JP2006242629A - 過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 過酢酸と過酸化水素の滴定を単一の白金電極で安定して電位差滴定することを可能とする。
【解決手段】 過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置は、試料をサンプリングし、滴定セルに分注する手段と、緩衝溶液を滴定セルに分注する手段と、試薬を滴定セルに分注する手段とを備える。滴定時の終点検知用の指示電極1として白金電極を使用し、この指示電極1の白金電極部2の表面積を1cm2以上とする。このような白金電極部2の表面積を得るための具体的手段として、指示電極1の白金電極部2を螺旋状、渦巻き状または網状とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、過酢酸と過酸化水素の混合試料溶液について、指示電極として白金電極を使用して電位差滴定法により過酢酸及び過酸化水素を分別滴定する装置に関し、特に試料溶液中の過酸化水素を滴定試薬により還元して滴定する際に発生する酸素ガスの泡による電位差測定の障害を無くし、混合試料溶液中の過酢酸と過酸化水素の双方を確実に電位差滴定することが出来るようにした過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置に関する。
医療、食品業界において、殺菌剤として過酢酸が広く使用されており、例えばペットボトルの洗浄のため、過酢酸がより多く使用されるようになった。過酢酸は、従来最も一般的に使用されている過酸化水素より殺菌力がはるかに優れていおり、次亜塩素酸ナトリウムに比べても取り扱いやすく自然環境に対する負担が小さいという利点がある。
殺菌剤として使用される過酢酸は、過酸化水素と酢酸とから合成されるため、一般に使用される過酢酸溶液は、過酢酸、過酸化水素、酢酸等との混合溶液である。この混合溶液を殺菌剤として使用し、その所期の効果を得るためにはその濃度管理が必要となる。
過酢酸は分解して酢酸と過酸化水素とを生成し、この時発生する酸素によって、漂白殺菌効果が生ずるものと推測されている。一方、過酸化水素(H2O2)は、作用する対象によって、酸化剤または還元剤として作用する。
従来において、過酢酸、過酸化水素および酢酸の混合液中の過酢酸と過酸化水素の濃度を分別測定する手段として、滴定法が使用されている。この滴定法では、緩衝液として硫酸を用いて酸性の状態に保ちながら過マンガン酸カリウム滴定液で過酸化水素を滴定し、定量する。その後、所定の量のヨウ化カリウムを加えてヨウ素を遊離させ、チオ硫酸ナトリウム滴定液でヨウ素を滴定し、このヨウ素の濃度から過酢酸の濃度を定量する。
この滴定法の具体例を説明すると、以下の1〜4のプロセスが基本となる。
1. 試料0.5〜1mLを採取し、緩衝液として硫酸(1+9)10mLを加える
2.0.02mol/L過マンガン酸カリウム滴定液で滴定し、過酸化水素の濃度を定量する。
5H+2MnO−+6H→2Mn2++5O+8HO (1)
3.10% ヨウ化カリウム溶液1mLを加える。
CHCOOOH+2I+2H→I+HO+CHCOOH (2)
4.遊離したヨウ素を0.01mol/L チオ硫酸ナトリウム滴定液で滴定し、このヨウ素の濃度定量値から過酢酸の濃度を定量する。
+2Na→2NaI+Na (3)
このような分別滴定による過酢酸と過酸化水素の濃度の分別定量を連続して自動的に行うためには、指示電極と比較電極を使用した電位差滴定法が最適である。過酢酸と過酸化水素の電位差滴定において双方の滴定に使用出来る指示電極としては白金電極がある。
しかしながら、本件発明者らが実験した結果、白金電極を使用した場合に、前記の滴定プロセスの2.の過酸化水素の滴定の行程において、指示電極が正しく電位を示さないという問題があることが分かった。これは、過酸化水素の滴定の行程において、酸素ガスOの泡が発生し、さらに白金電極の触媒作用により、白金が酸素と反応するためと推定される。
特開2003−294694号公報 特開2001−13102号公報 特表2003−521710号公報
本発明は、前記従来の過酢酸と過酸化水素の分別滴定法及びそれに使用しようとする白金電極が有する課題に鑑み、過酢酸と過酸化水素の滴定を単一の白金電極で安定して電位差滴定することを可能とし、これにより過酢酸と過酸化水素の分別滴定の自動化を容易にすることを目的とする。
本件発明者らは、過酸化水素の滴定の行程において、酸素ガスOの発生に伴う白金指示電極が正確に電位を示さない事態の解消を検討した結果、白金指示電極の表面積を広くとることにより解消出来ることを見いだした。具体的には、白金指示電極の表面積を1cm以上とすることにより、過酢酸と過酸化水素の滴定を単一の白金電極で安定して行うことが可能となるものである。
すなわち、本発明による過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置は、試料をサンプリングし、滴定セルに分注する手段と、緩衝溶液を滴定セルに分注する手段と、試薬を滴定セルに分注する手段とを備え、滴定セル中で試料に含まれる過酸化水素と過酢酸とを分別滴定する装置であって、滴定時の終点検知用の指示電極1として白金電極を使用し、この指示電極1の白金電極部2の表面積を1cm2以上としたものである。
前述したように、白金電極は過酸化水素と過酢酸を滴定する場合に指示電極として共通して使用出来るが、前段の過酸化水素の滴定の行程において発生する酸素ガスOの泡が電位差指示の邪魔になるという問題がある。本件発明者らはこの問題を解決するために幾つかの試験を行いながら検討したところ、指示電極1の白金電極部2の表面積を広くすることで、正しい電位差を指示することが分かった。具体的には白金電極部2の表面積を1cm2以上、さらに望ましくは3cm2以上とすることが必要であることが分かった。このような白金電極部2の表面積を得るための具体的手段として、指示電極1の白金電極部2を螺旋状、渦巻き状または網状とする。
さらに、白金電極部2を有する指示電極1で過酸化水素と過酢酸を含む試料を繰り返し滴定していると、指示電極1の電位がふらつき、電位が正常に安定するまでに時間がかかることが分かった。これについても検討したところ、滴定セルに過マンガン酸カリウム溶液を分注し、この過マンガン酸カリウム溶液で指示電極1の白金電極部2をコンディショニングし、白金電極部2の活性化を図ることで電位のふらつきが無くなり、電位が速く安定することもわかった。
さらにこのような過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置の配管を簡便化するため、緩衝液分注用と試料溶液分注用との分注チューブを共通とすると共に、この分注チューブの容積を試料溶液を分注する容積以上で緩衝液を分注する容積以下とし、この分注チューブに切換弁を介して緩衝液分注源と試料溶液分注源とを配管接続する。こうすることにより、試料溶液を共通の分注チューブに定量送り出し、その後分注チューブの容積以上の緩衝液を分注チューブに送り、これを試料溶液と共に滴定セルに送り出すようにすれば、1本の分注チューブで試料溶液と緩衝液の双方を滴定セルに送り出し、分注することが出来る。
前述した本発明による過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置では、過酸化水素と過酢酸を同じ白金電極部2を有する指示電極1を使用して電位差滴定出来るため、過酸化水素と過酢酸が混在する溶液中の過酸化水素と過酢酸とを自動滴定により分別定量することが可能となる。また、過マンガン酸カリウム溶液で指示電極1の白金電極部2をコンディショニングするものでは、繰り返し滴定する時に発生する指示電極1の電位のふらつきを無くすことが出来るので、滴定が正確且つ迅速化出来る。緩衝液分注用と試料溶液分注用との分注チューブを共有化、その容積を所定の範囲とするものでは、配管の簡素化を図ることが出来る。
本発明は、過酢酸と過酸化水素の滴定を単一の白金電極で安定して電位差滴定することを可能とするため、指示電極の白金電極部の表面積に着目したものである。以下この発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明による過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置における滴定法は、基本的には前述した1〜4のプロセスによる滴定法を適用する。これに対し、滴定による当量終点を検知するため、指示電極1と比較電極5とを使用する。図1はこの場合の試料溶液及び試薬の流れも含めた装置の構成を示す概念図である。
滴定セルの中で試料溶液の滴定終点を検知するため、滴定セルには指示電極1が設けられ、これに対して比較電極5が設けられる。比較電極5としては一般に4molの塩化カリウム(KCl)の内部液を満たした容器の中に電極を設けたものが使用される。
他方、指示電極1には、先端に白金電極部2を有する電極が一般に使用される。ここで、指示電極1の白金電極部2の表面積は、1cm2以上、より望ましくは3cm2以上とする。この白金電極部2の構造については後述する。
滴定セル内の溶液はスターラにより攪拌される。また、指示電極1と比較電極5とは測定制御・演算部に接続され、ここで電位差測定と演算が行われ、ビュレット、分注ポンプ、三方弁、スターラ等が制御される。
試料溶液の容器に分注ポンプ1が設けられ、硫酸(1+9)の容器に分注ポンプ2が設けられ、10%濃度のヨウ化カリウム溶液の容器の分注ポンプ3が設けられている。このうち、試料溶液を送り出す分注ポンプ1と硫酸溶液を送り出す分注ポンプ2は4方コックサンプラにより0.5〜1mLの計量管に合流され、さらにこの計量管が4方コックサンプラにより、3mL以上の容積を有する分注チューブと廃液チューブとに分岐されている。分注チューブは滴定セルの上蓋からその中に溶液を注入するように配管されている。ヨウ化カリウム溶液を送り出す分注チューブ3は単独で滴定セルの上蓋からその中に溶液を注入するように配管されている。
0.02mol/Lの過マンガン酸カリ溶液の容器に分注用のビュレット1が設けられ、0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液の容器に分注用のビュレット2が設けられている。これらビュレット1とビュレット2は、それぞれ滴定セルの上蓋からその中に溶液を注入するように配管されている。
前記分注ポンプ1〜3及びビュレット1、2は、何れも測定制御・演算部に接続され、この測定制御・演算部にセットアップされたプログラムに従って動作制御される。
このような過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置による自動滴定のプログラムは、次のような動作で実現される。
まず純水5mLを滴定セルに採取、注入する。次に、4方コックサンプラを分注ポンプ1側にセットし、分注ポンプを動作させて、緩衝液として硫酸(1+9)を2mL分注チューブに取り出す。これと前後して、ビュレット1を動作させて濃度0.02mol/Lの過マンガン酸カリウム滴定液を0.3〜2mLを滴定セルに加える。この状態でスターラにより一定時間滴定セル内の溶液を攪拌しながら、指示電極1の白金電極部2の表面を洗浄し、そのコンディショニングを行う。次に、4方コックサンプラを分注ポンプ2側に切り替え、分注ポンプ2を動作させて試料0.5〜1mLをサンプラに取り出す。次に再度4方コックサンプラを分注ポンプ1側に切り替え、分注ポンプ1により硫酸(1+9)を8mLを押し出しながら、先に4方コックサンプラに取り出した2mLの硫酸及びサンプラに取り出した試料溶液と共に滴定セルに押し出す。次に、ビュレット1を動作させて濃度0.02mol/Lの過マンガン酸カリウム滴定液で試料溶液を滴定し、試料溶液中の過酸化水素の濃度を定量する(下記1式参照)。次に、分注ポンプ3を動作させて10% ヨウ化カリウム溶液1mLを滴定セルに加える(下記2式参照)。次に、ビュレット2を動作させて濃度0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム滴定液を滴定セルに加え、これで試料溶液を滴定し、試料溶液中のヨウ素を滴定し、その濃度から過酢酸の濃度を定量する(下記3式参照)。
5H+2MnO +6H→2Mn2+ +5O+8HO (1)
CHCOOOH+2I+2H→I+HO+CHCOOH (2)
+2Na→2NaI+Na6 (3)
このような過酸化水素と過酢酸の分別電位差自動滴定においては、通常の場合、試料溶液は4方コック式セラミックサンプラで0.5〜1mL計量サンプリングされ、その後4方コックサンプラを切換え、計量した試料を硫酸(1+9)で共洗いして、滴定セルに注入する配管がなされる。これは純水で試料を共洗いした場合に純水で希釈された時、低濃度試料の濃度が変動することが発生することを防止するためである。
しかしこれでは、前述した白金電極部2を過マンガン酸カリウム滴定液でコンディショニングするため、硫酸を滴定セルに注入する前に0.3〜2mLの過マンガン酸カリウム滴定液を滴定セルに分注すること、及び硫酸による試料の共洗いに硫酸を8〜9mL分注する必要が有り、ビュレットの2通りの分注経路或いは2台のビュレットが必要となる。
これに対し、サンプラから滴定セルに連絡する分注チューブを、試料溶液の分注量を超える約3mLの容積以上であって、緩衝液の分注容積以下にすることで、1系統の分注チューブで1〜2mLの硫酸の分注とその試料による送り出しが可能となる。
また、このような過酸化水素と過酢酸の分別電位差自動滴定において、前述したように、滴定の当量終点の検出は指示電極として白金電極、参照電極として4molのKClの内部液を満たした比較電極を使用する。この場合、通常のプレート状やφ0.5〜1.5長さ3〜15mm程度の棒状の白金電極を有する指示電極で滴定した場合、前記の反応式(1)のように、KMnO4の滴定で発生する酸素の泡で指示電極である白金の表面が覆われる。さらに白金電極自身が触媒効果で多量の泡を発生する。このため、白金電極が正常に溶液に接触せず、酸素ガスと反応するため、正確な電位が検出出来ない。この課題に対し、本件発明者らは様々な形状の白金電極で過酢酸濃度の滴定を試みた。その結果を次の表1に示す。
この結果から、渦巻き状、螺旋状或いはメッシュ網状が過酢酸、過酸化水素濃度が低いときも高い時も濃度の定量に適していることが分かった。具体的には、過酸化水素濃度5,000〜40,000ppmの濃度溶液中の過酸化水素、過酢酸滴定を行うことが出来る。但し、メッシュ網状の電極は価格が高価で洗浄等に手間がかかる。また、渦巻き状の電極は、その径方向と中心軸方向とで感度が異なり、指向性を示すという若干の欠点がある。そのため、螺旋状の電極形状が最も優れている。
図2は、これらの指示電極の例を示す図である。この図2に示す通り、指示電極1は、前述の測定制御・演算部に接続するためのケーブルが上端に接続されたガラス管3の中にリード線を通し、そのガラス管の下端からガラス封止した状態で白金電極部2を導出させている。図2(a)は螺旋状の白金電極部2を有する指示電極1、図2(b)は渦巻き状の白金電極部2を有する指示電極1、そして図2(c)はメッシュ網状の白金電極部2を有する指示電極1である。何れも、白金電極部2の表面積1cm2以上、より望ましくは3cm2以上である。
図3〜図6は、前述した表面積3.016cm2の螺旋状の白金電極部2を有する指示電極1を使用し、過酸化水素と過酢酸を滴定したときの滴定液投入量に対して指示電極1の指示電位の変化を実測したグラフである。測定制御・演算部で変化する電位差の滴定溶液の注入量に対する電位差変化の微分値を取り、その微分値の急峻な立ち上がりをもって当量終点を検知する。ちなみに、図3〜図6の中で塗りつぶした三角形の頂点が指し示した注入量が当量終点である。
図3と図4は、前述の反応式(1)による過酸化水素の滴定プロセスであり、図3が表面積3.016cm2の螺旋状の白金電極部2を有する指示電極1を使用したもの、図4が表面積0.314cm2の棒状の白金電極を使用したものである。何れも濃度0.02mol/Lの過マンガン酸カリウム滴定液の滴定セルへの注入量を横軸にとっている。
また、図5と図6は、前述の反応式(3)による過酢酸の滴定を目的とするヨウ化カリウムの滴定プロセスであり、図5が表面積3.016cm2の螺旋状の白金電極部2を有する指示電極1を使用したもの、図6が表面積0.314の棒状の白金電極を使用したものである。何れも濃度0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム滴定液の滴定セルへの注入量を横軸にとっている。
例えば、過酸化水素の滴定プロセスである図3と図4において、表面積3.016cm2の螺旋状の白金電極部2を有する指示電極1を使用した図3では、電位差の変化にノイズが無く、電位差の変化が安定して推移している。これに対し、表面積0.314の棒状の白金電極を使用した図4では、電位差の変化にノイズが入り、電位差の変化が不安定に推移している。
他方、過酢酸の滴定を目的とするヨウ化カリウムの滴定プロセスである図5と図6においては、表面積3.016cm2の螺旋状の白金電極部2を有する指示電極1を使用した図5でも、表面積0.314cm2の棒状の白金電極を使用した図6でも実質的な違いは見られない。このことから、表面積が小さい一般の棒状の白金電極では、主に過酸化水素の滴定プロセスにおいて定量の障害が生じるのに対し、本発明ではこの障害を生じさせない利点があることが分かる。
さらに、高濃度の過酢酸、過酸化水素試料を繰り返し滴定すると、電極電位のフラツキで測定時間が非常かかる場合がしばしば発生する。特に、測定周期が短い場合に測定中に指示電極の表面を観察すると白金表面に多量の酸素の泡が付着している。このため前述した通り、電極電位が正常に検出できずに、滴定が異常の結果になる。これは短時間に滴定を繰り返すと、前述した反応式(3)に示すようなヨウ素滴定で白金電極部2の表面がヨウ素に感じやすい状態で、次の試料溶液の滴定の時に、反応式(1)において過マンガン酸カリウムを感じない状態となり、測定に異常の結果が発生する。
本件発明者らの実験によれば、このような結果は、指示電極1の白金電極部2の表面積を1cm2以上、より具体的には3cm2以上とした場合でも起こることが分かった。
そこで、滴定プロセスのプログラムを変更し、試料溶液を滴定セルに注入する前に白金電極部2の表面を、過マンガン酸カリウム溶液で一定時間コンディショニング(活性化)した後、滴定を行うことで、30,000ppm以上の高濃度過酸化水素試料の繰り返し測定が障害無く行えることがわかった。
そこで、前回の試料溶液の滴定の後、過マンガン酸カリウムを0.3〜2mLを滴定セルに分注した後、硫酸(1+9)を1〜2mL分注し、白金電極部2が溶液に浸かる状態で攪拌を5〜30秒行い、白金表面をコンディショニングする。これにより、次の試料溶液の滴定を開始したときに電位の変動及び滴定中に発生する酸素の泡に影響なく滴定が可能となる。
本発明の実施形態による過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置における試料溶液及び試薬の流れも含めた装置の構成を示す系統概念図である。 本発明の実施形態による指示電極の例を示す側面図である。 本発明の一実施例により過酸化水素を滴定したときの滴定液投入量に対して指示電極の指示電位の変化を実測したグラフである。 比較例として従来一般に使用されている白金電極を使用して過酸化水素を滴定したときの滴定液投入量に対して指示電極の指示電位の変化を実測したグラフである。 本発明の一実施例により過酢酸の濃度定量を目的としてヨウ素を滴定したときの滴定液投入量に対して指示電極の指示電位の変化を実測したグラフである。 比較例として従来一般に使用されている白金電極を使用して過酢酸の濃度定量を目的としてヨウ素を滴定したときの滴定液投入量に対して指示電極の指示電位の変化を実測したグラフである。
符号の説明
1 指示電極
2 白金電極部

Claims (4)

  1. 試料をサンプリングし、滴定セルに分注する手段と、緩衝溶液を滴定セルに分注する手段と、試薬を滴定セルに分注する手段とを備え、滴定セル中で試料に含まれる過酸化水素と過酢酸とを分別滴定する装置において、滴定時の終点検知用の指示電極(1)として白金電極を使用し、この指示電極(1)の白金電極部(2)の表面積を1cm2以上としたことを特徴とする過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置。
  2. 指示電極(1)の白金電極部(2)を螺旋状、渦巻き状または網状としたことを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置。
  3. 滴定セルに過マンガン酸カリウム溶液を分注し、この過マンガン酸カリウム溶液で指示電極(1)の白金電極部(2)をコンディショニングする手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置。
  4. 緩衝液分注用と試料溶液分注用との分注チューブを共通とすると共に、この分注チューブの容積を試料溶液を分注する容積以上で緩衝液を分注する容積以下とし、この分注チューブに計量管と切換弁とを介して試料溶液分注源と緩衝液分注源とを配管接続したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の過酸化水素と過酢酸の分別電位差滴定装置。
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