高く、分析感度が十分であることが分かる。両焦点位置間の距離が200μm未満の場合は、前述したように、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の割合が大きすぎるため、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の形状が歪むなどして分析に支障が生じるとともに、励起光とプローブ光との光軸のズレに対する耐性の低下の度合いが高まる。
また、両焦点位置間の距離が小さいほど、熱レンズ信号の強度(感度)が高く、両焦点位置間の距離が大きいほど、両焦点位置間の距離が変動しても熱レンズ信号の強度に変動が生じにくい(両焦点位置間の距離が大きくなるにしたがって曲線の傾斜が緩やかになるため)ことが分かる。
なお、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離と、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の大きさ(熱レンズ信号の平均半値幅)と、の関係を示した図4のグラフから分かるように、両焦点位置間の距離が小さいほど、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分(熱レンズ信号の平均半値幅)が大きくなる。よって、両焦点位置間の距離が小さいほど、光ファイバ(受光部)の光路に直交する方向の位置ずれに対する許容誤差が大きくなる傾向がある。ただし、両焦点位置間の距離が小さ過ぎると、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の歪みや、励起光とプローブ光との光軸のズレの影響を受けやすいことは前述の通りである。また、両焦点位置間の距離が大きいほど、熱レンズ形成の中心領域となる励起光の焦点位置におけるプローブ光の光径は大きくなるので、両光の光軸のズレに対する許容誤差が大きくなる傾向がある。
また、図5から分かるように、両焦点位置間の距離が大きいほど、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の広がり角度(図5では、該部分の光線束の最大錐角の半角の正接(tanθ)を示している)が小さくなる。よって、両焦点位置間の距離が大きいほど、光ファイバ(受光部)の光路に沿う方向の位置ずれに対する許容誤差が大きくなる傾向がある。
励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離をある距離以下に短くした際に、熱レンズ信号が乱れる現象が観測されることがある。この現象はレーザーの共焦点範囲に関係していると思われるので、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離を、使用するレーザーの共焦点長に応じて設定することが必要である。前述の現象が観測されないための最小の距離は、高信号値を得ることも考えるならば、共焦点長の2倍の距離とすることが好ましく、共焦点長の3倍の距離とすることがより好ましい。
例えば、熱レンズ分光分析装置で用いられることが多く、本実施形態においても用いた635nm程度の波長のレーザーは、開口数が0.1の場合には、共焦点長は約75μmとなる。よって、共焦点長の2倍の距離とするのであれば150μm程度、3倍の距離とするのであれば225μm程度であり、本実施形態での値(200μm)に近い値となる。開口数が0.15の場合には、それぞれ60μm程度、100μm程度となる。
また、近年開発が進んできた紫外領域に近い350nmの波長のレーザーであれば、開口数が0.1の場合には、共焦点長は40μm程度である。よって、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離を100μm程度とすればよい。以上のように、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離は、100μm以上とすることが好ましく、200μm以上とすることがより好ましい。
〔試料とプローブ光の受光部との間の距離について〕
試料とプローブ光の受光部との間の距離と、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の大きさ(熱レンズ信号の平均半値幅)と、の関係を図4のグラフに示す。このグラフから、試料とプローブ光の受光部との間の距離が大きい方が、熱レンズ信号の平均半値幅が大きいことが分かる。よって、試料とプローブ光の受光部との間の距離が大きい方が、光路に直交する方向の位置ずれが光ファイバ(受光部)に生じても、分析の感度や精度の低下が小さいことが分かる。
より具体的に説明すると、熱レンズ信号の平均半値幅は、試料とプローブ光の受光部との間の距離に比例することが図4から分かるため、後述の具体例に記載した値を基に考えると、光ファイバの許容位置ずれ量(光路に直交する方向の位置ずれ量)を十分実現可能な±20μmとすれば、試料から12.5mm離れた位置においては光ファイバの直径は250μmでもよいことが分かる。試料とプローブ光の受光部との間の距離がこれ以下である場合でも、光ファイバの許容位置ずれ量が一定値であるため比例はせず、プローブ光の焦点位置と受光部との間の距離Tと受光部の径Dとの間には、T≧(D+40)×40が成り立つ。なお、開口数は0.1であり、T及びDの単位はともにμmである。
開口数が0.2以下の場合は、tanθの値は開口数にほぼ比例するため、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の広がり角度も同じく開口数(すなわち光線束の最大錐角の半角の正弦)に比例することになる。よって、上式は以下のようになる。
T≧(光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+40〕×400
そして、より一般的には以下のようになる。なお、いずれの式においても、T及びDの単位はともにμmである。
T≧125000×(前記励起光又は前記プローブ光の光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+2×(前記受光部の許容位置ずれ量)〕/〔250+2×(前記受光部の許容位置ずれ量)〕
この範囲であれば、光ファイバ等の受光部の位置ずれを許容できることになる。受光部をピンホール状とし、受光部の大きさをさらに小さくすれば、試料と受光部との間の距離を小さくできることになるが、実際にはサンプルの厚さ等の制限を受けることは言うまでもない。
〔励起光とプローブ光との光軸のズレについて〕
励起光とプローブ光との光軸のズレは、小さい方が好ましい。図6のグラフから分かるように、プローブ光の光径に対するズレ量の比率(%)が小さいほど、熱レンズ信号の強度が高い。これは、光軸のズレが大きいと、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分が円形状にならず歪むためと考えられる。
しかし、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置とを所定距離離すこと、及び、受光部の中心部分を励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置とを結ぶ線の延長線上に配置することにより、光軸のズレの悪影響を最小限に抑えることが可能である。なお、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置とを結ぶ線の延長線上にミラー等を配置してプローブ光の光路を曲げた場合は、両焦点位置を結ぶ線も同様に曲げて、その延長線上に受光部の中心部分を配置すれば、同様の効果が得られることは言うまでもない。
〔具体例〕
ここで、より具体的な例を示して、熱レンズ分光分析装置をさらに詳細に説明する。集光レンズ5の開口数を0.1とし、光軸の位置決め剛性を±0.25μmとすると、熱レンズ信号の変動量が0.5%となるプローブ光と励起光との光軸のズレは0.35%程度であることが図6から分かるので、プローブ光の光径は70μmとなる(70μmの0.35%は0.25μm)。これは、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離が約300μmの場合のスポット径に相当する。
この時、試料から25mm離れた位置の平面上に半値幅約1000μmの熱レンズ信号分布が得られることが図4から分かり、その拡がり角tanθは約0.04となることが図5から分かる。さらに、図5から、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の広がり角度(tanθ)は、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離が大きくなるに従って小さくなり、開口数が0.1の場合は約0.04が最大値であることが分かる。ただし、図5の場合には、励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離の最小値は、熱レンズ信号が安定して得られる200μmとした。
試料から25mm離れた位置の熱レンズ信号を直径500μmの光ファイバで検出する場合に、感度の変動量が0.5%となる光ファイバの許容位置ずれ量(光路に直交する方向の位置ずれ量)は、熱レンズ信号をガウシアン分布とすると±40μmとなり、十分実現可能な値となる。すなわち、この範囲であれば、試料溶液Sと光ファイバ8の受光面8aとの間の距離や集光レンズ5の位置などが数十μm変化したとしても(光路に沿う方向及び光路に直交する方向の位置ずれが生じたとしても)、分析の感度や精度はほとんど低下しない。そして、光路に沿う方向に±5mm程度変化したとしても、最大熱レンズ信号値の80%以上の値が得られる感度を維持できる。
また、集光レンズ5の開口数が0.1、0.15、0.2である場合について、共焦点長を求めると、現在主に用いられ本実施形態でも使用している波長635nmの励起光では、それぞれ約74μm、33μm、18μmとなる。共焦点長はレーザーの波長に比例するため、より短い波長のレーザーを用いる場合、例えば波長が350nm程度であるとすると、共焦点長はそれぞれ上記値の半分強の値となる。振動等による許容位置ずれ量を実現可能な20μm程度と考えるならば、集光レンズの開口数は0.15以下が好ましいことが分かる。
なお、ここでは、濃度5μMのブリリアントグリーン溶液を試料として用いた。実際の測定時の熱レンズのサイズは、厳密には試料の濃度、励起光の変調周波数、セルのサイズ(流路の幅や深さ)等の影響を受けて変化するが、生化学反応用キット等の吸光係数の範囲から見ても、濃度5μMのブリリアントグリーン溶液を標準的な値として採用できると考えられる。本発明における各種パラメータ類の中にはこれを基準に導かれたものもあるが、測定物質の濃度や吸光係数が極端に変化しない限り有効であると考えられ、必要であれば、前述した本発明の考え方に則り各種パラメータを補正して用いればよい。
本発明の熱レンズ分光分析装置の一実施形態を示す構成図である。 実施形態の熱レンズ分光分析装置の要部を説明する模式図である。 励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離と、熱レンズ信号の強度と、の関係を示すグラフである。 励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離と、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の大きさと、の関係を示すグラフである。 励起光の焦点位置とプローブ光の焦点位置との間の距離と、プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分の広がり角度と、の関係を示すグラフである。 励起光及びプローブ光の光軸のズレと熱レンズ信号の強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 レーザー発光手段
2 レーザー発光手段
5 集光レンズ
6 試料セル
8 光ファイバー
8a 受光面
9 検出手段
E 励起光
P プローブ光
P’ プローブ光のうち熱レンズにより変化した部分
L 熱レンズ
S 試料溶液

Claims (7)

  1. 励起光の入射によって試料に生じた熱レンズにプローブ光を入射し、その際の前記プローブ光の前記熱レンズによる変化に基づいて前記試料の分析を行う熱レンズ分光分析装置であって、
    前記励起光を前記試料に集光する励起光集光用光学素子と、前記プローブ光を前記熱レンズに集光するプローブ光集光用光学素子と、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光し検出する検出手段と、を備えるとともに、以下の3つの条件を満足することを特徴とする熱レンズ分光分析装置。
    (1)前記励起光集光用光学素子は、光線束の最大錐角の半角の正弦が0.15以下となるように前記励起光を集光するものである。
    (2)前記プローブ光集光用光学素子は、光線束の最大錐角の半角の正弦が0.15以下となるように前記プローブ光を集光するものである。
    (3)前記検出手段の受光部が、前記プローブ光のうち前記熱レンズにより変化した部分のみを受光し、前記熱レンズの影響を受けていない部分は受光しないように、前記受光部の大きさが設定されている。
  2. 前記プローブ光の焦点位置と前記受光部との間の距離T、及び、前記受光部の径Dが、下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の熱レンズ分光分析装置。
    T≧125000×(前記励起光又は前記プローブ光の光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+2×(前記受光部の許容位置ずれ量)〕/〔250+2×(前記受光部の許容位置ずれ量)〕
    なお、T,D,及び前記受光部の許容位置ずれ量の単位はμmである。
  3. 前記プローブ光の焦点位置と前記受光部との間の距離T、及び、前記受光部の径Dが、下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の熱レンズ分光分析装置。
    T≧(前記励起光又は前記プローブ光の光線束の最大錐角の半角の正弦)×〔D+40〕×400
    なお、T及びDの単位はμmである。
  4. 前記励起光の焦点位置と前記プローブ光の焦点位置とが所定距離離れており、且つ、前記プローブ光の焦点位置が前記励起光の焦点位置よりも前記受光部に近い位置に存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置。
  5. 前記励起光の焦点位置と前記プローブ光の焦点位置との間の距離が100μm以上であることを特徴とする請求項4に記載の熱レンズ分光分析装置。
  6. 前記励起光集光用光学素子と前記プローブ光集光用光学素子とが同一の光学素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置。
  7. 前記受光部の中心部分が、前記励起光の焦点位置と前記プローブ光の焦点位置とを結ぶ線の延長線上に位置することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置。
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