JP2006219817A - 防波堤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スリットケーソンと消波層との組み合わせ構造の防波堤における消波効率の向上を図る。
【解決手段】 防波堤Aをスリットケーソン10と、スリットケーソン10の背後に設ける消波層20から構成する。消波層20は、複数のブロック20a、20b等から構成し、ブロック20a、20b等に集積する充填材としての礫の粒径を互いに異なる粒径とする。例えば、中央粒径を異なるものとする。また、スリットケーソン10の直後に設けるブロック20aの礫の中央粒径を、他のブロック20b等に集積する礫の中央粒径よりも大きくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、防波堤に関し、特に長周期波浪の反射率の低減に有効に適用することができる技術である。
港湾の防波堤や繋船岸には、重力式のケーソンを用いた護岸がこれまでは使用されていた。かかる重力式ケーソンを用いた護岸構造では、打ち寄せる波浪が長周期の場合には殆ど減衰することができず、減衰せずに反射している。そのため、護岸の前面では、打ち寄せる波浪の入射波と、波浪が護岸に衝突して反射する反射波との重合により、波浪の波高が増大される結果となっていた。
かかる波高の増大を防止すべく、波浪の反射を低減する手法として、図10(a)に示すように、防波堤100にスリットケーソン110を設けた構造が提案されている。あるいは、テトラポット等の異型ブロックを積み、その空隙を通過する際に発生する乱流によって波浪エネルギーを減衰する構成も提案されている。
しかし、かかる構成で波浪の大きな減衰効果が確認されるのは、風等によって発生する周期10秒程度までの波浪で、且つ波長が防波堤の奥行きの数倍程度の比較的に短い周期の波浪の場合に限られる。
近年、港湾等の整備拡張がなされる中、船舶が接岸できればよいというこれまでの観点とは異なり、接岸中における船と岸との荷役作業が安全に行えるようにとの観点が重視され、接岸中の船が護岸に打ち寄せる波により護岸に衝突したり、大きく離れたりする等の影響を極力抑え得る機能が護岸に求められてきた。
周期が数十秒〜数分程度の長周期波浪の場合には、上記船舶の護岸への接近、乖離が大きく影響されるが、特に周期が数分を超えるような長周期では波長が長いため、たとえ波高が小さくとも1波長あたり多くの海水が移動し、結果として、港内で早い流れが発生して船舶の運行障害を発生させたり、あるいは接岸中または接岸作業中の船舶が岸壁に打ちつけられたり、係留ロープが切断されたり、あるいは船舶の動揺により荷役作業が中断されたり等の種々の影響が発生する。
波浪の波長に比較して従来の防波堤等の港湾構造物は、その波浪進行方向への奥行きが短いため、波浪の減衰効果が得られにくいことに留意して、港内に自然海岸等を配置することにより、反射率の低減を図る構成も提案されている。しかし、かかる構成では、港湾内に長周期波浪の多重反射を軽減できる自然海岸を構築するため、かなりの港湾面積が必要となり、用地確保の点等から実現が難しい場合も決して少なくない。
そこで、礫等を用いた消波層の構成が、新たに提案されている。すなわち、消波層の礫内に波浪が打ち寄せると、重力式ケーソン等の場合とは異なり、礫と礫との間に打ち寄せた波浪が入り込み、結果として波浪エネルギーを減衰させるものである。さらには、図10(b)に示すように、かかる構成の消波層120と前記説明のスリットケーソン110とを組み合わせることで、より大きな減衰効果を期待する構成も提案されている。図10(b)に示す構成の防波堤に関しては、例えば、非特許文献1にその検討が試みられている。
平石哲也、永瀬恭一著、「流体直接解析法による長周期波対策護岸の性能検討」、海岸工学論文集、日本、土木学会、2002年、第49巻、p686−690
図10(b)に示すようなスリットケーソンと消波層とを組み合わせた防波堤構造は、確かに優れた波浪減衰効果を有するものではあるが、しかし、実際の適用を考えると、未だ十分とは言えない。
港湾内に進入してくる長周期波浪の原因は明確に特定することが難しく、その周期等の特性は港湾毎に固有の場合が多く、その特性に合わせた防波堤の構築が望ましい。
しかし、図10(b)に示す構成の防波堤では、打ち寄せる波浪のエネルギー減衰効果と礫の大きさとの相関関係は分かっておらず、港湾毎に適切な防波堤の設計が行えないのが現状である。
本発明の目的は、スリットケーソンと消波層との組み合わせ構造の防波堤における消波効率の向上を図ることにある。
本発明の他の目的は、スリットケーソンと消波層との組み合わせ構造の防波堤を、打ち寄せる波浪の周期に合わせて最適構造を提供できるようにすることにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明は、波浪の打ち寄せる側にスリットケーソンを設け、前記スリットケーソンの背後に消波層を設けた防波堤であって、前記消波層は、礫等の充填材を集積した複数のブロックからなり、前記複数のブロックは、ブロック毎の前記充填材の粒径の代表値が異なることを特徴とする。かかる構成の防波堤において、前記消波層を構成する複数のブロックのうち、前記波浪の打ち寄せ方向に沿って、前記スリットケーソン側に一番近い側のブロックの充填材の粒径の代表値は、前記複数のブロックの充填材の内で最大であることを特徴とする。
かかる防波堤において、前記消波層を構成する複数のブロックは、前記波浪の打ち寄せ方向に沿って、前記スリットケーソン側から離れるに従って、前記充填材の粒径の代表値が小さくなる複数のブロックが順次配置されて形成されていることを特徴とする。上記いずれかの構成において、前記充填材の粒径の代表値とは、礫の粒径の中央粒径であることを特徴とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本願発明の構成では、消波層を構成する複数のブロックの礫等の充填材の構成を、充填材の粒径を示す代表値が異なるもので構成することにより、従来の礫の粒径の代表値を同一とした単一ブロックで構成する場合とは異なり、消波層内に浸透した波浪のエネルギー減衰効果を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、スリットケーソンの背後に消波層を設けた構成の防波堤において、消波層を複数のブロックから構成し、個々のブロックがそれぞれ異なる粒径の代表値で示される礫等の充填材が集積されて構成されている場合について説明する。
図1(a)、(b)は、異なる粒径の代表値の充填材、例えば礫で構成された複数のブロックからなる消波層をスリットケーソンの背後に設けた構成の本発明に係る防波堤の構成を模式的に示す断面図である。
図1(a)に示すように、本発明に係る防波堤Aは、波浪の打ち寄せる側にスリットケーソン10が設けられ、スリットケーソン10の背後に接して消波層20が設けられている。スリットケーソン10は、波浪の打ち寄せる側の面と、遊水室11を介して対面する反対側の面の両方の面にスリットを設けた両面スリットのケーソンに構成されている。スリットケーソン10は、図1(a)に示す場合には、底にマウンド30を設けて、その上に設置されている。かかるマウンド30は、必ずしも設けなくても構わない。直接、底にスリットケーソン10を設置する構成でも構わない。
消波層20は、図1(a)に示すように、複数のブロック20a、20bから構成されている。ブロック20a、20bには、異なる粒径の礫がそれぞれ集積されている。例えば、ブロック20aに集積されている礫の粒径は、ブロック20bに集積されている礫の粒径よりも大きいものが使用されている。かかるブロック20a、20bに集積された礫の粒径は、例えば、粒径の代表値として中央粒径の値を用いればよい。勿論、集積された礫の粒径比較が行えるものであれば、中央粒径の値以外の代表値を採用しても構わない。例えば、ブロック20a、20b毎の平均粒径をその代表値として採用しても構わない。
ブロック20aに集積された礫の粒径は、その中央粒径が、ブロック20bに集積された礫の中央粒径より大きな粒径に設定されている。例えば、ブロック20aに集積した礫の中央粒径をD20aとすれば、ブロック20bに集積された礫の中央粒径D20bは、ブロック20aに集積される礫の中央粒径D20aの1/2程度に設定する等すればよい。
かかる集積された礫の粒径の代表値が異なる複数のブロック20a、20bから構成される消波層20をスリットケーソン10の背後に設けた防波堤Aでは、スリットケーソン10に向けて打ち寄せる長周期波浪は、スリットケーソン10に設けた前面のスリットを通って遊水室11内に入り、背面のスリットを抜けてスリットケーソン10の背後に設けた消波層20に浸透する。消波層20への浸透は、ブロック20a内を浸透し、次いでブロック20b内へ浸透することで行われる。
かかる消波層20内への浸透により、浸透する波浪のエネルギーが減衰される。かかる波浪の反射エネルギーの減衰は、図1(a)に示すブロック20a、20b毎に段階的に行われることとなる。このようにエネルギーの減衰を段階的に行うことで、一様の粒径の礫で構成した従来提案の単一の消波層への浸透によるエネルギー減衰よりも、より減衰効果を大きくすることができる。
また、一様の粒径の礫で構成した従来提案の単一の消波層への浸透によるエネルギー減衰効果と同等程度の減衰効果を本発明の提案の構造で達成しようとする場合は、消波層の堤長を半分程度に短くできることも確認された。
かかる段階的なエネルギーの減衰は、消波層20を複数のブロック20a、20bから構成すると共に、ブロック20a、20b内に集積される礫の粒径の代表値を異なるものに設定しているためである。
図1(a)に示す構成では、消波層20を2個のブロック20a、20bで構成した場合を示したが、例えば、図1(b)に示すように、3個のブロック20a、20b、20cを、打ち寄せる波浪の進行方向にそって、スリットケーソン10の背後に設置して構成するようにしても構わない。
かかる構成では、例えば、図1(b)に示すように、スリットケーソン10に一番近い側のブロック20aの中央粒径D20aと、ブロック20aに隣接してその直後に設けたブロック20bの中央粒径D20bと、ブロック20bに隣接してその直後に設けたブロック20cの中央粒径D20cとは、D20a>D20b>D20cで、D20b=D20a/2、D20c=D20a/3と設定した。より具体的には、ブロック20aに集積する礫の中央粒径D20aとして60cmの礫を使用すれば、ブロック20bにおける礫の中央粒径D20bは30cm、ブロック20cにおける礫の中央粒径D20cは20cmとなる。
本発明者の検討では、かかる構成の防波堤Aにおいては、前記複数のブロックの充填材の粒径の代表値の組み合わせは種々考えられ、検討中であるが、現在までの検討結果では、少なくとも、前記複数のブロックは、前記スリットケーソン10の側に一番近い第一のブロックの充填材の粒径の代表値を1とした場合に、前記第一のブロックの背後に設ける第二のブロックの充填材の粒径の代表値を0.4〜0.7に、前記第二のブロックの背後に設ける第三のブロックの充填材の粒径の代表値を0.2〜0.4に設定した場合には、有効であることが確認されている。
図1(a)に示す場合は、ブロック20a、20bの奥行きL20a、L20bは、それぞれスリットケーソン10の奥行きL10に等しく設定されている。すなわち、L20a=L20b=L10となっている。図1(b)に示す場合は、ブロック20a、20b、20cのそれぞれの奥行きL20a、L20b、L20cはそれぞれ等しく、L20a=L20b=L20cに設定されている。
尚、かかるブロック20a等の奥行きの設定、集積する礫の中央粒径の値は、想定する長周期波浪の周期等に応じて、適宜設定を変更すべきもので、上記数値はあくまでも一例に過ぎず、本発明に係る防波堤を上記数値のみを有効として限定するものではない。
かかる本発明の構成の防波堤の有効性について、実験により検証した。すなわち、図2(a)に示すように、実験室規模で、防波堤模型Bを作成し、かかる防波堤模型BのスリットケーソンB10側に向けて種々の周期の長周期波浪を進行させ、スリットケーソンB10の背後に設けた消波層B20における長周期波浪のエネルギー減衰を測定した。
スリットケーソンB10は、図2(a)に示すように、マウンドB30の上に設けられ、0.55mの高さ、0.5mの奥行きの直方体の内部に、奥行き0.4m、高さ0.45mの遊水室B11を有し、両面にスリットを設けた形状に構成されている。消波層B20は、ブロックB20a、B20bから構成されている。ブロック20aは、図2(a)に示すように、高さ方向、横方向にそれぞれ等容積の小ブロックを金網を仕切りとして構成し、小ブロック内に、中央粒径D20aとして60mmの礫を集積した。
ブロックB20bも、同様に、図2(a)に示すように、高さ方向、横方向にそれぞれ等容積の小ブロックを金網の仕切りで構成し、小ブロック内に、中央粒径D20bとして31mmの礫を集積した。ブロック20bの背後に土留め壁B40を設け、実験室規模で構築した防波堤模型Bの消波層B20が崩壊しないようにした。
また、図2(a)に示すように、ブロックB20a内では、横に並べた小ブロックの間、ブロックB20a、B20bの間に、サーボ式波高計を設置した。ブロックB20aの小ブロック内に、電磁流速計と間隙水圧計とをそれぞれ設置した。また、スリットケーソンの沖側には入射波と反射波を計測するための波高計を数台設置した。かかるサーボ式波高計、電磁流速計、間隙水圧計とで、進行させた波浪のエネルギーがどの程度減衰されたか確認した。
かかる実験の結果を、図3に示した。図3では、縦軸に反射率、横軸に入射させた波浪の波長を示す。図3に示すように、消波層を設けずにスリットケーソンのみを用いた防波堤模型の構成では、反射率が0.6以上と高いことが分かる。
一方、図2(a)、(b)に示した防波堤模型(図中、case1、case2として表示)の場合は、消波層を設けない場合(図中◆で表示)、消波層を単一粒径の単一層として構成した場合(図中●で表示)と比べて、反射率が小さいことが確認される。ここで、消波層を単一粒径の単一層として構成した場合の堤長Lは、case1、case2の場合の2倍に設定してある。すなわち、消波層を、消波層を形成する礫等の充填材の中央粒径が異なるブロックの複層として構成すると、その消波層の堤長を、単一層の半分の長さに縮めても、単一層の場合より消波効果が大きいことが確認される。
図中、×、□で表示される単一層として構成した場合と比較しても、消波層を設けない場合の反射率を100とした場合に、例えば波長約9mの波浪では約35〜47%の減衰効果を示し、2倍の堤長を有する単一層の減衰効果である約35〜53%に比すべき効果が得られることが分かる。波長約13mの波浪の場合では、2倍の堤長を有する単一層の減衰効果が約35〜43%あるが、その半分の堤長でも約23〜27%の減衰効果を示している。
かかる実験により、図2(a)、(b)に対応した図1(a)、(b)の防波堤の構成が、長周期波浪のエネルギー減衰に有効であることが確認される。
本発明では、上記の如く、透水層の最も外(海)側には大きな礫を用いて波の反射を低減するとともに消波層内の海水の流入を容易にしている。その後は、段階的に粒径を小さくしてエネルギーロスを図っている。
また、図3からは、消波層を単位粒径の単一層として構成した場合に比べて、本発明のように異なる粒径からなる複数のブロックから消波層を構成した場合の方が、消波層の奥行きを短くできることも分かった。本発明の構成は、従来構成に比べて、施工面積を小さくし、且つ波浪エネルギーの減衰効果が大きいことが確認された。
図2(c)に示す防波堤模型Bは、消波層B20を4個のブロックB20a、B20b、B20c、B20dから構成し、中央粒径D20aを60mm、中央粒径D20bを7.5mm、中央粒径D20cを60mm、中央粒径D20dを31mmに設定したものである。かかる場合を、図3では case3として示した。ケース1、2に比べて効果は小さいものの、従来構成に比べればエネルギーの減衰能力が優れていることが分かる。
かかる実験から、消波層を異なる粒径の礫を集積した複数のブロックから構成するに際しては、スリットケーソンから離れるに従って漸次粒径を小さくすることが好ましいが、大きい、小さい、大きい、小さい等の凹凸が繰り返す構成も有効であることが確認された。
尚、上記説明では、充填材として礫を使用した場合を例に挙げて説明したが、必ずしも礫を使用する必要はなく、コンクリート、樹脂等の素材で所定の粒径に形成した人工の充填材を使用しても構わない。
(実施の形態2)
本実施の形態では、前記実施の形態1で説明した構成の防波堤の消波層における波浪のエネルギー減衰を、消波層を構成する礫等の充填材の粒径との関係から規定して、かかる結果を用いて本発明に係る構成の防波堤の設計を行う場合に使用する有効な手法について説明する。
前記実施の形態1で示した構成を有する防波堤の設計に際しては、防波堤の構築現場における港湾で予想される波浪の周期に対して、使用可能な充填材の粒径をどのように設定し、且つ組み合わせたら、構築する防波堤の目標反射率を達成することができるか、事前に明らかにすることが求められる。
かかる点に関しては、礫層内での流動,エネルギーロスが複雑で、従来どのような計算手法を採用すれば良いのか明確ではなかった。そこで、本発明者は、種々の検討の結果、以下に述べる手法を適用することが有効であることを見いだした。
すなわち、本発明の構造を有する防波堤を設計するにあたっては、消波層内での圧力損失、すなわち消波層内に透水した波浪のエネルギー減衰を事前に検討することが必要となるが、かかる検討に際しては、スリットケーソンの背後に設ける消波層に対しては、Dupuit-Forchheimer則(デュプイ−ホルヒハイマー則)を用いた数値解析手法を適用することが有効であることを見いだした。
先ず、Dupuit-Forchheimer則による透水層内の圧力損失は、以下の式1で求められる。
また、式1中のαとβは、消波層を構成する礫等の充填材料と、充填材料を集積した際の空隙とから求まる係数で、以下の式2、3から求められる。ここに、p:圧力、ρ:密度である。
ここに、λ:空隙率、q=λu、d:粒径を示す。α0、β0は透水層を構成している材料から求まる係数で、使用する礫等の充填材毎に透水試験を行うことによって求めることができる。因みに、砕石においては、α0=800〜1500、β0=1.8〜3.6程度の値をとることが従来の研究(近藤ほか,1983)によって明らかにされている。
透水試験は、図4に示すように、所望の周期の波を形成することができる造波水路50内に、往復流発生装置60を仮設することで行った。往復流発生装置60は、電磁流量計61で計測したデータをフィードバックしてポンプ62の回転数を制御することで、所定の流路に一定流量を供給できる構成になっている。α0、β0を求めようとする充填材を円筒試験容器63に入れて、往復流発生装置60の管路64内に挿入した。円筒試験容器の両端は金網で覆い充填材を円筒試験容器63内に固定した。円筒試験容器63の両端側にそれぞれ圧力計P1、P2を設置して、流速を変化させながら2点間の圧力を測定した。
電磁流量計から推定した空隙内流速を横軸とし、2点間の圧力差から求めた動水勾配Iを流速で割ったものを(I/u=ρ−1dp/dx)を縦軸として、図5の透水試験結果が得られた。空隙率は、充填材の比重と円筒試験容器の容積とから算出することができる。図5に示す透水試験結果は、中央粒径(d50)が7.5mmの礫を使用した場合の透水試験結果である。かかる結果から、式(2)、(3)を用いてα0、β0を算出することができる。
その結果を、流体直接解析法を用いた数値波動水槽に組み込んで計算することで、様々な粒径の礫等の充填材を用いた場合の消波層での長周期波吸収性能を事前に予測することができる。
図6に示す粒径、堤長、スリットケーソン等の数値設定の数値解析条件で、上記式(1)、(2)を適用して、その後数値直接流体解析、数値波動水槽に組み込んで計算して得られた結果に基づき設計した防波堤の消波層のエネルギー減衰効果の状況を、図7に示した。
上記解析手法を用いれば、図7に示すとおり、3次元的な防波堤等の構造物の詳細な形状や、消波層を構成する礫層内での局所的な流速の変化(図中、矢印で示す)等の影響も取り込むことが可能であり、消波層内での粒径の変化についても適確に計算ができている。この効果は反射率の推定精度などにも大きな寄与をすると考えられる。また、鉛直方向に消波層の礫の粒径などを変化させた場合にも対応が可能である。
しかし、これまでの従来の解析手法では、鉛直方向について積分した数式を用いたものに、実験によるエネルギー損失係数などを与えるだけで、本発明者が提案の解析手法とは異なり、防波堤等の構造物との接続部分などの流れの局所的な変化等を解析に取り込むことができなかった。
図6、7は、上記の如く、先に提案の手法が有効に機能することを検証するために行った解析条件とその結果であり、本発明を用いた長周期波吸収護岸の性能を確認することができる。
また、図8に示すように、上記解析手法を用いることで、港湾全域の静穏度を検証する解析を行うことも可能であり、計画手法として有効に利用することができる。
図8は、上記説明の解析手法を用いて港湾全域をモデル化して解析した結果で、港湾全域の水位の状況が確認できる。特に、本発明の防波堤Aにおける消波層20における水位変動も確認できる。図8の上側に示す防波堤Aは、スリットケーソン10の背後に消波層20を設置した場合のもので、構成はブロック20a、20bの2層から消波層20が構成されている。波浪は、図8の左下側から斜め30度で入射して、防波堤Aの護岸部分の左側から右側に順に作用するように来襲している。
図8からは、来襲する波浪に対して、防波堤Aを構成する消波層20内のブロック20a、20bでは、確実にエネルギー減衰が図られていることが確認できる。尚、図中、スリットケーソン10は、3次元解析では省略表示しているため、線として示されている。
この場合の反射率は、図6で示したように、護岸に直角に作用する場合よりも小さくなることが知られているが,従来の解析手法ではその影響を計算することが難しかった。上記説明の本解析手法を用いることによって、波浪が斜めに来襲する場合に、スリットケーソンや消波層内の流動をも計算することによって算定精度を向上させることができる。
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、集積する礫の粒径の代表値が異なる複数のブロックの区分けを、図1(a)、(b)に示すように、鉛直方向に行う場合について説明したが、図9(a)に示すように、ブロックの区分けをスロープ状に設定しても構わない。図9(b)は、図9(a)に示す場合の逆に設定した場合を示す。図9(c)に示す構成は、ブロック20a、20b、20cの各区分けスロープの傾斜方向を同一方向に揃えた構成の一例を示す。図9(d)に示す構成は、ブロック20a、20b、20cの区分けスロープを、向きを互いに逆方向に設定した場合の一例である。
また、図示はしないが、図1(a)、(b)等に示す鉛直方向の区分けと、図9(a)〜(d)に示す区分けスロープを併用する構成も考えられる。さらには、図9(a)〜(d)に示す斜線で示されるスロープの区分けを、敢えて階段状に形成しても構わない。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、防波堤における長周期波浪の反射の抑制技術の分野で有効に利用することができる。
(a)、(b)は本発明に係る防波堤の構成を示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の有効性を検証するために用いた実験用の防波堤模型の構成を示す断面図である。 本発明の有効性を示す波浪の波長と防波堤の構成に基づく反射率との関係を示す説明図である。 透水試験装置の全体構成を示す説明図である。 所定粒径の礫層における透水試験の結果を示す説明図である。 解析条件を示す説明図である。 解析結果を示す説明図である。 港湾全域の静穏度を示す説明図である。 (a)〜(d)は、本発明の防波堤における消波層の変形例を示す断面図である。 (a)、(b)は従来構成の防波堤の構成を示す断面図である。
符号の説明
10 スリットケーソン
11 遊水室
20 消波層
20a ブロック
20b ブロック
30 マウンド
50 造波水路
60 往復流発生装置
61 電磁流量計
62 ポンプ
63 円筒試験容器
64 管路
100 防波堤
110 スリットケーソン
120 消波層
A 防波堤
B 防波堤模型
B10 スリットケーソン
B11 遊水室
B20 消波層
B20a ブロック
B20b ブロック
B30 マウンド
D20a 中央粒径
D20b 中央粒径
D20c 中央粒径

Claims (4)

  1. 波浪の打ち寄せる側にスリットケーソンを設け、前記スリットケーソンの背後に消波層を設けた防波堤であって、
    前記消波層は、礫等の充填材を集積した複数のブロックからなり、前記複数のブロックは、ブロック毎の前記充填材の粒径の代表値が異なることを特徴とする防波堤。
  2. 請求項1記載の防波堤において、
    前記消波層を構成する複数のブロックのうち、波浪の打ち寄せ方向に沿って、前記スリットケーソン側に一番近い側のブロックの充填材の粒径の代表値は、前記複数のブロックの充填材の内で最大であることを特徴とする防波堤。
  3. 請求項1記載の防波堤において、
    前記消波層を構成する複数のブロックは、波浪の打ち寄せ方向に沿って、前記スリットケーソン側から離れるに従って、前記充填材の粒径の代表値が小さくなる複数のブロックが順次配置されて形成されていることを特徴とする防波堤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の防波堤において、
    前記充填材の粒径の代表値とは、礫の粒径の中央粒径であることを特徴とする防波堤。
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