JP2006232591A - 鋳造装置及び多結晶シリコンインゴットの鋳造方法 - Google Patents

鋳造装置及び多結晶シリコンインゴットの鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン融液の鋳型への注湯衝撃で発生する、離型材の剥離や異物の混入を極力防止することで、異物混入量が低く、異物混入量が低く高品質の多結晶シリコンインゴットを鋳造するのに適した鋳造装置及び多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を提供する。
【解決手段】溶融坩堝1aの内部に保持したシリコン原料を、加熱溶融してシリコン融液5を形成し、このシリコン融液5を内側に離型材7aが設けられた鋳型7に注湯して、鋳型7内で凝固させる多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、溶融坩堝1aから鋳型7へとシリコン融液5を注湯するときに、このシリコン融液5に螺旋流Fを形成させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、異物混入の少ない高品質の多結晶シリコンインゴットを鋳造するのに適した鋳造装置及び多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に関する。
太陽電池はクリーンな石油代替エネルギー源として小規模な家庭用から大規模な発電システムまでの広い分野でその実用化が期待されている。これらは使用原料の種類によって結晶系、アモルファス系、化合物系などに分類され、現在市場に流通しているものの多くは結晶系シリコン太陽電池である。この結晶系シリコン太陽電池は、さらに単結晶型と多結晶型に分類されている。単結晶シリコン太陽電池は基板の品質がよいために変換効率の高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造コストが高いという短所を有する。これに対して多結晶シリコン太陽電池は従来から市場に流通してきたが、近年、環境問題への関心が高まる中でその需要は増加し、より低コストで高い変換効率が求められている。このような要求に対処するためには、シリコン中に混入する異物の低減化が重要な要素となっている。
ところで、上述した多結晶シリコン太陽電池に用いる多結晶シリコン基板は一般的にキャスティング法と呼ばれる方法で製造される。このキャスティング法とは、離型材を塗布した鋳型内にシリコン融液を注湯し、冷却固化することによってシリコンインゴットを形成する方法である。このシリコンインゴットの端部を除去して所望の大きさに切断して切り出し、切り出したインゴットを所望の厚みにスライスして太陽電池を形成するための多結晶シリコン基板を得る。
図6に特許文献1に記載されているシリコンなどを鋳造する従来の鋳造装置を示す。
鋳造装置の上部にシリコン原料を溶融するための溶融坩堝101aが保持坩堝101bに保持されて配置され、溶融坩堝101aと保持坩堝101bの底部にはシリコン融液を注湯するための注湯口103を有するノズル部102が設けられる。また、溶融坩堝101a、保持坩堝101bの上部と側部にはそれぞれ上部加熱手段104a、側部加熱手段104bが配置され、溶融坩堝101a、保持坩堝101bの下部にはシリコン融液105が注ぎ込まれる鋳型107が配置される。溶融坩堝101aは耐熱性能とシリコン融液中に不純物が拡散しないことなどを考慮して、例えば高純度の石英などが用いられる。保持坩堝101bは石英などでできた溶融坩堝101aがシリコン融液近傍の高温で軟化してその形状を保てなくなるため、これを保持するためのものであり、その材質はグラファイトなどが用いられる。上部加熱手段104a、側部加熱手段104b、例えば抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルなどが用いられる。
上記の溶融坩堝101a、保持坩堝101bの下部に配置された鋳型107は石英などからなり、その内側に酸化珪素や窒化珪素などを主成分とする離型材107aを塗布して用いられる。また、この鋳型107の周りには抜熱を抑制するため鋳型断熱材(不図示)が設置される。鋳型断熱材は耐熱性、断熱性などを考慮してカーボン系の材質が一般的に用いられる。また、鋳型107の下方には注湯されたシリコン融液を冷却・固化するための冷却板(不図示)が設置される場合もある。なお、これらはすべて真空容器(不図示)内に配置される。
図6で示される鋳造装置を用いてシリコンインゴットを作製する場合、次のような手順となる。まず、溶融坩堝101aの底部に設けたノズル部102の注湯口103をシリコン原料106で塞いでおき、その上で溶融坩堝101a内にシリコン原料を投入する。その後、上部加熱手段104aと側部加熱手段104bで溶融坩堝101a内の上部のシリコン原料から下部のシリコン原料へと徐々に溶融させる。ノズル部102の注湯口に近い原料は低温に保って、溶融坩堝101aの中で溶融されたシリコン融液105が注湯するのを防ぐ。その後、溶融坩堝101a内のシリコン原料がすべて溶融したのちに、注湯口を塞ぐシリコン原料106を最後に溶融させる。このようにすることによって、溶融坩堝101aのシリコン原料が完全に融液となった瞬間に注湯が開始されることからシリコン原料溶融後の注湯を効率よく行うことができる。また、溶融坩堝101aの底部から垂下するようにノズル部102を設けることにより、注湯したシリコン融液の飛散を防止している。
注湯後は、鋳型107内のシリコンを底部から冷却して一方向凝固させた後、炉外に取り出せる温度まで温度制御しながら徐冷し、最終的に炉外に取り出して鋳造が完了する。
特開2003−247783号公報 特開平11−180711号公報 15th Photovoltaic Specialists Conf. (1981), P576〜P580, "A NEW DIRECTIONAL SOLIDIFICATION TECHNIQUE FOR POLYCRYSTALLINE SOLAR GRADE SILICON"
しかしながら、離型材107aを塗布した鋳型107内にシリコン融液を注湯する上記鋳造方法においては、鋳型107内に落下するシリコン融液の衝撃により鋳型内壁にコーティングした離型材107aが剥離し、この剥離した異物が凝固したシリコンインゴット内に捕捉され、製品品質を劣化させる原因になっていた。すなわち、シリコン融液が落下した鋳型107内の部位において機械的、熱的負荷を受け易くなり、特に、鋳型壁面に形成されていた離型材107aはクレーター状に変形を生じ、また、場合によっては離型材107aが剥がれ、シリコンインゴット内に捕捉される可能性があり、シリコンインゴットの不良が増加したり、特性を低下させたりするという問題がある。また、ある一部の離型材107aが損傷剥離すると、その部分の抜熱能力が上がる結果となり太陽電池用インゴットの品質低下を招くことがある。また、極端な場合には熱応力によるシリコンインゴットのクラックや、離型材損傷により鋳型基材とシリコンインゴットの融着を引き起こす可能性もある。
このような問題を解決するために、例えば特許文献2では、図7に示すようにシリコン融液を保持した溶融坩堝201を傾動して、溶融坩堝201上縁に設けられた注湯口203先端と、鋳型207上縁とが限りなく近接せしめ、低い位置からシリコン融液205を鋳型207内に注湯することを可能とした鋳造装置を提案している。このような機構を有する鋳造装置であれば、注湯初期に起る離型材の剥離を防止することができるとしている。しかしながら、特許文献2に記載されるような、溶融坩堝を傾動してシリコン融液を注湯する方式の鋳造装置は、溶融坩堝を傾動させるスペースや、大規模な駆動機構を必要とするため、装置が大型化し製造コストが嵩むという問題がある。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、底部に注湯口を持つ溶融坩堝内でシリコン原料を保持・溶融させた後、前記溶融坩堝下方に位置する鋳型にシリコン融液を注湯し、鋳型内でシリコンを凝固させる鋳造装置を用いた鋳造方法において、装置を大型化することなくシリコン融液の鋳型への注湯衝撃により発生する離型材の剥離や異物の混入を極力防止可能な鋳造装置を提供するとともに、異物混入量が低く、結晶性が高い高品質の多結晶シリコンを安価で容易に製造できる多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、発明者は流体力学の見地から次のように検討を行った。
一般的に、流体力学的に直線円管内の速度分布は、流体の内部摩擦に基づく圧力損失をあらわす理論式であるハーゲン−ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)の式に従い表すことができる。すなわち、直線円管内の速度分布は回転放射面となり、中心の流速が最も速く(流量が多く)、壁面部分は最も遅く(流量が少なく)なることが知られている。したがって、上記鋳造方法においては、ノズル部102の流出口から吐出したシリコン融液のうち、ノズル102の中心部から吐出されるシリコン融液は、重力方向のみ速度成分をもつ直線流となるため、鋳型内に流下したシリコン流は、鋳型底部の一点に集中して落下しているものと考えられる。
発明者はこの知見をもとに検討と実験を繰り返し行い、以下に示す本発明の構成に到達した。即ち、本発明の請求項1に係る鋳造装置は、内部にシリコン原料を保持して溶融させ、底部に設けられた注湯口から出湯させる溶融坩堝と、前記溶融坩堝内の前記シリコン原料を加熱してシリコン融液とするための加熱手段と、前記溶融坩堝の外側において、前記注湯口を覆うように垂下して備えられた注湯管と、前記注湯管の下方に備えられ、内側に離型材が設けられた鋳型と、前記鋳型に注湯するシリコン融液に螺旋流を発生させる螺旋流発生手段と、を具備して成る。
本発明の請求項2に係る鋳造装置は、請求項1に記載の鋳造装置において、前記螺旋流発生手段は、前記注湯管内に設けられた螺旋状の通路である。
本発明の請求項3に係る鋳造装置は、請求項1に記載の鋳造装置において、前記螺旋流発生手段は、前記注湯管内の壁面に固定保持された螺旋状のフィンである。
本発明の請求項4に係る鋳造装置は、請求項1に記載の鋳造装置において、前記螺旋流発生手段は、前記注湯管内の壁面に加工された螺旋状の溝である。
本発明の請求項5に係る鋳造装置は、請求項1に記載の鋳造装置において、前記螺旋流発生手段は、前記注湯管の出口部に配置されるとともに、この注湯管から前記鋳型に落下するシリコン融液に不活性ガスを吹きつけて旋回力を付与せしめるガス供給孔である。
本発明の請求項6に係る多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、溶融坩堝の内部に保持したシリコン原料を、加熱溶融してシリコン融液を形成し、このシリコン融液を内側に離型材が設けられた鋳型に注湯して、鋳型内で凝固させる多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、前記溶融坩堝から前記鋳型へと前記シリコン融液を注湯するときに、このシリコン融液に螺旋流を形成させるようにした。
本発明の鋳造装置は、内部にシリコン原料を保持して溶融させ、底部に設けられた注湯口から出湯させる溶融坩堝と、前記溶融坩堝内の前記シリコン原料を加熱してシリコン融液とするための加熱手段と、前記溶融坩堝の外側において、前記注湯口を覆うように垂下して備えられた注湯管と、前記注湯管の下方に備えられ、内側に離型材が設けられた鋳型と、前記鋳型に注湯するシリコン融液に螺旋流を発生させる螺旋流発生手段と、を具備して成る。
また、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、溶融坩堝の内部に保持したシリコン原料を、加熱溶融してシリコン融液を形成し、このシリコン融液を内側に離型材が設けられた鋳型に注湯して、鋳型内で凝固させる多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、前記溶融坩堝から前記鋳型へと前記シリコン融液を注湯するときに、このシリコン融液に螺旋流を形成させるようにした
本発明の鋳造装置、及び本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、このような構成としたので、例えば、注湯管内を重力方向に流下するシリコン融液に対し、例えば、本発明の鋳造装置に係る螺旋流発生手段によって、流束と直交する向きの旋回力を有する螺旋流を形成させることができる。そのため、注湯管から吐出するシリコン融液の流れは螺旋を描くように回転運動しながら落下していき、注湯管流出口から吐出したシリコンの流れは、外向きに遠心力を受け、シリコン融液の重力方向の速度成分が水平方向に分散される。その結果、注湯管から流出したシリコン融液が鋳型底部の一点に集中して落下せず、ある程度広がって落下するため、落下した部位において機械的、熱的負荷を抑え、鋳型壁面に形成された離型材がクレーター状に変形を生じたり、また、場合によっては離型材が剥がれたりして、シリコンインゴット内に捕捉されるといった問題を抑えることが可能になる。このように離型材の剥離損傷を抑えることができるので、剥離損傷部の抜熱能力が部分的に変わって太陽電池用インゴットの品質低下を招いたり、熱応力によるクラックや、離型材損傷により鋳型基材とシリコンインゴットの融着を引き起こしたりする問題を抑制することができる。
このような本発明の鋳造装置、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を用いて製造した多結晶シリコンインゴットは、含有異物量が非常に少ないので、異物の少ない高品質の多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコン基板を高い歩留りで得ることができる。このような高品質の多結晶シリコン基板を用いて形成した太陽電池素子は、良好な特性を有する。
以下、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係る鋳造装置の一実施形態を示す縦断面図であり、1aは溶融坩堝、1bは保持坩堝、2は注湯管、3は注湯口、4は加熱手段(上部加熱手段4a及び側部加熱手段4b)、5はシリコン融液、6は注湯口を塞ぐシリコン原料、7は鋳型、7aは離型材、8は鋳型上部加熱手段、9は鋳型断熱材、Fは螺旋流を示す。
溶融坩堝1aは、投入されたシリコン原料を内部に保持して加熱溶融し、得られたシリコン融液5を鋳型7に注湯するものである。なお、溶融坩堝1aで溶融されて鋳型7に注湯されたシリコン融液5が冷却・凝固したシリコンインゴットは、例えば太陽電池用多結晶シリコン基板材料などに用いられる。
溶融坩堝1aは通常、高純度の石英などが用いられるが、シリコン原料の融解温度以上の温度において、融解、蒸発、軟化、変形、分解などを生じにくく、かつ太陽電池特性を落とさない純度であれば特に限定されない。また、溶融坩堝1aは高温になると軟化して、形を保てないために、グラファイトなどからなる保持坩堝1bで保持される。また、溶融坩堝1a、保持坩堝1bの寸法は、一度に溶融する溶融量に応じたシリコン原料を内包できる寸法とする必要がある。シリコン原料の溶融量は、およそ1kgから150kgの範囲である。
また、溶融坩堝1a内のシリコン原料を加熱してシリコン融液とするための加熱手段4として、溶融坩堝1a、保持坩堝1bの上部と側部にはそれぞれ上部加熱手段4a、側部加熱手段4bが配置されている。これらの加熱手段4によって、溶融坩堝1a内部のシリコン原料を加熱溶融して、シリコン融液5とする。なお、これらの加熱手段4としては、例えば、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルなどを用いることができる。
溶融坩堝1aの底部にはシリコン融液5を注湯する注湯口3が設けられている。そして注湯口3には、シリコン原料及び溶融したシリコン融液が注湯口から落ちないように注湯口を塞ぐシリコン原料6を設置している。
溶融坩堝1aの底部に設ける注湯口3の位置は溶融坩堝1a内の最低部であれば、横断面図上の如何なる位置でも構わないが、溶融坩堝1a内での水平方向の温度分布を考慮すれば中心位置に設けることが望ましい。また、注湯初期においては、注湯口3を通過するシリコン融液5は液位による圧力によって押し出されるが、注湯後期には液位による圧力がほとんどなくなるために、自重による落下で注湯口3から流れ出るようになる。したがって、無駄なく注湯させるためには、溶融坩堝1aの底部は注湯口3に向かって下がるようなある一定以上の傾斜があるほうが好ましい。なお、溶融坩堝1aの本体の形状は特に図や上記説明に限定されるものではない。
さらに、溶融坩堝1aの外側において、注湯口3を覆うように垂下して備えられた注湯管2が設けられている。さらに詳細は後述するが、この注湯管2には、シリコン融液がこの注湯管2を経由して落下する際に、シリコン融液に螺旋流を発生させる螺旋流発生手段が設けられている。なお、注湯管2の材質は、シリコン融液の熱に耐えうる材質であれば種類を問わないが、例えば、石英を用いることが望ましい。なお、溶融坩堝1aと一体成型しても構わないし、後で溶接などによって取り付けるようにしても構わない。
注湯管2の下方には鋳型7が配置されている。鋳型7は、石英や黒鉛などの耐熱性の材質からなり、内面には離型材7aの層が設けられている。この離型材7aによって、鋳型7の内部のシリコン融液5を凝固した後に、鋳型7の内壁とシリコンインゴットとが融着することを防ぐことができる。離型材7aの材質としては、例えば、窒化シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、酸化珪素(SiO)などによって形成することができる。この離型材7aの層を設ける方法としては、上述の粉末を適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合、攪拌してスラリーとし、塗布もしくはスプレーなどの手段でコーティングすることが公知の技術として知られている(例えば、非特許文献1参照)。
鋳型断熱材9は、鋳型7の側壁からの抜熱を抑制するものであり、耐熱性、断熱性などを考慮して主成分としてカーボンを含む材質、例えばグラファイトフェルトなどが用いられる。
なお、鋳型7に下方から上方への温度勾配を与えて鋳型内部のシリコン融液の一方向凝固を促進するため、鋳型7を上方から加熱する鋳型加熱手段8や、鋳型7を載置させて底部から冷却する冷却板(不図示)を備えるようにすることが望ましい。このような鋳型加熱手段8としては、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルなどが用いられる。また、冷却板としては、例えばステンレス(SUS)などの金属板を用いることができ、内部に水などの冷媒を循環させるなどして、鋳型7の内部のシリコン融液5から効果的に抜熱できるように構成されている。なお、これらはすべて真空容器(不図示)内に配置される。
以上、簡単に本発明の鋳造装置の一般的な構造について説明した。次に、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法について説明し、本発明に係る螺旋流発生手段について詳細に説明する。本発明の鋳造装置は、上述の鋳造装置の基本構成に加えて、さらに螺旋流発生手段を備えているので、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を容易に実現することができる。
図1に示すように、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、溶融坩堝1aの内部に保持したシリコン原料を、加熱溶融してシリコン融液5を形成し、このシリコン融液5を内側に離型材7aが設けられた鋳型7に注湯して、鋳型7内で凝固させる多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、溶融坩堝1aから鋳型7へとシリコン融液5を注湯するときに、このシリコン融液5に螺旋流Fを形成させるようにする。このような螺旋流は、溶融坩堝1aから鋳型7へと注湯されるシリコン融液の流束と直交する向きの旋回力を有している。そのため、注湯管2から吐出するシリコン融液の流れは螺旋を描くように回転運動しながら落下していき、注湯管2流出口から吐出したシリコンの流れは、外向きに遠心力を受け、シリコン融液の重力方向の速度成分が水平方向に分散される。
その結果、注湯管2から流出したシリコン融液は、鋳型7の底部の一点に集中して落下せず、ある程度広がって落下するようになる。そして、落下した鋳型7の部位において機械的、熱的負荷を抑え、鋳型7壁面に形成された離型材7aがクレーター状に変形を生じたり、また、場合によっては離型材7aが剥がれたりして、シリコンインゴット内に捕捉されるといった問題を抑えることが可能になる。このように、離型材7aの剥離損傷を抑えることができるので、剥離損傷部の抜熱能力が部分的に変わって太陽電池用インゴットの品質低下を招いたり、熱応力によるクラックや、離型材損傷により鋳型基材とシリコンインゴットの融着を引き起こしたりする問題を抑制することができる。
図2に本発明の鋳造装置に係る螺旋流発生手段の一例を示すため、本発明に係る注湯管の部分拡大断面図を示す。この図に示す例における螺旋流発生手段は、注湯管2の内壁にシリコン注湯管の軸心を中心とした螺旋状の通路10を設けたものである。これにより、シリコン融液が注湯管2を通過するときに螺旋状の通路10を通って螺旋流Fが発生し、流出口から落下するシリコン融液は渦を巻いて落下していく。このような機構を有する本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法によれば、注湯管から吐出したシリコン融液が鋳型内に流下する際に、シリコン融液の速度成分が分散して流下し、鋳型底部の一点に集中して落下せず、シリコン融液をある程度広がった状態で落下させることが可能となる。したがって、シリコン融液が落下した鋳型内の部位において機械的、熱的負荷を抑えることができるから、鋳型壁面に形成された離型材が剥がれたり、シリコンインゴット内に捕捉されたりするといった問題を極力抑えることが可能になる。
また、図3に螺旋流発生手段の別の例を示す。図に示す例における螺旋流発生手段は、注湯管2の内壁面に固定保持された螺旋状のフィン11である。この構成によれば、注湯管2内を重力方向に流下するシリコン融液に対し、螺旋状のフィン11によって、流束と直交する向きに旋回力が与えられる。したがって、注湯管2から吐出するシリコン融液の流れは螺旋を描くように回転運動しながら落下していく。よって、注湯管2流出口から吐出したシリコンの流れは、外向きに遠心力を受けるので、シリコン融液の下向きの速度成分が分散され、鋳型底部の一点に集中して落下せず、シリコン融液をある程度広がった状態で落下させることが可能となる。
また、図4に螺旋流発生手段のさらに別の例を示す。図に示す例における螺旋流発生手段は、注湯管2の内壁面に加工された螺旋状の溝12である。この構造においても、注湯管2から吐出するシリコン融液の流れは螺旋を描くように回転運動しながら落下していく。よって、注湯管2流出口から吐出したシリコンの流れは、外向きに遠心力を受けるので、シリコン融液の下向きの速度成分が分散され、鋳型底部の一点に集中して落下せず、シリコン融液をある程度広がった状態で落下させることが可能となる。
図2、図3、図4に記載した螺旋流発生手段は、いずれも注湯管2の内部に設け、シリコン融液と接触して、旋回力を与えるものであるため、耐熱性の材質によって構成することが望ましい。具体的には、注湯管2と同じ材質とすることが望ましく、例えば、石英などによって形成することができる。
次に、図5に螺旋流発生手段のさらに別の例を示す。図に示す例における螺旋流発生手段は、シリコン融液に対して非接触で螺旋流を生じさせるものであり、具体的には、単孔式の注湯管2の出口部にガス供給孔13を設けた構造となっている。このガス供給孔13は、この注湯管2から鋳型に落下するシリコン融液にArガス等の不活性ガスを吹きつけて旋回力を付与させる位置に設けられている。この構造によれば、注湯管2流出口から吐出したシリコンの流れに対して不活性ガスが吹き付けられ、外向きに遠心力を受けるので、シリコン融液の下向きの速度成分が分散され、鋳型底部の一点に集中して落下せず、シリコン融液をある程度広がった状態で落下させることが可能となる。
また、ガス供給孔13は重力方向に流下するシリコン融液の流束に対し、30°以上90°未満の方向から不活性ガスを吹きつけられる位置に設置することが望ましい。さらに、ガス供給孔13を一箇所に備えるようにして、落下するシリコン融液に対してその箇所から吹き付けるようにしても良いが、落下するシリコン融液に対して、複数箇所から吹き付けられるように所定の複数箇所にガス供給孔13を設ければ、シリコン融液に旋回力を付与する際の自由度が高くなるので望ましい。また、吹き付ける角度や流量を調節可能とすれば、自由度がさらに高くなるのでより好ましい。
以上のようにして、本発明の鋳造装置及び多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を実現することができる。
なお、本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。
例えば、本発明は溶融坩堝1aの底部に注湯口3を設けた鋳造装置を用いて説明を行なったが、この構成に限るものではない。即ち、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、鋳型に注湯するシリコン融液に螺旋流を形成することを要旨とするものであり、例えば、図7に示すような溶融坩堝上縁に設けられた注湯口より溶融坩堝を傾動して鋳型にシリコン融液を注湯する鋳造装置であっても構わない。
また、注湯管だけでなく、溶融坩堝内に注湯口に向かって螺旋状の溝等を設けて、シリコン融液を鋳型に注湯するようにしても構わない。
さらに、上述の説明では溶融坩堝1aの底部に注湯口をふさぐシリコン原料6を配置した例によって説明したが、これに限るものではなく、例えば、注湯管2の内部にシリコン栓を配置し、シリコン融液の漏出を防ぐようにしても構わない。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1に示す本発明の実施形態に係る鋳造装置と、図2に示す本発明に係る注湯管及び螺旋流発生手段によって、以下に示す条件で本発明に係る多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を実施し、多結晶シリコン基板を作製した。
溶融坩堝1a内にシリコン原料を100kg充填し、上部加熱手段4aと側部加熱手段4bでシリコン原料を加熱溶融させた。溶融坩堝1a内で加熱溶融して得たシリコン融液5を鋳型7内に注湯した。注湯管2の内部には、この注湯管2の軸心を中心として、図2に示される螺旋状の通路10が設けられており、シリコン融液はこの通路に沿って旋回しながら注湯管2内部を巡り、注湯管2の流出口から螺旋流となった状態で、鋳型7内に注湯された。
その後、溶融坩堝1a底部の注湯口3の鉛直上方から下部に向けてArを流入しながら、鋳型7の底部から上部にかけてシリコン融液5の一方向凝固を行い、多結晶シリコンインゴットを得た。さらに、この多結晶シリコンインゴットの端部を除去した後、スライスして多結晶シリコン基板を得た。
次に比較例(従来例)として、図6に示す従来の方法を用いて、図2に示す本発明に係る注湯管及び螺旋流発生手段を設けないことを除いて全く実施例に同様にして多結晶シリコンインゴットを得た。さらに、この多結晶シリコンインゴットの端部を除去した後、スライスして実施例と同サイズの多結晶シリコン基板を得た。
以上の方法によって得られた多結晶シリコン基板の異物量を計測した結果、実施例においては10μm以上の異物が0.01個/cmであったのに対し、従来例では、0.07個/cmであった。また、これらの基板を用いて、一般的なバルク型太陽電池素子を作製し、その特性として太陽電池変換効率を評価した。その結果、実施例においては、変換効率15.9%、従来例では15.3%であった。
このように、実施例の、本発明に係る多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を用いて形成した太陽電池素子は、従来例のものよりも良好な特性が得られた。これは、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法により、シリコン融液の鋳型への注湯衝撃で、シリコンインゴット内に捕捉される異物が極めて少なくなった結果、太陽電池変換効率を低下させる“異物部分でのリーク成分”が減少したためと推測される。
以上のように実施例により本発明の効果を確認することができた。
本発明の鋳造装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る注湯管と螺旋流発生手段の実施形態を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る注湯管と螺旋流発生手段の他の実施形態を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る注湯管と螺旋流発生手段の他の実施形態を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る注湯管と螺旋流発生手段の他の実施形態を示す部分拡大断面図である。 従来の鋳造装置の実施形態を示す概略断面図である。 従来の鋳造装置の実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1a:溶融坩堝
1b:保持坩堝
2 :注湯管
3 :注湯口
4 :加熱手段
4a:上部加熱手段
4b:側部加熱手段
5 :シリコン融液
6 :注湯口を塞ぐシリコン原料
7 :鋳型
8 :鋳型上部加熱手段
9 :鋳型断熱材
10 :螺旋流発生手段の一例である螺旋状の通路
11 :螺旋流発生手段の一例である螺旋状のフィン
12 :螺旋流発生手段の一例である螺旋状の溝
13 :螺旋流発生手段の一例であるガス供給孔
101a:溶融坩堝
101b:保持坩堝
102 :注湯管
103 :注湯口
104a:上部加熱手段
104b:側部加熱手段
105 :シリコン融液
106 :注湯口を塞ぐシリコン原料
107 :鋳型
201 :溶融坩堝
203 :注湯口
205 :シリコン融液
207 :鋳型
F :螺旋流

Claims (6)

  1. 内部にシリコン原料を保持して溶融させ、底部に設けられた注湯口から出湯させる溶融坩堝と、
    前記溶融坩堝内の前記シリコン原料を加熱してシリコン融液とするための加熱手段と、
    前記溶融坩堝の外側において、前記注湯口を覆うように垂下して備えられた注湯管と、
    前記注湯管の下方に備えられ、内側に離型材が設けられた鋳型と、
    前記鋳型に注湯するシリコン融液に螺旋流を発生させる螺旋流発生手段と、を具備して成る鋳造装置。
  2. 前記螺旋流発生手段は、前記注湯管内に設けられた螺旋状の通路である請求項1に記載の鋳造装置。
  3. 前記螺旋流発生手段は、前記注湯管内の壁面に固定保持された螺旋状のフィンである請求項1に記載の鋳造装置。
  4. 前記螺旋流発生手段は、前記注湯管内の壁面に加工された螺旋状の溝である請求項1に記載の鋳造装置。
  5. 前記螺旋流発生手段は、前記注湯管の出口部に配置されるとともに、この注湯管から前記鋳型に落下するシリコン融液に不活性ガスを吹きつけて旋回力を付与せしめるガス供給孔である請求項1に記載の鋳造装置。
  6. 溶融坩堝の内部に保持したシリコン原料を、加熱溶融してシリコン融液を形成し、このシリコン融液を内側に離型材が設けられた鋳型に注湯して、鋳型内で凝固させる多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、
    前記溶融坩堝から前記鋳型へと前記シリコン融液を注湯するときに、このシリコン融液に螺旋流を形成させるようにした多結晶シリコンインゴットの鋳造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106424576A (zh) * 2016-12-16 2017-02-22 东北大学 一种基于下铸法的旋流式铸造装置

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