以下、本発明の実施の形態について説明する。
<<第1実施形態>>
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態が適用された保証マーク発行・検証システムの概略図である。図示するように、本実施形態の保証マーク発行・検証システムは、保証マーク発行システム1と、保証マーク検証システム2と、保証マーク管理サーバ3とが、インターネットなどのネットワーク4を介して互いに接続されて構成されている。
保証マーク発行システム1は、視覚復号型秘密分散法により、商品等の品質を保証する保証マークの画像データから2つの分散画像を生成する。そして、一方の分散画像を印刷用分散画像として、商品等に貼付されるシール等の印刷媒体に、肉眼(可視光下)では認知不可能に印刷する。また、他方の分散画像を検証用分散画像として、保証マーク管理サーバ3に送信する。
保証マーク検証システム2は、印刷媒体に印刷された肉眼では認知不可能な印刷用分散画像を撮像する。そして、視覚復号型秘密分散法により、撮像した印刷用分散画像と、保証マーク管理サーバ3から入手した検証用分散画像とを合成し、保証マークを復元する。
保証マーク管理サーバ3は、保証マークの画像データを保持する。そして、保証マーク発行システム1からの要求に従い保証マークの画像データを保証マーク発行システム1に送信する。また、保証マーク発行システム1から送られてきた検証用分散画像の画像データを保持する。そして、保証マーク検証システム2からの要求に従い検証用分散画像の画像データを保証マーク検証システム2に送信する。
次に、保証マーク発行システム1および保証マーク検証システム2についてより詳細に説明する。なお、保証マーク管理サーバ3は、FTP(File Transfer Protocol)サーバなどの既存のサーバを利用できるので、その詳細な説明を省略する。
先ず、保証マーク発行システム1について説明する。
図2は保証マーク発行システム1の概略図である。図示するように、保証マーク発行システム1は、発行装置11と、印刷機12と、を有する。
印刷機12は、印刷データに従い、赤外線吸収性色素(例えばカーボン)を含まないシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のインクと、赤外線吸収色素を含むブラック(Bk)のインクとを用いて、商品等に貼付されるシール等の印刷媒体に画像を印刷する。この印刷機12は、Bkインクが赤外線吸収色素を含んでいる点を除き、既存の印刷機と同じである。
発行装置11は、保証マークの画像データから印刷用分散画像および検証用分散画像を生成する。また、肉眼では認知不可能な印刷用分散画像を含んだ印刷用画像を印刷機12に印刷させるための印刷データを生成する。図示するように、発行装置11は、情報を表示してユーザから指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)部111と、ネットワーク4に接続するためのネットワークIF部112と、演算部113と、記憶部114と、演算部113が生成した印刷データを印刷機12に送信する印刷制御部115と、を有する。
記憶部114は、保証マーク記憶部1141と、検証用分散画像記憶部1142と、印刷用分散画像記憶部1143と、背景画像記憶部1144と、を有する。
保証マーク記憶部1141には、商品等の品質を保証する保証マークの画像データが予め記憶されている。なお、本実施形態で用いる保証マークの画像データはモノクロ画像データである。この画像データは例えば演算部113によってネットワークIF部112を介して保証マーク管理サーバ3から入手され、保証マーク記憶部1141に記憶される。
検証用分散画像記憶部1142には、視覚復号型秘密分散法により保証マークの画像データから作成された2つの分散画像のうちの一方の画像データが検証用分散画像の画像データとして記憶され、印刷用分散画像記憶部1143には、該2つの分散画像のうちの他方の画像データが印刷用分散画像の画像データとして記憶される。
背景画像記憶部1144には、印刷用画像の生成に際して、印刷用分散画像の背景として用いられる背景画像の画像データが予め記憶されている。
演算部113は、分散画像生成部1131と、検証用分散画像登録要求部1132と、印刷画像生成部1133と、を有する。
分散画像生成部1131は、視覚復号型秘密分散法により保証マーク記憶部1141に記憶された保証マークの画像データから2つの分散画像の画像データを生成する。
ここで、視覚復号型秘密分散法の原理について簡単に説明する。図3は視覚復号型秘密分散法の原理を説明するための図である。
図示するように、保証マーク801が白地の背景802に黒円803が描画されたm×nの画像サイズであるとする。まず、保証マーク801と同じm×nの画像サイズの無地の画像を2つ用意する。
次に、保証マーク801を複数の微小領域に分割する。そして、この微小領域毎に、2つのセグメント805、806を有し、且つ少なくとも当該微小領域よりも小さなサイズの分散画像構成要素804を2つ作成し、一方の分散画像構成要素804を一方の無地画像の当該微小領域に対応する位置に配置し、他方の分散画像構成要素804を他方の無地画像の当該微小領域に対応する位置に配置する。この際、分散画像構成要素804は、2つのセグメント805、806の一方を黒とし、他方の白とする。また、白地の背景802に属する微小領域に対しては、黒となるセグメントおよび白となるセグメントが一致する2つの分散画像構成要素804を生成し、黒円803に属する微小領域に対しては、黒となるセグメントおよび白となるセグメントが互いに異なる2つの分散画像構成要素804を生成する。この処理を、全ての微小領域に対して行うことにより、分散画像A807および分散画像B808を作成する。
したがって、分散画像A807および分散画像B808は、符号809の拡大図に示すように、2つのセグメント805、806の一方が黒で他方が白の分散画像構成要素804が複数並んで構成される。また、分散画像A807および分散画像B808の一方を見ただけでは、保証マーク801を認知することができない。
さて、以上のようにして作成された分散画像A807と分散画像B808とを重ね合わせると、拡大図811に示すように、黒円803に属する微小領域に対応する分散画像構成要素804は2つのセグメント805、806が共に黒となり、白地の背景802に属する微小領域に対応する分散画像構成要素804は2つのセグメント805、806の一方が黒で他方が白となる。したがって、分散画像A807と分散画像B808とを重ね合わせることにより、元の保証マーク801を認知することができる復元画像810を得ることができる。
分散画像生成部1131は、上述の視覚復号型秘密分散法を用いて保証マーク記憶部1141に記憶された保証マークの画像データから2つの分散画像の画像データを生成する。すなわち、保証マークの画像データと同じ画像サイズの無地の画像データを2つ作成する。次に、保証マークの画像データを複数の微小領域に分割する。それから、微小領域毎に、次の処理を行う。すなわち、当該微小領域が白ならば、黒となるセグメントおよび白となるセグメントが一致する2つの分散画像構成要素を生成し、その一方を1つの無地画像データの当該微小領域に対応する位置に配置し、他方をもう1つの無地画像データの当該微小領域に対応する位置に配置する。一方、当該微小領域が黒ならば、黒となるセグメントおよび白となるセグメントが互いに異なる2つの分散画像構成要素を生成し、その一方を1つの無地画像データの当該微小領域に対応する位置に配置し、他方をもう1つの無地画像データの当該微小領域に対応する位置に配置する。以上のようにして、2つの分散画像の画像データを生成し、その一方を検証用分散画像として検証用分散画像記憶部1142に記憶し、他方を印刷用分散画像として印刷用分散画像記憶部1143に記憶する。
分散画像登録要求部1132は、検証用分散画像記憶部1142に記憶された検証分散画像の画像データを含む検証用分散画像登録要求を作成し、ネットワークIF部112を介して、保証マーク管理サーバ3に送信する。
印刷画像生成部1133は、印刷用分散画像記憶部1143に記憶された印刷用分散画像と背景画像記憶部1144に記憶された背景画像とを重ね合わせた印刷用画像を、印刷用分散画像に対しては赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインク(Cインク、MインクおよびYインクで作成した黒)を用い、背景画像に対しては赤外線吸収色素を含むBkインク(Bkインクで作成した黒)を用いて、印刷機12に印刷させるための印刷データを生成し、印刷制御部115に送信する。
なお、図4に示すように、背景画像記憶部1144に記憶されている背景画像の画像データ820は、各々が黒又は白でランダムに描画された2つのセグメント823、824を有する背景画像構成要素822を複数備えて構成されている(拡大図821参照)。また、背景画像の画像データ820中の各背景画像構成要素822は、背景画像の画像データ820と印刷用分散画像の画像データ830とを重ね合わせた場合に、印刷用分散画像の画像データ830中の分散画像構成要素832と重ならない位置に配置されている(拡大図831参照)。したがって、印刷用分散画像の画像データ830と背景画像の画像データ820と重ね合わせることにより、肉眼では印刷用分散画像の画像データ830を認知できないようにカムフラージュした印刷画像841を作成することができる(拡大図841参照)。
図5は保証マーク発行システム1の動作フローを説明するための図である。このフローは、例えばGUI部111がユーザからマーク発行指示を受け付けることで開始される。
まず、分散画像生成部1131は、保証マーク記憶部1141から保証マークの画像データを読み出す(S101)。次に、上述の視覚復号型秘密分散法を用いて保証マーク記憶部1141から読み出した保証マークの画像データから2つの分散画像の画像データを生成し、一方の分散画像の画像データを検証用分散画像の画像データとして検証用分散画像記憶部1142に記憶し、他方の分散画像の画像データを印刷用分散画像の画像データとして印刷用分散画像記憶部1143に記憶する(S102)。
次に、検証用分散画像登録要求部1132は、検証用分散画像記憶部1142から検証用分散画像の画像データを読み出す(S103)。次に、検証用分散画像記憶部1142から読み出した検証分散画像の画像データを含む検証用分散画像登録要求を作成し、ネットワークIF部112を介して、保証マーク管理サーバ3に送信する(S104)。これにより、検証用分散画像の画像データが保証マーク管理サーバ3に登録される。
次に、印刷画像生成部1133は、印刷用分散画像記憶部1143から印刷用分散画像の画像データを読み出すと共に、背景画像記憶部1144から背景画像の画像データを読み出す(S105)。次に、印刷用分散画像と背景画像とを重ね合わせた印刷用画像を、印刷用分散画像に対しては赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用い、背景画像に対しては赤外線吸収色素を含むBkインクを用いて、印刷機12に印刷させるための印刷データを生成し、印刷制御部115を介して印刷機12に送信する(S106)。
次に、印刷機12は、発行装置11から送られてきた印刷データに従い、商品等に貼付されるシール等の印刷媒体に印刷画像を印刷する(S107)。この際、印刷用分散画像に対しては、赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用いて黒を印刷し、背景画像に対しては赤外線吸収色素を含むBkインクを用いて黒を印刷する。その結果、肉眼では印刷用分散画像を認知できないようにカムフラージュした印刷画像を印刷媒体に印刷することができる。
次に、保証マーク検証システム2について説明する。
図6は保証マーク検証システム2の概略図である。図示するように、保証マーク検証システム2は、検証装置21と、赤外線撮像装置(赤外線スキャナ)22と、を有する。
赤外線撮像装置22は、印刷媒体に赤外線を照射して、印刷媒体から赤外線の反射光を検出する。これにより、印刷媒体を撮像する。赤外線撮像装置22は、可視光の代わりに赤外線を用いる点を除けば、既存の撮像装置(スキャナ)と同じである。
検証装置21は、赤外線撮像装置22で撮像された画像データと、保証マーク管理サーバ3から入手した検出用分散画像の画像データとを合成して、保証マークの画像データを復元する。図示するように、検証装置21は、情報を表示してユーザから指示を受け付けるためのGUI部211と、ネットワーク4に接続するためのネットワークIF部212と、演算部213と、記憶部214と、赤外線撮像装置22を制御して赤外線撮像装置22から撮像画像データを入手する撮像制御部215と、を有する。
記憶部214には、検証用分散画像記憶部2141と、撮像画像記憶部2142と、合成画像記憶部2143と、を有する。
検出用分散画像記憶部2141には、検出用分散画像の画像データが予め記憶されている。この画像データは例えば演算部213によってネットワークIF部212を介して保証マーク管理サーバ3から入手され、検出用分散画像記憶部2141に記憶される。
撮像画像記憶部2142には、赤外線撮像装置22により撮像された撮像画像が記憶される。また、合成画像記憶部2143には、検出用分散画像記憶部2141に記憶されている検証用分散画像と、撮像画像記憶部2142に記憶されている撮像画像との合成画像が記憶される。
演算部113は、画像検出部2131と、画像合成部2132と、合成画像表示部2133と、を有する。
画像検出部2131は、撮像制御部215を介して赤外線撮像装置22を制御し、赤外線撮像装置22にセットされた印刷媒体を赤外線で撮像する。そして、撮像した画像を撮像画像記憶部2142に記憶する。上述したように、印刷画像840は、背景画像820が赤外線吸収色素を含むBkインクを用いて印刷され、印刷用分散画像830が赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用いて印刷されている。したがって、印刷媒体に印刷された印刷画像840を赤外線撮像装置22で撮像した場合、背景画像820は撮像されず、印刷用分散画像830のみが撮像される。
画像合成部2132は、検証用分散画像記憶部2141に記憶された検証用分散画像の画像データと撮像画像記憶部2142に記憶された撮像画像の画像データとを重ね合わせて合成画像の画像データを生成する。そして、生成した合成画像の画像データを合成画像記憶部2143に記憶する。撮像画像記憶部2142に記憶された撮像画像の画像データが印刷用分散画像の画像データである場合、図3を用いて説明したように、印刷用分散画像の画像データと検証用分散画像の画像データとを重ね合わせることで、元の保証マークの画像データを復元できる。
合成画像表示部2133は、合成画像記憶部2143に記憶されている合成画像の画像データをGUI部211に表示する。
図7は保証マーク検証システム2の動作フローを説明するための図である。このフローは、例えばGUI部111がユーザからマーク検証指示を受け付けることで開始される。
まず、画像検出部2131は、撮像制御部215を介して赤外線撮像装置22を制御し、赤外線撮像装置22にセットされた印刷媒体を赤外線で撮像する(S201)。そして、撮像画像の画像データを、撮像制御部215を介して赤外線撮像装置22から入手し、撮像画像記憶部2142に記憶する(S202)。
次に、画像合成部2132は、検証部分散画像記憶部2141の検証用分散画像の画像データを読み出すと共に、撮像画像記憶部2142から撮像画像の画像データを読み出す(S203)。そして、検証用分散画像の画像データと撮像画像の画像データとを重ね合わせて合成画像の画像データを生成し、合成画像記憶部2143に記憶する(S204)。それから、合成画像表示部2133は、合成画像記憶部2143に記憶された合成画像の画像データを読み出して、GUI部211に表示する(S205)。ユーザは、GUI部211に表示された合成画像の画像データから保証マークを認知できるか否かにより、赤外線撮像装置22にセットされた印刷媒体に印刷された印刷画像が保証マークにより保証されたものでるか否かを判断することができる。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
本実施形態によれば、可視光下では認知できないが可視光外線下では認知できる画像が、視覚復号型秘密分散法により視覚分散された複数の分散画像の一部(印刷用分散画像)となる。したがって、赤外線カメラ等を用いても認知困難な埋め込み画像を印刷することができる。また、赤外線撮像装置22を用いて印刷媒体から読取った印刷用分散画像を、視覚復号型秘密分散法により検証用分散画像と合成させて保証マークを検証する。したがって、検証用分散画像を保持する者のみが埋め込み画像を検証することができる。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、赤外線撮像装置を用いて印刷媒体の印刷画像から読取った印刷用分散画像と、該印刷画像には含まれていない検証用分散画像とを用いて保証マークを検証する。これに対して、本実施形態では、印刷媒体の印刷画像のみを用いて保証マークを検証できるようにしている。本実施形態の保証マーク発行・検証システムは、図1に示す示す第1実施形態の保証マーク発行・検証システムにおいて、保証マーク発行システム1の代わりに保証マーク発行システム1aが用いられ、保証マーク検証システム2の代わりに保証マーク検証システム2aが用いられる。
先ず、保証マーク発行システム1aを説明する。図8は保証マーク発行システム1aの概略図である。本実施形態の保証マーク発行システム1aが図2に示す第1実施形態の保証マーク発行システム1と異なる点は、発行装置11に代えて発行装置11aを用いたことにある。また、発行装置11aが第1実施形態の発行装置11と異なる点は、演算部113および記憶部114に代えて演算部116および記憶部117を用いたことにある。
記憶部117は、保証マーク記憶部1171と、第1分散画像記憶部1172と、第2分散画像記憶部1173と、変換分散画像記憶部1174と、変換ルール記憶部1175と、を有する。
保証マーク記憶部1141には、商品等の品質を保証する保証マークの画像データが予め記憶されている。なお、本実施形態で用いる保証マークの画像データも第1実施形態と同様にモノクロ画像データである。この画像データは例えば演算部116によってネットワークIF部112を介して保証マーク管理サーバ3から入手され、保証マーク記憶部1171に記憶される。
第1分散画像記憶部1172には、視覚復号型秘密分散法により保証マークの画像データから作成された2つの分散画像のうちの一方の画像データが第1分散画像の画像データとして記憶され、第2分散画像記憶部1173には、該2つの分散画像のうちの他方の画像データが第2分散画像の画像データとして記憶される。
変換分散画像記憶部1174には、所定のルールに従い第2分散画像を変換することで得られた画像である変換分散画像が記憶され、変換ルール記憶部1175には、第2分散画像を変換分散画像に変換するための所定のルールが記憶される。この所定のルールは例えば演算部116によってネットワークIF部112を介して保証マーク管理サーバ3から入手され、変換ルール記憶部1175に記憶される。
演算部116は、分散画像生成部1161と、変換分散画像生成部1162と、印刷画像生成部1163と、を有する。
分散画像生成部1161は、第1実施形態の分散画像生成部1131と同様に、視覚復号型秘密分散法により保証マーク記憶部1171に記憶されている保証マークの画像データから2つの分散画像の画像データを生成する。そして、生成した2つの分散画像の一方の画像データを第1分散画像の画像データとして第1分散画像記憶部1172に記憶し、他方の画像データを第2分散画像として第2分散画像記憶部1173に記憶する。
変換分散画像生成部1162は、変換ルール記憶部1175に記憶されている変換ルールに従い、第2分散画像記憶部1173に記憶されている第2分散画像に変換処理を施して変換分散画像を生成する。この変換分散画像は、後述する印刷画像生成部1163において印刷画像生成のために、第1分散画像と重ね合わせられる。上述したように、視覚復号型秘密分散法により保証マークの画像データから作成された2つの分散画像を単純に重ね合わせたのでは、保証マークが復元されてしまう。そこで、本実施形態では、所定のルールに従って第2分散画像を変換分散画像に変換してから、第1分散画像と重ね合わせて印刷画像を生成するようにしている。
したがって、この所定のルールは、「(1)第1分散画像と変換分散画像とを重ね合わせても保証マークを復元することにならない」、および、「(2)印刷画像から第1分散画像および変換分散画像を分離することができる(第1分散画像の分散構成要素の黒セグメントと変換分散画像の黒セグメントとが重ならない)」を満たすものでなければならない。ここで、所定のルールが1セグメントシフト処理である場合を例にとり、変換分散画像の生成処理を簡単に説明する。図9は変換分散画像の生成処理を説明するための図である。なお、本実施形態において、1セグメントシフト処理とは、分散画像を構成する各分散画像構成要素を、1セグメント分(本実施形態の場合、分散画像構成要素は2つのセグメントで構成されている)、決まった方向にシフトする処理を指す。
図示するように、保証マーク851が白地の背景852に黒円853が描画されたm×nの画像サイズであるとする。まず、分散画像生成部1161により、上記の第1実施形態と同様に、保証マークの画像データ851から、2つのセグメントを有する分散画素構成要素854を複数備えて構成された2つの分散画像を生成し、一方の画像データを第1分散画像の画像データ857とし、他方の画像データを第2分散画像の画像データ858とする。この2つの分散画像の画像データ857、858を重ね合わせると、拡大図860に示すように、保証マーク851の黒円853に位置する分散画像構成要素854は、2つのセグメントの両方が黒となり、白地の背景852に位置する分散画像構成要素854は、2つのセグメントの一方が黒で他方が白となる。したがって、第1分散画像の画像データ857と第2分散画像の画像データ858とを単純に重ね合わせたのでは、該重ね合わせにより得られた復元画像の画像データ859から保証マークが認知されてしまう。
そこで、本実施形態では、上記の2つの条件(1)、(2)を満たす所定のルールに従い、第2分散画像の画像データ858に変換処理を施して変換分散画像の画像データ862を生成する。ここでは、第2分散画像の画像データ858の拡大図861および変換分散画像の画像データ862の拡大図863に示すように、第2分散画像の画像データ858に配置された各分散画像構成要素854を、1セグメント分だけ右にシフトさせることで、変換分散画像の画像データ862を生成する。この結果、変換分散画像の画像データ862と第1分散画像の画像データ857とを重ね合わせることで得られる印刷画像の画像データ864は、拡大図865に示すように、黒のセグメントの並びが保証マーク851の黒円853内に位置するか、それとも、白地の背景852内に位置するかに関わらず不規則となる。したがって、該印刷画像の画像データ864から保証マークが認知されないようすることができる。
印刷画像生成部1163は、変換分散画像記憶部1174に記憶されている変換分散画像と第1分散画像記憶部1172に記憶されている第1分散画像とを重ね合わせた印刷画像を、変換分散画像に対しては赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインク(Cインク、MインクおよびYインクで作成した黒)を用い、第1分散画像に対しては赤外線吸収色素を含むBkインク(Bkインクで作成した黒)を用いて、印刷機12に印刷させるための印刷データを生成し、印刷制御部115に送信する。
図10は保証マーク発行システム1aの動作フローを説明するための図である。このフローは、第1実施形態のマーク発行システム1と同様、例えばGUI部111がユーザからマーク発行指示を受け付けることで開始される。
まず、分散画像生成部1161は、保証マーク記憶部1171から保証マークの画像データを読み出す(S301)。次に、上述の視覚復号型秘密分散法を用いて保証マーク記憶部1171から読み出した保証マークの画像データから2つの分散画像の画像データを生成し、一方の分散画像の画像データを第1分散画像の画像データとして第1分散画像記憶部1172に記憶し、他方の分散画像の画像データを第2分散画像の画像データとして第2分散画像記憶部1173に記憶する(S302)。
次に、変換分散画像生成部1162は、第2分散画像記憶部1173から第2分散画像の画像データを読み出すと共に、変換ルール記憶部1175から変換ルールを読み出す(S303)。そして、読み出した変換ルールに従い第2分散画像の画像データに変換処理(例えば1セグメントシフト処理)を施して変換分散画像の画像データを生成し、変換分散画像記憶部1174に記憶する(S304)。
次に、印刷画像生成部1163は、変換分散画像記憶部1174から変換分散画像の画像データを読み出すと共に、第1分散画像記憶部1171から第1分散画像の画像データを読み出す(S305)。次に、変換分散画像と第1分散画像とを重ね合わせた印刷画像を、変換分散画像に対しては赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用い、第1分散画像に対しては赤外線吸収色素を含むBkインクを用いて、印刷機12に印刷させるための印刷データを生成し、印刷制御部115を介して印刷機12に送信する(S306)。
次に、印刷機12は、発行装置11aから送られてきた印刷データに従い、商品等に貼付されるシール等の印刷媒体に印刷画像を印刷する(S307)。この際、変換分散画像に対しては、赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用いて黒を印刷し、第1分散画像に対しては赤外線吸収色素を含むBkインクを用いて黒を印刷する。その結果、肉眼では変換分散画像を認知できないようにカムフラージュした印刷画像を印刷媒体に印刷することができる。
次に、保証マーク検証システム2aを説明する。
図11は保証マーク検証システム2aの概略図である。本実施形態の保証マーク検証システム2aが図6に示す第1実施形態の保証マーク検証システム1と異なる点は、検証装置21に代えて検証装置21aを用いたこと、および、赤外線撮像装置22に代えて赤外線・可視光線撮像装置22aを設けたことにある。
赤外線・可視光線撮像装置22aは、第1実施形態の赤外線撮像装置22に通常の撮像装置としての機能を追加したものである。すなわち、印刷媒体に可視光線を照射して、印刷媒体から可視光線の反射光を検出し、印刷媒体を撮像する。
検証装置21aが第2実施形態の検証装置21と異なる点は、演算部213および記憶部214に代えて演算部216および記憶部217を用いたことにある。
記憶部217には、逆変換ルール記憶部2171と、第1分散画像記憶部2172と、第2分散画像記憶部2173と、変換分散画像記憶部2174と、印刷画像記憶部2175と、合成画像記憶部2176と、を有する。
逆変換ルール記憶部2171には、変換分散画像を第2分散画像に逆変換するための逆変換ルール(第2分散画像を変換分散画像に変換するのに用いた変換ルールが示す変換処理の逆変換処理を規定するルール)が予め記憶されている。この逆変換ルールは例えば演算部216によってネットワークIF部212を介して保証マーク管理サーバ3から入手され、変換ルール記憶部2171に記憶される。
第1分散画像記憶部2172には、後述する第1分散画像検出部2161により検出された第1分散画像が記憶され、第2分散画像記憶部2173には、後述する第2分散画像検出部2162により検出された第2分散画像が記憶される。
変換分散画像記憶部2174には、赤外線・可視光線撮像装置22aにより赤外線で撮像された撮像画像が記憶される。また、印刷画像記憶部2175には、赤外線・可視光線撮像装置22aにより可視光線で撮像された撮像画像が記憶される。そして、合成画像記憶部2164には、第1分散画像記憶部2172に記憶されている第1分散画像と、第2分散画像記憶部2173に記憶されている第2分散画像との合成画像が記憶される。
演算部216は、第1分散画像検出部2161と、第2分散画像検出部2162と、画像合成部2163と、合成画像表示部2164と、を有する。
第1分散画像検出部2161は、撮像制御部215を介して赤外線・可視光線撮像装置22aを制御し、赤外線・可視光線撮像装置22aにセットされた印刷媒体を赤外線で撮像して、印刷媒体から変換分散画像の画像データを読み取り、変換分散画像記憶部2174に記憶する。上述したように、印刷画像は、第1分散画像が赤外線吸収色素を含むBkインクを用いて印刷され、変換分散画像が赤外線吸収性色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用いて印刷されている。したがって、印刷媒体に印刷された印刷画像を赤外線で撮像した場合、第1分散画像は撮像されず、変換分散画像のみが撮像される。
また、第1分散画像検出部2161は、赤外線・可視光線撮像装置22aにセットされた印刷媒体を可視光線で撮像して、印刷媒体から印刷画像の画像データを読み取り、印刷画像記憶部2175に記憶する。それから、第1分散画像検出部2161は、印刷画像の画像データから変換分散画像の画像データを減算することで、第1分散画像の画像データを抽出し、これを第1分散画像記憶部2172に記憶する。上述したように、印刷画像は、第1分散画像の分散構成要素の黒セグメントと変換分散画像の黒セグメントとが重ならないようにして形成されている。したがって、印刷画像の画像データから第1分散画像の画像データを抽出することができる。
第2分散画像検出部2162は、変換分散画像記憶部2174に記憶されている変換分散画像の画像データに対して、逆変換ルール記憶部2171に記憶されている逆変換ルールが示す逆変換処理を施すことで、変換分散画像の画像データを第2分散画像の画像データに逆変換する。例えば、第2分散画像を変換分散画像に変換するのに用いた変換ルールが第2分散画像を構成する各分散画像構成要素を1セグメントに右にシフトするものであるならば、逆変換ルール記憶部2171に記憶されている逆変換ルールに従い、変換分散画像を構成する各分散画像構成要素を1セグメント左にシフトして、変換分散画像を第2分散画像に逆変換する。そして、得られた第2分散画像を第2分散画像記憶部2173に記憶する。
画像合成部2163は、第1分散画像記憶部2172に記憶されている第1分散画像の画像データと、第2分散画像記憶部2173に記憶されている第2分散画像の画像データとを重ね合わせて合成画像の画像データを生成する。そして、生成した合成画像の画像データを合成画像記憶部2176に記憶する。第1分散画像記憶部2172および第2分散画像記憶部2173に記憶されている第1分散画像の画像データおよび第2分散画像の画像データが正しい画像データである場合、図9を用いて説明したように、第1分散画像の画像データと第2分散画像の画像データとを重ね合わせることで、元の保証マークの画像データを復元できる。
合成画像表示部2164は、合成画像記憶部2176に記憶されている合成画像の画像データをGUI部211に表示する。
図12は保証マーク検証システム2aの動作フローを説明するための図である。このフローは、例えばGUI部111がユーザからマーク検証指示を受け付けることで開始される。
まず、第1分散画像検出部2161は、撮像制御部215を介して赤外線・可視光線撮像装置22aを制御し、赤外線・可視光線撮像装置22aにセットされた印刷媒体を赤外線で撮像する(S401)。そして、変換分散画像の画像データを、撮像制御部215を介して赤外線・可視光線撮像装置22aから入手し、変換分散画像記憶部2174に記憶する(S402)。
次に、第1分散画像検出部2161は、撮像制御部215を介して赤外線・可視光線撮像装置22aを制御し、赤外線・可視光線撮像装置22aにセットされた印刷媒体を可視光線で撮像する(S403)。そして、印刷画像の画像データを、撮像制御部215を介して赤外線・可視光線撮像装置22aから入手し、印刷画像記憶部2175に記憶する(S404)。
次に、第1分散画像検出部2161は、変換分散画像記憶部2174、印刷画像記憶部2175に記憶された変換分散画像の画像データ、印刷画像の画像データを読み出す(S405)。それから、印刷画像の画像データから変換分散画像の画像データを減算することで、第1分散画像の画像データを抽出し、これを第1分散画像記憶部2172に記憶する(S406)。
次に、第2分散画像検出部2162は、変換分散画像記憶部2174、変換ルール記憶部2171から変換分散画像の画像データ、変換ルールを読み出す(S407)。そして、変換分散画像の画像データに、変換ルールが示す変換処理の逆変換処理を施すことで、変換分散画像の画像データを第2分散画像の画像データに逆変換し、これを第2分散画像記憶部2173に記憶する(S408)。
次に、画像合成部2163は、第1分散画像記憶部2172から第1分散画像の画像データを読み出すと共に、第2分散画像記憶部2173から第2分散画像の画像データを読み出す(S409)。そして、第1分散画像の画像データと第2分散画像の画像データとを重ね合わせて合成画像の画像データを生成し、合成画像記憶部2176に記憶する(S410)。それから、合成画像表示部2164は、合成画像記憶部2176に記憶された合成画像の画像データを読み出して、GUI部211に表示する(S411)。ユーザは、GUI部211に表示された合成画像の画像データから保証マークを認知できるか否かにより、赤外線・可視光線撮像装置22aにセットされた印刷媒体に印刷された印刷画像が保証マークにより保証されたものでるか否かを判断することができる。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
本実施形態によれば、可視光下では認知できないが可視光外線下では認知できる画像が、視覚復号型秘密分散法により視覚分散された複数の分散画像の一部(第1の分散画像)を所定の変換ルールに従って変換した画像(変換分散画像)となる。したがって、赤外線カメラ等を用いても認知困難な埋め込み画像を印刷することができる。また、赤外線・可視光線撮像装置22aを用いて可視光線で印刷媒体から読取った印刷画像と赤外線で印刷媒体から読取った変換分散画像との差分から第1の分散画像を抽出すると共に、所定の逆変換ルールに従い変換分散画像を第2の分散画像に逆変換する。それから、視覚復号型秘密分散法により第1、2の分散画像を合成して埋め込み画像を検証する。したがって、前記所定の規則を保持する者のみが埋め込み画像を検証することができる。
なお、上記の第1、第2実施形態で説明した発行装置11、11aおよび検証装置21、21aは、例えば図13に示すような、CPU901と、メモリ902と、HDD等の外部記憶装置903と、CD-ROMやDVD-ROMやICカードなどの記憶媒体からデータを読み取る読取装置904と、キーボードやマウスやスキャナなどの入力装置およびモニタやプリンタなどの出力装置を接続するためのI/O(Input/Output)907と、ネットワーク4に接続するための通信装置908と、これらの各装置を接続するバス909と、を備えた一般的なコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされたプログラムを実行することで実現できる。このプログラムは、読取装置904を介して記憶媒体から、あるいは、通信装置908を介してネットワーク4から、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。あるいは、外部記憶装置903を経由せずに、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。なお、この場合において、記憶部114、214、117、217にはメモリ902や外部記憶装置903が利用される。また、ネットワークIF部112、212には通信装置908が利用される。また、GUI部111、211、印刷制御部115および撮像制御部215には、I/O907が利用される。
本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記の第2実施形態において、変換分散画像に対して赤外線吸収性色素を含むBkインクを用いて黒を印刷し、第1分散画像に対して赤外線吸収色素を含まないCインク、MインクおよびYインクを用いて黒を印刷するようにしてもよい。この場合、赤外線で撮像される画像が第1分散画像となる。したがって、可視光線で撮像された印刷画像から赤外線で撮像された画像を減算することで、変換分散画像を得ることができる。
また、例えば、上記の第2実施形態では、第2分散画像検出部2162が、変換分散画像記憶部2174に記憶された変換分散画像に対して、逆変換ルール記憶部2171に記憶された逆変換ルールが示す逆変換処理を行うことで、変換分散画像から第2分散画像に逆変換し、第2分散画像記憶部2173に記憶している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、赤外線・可視光線撮像装置22aが第2分散画像を直接撮像できるようにしてもよい。
図14は赤外線・可視光線撮像22aの変形例を示す図である。図14に示す赤外線・可視光線撮像22aは、印刷物225を載置する載置台224と、撮像面が載置台224に載置された印刷物225と対向するように配置された第1の電子カメラ221aと、第1の電子カメラ221aの撮像面の前面に取り付けられた赤外線のみを透過する可視光カットフィルタ223と、第1の電子カメラ221aおよび載置台225の間に配置されたハーフミラー222と、第2の電子カメラ221bと、X-Yステージ226と、を有する。ハーフミラー222は、印刷物で反射した自然光の一部をそのまま透過し、残りを反射する。第2の電子カメラ221bは、ハーフミラー222を介して撮像面が載置台224に載置された印刷物225と対向するように配置される。つまり、ハーフミラー222で反射した反射光が撮像面に垂直に入射するように配置される。X-Yステージ226には、第1の電子カメラ221aが取り付けられている。X-Yステージ226は、検証装置21aからの制御信号に従い第1の電子カメラ221aを水平方向に移動する。
検証装置21aの第1分散画像検出部2161は、制御信号を撮像制御部215を介してX-Yステージ226に出力し、第1の電子カメラ221aの撮像位置を第2の電子カメラ221bの撮像位置と一致させる。例えば、撮像台224に載置された印刷物225の中心を、第1の電子カメラ221aおよび第2の電子カメラ221b各々の撮像面の中心と一致させる。次に、第1の電子カメラ221aおよび第2の電子カメラ221b各々に印刷物を撮像させ、第1の電子カメラ221aの撮像画像(変換分散画像)の画像データを変換分散画像記憶部2174に記憶すると共に、第2の電子カメラ221bの撮像画像(印刷画像)を印刷画像記憶部2175に記憶する。
また、検証装置21aの第2分散画像検出部2162は、制御信号を撮像制御部215を介してX-Yステージ226に出力し、第1の電子カメラ221aの撮像位置を第2の電子カメラ221bの撮像位置に対して、逆変換ルール記憶部2171に記憶されている逆変換ルールが示すシフト方向の反対方向に該逆変換ルールが示すシフト量分ずらす。例えば、第1の電子カメラ221aの撮像面の中心を、撮像台224に載置された印刷物225の中心から、変換ルール記憶部2171に記憶されている逆変換ルールが示すセグメントシフト方向の反対方向に該逆変換ルールが示すセグメントシフト量分ずらす。次に、第1の電子カメラ221aに印刷物を撮像させ、第1の電子カメラ221aの撮像画像(第2分散画像)の画像データを第2分散画像記憶部2173に記憶する。
また、上記の各実施形態では、視覚復号型秘密分散法により保証マークの画像データから作成される分散画像として、2つのセグメントからなる分画像構成要素を複数備えたものを例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。分散画像構成要素は複数のセグメントを備えたものであればよい。
図15は分散画像構成要素を4つのセグメントで構成した場合を例示している。視覚復号型秘密分散法により保証マークから2つの分散画像を生成すると共に、各分散画像の分散画像構成要素を2つのセグメントで構成した場合、白、黒の表現パターンは次の通りである。すなわち、白の場合は2つの分散画像各々の分散画像構成要素の同じセグメントを黒とし、黒の場合は2つの分散画像各々の分散画像構成要素の異なるセグメントを黒にする。一方、図15に示すように、分散画像構成要素を4つのセグメントで構成した場合は、より多くの表現パターンで白、黒を表現できる。例えば、パターン870に示すように、白の場合は2つの分散画像各々の分散画像構成要素870の4つのセグメントの上側2つのセグメントを黒とし、黒の場合は2つの分散画像の一方の分散画像構成要素870の4つのセグメントの上側2つを黒、他方の分散画像構成要素870の4つのセグメントの下側2つを黒とする。また、パターン871に示すように、白の場合は2つの分散画像各々の分散画像構成要素870の4つのセグメントの左側2つのセグメントを黒とし、黒の場合は2つの分散画像の一方の分散画像構成要素870の4つのセグメントの左側2つを黒、他方の分散画像構成要素870の4つのセグメントの右側2つを黒とする。また、パターン872に示すように、白の場合は2つの分散画像各々の分散画像構成要素870の4つのセグメントの対角上の同じ2つを黒とし、黒の場合は2つの分散画像各々の分散画像構成要素870の4つのセグメントの対角上の異なる2つを黒とする。このように分散画像構成要素のセグメント数を増やすことで、白、黒の表現パターンを増加させることができ、これにより、分散画像から保証パターンを推定することをより困難にすることができる。また、分画像構成要素を構成するセグメントをn(n≧3)個にすることにより、n階調のグレースケールを持つ保証マークの分散画像を生成することが可能となる。
なお、上記の各実施形態で説明した保証マーク発行・検証システムは、農産物等の商品の品質を保証するのに利用することができる。図16は本発明の実施形態の保証マーク発行・検証システムを、農作物等の商品の品質保証に利用した例を説明するための図である。農産物等の商品は、複数の生産者970によって生産され、卸売業者910が各生産者から集荷し、仲卸業者920が商品を評価して値付けをし、小売店向けに分荷し、小売業者930がこれを入荷して消費者に販売する。例えば、生産者A970が品質1の商品を3つ生産し(940)、生産者B970が品質1の商品を1つと品質2の商品を1つ生産し(941)、生産者C970が品質1の商品を2つと品質2の商品を1つ生産したとき(942)、卸売業者910は各生産者970の商品を集めて8つの商品を市場に出し(951)、仲卸業者920は、8つの商品の品質を評価し、品質1の商品が6つと品質2の商品が2つあるとして、例えば2つの商品を一組(952)として販売する場合には、品質1の商品を3組、品質2の商品を1組に分けて分荷する。このとき、仲卸業者は品質1の商品の組960に対して、品質1の評価を意味する保証マークを証明可能な印刷画像が印刷されたシール961を貼り付け、シールの付いていない品質2の商品の組962と区別できるようにする。複製や模造が困難なシールを用いることで、商品の商品価値を偽って不当な価格で販売する業者を排除することができる。
また、上記の各実施形態では、視覚復号型秘密分散法により保証マークの画像データを2つに分散画像に視覚分散する場合を例に取り説明したが、3以上の分散画像に視覚分散してもよい。例えば、上記の第1実施形態では、3以上の分散画像のうちの1つを印刷用分散画像とし、残りを検証用分散画像としてもよい。また、第2の実施形態では、3以上の分散画像のうちの1つを第1分散画像とし、残りを第2分散画像としてもよい。そして、第2分散画像の各々を、他の分散画像の分散画像構成要素の各々と重ならないようにして変換分散画像に変換する。
また、上記の各実施形態では、肉眼(可視光下)では認知できない画像を、赤外線吸収色素を含むBkインクで印刷した黒と、赤外線吸収色素を含まないCインク、MインクおよびYインクで印刷した黒とを用いて表現している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、肉眼(可視光下)では認知できない画像を、紫外線吸収色素(蛍光染料)を含むBkインクで印刷した黒と、紫外線吸収色素を含まないCインク、MインクおよびYインクで印刷した黒とを用いて表現してもよい。この場合、赤外線撮像装置の代わりに紫外線撮像装置を利用して、肉眼では認知できない画像を撮像する。
1、1a…保証マーク発行システム、2、2a…保証マーク検証システム、3…保証マーク管理サーバ、4…ネットワーク、11、11a…発行装置、12…印刷機、21、21a…検証装置、22…赤外線撮像装置、22a…赤外線・可視光線撮像装置、111、211…GUI部、112、212…ネットワークIF部、113、116、213、216…演算部、114、117、214、217…記憶部、115…印刷制御部、215…撮像制御部