JP2006208075A - 異常診断装置および方法ならびにプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 移動体内の任意の位置にマイクや振動センサ等から成るセンサ1を設置し、車両異常診断装置3を構成するコンピュータ(演算処理装置)が、移動体内における音を取り込み、独立成分分析を行って音の分離と音源位置の特定を行うこととした。また、センサ1の設置位置近傍以外における診断部品の場所を特定し、移動体内の任意の場所における信号強度を推定して乗り心地や騒音に対する警告を行うこととした。
【選択図】 図1
Description
前記したマイクアレイは、従来、特定の方向のみの探査しかできなかった。ところが、最近では3次元方向の探査を可能とするマイクアレイが出現し、前後左右上下の全方位から到来する音に対して音源探査が可能になった(例えば、特許文献1参照)。
一方、マイクをセンサとして単独で使用することも考えられるが、この場合、マイクは診断対象部品の近傍に設置することが要求され、また、エンジン等、診断対象部品によっては近傍に設置することさえできないものもある。更に、マイクを単独で使用した場合、外部ノイズの混入により、異常診断を行う際の信頼性の面でも問題があった。
車両異常診断装置3は、CPU(Central Processing Unit)11を制御中枢とし、主メモリ12、フラッシュメモリ13、ハードディスク装置14(HDD:Hard Disk Drive)、入出力ポート15(PIO:Parallel Input Output)、入出力制御装置16(IOC:Input Output Controller)が、アドレス、データ、コントロールのための複数本のラインで構成されるシステムバス17に共通接続され、構成される。
また、フラッシュメモリ13には、BIOS(Basic Input Output System)や係数等半固定的なデータがあらかじめ記録されている。また、HDD14には、主メモリ12に常駐しない後記するテーブル、データベース等が割付けられ、ここに各種データが格納される。また、PIO15には、後記するマイク等のセンサ1や低周期センサ2等のセンサ類が接続されており、ここでセンサ類によって計測された信号が取り込まれるようになっている。また、IOC16には、LCD(Liquid Crystal Display)4と、キーボード(KB5)が接続され、前者はCPU11による処理結果(本発明実施形態では警告表示)を表示し、後者は、ユーザによって入力されるデータを取り込む構成になっている。LCD4ならびにKB5は、独立してもよいし、あるいはタッチパネルのように一体型であってもよい。
なお、低周期センサ2により取り込まれる信号(データ)の中には、CAN(車内LAN:Control Area Network)やGPS(Global Positioning System)を介して取り込まれる、車速、方位、エンジン回転速度、アクセル開度、ブレーキ踏み圧、操舵角、A/F(Air/Fuel)比、燃料噴射量等の各データがある。以下、センサ1はマイク(Mic1,Mic2,Mic3)として説明する。
図2に示されるように、車両異常診断装置3は、機能的には、独立成分分析部31と、独立信号周波数変換部32と、周波数同定部33と、周波数診断部34と、センサ配置テーブル35と、センサ強度マッチング部36と、信号強度推定部37と、信号強度診断部38と、ルールDB50とで構成される。
ここで、独立成分分析とは、マイクによって集音した複数の音源の音が重畳された状態から、音源毎に、特性の異なる音響成分を分離抽出する周知の信号処理手法であり、本発明実施形態では、時間遅れを考慮した独立成分分析である、Blind Deconvolution手法を用いることとした。このBlind Deconvolution手法についての詳細は、「Cichocki and Amari, Adaptive Blind Signal and Image Processing, Wiley, pp.335-421」に開示されている。
また、周波数診断部34で周波数解析された結果に基づきルールDB50を比較参照して得られる診断結果は、外部接続される警告表示部4(LCD4)に表示される。
なお、ルールDB50には、あらかじめ異常発生時の音に関する周波数データが格納されているものとする。
信号強度推定部37は、前記したセンサ強度マッチング部36で算出される音源の位置データを用い、KB5を介してユーザによって入力される診断部位における信号強度の推定のための演算を行う。ここで推定された信号強度に関するデータは、信号強度診断部38に供給され、ここで信号強度に関する閾値データとの比較がなされ、その結果によっては外部接続される警告表示部4(LCD4)に警告を意図する表示を行う。なお、警告表示部4による警告は、前記した表示の他に、ビープ音で代替してもよい。また、信号強度の閾値データは、図1に示すHDD14に記憶されている。
以下、図3に示すフローチャートを参照しながら、図1、図2に示す本発明実施形態に係る異常診断装置の動作について詳細に説明する。
本発明実施形態では、Blind Deconvolution手法により分離された信号を入力とし、センサ1によって計測される信号を出力とする伝達関数G(z)の位相を求め、それを周波数で微分することにより入力から出力への群遅延を求める。そして、対象周波数の平均値を遅延時間とし、その周期を算出することにより、それぞれの音源とマイクとの間の距離を求めて混合係数テーブル360を作成する(S33)。
センサ強度マッチング部36は、混合係数テーブル360と、各診断部位からマイクまでの距離が設定されたセンサ配置テーブル35とのマッチング(比較)による対応付けを行う(S34)。ここでは、対応付けがなされるまでS34の処理が繰り返し実行され、ここで音源の位置が特定され、そして、音源と診断部位との対応付けがなされると(S34、“≒”)、S35へ進む。
また、混合係数テーブル360の縦方向には、センサ1として設置されるマイク(Mic1、Mic2、Mic3)が、横方向には音源(Sound1〜Sound3)が示され、マイク毎に、そのマイクと音源との距離(例えば、マイク1とサウンド1との間の距離はl11である)が示されている。
具体的には、センサ強度マッチング部36は、マイク(Mic1〜Mic3)毎に、マイクの位置を中心とし、混合係数テーブル360に設定された距離(l11,l12,l31)を半径とする球を描く処理を実行し、それぞれの球が重なり合う交点を求める(GPS:Global Positioning System測位の原理を利用)。この交点が音源の座標になる。同様に、センサ配置テーブル35を参照し、マイク(Mic1〜Mic3)毎に、マイクの位置を中心に、登録された既知の距離(l1e,l2e,l3e)を半径とする球を描く処理を実行し、それぞれの球が重なり合う交点により、Engine、Stare…の診断部位の座標を求める。そして、各音源に対し、それぞれの音源から見て最も近くに位置する診断部位を対応付ける。これがセンサ強度マッチングのためのアルゴリズムである。前記した処理により、各音源が診断部位のいずれに対応するのか判断することができる。
なお、音源が、Engine、Stare…の診断部位から所定距離以上離れていることが確認された場合、センサ強度マッチング部36は、音源の位置は特定できなかったと判断する。所定距離に関するデータは、HDD14に記憶されている。
ここでは、前記により音源が特定され、ユーザが、例えば、KB5を操作し、あるいはLCD4に表示された診断部位を指定したとする。このとき、信号強度推定部37は、以下の処理を実行する。
図5(a)の各音源(Sound 1〜Sound n)における信号強度をPi[W/m2]、各音源(Sound 1〜Sound n)から診断部位(例えばEngine)までの距離をli(l1〜ln)とすれば、診断部位の信号強度P[W/m2]は以下の演算式(3)により求められる。
周波数診断部34では、独立成分分析部31により分離され、独立信号周波数変換部32により変換された信号、あるいは低周期センサ2によって計測された信号の中から、前記した周波数同定部33によって抽出された診断対象となる周波数のみを取り込み、ルールDB50と比較することによって異常診断を行う。ルールDB50にはあらかじめ異音に関する周波数データが格納されており、このため、周波数診断部34は、ルールDB50に格納された周波数と前記取り込まれた周波数が一致した場合に異常と診断し、警告表示部4による異常表示を行う。なお、ルールDB50は、HDD14に格納されている。
また、周波数診断部34も前記したように周波数診断を行い(S36)異常音の診断も行う。ここで異常が認められた場合は(S37、“NG”)、警告表示部4を介して、例えば、「エンジン音不良により停止」等の警告表示を行い(S38)、ユーザに通知することができる。正常の場合(S37、“Yes”)はそのまま処理を終了する。なお、警告表示はビープ音等により代替してもよい。
なお、異常が検知された場合は警告表示を行ってユーザに通知する他に、設計にフィードバックして改善のために次の設計に反映させることもできる。
なお、Minimal fuel問題は、信号解析手法の一つであり、例えば、「Cichocki and Amari, Adaptive Blind Signal and Image Processing, Wiley, pp.81-86」にその詳細が開示されている。
なお、センサ取付け者は、マイク設置状況(マイクと車両の各診断部位との距離の関係)について、事前にセンサ配置テーブル35に登録しておく(S402)。そして、ディーラに設置されたコンピュータ(車両異常診断装置3)を用い、独立成分分析により、取り込まれた信号を独立事象信号に分離するための計算を行う(S403)。そして、センサ設置箇所と車両の診断部位との距離が記録されたセンサ配置テーブル35を参照して混合係数テーブル360との比較を行って(S404)、分離された信号が示す独立事象波形と診断部位との対応付けを行い音源の位置を特定する(S405)。
例えば、サーバは、(a)センサを介して路面の振動情報を取込み、(b)ヒヤリハット警告と同等のサービスを提供し、(c)路面状況をアナウンスすると共に、(d)運転者に限界ブレーキやハンドルに関する警告を行う。また、「エンジン音不良のため緊急停止して下さい」、「突発事象発生!荷崩れをチェックして下さい」等のメッセージにより、運転者への注意喚起も可能である。
2 低周期センサ
3 車両異常診断装置
4 LCD(警告表示部)
11 CPU(演算処理手段)
12 主メモリ(記憶装置)
11 PIO(入力ポート)
31 独立成分分析部
32 独立信号周波数変換部
33 周波数同定部
34 周波数診断部
35 センサ配置テーブル
36 センサ強度マッチング部
37 信号強度推定部
38 信号強度診断部
50 ルールDB
360 混合係数テーブル
Claims (10)
- 移動体の任意の位置に設置されたセンサを介して音源の位置を特定し、前記移動体の診断部位の異常診断を行う異常診断装置であって、
前記センサによって計測される信号を取り込む入力手段と、
前記取り込まれた信号の独立成分分析により分離された信号に対してシステム同定を行い、前記システム同定の結果生成される伝達関数の位相の遅延時間を算出し、前記遅延時間によって求められる前記音源の位置から前記センサまでの距離と、あらかじめ記憶装置に格納された前記診断部位から前記センサまでの距離との比較を行い、前記音源の位置を特定する演算処理手段と、
を具備することを特徴とする異常診断装置。 - 前記演算処理手段は、
前記位置が特定された音源の信号強度と、外部から指定される診断部位から前記音源までの距離とに基づき前記診断部位における信号強度を算出し、前記算出した信号強度と、警告表示のためにあらかじめ定義された信号強度の閾値との比較を行い、前記診断部位の異常診断を実行することを特徴とする請求項1に記載の異常診断装置。 - 前記演算処理手段は、
前記分離された信号を周波数に変換し、前記記憶装置にあらかじめ格納された異常発生時における周波数データと比較し、前記診断部位の異常診断を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の異常診断装置。 - 前記異常診断の結果を報知する報知手段を更に具備することを特徴とする請求項2または3に記載の異常診断装置。
- 前記演算処理手段は、
前記独立成分分析により分離された信号の数が所定数を超えたと判断したときに、minimal fuel問題を適用して前記認知した信号の独立成分分析を再度行い、前記認知した信号が示す音源の位置の特定を行うことを特徴とする請求項1に記載の異常診断装置。 - 移動体の任意の位置に設置されたセンサを介して音源の位置を特定し、前記移動体の診断部位の異常診断を行う異常診断方法であって、
異常診断装置を構成する演算処理装置は、
前記センサによって計測される信号を取り込む第1のステップと、
前記取り込まれた信号の独立成分分析により分離された信号のシステム同定を行い、前記システム同定の結果生成される伝達関数の位相の遅延時間を算出し、前記遅延時間によって求められる前記音源の位置から前記センサまでの距離と、あらかじめ記憶装置に登録される前記診断部位から前記センサまでの距離との比較を行い、前記音源の位置を特定する第2のステップと、
を実行することを特徴とする異常診断方法。 - 移動体の任意の位置に設置されたセンサを介して音源の位置を特定し、前記移動体の診断部位の異常診断を行う異常診断方法であって、
異常診断装置を構成する演算処理装置は、
前記センサによって計測される信号を取り込む第1のステップと、
前記取り込まれた信号の独立成分分析により分離された信号のシステム同定を行い、前記システム同定の結果生成される伝達関数の位相の遅延時間を算出し、前記遅延時間によって求められる前記音源の位置から前記センサまでの距離と、あらかじめ記憶装置に登録される前記診断部位から前記センサまでの距離との比較を行い、前記音源の位置を特定する第2のステップと、
前記位置が特定された音源の信号強度と、外部から指定される前記診断部位から前記音源までの距離とに基づき、前記診断部位における信号強度を算出し、前記算出した信号強度と、警告表示のためにあらかじめ定義された信号強度の閾値との比較を行う第3のステップと、
前記分離された信号を周波数に変換し、前記周波数を前記記憶装置にあらかじめ格納された異常発生時における周波数データと比較する第4のステップと、
前記それぞれの比較により異常診断の結果を報知する第5のステップと、
を実行することを特徴とする異常診断方法。 - 前記第2のステップは、
前記センサの位置を中心に、前記求められた音源の位置と前記センサとの間の距離を半径とする球を描く処理を実行し、それぞれの球が重なり合う前記音源の座標を求めるステップと、
前記センサの位置を中心に、前記記憶装置に格納された、前記診断部位から前記センサまでの距離を半径とする球を描く処理を実行し、それぞれの球が重なり合う前記診断部位の座標を求めるサブステップと、
前記求められた音源の座標のそれぞれに対し、最も近くに位置する前記診断部位の座標を対応付けるサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の異常診断方法。 - 移動体の任意の位置に設置されたセンサを介して音源の位置を特定し、前記移動体の診断部位の異常診断を行う異常診断装置に用いられるプログラムであって、
前記センサによって計測される信号を取り込む第1の処理と、
前記取り込まれた信号の独立成分分析により分離された信号のシステム同定を行い、前記システム同定の結果生成される伝達関数の位相の遅延時間を算出し、前記遅延時間によって求められる前記音源の位置から前記センサまでの距離と、あらかじめ記憶装置に登録される前記診断部位から前記センサまでの距離との比較を行い、前記音源の位置を特定する第2の処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。 - 前記第2の処理は、
前記センサの位置を中心に、前記求められた音源の位置と前記センサとの間の距離を半径とする球を描く処理を実行し、それぞれの球が重なり合う前記音源の座標を求める処理と、
前記センサの位置を中心に、前記記憶装置に格納された、前記診断部位から前記センサまでの距離を半径とする球を描く処理を実行し、それぞれの球が重なり合う前記診断部位の座標を求める処理と、
前記求められた音源の座標のそれぞれに対し、最も近くに位置する前記診断部位の座標を対応付ける処理と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
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