JP2006206785A - 摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摩擦係数が高く(高μ)、それにもかかわらず、摩擦材の対面であるローターの摩耗量を抑制し、かつ錆落とし性を満足させる摩擦材を提供することを課題とする。
【解決手段】 繊維基材、結合材、充填材及び研削材を含有する摩擦材において、該研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを含有する摩擦材。電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μm、炭化ケイ素とアルミナの平均粒径は1〜7μmであるのが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 繊維基材、結合材、充填材及び研削材を含有する摩擦材において、該研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを含有する摩擦材。電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μm、炭化ケイ素とアルミナの平均粒径は1〜7μmであるのが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車、大型トラック、鉄道車両、各種産業用機械等のディスクパッド、ブレーキライニング等に好適に使用される摩擦材に関する。
自動車用の摩擦材、特にディスクパッドにおいては、その高性能化に伴い従来にも増して、摩擦係数をより高く保ちつつも、摩擦材の対面であるローターの摩耗量を抑制し、かつ錆落とし性を満足させる摩擦材が求められている状況であり、その性能確保のためセラミック等の研削材が使用・検討されている。
弊社の出願でもある特許文献1には、平均粒径15〜500μmのビーズ状珪酸ジルコニウム(電融ケイ酸ジルコニウム)を使用した摩擦材が開示されているが、更なる摩擦係数(μ)の改良が求められている現状がある。
研削材を複数混合する摩擦材としては特許文献2があり、低面圧時に生じる相手材(ローター)の偏摩耗を防ぐ為に、平均粒径が0.5〜5μmと10〜100μmの平均粒径の異なる2種以上のアブレーシブ材(研削材)を混合した摩擦材が開示されており、その実施例には2μmと30μmの珪酸ジルコニウム(粉砕ケイ酸ジルコニウム)を混合した摩擦材が記載されている。しかしこれではローターの摩耗量を抑制できない。
また特許文献3には安定した摩擦係数を示し、相手材(ローター)の摩耗量を減らす平均繊維径80μm以下のスチール繊維を1〜15重量%含んだ摩擦材が開示されているが、摩擦係数の高さ及び錆落とし性が不充分である。
研削材を複数混合する摩擦材としては特許文献2があり、低面圧時に生じる相手材(ローター)の偏摩耗を防ぐ為に、平均粒径が0.5〜5μmと10〜100μmの平均粒径の異なる2種以上のアブレーシブ材(研削材)を混合した摩擦材が開示されており、その実施例には2μmと30μmの珪酸ジルコニウム(粉砕ケイ酸ジルコニウム)を混合した摩擦材が記載されている。しかしこれではローターの摩耗量を抑制できない。
また特許文献3には安定した摩擦係数を示し、相手材(ローター)の摩耗量を減らす平均繊維径80μm以下のスチール繊維を1〜15重量%含んだ摩擦材が開示されているが、摩擦係数の高さ及び錆落とし性が不充分である。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、摩擦係数が高く(高μ)、それにもかかわらず、摩擦材の対面であるローターの摩耗量を抑制し、かつ錆落とし性を満足させる摩擦材を提供することを課題とする。
本発明者は上記目的を達成するため研削材につき鋭意検討したところ、研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを使用することにより摩擦係数が高く(高μ)、ローターの摩耗量を抑制し、かつ錆落とし性を満足させる良好な結果を与えることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記の摩擦材を提供する。
(1)繊維基材、結合材、充填材及び研削材を含有する摩擦材において、該研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを含有する摩擦材。
(2)該電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μmである(1)記載の摩擦材。
(3)該炭化ケイ素と該アルミナの平均粒径は1〜7μmである(1)及び(2)記載の摩擦材。
(1)繊維基材、結合材、充填材及び研削材を含有する摩擦材において、該研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを含有する摩擦材。
(2)該電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μmである(1)記載の摩擦材。
(3)該炭化ケイ素と該アルミナの平均粒径は1〜7μmである(1)及び(2)記載の摩擦材。
本発明の摩擦材は摩擦係数が高く(高μ)、それにもかかわらずローターの摩耗量を抑制し、かつ錆落とし性を満足させる良好な結果を与えるものである。
本発明は、繊維基材、結合材、充填材及び研削材を含有する摩擦材において、該研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを含有するものである。
本発明の研削材として用いる電融ケイ酸ジルコニウム(モース硬度7.5)は、通常研削材として用いられる粉砕ケイ酸ジルコニウム(原料であるジルコサンドを粉砕、除鉄、分級して製造されているので形状が不安定かつ鋭角的であり、高い摩擦係数を得ることが出来るがローターの摩耗量に問題がある)と異なり、電融法により結晶の成長を促進させることで、緻密で均一な構造を持ち球形状を保持しているもので、研削材としては比較的軟質な性質とも相まって、対面であるローターに傷を付けず錆を落とす効果が高いものである。
この電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μm、好ましくは25〜70μm、より好ましくは35〜60μmである。平均粒径が大き過ぎるとローターの摩耗量を増加させる場合があり、平均粒径が小さ過ぎると研削材としての効果が不充分となり、高い摩擦係数を実現する事が出来ない場合がある。
またその摩擦材組成物全量に対する添加量は通常0.1〜15体積%、好ましくは0.3〜2.5体積%、より好ましくは0.4〜1.2体積%である。これより多いとローターの摩耗量を増加させる場合があり、少ないと研削材としての効果が不充分となる場合がある。
この電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μm、好ましくは25〜70μm、より好ましくは35〜60μmである。平均粒径が大き過ぎるとローターの摩耗量を増加させる場合があり、平均粒径が小さ過ぎると研削材としての効果が不充分となり、高い摩擦係数を実現する事が出来ない場合がある。
またその摩擦材組成物全量に対する添加量は通常0.1〜15体積%、好ましくは0.3〜2.5体積%、より好ましくは0.4〜1.2体積%である。これより多いとローターの摩耗量を増加させる場合があり、少ないと研削材としての効果が不充分となる場合がある。
さらに本発明では研削材として、炭化ケイ素(モース硬度9.5)とアルミナ(モース硬度9)を用いる。この2つの研削材は夫々研削材としては、「非常に硬いもの」及び「硬いもの」であり、組み合わせる事により対面攻撃性とμのバランスがとりやすくなる。
この炭化ケイ素とアルミナ夫々の平均粒径は1〜7μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。夫々平均粒径が大き過ぎるとローターの摩耗量(対面攻撃性)を増加させる場合があり、平均粒径が小さ過ぎると研削材としての効果が不充分となり高い摩擦係数を実現する事が出来ない場合がある。
また炭化ケイ素、アルミナ夫々の摩擦材組成物全量に対する添加量は通常0.1〜10体積%、好ましくは0.2〜2.5体積%、より好ましくは0.3〜1.2体積%である。夫々これより多いとローターの摩耗量を増加させる場合があり、少ないと研削材としての効果が不充分となる場合がある。
この炭化ケイ素とアルミナ夫々の平均粒径は1〜7μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。夫々平均粒径が大き過ぎるとローターの摩耗量(対面攻撃性)を増加させる場合があり、平均粒径が小さ過ぎると研削材としての効果が不充分となり高い摩擦係数を実現する事が出来ない場合がある。
また炭化ケイ素、アルミナ夫々の摩擦材組成物全量に対する添加量は通常0.1〜10体積%、好ましくは0.2〜2.5体積%、より好ましくは0.3〜1.2体積%である。夫々これより多いとローターの摩耗量を増加させる場合があり、少ないと研削材としての効果が不充分となる場合がある。
繊維基材としては摩擦材に通常用いられる繊維基材が挙げられる。たとえばスチール、ステンレス、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金属繊維;チタン酸カリウム繊維、ガラス繊維、ロックウール、ウォラストナイト等の無機繊維;アラミド繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、セルロース繊維、アクリル繊維等の有機繊維;等である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。繊維基材全体の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは3〜60体積%、より好ましくは5〜40体積%である。これらは本発明の効果を維持できる範囲で、適宜添加することができる。
充填材としては摩擦材に通常用いられる充填材が使用出来、有機充填材と無機充填材に分けられる。有機充填材として、たとえばカシューダスト、タイヤリク、アクリルゴムダスト(加硫品)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。一方無機充填材としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、バーミキュライト、人造黒鉛、四三酸化鉄、硫化鉄、コークス、マイカ等の他、青銅、銅、錫、亜鉛、アルミニウム等の金属粉が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらの充填材の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは20〜80体積%、より好ましくは40〜75体積%である。
結合材としては摩擦材に通常用いられるものを使用することができる。たとえば、フェノール樹脂、アクリルゴム変性フェノール樹脂、NBRゴム変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、NBR、アクリルゴム(未加硫品)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。この結合材の添加量は摩擦材組成物全量に対して好ましくは10〜25体積%、より好ましくは12〜20体積%である。
本発明の摩擦材の製造方法は、上記成分をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合して成形金型内で予備成形し、この予備成形物を成形温度130〜180℃、成形圧力15〜49MPaで、3〜10分成形するものである。
次に、得られた成形品を150〜250℃の温度で2〜10時間熱処理(後硬化)した後、必要に応じて塗装、焼き付け、研磨処理を施して完成品が得られる。
なお自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄またはアルミ製プレート上に予備成形物を載せ、この状態で成形用金型で成形、熱処理、塗装、焼き付け、研磨することにより製造することができる。
次に、得られた成形品を150〜250℃の温度で2〜10時間熱処理(後硬化)した後、必要に応じて塗装、焼き付け、研磨処理を施して完成品が得られる。
なお自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄またはアルミ製プレート上に予備成形物を載せ、この状態で成形用金型で成形、熱処理、塗装、焼き付け、研磨することにより製造することができる。
本発明の摩擦材は、自動車用として好適なものであるが、大型トラック、鉄道車両、各種産業機械等の制動用ブレーキにも用いることが出来る。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例において、電融ケイ酸ジルコニウムは夫々(A)が平均粒径53μm、(B)が35μm、(C)が100μm、(D)が15μmであり、粉砕ケイ酸ジルコニウムは平均粒径50μmである。また炭化ケイ素は平均粒径3μm、アルミナは平均粒径5μmのものを使用した。なお平均粒径はレーザー回折粒度分布法により測定した50%粒径の数値を用いている。
表1に示す組成の摩擦材組成物をレディゲミキサーにて5分間混合し、加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で6分間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、摩擦材を作成した。
得られた摩擦材について、摩擦係数、ローターの摩耗量、錆落とし性を評価した。結果を表1に、評価基準を表2に示す。
得られた摩擦材について、摩擦係数、ローターの摩耗量、錆落とし性を評価した。結果を表1に、評価基準を表2に示す。
Claims (3)
- 繊維基材、結合材、充填材及び研削材を含有する摩擦材において、該研削材として少なくとも電融ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、及びアルミナを含有する摩擦材。
- 該電融ケイ酸ジルコニウムの平均粒径は10〜120μmである請求項1記載の摩擦材。
- 該炭化ケイ素と該アルミナの平均粒径は1〜7μmである請求項1及び2記載の摩擦材。
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---|---|---|---|---|
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