JP2006218421A - 混合気体の分離方法、及び気体分離装置 - Google Patents

混合気体の分離方法、及び気体分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 温度駆動型ポンプを利用して混合気体を分離する。
【解決手段】 気体分子の平均自由行程と同程度の幅のポンプ作用路22を有し、ポンプ作用路22に温度分布を与えて気体分子の流れを生じさせる温度駆動型のポンプ11を利用した混合気体の分離方法において、混合気体をポンプ11内に導入してポンプ11を作動させる。ポンプ11の少なくとも一方の端部にて混合気体に含まれる一部の成分気体をポンプ作動前との比較において他の成分気体よりも濃縮又は希釈する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、温度駆動型のポンプを利用して混合気体を分離する方法及び装置に関する。
近年、クヌーセンコンプレッサと呼ばれる温度駆動型の真空ポンプが研究されている(例えば特許文献1、2及び非特許文献1参照)。このポンプ(本明細書においてコンプレッサはポンプの一態様とみなす。)は、軸に沿って温度勾配を持つパイプの内部で低温側から高温側へ気体が流れるという熱遷移流を利用したものである。クヌーセンコンプレッサは、運動する部品を用いずに気体を輸送できる点で従来の機械式ポンプと大きな相違がある。
また、温度場に与えられた気体の挙動として、鋭い先端部を有する物体を加熱又は冷却して気体中に置いた場合、その先端部の周囲で気体の流れが誘起されるという熱尖端流の存在が指摘され(非特許文献2)、実験的に確認されている(非特許文献3)。
米国特許第5871336号明細書 特開2001−223263号公報 Y. Sone and H. Sugimoto、 "Vacuum pump without a moving part and its performance、" in Rarefield Gas Dynamics、 ed. by A.D.Ketsdever and E.P.Muntz (AIP、 New York、 2003) 1041-1048 K.Aoki、 Y.Sone、 and N.Masukawa、"A rarefield gas flow induced by a temperature field、" in Rarefield Gas Dynamics、 ed. by G.Lord (Oxford U.P.、 Oxford、 1995) 35-41 Y.Sone and M.Yoshimoto、 "Demonstration of a rarefield gas flow induced near the edge of a uniformly heated plate、" Phys. Fluids 9 (1997) 3530-3534.
温度駆動型のポンプでは、ポンプの内部流路の少なくとも一部に微小な流路が設けられる。その流路の幅は気体分子の平均自由行程と同程度、言い換えれば、気体分子の挙動の観点から気体分子の平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲に設定されている。そのような微小な流路における気体分子の挙動は、高圧又はマクロな系の気体分子のそれとは大きく異なる。高圧又はマクロな系では、気体分子同士が頻繁に衝突するため、混合気体を構成する成分気体の分子が平均的に同じ運動を行う。一方、平均自由行程程度の幅の流路は低圧又はミクロな系であり、そこでは気体分子の衝突頻度が小さいため、各成分気体の分子がそれぞれ異なる運動を行う可能性がある。しかしながら、温度駆動型ポンプに関する従来の研究はいずれも純粋気体、すなわち単一分子からなる気体を前提としたものであり、温度駆動型ポンプを利用した混合気体の分離についてはこれまで何ら検討されていない。
本発明は、低圧又はミクロな系を有する温度駆動型ポンプを利用して混合気体を分離する方法、及び装置を提供することを目的とする。但し、本発明において、混合気体の分離とは、分離前の混合気体における各成分気体の分圧の比率を変化させて特定の成分気体を他の成分気体よりも濃縮又は希釈する概念であり、成分気体のそれぞれを純粋気体に分離する場合は、濃縮又は希釈が最も進んだ態様として位置付けられるものである。
本発明の発明者は、温度駆動型ポンプに混合気体を導入したときの成分気体の分子の挙動を鋭意研究した結果、温度駆動型ポンプ内の低圧又はミクロな系では成分気体によって分子の運動に差が生じ、気体分子がその質量に応じて異なる流れを示すことを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、その分離方法は、気体分子の挙動の観点から該気体分子の平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲の幅に設定されたポンプ作用路を有し、前記ポンプ作用路に温度勾配を与えて気体分子の流れを生じさせる温度駆動型のポンプを利用した混合気体の分離方法であって、混合気体を前記ポンプ内に導入して前記ポンプを作動させることにより、前記ポンプの少なくとも一方の端部にて前記混合気体に含まれる一部の成分気体をポンプ作動前との比較において他の成分気体よりも濃縮又は希釈することにより、上述した課題を解決する。
本発明の分離方法によれば、温度駆動型ポンプのポンプ作用路に温度勾配を与えることにより、質量が大きい気体分子は質量が小さい気体分子よりもポンプの高圧側により大きな流量で流れる。このため、ポンプの作動前の混合気体との比較において、ポンプの高圧側では重い成分気体の分圧が軽い成分気体のそれよりも相対的に高くなり、ポンプの低圧側では軽い成分気体の分圧が重い成分気体のそれよりも相対的に高くなるという気体分離作用が生じる。これにより、ポンプの少なくとも一端部から軽い又は重い成分気体を濃縮、あるいは希釈した気体を取り出すことができる。
本発明の分離方法の一形態においては、前記ポンプを含む閉じた系内に混合気体を閉じ込めた状態で前記ポンプを作動させることにより前記ポンプの両端部間で前記混合気体を構成する成分気体の分圧比又は濃度を変化させ、該分圧比又は濃度が定常状態に達した後に、前記ポンプの少なくとも一方の端部から気体を取り出してもよい。この形態によれば、温度駆動型ポンプにて成分気体を最大限に濃縮又は希釈してから取り出すことができる。
本発明の分離方法の一形態においては、前記ポンプの両端部間における前記混合気体の圧力差を制御して前記ポンプを流れる各成分気体の流量を調整してもよい。温度駆動型ポンプ内の低圧又はミクロな系では、流路を流れる気体の濃度が流路の両端部間における圧力差又は濃度差の影響を受ける。従って、圧力差を制御することにより、成分気体の濃縮度又は希釈度を様々に調整することができる。
本発明の気体分離装置は、気体分子の挙動の観点から該気体分子の平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲の幅に設定されたポンプ作用路を有し、前記ポンプ作用路に温度勾配を与えて気体分子の流れを生じさせる温度駆動型のポンプと、前記ポンプに原料の混合気体を供給する原料供給部と、前記ポンプの少なくとも一方の端部に接続され、前記ポンプの作動に伴って、一部の成分気体がポンプ作動前との比較において他の成分気体よりも濃縮又は希釈された気体を前記ポンプから回収する気体回収部と、を備えたものである。
本発明の気体分離装置によれば、原料供給部からポンプ内に原料の混合気体を導入してポンプを作動させることにより、気体回収部において一部の成分気体を他の成分気体よりも濃縮、あるいは希釈させて取り出すことができる。
本発明の気体分離装置の一形態において、前記ポンプ、前記原料供給部及び前記回収部が、前記混合気体を閉じ込める単一の閉じた系を構成できるように設けられてもよい。この形態によれば、閉じた系に混合気体を閉じ込めてポンプを作動させることにより、ポンプの両端部で成分気体を最大限に濃縮又は希釈することができる。
本発明の気体分離装置の一形態において、前記ポンプの両端部間における前記混合気体の圧力差を制御する手段を備えてもよい。この形態によれば、前記ポンプの両端部間における前記混合気体の圧力差を制御することにより、前記ポンプを流れる各成分気体の流量を適宜に変化させて成分気体の濃縮度又は希釈度を様々に調整することができる。
本発明において、温度駆動型のポンプとしては、前記ポンプ作用路に沿って配置された少なくとも一対の低温部と高温部との間で熱尖端流を生じさせるように構成されたもの、あるいは前記ポンプ作用路に沿って延びる流路壁に流れ方向に沿った温度勾配を与えて熱遷移流を生じさせるように構成されたものを用いることができる。
なお、本発明において、気体分子の挙動の観点から平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲は、平均自由行程の数百分の一から数百倍にわたる幅広い範囲を意味する。気体分子の平均自由行程を考える場合、圧力の値に応じて、無限小から無限大までの極めて広い範囲の値を扱わねばならない。このため、数百倍の違いは、気体分子の挙動の観点からみて実質的に同等であると考えてよい。気体分子同士の衝突が頻繁に生じるような流れ領域を粘性流領域と呼び、平均自由行程が極めて大きくて分子同士の衝突が生じない流れ領域を分子流領域と呼ぶことがあるが、本発明で利用する温度駆動型のポンプは、これらの領域の間に介在する中間流領域で作動すると考えてもよい。また、本発明における圧力差の制御は、圧力を直接制御する場合に限らず、圧力と関係を有する他のパラメータを変化させることにより、結果として圧力差を制御する場合も含む。
以上に説明したように、本発明によれば、温度駆動型のポンプの気体分離作用を利用して混合気体の一部の成分気体をポンプ作動前との比較において他の成分気体よりも濃縮又は希釈することができる。しかも、温度駆動型のポンプはポンプ作用路に温度勾配を与えるだけで作動し、機械的に動作する駆動部品を持たない。従って、本発明によれば簡単な構成で混合気体を分離することができる。機械的な駆動部品が存在しないことから、摩耗による塵埃、異物、潤滑剤等が気体に混入するおそれがなく、こうした異物類が混ざらない気体を必要とする用途に特に適している。
[第1の形態]
図1は本発明の第1の形態に係る気体分離装置10Aの要部を示している。気体分離装置10Aは、温度駆動型のポンプ11と、そのポンプ11の流路12の両端部に設けられた一対のタンク13、14とを備えている。これらのポンプ11とタンク13、14とによって混合気体を閉じ込める閉じた系が構成される。勿論、タンク13、14のそれぞれには内部に対して気体を導入する導入口、又はそれらの内部から気体を取り出すための取出口が設けられるが、それらの導入口及び取出口を閉じることにより気体分離装置10Aの内部は閉じた系として構成される。
ポンプ11は熱尖端流を利用して気体分子を圧縮するものである。以下、ポンプ11の説明に先立って熱尖端流について説明する。図2Aに示すように、温度Tの正方形状の容器1の中央部に温度Tの平板2が置かれている場合を考える。図2Bは容器1内の流れに関する数値シミュレーションによって得られた流れベクトル及び等温線の様子を示している。但し、図2Bに示した平板2の中心に原点を置き、平板2と直交する方向にX軸を、平板2と平行な方向にX軸を設定したときの第一象限の部分のみを図2Bに示している。また、ここに示す数値シミュレーション結果は、T/T=5、容器1内における気体分子の平均自由行程が平板2の幅の5%に相当する場合である。図2Bによれば、平板2の尖端部2aの付近において、気体の温度が急激に変化し、その低温側から高温側へ向かう流れが生じていることが判る。このような流れが熱尖端流である。
次に熱尖端流を利用したポンプ11について説明する。図1に示すように、ポンプ11は、流路12の長手方向に一定の長さピッチLで並べられた複数のポンプユニット15を備えている。図3Aは一つのポンプユニット15を示す。ポンプユニット15は流路12の壁面12a、12b間に長さLの低温平板群(低温部)Cと、長さLの高温平板群(高温部)Hとを備えている。一つのポンプユニット15における気体の流れ方向は図3BにおけるX軸方向である。低温平板群Cにおいては、複数の平板20が流路12を横断する方向(具体的には流路における流れ方向と直交する方向)に一定間隔を空けて互いに平行に並べられている。高温平板群Hにおいても、複数の平板21が低温平板群Cの平板20と同一方向に一定間隔を空けて互いに平行に並べられている。平板20と平板21とは互いに接しないようにして流路12の流れ方向に並べられている。高温平板群Hの平板21は低温平板群Cの隣接する一対の平板20の間に配置されている。また、流路12の流れ方向に関して、低温平板群Cの平板20の後端部20bと高温平板群Hの平板21の前端部21aとは一定長さLに亘って互いに重複している。つまり、平板20と平板21とは、流路12を横断する方向においてそれぞれの端部20a、21aが一定間隔D/2で交互に並ぶように設けられている。さらに、同一平板群の平板同士の間隔Dは、流路12に導入される気体分子の挙動の観点からみて、その気体分子の平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲に設定されている。これにより、平板20、21で仕切られた微細な流路がポンプ作用路22として機能する。
すなわち、ポンプユニット15において、高温平板群Hの平板21の温度Tを、低温平板群Cの平板21の温度Tよりも高く設定した場合を考える。まず、平板20、21の食い違い部分(流れ方向に関してオーバーラップしている部分)における温度分布に着目すると、この部分では2つの平板群C、Hの間の温度差により周囲の気体中に大きな温度勾配が生じる。一方、平板20の前端部20aの周囲及び平板21の後端部21bの周囲では、低温又は高温の平板20又は21のみが連続しているために、平板温度T又はTとほぼ一致する一様な温度場が生じる。以上の結果から、平板群C、Hの付近の温度分布は図3Bに示すようになる。なお、図中のハッチング領域は高温部分を示す。
個々の平板20、21の温度が前端部20a、21aから後端部20b、21bまでほぼ一定であるとすれば、それぞれの平板20、21上において熱遷移流は生じない。これに対して、平板20の後端部21b及び平板21の前端部21aにおいては、周囲の気体中に温度勾配が生じているために熱尖端流が生じる。より具体的に考察すれば次の通りである。
まず、低温側の平板20の後端部21b付近の点Pにおいては、−X方向において低温の気体分子が存在し、+X方向には高温の気体分子が存在する。温度勾配が生じている環境において、気体分子はより高温側に移動する傾向を示すから、点Pでは+X方向の流れ(熱尖端流)が誘起される。次に、高温側の平板21の前端部21a付近の点Qにおいても上記と同様の現象が生じて+X方向の流れが誘起される。一方、平板20の前端部20a付近の点P′、及び平板21の後端部21b付近の点Q′においては、周囲の気体温度がT又はTでほぼ一定であるため、流れが生じない。
以上の考察から明らかなように、図3Bにおいては、平板20の後端部20b及び平板21の前端部21aの周囲のみで気体の流れが誘起され、流れ方向はいずれも+X方向である。従って、ポンプ作用路22においては+X方向への流れが生じる。このような作用が各ポンプユニット15にて生じることにより、流路12の全体にはタンク13からタンク14へ向う気体の流れが生じ、タンク14側に気体が圧縮される。以下では、タンク13の側を低圧側、タンク14の側を高圧側と呼ぶことがある。
ところで、以上の考察は単一種類の気体分子からなる純粋気体を流路12に導入した場合のものであり、流路12に複数種類の成分気体からなる混合気体を導入した場合には各成分気体によって上記と異なる流れが生じる。すなわち、ポンプ作用路22の間隔Dは流路12に導入される気体分子の平均自由行程の程度に設定されているため、ポンプ作用路22における気体分子の挙動が気体分子の種類に応じて異なり、その影響で成分気体毎に流れも相違する。発明者の解析によれば、質量が重い気体分子は質量が軽い気体分子よりもより多く高圧側に流れる傾向を示す。従って、タンク13に原料となる混合気体を導入してポンプ11の各ユニット15の平板群C、Hに温度差を与えた場合、低圧側のタンク13の全圧よりも高圧側のタンク14の全圧が上昇するのみならず、タンク13、14における成分気体の分圧比に相違が生じる。すなわち、ポンプ作動前、すなわち初期状態における混合気体の分圧比との比較において、低圧側のタンク13では軽い成分気体の分圧比が上昇し、高圧側のタンク14では重い成分気体の分圧比が上昇する。言い換えれば、ポンプ作動前との比較において、低圧側のタンク13では軽い成分気体が濃縮され、高圧側のタンク14では重い成分気体が濃縮される。これによりタンク13からは軽い成分気体が濃縮された気体、又は重い成分気体が希釈された気体を取り出し、高圧側のタンク14からは重い成分気体が濃縮された気体、又は軽い成分気体が希釈された気体を取り出すことができる。すなわち、この形態では、タンク13及び14のいずれもが原料供給部及び回収部として機能し得る。
なお、平板群C、Hに対する温度差は、例えば高温平板群Hに電熱体を設け、それに電流を通して発熱させるといった手段により与えることができる。低温平板群Cを何らかの冷却手段によって冷却してもよいし、高温平板群Hに何らかの熱源を接触させてもよい。
次に、気体分離装置10Aにおける気体分子の挙動をシミュレーションした結果を示すことにより、上述したポンプ11の気体分離作用を検証する。ここでは、計算を容易にするために、図1に示すように流路12とタンク13、14との接続部分を破線DL1、DL2で示すように閉じた状態を考えた。つまり、流路12の断面が流れ方向に沿って一様であるとみなして気体分子の流れを解析した。シミュレーションではユニット15の数(ユニット数)を10個とした。
本形態の気体分離装置10Aによる気体分離作用を確認するため、流路12内に2種類の成分気体からなる混合気体を導入し、ポンプ11を作動させた後の気体分子の挙動を時間発展を数値シミュレーション法(DSMC法)によって追跡した。なお、ポンプ11を記述するパラメータは次表及び図1に示した通りである。但し、ここでは2種混合気体を扱うため、各気体を表す場合にα、βを付す。例えばα気体の数密度をnαと表す。比気体定数Rは混合気体の組成によって変化するため、Rの代わりにκ/m(但し、κ:ボルツマン(Boltzmann)定数、m:基準とする気体分子の分子質量)を用い、密度ρ(基準密度ρ)の代わりに分子の数密度n(基準の数密度n)を用いる。α気体の濃度をχα(=nα/n)と表す。また、シミュレーション結果は時間tを用いて示す。時間の基準量tはt=D/(2κT/m1/2であり、分母は基準とする成分気体の中の音速程度の速度である。
Figure 2006218421
図4は、図1の流路12内に2種類の成分気体が一様に混合した混合気体(総数密度n、温度T)を導入し、その混合気体が静止した状態からポンプ11を動作させた場合の混合気体の圧力(全圧)及び成分気体の分圧のシミュレーション結果を示している。図4の横軸はシミュレーションの経過時間を無次元時間t/tで表し、縦軸は無次元圧p/pあるいはpα/pをそれぞれ表す。図中の実線はポンプ11の高圧側を、破線は低圧側をそれぞれ示す。混合気体はヘリウム、アルゴンからなり、それらの濃度χHe、χArは互いに等しく1/2であり、クヌーセン数Knは0.5とした。気体分子の挙動はレナード−ジョーンズ(Lennard-Jones)モデルに従うものとして計算している。シミュレーション条件は次の通りである。
ユニット長さL/D=5
ポンプ作用路の長さL/D=2.5
低温平板群の長さL/D=1.5
高温平板群の長さL/D=1.5
平板群の重なり長さL/D=0.5
流路分割数n=10
平板群の温度T=300K、T/T=3
図4から明らかなように、ポンプ11の低圧側端部において、作動開始時(時間t=0)の初期状態では全圧が基準圧力p(=κn)であり、2種類の成分気体のそれぞれの分圧はχ α=1/2であるためにいずれもp/2である。ポンプ作動直後(t>0)はまず高温平板群Hの加熱に伴って流路12内の圧力が急激に上昇する。この際の圧力変化はシミュレーションでは完全には識別できないため、図4では時間t/t=0の近傍の圧力が上記の値よりも大きくなっている。時間の経過に従ってポンプ11の圧縮作用により高圧側の全圧は上昇し、低圧側の全圧は低下する。しかしながら、成分気体の流れが異なるため、ポンプ11の両端では成分気体の分圧が異なった比率を示すようになる。すなわち、高圧側では重いアルゴン気体の分圧が軽いヘリウム気体のそれを上回り、低圧側では逆の現象が生じる。つまり、高圧側ではアルゴン気体が濃縮され、低圧側では軽いヘリウム気体が濃縮される。より詳細に検討すれば、全圧はt/t=1000付近でほぼ一定値に達するが、分圧は時間t/tが1000を越えても徐々にではあるが変化を続け、分圧が定常状態に達するにはt/t=4000程度の時間が必要である。従って、時間t/tが1000〜4000程度の範囲ではポンプ11の両端で全圧が変化せず、アルゴン分子が高圧側に移動し、それと同数のヘリウム分子が低圧側に移動している。
次に、上記の現象をより明らかにするために、各成分気体分子の流量の時間変化に着目する。図5は、α気体の数密度をnα、流速をv αとし、下式(1)で求められる分子数流量の全領域平均値の時間変化を示している。なお、横軸は無次元時間t/t、縦軸は(1)式の左辺をn(2κT/m1/2で除した無次元分子数流量である。流量は、気体分子が流路12内を低圧側から高圧側に移動する場合、つまり図3Bの矢印X方向へ移動する場合を正方向で表している。なお、下式(1)においてX方向は流路12の長手方向、X方向は流路12を横断する方向である。
Figure 2006218421
図5から明らかなように、時間t/tが1000程度に達するまではヘリウム及びアルゴンのいずれの分子の流量が正である。これはポンプ11の圧縮作用により、いずれの気体分子も低圧側から高圧側へと流れることを示している。しかしながら、時間t/tが1000に達する頃に質量が軽いヘリウム分子の流量が0となり、それ以降はヘリウム分子の流量が負を示している。つまり、時間t/t以降ではアルゴン分子が低圧側から高圧側に流れる一方で、ヘリウム分子がポンプ11の高圧側から低圧側に流れている。このような相反する流れが生じることにより、図4に示したように時間t/t=1000付近で全圧が定常に達しても、それ以降で分圧が徐々に変化を続けると考えられる。各気体分子の流量は時間t/t=4000程度でほぼ0に収束しており、これに対応して図4でも時間t/t=4000付近で分圧が定常状態に達している。このような定常状態に達してから、タンク13、14をそれぞれ開放することにより、低圧側のタンク13からはヘリウムが最大限に濃縮された気体を、高圧側のタンク14からはアルゴンが最大限に濃縮された気体をそれぞれ取り出すことができる。なお、時間t/tが1000〜2000の領域においてヘリウム及びアルゴンのそれぞれの分子の流量の差を平均すると下式(2)の通りである。この結果からヘリウム分子とアルゴン分子との間には0.6m/sec.程度の流速差が生じている。
Figure 2006218421
次に、初期濃度χ αを様々な値に設定して、各成分気体の分圧が定常状態に達した時点でのポンプ軸方向(つまり、流路12の流れ方向)における各気体分子の濃度分布を調べた結果を説明する。図6A〜図6Cはアルゴン及びヘリウムからなる混合気体について濃度χ αを変化させた場合の解析結果であり、図6Aはヘリウムの濃度χ He=0.25の場合、図6Bはχ He=0.25の場合、図6Cはχ He=0.75の場合をそれぞれ示している。いずれの場合もクヌーセン数Knは0.5とした。各図において横軸はポンプ軸方向(すなわち流路12の長手方向)の座標を示し、横軸の左端は最も低圧側に位置するポンプユニット15の位置、右端は最も高圧側に位置するポンプユニット15の位置にそれぞれ対応する。縦軸は各成分気体のモル濃度をポンプ軸方向と直交する断面内で平均した値であり、濃度0.5の位置を破線で示している。
図6A〜6Cから明らかなように、ヘリウムの初期濃度χ Heが異なっていても、ヘリウムの濃度χHeに関してはポンプ11の低圧側(図6A〜6Cにおいて左端側)が高圧側よりも高くなり、アルゴンの濃度χArに関してはポンプ11の高圧側が低圧側よりも高くなる。これにより、熱尖端流を利用したポンプ11では混合気体における成分気体の初期濃度に拘わりなく上記のような気体分離作用が発揮されることが判る。
ヘリウムとアルゴンとの分子質量比は9.99程度であり、比較的大きいが、上述した気体分離作用は混合気体を構成する成分気体の分子質量比を問わずに発揮される。図7A及び図7Bは分子質量比がより小さい2種の成分気体からなる混合気体を分離装置10Aにて分離した場合の濃度分布を図6A〜図6Cの場合と同様に計算した結果を示す。図7Aはネオンとヘリウムとを成分気体とする混合気体についての例であり、両者の分子質量比は5.04程度である。図7Bはネオンとアルゴンとを成分気体とする混合気体についての例であり、両者の分子質量比は1.98程度である。いずれの場合もクヌーセン数Knは0.5、ネオンの初期濃度χ Neは0.5とした。これらの結果から混合気体における成分気体の分子質量比が小さくなっても、高圧側で重い気体が濃縮され、低圧側で軽い気体が濃縮されることが判る。
以上の形態では、ポンプユニット15の個数(ユニット数)を10個としているが、その個数は必要に応じて適宜に変化させてよい。ユニット数を増加させることにより、ポンプ11の低圧側及び高圧側の分圧をより大きく変化させることができると推定できるが、ユニット数は目標とする気体濃度に応じて適宜に設定すればよい。また、上記で示したポンプ11は例示であり、低温部及び高温部の配置は図示のものに限定されない。流路内に平均自由行程と同程度の幅のポンプ作用路が存在し、かつそのポンプ作用路に少なくとも一対の低温部と高温部とが配置されて熱尖端流が生じる限り、ポンプ11の構成は適宜に変更してよい。
[第2の形態]
次に、本発明の第2の形態について説明する。図8は第2の形態に係る気体分離装置10Bを示している。但し、図1と共通する部分には同一符号を付してある。第2の形態では、熱尖端流を利用したポンプ11に代えて、熱遷移流を利用したポンプ31がタンク13、14間に設けられている。これらのポンプ31とタンク13、14とによって混合気体を閉じ込める閉じた系が第1の形態と同様に構成される。
ポンプ31はクヌーセンコンプレッサとして知られているものである。熱遷移流とは、図9に示すように気体分子の平均自由行程程度の直径を有する細管3に軸方向に沿って温度勾配を与えると、細管3の内部の気体が図中に矢印で示したように低温側3cから高温側3hへ流れるという現象である。図8のポンプ31では、タンク13、14を結ぶ流路32の中央に中間タンク33が配置されている。流路32はその中間タンク33と低圧側のタンク13とを結ぶ複数の一次流路(ポンプ作用路に相当)34と、中間タンク33と高圧側のタンク14とを結ぶ二次流路35とを含む。各一次流路34の代表径(幅に相当)dは気体分子の平均自由行程の程度に設定され、二次流路35の代表径Dは一次流路34よりも十分に大きい。このようなポンプ31では、各タンクの温度をT、中間タンク33の温度をT+ΔTに設定して一次流路34の壁面に流れ方向に沿った温度勾配を与えると、それらの一次流路34で熱遷移流が発生し、低圧側のタンク13から高圧側のタンク14へと気体分子が流れ、それにより高圧側のタンク14に気体が圧縮される。温度差ΔTは例えば中間タンク33を何らかの熱源にて加熱して得ることができる。
上述した熱尖端流型のポンプ11と同様に、熱遷移流型のポンプ31においても一次流路34の幅dが気体分子の平均自由行程程度に設定されているため、流路32に混合気体を導入した場合には第1の形態と同様な気体分離作用が生じる。このため、ポンプ作動前、すなわち初期状態における混合気体の分圧比との比較において、低圧側のタンク13では軽い成分気体の分圧比が上昇し、高圧側のタンク14では重い成分気体の分圧比が上昇する。従って、ポンプ作動前との比較において、低圧側のタンク13からは軽い成分気体が濃縮された混合気体、又は重い成分気体が希釈された混合気体を取り出し、高圧側のタンク14からは重い成分気体が濃縮された混合気体、又は軽い成分気体が希釈された混合気体を取り出すことができる。すなわち、この形態でも、タンク13及び14のいずれもが原料供給部及び回収部として機能し得る。
次に、図8に示した気体分離装置10Bにおける2種混合気体の分離作用を推定する。なお、以下では、流路32を構成する一次流路34及び二次流路35の長さLはそれらの直径d、Dよりも十分に長く、ポンプ31内における温度T、圧力p及び濃度χAは、それらの基準となる値(初期状態の値)T、p及びχA からの変化が十分に小さく、気体の挙動は線形ボルツマン方程式に従うものとする。簡単のため、二次流路35を幅Dの2次元流路として考える。このとき、流路を流れるα成分気体の質量流量Mα、及び断面平均流速uαはそれぞれ次式(3)及び(4)のように表される。なお、ここでは混合気体の成分気体をA成分気体、B成分気体とし、αはそれらを代表する文字として使用する。例えば濃度χαは、A成分気体に対する濃度χ又は、B成分気体の濃度χをそれぞれ代表する。A成分気体の分子質量はB成分気体のそれよりも軽いものとする。
Figure 2006218421
Figure 2006218421
ここに、T、p、χαはそれぞれ流路32の壁面温度、混合気体の全圧及びα成分気体のモル濃度であり、Xは流路32の軸方向の座標である。T、n、χ はそれぞれ基準となる温度、基準となる混合気体の数密度及びA成分気体の基準濃度である。Knはクヌーセン数であり、基準とする気体(例えばA気体)が単独で数密度n、温度Tの平衡状態にある場合の平均自由行程lを用いて、Kn=l/Dと定める。mαはα成分気体の分子質量(但し、m<m)、mは基準とする気体分子の質量、κはボルツマン定数である。Q α、Q α、Q αはそれぞれクヌーセン数Kn、濃度χ 、A成分気体の分子の力学的パラメータ(例えば、直径比、質量比)、及び流路32の断面形状に依存する無次元関数であり、それぞれ熱遷移流、ポアズイユ(Poiseuille)流、濃度勾配流に対応する。なお、Q α(添え字*は熱遷移流の場合はT、ポアズイユ流の場合はp、濃度勾配流の場合はDのいずれかを示す。)は幾つかの分子モデルに基づいて数値解析結果が既に報告されている(例えば、小菅、佐藤、高田、青木による「平行2平板間における2成分混合希薄気体の流れ」第16回数値流体力学シンポジウム予稿集A111−4(2002)、佐藤による「平行2平板間における2成分混合希薄気体の流れ」京都大学航空宇宙工学専攻修士論文(2003)を参照)。剛体球分子モデルにおけるそれらの解析例を図10に示す。横軸がクヌーセン数Kn、縦軸がQ αである。実線がA気体の量を、点線がB気体の量を示す。但し、図10は、A成分気体の分子とB成分気体の分子との直径比d /d =1、質量比m/m=10、χ =0.5の解析結果である。χ =χ であるから、Q αの比は各成分気体の流速比である。
簡単のため、図8に破線DL1、DL2で示すように流路32とタンク13、14との接続部付近で閉じた系を考えて、質量流量Mα=0、つまり流路32の内外間で各気体分子が流れないと仮定したときの各気体分子の挙動を定める。図8において、タンク13、33及び14のそれぞれのA成分気体の濃度をそれぞれχ 、χ+χ 、χ+Δχとおき、低圧側タンク13と中間タンク33との間、中間タンク33と高圧側タンク14との間のそれぞれについて式(3)を適用する。但し、微分項を差分で近似する。例えば、低圧側タンク13と中間タンク33との間について、(3)式の括弧内の微分項dT/dX、dp/dX、dχ/dXは、それぞれ流路34の長さLとそれらの間の温度差ΔT、圧力差p*、濃度差χ とを用いて温度勾配ΔT/L、圧力勾配p/L、濃度勾配χ /Lにより近似する。中間タンク33と高圧側タンク14との間も同様にして差分項で近似する。流路32の両端を閉じて質量流量Mα=0と仮定していることから、(3)式の左辺=0であり、微分項を近似した各差分項の分母L、及び(3)式の括弧外の係数はいずれも両辺に逆数を掛けて消去できる。このため、(3)式から、低圧タンク13〜中間タンク33の間、中間タンク33〜高圧タンク14の間のそれぞれについて次式(5)及び(6)が得られる。
Figure 2006218421
Figure 2006218421
上式(5)、(6)において、基準となる温度T、圧力p、濃度χ は予め与えられている。中間タンク33の圧力差ΔTは任意に設定することができるから、これは適当な値に固定して考えることができる。従って、上式(5)及び(6)の未知数はΔp、Δχ、p及びχ の4個である。しかも、上式(5)及び(6)はそれぞれA成分気体及びB成分気体について成立するから、結局、未知数が4個で式が4個の連立方程式が存在することになる。そこで、この連立方程式を各未知数について解けば下式(7)及び(8)が得られる。
Figure 2006218421
(7)式はポンプ31による気体圧縮作用を、(8)式はポンプ31による気体分離作用をそれぞれ示している。関数PC2及びXC2は図10に示したQ αから求めることができる。それらの計算例を図11に示す。なお、図11はD/d=10、χ =0.5の場合であり、分子モデルは剛体球分子モデルである。横軸がクヌーセン数Kn、縦軸がPC2及び−XC2である。実線がm/m=2、破線がm/m=5、点線がm/m=10の値をそれぞれ示す。図11から明らかなように、PC2が正の範囲で変化しているから、高圧側のタンク14では圧力p+Δpが初期状態の圧力pより上昇して混合気体が圧縮されていることが判る。その一方、XC2が負の値を示しているから、Δχも負の値である。すなわち、軽いA成分気体の濃度χは高圧側のタンク14において初期状態の濃度χ よりも低下している。従って、高圧側のタンク14では重いB成分気体が濃縮され、低圧側のタンク13では軽いA成分気体が濃縮されることが判る。なお、この形態でもポンプ31を一つのユニットとして第1の形態と同様に複数のユニットを流れ方向に連結すればより大きな分離作用が得られる。複数のポンプユニットを連結した場合の分離作用は、高圧側のタンク14について得られた圧力p+Δp及び濃度χ+Δχを次の段の初期状態の基準値として用いて上記の計算をすれば求めることができる。
次に、ポンプ31の両端を閉じない場合の気体分離作用について解析する。この場合は質量流量Mα=0という前提条件が得られないので、一次流路34と二次流路35とでA成分気体の質量流量Mが互いに等しく、かつB成分気体についても同様に質量流量Mが左右で等しいという前提で(5)式から2つの式を得る。質量流量Mαに代えて、気体分子の数流量Nαを用いてもよい。これらを解けば、中間タンク33における圧力差p*及び濃度差χ*Aが、温度差ΔT、圧力差Δp、濃度差Δχを用いて定められる。その結果から数流量NαをΔT、Δp、Δχを用いて表すことができる。その結果を下式(9)のように表す。
Figure 2006218421
ここで現われる関数Q α、P α、X αの例を図12に示す。なお、図12はD/d=10、一次流路34の数n=10、χ =0.5の場合であり、分子モデルは剛体球分子モデルである。実線がm/m=2、破線がm/m=5、点線が実線がm/m=10の値をそれぞれ示す。Q αはポンプ31の両端における圧力差、濃度差がない場合の分子数流量を表し、P αは両端の圧力差による流量の減少を、X αは両端の濃度差による流量の減少をそれぞれ表す。例えばクヌーセン数Kn=1、濃度χ =0.5、分子質量比m/m=10の場合には、
Figure 2006218421
である。
これらの式(10)、(11)を分子数流量N=N=0として解くと、
Figure 2006218421
となる。
圧力差Δpが上記の値とは異なるとき、混合気体はポンプ31を通って流れる。このときの各成分気体の流量は高圧側のタンク14の圧力p+Δp、濃度χ +Δχに応じて大きく変化する。低圧側のタンク13の初期状態における濃度χ =0.5の場合において、高圧側のタンク14の状態が下式(14)の通りであれば、分子数流量比は(15)式の通りである。
Figure 2006218421
(15)式が0.5であれば成分気体が互いに等しい分子数流量で流れていることを意味するが、(15)式のように軽いA成分気体の分子数流量が混合気体の分子数流量に対して0.5未満の値を示す場合には、重いB成分気体の流量がより大きく、よって重いB成分気体が高圧側タンク14にて濃縮されることになる。この例に限らず、左右のタンク13、14間の圧力差Δp、又は濃度差Δχを制御すれば、ポンプ31を流れる成分気体の濃度を様々に調整することができる。例えば、高圧側のタンク14にポンプ装置あるいはピストンシリンダ等の圧力調整装置を接続してタンク14の圧力を制御すればよい。
上記においては、高圧側のタンク14の圧力がp+Δp、濃度がχ +Δχであることを前提に計算を行った。このとき、ポンプ31を通って高圧側に新たに出現する気体の濃度χA Hは、χ +Δχとは異なり、(9)式によって次のように定まる。
χA H=N/(N+N
、NはΔp、Δχによって決まる量であるから、ポンプ31を通って高圧側に出現する気体の濃度χA HもΔp、Δχによって決まる。この事実を表現するために、ポンプ31を通って高圧側に新たに出現する気体の濃度χA HをχA H(Δp、Δχ)と表す。
最初に高圧側にあった気体の濃度はχ +Δχであり、そこに濃度χA H(Δp、Δχ)の気体が混合していくことにより、時間が経つに従って、高圧側の気体の濃度が変化していく。混合気体分離装置の実際の設計にあたっては、圧力差Δpを制御することによって、高圧側の気体の濃度が適正な範囲に保たれるように、高圧側のタンクの大きさ、温度差ΔTなどを設定する。最も簡単な設計では、最初に高圧側にあった気体の濃度χ +Δχと、ポンプ31を通って高圧側に新たに出現する気体の濃度χA Hが等しくなるように選んでも良い。このとき、高圧側の気体の濃度は、ずっとχ +Δχに保たれる。これを実現するには、初期の(あるいは、望ましい)Δχの値に対して、高圧側の圧力差Δpが
χ +Δχ=χA H(Δp、Δχ
を満足するように圧力差Δp(あるいは、温度差ΔTや流路の数などの気体分離装置のパラメータ)を保てばよい。
次に、図14〜図17Bを参照して本発明の実施例を示す。なお、以下では各実施例の気体分離装置に設けられる温度駆動型ポンプを図13の通りに示し、説明文中ではポンプ50と表す。ポンプ50は上述した熱尖端流を利用するポンプ11、又は熱遷移流を利用するクヌーセンコンプレッサタイプのポンプ31のいずれでもよく、それらのポンプユニットの連結個数は1以上の任意の数をとることができる。さらには、気体分子の平均自由行程程度の幅のポンプ作用路に温度勾配を与えて気体分子に流れを生じさせる構成である限り、第1の形態又は第2の形態に示したポンプ11、31に限らず、各種の温度駆動型のポンプを図13のポンプ50として使用してよい。ポンプ50の低圧側をL、高圧側をHで示し、低圧側及び高圧側における種々の状態量をそれぞれ添え字L、Hにて表す。また、気体の流量が0である場合の圧力差をΔp(>0)、濃度差をΔχ(<0)と表す。
[第1実施例]
図14は第1実施例に係る気体分離装置51Aを示す。この気体分離装置51Aはポンプ50の両側に第1タンク52と第2タンク53とを接続し、それらの間に開閉式の弁54、55を配置したものである。この実施例における気体の分離方法は次の通りである。最初に弁54、55を閉じて各タンク52、53に濃度χの混合気体を入れる。次に、弁54、55を開いてポンプ50を動作させる。これにより、第1タンク52における気体の圧力及び濃度がp、χ (>χ)に、第2タンク53のそれらがp+Δp、χ +Δχ(<χ)になる。この状態で弁54、55を閉じ、第1タンク52からは軽い成分気体が濃縮された気体を、第2タンク53からは重い成分気体が濃縮された気体をそれぞれ取り出す。なお、圧力及び濃度が定常状態に達した後に各タンクから気体を取り出すことにより、気体分離装置51Aにおける気体分離作用を最も効率よく発揮させることができる。この実施例では第1タンク52及び第2タンク53のそれぞれが原料供給部及び回収部として機能する。
[第2実施例]
図15Aは第2実施例に係る気体分離装置51Bを示す。この気体分離装置51Bでは、ポンプ50の低圧側に第1タンク56が、高圧側に第2タンク58がそれぞれ配置され、さらに第2タンク52にはそのタンク52の内部の圧力を調整する圧力調整装置58が接続されている。圧力調整装置58には例えばポンプ装置又はピストンシリンダ等を用いることができる。ポンプ50とタンク56、57との間には弁が存在しないが、弁を設けてもよい。この実施例における気体の分離方法は次の通りである。
まず、第1タンク56に原料となる圧力p、濃度χ の混合気体を入れる。第2タンク57の圧力pをp+Δpに制御してポンプ50を作動させる。気体分離装置51Bの内外間で気体の交換はないから、タンク56、57の圧力及び濃度は時間の経過によりそれぞれ定常状態に到達する。このとき、第2タンク57の濃度χはχ +Δχでなければならない。第2タンク57の圧力pが上記の圧力よりも僅かに小さく、p=p+Δp−εpである場合、圧力差εpのために気体は僅かに第1タンク56から第2タンク57に流れる。このときに流れる気体の濃度は上述した(9)式によって選ぶことができる。(15)式で得られるように重いB成分気体が第2タンク57に流れるように設定すれば、第2タンク57からはB成分気体が濃縮された気体を取り出すことができる。なお、図15Bに示した気体分離装置51Cのように第1タンク56及び第2タンク57に対してポンプ50を逆向きに接続し、第1タンク56に原料の混合気体を入れてポンプ50を作動させつつ第2タンク57の圧力pをp−Δp−εpに設定すれば、第2タンク57から軽い成分気体が濃縮された気体を取り出すことができる。第2実施例では、第1タンク56が原料供給部、第2タンク57が気体回収部として機能する。なお、圧力差の制御は、圧力調整装置58に限らず、温度差ΔT等の分離装置の各種のパラメータを調整することにより、圧力差Δpをいわば間接的に制御するものでもよい。
[第3実施例]
図16は第3実施例に係る気体分離装置51Dを示す。この気体分離装置51Dは、図15A及び図15Bに示した気体分離装置51B、51Cを組み合わせたものに相当する。すなわち、この実施例では第1タンク56に二つのポンプ50を互いに逆向きに接続し、一方のポンプ50の高圧側に第2タンク57Aを、他方のポンプ50の低圧側に第2タンク57Bをそれぞれ接続している。第2タンク57A、57Bのそれぞれには圧力調整装置58が接続される。
このような気体分離装置51Dによれば、第1タンク56に圧力p、濃度χの混合気体を供給し、高圧側の第2タンク57Aの圧力をp(1+ε)+Δp、低圧側の第2タンク57Bの圧力をp(1−ε)−Δpにそれぞれ制御することにより、第1タンク56から高圧側の第2タンク57Aには重い成分気体を、第1タンク56から低圧側の第2タンク57Bには軽い成分気体をそれぞれ導くことができる。この実施例では第1タンク56が原料供給部、第2タンク57が気体回収部としてそれぞれ機能する。
なお、図17Aに示した気体分離装置51Eのように、図16に示した気体分離装置51Dを一つのモジュールとして、これを多段に連結してもよい。この例では第2タンク57A、57Bのそれぞれにポンプ50、50が図16と同一の配置でさらに接続され、それらのポンプ50の高圧側又は低圧側にさらに第3タンク59A〜59Cが接続される。この例では、第2タンク57A、57B、第3タンク59A〜59Cの圧力を圧力調整装置58にて制御することにより、高圧側に接続された第3タンク59Aからは重い気体が濃縮された気体を、低圧側に接続された第3タンク59Bからは軽い気体が濃縮された気体をそれぞれ取り出すことができる。中間の第3タンク59Cからは気体を排出させるが、その濃度は原料となる混合気体と同じである。従って、図17Bに示す気体分離装置51Fのように、第3タンク59Cを原料回収タンクとしてポンプ60により第1タンク56へ還流させてもよい。図17A及び図17Bの例では第1タンク56が原料供給部として機能し、第3タンク59A、59Bが気体回収部として機能する。
以上に説明した実際の形態及び実施例は本発明の一例に過ぎず、本発明の混合気体の分離方法及び気体分離装置は種々の形態にて実施することができる。例えば、ポンプ作用路の本数及び長さは適宜に変更してよい。原料供給部及び気体回収部は必ずしもタンクとして構成される必要はなく、例えばポンプ流路の両端部それ自体を原料供給部及び気体回収部として機能させてもよい。本発明の気体分離方法及び気体分離装置はポンプの使用圧力域における気体分子の平均自由行程に合わせてポンプ作用路の幅を設定することにより、様々な圧力下で気体を分離することができる。例えば真空域付近ではポンプ作用路を十分に大きく設定して効率よく気体を分離することができる。あるいは、ポンプを超小型装置として構成すれば大気圧程度であっても気体分離作用を発揮させることができる。ポンプを作動させるためのエネルギーは、電力に限らず、廃熱、反応熱等の各種の熱エネルギーを利用することができる。本発明で分離される成分気体は分子質量が異なっていればよく、同位体の分離等にも本発明は適用可能である。
熱尖端流を利用したポンプを備えた気体分離装置の一形態を示す図。 熱尖端流を説明するための2次元モデルを示す図。 図2Aの2次元モデルにおける流れのシミュレーション結果を示す図。 熱尖端流を利用したポンプを構成する一つのポンプユニットの流れ方向に沿った断面図。 図3Aのポンプユニットにおける温度分布を示す図。 第1の形態に係るポンプの両端部における混合気体の全圧及び各成分気体の分圧の時間変化をシミュレーションした結果を示す図。 第1の形態に係るポンプにおける各成分気体の流量の時間変化をシミュレーションした結果を示す図。 アルゴンとヘリウムとからなる混合気体を定常状態に達するまで分離したときのポンプ軸方向における濃度分布を解析した結果を示す図。 図6Aに対してアルゴン及びヘリウムの初期濃度を変更したときの解析結果を示す図。 図6Bに対して初期濃度をさらに変更したときの解析結果を示す図。 混合気体の成分をヘリウムとネオンに変更したときの濃度分布の解析結果を示す図。 混合気体の成分をアルゴンとネオンに変更したときの濃度分布の解析結果を示す図。 クヌーセンコンプレッサをポンプとして利用した気体分離装置の一形態を示す図。 熱遷移流の原理を示す図。 クヌーセンコンプレッサにおける流れの解析で使用する関数Q α、Q α、Q αの計算結果の一例を示す図。 クヌーセンコンプレッサを利用した気体分離装置における圧縮作用及び気体分離作用の解析で使用する関数PC2、XC2の計算結果の一例を示す図。 クヌーセンコンプレッサにおける流れの解析で使用する関数Q 、Q 、P 、P 、X 、X のそれぞれの計算結果の一例を示す図。 実施例におけるポンプの表記法を示す図。 第1実施例における気体分離装置を示す図。 第2実施例における気体分離装置を示す図。 第2実施例に対する変形例を示す図。 第3実施例における気体分離装置を示す図。 第3実施例に対する変形例を示す図。 第3実施例に対するさらなる変形例を示す図。
符号の説明
10A、10B 気体分離装置
11 ポンプ
12 流路
13、14 タンク
15 ポンプユニット
22 ポンプ作用路
31 ポンプ
32 流路
33 中間タンク
34 一次流路(ポンプ作用路)
35 二次流路
50 ポンプ
51A、51B、51C、51D、51E、51F 気体分離装置
52 第1タンク
52 第2タンク
54、55 弁
56 第1タンク
57、51A、57B 第2タンク
58 圧力調整装置
59A、59B、59C 第3タンク
60 ポンプ
C 低温平板群(低温部)
H 高温平板群(高温部)

Claims (10)

  1. 気体分子の挙動の観点から該気体分子の平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲の幅に設定されたポンプ作用路を有し、前記ポンプ作用路に温度勾配を与えて気体分子の流れを生じさせる温度駆動型のポンプを利用した混合気体の分離方法であって、混合気体を前記ポンプ内に導入して前記ポンプを作動させることにより、前記ポンプの少なくとも一方の端部にて、前記混合気体に含まれる一部の成分気体をポンプ作動前との比較において他の成分気体よりも濃縮又は希釈することを特徴とする混合気体の分離方法。
  2. 前記ポンプを含む閉じた系内に混合気体を閉じ込めた状態で前記ポンプを作動させることにより前記ポンプの両端部間で前記混合気体を構成する成分気体の分圧比又は濃度を変化させ、該分圧比又は濃度が定常状態に達した後に、前記ポンプの少なくとも一方の端部から気体を取り出すことを特徴とする請求項1に記載の分離方法。
  3. 前記ポンプの両端部間における前記混合気体の圧力差を制御して前記ポンプを流れる各成分気体の流量を調整することを特徴とする請求項1に記載の分離方法。
  4. 前記温度駆動型のポンプが、前記ポンプ作用路に沿って配置された少なくとも一対の低温部と高温部との間で熱尖端流を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離方法。
  5. 前記温度駆動型のポンプとして、前記ポンプ作用路に沿って延びる流路壁に流れ方向に沿った温度勾配を与えて熱遷移流を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離方法。
  6. 気体分子の挙動の観点から該気体分子の平均自由行程と実質的に同等とみなし得る範囲の幅に設定されたポンプ作用路を有し、前記ポンプ作用路に温度勾配を与えて気体分子の流れを生じさせる温度駆動型のポンプと、前記ポンプに原料の混合気体を供給する原料供給部と、前記ポンプの少なくとも一方の端部に接続され、前記ポンプの作動に伴って、一部の成分気体がポンプ作動前との比較において他の成分気体よりも濃縮又は希釈された気体を前記ポンプから回収する気体回収部と、を備えたことを特徴とする気体分離装置。
  7. 前記ポンプ、前記原料供給部及び前記回収部が、前記混合気体を閉じ込める単一の閉じた系を構成できるように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の気体分離装置。
  8. 前記ポンプの両端部間における前記混合気体の圧力差を制御する手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の気体分離装置。
  9. 前記温度駆動型のポンプが、前記ポンプ作用路に沿って配置された少なくとも一対の低温部と高温部との間で熱尖端流を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の気体分離装置。
  10. 前記温度駆動型のポンプとして、前記ポンプ作用路に沿って延びる流路壁に流れ方向に沿った温度勾配を与えて熱遷移流を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の気体分離装置。
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