JP2006198239A - 体腔内超音波診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明では、超音波振動子が体腔内壁に接触しているのか否かという超音波振動子の状態に関する情報を検知することを目的とする。
【解決手段】 超音波を送受信する静電容量型超音波振動子が設けられた超音波内視鏡スコープと、
前記静電容量型超音波振動子の状態を判別する振動子状態判別手段と、前記静電容量型超音波振動子により感知された感知情報から、前記振動子状態判別手段により判別された前記状態に応じた超音波診断画像を構築する画像構築手段と、を備える体腔内超音波診断システムを提供することにより、上記課題の解決を図る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電容量型超音波振動子を搭載した超音波内視鏡スコープを備える体腔内超音波診断システムに関する。
体腔内壁に向けて超音波を照射し、そのエコー信号から体内の状態を画像化して診断する超音波診断法が普及している。この超音波診断法に用いられる機材の1つに超音波内視鏡スコープがある。超音波内視鏡スコープは、体腔内へ挿入する挿入部の先端に超音波振動子(超音波トランスデューサ)が取り付けてあり、このトランスデューサは電気信号を超音波に変換し体腔内へ照射したり、また体腔内で反射した超音波を受信して電気信号に変換したりするものである。
従来、超音波トランスデューサでは、電気信号を超音波に変換させる圧電素子として、セラミック圧電材PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)が使用されてきたが、シリコンマイクロマシーニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工した静電容量型超音波トランスデューサ(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer(以下、c−MUTと称する))が注目を集めている。これは、マイクロマシン(MEMS:Micro Electro−Mechanical System 、超小型電気的・機械的複合体)と総称される素子の1つである。
MEMS素子は、シリコン基板、ガラス基板等の基板上に微細構造体として形成されており、機械的駆動力を出力する駆動体と、駆動体を駆動する駆動機構と、駆動機構を制御する半導体集積回路等とを電気的に、更には機械的に結合させた素子である。MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間のクーロン引力などを応用して電気的に行われる。
さて、非特許文献1では、図14に示すようなc−MUTが開示されている。図14(a)は64個のエレメントからなる1次元c−MUTアレイの2セットの上面を示しており、図14(b)はダミーネイバーを設けた単離された1個のc−MUTエレメントを示しており、図14(c)は並列に接続された8X160個のセルで構成されたc−MUTエレメントの拡大図を示す。
c−MUTエレメント500は、複数のセル501、各セルの上部に設けられた上部電極502、接地電極502、電極503、ダミーネイバー(Dummy Neighbor)505、溝(トレンチ)506から構成されている。上部電極502間も導通して、両端の電極502,503に接続されている。ダミーネイバー505は、隣接するエレメントとのクロストークを防止するためのものである。電極502,503とダミーネイバーの間には、溝506が設けてある。
上部電極は、メンブレンにより支持されている。また、不図示ではあるが、上部電極502と対向する位置でセル内部に下部電極が設けられ、下部電極とメンブレン間には空隙部(キャビティ)がある。
エレメントの上部電極及び下部電極に電圧を印加すると、各セルが同時に駆動して、同位相で一斉に振動する。これにより、超音波が放射される。
特許文献1では、上記のエレメント500を用いて、シリコン基板のLamb波(A0モード)及び固相−液相界面を伝達するStoneley波(境界波)がエレメント間のクロストークに重大な影響を与えることを見出している。
しかしながら、上述の通り、非特許文献1では、振動子エレメントの両端に溝を設けることにより、エレメント間のクロストークを抑止している。しかしながら、このような溝を設けることにより、図15に示すような問題が生じる。
図15は、図14のc−MUTを用いて超音波を発生させた場合にメンブレン510に生じる振動波を示している。同図は、図14のエレメントの断面図である。エレメント500のように、両端に溝506を設けてはっきりとした端部511を有すると、この端部511を節とした定在波512が生じることになる。
すなわち、定在波は一対の隔てた壁の間に、その距離と、その距離を埋めた材質(図15ではシリコン)の音速で決まる周波数をもって発生する。一対の隣あった溝を考える場合、まず、メンブレン上に励起された振動波はラム波やストンレイ波としてメンブレン面に沿って伝達し、左側の溝の右側の壁と右側の溝の左側の壁との間を振動波である超音波が多重反射して、横波定在波となりうる。横波定在波は距離Lが1/2λになる周波数成分を持つ基底とし、その高次定在波が重なる振動波となる。したがって、この様な一対の壁があることによって定在波が発生することになる。そして、この定在波512は、超音波の送受におけるノイズ成分と成り得る。
Xuecheng Jin,外3名、「Characterization of One−Dimensional Capacitive Micromachined Ultrasonic Immersion Transducer Arrays」,"IEEE TRANSACTIONS ON ULTRASONICS,FERROELECTRICS,AND FREQUENCY CONTROL",VOL.48,NO.3,P750−760,MAY 2001 A.G.Bashford,外2名、「Micromachined Ultrasonic Capacitance Transducers for Immersion Applications」,"IEEE Transaction ON Ultrasonics,Ferroelectrics,AND Frequency Control",Vol.45,No.2,March(1996),P367−P375
ところで、従来の圧電振動子は、空気中で動作させると、破壊したり急激な特性劣化を起こすことがあり、空中動作は避けられていた。そのため、従来超音波内視鏡スコープは、体腔内壁に接触させた状態でしか動作させることができなかった。また、同様に、空中で超音波を放射することができないため、振動子のみに由来するノイズ信号を検知することができなかった。
また、従来においては、生体と空気とでは、音響インピーダンスに大きな差があったために、体腔内壁に接触させるタイプの圧電振動子と同じ構造で、空中音波を検出することは不可能であった。
このようなことから、従来、超音波振動子が体腔内壁に接触しているのか否かという超音波振動子の状態に関する情報を検知する必要がなかった。
しかしながら、超音波振動子が体腔内壁に非接触の状態で超音波の送受信が可能(以下、空中超音波という)となる超音波振動子を用いた場合、超音波振動子が体腔内壁に接触しているのか否かという超音波振動子の状態に関する情報を検知する必要が必要になる。
そこで、本発明では、超音波振動子が体腔内壁に接触しているのか否かという超音波振動子の状態に関する情報を検知することを目的とする。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明によれば、超音波を送受信する静電容量型超音波振動子が設けられた超音波内視鏡スコープと、前記静電容量型超音波振動子の状態を判別する振動子状態判別手段と、前記静電容量型超音波振動子により感知された感知情報から、前記振動子状態判別手段により判別された前記状態に応じた超音波診断画像を構築する画像構築手段と、を備えることを特徴とする体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項2に記載の発明によれば、前記振動子状態判別手段は、前記静電容量型超音波振動子が、体外、及び体腔内の内壁に到達するまでの体腔内移動中の状態、及び目標診断部位へ到達した状態のうちいずれかの状態であることを検知する状態検知手段と、前記状態検知手段から得られた検知情報に基づいて、前記状態を判別する検知情報判別手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項3に記載の発明によれば、前記体腔内超音波診断システムは、さらに、前記感知情報を記憶する記憶手段と、前記振動子状態判別手段による判別結果に基づいて、該判別結果に対応した前記記憶手段に、前記感知情報を記憶させる記憶制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項4に記載の発明によれば、前記状態検知手段は、前記静電容量型超音波振動子の略近傍に設けた光センサであり、前記検知情報判別手段は、前記光センサの出力に基づいて、前記静電容量型超音波振動子が体外、体腔内であるが体腔内壁に非接触、及び体腔内壁に接触のうちいずれかの状態であるかを判別することを特徴とする請求項2に記載の体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項5に記載の発明によれば、前記状態検知手段は、前記静電容量型超音波振動子の略近傍に設けた圧力センサであり、前記検知情報判別手段は、前記圧力センサの出力に基づいて、前記静電容量型超音波振動子が体腔内であるが体腔内壁に非接触、及び体腔内壁に接触のうちいずれかの状態であるかを判別することを特徴とする請求項2に記載の体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項6に記載の発明によれば、前記状態検知手段は、前記感知情報を表している電気信号の周波数に対応した前記検知情報を生成し、前記検知情報判別手段は、前記状態検知情報に基づいて、前記静電容量型超音波振動子が体外、体腔内であるが体腔内壁に非接触、及び体腔内壁に接触のうちいずれかの状態であるかを判別することを特徴とする請求項2に記載の体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
上記課題は、特許請求の範囲の請求項7に記載の発明によれば、前記状態検知手段は、前記電気信号の周波数が所定の閾値以下の場合には、該電気信号を通過させるフィルタ回路であることを特徴とする請求項6に記載の体腔内超音波診断システムを提供することによって達成できる。
本発明を用いることにより、超音波振動子が体腔内壁に対して接触及び非接触の両方の状態で、超音波の送受信が可能であり、かつ、この状態を検知することにより、それぞれの状態で受信した超音波の受信信号を対応したチャンネルに伝送することができる。
<第1の実施形態>
本実施形態では、ラジアル走査タイプの静電容量型超音波振動子を用いて、従来のような接触固定して断層像を得ることが出来るのに加え、非接触診断が可能になる体腔内超音波診断システムについて説明する。
図1は、本実施形態における体腔内超音波診断システムの概要を示す。図1において、体腔内超音波診断システム1は、超音波内視鏡スコープ部2、信号処理部3、画像処理部200、表示部4から構成される。なお、図1には受信信号系のみ記載されているが、送信信号系は図から省略している。
超音波内視鏡スコープ2には、静電容量型超音波振動子2−1がその先端部に搭載されている。静電容量型超音波振動子2−1の主な機能としては、まず超音波内視鏡スコープ2の先端部を体腔内に挿入して静電容量型超音波振動子2−1から超音波を送信し、体腔内で反射した超音波を静電容量型超音波振動子2−1が受信して、その受信した超音波を電気信号に変換する。
信号処理部3は、超音波内視鏡スコープ2により得られた電気信号を解析して、演算を行う。信号処理部3は、記憶制御手段3−1、記憶手段3−2、演算手段3−3、振動子状態判別手段3−5から構成される。
振動子状態判別手段3−5は、例えば、静電容量型超音波振動子2−1が体外なのか体腔内で体腔内壁に非接触か、または体腔内壁に接しているのか等の静電容量型超音波振動子の状態を判別するものである。振動子状態判別手段3−5は、状態検知手段3−5aと、検知情報判別手段3−5bから構成される。状態検知手段3−5aは、静電容量型超音波振動子2−1の状態を検知するためのものである。検知情報判別手段3−5bは、状態検知手段3−5aが検知した情報に基づいて、静電容量型超音波振動子2−1の状態を判別するためのものである。なお、振動子状態判別手段3−5は、その判別方法によっては、超音波内視鏡スコープ2に含まれていてもよいし、信号処理部3に含まれていてもよいし、その両方に渡って含まれていてもよい。
記憶手段3−2は、静電容量型超音波振動子2−1が感知した感知情報(受信した反射波、定在波等)を記憶するためのものである。記憶手段3−2は複数存在する。なお、記憶手段は、物理的に複数存在してもよいし、論理的に複数の領域(1つの記憶装置内で記憶領域を論理的に複数確保し、各記憶領域を記憶手段とする)として存在してもよい。
記憶制御手段3−1は、振動子状態判別手段3−5の判別結果に基づいて、静電容量型超音波振動子2−1が感知した感知情報を、判別結果に対応する記憶手段3−2に記憶させるためのものである。
演算手段は、各記憶手段3−2に記憶された感知情報に基づいて、演算(差分、相関関す)を行うためのものである。演算の組み合わせは複数存在し、個々の目的に応じて、演算を行うことができる。
画像処理部200は、画像構築手段200−1から構成されている。画像構築手段200−1は、演算手段3−3で演算された結果に基づいて、演算された信号から超音波診断画像(例えば、体腔内壁の輪郭画像、生体組織断層画像、またはこれらを組み合わせた画像等)を構築するものである。
表示手段4は、画像処理部200で生成された超音波診断画像を表示するためのものであり、例えばモニタ(ディスプレイ)4−1がある。なお、表示手段は、ディスプレイに限定されず、プリンタ等の出力機器であってもよい。
図2は、本実施形態における超音波内視鏡スコープ2の外観構成を示す。超音波内視鏡スコープ2は、細長の挿入部5の基端に操作部9を備えて、一端にスコープコネクタ11を有する。この操作部9の側部からは、図示しない光源装置に接続されるユニバーサルコード10が延出している。さらに、スコープコネクタ11は信号処理部3に接続される。
挿入部5は、先端側から順に先端部に搭載された静電容量型ラジアルセクタ走査アレイ超音波振動子6、湾曲自在な湾曲部7、可撓性を有する可撓管部8を連設して構成されている。操作部9には湾曲操作ノブ9aが設けられており、この湾曲操作ノブ9aを操作することによって湾曲部7を湾曲させられるようになっている。また、先端部には、不図示の観察部位に照明光を照射する照明光学部を構成する照明レンズカバー、観察部位の光学像を捉える観察光学部を構成する観察用レンズカバー、及び処置具が突出する開口である鉗子出口等が設けられている。
図3は、図2の超音波内視鏡スコープ2の先端部に搭載された静電容量型ラジアルセクタ走査アレイ超音波振動子6(以下、超音波振動子または振動子という)の構成概念図を示す。超音波振動子6は、2次元アレイ振動子20、送受信回路21、及び同軸ケーブルバンドル22から構成される。2次元アレイ振動子20は、複数の振動子エレメントを配列したものである。同軸ケーブルバンドル22は、各振動子エレメントに接続された複数のケーブルを束にしたものであり、挿入部5の内部にある。送受信回路21は、振動子エレメントと送受される信号を制御するためのものである。すなわち、送受信回路21は、超音波振動子6から放射される合成超音波ビームの走査を制御し、円筒の周に沿った走査25(ラジアル走査超音波ビーム)だけでなく、1つのエレメントの中(円筒長軸方向に)でのセクタ走査24(超音波セクタ走査面)を行うことができる。これにより3次元の超音波画像を構築することができる。
図4は、本実施形態における2次元アレイ振動子20の断面斜視図を示す。2次元アレイ振動子20は、複数の振動子エレメント33から構成される振動子ユニット32、制御回路ユニット34、配線用FPC(フレキシブルプリント基板)31から構成される。
複数の長方形状の振動子ユニット32は円周方向に等間隔に配列し、それが円筒形をなしている。また、制御回路ユニット34は、振動子ユニット32の背面(円筒形の内側)に設けられており、振動子ユニット32へ電気信号を送受するのを制御するためのものである。なお、振動子ユニット32の形状は長方形に限定されない。
図5は、本実施形態における振動子ユニット32単体の上面図を示す。振動子ユニット32は、複数の正方形状の振動子エレメント33から構成されている。同図では、振動子ユニット32は振動子エレメント33を複数一次元に配列して構成されている。隣接する振動子ユニット間には振動子ユニット配列方向に垂直に溝47が設けられている。また、各振動子ユニット内において隣接する振動子エレメント間には振動子エレメント間溝46が設けられている。なお、振動子エレメントの形状は、正方形に限定されない。
図6は、本実施形態における振動子エレメント33単体の上面図を示す。振動子エレメント33は、振動子ユニット配列方向に垂直な溝47、振動子エレメント間溝46、振動子セル電極間インターコネクト電極40,48,49、上部電極41、犠牲層剤除去孔43、下部電極スルーホール電極部44から構成される。上部電極41の背面(図面に対して垂直方向の奥側)には、キャビティが形成されており、それをキャビティ周縁部42として表している。
振動子エレメント33は、複数の振動子セルから構成されており、振動子セルはキャビティの個数に等しく、同図では4つの振動子セルから構成される。また、45はダイシングするためのダイシングラインを示している。
図7は、図6のAa−Abについての断面図である。50で示される構成単位を振動子セルという。メンブレンとは振動子セル50上部を覆っている膜のことであり、図7では上部電極41、メンブレン上層54、メンブレン下層52で構成される。このメンブレンは、各振動子セル50の両端のメンブレン支持部58で固定された振動膜である。メンブレン支持部58間におけるシリコン基板61の表面(凹部の底部分)に、上部電極41と対向するように下部電極63が構成され、その上に誘電体膜57(例えば、SiO2,Si34,Ta25,SrTiO3,BaTiO3,ALN等の薄膜)が形成されている。
下部電極63には、下部電極63とシリコン基板61の底面に設けられた信号入出力端子電極パッド56とを電気的に導通させるための下部電極スルーホール電極部44が設けられている。具体的には、この下部電極スルーホール電極部44のホール表面に形成されたインターコネクト配線59により下部電極63と信号入出力端子電極パッド56とは電気的に導通している。
シリコン基板61の底面表面はシリコン酸化膜62で被膜されている。上部電極41及び振動子セル電極間インターコネクト電極40は、Au,Al,Pt,Ta,Mo,W等の金属膜で構成されている。また、この上部電極は、溝部46,47の側面及び底面に形成された金属膜に電気的に導通している。
接地電極パッド55は、上部電極41をGNDに接続するために、溝46,47の底面に形成した電極をシリコン基板61底面に電気的に導通させるためのパッドである。
誘電体膜57は、キャビティを挟んだ上部電極41と下部電極63間の静電容量を増加させるためのものである。空乏層60は、電子あるいは正孔がほとんど存在しない状態になっている層であり、逆バイアス電圧を印加し、空乏層が有する静電容量、すなわち寄生容量を低減させる場合もある。
なお、キャビティ(空隙部)51は、メンブレンとメンブレン支持部58と下部電極63及び誘電体膜57とで囲まれた空間からなる。なお、キャビティ51を形成する場合に、製造工程上、犠牲層をキャビティ部分に形成するが、その犠牲層を除去するための犠牲層剤除去孔43をメンブレン下層54(Si34)設け、そこから犠牲層を除去する。
また、溝部46,47の底部に配設された電極と接地電極パッド55との間の「接触抵抗」が限りなく小さく(オーミックコンタクト)なる構造となっている。
振動子セル50の動作について説明すると、上部電極41と下部電極63の一対の電極に電圧をかけることで電極間が引っ張りあい、電圧を0にすると元に戻る。この振動動作によってメンブレンが振動した結果、超音波が発生し、上部電極41の上方向に超音波が照射される。
次に、本実施形態における体腔内超音波診断システム1の動作の一連の流れについて説明する。
図8は、本実施形態における超音波無響セル70を示す。図8に示すように、超音波無響セル70の内部には空洞が形成されており、その開口部から超音波振動子6を挿入する。超音波振動子6を挿入後、超音波を放射する。このとき、超音波無響セル70は、超音波を吸収する部材(例えば、ウレタン繊維や発泡シリコーン樹脂等)で構成されているため、超音波が反射しない。したがって、超音波無響セル70内で超音波振動子により超音波を放射しても反射波を受信しない。そのため、受信時においては、本来メンブレンが振動することがないため、上部電極の電荷が変化することがない。だが、定在波等の不要振動が発生する場合には、その影響を受けてメンブレン上の電荷が変化するので、ここでは、その電荷の変化を検出する。すなわち、送信時のメンブレンの振動に伴って、送信超音波に変換されない不要振動が定在波となって残存し、この振動が実際のエコー信号受信時にもノイズ信号として重畳し、S/N低下につながる。
図9は、超音波振動子6を体腔内に挿入した状態を示す。図9(a)は口内に挿入した状態であり、図9(b)は胃の内壁に超音波振動子6を接触させて超音波を送受している状態を示す。
超音波の送受は、超音波無響セル70内で送受する場合(図8)(以下、「状態1」という)、体腔内に挿入してから観察部位に到達するまでの間での空中(体腔内壁に非接触)で送受する場合(図9(a))(以下、「状態2」という)、体腔内壁に超音波振動子を接触させて送受する場合(図9(b))(以下、「状態3」という)の3状態で行われる。
従来圧電振動子を用いた場合、観察部位に接触させてのみしか超音波画像を得ることができなかったが、c−MUTでは超音波送受面の音響インピーダンスが空気程小さくなく、生体程大きくないインピーダンスを有しているので、空中(体腔内壁に非接触の状態)で超音波画像を得ることができる。これにより、体腔内壁表面での反射波を受信することが容易にできるので、超音波振動子を挿通しながら、管腔壁の輪郭、すなわち凹凸面を測定することができる。c−MUTでは、数MHzの高周波超音波を送受信可能であり、高精度の表面凹凸検出が可能となる。
図10は、本実施形態における体腔内超音波診断システムの内部構成の概要を示す。体腔内超音波診断システムは、超音波内視鏡スコープ2、超音波内視鏡観測装置300から構成される。
超音波内視鏡スコープ2は、静電容量型超音波振動子101、光センサ102、チャージアンプ103、パルサー(パルス発生回路)104から構成されている。
超音波内視鏡観測装置300は、光センサー信号処理回路105、スイッチ回路106(選択端子SW1(107)、選択端子SW2(108)、選択端子SW3(109)、)、AD変換器110,111,112、記憶装置113,114,115、演算処理回路116,117,118、スイッチ回路119(選択端子Q1(120)、選択端子Q2(121)、選択端子Q3(122))、操作部123、画像変換器(デジタルスキャンコンバータ)124、モニタ4−1から構成される。
パルサー104は、静電容量型超音波振動子101を駆動させるための電気信号を発生させるための回路である。
チャージアンプ103では、インピーダンス変換を行う機能(高インピーダンス→低インピーダンスへ変換する)、静電容量型超音波振動子101の電極表面の電荷の検出を行う機能、及びアンプとしての機能を備えている。電荷の検出を行う機能とは、静電容量型超音波振動子101は反射波の受信を受信すると、反射波の受信強度に応じてメンブレンが振動し、その振動に応じた上部電極上の電荷の変動が起こるので、その電荷を検出する機能をいう。なお、本実施形態では、反射波の受信に起因する電荷のみならず、定在波等の不要振動に起因する電荷も検出してしまう場合を想定している。以下では、これら両者を含めて受信信号という。
光センサ102は、静電容量型超音波振動子101周辺の明るさを検知するものである。
光センサー信号処理回路105は、光センサ102から出力された信号に基づいて、明暗を判別するものである。すなわち、光センサで検知した光量に基づく信号を解析して、超音波振動子101周辺の明るさの違いを判別することができる。
例えば、超音波振動子101を体腔内に挿入する前、すなわち超音波無響セル70内で送受する場合(状態1)では、3つの状態のうち最も明るさを検知することができるようにする。次に、超音波振動子101を体腔内に挿入して観察部位に到達する(状態2)までは、暗くなるので、それを検知することができるようにする。また、超音波振動子は観察部位に到達した場合(状態3)には、超音波振動子周辺に設けられた不図示のライトガイドより照射された光が体腔内壁に反射して、その反射光を検知することができるようにするので、状態2の場合より明るさを検知することができる。
このことより、光センサー信号処理回路105の判別情報の設定として、初期状態では超音波振動子101を体腔内に挿入する前(状態1)であると判断するようにしておく。それから、超音波振動子101を体腔内に挿入して観察部位に到達するまで(状態2)は暗くなるので、光センサからの信号がある閾値以下になった場合、状態2の状態であると判断する。その後、再び明るくなり、光センサからの信号がある閾値以上になった場合、超音波振動子は観察部位に接している状態(状態3)であると判断するようにする。
スイッチ回路106は、光センサー信号処理回路105の出力に応じて選択端子SW1,SW2,SW3をON/OFFするためのものである。光センサー信号処理回路105において体腔内に挿入前(状態1)であると判断した場合には、その旨の信号を出力し、スイッチ回路106では、その信号を受けて選択端子SW1(107)がONになる。また、光センサー信号処理回路105において体腔内に挿入して観察部位へ移動中である(状態2)と判断した場合には、その旨の信号を出力し、スイッチ回路106では、その信号を受けて選択端子SW2(108)がONになる。また、光センサー信号処理回路105において観察部位へ到達した(状態3)と判断した場合には、その旨の信号を出力し、スイッチ回路106では、その信号を受けて選択端子SW3(109)がONになる。
チャージアンプ103で検出された電荷情報に基づく受信信号は、スイッチ回路106の切り替え先に基づいて、AD変換器110,111,112のいずれかに入力される。AD変換器110,111,112では、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。その変換された信号は、AD変換器110,111,112に対応する記憶装置113,114,115に入力され、記憶される。
演算処理回路116,117,118では、各状態で得られた受信信号(記憶装置113,114,115に格納されている信号)間の相関関数を求めることにより、状態1で得られたノイズ成分である定在波等の不要振動波成分を、状態2及び3の受信信号から除去することができる。
相関関数には、相互相関関数と自己相関関数がある。相互相関関数を用いる場合を説明すると、2つの信号のうち一方の波形をτだけ遅延させたときのずらし量τの関数で、次式のように定義される。
[x(t):状態m(mは任意)での受信信号に基づく波形、y(t):状態n(nは任意)での受信信号に基づく波形]
相互相関関数Rxyを利用することで、2信号間の類似度を求めることができる。もし、2信号が完全に異なっているならば、τに関わらず相互相関関数Rxyは0に近づく。これにより定在波等の不要振動の成分を検出することができるので、この成分を除去することができる。なお、相互相関関数Rxyは、クロススペクトルの逆フーリエ変換により求めることができる。
また、自己相関関数を用いることもできる。自己相関関数は、波形x(t)とそれをτだけずらした波形x(t+τ)を用いたずらし量τの関数で、次式のように定義される。
自己相関関数Rxxはτ=0すなわち自身の積をとったときに最大値となり、波形が周期的ならば、自己相関関数も同じ周期でピークを示す。また、不規則信号では、変動がゆっくりならばτが大きいところで高い値となり、細かく変動するときはτが小さいところで高い値を示して、τ は変動の時間的な目安となる。これにより定在波等の不要振動の成分を検出することができるので、この成分を除去することができる。なお、パワースペクトルの逆フーリエ変換により自己相関関数を求めることができる。
なお、相関関数を用いる以外にも、状態mでの受信信号に基づく波形と状態nでの受信信号に基づく波形との差分を求めることにより、定在波等の不要振動成分を取り除くようにしてもよい。
演算処理回路116には、記憶装置113に格納された信号(状態1での受信信号)と記憶装置114に格納された信号(状態2での受信信号)とが入力される。演算処理回路116では、2信号間の相関を求めるか、または差分を求めることにより、不要振動成分を状態2での受信信号から取り除く。
演算処理回路117には、記憶装置114に格納された信号(状態2での受信信号)と記憶装置115に格納された信号(状態3での受信信号)とが入力される。演算処理回路117でも同様に、2信号間の相関を求めるか、または差分を求めることにより、状態3での受信信号から状態2での受信信号を取り除くができる。これにより、同時に不要振動成分も取り除くことができる。
演算処理回路118では、演算処理回路116及び117で得られた信号の和を算出する。これにより管腔壁の輪郭画像(管腔壁の表面凹凸情報)と断層画像(深さ方向の情報)が同時に得られる。なお、相関関数を用いて演算処理回路116及び117で得られた信号の相関を求めても良い。
操作部123は、スイッチ回路119の切り替えを操作するためのものである。操作部123を操作することによりスイッチ回路119のスイッチの切り替えて、出力したい状態の画像を選択することができる。すなわち、選択端子Q1(120)が選択された場合には、演算処理回路116で演算処理された信号を画像変換器124へ出力することができる。また、選択端子Q2(121)が選択された場合には、演算処理回路118で演算処理された信号を画像変換器124へ出力することができる。また、選択端子Q3(122)が選択された場合には、演算処理回路117で演算処理された信号を画像変換器124へ出力することができる。
画像変換器124に入力される前の信号は時間軸信号であるが、この信号は画像変換器124を介することで、画像信号へ変換される。そして、このようにして得られた画像信号がモニタ4−1に出力され、モニタ4−1に超音波診断画像が表示される。
以上より、静電容量型超音波振動子を用いることとにより、超音波振動子が体腔内壁に対して接触及び非接触の両方の状態で、超音波の送受信が可能であり、かつ、この状態を検知することにより、それぞれの状態で受信した超音波の受信信号を対応したチャンネルに伝送することができる。
従来のような接触固定して断層像を得ることが出来るのに加え、「非接触診断」が可能になる。「非接触診断」は体腔内を挿通している最中にも、管腔壁表面の組識形状情報が得られる。つまり、従来の超音波診断では不可能だった超音波診断が可能になる。
また、各状態で得られた受信信号間での相関または差分を求める信号処理を行うことにより、不要な振動である定在波成分(ノイズ成分)を除去することができる。したがって、従来よりも鮮明な超音波診断画像を得ることができる。
また、ノイズ成分である定在波等の不要振動成分を超音波診断画像より除去することができるため、クリアな画像信号を得ることができる。それにより、体腔内壁に非接触の状態で超音波診断画像を撮影した場合でも、はっきりとした体腔内壁の輪郭形状が表された超音波診断画像を得ることができる。
また、各状態での受信信号を組み合わせて信号処理を行うことにより、体腔内壁の輪郭画像及び生体組織断層画像を得ることができる。
また、光センサ等の検知手段を用いることにより、超音波振動子が体腔内壁に接触しているか否かの検知を行うことができるため、超音波振動子の状態を検知することができる。
なお、本実施形態では体腔内壁の輪郭画像及び生体組織断層画像を得るためにラジアルタイプの静電容量型超音波振動子を用いたが、定在波等の不要振動成分の除去に関しては、コンベックスタイプでもリニアタイプ等でも採用することができる。また、超音波振動子の状態を検知するのに本実施形態では光センサを用いたが、体腔内壁に接触しているか否かの検知に関しては、例えば、圧力センサを用いても良い。また、本実施形態では、定在波等の不要振動成分のみを静電容量型振動子で感知するために、超音波無響セル内で超音波を放射したが、これに限定されずに、超音波の反射しない無響環境であればよい。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、光センサを用いて超音波振動子が体腔内壁に接触しているか否かを検知したが、本実施形態では、受信した超音波の周波数の相違により音波振動子が体腔内壁に接触しているか否かを検知する場合について説明する。
図11は、本実施形態における超音波振動子を対象物に接触させた場合と接触させない場合での周波数特性を示したグラフである。このグラフの縦軸は相対振幅(縦軸の値の最大値で除した(規格化した)ときの値)、横軸は周波数を示す。
130は、超音波振動子を対象物に非接触にした状態での周波数特性を示す。131は、超音波振動子を対象物に非接触にした状態(曲線130)でのピーク周波数(fc_非接触)を示す。132は、超音波振動子を対象物に接触させた状態での周波数特性を示す。133は、超音波振動子を対象物に接触状態(曲線132)でのピーク周波数(fc_接触)を示す。
このグラフから対象物、すなわち体腔内の器官壁面に接触状態にあるか非接触状態にあるかにより放射される超音波の周波数特性に大きな差がある。このような接触/非接触による周波数特性の変化について、例えば、非特許文献2の図4に記載されている。この非特許文献2によると、(1)メンブレンから見た音響負荷(水/空気)の音響インピーダンスの違い、(2)メンブレン背面にあるキャビティの内圧が音響負荷(水/空気)によって異なる、(3)高周波超音波が空気中に放出されにくい、という理由から接触/非接触による周波数特性の変化が生じる旨が記載されている。
したがって、fc_接触とfc_非接触との間に閾値を設けることで、その閾値を境にしていずれの状態(曲線130または曲線132)であるかということを判別することができる。
図12は、本実施形態における体腔内超音波診断システムの内部構成の概要を示す。同図は、図10から光センサ102と光センサー信号処理回路105とを取り除いて、その代わりにローパスフィルタ125と検波器126を追加したものである。
チャージアンプ103で検出された電荷情報に基づく信号は、ローパスフィルタ125に入力される。ローパスフィルタ125では、予め設定された閾値より低い周波数の信号を通過させるものである。よって、ローパスフィルタ125を通過する信号は超音波振動子を対象物に非接触にした状態での受信信号であり、通過できない信号は超音波振動子を対象物に接触させた状態での受信信号であることを判別することができる。
検波器126は、ローパスフィルタ125から出力された信号(交流信号)を検波して、スイッチ回路106を駆動させるための直流信号に変換するものである。超音波受信信号が低周波数の場合にはローパスフィルタ125を通過して、その超音波受信信号が検波器126に入力され、AC/DC変換が行われる。超音波受信信号が高周波数の時はローパスフィルタ125でカットされるので、検波器126には超音波受信信号が入力されず、したがって検波器126からの出力もない。また、図8で、超音波無響セル70内での受信信号は低レベルのノイズ以外に観測されないので、検波器126からの出力はこの場合にもない。したがって、検波器126からの出力は、キャリブレーション信号検出時(図8)はゼロ、管腔内挿入時(図9(a))は、高レベル出力、接触固定時(図9(b))は低レベル出力となる。この検波出力の差異によってスイッチ回路106のスイッチをSW1(107)→SW2(108)→SW3(109)と切り替え、上記各状態での受信信号をAD変換器110,111,112に伝送する。その後の動作は第1の実施形態と同様である。
以上より、周波数特性の相違を判別することにより、体外か、または超音波振動子が体腔内にあり内壁に接触しているか非接触かの検知を行うことができるため、超音波振動子の状態を検知することができる。
<第3の実施形態>
本実施形態では、各状態で得られた超音波受信信号に基づく信号処理のバリエーションについて説明する。
図13は、本実施形態における複数パターンの信号処理を行う演算制御回路150を示す。演算制御回路150は、図10の演算処理回路(116,117,118)及びスイッチ回路119に相当する回路群である。
演算制御回路150は、分配器151,152,153、演算処理回路154,155,156,157,158,159、スイッチ回路161から構成される。分配器151,152,153は、対応する記憶装置113,114,115から出力された信号を各演算処理回路へ分配するものである。演算処理回路154〜159では、入力された2つの受信信号の相関、差、または和を算出するものである。
第1または第2の実施形態において、光センサー信号処理回路105(図10)または検波器(図12)から出力されたスイッチ制御信号141がスイッチ回路106に入力されると、上述の通り、そのスイッチ制御信号141の情報に基づいてスイッチが切り替わる。
そうすると、チャージアンプ103で検出された電荷情報に基づく信号(受信信号140)は、スイッチ回路106の切り替え先に基づいて、AD変換器110,111,112のいずれかに入力される。AD変換器110,111,112では、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。その変換された受信信号140は、変換器110,111,112に対応する記憶装置113,114,115に入力され、記憶される。
その後、操作者は、操作部123を用いて、受信信号をどのような態様で表示させるかを選択する。そうすると、操作部123からスイッチ制御信号145が出力され、スイッチ回路161に入力される。スイッチ回路161では、スイッチ制御信号145に基づいて、選択端子161a,161b,161c,161d,161e,161f,161g,161h,161iのいずれかがONになる。そうすると、ONになった選択端子に接続された演算処理回路が動作することになる。
また、操作部123からの信号に基づいて、記憶装置制御信号142,143,144が発生する。記憶装置113では、記憶装置制御信号142を受信した場合、格納されている状態1の受信信号(以下、S1という)を分配器151に出力する。記憶装置114では、記憶装置制御信号143を受信した場合、格納されている状態2の受信信号(以下、S2という)を分配器152に出力する。記憶装置115では、記憶装置制御信号144を受信した場合、格納されている状態3の受信信号(以下、S3という)を分配器153に出力する。
そうすると、各記憶装置113〜115から出力された信号が演算処理回路で演算処理され、スイッチ回路161を通って、演算処理信号146として出力され、画像変換器124へ入力されることになる。その後は、第1の実施形態と同様である。
次に各選択端子161がONになった場合の各演算処置について説明する。
(ケース1)選択端子161aがONになった場合、分配器151から出力された信号S1が演算処理信号146として出力される。
(ケース2)選択端子161dがONになった場合、分配器152から出力された信号S2が演算処理信号146として出力される。
(ケース3)選択端子161iがONになった場合、分配器153から出力された信号S3が演算処理信号146として出力される。
(ケース4)選択端子161bがONになった場合、分配器151,152から出力された信号S1,S2が演算処理回路154に入力される。演算処理回路154では、信号S4を生成するため、S4=S2−S1の演算処理を行う。そして、生成された信号S4が演算処理信号146として出力される。
(ケース5)選択端子161fがONになった場合、分配器151,153から出力された信号S1,S3が演算処理回路155に入力される。演算処理回路155では、信号S5を生成するため、S5=S3−S1の演算処理を行う。そして、生成された信号S5が演算処理信号146として出力される。
(ケース6)選択端子161hがONになった場合、分配器152,153から出力された信号S2,S3が演算処理回路156に入力される。演算処理回路156では、信号S6を生成するため、S6=S3−S1の演算を行う。そして、生成された信号S6が演算処理信号146として出力される。
(ケース7)選択端子161cがONになった場合、演算処理回路154,155で生成された信号S4,S5が演算処理回路157に入力される。演算処理回路157では、信号S7を生成するため、S7=S4+S5の演算を行う。そして、生成された信号S7が演算処理信号146として出力される。
(ケース8)選択端子161eがONになった場合、演算処理回路155,156で生成された信号S5,S6が演算処理回路158に入力される。演算処理回路158では、信号S8を生成するため、S8=S5+S6の演算を行う。そして、生成された信号S8が演算処理信号146として出力される。
(ケース9)選択端子161gがONになった場合、演算処理回路154,156で生成された信号S4,S6が演算処理回路159に入力される。演算処理回路159では、信号S9を生成するため、S9=S4+S6の演算を行う。そして、生成された信号S9が演算処理信号146として出力される。
ここで、各演算処理について詳述する。S1は、例えば、図8(状態1)における超音波無響セル70での測定データ(これは、超音波送信にともなって発生する振動子(駆動信号も含む)由来のノイズやゆらぎに関するノイズデータであって、振動子由来のノイズの中には、c−MUT特有の面内横波伝播に関係するクロストーク振動波や定在波が含まれているものである。
S2は、図9(a)(状態2)における体腔内を挿通している最中の受信超音波データであって、空中超音波を用いて非接触で体腔内の管腔壁からの表面反射信号に相当するものである。この信号の中にも、振動子(駆動信号も含む)由来のノイズやゆらぎに関するノイズ信号が含まれている。従って、「S4=S2−S1」という演算で、このノイズ信号を除去することが可能となる。
次に、S3は、図9(b)(状態3)における振動子を管腔壁表面に接触固定した場合における深部診断測定情報を含むデータであって、深部反射信号に相当するものである。この信号の中には、S1とS2の信号成分が含まれている。この場合、S1信号はノイズ信号なので、除去することが必要であるため、「S5=S3−S1」という演算になる。
一方、S2信号にもノイズ信号が含まれているので、「S6=S3−S2」の演算でも良い場合もあるが、同時にS3に含まれている管腔壁からの表面反射信号をも除去することになってしまう。この様な信号処理は、一方で生体の管腔壁表面の組識情報を失うという欠点もあるが、他方で、管腔壁表面の組識情報を削除することによって、深部診断像を見やすくするという長所もある。この様に、「S5=S3−S1」を使うか、「S6=S3−S2」を使うかは操作者の裁量に委ねられる。このため、診断の自由度を向上させることにつながる。
なお、「S7=S4+S5」は、ノイズを除去した管腔壁からの表面反射信号とノイズを除去した深部診断信号とを加算したもので、これによって、表面から深部までムラなく診断が出来る。また、「S8=S5+S6」及び「S9=S4+S6」についても各種の信号の利点を備えた画像をえることができる。
ところで、操作者は元の信号はどうであったか、ということにも関心がある場合があり、単独の信号S1、S2,S3も選択して検知出来ることが、スイッチ回路161の配設によって可能となる。本実施形態には演算処理信号143の以降の信号処理について詳しくは述べていないが、例えば呈示装置23であるモニター画面に、別々のウィンドウで表示することが可能となる。
また、本実施形態では、演算処理装置154,155,156において、入力された2信号間の差を算出したが、第1の実施形態と同様に、相関関数(相互相関、自己相関)を用いても良い。
さらに、ドップラー信号制御、ハーモニックイメージングに静電容量型超音波振動子は対応可能で、本発明による超音波診断システムを適用することが可能である。
以上より、操作者の選択により、各状態で得られた超音波受信信号に基づいて様々なパターンの信号処理を行うことができる。これにより、生成される超音波診断画像もその信号処理に対応した特徴を備えることができるので、多面的に診断を行うことができる。
第1の実施形態における体腔内超音波診断システムの概要を示す図である。 第1の実施形態における本実施形態における超音波内視鏡スコープ2の外観構成を示す図である。 第1の実施形態における静電容量型ラジアル走査アレイ超音波振動子の構成を示す図である。 第1の実施形態における2次元アレイ振動子20の断面斜視図である。 第1の実施形態における振動子ユニット32単体の上面図である。 第1の実施形態における振動子エレメント33単体の上面図である。 図6のAa−Abについての断面図である。 第1の実施形態における超音波無響セル70を示す図である。 第1の実施形態における超音波振動子6を体腔内に挿入した場合を示す図である。 第1の実施形態における体腔内超音波診断システムの内部構成の概要を示す図である。 第2の実施形態における超音波振動子を対象物に接触/非接触したときの周波数特性を示す図である。 第2の実施形態における体腔内超音波診断システムの内部構成の概要を示す図である。 第3の実施形態における複数パターンの信号処理を行う演算制御回路150を示す図である。 従来のc−MUTを示す図である。 図14のc−MUTを用いた場合、メンブレンに定在波が発生した様子を示す図である。
符号の説明
1 体腔内超音波診断システム
2 超音波内視鏡スコープ
2−1 静電容量型超音波振動子
3 信号処理部
3−1 記憶制御手段
3−2 記憶手段
3−3 演算手段
200 画像処理部
200−1 画像構築手段
3−5 振動子状態判別手段
3−5a 状態検知手段
3−5b 検知情報判別手段
4 表示手段
4−1 モニタ
5 挿入部
6 静電容量型ラジアルセクタ走査アレイ超音波振動子
7 湾曲部
8 可撓管部
9 操作部
10 ユニバーサルコード
11 スコープコネクタ
20 2次元アレイ振動子
21 送受信回路
22 同軸ケーブルバンドル
31 配線用FPC
32 振動子ユニット
33 振動子エレメント
34 制御回路ユニット
40,48,49 振動子セル電極間インターコネクト電極
41 上部電極
42 キャビティ周縁部
43 犠牲層剤除去孔
44 下部電極スルーホール電極部
45 ダイシングライン
46 振動子エレメント間溝
47 振動子ユニット配列方向溝
50 セル
51 キャビティ
52 メンブレン下層
54 メンブレン上層
55 接地電極パッド
56 信号入出力端子電極パッド
57 誘電体膜
58 メンブレン支持部
59 インターコネクト配線
60 空乏層
61 シリコン基板
62 シリコン酸化膜
63 下部電極
70 超音波無響セル
300 超音波内視鏡観測装置
101 静電容量型超音波振動子
102 光センサ
103 チャージアンプ
104 パルサー(パルス発生回路)
105 光センサー信号処理回路
106 スイッチ回路
110,111,112 AD変換器
113,114,115 記憶装置
116,117,118 演算処理回路
119 スイッチ回路
123 操作部
124 画像変換器
125 ローパスフィルタ
126 検波器
150 演算制御回路
151,152,153 分配器
154,155,156,157,158,159 演算処理回路
161 スイッチ回路


Claims (7)

  1. 超音波を送受信する静電容量型超音波振動子が設けられた超音波内視鏡スコープと、
    前記静電容量型超音波振動子の状態を判別する振動子状態判別手段と、
    前記静電容量型超音波振動子により感知された感知情報から、前記振動子状態判別手段により判別された前記状態に応じた超音波診断画像を構築する画像構築手段と、
    を備えることを特徴とする体腔内超音波診断システム。
  2. 前記振動子状態判別手段は、
    前記静電容量型超音波振動子が、体外、及び体腔内の内壁に到達するまでの体腔内移動中の状態、及び目標診断部位へ到達した状態のうちいずれかの状態であることを検知する状態検知手段と、
    前記状態検知手段から得られた検知情報に基づいて、前記状態を判別する検知情報判別手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の体腔内超音波診断システム。
  3. 前記体腔内超音波診断システムは、さらに、
    前記感知情報を記憶する記憶手段と、
    前記振動子状態判別手段による判別結果に基づいて、該判別結果に対応した前記記憶手段に、前記感知情報を記憶させる記憶制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の体腔内超音波診断システム。
  4. 前記状態検知手段は、前記静電容量型超音波振動子の略近傍に設けた光センサであり、
    前記検知情報判別手段は、前記光センサの出力に基づいて、前記静電容量型超音波振動子が体外、体腔内であるが体腔内壁に非接触、及び体腔内壁に接触のうちいずれかの状態であるかを判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の体腔内超音波診断システム。
  5. 前記状態検知手段は、前記静電容量型超音波振動子の略近傍に設けた圧力センサであり、
    前記検知情報判別手段は、前記圧力センサの出力に基づいて、前記静電容量型超音波振動子が体腔内であるが体腔内壁に非接触、及び体腔内壁に接触のうちいずれかの状態であるかを判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の体腔内超音波診断システム。
  6. 前記状態検知手段は、前記感知情報を表している電気信号の周波数に対応した前記検知情報を生成し、
    前記検知情報判別手段は、前記状態検知情報に基づいて、前記静電容量型超音波振動子が体外、体腔内であるが体腔内壁に非接触、及び体腔内壁に接触のうちいずれかの状態であるかを判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の体腔内超音波診断システム。
  7. 前記状態検知手段は、前記電気信号の周波数が所定の閾値以下の場合には、該電気信号を通過させるフィルタ回路であることを特徴とする請求項6に記載の体腔内超音波診断システム。




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