JP2006213211A - レール走行車及び鉄道車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行の安全性を維持しつつ、レールの曲線部における波状磨耗の発生を防止する。
【解決手段】鉄道車両は、進行方向Xに配列された複数の車軸2,3と、各車軸2,3の両端部に配設されてレール上を走行する車輪20a,20b及び車輪30a,30bと、進行方向Xにおいて前方から2つ目以降の車輪30aのレール踏面31に対して散水する出水装置4とを備える。出水装置4は進行方向Xにおいて前方から2つ目以降の車輪のレール踏面に対して散水する。
【選択図】図2

Description

本発明は、レール上を走行するレール走行車及び鉄道車両に関する。
従来、曲線状の軌道における内側のレール、つまり内軌レールの頂面には、鉄道車両の走行によってレール軸方向に波状磨耗(コルゲーション)が形成される場合があり、この波状磨耗によって走行中の鉄道車両に振動が生じたり、クラックが誘発されてレールの強度が低下したりしている。
このような波状磨耗は、鉄道車両の前側車軸の車輪と後側車軸の車輪との間で逆向きの転向性が発生することにより形成されるものである。具体的には、図5に示すように、鉄道車両がカーブに侵入すると、前側車軸80に設けられた2つの車輪8a,8bのうち、カーブ外側の車輪8aはフランジ近傍の大径部分で外軌レール7aと接触し、かつカーブ内側の車輪8bは小径部分で内軌レール7bと接触する。そのため、これら2つの車輪8a,8bは、全体としてカーブの内側への転向性を生じる。一方、後側車軸90に設けられた2つの車輪9a,9bのうち、カーブ外側の車輪9aは小径部分で外軌レール7aと接触し、かつカーブ内側の車輪9bは大径部分で内軌レール7bと接触する。そのため、これら2つの車輪9a,9bは、全体としてカーブの外側への転向性を生じる。従って、後側車軸90では、軌道の経路差によって内軌レール7b上の車輪9aが断続的に空転(ホイールスピン)してしまい、その結果、内軌レール7bの頂面が車輪9aに削られて波状磨耗が形成される。
近年、このような波状磨耗の発生を防止する方法として、内軌レール7bと車輪9aとの粘着係数を低下させるべく、内軌レール7bに対して地上や鉄道車両の先頭部分から散水する方法(例えば、特許文献1参照)や、内軌レール7bにモリブデン系潤滑材や油などの摩擦調整材を塗布する方法などが開発されている。
特開平5−4583号公報
しかしながら、これらの方法では、車輪9bより前に車輪8bが内軌レール7b上を走行するため、車輪8bと内軌レール7bとの粘着係数が低下し、曲線部内側への台車の転向力や旋回力が低減される結果、走行の安全性が低下してしまう。また、内軌レール7b表面の摩擦調整材や水が予め車輪8bによって除去される結果、内軌レール7bと車輪9aとの粘着係数が低下しないため、曲線部外側への転向力が発生し、波状磨耗の形成を防止することができない。
また、特に、内軌レール7bに対して摩擦調整材を塗布する場合には、車輪のレール踏面などに対して摩擦調整材や磨耗鉄粉、綿埃、砂などの異物が付着・堆積することにより、長期に亘って車輪摩擦式ブレーキ等の性能を攪乱したり、軌道回路の導通が阻害されて運行管理や踏切制御に支障が生じたりする場合があり、走行の安全性がいっそう低下してしまう。
本発明の課題は、走行の安全性を維持しつつ、レールの曲線部における波状磨耗の発生を防止することができるレール走行車及び鉄道車両を提供することである。
請求項1記載の発明は、レール走行車において、
進行方向に配列された複数の車軸と、
各車軸の両端部に配設されてレール上を走行する複数の車輪と、
前記進行方向において前端の車輪よりも後方に位置するレールの頭頂面と前記進行方向において前方から2つ目以降の前記車輪のレール踏面との少なくとも一方に対して水を付着させる出水装置とを備えることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、前端の車輪よりも後方に位置するレールの頭頂面と前方から2つ目以降の車輪のレール踏面との少なくとも一方に対して水を付着させるので、水分の付着したレール上を前端の車輪が通過することがない。従って、レールに対して地上から散水したり摩擦調整材を塗布したりする場合と異なり、前端の車輪とレールとの粘着係数の低下を防止することができるため、当該粘着係数を通常の乾燥状態での値、例えば、力行(リキコウ)や緊急ブレーキに必要な値に維持するとともに、レール走行車の転向性や旋回力の低減を防止することができる。
また、水分は蒸散や遠心力飛散などによって消散するので、レールに油などの摩擦調整材を塗布する場合と異なり、車輪に対する異物の付着・堆積を防止する結果、車輪摩擦式ブレーキ等の性能の長期的な攪乱を防止することができる。また、水分は導電性を有するので、レールに摩擦調整材を塗布する場合と異なり、鉄道車両の位置を検知するための軌道回路の導通を向上させ、運行管理や踏切制御を適切に行うことができる。
以上より、従来と異なり、走行の安全性を維持することができる。
また、前端の車輪よりも後方に位置するレールの頭頂面と前方から2つ目以降の車輪のレール踏面との少なくとも一方に対して水を付着させるので、地上や鉄道車両の先頭部分から散水する場合や、レール上に摩擦調整材を塗布する場合と異なり、前端の車輪によって水分や摩擦調整材が予め除去されて後続車輪に対する効果が低減されてしまう場合がない。従って、内軌レールと前方から2つ目以降の車輪との粘着係数を確実に低下させ、波状磨耗の発生を防止することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のレール走行車において、
前記出水装置は、前記進行方向において前方から2つ目以降の前記車輪のレール踏面に対して散水することを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のレール走行車において、
レールの曲線部を検知する曲線検知部を備え、
前記出水装置は、レールの曲線部上を走行する前記車輪の前記レール踏面に対して散水することを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、出水装置はレールの曲線部上を走行する車輪のレール踏面に対して散水するので、レールの曲線部に波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。また、レールの全区域で散水する場合と比較して、散水量を低減することができる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のレール走行車において、
前記出水装置は、内側のレール上を走行する前記車輪の前記レール踏面に対して散水することを特徴とする。
請求項4記載の発明によれば、内側のレール上を走行する車輪のレール踏面に対して出水装置が散水するので、当該レールに波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。また、内外の両レール上で散水する場合と比較して、散水量を低減することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、前方から2つ目以降の各車輪の前記レール踏面に対して散水することを特徴とする。
請求項5記載の発明によれば、前方から2つ目以降の各車輪のレール踏面に対して散水するので、波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1記載のレール走行車において、
前記出水装置は、
前記進行方向において前端の車輪よりも後方に位置するレールの頭頂面に対して散水することを特徴とする。
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載のレール走行車において、
レールの曲線部を検知する曲線検知部を備え、
前記出水装置は、レールの曲線部の前記頭頂面に対して散水することを特徴とする。
請求項7記載の発明によれば、出水装置はレールの曲線部の頭頂面に対して散水するので、レールの曲線部に波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。また、全区域でレールに散水する場合と比較して、散水量を低減することができる。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のレール走行車において、
前記出水装置は、内側のレールの前記頭頂面に対して散水することを特徴とする。
請求項8記載の発明によれば、内側のレールの頭頂面に対して出水装置が散水するので、当該レールに波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。また、内外の両レールに散水する場合と比較して、散水量を低減することができる。
請求項9記載の発明は、請求項6〜8の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、前記進行方向において各車輪の間に位置するレールの前記頭頂面に対して散水することを特徴とする。
請求項9記載の発明によれば、進行方向において各車輪の間に位置するレールの頭頂面に対して散水するので、波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、前記進行方向において前端の前記車輪と、後端の前記車輪との間に配設された散水管を備えることを特徴とする。
請求項10記載の発明によれば、進行方向において前端の車輪と後端の車輪との間に散水管が配設されるので、レール走行車が逆方向に進行した場合であっても、散水管から放出される水は、風圧によって当該逆方向における後側の車輪にかけられる。従って、進行方向に関わらず、前方から2つ目以降の車輪とレールとの粘着係数を低下させ、波状磨耗の発生を防止することができる。
請求項11記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、雨水を集めて散水することを特徴とする。
請求項11記載の発明によれば、出水装置は雨水を集めて散水するので、水分補充の手間を省くことができる。
請求項12記載の発明は、請求項1〜11の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、前記車軸上に支持される車体の内部の空調装置で生じた水を集めて散水することを特徴とする。
請求項12記載の発明によれば、出水装置は空調装置で生じた水を集めて散水するので、水分補充の手間を省くことができる。
請求項13記載の発明は、請求項1〜12の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、圧縮空気生成用のコンプレッサに接続されるドレン配管で生じた水を集めて散水することを特徴とする。
請求項13記載の発明によれば、出水装置はドレン配管で生じた水、つまりコンプレッサドレンを集めて散水するので、水分補充の手間を省くことができる。
なお、コンプレッサとしては、車体のドア開閉用の圧縮空気を生成するものを用いても良いし、ブレーキ用の圧縮空気を生成するものを用いても良い。
請求項14記載の発明は、請求項1〜13の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、大気中の水分を除去する除湿装置で生じた水を集めて散水することを特徴とする。
請求項14記載の発明によれば、出水装置は除湿装置で生じた水を集めて散水するので、水分補充の手間を省くことができる。
請求項15記載の発明は、請求項11〜14の何れか一項に記載のレール走行車において、
前記出水装置は、
集めた水を散水前に濾過することを特徴とする。
請求項15記載の発明によれば、出水装置は集めた水を散水前に濾過するので、出水装置の故障を防止することができるとともに、車輪のレール踏面に対して異物が散布されるのを防止することができる。
請求項16記載の発明は、請求項1〜15の何れか一項に記載のレール走行車において、
車体を軸支するボギー車であることを特徴とする。
請求項16記載の発明によれば、請求項1〜15の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項17記載の発明は、鉄道車両において、
請求項1〜16の何れか一項に記載の、少なくとも1つのレール走行車と、
前記レール走行車に支持された車体とを備えることを特徴とする。
請求項17記載の発明によれば、請求項1〜16の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項18記載の発明は、請求項17記載の鉄道車両において、
前記レール走行車を複数備え、
これら複数のレール走行車は、
散水用の水を貯留する貯水タンクと、散水を制御する散水制御装置との少なくとも一方を共有することを特徴とする。
請求項18記載の発明によれば、複数のレール走行車が貯水タンクまたは散水制御装置を共有するので、これらを各レール走行車が別々に備える場合と比較して、鉄道車両の構成を簡素化することができる。
請求項1記載の発明によれば、従来と異なり、走行の安全性を維持することができる。また、波状磨耗の発生を防止することができる。
請求項2,6記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項3,4,7,8記載の発明によれば、請求項2,6記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、散水量を低減することができる。
請求項5,9記載の発明によれば、請求項2〜4,6〜8の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。
請求項10記載の発明によれば、請求項1〜9の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、進行方向に関わらず、前方から2つ目以降の車輪とレールとの粘着係数を低下させ、波状磨耗の発生を防止することができる。
請求項11〜14記載の発明によれば、請求項1〜10の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、水分補充の手間を省くことができる。
請求項15記載の発明によれば、請求項11〜14の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、出水装置の故障を防止することができるとともに、車輪のレール踏面に対して、水分と共に異物が散布されるのを防止することができる。
請求項16,17記載の発明によれば、請求項1〜15の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項18記載の発明によれば、請求項17記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、鉄道車両の構成を簡素化することができる。
[実施の形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る鉄道車両1の概略構成を示す側面図である。
この図に示すように、鉄道車両1は、2つのボギー車10,10を備えている。
ボギー車10は、本発明に係るレール走行車であり、図2に示すように、進行方向Xに配列された2本の車軸2,3を有している。
車軸2は車軸3よりも前方に配設されている。車軸2の両端部には車輪20a,20bが、車軸3の両端部には車輪30a,30bが配設されている。
これら車輪20a,20b及び車輪30a,30bは、図示しないレール上を走行するようになっている。車輪20a,20b及び車輪30a,30bの上方には、図2,図3(a)に示すように、散水装置4が配設されている。
散水装置4は、本発明における出水装置であり、図2,図4に示すように、4本の散水管40,…を備えている。散水管40,…は、車輪20a,20b及び車輪30a,30bのレール踏面21,31に対して散水するものであり、本実施の形態においては、車輪20a,20b及び車輪30a,30bのレール踏面21,31に対向した状態で、車輪20a,30aの間と、車輪20b,30bの間とにそれぞれ配設されている。なお、散水管40は、レール踏面21,31に対して水分を滴下することとしても良いし、噴霧することとしても良い。
以上のボギー車10,10には、図1に示すように、心皿部10aを介して車体11が軸支されている。
車体11の上部には空調装置12及び雨水集水部13が設けられており、車体11の下部には除湿装置14及びコンプレッサ15が設けられている。
空調装置12は車体11の内部の空調を行うものであり、雨水集水部13は走行時や停車時に雨水を集めるものである。
除湿装置14は車体11外部の大気中の水分を除去するものであり、本実施の形態においては、鉄道車両1がトンネル内を走行する際や、降雨時など、大気の湿度が高いときに駆動するようになっている。なお、除湿装置14で生じる低温空気は、車体11内部の電子機器の冷却に用いられることが好ましい。
コンプレッサ15は車体11のドアを開閉したり、ブレーキをかけたりするための圧縮空気を生成するものである。図3(a)に示すように、このコンプレッサ15にはドレン配管15aが接続されており、ドレン配管15aにはドレン濾過装置16が接続されている。ドレン濾過装置16は、ドレン配管15aの内部で生じた水分、つまりコンプレッサドレンから油分を除去するようになっている。
これら空調装置12,除湿装置14で生じた水分や、雨水集水部13で集められた水分、ドレン濾過装置16で油分の除去された水分は、濾過装置41で濾過された後、貯水タンク42に貯留され、散水管40に供給されるようになっている。なお、雨水集水部13での集水効率を高めるため、駅や車庫などの屋根及び雨樋には、鉄道車両1が停車している場合に雨水集水部13の位置で雨水を滴下する滴下ノズルを設けることが好ましい。
また、図1では図示しないが、車体11には、曲線検知部43(図4参照)と速度検出部44(図4参照)とが設けられている。
曲線検知部43は、鉄道車両1がレールの曲線部に近づいたこと、或いは曲線部上を走行していることを検知するものである。このような曲線検知部43としては、例えば、鉄道車両1の走行位置を検出可能なATO(Automatic Train Operation)装置や、車体11の変位角測定装置、波状磨耗を検出するための振動加速度計などを用いることができる。
速度検出部44は、鉄道車両1の走行速度を検出するものである。
これら曲線検知部43及び速度検出部44には、図4に示すように、散水制御装置45が接続されている。
散水制御装置45は、曲線検知部43及び速度検出部44から送信される情報に基づいて各ボギー車10,10の散水装置4,4を制御するものであり、より詳細には、各散水管40,…の駆動タイミングや、散水量などを制御するようになっている。
続いて、鉄道車両1の動作について説明する。
まず、鉄道車両1がレール上を走行すると、濾過装置41を介して空調装置12や雨水集水部13等から貯水タンク42に水分が供給される。このように貯水タンク42に対して自動的に空調装置12等から水分が供給されるので、水分補充の手間が省かれる。また、供給される水を濾過装置41が濾過するので、散水装置4の故障が防止されるとともに、車輪30aに対する異物の散布が防止される。
この状態において鉄道車両1がレールの曲線部を走行すると、レールの曲線部についての情報が曲線検知部43から散水制御装置45に対して送信される。また、鉄道車両1の走行速度についての情報が速度検出部44から散水制御装置45に対して送信される。
そして、走行速度が所定速度未満である場合、つまり波状磨耗が発生し難い場合には、散水制御装置45は、散水管40,…に散水を行わせない。これにより、走行速度に関わらず散水を行う場合と比較して、散水量が低減される。
一方、走行速度が所定速度以上である場合、つまり波状磨耗が発生し易い場合には、散水制御装置45は、後側の車輪30a,30bに対向する散水管40,40のうち、内軌レール上の車輪(以下、便宜的に車輪30aとする)のレール踏面31に対向する散水管40に約10ccの散水を行わせる。
このように、後側の車輪30aのレール踏面31に対して散水装置4が散水するので、地上や鉄道車両1の先頭部分から散水したり、レール上に摩擦調整材を塗布したりする場合と異なり、前端の車輪20aによって水分や摩擦調整材が予め除去されてしまう場合がない。従って、内軌レールと車輪30aとの粘着係数が確実に低下する。また、散水量が約10ccと少ないので、散水量が多い場合と比較して内軌レールと車輪30aとの粘着係数がいっそう低くなる。
また、水分の付着したレール上を前端の車輪20a,20bが通過することがないため、地上や鉄道車両1の先端部分から散水したり、レール上に摩擦調整材を塗布したりする場合と異なり、前端の車輪20a,20bとレールとの粘着係数が維持される結果、不意の緊急ブレーキに必要な粘着係数が確保されるとともに、ボギー車10,10の転向性や旋回力の低減が防止される。また、散布される水分は蒸散や遠心力飛散などによって消散し、かつ散水量が10ccと少ないので、レールに油などの摩擦調整材を塗布する場合と異なり、車輪への異物の付着・堆積が防止されるとともに、散布された水の道床内部への浸透や、レール表面での滞留が防止される。また、水分は導電性を有するので、レールに摩擦調整材を塗布する場合と異なり、鉄道車両1の位置を検知するための軌道回路の導通が向上する。
また、散水装置4はレールの曲線部上で、内軌レール上の車輪30aのみに散水するので、レールの全区域で散水する場合や、内外の両レール上の車輪30a,30bに散水する場合と比較して、散水量が低減される。
以上の鉄道車両1によれば、内軌レールと後側の車輪30aとの粘着係数を確実に低下させることができるため、波状磨耗の発生を防止することができる。
また、ボギー車10,10の転向性や旋回力の低減を防止することができるため、車輪20bのフランジの磨耗を抑制するとともに、脱線を防ぐことができる。また、車輪への異物の付着・堆積を防止することができるため、車輪摩擦式ブレーキ等の性能の長期的な攪乱を防止することができる。また、軌道回路の導通を向上させることができるため、運行管理や踏切制御を適切に行うことができる。また、散布された水の道床内部への浸透や、レール表面での滞留を防止することができるため、道床の劣化やレールの腐食を防止することができる。よって、従来と異なり、走行の安全性を維持することができる。
また、上述のようにボギー車10,10の転向性や旋回力の低減を防止することができるため、車輪20bのフランジとレールとの接触に起因する騒音を低減することができる。
また、散水装置4から散布される水分は油や砂などに対して影響力が少ないため、脱線防止のために車輪のフランジやレールゲージコーナーに塗油したり、レールと車輪との粘着係数向上のためにセラミックや砂をレール上に撒いたりする場合であっても、これら脱線防止や粘着係数向上の効果を阻害することなく確実に得ることができる。
また、2つのボギー車10,10が貯水タンク42及び散水制御装置45を共有するので、これらを各ボギー車10,10が別々に備える場合と比較して、鉄道車両1の構成を簡素化することができる。
また、ボギー車10の散水装置4から散水するので、地上から散水を行う場合と異なり、鉄道車両検知装置や散水装置をレールの脇に散在させ、これら装置のメンテナンスのために移動する必要がない。また、散水量を10ccと少なくすることにより、散布された水の道床内部への浸透や、レール表面での滞留を防止することができるため、軌道路盤などの形状を修正する必要がない。従って、メンテナンスを容易化することができる。
また、摩擦調整材を用いる場合と異なり、レールに異物が付着し難いため、当該異物に起因する粉塵によって乗客の衣類などが汚染されるのを防止するとともに、火花引火による燃焼事故を防止することができる。また、車輪やレールに付着した摩擦調整材などの除去を行う手間を省くことができるとともに、除去される摩擦調整材が環境に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
なお、上記の実施の形態においては、散水装置4は内軌レール上を走行する車輪20a,30aに対向する散水管40,40のうち、後側の車輪30aに対向する散水管40のみに散水させることとして説明したが、車輪20a,30aに対向する各散水管40,40に散水させることとしても良い。このような場合であっても、各散水管40,40は車輪20a,30aの間に配設されているため、車輪20aに対向する散水管40から噴霧される水は、風圧によって後側に飛散し、車輪20aにかかることがない。従って、走行の安全性を維持することができる。
また、散水管40,…は、車輪20a,20b及び車輪30a,30bの何れか1つのレール踏面21,31に散水するよう設けられることとして説明したが、例えば、図3(b)に示すように、車輪20a,30aの間または車輪20b、30bの間に散水するよう設けられることとしてもよい。この場合には、鉄道車両1が逆方向に進行した場合であっても、散水管40から噴霧される水は、風圧によって当該逆方向における後側の車輪にかけられる。従って、進行方向に関わらず、前方から2つ目以降の車輪とレールとの粘着係数を低下させ、波状磨耗の発生を防止することができる。
[実施の形態の変形例]
次に、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、上記実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本変形例における鉄道車両1の散水管40は、前記進行方向X(図2参照)において前端の車輪20a,20bよりも後方に位置するレールの頭頂面に対して散水するようになっており、より詳細には、車輪20a,30aの間か、或いは車輪20b,30bの間において、内軌レールの頭頂面に対して散水するようになっている。
このような鉄道車両1によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施の形態及び変形例においては、本発明における出水装置を散水装置4として説明したが、車輪20a,20b及び車輪30a,30bのレール踏面21,31に水を塗布する塗布装置としても良い。
また、散水制御装置45,曲線検知部43及び速度検出部44は車体11に対して1つずつ設けられていることとして説明したが、各ボギー車10,10に対して1つずつ設けられることとしても良い。
また、ボギー車10の車軸数を2本であることとして説明したが、3本以上であることとしても良い。この場合には、散水管40を各車輪に対向させて配設し、前方から2つ目以降の各車輪のレール踏面に対して散水させることが好ましい。これにより、波状磨耗が生じるのを確実に防止することができる。
また、貯水タンク42には、空調装置12や雨水集水部13等から水分が供給されることとして説明したが、駅や車庫などにおいて作業者によって水分が補充されることとしても良い。
また、車体11はボギー車10に軸支されていることとして説明したが、本発明に係るレール走行車としての台車に固設されることとしても良い。
また、曲線検知部43は車体11に設けられていることとして説明したが、ボギー車10に設けられることしても良い。このような曲線検知部43としては、例えば、ボギー車10の旋回角測定装置などを用いることができる。
本発明に係る鉄道車両の側面図である。 ボギー車の平面図である。 ボギー車と散水装置との関係を示す図である。 本発明に係る鉄道車両の概略構成を示すブロック図である。 波状磨耗発生の要因を説明するための図である。
符号の説明
1 鉄道車両
2,3 車軸
4 散水装置(出水装置)
10 ボギー車(レール走行車)
11 車体
14 除湿装置
15 コンプレッサ
15a ドレン配管
20a,20b 車輪
30a,30b 車輪
21,31 レール踏面
40 散水管
42 貯水タンク
45 散水制御装置

Claims (18)

  1. 進行方向に配列された複数の車軸と、
    各車軸の両端部に配設されてレール上を走行する複数の車輪と、
    前記進行方向において前端の車輪よりも後方に位置するレールの頭頂面と前記進行方向において前方から2つ目以降の前記車輪のレール踏面との少なくとも一方に対して水を付着させる出水装置とを備えることを特徴とするレール走行車。
  2. 請求項1記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、前記進行方向において前方から2つ目以降の前記車輪のレール踏面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  3. 請求項2記載のレール走行車において、
    レールの曲線部を検知する曲線検知部を備え、
    前記出水装置は、レールの曲線部上を走行する前記車輪の前記レール踏面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  4. 請求項3記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、内側のレール上を走行する前記車輪の前記レール踏面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  5. 請求項2〜4の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、前方から2つ目以降の各車輪の前記レール踏面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  6. 請求項1記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、
    前記進行方向において前端の車輪よりも後方に位置するレールの頭頂面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  7. 請求項6記載のレール走行車において、
    レールの曲線部を検知する曲線検知部を備え、
    前記出水装置は、レールの曲線部の前記頭頂面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  8. 請求項7記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、内側のレールの前記頭頂面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  9. 請求項6〜8の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、前記進行方向において各車輪の間に位置するレールの前記頭頂面に対して散水することを特徴とするレール走行車。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、前記進行方向において前端の前記車輪と、後端の前記車輪との間に配設された散水管を備えることを特徴とするレール走行車。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、雨水を集めて散水することを特徴とするレール走行車。
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、前記車軸上に支持される車体の内部の空調装置で生じた水を集めて散水することを特徴とするレール走行車。
  13. 請求項1〜12の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、圧縮空気生成用のコンプレッサに接続されるドレン配管で生じた水を集めて散水することを特徴とするレール走行車。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、大気中の水分を除去する除湿装置で生じた水を集めて散水することを特徴とするレール走行車。
  15. 請求項11〜14の何れか一項に記載のレール走行車において、
    前記出水装置は、
    集めた水を散水前に濾過することを特徴とするレール走行車。
  16. 請求項1〜15の何れか一項に記載のレール走行車において、
    車体を軸支するボギー車であることを特徴とするレール走行車。
  17. 請求項1〜16の何れか一項に記載の、少なくとも1つのレール走行車と、
    前記レール走行車に支持された車体とを備えることを特徴とする鉄道車両。
  18. 請求項17記載の鉄道車両において、
    前記レール走行車を複数備え、
    これら複数のレール走行車は、
    散水用の水を貯留する貯水タンクと、散水を制御する散水制御装置との少なくとも一方を共有することを特徴とする鉄道車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102372229A (zh) * 2011-09-30 2012-03-14 成都飞机工业(集团)有限责任公司 防止起重机车轮啃轨的方法
KR101231838B1 (ko) 2010-12-20 2013-02-08 한국철도기술연구원 곡선부 곡률반경 감지를 통한 철도차량 도유 시스템 및 방법
CN110219276A (zh) * 2019-07-01 2019-09-10 中车长江车辆有限公司 铁路洒水车

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