JP2006231111A - フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造コストを上昇させることなく、フィルタ有効面積を拡大することができ、その結果、流体に含まれる被捕集物の捕集に伴うフィルタ抵抗の上昇を抑制することができるフィルタを提供する。
【解決手段】流体が内部を流れる際に、流体に含まれる被捕集物を捕集するフィルタ1であって、流体流れ方向に延びる枠体により形成されるケーシング2と、ケーシング2の内面に対して空隙をおいて設けられるとともに、流体流れ方向の下流側で開口した空間が内部に形成され、少なくともケーシング2の内面と対向する面が、流体が通過するフィルタ面となり、そのフィルタ面の総面積が内部空間における側面の総面積よりも大きいフィルタ壁部3と、フィルタ壁部3の周囲の空隙をケーシング2の下流側で閉じる下流側閉鎖部3cと、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】流体が内部を流れる際に、流体に含まれる被捕集物を捕集するフィルタ1であって、流体流れ方向に延びる枠体により形成されるケーシング2と、ケーシング2の内面に対して空隙をおいて設けられるとともに、流体流れ方向の下流側で開口した空間が内部に形成され、少なくともケーシング2の内面と対向する面が、流体が通過するフィルタ面となり、そのフィルタ面の総面積が内部空間における側面の総面積よりも大きいフィルタ壁部3と、フィルタ壁部3の周囲の空隙をケーシング2の下流側で閉じる下流側閉鎖部3cと、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばディーゼルエンジンの排ガスを浄化するDPF装置などに用いられ、流体としての排ガスに含まれるススなどを捕集するフィルタに関する。
一般に、DPF(Diesel Particulate Filter)装置は、ディーゼルエンジンの排気管などに設けられ、排ガスに含まれる粒子状物質であるススなどを捕集することにより、大気中へのススの放出を防止するものである。このようなDPF装置のフィルタは、多孔質のセラミックなどで構成されており、従来、例えば特許文献1および2に開示されたものが知られている。なお、以下の説明では、本発明との対比を容易にするために、互いに外形およびサイズが同一のフィルタをそれぞれ図示して説明するものとする。
図7は、特許文献1のフィルタを示している。同図に示すように、このフィルタ11は、角柱状に形成されており、その内部の所定スペース、具体的には、同図(a)〜(c)の二点鎖線で囲まれたスペース(以下、本明細書において「フィルタスペースFS」という)には、格子状に配置された仕切壁12によって、複数(図7では縦4列、横4列の計16個)の排ガス通路13が画成され、フィルタ11の長さ方向に沿って、互いに平行に延びている。各排ガス通路13は、その横断面がほぼ正方形に形成され、一端部が開放するとともに他端部が閉鎖している。具体的には、排ガスが流入する上流側(同図(b)、(d)の左側)の端部が開放した排ガス通路13(以下「流入通路13A」という)は、下流側(同図(b)、(d)の右側)の端部が閉鎖し、フィルタスペースFSに8つ設けられている。逆に、下流側の端部が開放した排ガス通路13(以下「流出通路13B」という)は、上流側の端部が閉鎖し、上記流入通路13Aと同様に、フィルタスペースFSに8つ設けられている。そして、これらの流入通路13Aおよび流出通路13Bは、交互に隣接するように、市松模様状に配置されている。
このように構成されたフィルタ11では、流入通路13Aと流出通路13Bとを仕切る仕切壁12が、排ガスを浄化するための実質的なフィルタとしての役割を果たす。すなわち、図7(d)に示すように、開口13aを介して流入通路13Aに流入した排ガスは、仕切壁12の多数の細孔(図示せず)を通って流出通路13Bに流れ、開口13bを介して、フィルタ11の外部に排出される。このように、排ガスがフィルタ11を通過する際に、排ガス中のススなどが仕切壁12に捕集され、これにより、排ガスが浄化される。なお、図7(d)などに示す矢印は、排ガスが流れる向きを示し、また、「○」の内側に「×」を表記した記号は、図面の表側から裏側に向かって、「・」を表記した記号は、図面の裏側から表側に向かって、排ガスが流れることを示している。
また、上記フィルタ11を製造する場合にはまず、所定の材料を押出成形することにより、完成時に排ガス通路13となる複数の貫通した通路を有する半製品フィルタを作製する。その後、半製品フィルタの両端面において、各通路の一方の開口を閉鎖する加工処理を施すことにより、流入通路13Aおよび流出通路13Bを前述したように形成する。
一方、図8は、特許文献2のフィルタを示している。同図に示すように、このフィルタ21のフィルタスペースFSには、所定の形状に配置された仕切壁22により、複数の排ガス通路23がフィルタ21に沿って延びるように画成されている。具体的には、これらの排ガス通路23は、上流側(同図(b)、(d)の左側)の端部が開放し、下流側(同図(b)、(d)の右側)の端部が閉鎖した複数の流入通路23Aと、逆に、下流側の端部が開放し、上流側の端部が閉鎖した複数の流出通路23Bとで構成されている。同図(d)に示すように、各流入通路23Aを構成する上下の仕切壁22a、22bは、下流側に向かって互いに接近し、両者の下流側の端部同士が接合している。そして、上下方向に隣接する流入通路23A、23Aの間、これに加えて、流入通路23Aとフィルタ21の上側および下側の外壁21cとの間に、流出通路23Bがそれぞれ画成されている。このように、フィルタ21では、各流入通路23Aおよび流出通路23Bが、開放した端部から閉鎖した端部に向かって高さ寸法が短くなる楔状に形成されている。
また、フィルタ21では、図8(a)、(c)に示すように、左右方向に隣接する流入通路23A同士、および流出通路23B同士が、上下方向に半ピッチずれていて、流入通路23Aおよび流出通路23Bが、左右の一方の側に縦に4つ、他方の側に縦に5つずつ配置されている。縦に5つ配置された流入通路23Aの最上位および最下位のものは、他の流入通路23Aに対し、高さが半分に形成されていて、このことは、流出通路23Bも同様である。したがって、フィルタ21のフィルタスペースFSに形成された流入通路23Aおよび流出通路23Bの実質的な数は、上記特許文献1のフィルタ11のそれらと同じ8つずつである。
上記のように構成されたフィルタ21では、特許文献1のフィルタ11と同様に、流入通路23Aと流出通路23Bとを仕切る仕切壁22が、実質的なフィルタとしての役割を果たす。すなわち、図8(d)に示すように、開口23aを介して流入通路23Aに流入した排ガスは、上下の仕切壁22a、22b、および中央の仕切壁22cの多数の細孔(図示せず)を通って流出通路23Bに流れ、開口23bを介して、フィルタ21の外部に排出される。このように、排ガスがフィルタ21を通過する際に、特許文献1のフィルタ11と同様に、排ガスが浄化される。
また、上記フィルタ21の中央の仕切壁22cでは、流入通路23Aと流出通路23Bを仕切る部分のみが、実質的なフィルタとして機能し、それ以外の部分は、フィルタとして機能しない。これは、中央の仕切壁22cの同じ通路同士を仕切る部分、すなわち流入通路23A、23A同士を仕切る部分、および流出通路23B、23B同士を仕切る部分では、それらの部分の両側の通路間における排ガスの圧力が同一になるため、排ガスの移動が生じないからである。
以上のように、両フィルタ11、21では、フィルタスペースFSに配置された仕切壁12、22が、実質的なフィルタとしての役割を果たすものの、それら仕切壁12、22のフィルタとして有効な部分の面積(以下、本明細書において「フィルタ有効面積」という)は、十分とは言えない。すなわち、両フィルタ11、21では、流入通路13A、23Aおよび流出通路13B、23Bがそれぞれ、互いに同じ形状およびサイズで形成されているため、フィルタスペースFSにおいて、流入通路13A、23Aおよび流出通路13B、23Bが占める割合が非常に大きく、そのため、逆に、仕切壁12、22が占める割合が非常に小さい。しかも、フィルタ11では、8つの流出通路13Bのうち、外側に配置された4つの流出通路13Bが、フィルタ11の外壁11cに面し、一方、フィルタ21では、8つ全ての流出通路23Bが、フィルタ21の外壁21cに面している。そのため、各流出通路13B、23Bを画成する壁部では、流入通路13A、23Aとの間の仕切壁12、22の部分しか、フィルタとして利用できず、フィルタ11、21の外壁11c、21cに面する部分をフィルタとして利用することができない。以上のように、両フィルタ11、21では、フィルタ有効面積が不十分である。
また、フィルタ有効面積が不十分である場合には、排ガス中のススなどがフィルタ11、21の仕切壁12、22に捕集されるに従い、排ガスがフィルタ11、21の仕切壁12、22を通過する際の抵抗(以下、本明細書において「フィルタ抵抗」という)が増大し、それにより、排気管内のエンジンとフィルタ11、21間の排ガスの圧力が上昇する。その結果、エンジンの運転効率が低下してしまう。加えて、フィルタ11、21に捕集されたススなどを除去するための燃焼頻度が多くなり、その結果、燃費が悪化してしまう。
フィルタ有効面積を大きくするためには、例えば、フィルタ11、21のフィルタスペースFSにおいて、流入通路13A、23Aおよび流出通路13B、23Bのサイズを小さくし、それらをより多く形成することが有効である。しかし、その場合には、フィルタ11、21を製造するための金型などにおいて、各流入通路13A、23Aおよび流出通路13B、23Bを形成するための部分を微細化するとともに、その部分の強度を高める必要があるため、金型の製造コストが高くなり、その結果、フィルタ11、21の製造コストの上昇を招いてしまう。特に、フィルタ11を製造する場合には、押出成形で形成された各通路の一端部の開口を閉鎖する加工処理が必要であるため、流入通路13Aおよび流出通路13Bが増えた場合には、より多くの開口に対して加工処理を施さなければならず、製造コストがより上昇する。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、製造コストを上昇させることなく、フィルタ有効面積を拡大することができ、その結果、流体に含まれる被捕集物の捕集に伴うフィルタ抵抗の上昇を抑制することができるフィルタを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、流体が内部を流れる際に、流体に含まれる被捕集物を捕集するフィルタ1であって、流体流れ方向に延びる枠体により形成されるケーシング2と、ケーシング2の内面に対して空隙(実施形態における(以下、本項において同じ)流入通路4)をおいて設けられるとともに、流体流れ方向の下流側で開口した空間(流出通路5)が内部に形成され、少なくともケーシング2の内面と対向する面が、流体が通過するフィルタ面となり、そのフィルタ面の総面積が内部空間(流出通路5)における側面の総面積よりも大きいフィルタ壁部3と、フィルタ壁部3の周囲の空隙(流入通路4)をケーシング2の下流側で閉じる下流側閉鎖部3cと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ケーシングの内面に対し空隙をおいてフィルタ壁部が設けられることにより、ケーシングの内面とフィルタ壁部の間の空隙が、流体が流入する通路(以下、本明細書において「流入通路」という)となり、その下流側が下流側閉鎖部によって閉じられる。一方、フィルタ壁部の内部の空間が、その下流側で開口し、流体が流出する通路(以下、本明細書において「流出通路」という)となる。このフィルタ壁部では、少なくともケーシングの内面と対向する面が、流体が通過するフィルタ面となり、そのフィルタ面の総面積が流出通路の側面の総面積よりも大きくなっている。このようなフィルタに、被捕集物を含む流体が流れる際には、流入通路に流入した流体が、フィルタ壁部を介して、その内部の流出通路に流れ、下流側の開口を介して外部に流出するとともに、流体中の被捕集物がフィルタ壁部に捕集される。
上記のように、このフィルタでは、フィルタ壁部によって、流入通路と流出通路とが仕切られていて、流入通路に流入した流体は、フィルタ壁部全体を介して流出通路に流れるので、フィルタ壁部全体を実質的なフィルタとして機能させることができる。また、フィルタ壁部の外面であるフィルタ面の総面積(フィルタ有効面積)が、流出通路の側面、すなわちフィルタ壁部の内面の総面積よりも大きい。その結果、前述した従来のフィルタでは、仕切壁における流入通路側の面積と、流出通路側の面積が同じであるのに対し、上記構成のフィルタでは、フィルタ壁部のフィルタ面の面積、すなわち被捕集物を捕集する流入通路側の面積が、フィルタ壁部の内面の面積、すなわち流出通路側の面積よりも大きいので、被捕集物の捕集に伴うフィルタ抵抗の上昇を効果的に抑制することができる。しかも、フィルタ壁部を大きく形成することにより、流出通路の数を増加させることなく、従来のフィルタに比べて、フィルタ有効面積を拡大することができる。その結果、フィルタの初期の圧力損失を低減できるとともに、流体中の被捕集物の捕集に伴うフィルタ抵抗の上昇を抑制することができる。
請求項2に係る発明は、流体が内部を流れる際に、流体に含まれる被捕集物を捕集するフィルタ1であって、流体流れ方向に延びる枠体により形成されるケーシング2と、ケーシング2の内面に対して空隙(流入通路4)をおいて設けられ、空隙(流入通路4)に側面全体が晒されるとともに、流体流れ方向の下流側で開口した空間(流出通路5)が内部に形成されるフィルタ壁部3と、フィルタ壁部3の周囲の空隙(流入通路4)をケーシング2の下流側で閉じる下流側閉鎖部3cと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、上記請求項1と同様に、ケーシング内にフィルタ壁部が設けられることにより、ケーシングの内面とフィルタ壁部の間の空隙が流入通路となる一方、フィルタ壁部の内部の空間が流出通路となる。このフィルタでは、請求項1と同様に、フィルタ壁部全体を実質的なフィルタとして機能させることができ、フィルタ壁部の外側に流入通路が配置され、内側に流出通路が配置されるので、フィルタ壁部の内面よりも大きい外面がフィルタ有効面積となる。したがって、上記構成のフィルタによれば、上述した請求項1と同様の作用、効果を得ることができる。また、フィルタ壁部は、その側面全体が、ケーシングの内面との空隙に晒されるので、その空隙である流入通路が一つに連なった状態となり、それにより、流入通路に流入した流体を、フィルタ壁部の側面全体を介して、流出通路に円滑に流すことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のフィルタにおいて、フィルタ壁部3は、互いに間隔を隔てて複数設けられることを特徴とする。
この構成によれば、フィルタ壁部が、互いに間隔を隔てて複数設けられるので、フィルタ壁部が1つのみ設けられる場合に比べて、フィルタ壁部のフィルタ面の面積、すなわちフィルタ有効面積を、より拡大することができる。また、ケーシングと複数のフィルタ壁部の間の流入通路に加えて、フィルタ壁部同士の間にも流入通路が画成されるので、流入通路が増加し、その結果、流体が流入通路を流れる際の抵抗(以下、本明細書において「通路抵抗」という)を低減することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルタにおいて、フィルタ壁部3の周囲の空隙(流入通路4)の断面積を下流に向かうに従って狭くし、フィルタ壁部3の内部空間(流出通路5)の断面積を下流に向かうに従って広くしたことを特徴とする。
通常、流体がフィルタを流れる際、流入通路では、その流体の流量が、流入通路の上流側で多く、流体がフィルタ壁部を介して流入通路から流出通路に流れることで、流入通路の下流側で次第に少なくなる。一方、流出通路では、流入通路から流出通路に流れた流体が、流出通路の下流側に向かって集まるため、流体の流量が、流出通路の下流側で次第に多くなる。したがって、上記構成によれば、フィルタ壁部の周囲の空隙である流入通路の断面積を下流側に向かうに従って狭くし、フィルタ壁部の内部空間である流出通路の断面積を下流側に向かうに従って広くするので、流入通路および流出通路の形状が、上述した流体の流量の変化に合致し、それにより、フィルタに対し、流体を効率良く円滑に通過させることができる。また、流出通路の数を増加させることなくフィルタ有効面積を拡大するためには、フィルタ壁部はできるだけ大きく形成することが好ましく、具体的には、通路抵抗がフィルタ抵抗と同程度になるまで、フィルタ壁部を大きく形成することが好ましい。この際、フィルタ壁部を単純に拡大すると、通路抵抗が増加するが、流入通路および流出通路を上記のように形成することで、通路抵抗の増加を抑制でき、通路抵抗とフィルタ有効面積のバランスを良好にとることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のフィルタにおいて、フィルタ壁部3および下流側閉鎖部3cは、多孔質セラミックで構成されることを特徴とする。
この構成によれば、フィルタ壁部および下流側閉鎖部が、多孔質セラミックで構成されるので、フィルタ壁部の外面に加えて、下流側閉鎖部の内面もフィルタ面として機能させることができ、それにより、ケーシング内のフィルタ有効面積を、より拡大することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるフィルタを示している。このフィルタ1は、ディーゼルエンジンに接続された排気管に設けられるDPF装置(いずれも図示せず)などに適用されるものであり、エンジンからの排ガス(流体)が排気管内を流れ、DPF装置を通過する際に、排ガスに含まれる粒子状物質であるスス(被捕集物)などを捕集することにより、排ガスを浄化する。なお、詳細な説明は省略するが、このフィルタ1は、例えばコージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)などの多孔質セラミックから成り、所定の成形加工、例えば、スラリー化した材料を型に流し込み、有機溶剤で固めた後、焼成することなどによって製造される。
図1に示すように、フィルタ1は、図示しない排気管に沿って若干横長に延び、上流側(同図(b)、(d)の左側)の端部が開放した角筒状のケーシング2と、その内側に配置され、ケーシング2と同様に延びる複数の角筒状のフィルタ壁部3とを備えている。なお、このフィルタ1は、前述した特許文献1、2のフィルタ11、21との比較の便宜上、それらと外形およびサイズが同一に形成されているとともに、ケーシング2の内側のスペースの形状およびサイズもまた、上記フィルタ11、21のフィルタスペースFSと同一であるものとする。
フィルタ壁部3は、図1(a)に示すように、縦4列、横2列の計8つ設けられ、それぞれが互いに所定の間隔を隔て且つケーシング2の周壁部2aから所定の間隔を隔てた状態で、並設されている。また、各フィルタ壁部3は、厚さが比較的薄く、長さ方向(同図(b)、(d)の左右方向)にわたり、横断面が一定の横長矩形状に形成された周壁部3aを有し、その上流側の端部(以下「上流側閉鎖部3b」という)が閉鎖するとともに下流側の端部が開放している。さらに、各フィルタ壁部3の周壁部3aの下流側の端部は、ケーシング2の周壁部2aの下流側の端部に、下流側閉鎖部3cを介して接合されている。
そして、フィルタ1には、上記ケーシング2および8つのフィルタ壁部3により、上流端が開放するとともに、下流端が上記下流側閉鎖部3cで閉鎖された流入通路4が画成されている。より具体的には、ケーシング2の周壁部2aと各フィルタ壁部3の周壁部3aとの隙間、および互いに隣接するフィルタ壁部3、3の周壁部3a、3a同士の隙間が、上記流入通路4であり、フィルタ1を上流側から見たときの流入通路4の形状(図1(a)に示す形状)が、格子状に形成されている。また、各フィルタ壁部3の周壁部3aの内側には、上流端が上記上流側閉鎖部3bで閉鎖されるとともに、下流端が開放し、上流側から下流側にわたり、横断面が一定の横長矩形状の流出通路5が画成されている。このように、このフィルタ1では、流入通路4が各流出通路5を囲むように連通し、また、各フィルタ壁部3の周壁部3aの横断面において、その周壁部3aの外周の長さ、すなわち流入通路4側の周長が、周壁部3aの内周の長さ、すなわち流出通路5側の周長よりも、長く形成されている。つまり、周壁部3aの外周面の総面積が、内周面の総面積よりも大きく形成されている。なお、フィルタ1に設けられた流出通路5は、前述した特許文献1、2のフィルタ11、21のフィルタスペースFSに設けられた流出通路13B、23Bと同数の8つである。
以上のように構成されたフィルタ1では、8つのフィルタ壁部3が、排ガスを浄化するための実質的なフィルタとしての役割を果たす。つまり、多孔質セラミックから成るフィルタ1では、各フィルタ壁部3が図示しない多数の細孔を有し、各細孔が、気体である排ガスの通過を許容するとともに、排ガス中のススなどを捕集可能に形成されている。したがって、各フィルタ壁部3では、周壁部3aの外周面、上流側閉鎖部3bの外面および下流側閉鎖部3cの内面が、ススなどを捕集するフィルタ面として機能する。
図1(d)に示すように、フィルタ1に排ガスが流れる場合、その排ガスのうち、上流端の開口4aを介して流入通路4に流入したものは、各フィルタ壁部3の周壁部3aを介して流出通路5に流れるとともに、下流側閉鎖部3cを介して外部に排出される。流入通路4から流出通路5に流れた排ガスは、下流端の開口5aを介して、外部に排出される。一方、流入通路4に流入しなかった排ガスは、各フィルタ壁部3の上流側閉鎖部3bを介して、流出通路5に流れ、下流端の開口5aを介して、外部に排出される。以上のように、排ガスがフィルタ1を通過する際に、排ガス中のススなどが、各フィルタ壁部3の周壁部3a、上流側閉鎖部3bおよび下流側閉鎖部3cに捕集され、これにより、排ガスが浄化される。
以上詳述したように、本実施形態のフィルタ1によれば、ケーシング2の内側に配置された複数のフィルタ壁部3の全体を、実質的なフィルタとして機能させることができる。また、フィルタ壁部3の外側に流入通路4が、内側に流出通路5が配置され、フィルタ壁部3のフィルタ有効面積、すなわちフィルタ壁部3の外面であるフィルタ面の総面積が、フィルタ壁部3の内面のそれよりも大きい。その結果、前述した従来のフィルタ11、21では、仕切壁12、22における流入通路13A、23A側の面積と、流出通路13B、23B側の面積が同じであるのに対し、フィルタ1では、フィルタ壁部3のフィルタ面の面積、すなわちススを捕集する面積を、フィルタ壁部3の内面の面積、すなわち流出通路5側の面積よりも大きくできるので、ススの捕集に伴うフィルタ抵抗の上昇を効果的に抑制することができる。そして、排ガスが流入通路4を流れる際の通路抵抗が、フィルタ抵抗と同程度になるまで、各フィルタ壁部3をできるだけ大きく形成することにより、流出通路5の数を増加させることなく、従来のフィルタ11、21に比べて、フィルタスペースFSにおけるフィルタ有効面積を拡大することができる。例えば、フィルタ1のフィルタ有効面積は、図7に示すフィルタ11のそれに比べて、約1.5倍に拡大する。また、流入通路4は、各フィルタ壁部3の周囲を囲むように連通しているので、流入通路4に流入した排ガスを、フィルタ壁部3の周壁部3a全体を介して、流出通路5に円滑に流すことができる。
以上のように、フィルタ1のフィルタ有効面積が拡大できることにより、フィルタ1の初期の圧力損失を低減できるとともに、排ガス中のススなどの捕集に伴うフィルタ抵抗の上昇を抑制でき、それにより、排気管内のエンジンとフィルタ1の間の排ガスの圧力の上昇も抑制することができる。これにより、エンジンの運転効率の低下を防止することができる。加えて、フィルタ1に捕集されたススなどを除去するための燃焼頻度を低減でき、その結果、エンジンの燃費を向上させることができる。さらに、フィルタ有効面積の拡大により、同一のフィルタ有効面積を有する従来のフィルタに比べて、フィルタ1の小型化および軽量化を図ることができる。
図2は、本発明の第2実施形態によるフィルタを示している。本実施形態のフィルタ1では、フィルタ壁部3の形状のみが上記第1実施形態と異なっている。すなわち、このフィルタ1の各フィルタ壁部3の周壁部3aは、上流側に向かってテーパ状に形成されている。これにより、ケーシング2の周壁部2aとフィルタ壁部3の周壁部3aとの間の間隔、および隣接するフィルタ壁部3、3の周壁部3a、3a同士の間の間隔が、下流側に向かって狭くなり、すなわち、流入通路4の横断面積が、下流に向かうに従って小さくなるように形成されている。一方、フィルタ壁部3の周壁部3aの内側のスペースが下流側に向かって広がり、すなわち、流出通路5の横断面積が、下流に向かうに従って拡大するように形成されている。
排ガスがフィルタ1を流れる際、前述した理由から、排ガスの流量は、流入通路4の上流側ほど多く、一方、流出通路5の下流側ほど多くなる。したがって、本実施形態のフィルタ1によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られることに加えて、通路抵抗とフィルタ有効面積のバランスを良好にとることができるとともに、流入通路4および流出通路5の形状が、上述した排ガスの流量の変化に合致し、それにより、フィルタ1に対し、排ガスを効率良く円滑に通過させることができる。また、上記フィルタ1を製造する場合には、流入通路4および流出通路5を形成するための型の部分が、先細りの形状となるため、型抜きし易く、フィルタ1を容易に製造することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。特に、フィルタスペースFSに配置されるフィルタ壁部3の数は、1つ以上であればよいが、より多いほど、フィルタ有効面積を拡大することができる。また、各フィルタ壁部3の横断面の形状は、種々のものを採用することが可能である。例えば、図3(a)に示すように、上記実施形態以外の数(同図では4つ)のフィルタ壁部3をフィルタスペースFSに配置したり、同図(b)に示すように、流入通路4および流出通路5を一組とし、各組を互いに間隔を隔てて、複数組(同図では4組)をフィルタスペースFSに配置したりしてもよい。また、図4(a)、(b)に示すように、互いに隣接するフィルタ壁部3、3間や、フィルタ壁部3とケーシング2の間を、適宜、接合部6で接合するようにしてもよい。この場合には、各フィルタ壁部3が下流側の端部のみでケーシング2に接合された上記実施形態に比べて、各フィルタ壁部3をケーシング2内にしっかりと固定でき、フィルタ1の強度を高めることができる。なお、上記接合部6については、フィルタ1の成形加工時に、ケーシング2およびフィルタ壁部3と併せて成形する他、後付けで設けるようにしてもよい。
また、フィルタ壁部3の横断面の形状として、例えば、図5(a)〜(f)にそれぞれ示すように、三角形、平行四辺形、六角形、円形、長円形あるいは蛇腹形状などを採用してもよい。特に、同図(f)の蛇腹形状を採用することにより、同図(e)の長円形に比べて、フィルタ壁部3のフィルタ有効面積を大きくすることができる。また、フィルタ壁部3の上流側閉鎖部3bおよび下流側閉鎖部3cの形状として、平面に限らず、例えば図6に示すように、外方に凸の曲面状に形成してもよい。
さらに、実施形態では、本発明のフィルタ1をDPF装置に適用し、排ガスを浄化する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、流体に含まれる被捕集物の捕集が必要な種々の技術分野で広く適用することができる。被捕集物を含む流体については、気体、液体の別を問わず、また被捕集物についても、有用、無用の別を問わない。
1 フィルタ
2 ケーシング
3 フィルタ壁部
3a 周壁部
3b 上流側閉鎖部
3c 下流側閉鎖部
4 流入通路
5 流出通路
FS フィルタスペース
2 ケーシング
3 フィルタ壁部
3a 周壁部
3b 上流側閉鎖部
3c 下流側閉鎖部
4 流入通路
5 流出通路
FS フィルタスペース
Claims (5)
- 流体が内部を流れる際に、当該流体に含まれる被捕集物を捕集するフィルタであって、
流体流れ方向に延びる枠体により形成されるケーシングと、
前記ケーシングの内面に対して空隙をおいて設けられるとともに、流体流れ方向の下流側で開口した空間が内部に形成され、少なくとも前記ケーシングの内面と対向する面が、前記流体が通過するフィルタ面となり、そのフィルタ面の総面積が前記内部空間における側面の総面積よりも大きいフィルタ壁部と、
前記フィルタ壁部の周囲の空隙を前記ケーシングの下流側で閉じる下流側閉鎖部と、
を備えることを特徴とするフィルタ。 - 流体が内部を流れる際に、当該流体に含まれる被捕集物を捕集するフィルタであって、
流体流れ方向に延びる枠体により形成されるケーシングと、
前記ケーシングの内面に対して空隙をおいて設けられ、当該空隙に側面全体が晒されるとともに、流体流れ方向の下流側で開口した空間が内部に形成されるフィルタ壁部と、
前記フィルタ壁部の周囲の空隙を前記ケーシングの下流側で閉じる下流側閉鎖部と、
を備えることを特徴とするフィルタ。 - 前記フィルタ壁部は、互いに間隔を隔てて複数設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ。
- 前記フィルタ壁部の周囲の空隙の断面積を下流に向かうに従って狭くし、前記フィルタ壁部の内部空間の断面積を下流に向かうに従って広くしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルタ。
- 前記フィルタ壁部および前記下流側閉鎖部は、多孔質セラミックで構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフィルタ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005045554A JP2006231111A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005045554A JP2006231111A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | フィルタ |
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Family Applications (1)
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JP2005045554A Withdrawn JP2006231111A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | フィルタ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010113295A1 (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | イビデン株式会社 | 微粒子濃度測定装置 |
WO2015022937A1 (ja) * | 2013-08-14 | 2015-02-19 | 住友化学株式会社 | パティキュレートフィルタ |
-
2005
- 2005-02-22 JP JP2005045554A patent/JP2006231111A/ja not_active Withdrawn
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US9540977B2 (en) | 2013-08-14 | 2017-01-10 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Particulate filter |
JPWO2015022937A1 (ja) * | 2013-08-14 | 2017-03-02 | 住友化学株式会社 | パティキュレートフィルタ |
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