JP2006206702A - 潤滑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 澗滑剤の拡散流出を抑制し、未嵌合状態で長期間放置される電気接点部に金及び金合金表面を備えたコネクタの接点部の澗滑性を維持することが可能である潤滑剤を提供すること。
【解決手段】 潤滑剤は、R−OO−C(CH−C−OO−R(但し、Rは直鎖アルキル基または分枝アルキル基、nは1以上の整数)にて表されるジエステルの基油に、炭素数8以上のアルキルチオールを添加したものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コネクタのコンタクト(電気接点)の摺動部分に用いられる潤滑剤に関し、詳しくは、金及び金合金により形成された電気接点、または金及び金めっきを施された電気接点の摩擦摩耗を低減させる潤滑剤に関する。
従来、コネクタにおいて、金及び金合金は電気伝導性や耐環境性に優れるため、電気接触子に多く使用される。しかし、金は凝着を生じやすい金属であり、大きな摩擦力が生じる。この結果、挿入力・抜去力が大きくなり、抜き差ししにくいコネクタになる。
多くの場合は、コネクタのコンタクト形状等デザインによって、この挿抜力の大きくなるという問題を解決している。
しかし、コネクタの大きさ、コスト等の様々な制約があり、コネクタのデザインだけでは不十分である場合が生じる。
従来、コネクタの使用方法の一つとして、後からの製品機能拡張のために装備される場合がある。このようなコネクタは、それほど挿抜(抜き差し)を行わず、しかも未嵌合状態で放置されることが多い。このような状況では、それほど抜き差しが多くなく、金の摩耗を考慮する必要がないコネクタであっても、接点部分に潤滑剤を塗布する必要が生じる。
特にコネクタが多芯数化されると、1芯あたりの挿抜力は小さくてもコネクタとしての挿抜力は大きくなる。
また、前述したように、コネクタのような摺動が生じる電気接点には、金及び金合金等が用いられる。このようなコネクタの電気接点の澗滑剤には挿抜力の低滅や摩耗の抑制のためオイルが一般的に用いられている。
オイルは流動性があり、接点部分にオイルを長期間残存させるためには、オイルの動粘度を高くしておくことが有効であった。
しかし、オイルの動粘度を高くすると、接点部への塗布が難しくなること、べたつきが大きく、接点部にほこりやゴミなどが堆積しやすくなる等の問題があった。
因みに、頻繁に挿抜を行うコネクタや接触力が大きいコネクタでは、ほこりやゴミが問題になることはほとんどないが、上述した未嵌合で放置されるものや接触力が小さいものでは、電気的接触が不安定になる問題があり、オイルを塗布しないという選択を行う場合もあった。単純にオイル粘度を低くしてしまうと、接点部分からオイルが拡散・流出してしまい、全く澗滑効果が得られなくなる問題が生じてしまう。
しかし、コネクタの多芯数化にともない、挿抜力を低減したいという要求も強く、低粘度で接点部に長期間残存する澗滑剤が望まれていた。
また、潤滑剤の拡散・流出を抑制する方法としては、動粘度を上げるほかにもいくつかある。
その1つは、潤滑剤の塗布表面以外の表面部分を基油よりも表面張力が小さい物質や撥油する物質、例えば、フッ素系化合物などでコーティングしておく方法である。もう1つは基油に拡散防止剤を添加する方法がある。
そのような、拡散防止剤としては、特許文献1のようにパーフルオロカーボン酸を用いて潤滑油を自己疎液性として拡散を防ぐものがある。
また、原理としては明確ではないが、特許文献2のようにグリースにフッ素系界面活性剤を添加するものや、特許文献3ではステアリン酸或いはアクリル酸のフルオルアルキルエステルの重合物を添加しているものなどが、提案されている。
さらに、拡散防止剤としては、特許文献4や特許文献5にも示されているが、いずれもフッ素系化合物である。
ところで、精密機械油や時計油では、古くから、精製油にエステル類が添加され、界面で加水分解したエステル類が脂肪酸の疎油性吸着膜を作り、油膜が広がらないようにしている(例えば、非特許文献1、参照)。
しかしながら、1つ目のあらかじめ電気接点をコーティングする方法は作業が煩雑になり、生産性が落ちるという問題がある。
また、2つ目の添加剤を加える方法は塗布の作業方法がほとんど変わらず有利である。しかし、フッ素系の化合物はジエステルや鉱物油などを強く撥油する可能性があり、グリースや粘度の高いオイルでは有効と思われるが、ジエステルのような低粘度のオイル場合、拡散を防止する以上に、接点部からオイルを完全に弾いてしまうことがある。さらに、フッ素系化合物は高価であり、製品のコストを上昇させるという問題もある。
また、基油にジエステルを用いた場合に、エステル類の添加では上述した結果を得ることは出来ない。仮に基油を精製油としても、金及び金合金表面では脂肪酸が疎水性吸着膜を作らないため拡散・流出を抑制する効果がない。
長期に渡って時計用の摺動部の潤滑性能を保持する目的で、チオール化合物による処理方法が特許文献6に示されているが、この方法は確かに効果が認められるが、このような固定皮膜は摺動により破壊され、効果が低下するという問題がある。
したがって、潤滑剤においては、具体的には、次の項目が要求事項として挙げられる。
まず、接触子の摺動における挿入時および抜去時の挿入力・抜去力の低滅化を図ることができること。
次に、多数回挿抜に耐える必要はないが、長期間未嵌合で放置されても、接点部分から潤滑剤が拡散・流出しないこと。つまりたまに抜き差しが行われる時、確実に澗滑効果が得られること。
さらに、未嵌合状態では、ほこりやゴミが堆積しやすいので、ほこりやゴミが付着・堆積しにくいこと。または容易に除去されること。等である。
特公昭56−23478号公報 特公平4−46999号公報 特公昭49−34446号公報 特開平10−140173号公報 特開平11−335689号公報 特開平10−26671号公報 小西、上田共著、「潤滑油の基礎と応用」、コロナ社
そこで、本発明の一技術的課題は、澗滑剤の拡散流出を抑制し、未嵌合状態で長期間放置される電気接点部に金及び金合金表面を備えたコネクタの接点部の澗滑性を維持することが可能である潤滑剤を提供することにある。
また、本発明のもう一つの技術的課題は、接点部分でのべたつきを抑え、ほこりやゴミの付着・堆積を軽減することができる材料を用いた潤滑剤を提供することにある。
また、本発明のさらにもう一つの技術的課題は、荷重0.2N程度の低接触力のコネクタでも安定した接触抵抗が達成できる潤滑剤を提供することにある。
さらに、本発明の別の技術的課題は、金及び金合金に対して、フッ化化合物に比べて安価であり製品のコスト上昇を抑えられ、同等以上の性能が得られる潤滑剤を提供することにある。
本発明によれば、下記化1式にて表されるジエステルの基油に、炭素数8以上のアルキルチオールを添加したことを特徴とする潤滑剤が得られる。
また、本発明によれば、前記潤滑剤において、前記基油1Lに対し、炭素数8以上のアルキルチオールを含む添加量10〜1000mmolの添加剤を添加したことを特徴とする潤滑剤が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの潤滑剤によって金、金合金、又は金含有めっき材からなる接点材の表面の処理に用いられることを特徴とすると潤滑剤が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの潤滑剤を用いて電気接点を処理することを特徴とする電気接点の潤滑処理方法が得られる。
また、本発明によれば、少なくとも金を含む電気接点の表面に炭素数8以上のアルキルチオールを含む吸着被膜と、前記被膜上に分散した下記化2式で示されるジエステルとを備えていることを特徴とする潤滑剤付コネクタ接触子が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つの澗滑剤で処理してなることを特徴とする潤滑剤付コネクタ接触子が得られる。
さらに、本発明によれば、前記いずれか一つのコネクタ接触子を備えていることを特徴とする電気コネクタが得られる。
さらに、本発明によれば、前記いずれか一つの澗滑剤で処理してなることを特徴とするコネクタ接触子(コンタクト)が得られる。
本発明によれば、低粘度故の拡散・流出の抑制のために、炭素数8以上のアルキルチオールを基油ILに対して10〜1000mmolを添加すると、アルキルチオールは金及び金合金表面に対して化学吸着を生じ、その結果、金及び金合金の表面エネルギーが低下するので、このため基油のジエステルは、金及び金合金表面に微小液滴状になって分散し、濡れ広がることが出来なくなり、その結果、塗布した表面上から拡散・流出することなく、長期間にわたって澗滑剤が保持され、澗滑効果を維持することができる。したがって、本発明によれば、潤滑剤の拡散流出を抑制し、未嵌合状態で長期間放置される電気接点部に金及び金合金表面を備えたコネクタの接点部の澗滑性を維持することが可能である潤滑剤を提供することができる。
また、本発明によれば、基油に低粘度であるジエステルを用いることで、接点部分でのべたつきを抑え、ほこりやゴミの付着・堆積を軽減することができる潤滑剤を提供することができる。
また、本発明によれば、荷重0.2N程度の低接触力のコネクタでも安定した接触抵抗が達成できる潤滑剤を提供することができる。
また、本発明によれば、アルキルチオールは、フッ素化合物のように完全に撥油しないため、ジエステルは、微小液滴になって塗布表面に存在させられる。アルキルチオールの添加はフッ素系界面活性剤などのフッ素化合物にくらべて安価であり製品のコスト上昇を抑えられ、同等以上の性能が得られる潤滑剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
図1は本発明の実施の形態による潤滑剤の荷重抵抗(W−R)測定結果を示す図である。図1を参照すると、本発明の実施の形態による潤滑剤(例1)を塗布しても、未塗布(比較例)のものととほとんど接触抵抗は変わらないことがわかる。
図2(a)は、本発明の実施の形態による潤滑剤(例1)のオイル塗布直後の様子を金属顕微鏡で撮影した写真である(倍率は200倍)。図2(b)は比較例(比較例1)によるオイル塗布直後の様子を金属顕微鏡で撮影した写真である(倍率は200倍)。図3(a)は本発明の実施の形態による潤滑剤(例1)のオイル塗布後1年経過した様子を金属顕微鏡で撮影した写真である(倍率は200倍)。図3(b)は比較例(比較例1)によるオイル塗布後1年経過した様子を金属顕微鏡で撮影した写真である(倍率は200倍)。
図2(a)を参照すると、本発明の実施の形態による潤滑剤は、直径が数μmから50μmの微小油滴が分散していることがわかる。一方、図2(b)を参照すると、比較例によるものは、全面に潤滑剤が濡れ広がっていることがわかる。
図3(a)を参照すると、本発明の実施の形態による潤滑剤は、1年後も塗布直後と同様に微小油滴が分散していることがわかる。このため、上記表1に示したように潤滑効果が維持しているといえる。これに対して、図3(b)を参照すると、比較例では、塗布したオイルは拡散・流出し、全く残っていないことがわかる。
本発明の潤滑剤についてさらに、詳しく説明する。
本発明の潤滑剤が用いられる基材は、コネクタの接触子(コンタクト)等の電気接触子であり、通常、銅、銅合金、鉄、鉄合金等の材料の最表面に金あるいは金合金をめっき方法、もしくは、クラッド、蒸着等で施したものである。また、中間層としてニッケルあるいはニッケル合金を施す場合も多い。これら電気接触子のうち、特にコネクタのような摺動が生じる電気接点に関するものである。更に言うと、本発明は未嵌合状態で長期間放置されるコネクタの挿入抜去力の低減を実現する。
本発明による潤滑剤では、基油としてジエステルを用い、基油の拡散・流失の抑制を目的として、基油1L当り炭素数8以上のアルキルチオールを含む添加剤を10〜1000mmolを添加する。ここで、本発明において、基油としてジエステルを用いる理由は、低粘度品が得られやすく、同一粘度の鉱物油に比べて揮発性が極めて低いためである。このような低粘度の基油を選択した理由はべたつかず、ほこりやゴミが付着・堆積しにくく、付着した場合も除去しやすいためである。このジエステルは2塩基酸と2つの一価アルコールが縮合して生じたものであれば、特に種類には限定されないが、使用温度で動粘度が50mm/s以下が望ましい。例として、アジピン酸イソデシル、アジピン酸2一エチチルヘキシル、アゼライン酸2−エチルヘキシル、セバシン酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
また、本発明において、基油の拡散防止を目的に添加されるアルキルチオールは炭素数を8以上としている。その理由は、炭素数が8より小さいと、揮発性が大きくなり性能が維持できなくなり、臭気も強く作業性が良くない。また、基油の拡散防止能力も低い。
また、本発明において、添加量を基油1L当たり、10〜1000mmolとしたのは、10mmolより小さい場合、アルキルチオールの金及び金合金に対する吸着が不足し、基油の拡散防止効果が小さくなる。1000mmolよりも大きくなると、基油の拡散防止効果は問題ないが、基油に溶解させにくく溶け残りが生じるとコンタクトの電気的接触が不安定になる可能性が生じるためである。
また、本発明に用いられる炭素数8以上のアルキルチオールとしては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンなどが上げられる。このアルキルチオールで表面処理することによって、金又は金合金、もしくは、金めっきを含むコネクタ接触子の表面に、吸着被膜を形成し、これによって、表面エネルギーを低下させることで、ジエステルを表面に凝縮した状態で残し、拡散して流失することを防ぐものである。
なお、これらアルキルチオールの添加は基油単体で澗滑剤として使用するよりも、金及び金合金表面の摩擦係数が低減するという副次的効果も得られる。
それでは、本発明の具体例について説明する。
(例1)
例1に係る潤滑剤組成として、アゼライン酸2−エチルヘキシル:1L,n−オクタデシルメルカプタン:100mmol(28.7g)、基油の動粘度17mm/s(25℃)を用意した。
(例2)
例2に係る潤滑剤組成としてセバシン酸2−エチルヘキシル:1L、n−ドデシルメルカプタン:1000mmo1(207.9g)、基油の動粘度19mm/s(25℃)を用意した。
(例3)
例3に係る潤滑剤組成として、アジピン酸2−エチルヘキシル:1L,n−オクチルメルカプタン:10mmol(15g),基油の動粘度12mm/s(25℃)を用意した。
(比較例1)
比較例1として、添加剤を添加しないものを用いた。
比較例1に係る潤滑剤組成として、アゼライン酸2−エチルヘキシル:1L、基油の動粘度17mm/sを用意した。
(比較例2)
比較例2として、添加剤の量が少ないものを用いた。
比較例2に係る潤滑剤組成として、アゼライン酸2−エチルヘキシル:1L,n−オクタデシルメルカプタン:1mmol(0.29g)、基油の動粘度17mm/sを用意した。
(比較例3)
比較例3として添加剤の量が多いものを用いた。
潤滑剤組成として、アゼライン酸2−エチルヘキシル:1L、n−オクタデシルメルカプタン:2000mmol(573.1g)、基油の動粘度17mm/sを用意した。
(比較例4)
比較例4として、潤滑剤未塗布のものを用いた。
(潤滑剤の評価)
本発明の例1乃至3と比較例1乃至4のそれぞれの潤滑剤試料を用いて、摩擦摩耗試験を行い夫々の潤滑剤の評価を次のように行った。
図4は潤滑剤の評価方法の説明に供せられる図である。図4を参照すると、サンプルとして、U字型テストピースの一方(上部)を固定側試料1として、矢印3に示すように荷重を印加し、他方を固定側試料1に矢印4に示すように90度交差して接触しながら摺動する可動側試料2として評価した。
テストピースの材質は、ばね用りん青銅で下地ニッケルめっきを3μm、コバルト硬質金めっきを0.25μm施した。
上記例1,2及び3、比較例1から3の潤滑剤をそれぞれ有機溶剤(n−プロピルブロマイド)に3容量%の濃度に希釈し、可動側試料にのみ浸せき処理により潤滑剤を塗布した。比較例4はコバルト硬質金めっきを施した後そのまま試験に用い、潤滑剤の塗布は行わない。
(イ)摩擦摩耗試験条件は次の通りである。
摺動距離:往復3mm、摺動スピード:1.0mm/s、接触荷重:0.98N、試験温度:25℃、実施例及び比較例双方とも、(i)サンプル製作直後の摩擦摩耗試験、(ii)サンプル製作後1年間放置した後の摩擦摩耗試験の2点について試験を行った。評価は摺動1回目の動摩擦係数(μ)と摺動10回目の動摩擦係数(μ)によって行った。
潤滑剤の塗布状態に関しては、金属顕微鏡の観察によって行った。
また電気的接触を確認するために摺動中の接触抵抗の測定を4端子法によって実施した。
(ロ)接触抵抗測定条件は次の通りである。
開放電圧20mV、測定電流10mA(4端子法)
潤滑剤塗布による接触抵抗への影響を調査するために、例1と比較例4(未塗布)の荷重抵抗(W−R)特性を測定した。
図4と同様のサンプル構成で、摺動は行わずに荷重を変化させた。
(ハ)W−R測定条件は次の通りである。
荷重0.05〜2N、開放電圧20mV、測定電流10mA(4端子法)
下記表1に夫々の評価試験の結果を示す。なお、表1中において、μは動摩擦係数であり、数値が小さいほど低い摩擦力(コネクタで言うと挿入力、抜去力)が達成できることを表す。接触抵抗の結果は、○が5mΩ以下の安定した接触抵抗が得られたことを示す。△が5〜10mΩとやや高めで不安定な状態、×は10mΩ以上でかなり問題がある状態である。
上記表1における接触抵抗の評価の荷重を0.98Nに設定しているが、この場合、○のみを使用可能と判断している。ここで、例1から例3では塗布直後及び1年経過後のどちらとも低いμが達成されていることがわかる。長期間放置した後も安定した挿入力・抜去力が得られるといえる。接触抵抗も低く安定している。
比較例1の塗布直後では、添加剤を添加した場合に比べてμは高めであるが、比較例4(未塗布)に比べてμは低減している。このように潤滑剤の塗布効果が確認できるが、1年後には未塗布のものとほとんど同じになってしまう。1年後には潤滑効果が失われてしまったといえる。比較例1と比較例4は1年後の接触抵抗が若干高<不安定になる。これは大気中の腐食性ガスによる金表面の汚染や下地金属(Niなど)の腐食物の影響によるものである。
比較例2は添加剤の量が少ない場合であるが、1年後には潤滑効果が失われていることがわかる。
比較例3は添加剤が過剰の場合である。潤滑効果は問題がないが、接触抵抗が不安定である。これは溶け残ったアルキルチオールが固形分として潤滑剤中に分散して、電気的接触を妨げるためである。
図2(a)を再び参照すると、本発明例1の試料においては、直径が数μmから50μmの丸い形状の微小油滴が分散しており、図2(b)を参照すると、比較例1によるオイル塗布直後においては、全面に潤滑剤が濡れ広がっていることがわかる。
図3(a)を参照すると、本発明による潤滑剤(例1)のオイル塗布後1年経過した時にも、塗布直後と同様に丸い形状の微小油滴が分散していることがわかる。このため、上記表1に示したように潤滑効果が維持しているといえる。これに対して、図3(b)を参照すると、比較例1では、塗布したオイルは拡散・流出し、全く残っていないことがわかる。
さらに、前述した図1を参照すると、W−R測定結果をにおいては、本発明の潤滑剤である実施例1を塗布しても、比較例4(未塗布)とほとんど接触抵抗は変わらないことがわかる。
以上説明したように、本発明に係る潤滑剤は、コネクタの電気接点の摩耗を防ぐ潤滑剤に適用することができる。
本発明の実施の形態による潤滑剤の荷重抵抗(W−R)の測定結果を示す図である。 (a)は本発明の実施の形態による潤滑剤のオイル塗布直後の様子を金属顕微鏡で撮影した写真(倍率は200倍)、(b)は比較例によるオイル塗布直後の様子を金属顕微鏡で撮影した写真である(倍率は200倍)。 (a)は本発明の実施の形態による潤滑剤(例1)のオイル塗布後1年経過した様子を金属顕微鏡で撮影した写真(倍率は200倍)、(b)は比較例によるオイル塗布後1年経過した様子を金属顕微鏡で撮影した写真である(倍率は200倍)。 潤滑剤の評価方法の説明に供せられる図である。
符号の説明
1 固定側試料
2 可動側試料
3 荷重の方向を示す矢印
4 摺動方向を示す矢印

Claims (7)

  1. 下記化1式にて表されるジエステルの基油に、炭素数8以上のアルキルチオールを添加したことを特徴とする潤滑剤。
  2. 請求項1に記載の潤滑剤において、前記基油1Lに対し、炭素数8以上のアルキルチオールを含む添加量10〜1000mmolの添加剤を添加したことを特徴とする潤滑剤。
  3. 請求項1又は2に記載の潤滑剤によって金、金合金、又は金含有めっき材からなる接点材の表面の処理に用いられることを特徴とすると潤滑剤。
  4. 請求項1乃至3の内のいずれか一つに記載の潤滑剤を用いて電気接点を処理することを特徴とする電気接点の潤滑処理方法。
  5. 少なくとも金を含む電気接点の表面に炭素数8以上のアルキルチオールを含む吸着被膜と、前記被膜上に分散した下記化2式で示されるジエステルとを備えていることを特徴とする潤滑剤付コネクタ接触子。
  6. 請求項1乃至3の内のいずれか一つに記載の澗滑剤で処理してなることを特徴とする潤滑剤付コネクタ接触子。
  7. 請求項5又は6に記載の潤滑剤付コネクタ接触子を備えていることを特徴とする電気コネクタ。
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