JP2006194193A - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、性質の異なる2種類の流体を同時に圧縮、移送もしくは膨張等の処理を可能として使用範囲を拡大化させ、効率の向上化を得られるスクロール式流体機械を提供する。
【解決手段】固定スクロール翼部11Bと旋回スクロール翼部10B相互を噛合して、固定スクロール11と旋回スクロール10との間に第1の作動室Saと第2の作動室Sbを形成し、旋回スクロールを旋回駆動して各作動室の容積を同時に変化させ、流体の圧縮、移送もしくは膨張を行うスクロール式流体機械において、固定スクロール翼部と旋回スクロール翼部における巻始め端部f側の第1の作動室と第2の作動室を仕切る巻始め側仕切り機構と25、固定スクロール翼部と旋回スクロール翼部における巻終り端部z側の第1の作動室と第2の作動室を仕切る巻終り側仕切り機構30とを具備する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、スクロール式の圧縮機構部を備え、たとえば冷凍サイクルを構成する圧縮機、あるいは流体の移送をなすポンプ、あるいは流体の膨張をなす膨張機として用いられるスクロール式流体機械に関する。
たとえば空気調和機の冷凍サイクルを構成する圧縮機においては、[特許文献1]もしくは[特許文献2]に開示されるように、運動騒音が低く、吸込み弁や吐出弁などが不要で部品点数が少なくてすみ、しかも圧縮性能のよいスクロール式の圧縮機構部を備えている。この種のスクロール機構は、圧縮機として用いられるばかりでなく、流体の移送を行うポンプや、流体の膨張作用をなす膨張機などにも適用可能であり、これら全てはスクロール式流体機械の範疇に入る。
上記スクロール式流体機械は、それぞれ鏡板部に渦巻状の翼部が設けられる固定スクロールおよび旋回スクロールを備え、これら固定スクロールと旋回スクロールにおける互いの翼部を噛合してなる。そして、旋回スクロールを旋回駆動することにより、固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成される作動室の容積を変化させて、流体の圧縮、移送、もしくは膨張を行う。
特公平6−84754号公報 特許第3260049号公報
ところで、いずれの特許文献に開示されるスクロール式圧縮機を含む全てのスクロール式流体機械においては、一対のスクロール相互によって形成される一対の作動室において、吸込み通路と吐出通路は互いに連通している。したがって、一対の作動室を備えているにも係らず、処理対象となる流体の種類および圧力条件等は、あくまで一種類のものに限定されている。
これに対して、互いの作動室でそれぞれ異なる流体を処理でき、また、異なる圧力条件等で流体を処理できれば、極めて都合がよい。すなわち、1台のスクロール式流体機械で異なる性質の2種類の流体を同時に、圧縮、移送、もしくは膨張等が可能であれば、使用範囲のが拡大が可能である。また、各作動室における排除容積、設計圧縮比、膨張比等の処理条件を別々に設定できれば、同様に使用範囲の拡大が可能である。
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、性質の異なる2種類の流体を同時に圧縮、移送もしくは膨張等の処理を可能であり、また、互いの作動室で異なる圧力条件等で流体の処理を可能として使用範囲を拡大できるスクロール式流体機械を提供しようとするものである。
上記目的を達成するため本発明は、鏡板部に渦巻状の翼部が設けられる固定スクロールおよび旋回スクロールを備え、これら固定スクロールと旋回スクロールの翼部相互を噛合して、固定スクロールと旋回スクロールとの間に第1の作動室と第2の作動室を形成し、旋回スクロールを旋回駆動して各作動室の容積を同時に変化させ、流体の圧縮、移送もしくは膨張を行うスクロール式流体機械において、固定スクロール翼部と旋回スクロール翼部における巻始め端部側の第1の作動室と第2の作動室を仕切る巻始め側仕切り手段と、固定スクロール翼部と旋回スクロール翼部における巻終り端部側の第1の作動室と第2の作動室を仕切る巻終り側仕切り手段とを具備する。
本発明によれば、性質の異なる2種類の流体を同時に処理することが可能であり、また、互いの作動室で異なる圧力条件等で流体を処理でき、使用範囲の拡大化を得る等の効果を奏する。
以下、図面を参照しながら、本発明における第1の実施の形態について説明するに、スクロール式流体機械として、たとえば冷凍装置の冷凍サイクルを構成する圧縮機およびエアーコンプレッサを兼用するスクロール式圧縮機とする。
図1は、スクロール式圧縮機の概略の断面図である。
図中1は密閉ケースであり、この密閉ケース1内の上部には支持フレーム2が設けられ、密閉ケース1内部を上下に仕切っている。支持フレーム2には、回転軸3に形成される主軸部3aを回転自在に軸支する軸受け部2aが形成される。上記回転軸3における主軸部3aの上部側には、主軸部3aの回転中心軸とは偏心する回転中心軸を備えたクランク部3bが一体に設けられていて、ここに後述する圧縮機構部4が連結される。
上記回転軸3における主軸部3aの下部側には、軸部3cが一体に形成される。この軸部3cにはバランサ5および後述する電動機部6が取付けられる。上記軸部3cの下端には給油ポンプ7が設けられていて、この給油ポンプ7は密閉ケース1内底部に形成される潤滑油の油溜り部8内に浸漬する。
給油ポンプ7の吸込み部は油溜り部8の潤滑油中に開口され、吐出部には軸部3cを介して主軸部3aおよびクランク部3bに亘って設けられ、かつそれぞれの周面もしくは端面に開口端を備えた給油路9が連通する。すなわち、回転軸3の回転駆動にともなって給油ポンプ7が油溜り部8の潤滑油を吸上げて給油路9へ導き、主軸部3aおよびクランク部3bとの摺接部および、その他の摺動部へ給油できるようになっている。
上記圧縮機構部4は、上記回転軸3のクランク部3bに回転自在に掛合する掛合部aを備えた旋回スクロール10と、この旋回スクロール10と噛合状態にある固定スクロール11とから構成される。
上記支持フレーム2の回転軸クランク部3bと対向する部分は凹陥部bが設けられていて、クランク部3bおよび旋回スクロール掛合部aの偏心回転をなすための空間スペースが確保されている。
旋回スクロール10および固定スクロール11ともに、回転軸3の中心軸とは直交する方向に形成される円板状の鏡板部10A,11Aと、それぞれの鏡板部10A,11Aの対向面に一体に突設されインボリュート曲線で形成される渦巻状の翼部10B,11Bを備えている。
上記旋回スクロール10の鏡板部10Aは、上記支持フレーム2上面に摺動自在に載置されていて、これら旋回スクロール鏡板部10Aと支持フレーム2上面との間には、旋回スクロール10の旋回運動を許容し、かつ旋回スクロール10の回転(自転)運動を規制するオルダム機構12が介設される。
上記旋回スクロール翼部10Bと、上記固定スクロール翼部11Bとは、互いの側面一部が複数ヶ所で相互に線状に接触しており、これら旋回、固定スクロール10,11の鏡板部10A,11Aおよび翼部10B,11Bとで一対の圧縮空間である第1の作動室Saおよび第2の作動室Sbが形成される。後述するように、これら第1、第2の作動室Sa,Sbは旋回スクロール10の旋回運動にともなって、外周側から中心軸方向へ位置および空間容量が徐々に変化する。
上記固定スクロール11は図示しないガイド機構を介して支持フレーム2上に載置されており、後述する背圧板13との間でわずかな量だけ上下方向に移動可能である。固定スクロール鏡板部11Aの上面部は凹陥状に形成され、この中央部には第1の作動室Saに連通するよう貫通する第1の吐出口22が設けられる。
固定スクロール鏡板部11Aは、密閉ケース1に取付け固定される背圧板13によって背圧がかけられていて、第1、第2の作動室Sa,Sbのいずれかに所定値以上の圧力が生じた状態で、固定スクロール11の浮き上がりを許容し、各作動室Sa,Sbの圧力を逃すことができるようになっている。
一方、密閉ケース1の上部側面には第1の吐出管16と第2の吐出管17が接続されている。第1の吐出管16は、密閉ケース1を貫通して開口端が密閉ケース1内に臨ませられる。すなわち、第1の吐出管16は背圧板13によって仕切られる密閉ケース1内の上部空間を介して、上記第1の吐出口22と連通する。そして第1の吐出管16は、密閉ケース1外部において冷凍装置の凝縮器に接続されており、さらに減圧装置を介して蒸発器(いずれも図示しない)に連通される。
上記第2の吐出管17は、密閉ケース1を貫通し、そのまま密閉ケース1内に延出される。そして、図において省略しているが上記背圧板13および固定スクロール鏡板部11Aを貫通して、後述する第2の吐出口23に接続される。密閉ケース1外部において第2の吐出管17は圧縮空気供給先(図示しない)に連通する。
上記密閉ケース1の下部側面には第1の吸込み管18と第2の吸込み管19が接続される。第1の吸込み管18は、密閉ケース1を貫通して開口端を密閉ケース1空間に臨まされる。上記支持フレーム2には吸込み通路(図示しない)が設けられていて、この吸込み通路は密閉ケース1内部空間を介して上記第1の吸込み管18と連通するとともに、固定スクロール鏡板部11Aに設けられる後述する第1の吸込み口20と連通する。
上記第2の吸込み管19は、密閉ケース1を貫通して、そのまま密閉ケース1内に延出される。そして第2の吸込み管19は、図において省略しているが上記背圧板13および固定スクロール鏡板部11Aを貫通して、後述する第2の吸込み口21に接続される。密閉ケース外部において、第2の吸込み管19は一端が外部に向けて開口するフィルタ(図示しない)に接続される。なお、固定スクロール鏡板部11Aには、上述の第1の吸込み口20と第1の吐出口22および第2の吐出口23の他に、第2の吸込み口21が設けられている。
つぎに、上記第1の作動室Saと第2の作動室Sbの形態と、第1の吸込み口20、第2の吸込み口21、第1の吐出口22および第2の吐出口23に係る位置関係について説明する。
図2(A)〜(D)は圧縮機構部4を横断面にして、旋回スクロール10の旋回状態を0°から90°置きに描いて、圧縮作用を順に示す図である。ここでは、各作動室Sa,Sbおよび第1、第2吸込み口20,21と第1、第2の吐出口22,23について説明する。
図における最も外側の真円状のものは、固定スクロール鏡板部11Aの外周部であり、この内部に固定スクロール翼部11Bと旋回スクロール翼部10Bの横断面が示されている。
固定スクロール翼部11Bの巻始め端部fと巻終り端部zには、それぞれ後述する構成の巻始め側仕切り機構(巻始め側仕切り手段)25と、巻終り側仕切り機構(巻終り側仕切り手段)30が設けられている。これらを備えることによって、旋回スクロール10の旋回運動にともない旋回スクロール翼部10Bがどのような位置にあっても、各翼部10B,11Bの巻始め端部f側と巻終り端部z側における第1の作動室Saと第2の作動室Sb相互を確実に仕切ってシール漏れがない。
上記第1の吸込み口20は、固定スクロール鏡板部10Aの外周部と固定スクロール翼部11Bの最外周面との間に開口され、旋回スクロール10の旋回位置によっては、固定スクロール翼部11Bの最外周側に形成される第1の作動室Saと連通する。
上記第2の吸込み口21は、上記巻終り側仕切り機構30により仕切られる固定スクロール翼部11Bの巻終り端部zと旋回スクロール翼部10Bとの近傍部位に開口され、旋回スクロール10の旋回位置によっては、これらの間に形成される第2の作動室Sbに連通する。なお説明すれば、第2の吸込み口21は略半円状の開口であり、旋回スクロール10の旋回位置に応じて開口部分が旋回スクロール翼部10Bによって閉成される。
上記第1の吐出口22は、上記固定スクロール翼部11Bにおける巻始め端部f近傍に設けられていて、固定スクロール翼部11Bと、旋回スクロール翼部10Bの巻始め端部f周面および、上記巻始め側仕切り機構25とによって囲まれる第1の作動室Saに開口する。
上記第2の吐出口23は、上記固定スクロール翼部11Bにおける巻始め端部f近傍に設けられていて、固定スクロール翼部11Bおよび旋回スクロール翼部10Bの巻始め端部fと、上記巻始め側仕切り機構25とによって囲まれる第2の作動室Sbに開口する。
図3は巻始め側仕切り機構25の拡大した横断面図であり、図4は巻終り側仕切り機構30の拡大した断面図である。
図3に示すように、固定スクロール翼部11Bの巻始め端部fは、略半円形に近い断面をなしていて、旋回スクロール10の旋回運動にともない旋回スクロール翼部10Bがどの位置にあっても、この翼部10Bの側面一部は固定スクロール翼部11Bの巻始め端部fのいずれかの位置に線状に当接する。
固定スクロール翼部11Bにおける巻始め端部fにおいて、図の左側端部が閉成され、右側端部が開口するよう水平方向にブレード収納室26が設けられる。このブレード収納室26の閉成端部側に弾性押圧体であるコイルスプリング27が収納され、さらに開放端側にブレード28が収納される。
上記ブレード28はコイルスプリング27によってブレード収納室26から突出する方向に弾性的に押圧されている。ブレード28の突出側端部は略半円状に形成され、旋回スクロール翼部10Bがどの位置にあっても、この翼部10Bの側面一部に線状に当接するようになっている。
旋回スクロール翼部10Bの位置によっては、ブレード28全体がブレード収納室26に押し込まれ、あるいは一部を残してほとんど大部分のブレード28がブレード収納室26から突出する。いずれにしても、ブレード28が固定スクロール翼部11Bと旋回スクロール翼部10Bとの間に形成される第1の作動室Saと第2の作動室Sbを仕切ることには変りがなく、しかも漏れがない。
図4に示すように、固定スクロール鏡板部11Aの外周部において、固定スクロール翼部11Bの巻終り端部zと対向する部位で、かつこの内周面に弾性押圧体であるコイルスプリング31の一端部を収容する凹陥部32が設けられる。凹陥部32と対向する固定スクロール翼部11Bの巻終り端部z近傍部位には、ブレード33が摺動自在に嵌め込まれるブレード掛合孔34が固定スクロール翼部11Bを貫通して設けられる。
上記ブレード33の一端部は凹陥形成され、上記コイルスプリング31の他端部が掛合される。このコイルスプリング31によってブレード33が翼部10Bから突出する方向に弾性的に押圧付勢される。ブレード33の突出側端部は略半円状に形成され、旋回スクロール翼部10Bがどの位置にあっても、この翼部10Bの側面一部に線状に当接するようになっている。
旋回スクロール翼部10Bの位置によっては、ブレード33先端部がブレード掛合孔34に押し込まれ、あるいはブレード33のほとんど大部分がブレード掛合孔34から突出する。いずれにしても、ブレード33が固定スクロール翼部11Bと旋回スクロール翼部10Bとの間に形成される第1の作動室Saと第2の作動室Sbを仕切ることには変りがなく、しかも漏れがない。
再び図1に示すように、上記電動機部6は、回転軸3の軸部3cに取付け固定される回転子35と、密閉ケース1内周壁に取付け固定される固定子36とから構成される。回転子35の外周面と固定子36の内周面とは、狭小の間隙を存して対向している。
このようにして構成されるスクロール式圧縮機において、電動機部6に通電して圧縮機構部4を駆動すると、第1の吸込み管18から低圧の冷媒ガスが密閉ケース1内に導入され、支持フレーム2より下部空間に充満する。冷媒ガスは、下部空間から支持フレーム2に設けられる吸込み通路を介して第1の吸込み口20に導かれ、さらに旋回スクロール翼部10Bと固定スクロール翼部11Bおよび巻終り側仕切り機構30とで囲まれる第1の作動室Saに取込まれる。
同時に、フィルタを介して外部空気が第2の吸込み管19に吸込まれ、そのまま密閉ケース1内から第2の吸込み口21に直接、導かれる。さらに旋回スクロール翼部10Bと固定スクロール翼部11Bおよび巻終り側仕切り機構30とで囲まれる第2の作動室Sbに取込まれる。
図2(A)から順に、(B)と(C)を介して(D)に示すように、旋回スクロール10が旋回運動をなすのにともなって、第1の作動室Saおよび第2の作動室Sbは外周側から中心部側に徐々に移動し、空間容量が減少していくことにより冷媒ガスと空気が同時に圧縮される。
所定圧まで上昇したところで、第1の作動室Saで圧縮された高圧の冷媒ガスが第1の吐出口22から吐出され、背圧板13の上部空間を介して第1の吐出管16から外部の凝縮器に導かれ冷凍サイクルを構成する。同時に、第2の作動室Sbで圧縮された高圧空気が第2の吐出口23から第2の吐出管17に直接吐出され、圧縮空気供給先へ供給される。
このようにして、1台のスクロール式圧縮機において、たとえば冷媒ガスと空気である、性質の異なる2種類の流体を同時に導いて圧縮し、吐出する。したがって、使用範囲が拡大して種々の用途に供することができる。なお、圧縮される流体は上記のものに限定されないことは、勿論である。
つぎに、第2の実施の形態におけるスクロール式圧縮機について説明する。
図5(A)〜(D)は圧縮機構部4を横断面にして、旋回スクロール10の旋回状態を0°から90°置きに描いて、圧縮作用を順に示す図である。
圧縮機構部4の基本的な構成は、先に図1に示したとおりであって、何らの変更もない。そして、第1の吸込み口20と、第1の吐出口22および第2の吐出口23の位置は、そのままで変更しないが、第2の吸込み口21のみ位置が変更される。すなわち、第2の吸込み口21は第1の吐出口22の図における下方部位に変更されている。
図5(A)の旋回スクロール10が0°旋回位置は、第1の作動室Sa及び第2の作動室Sbにおける吸込み行程が完了した状態である。このとき、第1の作動室Saと第1の吸込み口20との連通は遮断されるが、第2の作動室Sbと第2の吸込み口21は連通したままである。したがって、この状態から旋回スクロール10が時計回り方向に旋回すると、第1の作動室Saにおいては容積が減少し、流体の圧縮が開始される。
同様に、第2の作動室Sbも容積が減少するが、第2の作動室Sbは第2の吸込み口21と連通しているため、流体は第2の吸込み口21から逆流して圧縮はすぐには開始されない。そして、旋回スクロール10の約90°旋回位置において、やっと第2の吸込み口21は旋回スクロール翼部10B端面によって閉塞され、第2の作動室Sbと第2の吸込み口21との連通が遮断されて、第2の作動室Sbにおける流体の圧縮が開始される。
結局、ここで説明する第2の作動室Sbでは、先に図2で説明した第2の作動室Sbと比較して、旋回スクロール10の0°位置と90°位置における第2の作動室Sb容量差分の容量だけ少なくなる。
このようにして、1台のスクロール式圧縮機において、単に第2の吸込み口21の位置を変更することにより、第1の作動室Saと第2の作動室Sbとの排除容積が異なるよう設定条件を変更できる。
さらに、第1の作動室Saと第2の作動室Sbの排除容積を異ならすことで、設計圧縮比が変更する。換言すれば、第2の吸込み口21の位置を変更することで、設計圧縮比を変えられる。設計圧縮比の変更は、旋回スクロール翼部10Bあるいは固定スクロール翼部11Bの長さを変えることによっても可能である。いずれにしても、1台のスクロール式圧縮機で、2種類の流体それぞれに最適な圧縮比を選択でき、高効率で同時に圧縮することが可能である。
なお、以上は異なる2種類の流体を圧縮する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1種類の流体を第1の作動室Saと第2の作動室Sbとで同時に圧縮するようしてもよい。さらに、たとえば以下に述べるように構成することにより、第2の作動室Sbにおいて空運転をなすことができる。
つぎに、第3の実施の形態におけるスクロール式圧縮機について説明する。
図6(A)(B)は、スクロール式圧縮機に付設される回路構成図であり、(A)は通常運転時の状態を示し、(B)は片側カラ運転時の状態を示している。
圧縮機外部において主吸込み管40が設けられていて、圧縮機近傍位置で主吸込み管40が第1の分岐吸込み管18Aと第2の分岐吸込み管19Aとに分岐される。第1の分岐吸込み管18Aはスクロール式圧縮機の第1の吸込み口20に接続され、第2の分岐吸込み管19Aは中途部に開閉弁41を備えたうえで第2の吸込み口21に接続される。
上記第1の吸込み口20は、先に説明した構成と何らの変更もない第1の作動室(図中、二本線で示す)Saを介して第1の吐出口22に連通される。第2の吸込み口21は、先に説明した構成と何らの変更もない第2の作動室(図中二本線で示す)Sbを介して第2の吐出口23に連通される。
第1の吐出口22と第2の吐出口23のそれぞれには第1の吐出管16と第2の吐出管17が接続されている。これら第1、第2の吐出管16,17は、そのまま別々な部位に連通する、もしくは1本にまとめられて所定の部位に連通する。
図6(A)に示すように、通常運転時は開閉弁41を開放し、バイパス管42に設けられる開閉弁43を閉成する。この状態で圧縮機を駆動すれば、主吸込み管40から第1の分岐吸込み管18Aと第2の分岐吸込み管19Aに分流した流体が、そのまま第1の作動室Saと第2の作動室Sbに導かれる。
したがって、先に説明したように、第1の作動室Saと第2の作動室Sbにおいて同時に圧縮作用が行われ、第1の吐出口22から第1の吐出管16へ、また第2の吐出口23から第2の吐出管17へ吐出される通常運転が行われる。
図6(B)に示すように、開閉弁41を閉成したうえで圧縮機を駆動すると、主吸込み管40から第1の分岐吸込み管18Aに分流した流体が、第1の作動室Saに導かれる。したがって、第1の作動室Saで圧縮作用が行われ、第1の吐出口22から第1の吐出管16へ吐出される。
主吸込み管40から第2の分岐吸込み管19Aに分流した流体は、開閉弁41が閉成されることで、それ以上の流通が遮断される。したがって、第2の作動室Sbでは、流体が供給されないから圧縮運転は行われない。換言すれば、第1の作動室Saのみで圧縮が行われる片側カラ運転となり、特に低流量域が指示された場合に、運転周波数(回転数)を高く保持した状態で圧縮運転を行うことができ、運転周波数の低下による電動機部6の効率低下などを防ぐことができ、高効率のスクロール式流体圧縮機を提供できる。
なお、以上説明した第1の実施の形態ないし第3の実施の形態においては、2種類もしくは1種類の流体を圧縮する圧縮機を適用したが、これに限定されるものではなく、ポンプに搭載して流体を移送するようにしてもよく、あるいは膨張機に搭載して流体を膨張するようにしてもよい。いずれにしても、2種類の流体を同時に処理可能であるとともに、1種類の流体を対象として一方の作動室のみでの処理に切換えが可能であることは、勿論である。
また、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
本発明における実施の形態に係る、スクロール式圧縮機の断面図。 本発明における第1の実施の形態に係る、圧縮機構部における圧縮工程を順に示す図。 同実施の形態に係る、巻始め側仕切り機構の横断面図。 同実施の形態に係る、巻終り側仕切り機構の横断面図。 本発明における第2の実施の形態に係る、圧縮機構部における圧縮工程を順に示す図。 本発明における第3の実施の形態に係る、圧縮機構部における通常運転と片側カラ運転を説明する回路図。
符号の説明
11…固定スクロール、10…旋回スクロール、11A…(固定スクロールの)鏡板部、10A…(旋回スクロールの)鏡板部、11B…(固定スクロールの)翼部、10B…(旋回スクロールの)翼部、Sa…第1の作動室、Sb…第2の作動室、f…巻始め端部、25…巻始め側仕切り機構(巻始め側仕切り手段)、z…巻終り端部、30…巻終り側仕切り機構(巻終り側仕切り手段)。

Claims (2)

  1. 鏡板部に渦巻状の翼部が設けられる固定スクロールおよび旋回スクロールを備え、これら固定スクロールと旋回スクロールの翼部相互を噛合して、固定スクロールと旋回スクロールとの間に第1の作動室と第2の作動室を形成し、旋回スクロールを旋回駆動して上記作動室の容積を同時に変化させ、流体の圧縮、移送もしくは膨張を行うスクロール式流体機械において、
    上記固定スクロール翼部と旋回スクロール翼部における、巻始め端部側の第1の作動室と第2の作動室を仕切る巻始め側仕切り手段と、
    上記固定スクロール翼部と旋回スクロール翼部における、巻終り端部側の第1の作動室と第2の作動室を仕切る巻終り側仕切り手段と
    を具備することを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 上記第1の作動室と第2の作動室は、互いに排除容積が異ることを特徴とする請求項1記載のスクロール式流体機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013075582A (ja) * 2011-09-29 2013-04-25 Fuji Heavy Ind Ltd 車両

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