図1は、本発明の実施形態に係るワーク搬送システム1の概略構成を示す平面図である。
ワーク搬送システム(以下、単に「搬送システム」という場合がある。)1は、たとえばクリーンルーム内に設置された各プロセス装置3の間で、枚葉でウェハを搬送するためのシステムである。ウェハは、搬送システム1で搬送されながら、その間に各プロセス装置で処理(本明細書および請求の範囲において、「加工」と表記する。)されるようになっている。
なお、本実施形態では、ワークとしてウェハを例に掲げて説明するが、ウェハ以外に、LCDの基板、ELの基板等の電子デバイスの基板、DNAチップ等の薄い板状のワーク、または、その他の形状のワークを搬送してもよい。
搬送システム1は、適数のBモジュール(ブリッジモジュール:Bridge Module)5と適数のABモジュール(アダプタ アンド バイパスモジュール:Adapter and Bypass Module)7とを並べて設置し、プロセス装置3との間でウェハの搬入搬出がない箇所ではABモジュール7の代わりに適数の第1のトランスファモジュール(TF1モジュール、と略記)8(8A、8B)を設置することによって構成されている。
ここで、Bモジュール5とABモジュール7について説明する。TF1モジュール8については後で詳しく述べる。
図2は、Bモジュール5とABモジュール7の概略構成を示す斜視図であり、図3は、図2におけるIII矢視を示す図であり、Bモジュール5とABモジュール7の概略構成を示す平面図である。
Bモジュール5は、ウェハを一時的に保管可能なステーション6を、予め規格化された1つの基台9の上部に備えている。換言すれば、ウェハを一時的に保管可能な機能を基台9に組み込むことによりモジュール化されている。
ABモジュール7は、第1の搬送装置11と、第2の搬送装置13と、ウェハを一時的に保管可能な第1のステーション17と、プロセス装置3に搬入されるウェハを一時的に保管可能な第2のステーション19と、前記プロセス装置3から搬出されたウェハを一時的に保管可能な第3のステーション21とを備えている。
前記各搬送装置11、13、前記各ステーション17、19、21は、予め規格化された1つの基台15の上部に設けられている。換言すれば、ウェハを一時的に保管可能な機能と、ウェハを搬送可能な機能とを基台15に組み込むことによりモジュール化されている。
また、前記ABモジュール7の一端部側(たとえば図2で左側)がBモジュール5に隣接して設けられ、他端部側(図2で右側)が他のBモジュール5に隣接して設けられることによって、前記ABモジュール7は、前記各Bモジュール5の間に設けられる。
そして、ABモジュール7は、第1の搬送装置11を用いてBモジュール5から受け取ったウェハをプロセス装置3に供給し、前記プロセス装置3から搬出されたウェハを第2の搬送装置13を用いて他のBモジュール5に渡すことができるようになっている。また、ABモジュール7は、第1の搬送装置11を用いてBモジュール5から受け取ったウェハを、プロセス装置3まで搬送しないでバイパスさせ、第2の搬送装置13に渡すことができるようにも選択できる。後で説明するように、なんらかの理由でウェハのプロセス装置3での処理が必要ないかまたは不可能な場合にこのバイパスを選択することにより、このプロセス装置3まわりでの不必要な待ち時間をなくして搬送時間を短縮することができる。
より詳しく説明すると、ABモジュール7の第1の搬送装置11は、図2に二点鎖線で示すBモジュール5からウェハを受け取り、この受け取ったウェハを、図2に二点鎖線で示すプロセス装置3に搬入するために前記第2のステーション19まで搬送し、もしくは、前記第1のステーション17まで搬送するようになっている。
また、前記ABモジュール7の第2の搬送装置13は、図2に二点鎖線で示すプロセス装置3から搬出され前記第3のステーション21に保管されているウェハを受け取り、もしくは、前記第1のステーション17に保管されているウェハを受け取り、この受け取ったウェハを図2に実線で示す他のBモジュール5まで搬送するようになっている。
なお、前記第1の搬送装置11が、図2で左側に隣接するBモジュール5以外に別途隣接配置されたモジュールや装置からウェハを受け取るようになっていてもよいし、また、前記第2の搬送装置13が、図2で左側に隣接する他のBモジュール5以外に別途隣接配置されたのモジュールや装置までウェハを搬送するようになっていてもよい。上記の別途隣接配置については後に詳しく述べる。
前記第2のステーション19に搬入され載置されているウェハは、図2に二点鎖線で示すプロセス装置3に設けられている搬送装置(図示せず)によって、処理(加工)のために前記プロセス装置3内のステーション(図示せず)まで搬送されるようになっている。前記プロセス装置3内のステーションで処理されたウェハは、前記プロセス装置3に設けられている搬送装置(図示せず)によって、前記第3のステーション21まで搬出され載置されるようになっている。
前記各モジュール5、7の各ステーション6、17、19、21は、前記薄板状のウェハの厚さ方向が上下方向になっている状態でしかもほぼ一定の高さで、前記ウェハを載置して保管するように構成されている。
前記ABモジュール7の各搬送装置11、13は、前記薄板状のウェハの厚さ方向が上下方向になっている状態で、前記各モジュール5、7の各ステーション6、17、19、21が保管しているウェハの高さをほぼ一定に保ちつつ、前記ウェハを搬送するように構成されている。
ところで、前記第1の搬送装置11、前記第1のステーション17、前記第2の搬送装置13は、前記第1の搬送装置11、前記第1のステーション17、前記第2の搬送装置13の順に、直線上に並んで配置されている。
前記第2のステーション19は、前記第1の搬送装置11、前記第1のステーション17、前記第2の搬送装置13が並んでいる方向である長手方向では、前記第1の搬送装置11と前記第1のステーション17との間に設置され、前記長手方向とは直交する幅方向では、前記第1の搬送装置11および前記第1のステーション17から所定の距離だけ離れて設置されている。
前記第3のステーション21は、前記長手方向では前記第1のステーション17と前記第2の搬送装置13との間に設置され、前記幅方向では、前記第2のステーション19と同じ側で、前記第1のステーション17および前記第2の搬送装置13から所定の距離だけ離れて設置されている。なお、前記第2のステーション19と前記第3のステーション21とは、具体例としてはそれぞれの幅方向の前記所定の距離が同一となるように配置される。
また、図2に二点鎖線で示すように、前記第2のステーション19および前記第3のステーション21と隣接対向してプロセス装置3が設置されている。なお、前記各ステーション19、21の設置間隔や設置高さは、予め規格化されているプロセス装置3のウェハ搬入搬出用接続部の間隔およびウェハ保管搬送高さにそれぞれ対応している。
ここで各モジュールの基台の寸法関係とそのユニット化について説明する。まず、前記Bモジュール5の基台9は、水平面への投影形状が正方形状に形成されている。また、前記ABモジュール7の各ステーション17、19、21と各搬送装置11、13とが設置されている基台15は、前記第1のステーション17と前記各搬送装置11、13とが設置されている本体部23と、前記第2のステーション19が設置されている第1の補助部25と、前記第3のステーションが設置されている第2の補助部27とで構成されている。前記第1の補助部と前記第2の補助部とを一体に構成してもよい。なお、本体部と補助部とを一体にした一体型でも実施可能であるが、設計の柔軟性等の面から分割型が有利である。
前記本体部23は、水平面への投影形状が長方形状に形成されていると共に、幅が前記Bモジュール5の基台9の1辺とほぼ等しく、前記第1の搬送装置11と前記第1のステーション17と前記第2の搬送装置13とが順に並んでいる長手方向の長さが前記幅のほぼ整数倍(小さな整数倍;たとえばほぼ3倍)である長方形状に形成されている。
前記第1の補助部25の水平面への投影形状は、2つの角が直角で1つの斜辺と下底との交差角度が約45°程度である台形状に形成されており、前記下底の長さは、前記長方形状の本体部23の長辺の長さの半分よりも短くなっている。
また、前記第1の補助部25は、図3の紙面に垂直な方向で上方からから眺めた場合、前記下底が前記第1の搬送装置11が設けられている側で前記本体部23の一方の長辺に接し、前記約45°の角度の斜辺部位が前記第1の搬送装置11が設けられている側を向くように設けられている。前記第2の補助部27も、前記第1の補助部25とほぼ同様で対称的な形状に形成され、前記第1の補助部25と対称に設けられている。
上記のように、本発明の搬送システムにおいては、各モジュールの基台の水平面への投影外形寸法が規格化されているが、同様に、各モジュール内および隣接モジュール間で隣接するステーションと搬送装置との各中心間距離も所定の寸法に共通化規格化されている。したがって、搬送システムに用いられる全ての搬送装置のストローク、関連寸法および配置等の共通化が可能となり、設計のユニット化、簡易化が図れる。
また、ABモジュール7の構成機器のうちプロセス装置3に対向してウェハの搬入搬出に関わるステーション19,21の中心間距離は上記のようにプロセス装置3側の接続部の間隔に対応して設定される。このプロセス装置3側の接続部の間隔寸法は原則として業界規格により標準化されているが、もしプロセス装置3側の何らかの事情により業界規格以外の間隔寸法が採られる場合でも、ABモジュール7の基台9が本体部23と補助部25,27とに分割して規格化されているので、プロセス装置3側に合わせたステーション17,19の間隔寸法変更の影響は補助部25,27の範囲に留まり、本体部23の設計製作には直接関係せず、基台の設計製作コストの低減につながる一方、ステーションの間隔設定の自由度が増す。
ここで、前記ABモジュール7の第1のステーション17等について詳しく説明する。
図3は、図2におけるIII矢視を示す図であり、ABモジュール7、Bモジュール5の概略構成を示す平面図である。
図4は、図3におけるIVA−IVB矢視を示す図である。
第1のステーション17は、円形状に形成されたテーブル29を基台15の上面に備え、このテーブル29の上面には、複数の突起31が設けられている。前記各突起31の上面は同一水平面内に存在しており、前記各突起31上に1枚のウェハW1を載置し保管することができるようになっている。
また、前記テーブル29は、図示しないサーボモータや流体圧シリンダ等のアクチュエータによって、基台15に対して上下方向に移動することができるようになっている。
前記第2のステーション19、前記第3のステーション21、前記Bモジュール5のステーション6も、前記第1のステーション17と同様に構成されている。
次に、前記ABモジュール7の第1の搬送装置11について、図2〜図4を参照して詳しく説明する。
第1の搬送装置11には、円形状のテーブル33が設けられている。この円板状のテーブル33は、基台15の上面に設けられていると共に、上下方向に延びた軸CL1を中心にして、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより、前記基台15に対して回転自在になっている。
前記テーブル33の外周部近傍には、アーム35の基端部側が、上下方向に延びた軸CL3を中心にして、回転(揺動)自在に係合している。前記アーム35は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより、前記テーブル33に対して回転(揺動)自在になっている。
前記アーム35の先端部側には、フォーク37の基端部側が、上下方向に延びた軸CL5を中心にして、回転(揺動)自在に係合している。前記フォーク37は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより、前記アーム35に対して回転(揺動)自在になっている。
前記フォーク37の先端部側の上面には、複数の突起39が設けられている。前記各突起39の上面は同一水平面内に存在しており、前記各突起39でウェハW1を載置することができるようになっている。
なお、第2の搬送装置13も、前記第1の搬送装置11と同様に構成されている。
次に、第1のステーション17に保管されているウェハを前記第2の搬送装置13で搬出する場合について説明する。
図4に示すように、ウェハW1が第1のステーション17に保管されている状態ではテーブル29は上昇した位置にあり、テーブル29の各突起31の上面は、前記フォーク37の各突起39の上面よりも高い位置に存在している。
また、ウェハW1がステーション17に保管されている状態では、ウェハW1とテーブル29との間に形成されている空間に、突起39が設けられているフォーク37が入り込めるようになっている。
そして、ウェハW1とテーブル29との間にフォーク37が入り込んだ状態で、前記テーブル29が下降すると、前記フォーク37の突起39が前記ウェハW1の下面と接触すると共に、前記ウェハW1の下面と前記テーブル29の突起31とが互いに離れ、第2の搬送装置13のフォーク37にウェハW1を載置することができるようになっている。
そして、前記フォーク37、アーム35、テーブル29を適宜駆動することにより、ウェハW1を前記第1のステーション17から搬出し搬送することができるようになっている。
なお、第2の搬送装置13による前記第3のステーション21に載置されているウェハの搬出や、前記第1の搬送装置11によるBモジュール5のステーション6に載置されているウェハの搬出も、前記第2の搬送装置13による前記第1のステーション17に載置されているウェハの搬出と同様に行なわれる。
また、第1の搬送装置11のフォーク37が載置しているウェハW1を、第1のステーション17に載置し保管する場合には、第1のステーション17のテーブル29が下降している状態で、前記フォーク37を前記テーブル29上の所定の位置まで移動する。この後、前記テーブル29を上昇させると、前記ウェハW1の下面と前記テーブル29の突起31とが互いに接触し、前記フォーク37の突起39が前記ウェハW1の下面から離れると共に、前記突起31でウェハW1を載置し前記第1のステーション17でウェハW1を保管することができるようになっている。
なお、第1の搬送装置11が載置しているウェハの前記第2のステーション19への保管や、第2の搬送装置13が載置しているウェハのBモジュール5のステーション6への保管も、前記第1の搬送装置による前記第1のステーション17へのウェハの保管と同様に行なわれる。
ところで、図2や図3に示す状態では、前記ABモジュール7の長手方向の一端面(左側)に、Bモジュール5が設置され、前記ABモジュール7の長手方向の他端面(右側)に、他のBモジュール5が設置されているが、前記ABモジュール7の側面の複数の箇所のうちの適数の箇所で、前記Bモジュール5や後述する他のモジュールを、前記ABモジュール7に隣接して配置してもよい。すなわち、たとえば、図3に示すPS1やPS3で示す位置(前記長手方向と直交し隣接している位置)に、Bモジュール5等のモジュールを配置するようにしてもよい。
同様に、前記Bモジュール5の側面の複数の箇所のうちの適数の箇所で、前記ABモジュール7や後述する他のモジュールを、前記Bモジュール5に隣接して配置してもよい。
なお、前記搬送システム1におけるウェハの搬送はいずれの場合でも、各モジュール内および各モジュール間で交互に隣接配置された搬送装置とステーションとの間でウェハを順次受け渡す動作によって行われる。また、前記各搬送装置(たとえば前記ABモジュール7の各搬送装置11、13)がそれぞれ隣接対応する前記各ステーション(たとえば前記ABモジュールの各ステーション19,21および前記Bモジュールのステーション6)との間でウェハを搬送する際には、ウェハが前記各搬送装置のテーブルの中心と前記各ステーションのテーブルの中心とを結ぶ直線上を移動するように構成されているので、ウェハ搬送路の平面上での投影面積を最小限に抑えることができる。
ここで、搬送システム1でウェハを搬送する際に必要なクリーン搬送空間を設ける構成について説明する。図2に示すように、前記Bモジュール5にBモジュール用の、雰囲気清浄化装置を備えたクリーンモジュール41を設置することにより、前記Bモジュール5においてクリーン度の高い空気雰囲気中(たとえばクラス1のクリーン度の雰囲気中)でウェハを取り扱うこと、すなわち、ウェハを保管し搬送することができるようになっている。
前記クリーンモジュール41は、水平面への投影形状が正方形状であると共に下側が開口している枡状の筐体43を備え、この筐体43の上部側には、雰囲気清浄化装置としてファンユニット45が設けられている。このファンユニット45は、フィルター(図示せず)とこのフィルターを通過した空気を前記筐体43内に供給するためのファン(図示せず)とを備えている。フィルターとしては、たとえばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルター等を用いるとよい。後に説明する他のクリーンモジュール用フィルターについても同様である。
前記Bモジュール5の上面を覆うように前記クリーンモジュール41を設置すると、前記筐体43の内側の空間と前記Bモジュール5の上面とによってほぼ閉じた空間が形成される。
前記Bモジュール5の基台9の上面(前記ステーション6のテーブル29が設けられている部位以外の上面)には、多数の小さな貫通穴があいており、前記ファンユニット45から前記空間内にクリーンな空気を供給すると、この供給されたクリーンな空気は、前記Bモジュール5の基台9の上面のこれら多数の小さな貫通穴から、前記空間の外に出るようになっている。そして、前記ステーション6が設けられている空間をクリーンな状態で維持することができるようになっている。
前記ABモジュール7にも、前記クリーンモジュール41とほぼ同様に筐体49とファンユニット51とを備えたクリーンモジュール47が設置され、また、基台15の上面のうち搬送装置11,13のテーブル33およびステーション17,19,21のテーブル29が設けられている部位以外の部位に多数の小さな貫通穴が設けられている。
前記筐体49は、前記ABモジュール7の形態に応じた形状に形成されている。前記ファンユニット51は、前記筐体49の大きさに応じて、複数設けられている。なお、前記ファンユニット51として、前記ファンユニット45と同一のものを採用し、ファンユニットの共通化をはかってもよい。
このように、前記ABモジュール7に、クリーンモジュール47を設置することによってクリーン度の高い雰囲気中(たとえばクラス1のクリーン度の雰囲気中)でウェハを取り扱うこと、すなわち、前記各ステーション17、19、21でウェハを保管し、また、前記各搬送装置11、13でウェハを搬送することができるようになっている。
また、前述したように、前記Bモジュール5や前記ABモジュール7の側面の複数の箇所のうちの適数の箇所に、モジュール等を隣接して配置することができるようになっていることに応じて、前記Bモジュール用のクリーンモジュール41は、このクリーンモジュール41の側面の複数の箇所のうち適数の箇所で前記ABモジュール用のクリーンモジュール47等のクリーンモジュールと接続できるように構成されており、前記ABモジュール用のクリーンモジュール47は、このクリーンモジュール47の側面の複数の箇所のうち適数の箇所で、前記Bモジュール用のクリーンモジュール41等のクリーンモジュールと接続できるように構成されている。
すなわち、図2に示すように、前記クリーンモジュール41の筐体43の側面には、適数の開口部(接続部位)53が設けられており(筐体43が正方形状であるので4つの開口部が設けられており)、前記クリーンモジュール47の筐体49の側面にも、適数の開口部55が設けられている。
そして、前記Bモジュール5と前記ABモジュール7との相対的な設置位置関係に応じて、前記各開口部53、55のうちの適宜の開口部が互いに接続されるようになっている。また、前記および今後説明する各種モジュールの前記開口部は全て共通寸法を持たせ、どのモジュール間でも相互接続が容易に行えるように考慮されている。
なお、前記ABモジュール用のクリーンモジュール47には、前記プロセス装置3に対向する箇所(すなわち、前記第2および第3のステーションに対応する位置)に、前記プロセス装置3の前面内部に設けられているクリーンブース(図示しない)のウェハ搬入搬出用の接続部と接続するための開口部が設けられている。そして、図5(図1におけるVA−VB断面)に示すように、前記クリーンモジュール47と前記プロセス装置3とが互いに接続されている。
また、前記各モジュール5、7用のクリーンモジュール41、47の開口部53、55には、シャッターが設けられており、前記開口部53、55が他のクリーンモジュールの開口部53、55と接続されていない場合、前記シャッターでクリーンモジュール内の空間を、外部空間から遮断することができるようになっているので、内部のクリーンな空間が外部から汚染されるのを防ぐことができる。
ところで、図1に示す搬送システム1を構成している各Bモジュール5のうちのいずれかのモジュールにおいて、複数枚のウェハを一時的に保管することができるようにしてもよい。
ここで、複数枚(図示例では3枚)のウェハを一時的に保管することができるBモジュール5aについて詳しく説明する。
図6は、複数のウェハを一時保管できるBモジュールの概略構成を示す平面図である。Bモジュール5aの概略構成を示す平面図であり、図7は、図6におけるVIIA−VIIB断面を示す図である。
Bモジュール5aは、基台9aの上面に、円形状に形成されたテーブル57を備えている。このテーブル57の上面には、ウェハW1を載置するための複数の突起59が支持部材60を介して設けられている。前記各突起59の上面は、同一水平面内に存在していると共に、テーブル57の周上をほぼ3等分したそれぞれの位置で、3枚のウェハW1を載置することができるように配置されている。
前記テーブル57は、図示しないサーボモータや流体圧シリンダ等のアクチュエータによって、基台9aに対して上下方向に移動することができるようになっていると共に、図示しないサーボモータや流体圧シリンダ等のアクチュエータによって、基台9aに対してインデックスすることができるようになっている。
前記テーブル57がインデックスをしているときに、載置してあるウェハW1が遠心力で落下しないようにするための突起61が、載置されているウェハW1を囲むように設けられている。
なお、前記Bモジュール5aで複数枚のウェハを載置できるようにした場合と同様に、前記ABモジュールの前記各ステーション17、19、21で、複数枚のウェハを保管することができるようにしてもよい。
次に、図1に示す前記搬送システム1についてさらに説明する。
前記搬送システム1は、Bモジュール5とABモジュール7とをたとえば交互に並べて(必要に応じTF1モジュール(第1のトランスファモジュール)8も含めて)構成されているが、Bモジュール5やABモジュール7のほかに、入り口側にバッファモジュール63が設けられ、出口側にもバッファモジュール65が設けられている。すなわち、プロセス装置で処理される前のウェハはたとえばバッファモジュール63において搬送システム1に投入され、所定の搬送および処理を経て処理後のウェハとしてバッファモジュール65において搬送システム1から排出される。
ここでバッファモジュール63について詳しく説明する。
図8は、バッファモジュール63の概略構成を示す平面図である。
バッファモジュール63には、多数個(枚)のウェハを保管可能なストッカー67Aが設けられている。また、前記バッファモジュール63は、搬送システム1の最も入り口側に設置されているBモジュール5に隣接して設置されると共に、前記各プロセス装置3で加工される前のウェハであって前記ストッカー67Aに保管されている多数個のウェハを、搬送手段を用いて1枚ずつ取り出し前記Bモジュール5に供給可能なように構成されている。
また、バッファモジュール63は、予め規格化された基台69を備えており、この基台69は、水平面への投影形状が長方形状であって、幅が前記Bモジュール5の幅とほぼ等しく、長さが前記Bモジュール5の長さの整数倍(たとえば2倍)に形成されている。
前記基台69の上面であって長手方向の一端部側には、前記ABモジュール7の搬送装置11と同様に構成された搬送装置(前記搬送手段の例である搬送装置)71が設けられており、他端部側には、ウェハを一時的に載置可能なステーション(前記ABモジュール7の第1のステーション17と同様に構成されたステーション)73が設けられている。なお、前記搬送装置71や前記ステーション73は、前記ABモジュール7とほぼ同じ高さでウェハを搬送し保管するようになっている。また前記搬送装置71は、前記ABモジュール7の搬送装置11と同様の構成に、垂直(Z軸)方向の移動機能を付加したものとしてもよい。
前記ストッカー67Aは、前記基台69に隣接して設置されている。前記ストッカー67Aにウェハが無くなったときには、別のストッカー67Bと容易に交換することができるようになっている。
なお、前記バッファモジュール63において、前記ステーション73を削除し、前記基台69を、前記Bモジュール5の基台9と同様に構成してもよい。
前記バッファモジュール65は、前記バッファモジュール63とほぼ同様に構成されていると共に、最も出口側に設置されているBモジュール5に隣接して設置され、前記各プロセス装置3で加工されたウェハを前記Bモジュール5から1枚ずつ受け取って、ストッカーに多数個保管することができるように構成されている。
また、次の各モジュール(IDモジュール、バッファモジュール75、バッファモジュール83、第1のトランスファモジュール(TF1モジュール)8、第2のトランスファモジュール(TF2モジュール)、第3のトランスファモジュール(TF3モジュール)、検査モジュール、位置決めモジュール)の少なくともいずれかを、必要に応じて前記搬送システム1に設けてもよい。
これら一連のモジュールのうち、IDモジュール(図示せず)は、ワーク搬送システム1に供給されるウェハに付されているID(識別符号)を読み取るためのモジュールである。
前記IDモジュールは、たとえば、前記バッファモジュール63に代えて、ワーク搬送システム1の最も上流側に設置されているBモジュール5に隣接して設けられ、前記各プロセス装置3で加工される前のウェハであってストッカー67Aに保管されている多数個のウェハを、前記バッファモジュール63の搬送装置71と同様に構成されている搬送手段を用いて1枚ずつ取り出し、ウェハに付されているIDをID読み取り手段で読み取った後、ウェハを前記搬送手段を用いて前記Bモジュール5に供給可能なように構成されている。
具体的には、バッファモジュール63のステーション73に、ウェハのIDを読み取るためのID読み取り装置(前記ID読み取り手段の例であるID読み取り装置)と、必要に応じてIDの読み取りのためにウェハを位置決めする装置(アライメントを含めた位置決めを行なえる装置)とを設け、前記ステーションでIDを読み取るようになっている。
また、IDモジュールを、前記Bモジュール5に代えて設け、ワーク搬送システム1のたとえば中間部で、ウェハに付されているIDを読み取るように構成してもよい。
具体的には、モジュール5のステーションに、IDを読み取るためのID読み取り装置を設け、前記ステーションでIDを読むようにしてもよい。
搬送システム1とプロセス装置3とは、図示しない制御装置の制御の下で動作するようになっているが、前記IDモジュールで読み取ったIDを用い、搬送システム1で搬送されプロセス装置3で加工されるウェハの種類を前記制御装置で確認することができ、誤った種類のウェハが搬入され、加工されることを防止できる。
なお、前記IDの読み取りを、ABモジュール7の第1のステーション17の位置で行なうようにしてもよい。
次に、バッファモジュール75について説明する。
図9は、バッファモジュール75の概略構成を示す平面図である。
バッファモジュール75は、ワーク搬送システム1の中間部で、Bモジュールに隣接して設置されると共に、前記各プロセス装置3のうちの所定のプロセス装置で加工されたウェハを、搬送手段を用いて前記Bモジュール5から受け取り、この受け取ったウェハを、ストッカーに多数個保管することができるように構成されている。
なお、バッファモジュール75は、前記Bモジュール5からウェハを受け取る代わりに、前記ABモジュール7や他のモジュールからウェハを受け取れるようにしてもよい。
より詳しく説明すると、バッファモジュール75は、予め規格化された基台77を備えており、この基台77は、水平面への投影形状が、前記Bモジュール5の基台9と同様な正方形状に形成されている。
前記基台77の上面には、前記ABモジュール7の搬送装置11と同様に構成された搬送装置(前記搬送手段の例である搬送装置)79が設けられており、複数枚のウェハを保管可能のストッカー(前記ストッカー67Aと同様なストッカー)81が前記基台77に隣接して設けられており、搬送装置79で他のモジュールから受け取ったウェハを、前記ストッカー81に供給し保管することができるようになっている。また前記搬送装置79は、前記ABモジュール7の搬送装置11と同様の構成に垂直(Z軸)方向の移動機能を付加したものとしてもよい。
前記ストッカー81は、たとえば、前記基台77に着脱自在に固定されており、また、前記基台77、前記ストッカー81の少なくともいずれかには、前記基台77とストッカー81とを容易に移動できるようにするための搬送用の車輪が設けられている。
なお、図1に示す搬送システム1では、各Bモジュール5や各ABモジュール7を並べて長く形成されたウェハの搬送ラインの中間部に位置するBモジュール5Aに隣接して、バッファモジュール75が設置されている。
したがって、搬送システム1の経路中で、ウェハを前記搬送システム1から搬出することができる。たとえば、搬送システム1の下流側プロセスの各プロセス装置3Aがなんらかの要因で長い間停止している場合、中途までの加工がされているウェハを取り出すことができ、この取り出したウェハを、搬送システム1の設置されているプロセス装置以外の他のプロセス装置(各プロセス装置3Aに相当するプロセス装置)で加工することができる。また、或る中間点から以降のプロセス装置3Aでの加工の必要のないウェハもその中間点で取り出すことができる。
バッファモジュール83は、前記バッファモジュール75とほぼ同様に構成されており、また、ワーク搬送システム1の中間部で、Bモジュール5等に隣接して設置されると共に、前記各プロセス装置3のうちの所定のプロセス装置で加工される前のウェハを多数個保管することができ、この保管している各ウェハを1枚ずつ前記Bモジュール5や前記ABモジュール7等のモジュールに供給可能なように構成されている。
たとえば、図1に二点鎖線で示すように、ウェハ搬送ラインの中間部に設置されているBモジュール5Bに隣接させて前記バッファモジュール83を設置すれば、搬送システム1の経路の途中で、ウェハを前記搬送システム1に投入することができる。
そして、搬送システム1の上流側プロセスの各プロセス装置3Bがなんらかの要因で長い間停止している場合、搬送システム1の設置されているプロセス装置以外の他のプロセス装置(前記各プロセス装置3Bに相当するプロセス装置)で加工されたウェハを、前記搬送システム1に中間で投入することができ、ウェハの加工を下流側のプロセス装置3Aで行なうことができる。
第1のトランスファモジュール(TF1モジュール)8(図1参照)は、図2や図3に示すABモジュール7から、第2のステーション19、第3のステーション21および各補助部25、27を取り去った後の、基台本体部23に第1の搬送装置11、第1のステーション19、および第2の搬送装置13を配置した構成と同様の構成で、詳しくは基台本体部23と同様の基台に第3の搬送装置、第4のステーション、および第4の搬送装置を配置した構成である。
そして、第1のトランスファモジュール8は図1に示すように、ワーク搬送システム1の中間部でプロセス装置3と直接に対向せずプロセス装置3との間でのウェハ搬入搬出を必要としない箇所において、ABモジュール7の代わりに、Bモジュール5等に隣接して設けられ、これらの隣接している各モジュール間で、具体的には隣接するBモジュール(第1または第2のモジュール)と第1のトランスファモジュール8の前記第3の搬送装置との間、前記第3の搬送装置と前記第4のステーションとの間、前記第4のステーションと前記第4の搬送装置との間、および前記第4の搬送装置と別の隣接するBモジュール(第1または第2のモジュール)との間でウェハを搬送することができるようになっている。
第2のトランスファモジュール(TF2モジュール)は、図8に示すバッファモジュール63と同様の構成、具体的にはバッファモジュール63の基台69と同様の基台に第1の搬送装置11と同様の第5の搬送装置と第1のステーション17と同様の第5のステーションとを配置した構成である。
そして、Bモジュール5やABモジュール7等のモジュールに隣接して設けられ、これら隣接している各モジュール間で、具体的には隣接するBモジュール(第1または第2のモジュール)と第2のトランスファモジュールの前記第5の搬送装置との間、前記第5の搬送装置と前記第5のステーションとの間、前記第5のステーションと隣接するABモジュール7の第1または第2の搬送装置との間、または前記第5のステーションと隣接する第1のトランスファモジュールの第3または第4の搬送装置との間でウェハを搬送することができるようになっている。
第3のトランスファモジュール(TF3モジュール)は、図9に示すバッファモジュール75と同様の構成、具体的にはバッファモジュール75の基台77と同様の基台に第1の搬送装置11と同様の第6の搬送装置を配置した構成である。
そして、Bモジュール5等のモジュールに隣接して設けられ、これらの隣接している各モジュール間で、具体的には隣接するBモジュール(第1または第2のモジュール)と第3のトランスファモジュールの前記第6の搬送装置との間、前記第6の搬送装置と別の隣接するBモジュール(第1または第2のモジュール)との間、および前記第6の搬送装置とウェハを一時的に保管可能なステーションを備える別の隣接するいずれかのモジュールの前記ステーションとの間でウェハを搬送することができるようになっている。なお、図10(搬送システム1の別の設置形態を示す図)では、第3のトランスファモジュール(TF3モジュール)(図中TFと略記)は、Bモジュール5に隣接して設けられている。また、図中でABモジュール(図中ABと記載)の台形状の補助部は記載を省略してある。なお、第3のトランスファモジュール(TF3モジュール)とそれに隣接するBモジュールとの組み合わせの代わりにこれと同等の構成の第2のトランスファモジュール(TF2モジュール)を設置してもよい。
検査モジュール(図示せず)は、前記各プロセス装置3に投入される前のウェハや前記プロセス装置3で加工されたウェハを検査するためのモジュールである。
前記検査モジュールは、たとえば、前記バッファモジュール63に代えて、ワーク搬送システム1の最も上流側に設置されているBモジュール5に隣接して設けられ、前記各プロセス装置3で加工される前のウェハであってストッカーに保管されている多数個のウェハを、前記バッファモジュール63の搬送装置71と同様に構成されている搬送手段を用いて1枚ずつ取り出し、このウェハが不良材であるか否かを、図示しない検査手段を用いて検査し、この検査後のウェハであって正常なウェハを前記搬送手段を用いて前記Bモジュール5に供給可能なように構成されている。
具体的には、前記バッファモジュール63のステーション73に検査装置を設け、この検査装置で検査するようになっている。なお、検査の結果不良材であるとされたウェハは、図示しないストッカー等に排出されるようになっている。
また、前記検査モジュールを、前記バッファモジュール65に代えて、ワーク搬送システム1の最も下流側に設置されているBモジュールに隣接して設け、前記各プロセス装置3で加工されたウェハであってストッカーに保管される前のウェハについて、前記各プロセス装置3での加工が正常にされたか否かを1枚ずつ検査し、この検査後のウェハであって正常なウェハを前記ストッカーに保管するようにしてもよい。
具体的には、バッファモジュール65のステーションに検査装置を設け、この検査装置で検査するようにしてもよい。なお、検査の結果不良材であるとされたウェハは、図示しないストッカー等に排出されるようになっている。
また、前記検査モジュールを、前記Bモジュール5に代えて設け、ワーク搬送システム1の中間部で、1枚ずつ搬送されて来るウェハについて、プロセス装置3での加工が正常にされたか否かを検査するようにしてもよい。
具体的には、Bモジュール5のステーション6に検査装置を設け、この検査装置で検査するようにしてもよい。
さらに、前記ABモジュール7のステーション17にウェハの検査装置を設けウェハの検査を行なうようにしてもよい。
位置決めモジュール(図示せず)は、前記各プロセス装置3に搬入される前のウェハや前記プロセス装置3で加工されたウェハを、位置決め手段を用いて位置決めするモジュールである。
前記位置決めモジュールは、たとえば、前記バッファモジュール63に代えて、ワーク搬送システム1の最も上流側に設置されているBモジュール5に隣接して設けられ、前記各プロセス装置3で加工される前のウェハであってストッカーに保管されている多数個のウェハを、前記バッファモジュール63の搬送手段(搬送装置71)と同様に構成された搬送手段を用いて1枚ずつ取り出し、このウェハを前記位置決め手段を用いて位置決めし、この位置決め後のウェハを前記搬送手段を用いて前記Bモジュール5に供給可能なように構成されている。
具体的には、前記バッファモジュール63のステーション73に前記位置決め手段の例である位置決め装置を設け、この位置決め装置でウェハの位置決めをするようになっている。
また、前記位置決めモジュールを、前記Bモジュール5に代えて設け、ワーク搬送システム1の中間部で1枚ずつ搬送されて来るウェハを位置決めするようにしてもよい。
具体的には、前記Bモジュール5のステーション6に位置決め装置を設け、この位置決め装置で位置決めをするようにしてもよい。
なお、前記ABモジュール7のステーション17にウェハの位置決め装置を設け、ウェハの位置決めを行なってもよい。
上述したように、Bモジュール5やABモジュール7以外のモジュールを、適宜設けることによって、より柔軟な構成の搬送システムを構成することができ、搬送システムの適用範囲が広くなり、拡張性が高まる。
また、前記各モジュール(IDモジュール、バッファモジュール75、バッファモジュール83、第1のトランスファモジュール8、第2のトランスファモジュール、第3のトランスファモジュール、検査モジュール、位置決めモジュール)においても、前記Bモジュールや前記ABモジュールと同様に、前記各モジュール用の各クリーンモジュールを設置することによってクリーン度の高い雰囲気中でウェハを取り扱うことができるようになっている。
ところで、図1に示す搬送システム1は、Bモジュール5とABモジュール7とを交互に並べることにより「コ」字状の搬送ライン(主搬送ライン)が形成されているが、主搬送ラインの右端折り返し箇所で「コ」字状の右上端に設置されているBモジュール5Aと、同じく右下端に設置されているBモジュール5Bとの間の範囲ではプロセス装置3が設置されておらずプロセス装置3へのウェハ搬入搬出がないので、この範囲ではABモジュール7からプロセス3との対応部である補助部を取り去って構成された第1のトランスファモジュール(TF1モジュール)8Bが設置されている。また、主搬送ラインの上流側の中間部に設置されているBモジュール5Cと、主搬送ラインの下流側の中間部に設置されているBモジュール5Dとの間にも、この箇所でもプロセス装置3が設置されておらず対応の必要がないため、第1のトランスファモジュール(TF1モジュール)8Aが設置されている。
そして、図1の「コ」字状の主搬送ラインに沿って並置されている各プロセス装置のうち前記Bモジュール5Cから「コ」字状の主搬送ライン下流に位置する一部のプロセス装置3Cでの加工を必要としないウェハについては、「コ」字状の主搬送ライン全てを経由搬送することなく、前記Bモジュール5Cでウェハを主搬送ラインから分岐し、前記第1のトランスファモジュール(TF1モジュール)8Aでバイパスし、前記Bモジュール5Dでウェハを主搬送ラインに合流することにより、各プロセス装置3のうちの一部のプロセス装置3Cによる加工が不要なこれらウェハの、加工不要プロセス装置3Cに沿った主搬送ライン部分での不要な搬送を省略できるので、これらウェハの実加工時間、搬送時間、待ち時間等を含む総処理時間(1枚のウェハがバッファモジュール63を出たとき(搬送および処理ラインに投入されたとき)から必要な処理を完了して搬送および処理ラインから排出されバッファモジュール65に収納されるまでの時間)を短くすることができるという利点がある。
搬送システム1によれば、プロセス装置3に対向するABモジュール7に2つの搬送装置11,13を備え、第1の搬送装置11を用いて、Bモジュール5からウェハを受け取り、この受け取ったウェハをプロセス装置3に搬入するために搬送し、一方、第1の搬送装置11とは別個の独立した第2の搬送装置13を用いて、前記プロセス装置3で処理され前記プロセス装置3から搬出されたウェハを、他のBモジュール5まで搬送するので、前記第2の搬送装置13でウェハを搬送し始めた後ただちに、前記プロセス装置3に次のウェハを投入することができ、前記特許文献1の場合のように1組の搬送装置でウェハの搬入搬出を行う場合に比べて、前記プロセス装置3へのウェハの搬出入時間を短縮することができる。
そして、搬出入時間を短縮することにより、搬送システム1とプロセス装置3を備えたシステム全体におけるウェハの搬送時間、実処理時間、待ち時間等を含む総処理時間を短縮することができる。
また、搬送システム1によれば、搬送装置を2つ設けてあることにより、各搬送装置11、13のそれぞれのストロークを小さくしてもウェハを搬送することができ、搬送装置を小さく構成することにより、搬送装置の稼動部分のイナーシャを小さくすることができ、搬送装置を早く動作させることが容易になり、前記プロセス装置3へのウェハの搬出入時間を短縮することができる。
また、搬送システム1によれば、ABモジュール7に第1のステーション17を設けてあるので、或るプロセス装置3での処理が不要であるウェハについては、そのプロセス装置3まで搬送せずに手前で前記第1のステーション17へバイパスすることができる。これにより、バイパスしなければそのプロセス装置3の前後で生じるかもしれない不必要な待ち時間をなくして総処理時間の短縮につながるというバイパス効果が得られる。プロセス装置3が故障の場合も同様にバイパス効果を利用できる。
同様に、プロセス装置3が保守点検等で停止している状態にあっても、この停止しているプロセス装置3をバイパスしてウェハを搬送することができ、搬送システム1と各プロセス装置等で構成されているシステムを停止することなく、プロセス装置3の保守点検等をすることができる。
また、搬送システム1によれば、モジュール化が実施されているので、搬送等に必要な各種機能を予め標準化しておくことができ、ユーザの個々の要求に対して必要となるモジュールを選択して連結すれば、搬送システムを構築することができ、個々のユーザの要求に柔軟に対応することができる。
また、搬送システム1によれば、各モジュールを組み合わせることによって搬送システムが構成されているので、ウェハの搬送に必要な機能を装置モジュールとして予め標準設計しておくことが可能である。また、プロセス装置3に対応するABモジュール7の基台9を本体部23と、プロセス装置3に対向するステーション19,21の設置される補助部25、27とに分割して構成しているので、これらステーションに対向するプロセス装置側の接続部間隔が規格と異なる場合でも補助部だけを設計変更すれば済み、本体部への影響がない。
したがって、搬送システムの設計に要する時間やシステム製作に要する時間を削減でき、システムの製造コストを削減することができる。
また、各モジュールによって搬送システム1が構成されているので、ユーザの要求に応じてモジュールを選択し、この選択したものを組み合わせて搬送システムを構成する場合、各モジュールの据付や各モジュール同士の結合を簡便に行なうことができる。また、搬送システム1に故障が発生した場合でも、システムがモジュール化されているので故障発生箇所のモジュールのみを交換することで事態に短時間に対応できる。
さらに、機能の追加、機能の省略、対象ウェハの変更等のような搬送システムの仕様を、変更する場合であっても、モジュール毎に、追加、削除、代替、変更を行なえばよいので、仕様変更に対しても柔軟に対応することができる。また、他品種少量生産に対応することができる。
また、搬送システム1によれば、各モジュールを組み合わせて搬送システムが構成されているので、各モジュールに沿って、圧縮空気、冷却水等のユーティリティ配管や電力線や信号線等のユーティリティ配線を敷設しておくことができ、前記ユーティリティ配管やユーティリティ配線を敷設しておくことにより、前記搬送システムを設置するときのユーティリティ敷設工事を簡素化することができる。
また、搬送システム1において、前記Bモジュール5や前記ABモジュール7の第1のステーション17が、複数のウェハを一時的に保管することができるようにすれば、何らかの要因でいずれかのプロセス装置が一時的に停止した場合等においても、ウェハのスムーズな流れが阻害されにくくなる。
さらに、搬送システム1によれば、各モジュール水平面への投影形状がほぼ正方形の形状、または、短辺の長さが前記長方形状とほぼ等しく長辺の長さが前記短辺の整数倍である長方形の形状になっているので、前記各モジュールを互いに隣接させて設置し搬送システムを構築する場合、図10に示すように、碁盤の目のように並んだ各正方形のます目にそって、各モジュールを設置すればよく、前記各モジュールの設置作業が容易になる。
また、前記ABモジュール7の補助部25、27の水平面への投影形状が本体部と反対側の角部を約45°程度斜めに落として台形状に形成されているので、前記補助部の設置面積を極力小さく抑えることができる。なお、搬送システム1によれば、前記のように、いずれの搬送装置によるウェハ搬送時にもウェハが直線上を移動するように構成されているので、前記各搬送装置のアーム等が前記補助部25、27の台形の斜辺部へ突出することなく稼動させることができ、ウェハを安全且つスムーズに搬送することができる。