JP2006229972A - モバイル機器−アクセス・ポイント間の関連付けを反復的に決定して負荷分散を実現するための方法および装置 - Google Patents

Abstract

【課題】モバイル機器をアクセス・ポイントと関連付けるために、AP及びモバイル機器の混雑レベルおよび転送速度をそれぞれ考慮するWLANの負荷分散の方法および機器を提供すること。
【解決手段】本発明の一例では、コントローラが（a）ある反復期間中に、モバイル機器と現在関連付けられているアクセス・ポイント（AP）の間の伝送およびそのモバイル機器と他のAPの間の伝送からそれぞれ導出される転送速度から転送速度比を生成し、（b）その反復期間中のAPの混雑の測定から混雑レベル比を生成し、（c）その反復期間中の転送速度比及び混雑レベル比から有効性指数を生成するように機能できる。
【選択図】図1

Description

無線ローカル・エリア・ネットワーク（ＷＬＡＮ）は、一般に多数のモバイル機器（たとえば無線ラップトップなど）を備える。各モバイル機器は、いわゆる「アクセス・ポイント」（ＡＰ）に関連付けられている。ＡＰは、導管として働き、それを介してモバイル機器との間でメッセージ、情報、信号などのやり取りができるようにする。通常、ＡＰよりも沢山のモバイル機器が存在する。たとえば、同じＡＰに数十の、あるいは場合によっては数百のモバイル機器が関連付けられていることも珍しくない。

しかし、任意の時点で、１つのＡＰに多数のモバイル機器が関連付けられ、別のＡＰにずっと少ない数のモバイル機器しか関連付けられていない場合がある。相対的に言えば、前者のＡＰは「混雑している」、あるいは過負荷の状態にあると見なすことができ、後者のＡＰは比較的混雑していないと見なすことができる。理想的には、どのＡＰも混雑しないようにＷＬＡＮ内でモバイル機器をＡＰと関連付けることが望ましい。実際には、これを実現することは困難である。いずれにせよ、程度の差こそあれ、ＡＰでの混雑の緩和を試みる負荷分散技法が開発されてきた。

これらの技法は、ＡＰの混雑を軽減し得るが、モバイル機器とＡＰとの間の転送速度を軽減させるという悪影響も及ぼす。すなわち、ある既存の技法は、あるＡＰでの混雑を、別のＡＰから離れた場所に位置するモバイル機器をそのＡＰと関連付けることで緩和し得る。このような場合、あるＡＰの混雑は緩和されるが、あるモバイル機器とそれに関連付けられたＡＰとの距離が余りにも大きいため、そのモバイル機器の転送速度も軽減される恐れがある。
米国特許出願第１１／０２６９０４号

したがって、モバイル機器をアクセス・ポイントと関連付けるために、ＡＰおよびモバイル機器の混雑レベルおよび転送速度をそれぞれ考慮するＷＬＡＮの負荷分散の方法および機器を提供することが望ましい。

本発明者らは、モバイル機器−アクセス・ポイント間の関連付けを反復的に決定することでＷＬＡＮの負荷分散の目標が達成できることを認識した。
本発明の一例では、コントローラが（ａ）ある反復期間中に、モバイル機器と現在関連付けられているアクセス・ポイント（ＡＰ）の間の伝送およびそのモバイル機器と他のＡＰの間の伝送からそれぞれ導出される転送速度から転送速度比を生成し、（ｂ）その反復期間中のＡＰの混雑の測定から混雑レベル比を生成し、（ｃ）その反復期間中の転送速度比および混雑レベル比から有効性指数を生成するように機能できる。

このように生成された指数は、その反復期間中、ＷＬＡＮの負荷分散の目標を達成するために、そのモバイル機器を現在のＡＰに引き続き関連付けようとする望ましさ、あるいは他のＡＰと関連付けようとする望ましさについての相対的な指標である。

ここで図１を参照すると、複数のモバイル機器２、３を備えるＷＬＡＮ１が示されている。あくまで例示として、モバイル機器の一群２がＡＰ_ｕで表されるアクセス・ポイントと現在関連付けられており、一方単一のモバイル機器３がＡＰ_ｖで表される他のアクセス・ポイントと現在関連付けられている。また、モバイル機器の群２の一部として、モバイル機器ｘが示されている。以下に続く説明では、アクセス・ポイントＡＰ_ｖに比べるとアクセス・ポイントＡＰ_ｕの方が混雑している、あるいは過負荷状態にあると言える。というのは、アクセス・ポイントＡＰ_ｕに現在関連付けられているモバイル機器の数が、アクセス・ポイントＡＰ_ｖに関連付けられているモバイル機器の数を大きく上回るためである。

通常、モバイル機器ｘがアクセス・ポイントＡＰ_ｖよりもアクセス・ポイントＡＰ_ｕに近い場合、モバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｕの間の転送速度（Ｒ_ｘ，ｕと略す）は、モバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｖの間の転送速度（Ｒ_ｘ，ｖと略す）よりも高くなる。したがって、通常、モバイル機器ｘはアクセス・ポイントＡＰ_ｕに関連付けられる。しかし、そのような関連付けは、ＷＬＡＮ１の全体的な負荷分散の目標に悪影響を及ぼす恐れがある。また、所与の期間中のモバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｕの間の転送速度がモバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｖの間の転送速度よりも高い可能姓があるが、アクセス・ポイントＡＰ_ｕが混雑しているので、モバイル機器ｘはたとえアクセス・ポイントＡＰ_ｕに関連付けられていても転送速度上の優位の恩恵を受けられない可能性があることに留意すべきである。別の言い方をすれば、アクセス・ポイントＡＰ_ｕは多数のモバイル機器２に関連付けられているため、モバイル機器ｘがその有利な転送速度を使用してアクセス・ポイントＡＰ_ｕを介して送受信を行う権利を与えられるまでに、相対的に言えば長い時間を要することもある。むしろ、モバイル機器ｘは、転送速度上の優位の恩恵を受けるために、順番が回ってくるのを待たなくてはならない場合がある。逆に、モバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｖの間の転送速度はモバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｕの間の転送速度より低いにもかかわらず、アクセス・ポイントＡＰ_ｖがアクセス・ポイントＡＰ_ｕよりも混雑していないので、モバイル機器ｘは直ちにアクセス・ポイントＡＰ_ｖを介して送受信を行う権利を与えられる可能性がある。別の言い方をすれば、モバイル機器ｘは、アクセス・ポイントＡＰ_ｖを介して送受信を行うために長時間待つ必要がない場合がある。

本発明の一実施形態によれば、あるネットワーク運営センター（ＮＯＣ）の一部である可能性があるコントローラ１０は、ＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖの混雑レベル、およびｘなどのモバイル機器と２つのアクセス・ポイントの間の転送速度を考慮した後に、１つまたは複数のモバイル機器のあるアクセス・ポイントへの関連付けを制御することによって負荷分散を実施するように機能する。

本発明に関する以下の説明を簡単にするために、以下の議論ではまず、単一のモバイル機器ｘと、２つのアクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖに焦点を合わせる。しかし、本発明は、複数のモバイル機器および２つ以上のアクセス・ポイントに同様に適用できることを理解されたい。

本発明の一実施形態によれば、コントローラ１０は、ある反復期間Ｔ中のモバイル機器ｘから転送速度Ｒ_ｘ，ｖおよびＲ_ｘ，ｕに関連付けられている指標を受信し、その後、受信した指標から転送速度比Ｒ_ｘ，ｖ／Ｒ_ｘ，ｕを生成するように機能する。ここでも、各指標がモバイル機器ｘとアクセス・ポイントＡＰ_ｕまたはＡＰ_ｖのいずれか１つとの間の転送速度に基づいていることを思い起こされたい。転送速度比に加えて、コントローラ１０はさらに、混雑レベル比も生成するように機能する。

混雑レベル比は、両方のアクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖの混雑の測定から導出される。以下、混乱を避けるために、アクセス・ポイントＡＰ_ｕを「現在の」ＡＰ、アクセス・ポイントＡＰ_ｖを「潜在的な」、「他の」あるいは「新しい」ＡＰとそれぞれ称することがある。前者の記号は、モバイル機器ｘが現在アクセス・ポイントＡＰ_ｕに関連付けられていることを示しており、一方後者の記号はモバイル機器ｘが将来アクセス・ポイントＡＰ_ｖに関連付けられる可能性があることを示している。

アクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖの混雑は、たとえば、それぞれ反復期間Ｔ中に各アクセス・ポイントによって測定することができ、その後コントローラ１０に送られる。

本発明の他の実施形態によれば、コントローラ１０は、転送速度比および混雑レベル比を生成した後、さらに転送速度比および混雑レベル比から有効性指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}を生成するように機能し得る。

さらに議論を進める前に、先に述べた通り、転送速度、混雑レベル、および有効性指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}の各測定は反復的に、すなわちＴ秒の各反復中に１回ずつ、繰り返し行われる。また、以下に説明するが、アクセス・ポイントの責務を現在のＡＰから別のＡＰに移すかどうかの決定も、反復的に実施される。すなわち、これらの機能は、第１の反復期間（たとえば１０秒）中に実行され、次の反復期間、さらにその後に連続する期間中に繰り返される。

さらに、Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}という記号は、特別な関係を示すことを理解されたい。本発明の一実施形態によれば、（当業者がトリプレットと呼ぶこともある）この記号は、所与のモバイル機器ｘ、その現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕ、およびモバイル機器ｘの潜在的な移転先になり得る別のアクセス・ポイントＡＰ_ｖに関する有効性指数を示している。

議論を続けると、有効性指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}は以下の式を使用して求めることができる。
Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ} ＝ （Ｒ_ｘ，ｖ／Ｒ_ｘ，ｕ）［Ｃ_ｕ／Ｃ_ｖ］^β （１）
ただし、分数Ｃ_ｕ／Ｃ_ｖは混雑レベル比であり、パラメータβは、ネットワーク運営者などが転送速度比Ｒ_ｘ，ｖ／Ｒ_ｘ，ｕと比べた場合に混雑レベル比に与える相対的重要度を指定する指数である。パラメータβが１に設定される場合、２つの比にそれぞれ同じ重要度が与えられる。しかし、パラメータβが１よりも大きい値に設定される場合、混雑レベル比に転送速度比Ｒ_ｘ，ｖ／Ｒ_ｘ，ｕよりも高い重要度が与えられる。

本発明によれば、所与の指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}の値は、所与の反復期間中、所与のモバイル機器ｘをその現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕに引き続き関連付けることの望ましさ、あるいは別のアクセス・ポイント、すなわち潜在的なアクセス・ポイントＡＰ_ｖと関連付けることの望ましさについての相対的な指標である。別の言い方をすれば、一般に、指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}は、ＷＬＡＮ１の負荷分散の目標を達成するために、所与の反復期間中、あるモバイル機器がその現在のアクセス・ポイントに引き続き関連付けられるべきか、あるいは配置転換を行って他のアクセスに関連付けるべきかどうかについての相対的な指標である。所与の反復期間中のアクセス・ポイントの混雑レベル、およびアクセス・ポイントとモバイル機器の間の転送速度をいずれも考慮することによって、ＷＬＡＮの全体的なネットワーク・スループットおよび負荷分散の目標を危うくすることなしにモバイル機器を所与のアクセス・ポイント（すなわち、その現在のアクセス・ポイントまたは潜在的なアクセス・ポイント）に関連付けることができる。

本発明の別の実施形態によれば、コントローラ１０は、所与の反復期間中、生成された指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}がある閾値γ以上であるとき、モバイル機器ｘを潜在的なアクセス・ポイントＡＰ_ｖに関連付ける（すなわち、モバイル機器ｘの関連付けを、現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕから潜在的なアクセス・ポイントＡＰ_ｖに変更する）ことができる。すなわち、ネットワーク運営者は、各指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}毎に特定の閾値γを選択することができる。

たとえば、閾値γが２に設定されている場合、モバイル機器の関連付けは、生成された指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}が２以上である場合にのみ現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕから他のアクセス・ポイントＡＰ_ｖに変更することができる。

閾値γの値は設計上の選択であり、ＷＬＡＮ毎に、あるいは反復期間毎に変更することができることを理解されたい。しかし、一般に、閾値γの値は１以上に設定されるべきである。

少し説明を戻すと、混雑レベル比がアクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖの混雑レベルに基づいていることは先に述べた。本発明の一代替実施形態によれば、これらの混雑レベルは、ある反復期間中、各アクセス・ポイントＡＰ_ｕまたはＡＰ_ｖでのアップリンク・ストリームではなく、ダウンリンク・パケット・ストリームが経験する混雑に基づく。これは、アクセス・ポイントによるダウンリンク遅延の測定が比較的簡単であるが、アップリンク遅延の測定は比較的困難であるという論理的根拠による。通例、ほとんどの情報はダウンリンク方向に伝送されるので、ダウンリンク遅延の使用は全体遅延に関する良い近似値となる。また、アップリンク方向の混雑レベルとダウンリンク方向の混雑レベルの間には強い正相関がある。所与のアクセス・ポイントＡＰ_ｗについて、そのように測定したダウンリンク遅延を示すために記号Ｄｗ（ｔ）を使用することができる。

平均ダウンリンク遅延に加えて、各アクセス・ポイントの混雑レベルは、各アクセス・ポイントでの紛失率（すなわち、混雑により、ダウンリンク・パケットがアクセス・ポイントによって落とされる確率）も考慮する。反復Ｔ中のＡＰ_ｗでの紛失率は値Ｌｗ（ｔ）で表すことができる。
ここでも、Ｄｗ（ｔ）とＬｗ（ｔ）は、いずれも、ある反復期間Ｔ中にあるＡＰが処理したダウンリンク・パケットに基づいて測定できることを理解されたい。
Ｄｗ（ｔ）とＬｗ（ｔ）を組み合わせて、所与のＡＰの混雑は以下の式で表すことができる。
Ｃｗ（ｔ） ＝ Ｄｗ（ｔ）＋αＬｗ（ｔ） （２）
ただし、値αは、ＡＰの混雑レベルを計算する際、遅延による効果と比べた場合の紛失率による効果に与えられる重み（すなわち、重要度）を適切に調整するために使用できる。式（２）より、（当技術分野では周知である）リトル（Ｌｉｔｔｌｅ）の公式を使用して、平均遅延Ｄｗ（ｔ）をさらに以下のように表すことができる。
Ｄｗ（ｔ） ＝ Ｑｗ（ｔ）／Ａｗ（ｔ） （３）
ただし、Ａｗ（ｔ）はある反復期間Ｔ中にＡＰｗに到着し、１つまたは複数のモバイル機器に向けてダウンリンク・チャネル上で伝送されるパケットの平均速度であり、Ｑｗ（ｔ）はある反復期間Ｔ中にＡＰｗの待ち行列に存在するダウンリンク・パケットの数である。

これまで、単一のモバイル機器ｘと、２つのアクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖを中心に議論を進めてきた。しかし、先に述べたように、本発明は同様に、複数のモバイル機器および２つ以上のアクセス・ポイントに適用することができる。これを念頭に置きながら、本発明は、複数のモバイル機器およびアクセス・ポイントから導出され生成された、各指数が各反復期間Ｔ中に繰り返し再計算され生成されるような複数の有効性指数を利用する負荷分散の方法および機器を提供する。

各反復期間Ｔ中、複数の指数がそれぞれ生成された後、コントローラ１０は、生成されたどの指数が閾値γ以上かを判断するように機能し得る。閾値γ以上である各指数について、ある特定の反復期間Ｔ中にモバイル機器の関連付けが現在のアクセス・ポイントから他の潜在的なアクセス・ポイントへ移転または変更（以下、「移転」と称することもある）される可能性がある。

本発明の他の実施形態によれば、指数が生成された後、コントローラ１０は生成された指数に関連付けられる、様々ないわゆる「移転候補」のテーブルを作成するように機能し得る。各移転候補は、トリプレットｘ，ｕ，ｖで表すことができる。ただし、先に述べたように、ｘはモバイル機器、ｕはｘが現在関連付けられているアクセス・ポイント、ｖはある後の期間Ｔ中にｘが潜在的に切り替えられる可能性があるアクセス・ポイントである。

本発明の一実施形態によれば、そのようなテーブル内の移転候補は、大きな指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}をもつ転移候補が小さい指数をもつ転移候補よりも前に順序付けられるように、降順に並べられる場合がある。

そのような順序付けられたテーブルを作成した後、コントローラ１０は、ある移転が適正かどうかを判断するために最大の指数およびそれに関連付けられた移転候補を選択するように機能し得る。最初の選択された指数についてそのような判断を行った後、コントローラ１０は、次に順位が高い指数およびそれに関連付けられた移転候補を繰り返し選択するように機能する。次の指数の選択は、順序通りに並べられた全ての指数が選択されるか、または他の制約（後ほど議論する）が満たされるまで続けられる。

このような順序付けられた指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}および移転候補のテーブルは、コントローラ１０（したがって、ネットワーク運営者）に、移転に対して優先順位をつける能力を与える。言い換えれば、ＷＬＡＮの全体的な負荷分散の目標に最も悪影響を及ぼしているモバイル機器−アクセス・ポイント間の関連付けを最初に処理することができる。

コントローラ１０が選択された指数およびその移転候補に関連付けられる移転を実行できる前に、本発明はコントローラ１０が、他の条件が存在するか、あるいは満たされていることをコントローラ自体が確認することを必要とする場合がある。すなわち、あるアクセス・ポイントから他のアクセス・ポイントへのモバイル機器の移転を実施する前の各反復期間中に、コントローラ１０は、他の特定の制約がそのような移転を妨げないことを検証するように機能し得る。
そのような移転に対する制約の１つが、いわゆる「混雑振動」を避けるために使用される。

一般に、混雑振動は、あるアクセス・ポイントに対する負荷が他のアクセス・ポイントに移されたが、結局他のアクセス・ポイントをただ混雑させる結果となった場合に起こる。その後、それに応答して、他のアクセス・ポイントは元のアクセス・ポイントに同じ負荷を戻す可能性があるが、そのとき元のアクセス・ポイントは再び負荷を他のアクセス・ポイントに戻そうとする可能性があり、したがって循環を生み出すことになる。本発明者らは、そのような循環または振動パターンの発生を防止するために、コントローラ１０がある所与の反復期間中に指数を選択した後、移転が適切かどうかを判断するために使用し得る追加の機能を開発した。

本発明の一実施形態によれば、そのような振動を防止するために、本発明は、現在の反復期間中、現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕからの移転の総数がアクセス・ポイントＡＰ_ｕの負荷に対するある第１の許容パーセンテージ（たとえば１０％）を超えておらず、潜在的なアクセス・ポイントＡＰ_ｖへの移転の総数がアクセス・ポイントＡＰ_ｖ上の負荷に対するある第２の許容パーセンテージ（たとえば１０％）を超えていないことを条件として移転を完了させるようにコントローラ１０を機能させ得る。本発明の一代替実施形態では、これら２つの条件が満たされた場合にのみＡＰ_ｕからＡＰ_ｖへ移転が行われることができる。

上に記載した例では同じパーセンテージが使用されたが、これらのパーセンテージは同じでもよく、異なっていてもよいことを理解されたい。
ある所与の反復期間中、いずれかのパーセンテージを上回ったとコントローラ１０が判断した場合、コントローラ１０はアクセス・ポイントＡＰ_ｕからの移転およびアクセス・ポイントＡＰ_ｖへの移転についてのそれ以上の試行を中止するようにさらに機能し得る。そのようにして、アクセス・ポイントＡＰ_ｕからの移転およびアクセス・ポイントＡＰ_ｖへの移転を防止することにより、混雑振動を防ぐことができる。

しかし、ここで、これらの条件はアクセス・ポイントＡＰ_ｕからの移転またはアクセス・ポイントＡＰ_ｖへの移転に影響を及ぼすが、アクセス・ポイントＡＰ_ｕへの移転またはアクセス・ポイントＡＰ_ｖからの移転に影響を及ぼすことはなく、すなわちこれらの移転は継続することができる。

しかし、ＡＰへの負荷に対する考慮が、他のより重要な懸念事項よりも些細な問題である場合がある。もっと具体的に言えば、ネットワーク運営者は時折、ある特定のモバイル機器があるアクセス・ポイントの負荷の大部分を占め、その結果ある特定の状況下ではそのアクセス・ポイントの混雑をもたらすことに気付く場合がある。たとえば、モバイル機器ｘが、ある所与の反復期間中、現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕが処理する負荷の２５％を占めている可能性がある。その場合、たとえば上で説明したばかりの制約のような負荷に対する制約に違反することなく、モバイル機器ｘが関連付けられているアクセス・ポイントを変更するのは不可能に近い場合がある。

これを理解した上で、本発明は、モバイル機器ｘの関連付けの現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕからアクセス・ポイントＡＰ_ｖへの変更を、そのような移転がある反復期間中のＡＰ_ｕからの最初の移転であることを条件として可能にするように機能するコントローラ１０などのコントローラを提供する。

したがって、実質的に、コントローラ１０がある指数を選択し、移転が起こるべきであることをその指数が示している場合、コントローラ１０は、そのような変更が現在のアクセス・ポイントからの最初の移転であることを条件として、現在および潜在的なアクセス・ポイントでの負荷に関係なく、ある特定の反復期間中のそのような移転を可能にするように機能し得る。

アクセス・ポイント上の負荷およびある反復期間Ｔ中の移転の数を考慮することに加え、本発明者らは、ネットワーク運営者が移転に対して別の制約も設ける必要がある場合もあることを認識した。

たとえば、アクセス・ポイントＡＰ_ｕなどのアクセス・ポイントが混雑していない場合、そのようなアクセス・ポイントからはモバイル機器を移転させる必要がない可能姓がある。このとき、コントローラ１０は、そのような状況を表す指数移転候補をはじめから移転候補テーブルに置かないことを決定する場合がある。それにより、事実上この指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}を０に設定することになる。

同様に、本発明者らは、別のネットワーク運営者が、ある所与の反復期間Ｔ中、「アクティブな」モバイル機器のＡＰとの関連付けのみを変更したいと考える場合があることを認識した。たとえば、ネットワーク運営者は、ある所与の反復期間中のあるモバイル機器のいわゆるパケット到着率が、たとえばアクセス・ポイントＡＰ_ｕなどのある特定のアクセス・ポイントでの全体パケット到着率の特定のパーセンテージよりも大きい場合、そのモバイル機器をアクティブであると見なす場合がある。たとえば、モバイル機器ｘと関連付けられている到着率が、アクセス・ポイントＡＰ_ｕでのパケットの全体到着率の少なくとも２％以上である場合、モバイル機器ｘをアクティブなアクセス・ポイントと見なすことができる。

したがって、これを考慮した上で、本発明は、ある特定の反復期間Ｔ中のダウンリンク到着率を測定するように機能し得るコントローラ１０などのコントローラを提供する。このダウンリンク到着率は、モバイル機器ｘおよび現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕと関連付けられている。測定された到着率が現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕの全体到着率の少なくとも特定のパーセンテージ以上でない場合、コントローラ１０は、そのような状況に関連付けられる移転候補のテーブルへの追加を拒否するように機能し得る。

ある所与の反復期間Ｔ中、コントローラ１０は各指数を選択し、それに関連付けられる移転候補をある条件を満たす指数の組（すなわち、閾値γを超えるもの）から降順に選択し、それらを選択した後で、先に述べた制約の一部または全てを考慮した後に、選択された指数に関連付けられた移転が適切かどうかを判断することを理解されたい。

コントローラ１０が所与のテーブルの最後（すなわち、移転候補の最後の組）に到達すると、それ以上の移転の開始は行われない。代わりに、示されている移転（すなわち、モバイル機器−アクセス・ポイント間の関連付け）がこれから使用されることになる。

次の反復期間が終了するとき、コントローラ１０は再び指数およびそれらに関連付けられる移転候補のテーブルを作り、示される移転を開始することができる。
本発明の他の実施形態によれば、先に述べた反復期間Ｔは、いわゆる「ラン・タイム」期間と同義である場合がある。このラン・タイムという用語を使用した場合、本発明の一例は以下のように説明できる。

あるラン・タイム期間中、コントローラ１０は、あるモバイル機器ｘが現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕに引き続き関連付けられるようにする場合がある。このラン・タイムが終わりに近付くと、コントローラ１０は、モバイル機器ｘと、アクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖからそれぞれ転送速度および混雑レベルに関する指標を受け取るように機能し得る。このラン・タイムの終了前、コントローラ１０は、さらに生成された転送速度比および混雑レベル比に基づいて有効性指数Ｉ_{ｘ，ｕ，ｖ}を決定するように機能し得る。また、コントローラ１０は、移転を実行するかどうかを判断する前に、先に述べた制約のうちの１つまたは複数の制約を適用するように機能し得る。コントローラ１０は、そのような移転がラン・タイム終了時に可能である場合、モバイル機器ｘのＡＰ関連付けを現在のアクセス・ポイントＡＰ_ｕから新しいアクセス・ポイントＡＰ_ｖへと変更するように機能し得る。その後、コントローラ１０は上で説明したばかりのプロセスを繰り返すことができる。

コントローラ１０、モバイル機器ｘ、アクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖの機能および特徴は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはこれら３つの何らかの組み合わせによって実施できることを理解されたい。ソフトウェアまたはファームウェアにおいて、１つまたは複数のプログラム可能な記憶装置を使用して１つまたは複数のプログラムを記憶することができ、プログラムは、コントローラ１０、モバイル機器ｘ、ならびに／またはアクセス・ポイントＡＰ_ｕおよびＡＰ_ｖの機能および特徴を実行または制御することができる。

本発明の技法は、１つまたは複数の追加の技法と併用することにより、単に信号−ノイズ間の目標だけでなく、負荷分散の目標によって決定されるように、モバイル機器内の設定を実際に変更し、たとえばモバイル機器を特定のアクセス・ポイントに「強制的に」関連付けることができる。そのような技法の１つが、同時係属の米国特許出願第１１／０２６９０４号に開示されている。米国特許出願第１１／０２６９０４号の開示は、それが本明細書に記載に記載される場合と同様に、本明細書に組み込まれている。

以上の議論により、いくつかの例を使用して本発明を簡単に説明した。しかし、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されることを理解されたい。

本発明の複数の実施形態による、ＷＬＡＮの負荷分散の目標を達成する際にＡＰに関連付けることができるモバイル機器を含むＷＬＡＮの略図である。

Claims (10)

1. 無線ローカル・エリア・ネットワーク（ＷＬＡＮ）内でモバイル機器−アクセス・ポイント間の関連付けを反復的に決定して負荷分散を実現するための方法であって、
   （ａ）ある反復期間中に、モバイル機器と現在関連付けられているアクセス・ポイント（ＡＰ）の間の伝送および前記モバイル機器と他のＡＰの間の伝送からそれぞれ導出される転送速度から転送速度比を生成する工程と、
   （ｂ）前記反復期間中のＡＰの混雑の測定から混雑レベル比を生成する工程と、
   （ｃ）前記反復期間中の前記転送速度比および混雑レベル比から有効性指数を生成する工程とを含み、
   前記指数が、前記反復期間中のＷＬＡＮの負荷分散の目標を達成するために、前記モバイル機器を前記現在のＡＰと引き続き関連付けようとする望ましさ、あるいは前記他のＡＰと関連付けようとする望ましさについての相対的な指標である方法。
2. ある反復期間中に、複数のモバイル機器のそれぞれ、ならびに各機器の現在のＡＰおよび他のＡＰについて工程（ａ）から（ｃ）を繰り返す工程と、
   生成された指数のどの値が前記反復期間中にある閾値以上となるかを判断する工程と、
   その値が前記閾値以上となる各指数を、前記反復期間中の最大の指数値から最小の指数値に至る降順で並ぶ指数の群にまとめる工程とを
   さらに含む、請求項１に記載の方法。
3. 残る指数値から最大の指数値を選択する工程と、
   前記選択された指数によって示されるモバイル機器を、前記反復期間中のその現在のＡＰ以外のＡＰと関連付ける工程とを
   さらに含む、請求項２に記載の方法。
4. 前記反復期間中、前記指数がある閾値以上である場合に、前記モバイル機器を前記他のＡＰと関連付ける工程を
   さらに含む、請求項１に記載の方法。
5. ある反復期間中の現在のＡＰからの移転の数を監視する工程と、
   前記反復期間中の他のＡＰへの移転の数を監視する工程と、
   前記指数がある閾値以上である場合、前記反復期間中の前記現在のＡＰからの移転の数がある第１の許容パーセンテージを超えておらず、前記反復期間中の前記他のＡＰへの移転の数がある第２の許容パーセンテージを超えていないことを条件として、モバイル機器を前記他のＡＰと関連付ける工程とを
   さらに含む、請求項２に記載の方法。
6. 前記第１の許容パーセンテージが前記第２の許容パーセンテージと等しい、請求項５に記載の方法。
7. 前記第１の許容パーセンテージおよび前記第２の許容パーセンテージが１０パーセントである、請求項６に記載の方法。
8. 前記モバイル機器の他のＡＰとの関連付けを、その関連付けが前記反復期間中、前記現在のＡＰからの初めての関連付けである場合、前記指数がある閾値以上であることを条件として実行する工程を
   さらに含む、請求項２に記載の方法。
9. ある反復期間中、現在のＡＰが混雑していない場合は、あるモバイル機器の他のＡＰとの関連付けを拒否する工程を
   さらに含む、請求項２に記載の方法。
10. ある反復期間中、前記指数が前記閾値以上である場合に、あるモバイル機器およびある現在のＡＰに関連付けられるダウンリンク到着率を測定する工程と、
    前記測定された到着率が、前記反復期間中の前記現在のＡＰの全体到着率の少なくとも最小パーセンテージであることを条件として前記モバイル機器を他のＡＰと関連付ける工程と、
    前記測定された到着率が、前記反復期間中の前記全体到着率の最小パーセンテージ未満である場合に、前記モバイル機器の前記他のＡＰとの関連付けを拒否する工程とを
    さらに含む、請求項２に記載の方法。
    

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