JP2006192533A - 有機コーティング層を有する無機ナノ結晶、それらの製造方法、および前記ナノ結晶により構成される材料 - Google Patents

有機コーティング層を有する無機ナノ結晶、それらの製造方法、および前記ナノ結晶により構成される材料 Download PDF

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Abstract

【課題】有機コーティング層を備える無機ナノ結晶および前記ナノ結晶により構成される材料を提供すること。
【解決手段】ナノ結晶であって、少なくとも1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを備え、前記ナノ結晶の外側表面に、少なくとも1種の、式(I):
X-Y-Z (I)
(式中、
Xは、2つの硫黄もしくはセレンの原子により、前記ナノ結晶の外側表面の金属原子に結合されている1,1-ジチオレートまたは1,1-ジセレノエート基を表し;
Yは、電荷を移動させることが可能な基、または絶縁性基などのスペーサー基を表し;
Zはナノ結晶に特有の性質を伝達することが可能な基の中から選択される基である)の配位子化合物からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶。
それらの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機コーティング層を備える無機ナノ結晶に関し、また前記ナノ結晶により構成される材料に関する。
より明確には、本発明は、少なくとも1種の金属から、かつ/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなり、かつ、金属、および/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物の1つまたはいくつかの層からなるシェルを備えることができるナノ結晶からなる材料であって、前記ナノ結晶の外部表面に、特に、前記ナノ結晶を確実に安定化することを意図した有機コーティング層、特にキレート配位子などの配位子の層を備え、かつその層により被覆されている材料に関する。
それらのナノ結晶が1つ(またはいくつか)のシェルを備える場合、これらのナノ結晶は、代わりに「コア/シェル」型ナノ結晶と呼ばれる。特に、本発明は、シェルおよび有機コーティング層により取り囲まれることが好ましい、半導体コアA(II)B(VI)を備えているナノ結晶からなる発光性材料に関する。より明確には、本発明は、ZnSeのシェルにより、かつ有機コーティング層により被覆されたCdSeのコアを有するナノ結晶に関する。
本発明はさらに、前記ナノ結晶および材料を調製する方法に関する。
本発明の技術分野は、無機ナノ結晶の技術分野として、より明確には、少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の半導体化合物からなり、前記半導体化合物が少なくとも1種の金属を含むナノ結晶の技術分野として一般的な方法で定義できる。
ナノ結晶は、「ナノメートルの」結晶性物体と定義でき、換言すると、その大きさが一般に150オングストローム未満であり、12〜150オングストロームの範囲にあることが好ましい。
無機ナノ結晶は、数多くの分野において用途を見出している。
無機ナノ結晶および特に半導体ナノ結晶のための多数の用途は、光を発するそれらの結晶の能力に基づいている。このような蛍光性半導体ナノ結晶は、例えば化学または生体分子向け蛍光標識として、またはエレクトロルミネセンス素子において使用できる。
可視スペクトルにおける発光を得るために、所与の材料については、ナノ結晶の大きさの関数として発光される色を選択することができるという事実から学ぶことにより、狭い禁止帯ギャップを有する半導体ナノ結晶を主として研究対象としている。
発光性半導体ナノ結晶は、一般に式A(II)B(VI)の半導体からなり、ただし左式においてAは酸化状態+IIにある金属または非金属を表し、またBは酸化状態-IIにある金属または非金属などの化学元素を表す。
例えば、ZnS、ZnSe、CdS、CdSe、またはCdTeなどの半導体結晶A(II)B(VI)は、数十年にわたりそれらのフォトルミネセンス性状のため知られている。
1980年代および1990年代において、結晶が十分に小さくなると、それらの吸収および発光スペクトルが、結晶の大きさに依存することが示された。その大きさがおよそ1〜10nmの範囲にある結晶については、これらの結晶は「ナノ結晶」または「量子ドット」と呼ばれるが、この依存性が極めて顕著である(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、32、41〜53頁(1993))。
したがって、半導体ナノ結晶A(II)B(VI)について、それらの大きさおよび組成を適正に選択することにより、可視および近赤外および紫外における全領域の色を得ることができる。
一般に、ナノ結晶で作った発光材料の光学的品質は、いくつかのパラメータに依存しており、それらの最も重要なものは:
ナノ結晶の大きさであり、既に示したように、それが発光の波長を、したがって発光される色を決定し;
ナノ結晶の粒径分布であり、それが発光バンドの幅を制御し;
ナノ結晶の表面の不動態化であり、それが蛍光量子効率を担っている。
ナノ結晶A(II)B(VI)を調製するいくつかの方法が存在しており:
これらの結晶を調製する第1の方法は、水性媒質において開発されており(J.Am.Chem.Soc、109、5649〜5655頁(1987);J.Phys.Chem.、98、7665〜7673頁(1994))、または水/有機媒質混合物において開発されたもので、これには例えば「逆ミセル」と呼ばれる方法が含まれる(Langmuir、13、3266〜3276頁(1997))。
しかし、半導体ナノ結晶A(II)B(VI)へのこれらの水性合成の方法は、発光効率の低下および広いスペクトル幅が主な技術的欠点である試料へと導く。
他の調製方法が開発されているのは、これらの理由のためである。
したがって、J.Am.Chem.Soc、115、8706〜8715頁(1993)の論文は、CdBナノ結晶への有機金属合成方法を記述している(ただしB=S、Se、Te)。水性媒質における上述の方法と比較したこの有機金属方法の主な利点は、こうして調製したナノ結晶が、一般に10%未満である、より良好な粒度分布を有する事実にある。
この粒度分布は、はるかに狭い発光スペクトルにつながり、このことは明らかに技術的適用における利点となる。CdSeナノ結晶を調製するための主な有機金属合成方法は、下記の通りである:
従来の有機金属合成方法は、ジアルキルカドミウム、好ましくはジメチルまたはジエチルカドミウムをセレンと、両者をトリオクチルホスフィン(TOP)中に分散させて反応させることにあり、この分散液を高温でトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)中に注入し、このトリオクチルホスフィンオキシドが反応媒質として作用する。この合成は、文献J.Am.Chem.Soc、115、8706〜8715頁(1993)中に記載されている。
上記の合成方法を修正したものが、文献Nanoletters、1(4)、207〜211頁(2001)中に記載されている。この方法では、反応媒質が、TOPOの代わりにTOPOとヘキサデシルアミン(HDA)との混合物である。著者らは、粒度分布幅の改善をもたらし、それは5%前後である。
他の修正が、Z.A.PENGおよびX.PENGにより文献J.Am.Chem.Soc、123、183〜184頁(2001)中に提起されており、これらの著者らは、CdBナノ結晶への無機/有機金属合成方法を記述し(ただしB=S、Se、Te)、その中で自燃性かつ毒性のあるジアルキルカドミウム化合物を、アルキルホスホン酸により錯体を形成した酸化カドミウム(CdO)で置き換えている。この方法の主な利点は、ジアルキルカドミウム化合物よりもはるかに反応性が低く、かつ取り扱い易いCdOがカドミウム源を構成している点である。他の利点は、こうして調製したナノ結晶が非常に狭い粒径分布を有し、それが30nm前後の半値幅を有する狭い発光スペクトルにつながっている点である。
上述の調製方法では、蛍光量子効率の問題は解決されずに、その効率は低く、すなわち、CdSe結晶で通常5〜10%の間に留まっている。
論文J.Phys.Chem.、100、468〜471頁(1996)において、この効率を高める方法が提案されている。その方法は、この場合CdSeにおいて、この「コア」の周囲に、コアよりも禁止帯ギャップの広い、ZnSからなる第2の半導体のシェルを成長させることによりナノ結晶を不動態化することにある。この系は、科学文献において「コア/シェル」と呼ばれる。このシェルを析出させるのに使用される方法は、コアの調製に使用される方法と本質的に同じである。例えば、ZnSのシェルの析出は、高度に反応性の化合物ジエチル亜鉛およびビス(トリメチルシリル)スルフィドにより達成される。シェルが成長した後、著者らは、周囲温度において10%と50%の間の値まで、または50%を超える値までも、の蛍光量子効率の上昇を観察した。
M.G.BAWENDI等は、論文J.Phys.Chem.B、101、9463〜9475頁(1997))および米国特許第6207229号および国際公開第99/26299号において、この同種のCdSe/ZnSコア/シェル型ナノ結晶の調製を記述している。
論文J.Am.Chem.Soc、119、7019〜7029頁(1997)は、CdSe/CdSコア/シェルナノ結晶の調製を記載している。著者らは、周囲温度における少なくとも50%の値までの蛍光量子効率の上昇を報告している。
P.REISS等、Nano Lett.2(7)、781〜783頁(2002)の文献は、少なくとも1種のTOPOなどのホスフィンオキシド化合物および/またはホスフィンセレニドと会合している、少なくとも1種のヘキサデシルアミン(HDA)などの第一級アミンからなる有機不動態化層をその表面に備えているCdSe/ZnSeコア/シェル系により、60〜85%の効率値が達成されることを示している。例えばHDAおよびTOPOが会合している溶媒における同ナノ結晶およびそれらの合成が、フランス特許出願第A-2838241号中に記載されている。
従来技術に知られている方法の中で言及されていることから、無機/有機金属合成方法により、最良の光学的性状を有する半導体A(II)B(VI)ナノ結晶を調製することが可能であることが明らかになっている。実際、こうして調製したナノ結晶は、狭い粒径分布により、狭い発光バンド幅を有し、そのコア/シェル系は高い蛍光量子効率の値を有する(フランス特許出願第A-2838241号)。
生物学的標識の分野において、半導体ナノ結晶は、光線のもとでより良好な老化耐性を示す主な利点により、蛍光標識として現在使用されている有機着色剤に置き換わることができよう(M.Bruchez等、Science 281、2013〜2015頁(1998))。
しかし、この用途では、推測すれば、下記の理由により、ナノ結晶の表面上に見出される無機/有機金属合成に由来する有機分子の交換を要する。
1)ナノ結晶の表面に存在する分子は、疎水性を付与されており、そのため生理学的媒質、換言すると本質的に水性の媒質内におけるその使用が排除される。
2)前記分子は、標識を付けようとする生体分子と有機の結合ができない。
問題の分子は、例えば、TOPなどトリアルキルホスフィン型、TOPOなどトリアルキルホスフィンオキシド型、アルキルホスホン酸、カルボン酸またはアルキルアミンなどの界面活性剤であり、それらは極性のある先端により結晶表面に結合されているが、それらのアルキル鎖が外部に対して疎水性層を形成する。したがって、上記において既に引用した文献フランス特許出願第A-2838241号では、第一級アミンとホスフィンオキシドまたはホスフィンセレニド化合物の会合により形成される層が、ナノ結晶の表面に形成される。
ナノ結晶を水溶性にし、かつ生体分子との結合を可能にする1つの可能性は、その分子を、それらの表面で二官能性配位子と交換することである。前記配位子は、ナノ結晶の表面と親和力を有する官能基と、水中へのナノ結晶の可溶化、および/または生体分子との結合を可能にする官能基との両方を有する(W.C,W.Chan等、Science 281、2016〜2018頁(1998))。
フォトルミネセンス特性に基づくものではない半導体ナノ結晶の他の用途は、太陽電池における光起電力効果のための光電変換用新材料を得る目的で、それらのナノ結晶を共役ポリマーまたはオリゴマーフィルム中に組み込むことである。ナノ結晶は、太陽光の吸収体および電極への電子の運搬体の役割を果す(W.U.Huynh等、Science 295、2425頁(2002))。
これらの材料の効率は、それらの形態性を制御することが困難であることにより、現在は限定されている。それらの材料は、2つの成分、すなわち一方ではナノ結晶また他方では共役ポリマーを混合することにより製造され、それによりポリマーに富んだ領域およびナノ結晶に富んだ領域への相分離の現象を招く。その上、2成分間の界面は制御されず、そのことが電荷担体の移動の最適化を妨げ、材料の効率を低下させる。1つの改善の可能性は、化学結合を形成することにより、ナノ結晶上にポリマーをグラフト化することにある。こうして、相分離を避けることができ、ナノ結晶とポリマーの間の界面がより良好に画定される。この手法は、D.J.Milliron等、Adv.Mater.15(1)、58頁(2003)の文献において最近実際に使用されたが、その文献ではナノ結晶上に共役オリゴマーをグラフトすることを可能にする官能基を導入するために、共役オリゴマーを化学改質している。しかし、提案された方法は、多段階の有機合成を必要とし、多数の異なる共役ポリマー/オリゴマーに採用することは困難である。
これに反して、一方におけるナノ結晶と、他方におけるポリマー/オリゴマーとの連結分子としての役割を果す二官能性配位子を設計することは、ポリマーまたはオリゴマーの十分に確立された調製方法を変更する必要がないので、材料の選択に関してはるかにより大きい自由度をもたらす。
X-Y-Zタイプのこれらの配位子は、ナノ結晶の表面に関する強い親和力を有する官能基Xと、共役または非共役とすることができる「スペーサー」と呼ばれる基Yと、ポリマー/オリゴマーとの結合を可能にする官能基Zとを有する。
ナノ結晶の可能性のある用途を可能にするには、第一に、ナノ結晶の表面において二官能性配位子X-Y-Zにより有機分子を交換し、それにより水中における分散または他の分子へのグラフト化を可能にすることが必要であることは、前述したことに由来する。
大部分の文献例において現在使用されている二官能性配位子のタイプは、ナノ結晶の表面と結合する固着用官能基Xとして1つまたはいくつかのチオール基(-SH)を含有しており、この点に関して、W.C,W.Chan等、Science 281、2016〜2018頁(1998)およびS.F.Wuister等、Nano Lett.3(4)、503〜507頁(2003)の論文を参照することができよう。
水溶性にする(hydrosoluble)ためにチオールにより官能化されたナノ結晶は、例えば、2000年3月30日の特許出願国際公開第00/17656号の主題である。
しかし、刊行物J.Am.Chem.Soc、123(36)、8844〜8850頁(2001)は、表面にチオールを有するCdSeナノ結晶が、光酸化の現象に敏感であることを示している。UV照射下で、チオールは表面から離れ、二硫化物を生成する。したがって、コロイド状ナノ結晶を保護する有機層が消失し、ナノ結晶の析出を招く。すべてのタイプのチオール配位子についてこの過程が観察され、安定性の比較により、チオール含有の長アルキル鎖が、短鎖チオールおよび芳香族チオールよりも安定であることが示されている。この研究はまた、ナノ結晶の表面にいくつかのチオール基を有する配位子の安定性は、モノチオールの安定性よりも高くないことをも示している。チオール配位子の脱着を招く光酸化の現象は、半導体ナノ結晶に限らない。金ナノ結晶は、それを官能化するためチオールは最もしばしば使用される配位子なので、他の重要な例である。
結論として、ナノ結晶の官能化のために現在使用されるチオール配位子は、光安定性のものではなく、このようにして改質されたナノ結晶の用途をかなり制限するものであることを知ることができる。問題は、特に固着用官能基(-SH)にあり、その官能基が、種々のタイプのナノ結晶の表面との十分に安定な結合をもたらしていない。
官能化されたナノ結晶に関する他の文献は、文献米国特許第A-5990479号(1999年11月23日)、文献米国特許第B2-6444143号(2002年9月3日)、および文献国際公開第A-02/073155号(2002年9月19日)である。
文献米国特許第A-5990479号は、連結剤によって親和性分子に結合される発光性半導体ナノ結晶に関する。
親和性分子は、検出可能な物質に結合させることが可能であり、次いでナノ結晶が、特に生物学的用途において、ある材料中の前記物質の存在を検出するために、プローブの役割を果すことができる。
親和性分子は、例えば、配位子の中から選択され、また連結剤は、例えばN-(3-アミノプロピル-3メルカプト-ベンズアミド)チオールである。
文献米国特許第B2-6444143号には、コア/シェル構造を有することが好ましく、その構造が、ナノ結晶の表面に固着させるための少なくとも1つの連結基と、その間の電荷移動を防止するのに十分な疎水性の領域により連結基と隔てられた、少なくとも1つのヒドロキシル基とを有する化合物を含む外側層を備えた、水溶性の蛍光性ナノ結晶が記載されている。
このナノ結晶を調製するため、ナノ結晶の表面に見出されるTOPOなどの従来の配位子は、チオールなどのいくつかの連結基を含有する二座または三座配位子とすることができる他の配位子化合物に置き換えられる。すなわち、この化合物は、ジヒドロリポ酸などのジチオールとすることができる。
ジチオレート錯体は、この文献中に引用されていない。
文献国際公開第A-02/073155号はまた、特にヒドロキサム酸塩、またはヒドロキサム酸の誘導体の中から選択された水中における可溶化剤;多座錯化剤;ナノ結晶の表面に固定されたTOPOの層と界面活性剤層とからなる二層;非常に一般的な式(R1)a-R2-[(R3)b(R4)c]d(式中、R1は、18通りの可能性の中で-C(S)SHを表すことができる。)を満たす、いくつかの固着基を含有する分子を備えたコア/シェル型構造を有する半導体ナノ結晶をも記載している。しかし、このタイプの分子の具体例は言及されていない。
ナノ結晶の表面へのこれらの分子の結合の安定性に関しては、全く情報が示されていない。
その上、国際公開第A-02/073155号において特許請求されているナノ結晶は、専ら水溶性のナノ結晶であるが、一方、本発明において配位子X-Y-Z(下記を参照されたい)は、そのような水溶性に限定されない特定の性状をナノ結晶に賦与している。
さらに、国際公開第A-02/073155号において特許請求されているナノ結晶は専ら、半導体シェルを有する半導体ナノ結晶であるが、一方、本発明はまた、金属ナノ結晶、シェルのない半導体ナノ結晶、および多重シェルを有するナノ結晶にも関する。
引用している後2者の文献において、ナノ結晶を被覆する配位子が、それを水溶性とするために、必然的に親水性官能基を有する点に注目されたい。
特に、生物学的標識の分野以外にあり、水溶性を要しないナノ結晶について、数多くの用途がある点に言及することは重要である。
Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、32、41〜53頁(1993) J.Am.Chem.Soc、109、5649〜5655頁(1987) J.Phys.Chem.、98、7665〜7673頁(1994) Langmuir、13、3266〜3276頁(1997) J.Am.Chem.Soc、115、8706〜8715頁(1993) Z.A.PENGおよびX.PENG、J.Am.Chem.Soc、123、183〜184頁(2001) J.Phys.Chem.、100、468〜471頁(1996) M.G.BAWENDI等、J.Phys.Chem.B、101、9463〜9475頁(1997) 米国特許第6207229号 国際公開第99/26299号 J.Am.Chem.Soc、119、7019〜7029頁(1997) P.REISS等、Nano Lett.2(7)、781〜783頁(2002) フランス特許出願第A-2838241号 M.Bruchez等、Science 281、2013〜2015頁(1998) W.C,W.Chan等、Science 281、2016〜2018頁(1998) W.U.Huynh等、Science 295、2425頁(2002) D.J.Milliron等、Adv.Mater.15(1)、58頁(2003) S.F.Wuister等、Nano Lett.3(4)、503〜507頁(2003) 特許出願国際公開第00/17656号、2000年3月30日 J.Am.Chem.Soc、123(36)、8844〜8850頁(2001) 米国特許第A-5990479号(1999年11月23日) 米国特許第B2-6444143号(2002年9月3日) 国際公開第A-02/073155号(2002年9月19日) Method.Org.Chem.12/1、352〜353、453頁(1963) Aldana等、J.Am.Chem.Soc.123(36)、8844〜8850頁(2001)
上記において実施された研究に関して、従来技術の文献中に記載された配位子により官能化されたナノ結晶と比較して、特に、最も広く使用されているチオール配位子により官能化されたナノ結晶と比較して、改良された安定性、特にコロイド安定性を有する官能化ナノ結晶へのニーズが存在するように見える。
その上、一般に、発光性または非発光性であり、水溶性または他の溶媒に可溶である広い範囲の性状を有し、またその構造、特に官能化により、広い範囲の性状を確保しているナノ結晶へのニーズが存在する。
詳細には、特に紫外光に対して、改良された光安定性を有する配位子により官能化されたナノ結晶へのニーズが存在する。フォトルミネセンス性ナノ結晶の場合、長期間フォトルミネセンス性状が維持されるナノ結晶へのニーズが存在する。
その上、改良された安定性を有するこのような結晶は、限定された数のステップを含む簡単な、確実な、かつ信頼できる方法によって調製することができなければならない。同様にして、配位子は、非常に多様な構造の実現を保証する簡単で確実で柔軟性のある方法によって調製することができなければならない。
本発明の目的は、なかんずく、上述のニーズを満たし、かつ上記に挙げた必要条件および基準を満足させるナノ結晶を提供することである。
本発明のさらなる目的は、従来技術のナノ結晶の欠点、欠陥、限界および不利点を有しない、かつ従来技術のナノ結晶が提起している問題を解決するナノ結晶を提供することである。
この目的、および他の目的は、本発明により、最少1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを備えているナノ結晶により達成され、前記ナノ結晶の外側表面には、少なくとも1種の、式(I):
X-Y-Z (I)
(式中、
Xは、2つの硫黄もしくはセレンの原子により、前記ナノ結晶の外側表面の金属原子に結合されている1,1-ジチオレートまたは1,1-ジセレノエート基を表し;
Yは、電荷を移動させることが可能な基、または絶縁性の基などのスペーサー基を表し;
Zはナノ結晶に特有の性質を伝達することが可能な基の中から選択される基である。)の配位子化合物からなる有機コーティング層を備える。
本発明によるナノ結晶は、配位子の層と定義できる、ナノ結晶の外側表面が備える有機コーティング層が、式(I)の特有の化合物または配位子を含むという事実によって、従来技術のナノ結晶と基本的に異なっており、上式において、ナノ結晶の表面との配位子の結合を確実にする基Xは、具体的には、本発明により1,1-ジチオレートまたは1,1-ジセレノエート基である。
これらの基は、ナノ結晶が半導体または金属のいずれであっても、ナノ結晶の表面との配位子の強い結合を確実にする。
この結合は、従来技術の配位子、および特にチオール配位子、ならびにジチオールなどの多座配位子によるものよりも非常に強い。したがって、本発明によるナノ結晶の安定性は、種々の配位子により官能化された安定化ナノ結晶と比較して、かなり改善される。
各配位子分子(I)は、基Xの硫黄もしくはセレンの2個の原子により、ナノ結晶の表面の金属の同じ原子に結合し、こうして4個の原子による環を形成し、二座キレート配位子として作用するのが好ましいように見える。
本発明による特有のジチオレートまたはジセレノエート配位子によって、このような力による結合、および安定性におけるこのような改善を得ることができる点は、従来技術によって決して予見することができないものである。
本発明のナノ結晶は、前に列挙したすべてのニーズを満たし、従来技術のナノ結晶、特に、配位子が、チオールまたはジチオール基によりナノ結晶の外側表面に結合されたナノ結晶の問題点を解決する。
換言すると、本発明によるナノ結晶の主な利点は、なかんずく:
例えば、本発明の特徴である配位子(I)により、金属原子への前記配位子の高い親和力のため、ナノ結晶の表面に既に存在する配位子を単に置換することによって、非常に容易に調製されること;
キレート配位子(I)によりコーティングされた被覆ナノ結晶の、ナノ結晶表面の金属原子との該配位子の結合が強いことによる、高いコロイド安定性;
従来技術のナノ結晶に比較して非常に改善された光劣化への抵抗性;
特に、コア/シェル型ナノ結晶の場合に、従来技術のナノ結晶におけるよりも、また特にチオール配位子により被覆ナノ結晶よりも長く維持されるフォトルミネセンス性状
である。
スペーサーYの選択(Yを共役または非共役とし、ヘテロ原子を含有しまたは含有しないなど)およびZ基の選択における大きな自由度のために、ナノ結晶の性状を容易に適応させ、かつ改質することができる。この自由度は、特に、キレート化配位子化合物(I)が簡単な合成方法により調製できるという事実に由来する。
したがって、官能基Zは、炭化水素、アルコール、水、およびそれらの混合物などの種々の極性の溶媒中にナノ結晶を可溶にすることを可能とすることができる。その上、官能基Zは、生体分子、共役ポリマーなどの他の分子との結合を可能にすることができる。
最後に、本発明のナノ結晶の効果および利点は、半導体ナノ結晶A(II)/B(VI)に限定されないだけでなく、それらの結晶が単純なナノ結晶またはコア/シェル型ナノ結晶のいずれかである、他の半導体または他の金属によっても示される。
実際、本発明のナノ結晶の効果および利点は、固有な形で、配位子化合物(I)の特有の特性に関連付けられ、ナノ結晶の特性、またはその構造に関連付けられるものではない。
本発明による配位子(I)からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶は、蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶とすることができる。
蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶を、光による、好ましくは紫外光による照射にさらしておくことができる。
驚くべきことに、このような光照射、好ましくは紫外光による照射にさらした蛍光性、フォトルミネセンス性結晶は、光化学過程により、強化され、かつ改善された蛍光、フォトルミネセンス効率および強度を有する。
本発明はさらに、上述のナノ結晶を調製する方法に関する。
第1の実施形態において、上述のナノ結晶を調製する方法は、下記の連続したステップを含む:
a)少なくとも1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを有し、また場合によって、前記コアを取り囲む1つまたはいくつかのシェルを備えることができるナノ結晶であって、前記1つまたは複数のシェルが、(それぞれ)金属、および/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなるナノ結晶であり、前記ナノ結晶の外側表面に、式(I)の配位子化合物と異なった少なくとも1種の第1の配位子化合物からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶の、溶媒中の溶液を調製するステップ;
b)ステップa)の溶液に、前記ステップa)の溶液の溶媒中に可溶な式(I)の配位子化合物を、ナノ結晶が備える式(I)の配位子化合物と異なった第1の配位子化合物に対して、式(I)の配位子化合物が過剰となるように添加するステップ;
c)式(I)の配位子化合物による、第1の配位子化合物の本質的に全体的な交換をナノ結晶の表面上において達成するのに十分な時間の間、好ましくは攪拌のもとで、式(I)の配位子化合物と、ナノ結晶とを接触させたままにしておくステップ。
ステップb)における過剰とは、一般に第1の配位子化合物に添加した式(I)の配位子化合物のモル比が、例えば、5:1〜15:1であることを意味するものとする。
一般に、ステップb)において、式(I)の化合物は、HS(S)C-Y-ZまたはHSe(Se)C-Y-Zの酸形態、あるいはM(+)S(S)C-Y-Z(-)またはM(+)Se(Se)C-Y-Z(-)の塩形態(式中、M(+)=Li(+)、Na(+)、K(+)、Rb(+)、Cs(+)、NH4 (+)、PH4 (+))で、ステップa)の溶液中に添加される。
一般に、ステップc)における接触時間は、1〜5時間である。
一般に、溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、他の無極性もしくは低極性の溶媒、またはそれらの混合物の中から選択される。
第2の実施形態において、上述のナノ結晶を調製する方法は、下記の連続したステップを含む:
a)少なくとも1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを有し、場合によって、前記コアを取り囲む1つまたはいくつかのシェルを備えることができるナノ結晶であって、前記1つまたは複数のシェルが、(それぞれ)金属、および/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物の層からなるナノ結晶であり、前記ナノ結晶の外側表面に、式(I)の配位子化合物と異なった少なくとも1種の第1の配位子化合物からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶の、溶液を第1の溶媒中で調製するステップ;
b)ステップa)の溶液に、第2の溶媒中の式(I)の配位子化合物の溶液を添加するステップであり、前記式(I)の配位子化合物は前記第1の溶媒に溶解せず、その混合液から、第1の溶媒中のナノ結晶の溶液からなる第1の相と、第2の溶媒中の式(I)の配位子化合物の溶液からなる第2の相とを含む二相混合物を得るステップ;
c)好ましくは攪拌のもとで、前記第1および第2の相を、十分な時間の間接触させたままにしておくステップであって、それにより前記第2の相中にナノ結晶が本質的に完全に移動し、かつそのナノ結晶の表面で、式(I)の配位子化合物による、第1の配位子化合物の本質的に全体的な交換が行われるステップ。
一般に、ステップb)において、式(I)の化合物は、HS(S)C-Y-ZまたはHSe(Se)C-Y-Zの酸形態、あるいはM(+)S(S)C-Y-Z(-)またはM(+)Se(Se)C-Y-Z(-)の塩形態(式中、M(+)=Li(+)、Na(+)、K(+)、Rb(+)、Cs(+)、NH4 (+)、PH4 (+))で、ステップa)の溶液中に添加される。
一般に、ステップc)における接触時間は、1〜5時間である。
一般に、第1の溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、およびそれらの混合物などの無極性溶媒および低極性溶媒の中から選択される。
一般に、第2の溶媒は、メタノール、およびエタノールなどのアルコール、水、およびそれらの混合物などの極性溶媒の中から選択される。
本発明の方法は、その第1の実施形態においても、またその第2の実施形態においても、限られた数の単純なステップを有し、実施するのが容易であり、かつ、ナノ結晶を被覆することができるようにしたい1種または複数の配位子の選択において大きな自由度を可能にしている。
使用している試薬も容易に入手でき、かつ知られている反応により容易に調製することができる、すなわち、グリニャール合成によりHS(S)C-Y-Zジチオカルボン酸タイプの配位子の調製が、簡単な方法でかつ良好な収率により可能である(下記の実施例3および4を参照されたい)。
例えばキサンタン、ジチオカルバミン酸塩などの大抵の他のタイプの配位子が、塩基の存在において二硫化炭素(CS2)と反応するアルコール、アミン、ホスフィンなどから調製できる。
その第1の実施形態においても、またその第2の実施形態においても、本発明の方法は、ステップc)の終わりにまたナノ結晶が蛍光性、フォトルミネセンス性である場合に、配位子(I)からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶(前記ナノ結晶は、必要な場合、沈殿され、分離され、洗浄され、次いで乾燥されている)を光による、好ましくは紫外(UV)光による照射にさらす追加的なステップを含むことができる。
換言すると、ナノ結晶は、所与の時間、一般に1分または数分〜1時間または数時間、例えば1分〜10時間、光への、好ましくは紫外光への露光を受ける。
前記照射および露光は、蛍光、フォトルミネセンス効率を改善する光化学過程につながる。
例として示し、決して限定的ではない以下の詳細な説明を読むと、本発明はより明らかになるであろう。この説明は、添付する図面を参照して行われる。
本発明による材料は、有機コーティング層を有する無機ナノ結晶であると定義される。
無機ナノ結晶は、一般に少なくとも1種の金属、および/または少なくとも1種の半導体化合物からなる。
ナノ結晶は、例えば、少なくとも1種の金属からなる。
この金属は、任意の金属としてよいが、一般に、遷移金属と、希土類金属と、元素の周期表のIIIA、IVA、およびVA族の金属と、それらの合金と、前記金属および合金の混合物との中から選択される。
この金属は、アルミニウム、銅、銀、金、インジウム、鉄、白金、ニッケル、モリブデン、チタン、タングステン、アンチモン、パラジウム、亜鉛、スズ、それらの合金、ならびに前記金属および合金の混合物の中から選択されることが好ましい。
この金属は、金であることが好ましい。
ナノ結晶は、少なくとも1種の半導体化合物からなることができる。この半導体化合物は、式ABの半導体とすることができ、ただし左式においてAは酸化状態+IIにある金属または非金属を表し、またBは酸化状態-IIにある元素を表す。
Aは一般に、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、Sn、Pb、およびそれらの混合物の中から選択され、またBは一般に、O、S、Se、Te、およびそれらの混合物の中から選択される。
これらの化合物A(II)B(VI)の例は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびそれらの混合物である。
半導体化合物は、式CD(C(III)D(V))の半導体とすることもでき、ただし左式においてCは酸化状態+IIIにある金属または非金属を表し、またDは酸化状態-IIIにある元素を表す。
Cは一般に、Ga、In、およびそれらの混合物の中から選択され、またDは、Sb、As、P、N、およびそれらの混合物の中から選択される。
これらの式C(III)D(V)の半導体化合物の例は、GaAs、GaSb、GaN、InGaAs、InN、InGaN、InP、InAs、InSb、およびそれらの混合物である。
シリコンまたはゲルマニウムなどのIV族半導体を使用することも可能である。
AB化合物、CD化合物、およびIV族の半導体の混合物を使用することさえもできる。
本発明の一実施形態において、無機ナノ結晶はコア/シェル構造を有し、前記コアは、少なくとも1種の金属、および/または少なくとも1種の半導体化合物からなる上述のナノ結晶からなるが、一方、1つまたは複数のシェルは、(それぞれ)金属、および/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる。
このコアは、例えば15〜150オングストロームの直径を有するが、一方、1つまたは複数のシェルは3〜30オングストロームの厚さを有する。
ナノ結晶が1つまたは複数のシェルを備えていない場合、ナノ結晶は一般に、直径として、15〜150オングストロームのコアの直径を有する。
有機コーティング層は、一般に5〜100オングストロームの厚さを有する。
一方でコアを形成し、また他方で1つまたは複数のシェルを形成する材料についてすべての組合せが可能であるが、コアが第1の半導体化合物におけるものであり、一方前記コアを取り囲むシェル(単一シェルの場合)、または、コアがいくつかのシェルにより取り囲まれる場合、コアを内蔵する第1のシェルが、第1の半導体化合物(コアを形成する)と異なった第2の半導体化合物におけるものであることが好ましい。
第1および第2の半導体化合物は、上述の半導体化合物から選択される。
コアが、CdSeなど、上述のA(II)B(VI)タイプの半導体化合物におけるものであり、一方コアを取り囲むシェル、または、コアを取り囲む第1のシェルが、例えばZnSe、ZnS、またはCdSの中から選択された、第1の半導体化合物と異なったA(II)B(VI)タイプの半導体化合物におけるものであることが好ましい。
多重シェルの場合、2つの連続するシェルは、一般に異なった半導体化合物におけるものである。
したがって、多重シェルの場合、シェルを形成する材料は、すべての可能な上記に挙げた組合せの中から選択でき、例えば前記化合物はSnSe、CdS、およびZnSの中から選択できる。例えば、ZnSeのまたはCdSの第1のシェル、およびZnSの第2のシェルを有することができよう。
本発明により、外側無機ナノ結晶層を、一般式(I):
(I) X-Y-Z
を満たす特定の配位子からなる有機コーティング層で被覆している。
基本的な形では、本発明により、既に上述したように固着基とも呼ぶことができるX基は、1,1-ジチオレート基(-C(S)S-)、または1,1-ジセレノエート基(-C(Se)Se-)である。
本発明のナノ結晶の主な有利な性状は、この特定のX基のためである。
Y基またはスペーサー基は、電荷移動を可能にすることができる、または絶縁性とさえもすることができる非常に多様な基から選択できる。
Yは一般に、下記の式:
-R1-R- (II)
(式中、R1は:
単結合;
Figure 2006192533
ただし上基においてR2およびR3は独立に、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲンを表し;
Figure 2006192533
基、ただし、R'は水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲンを表し;
Figure 2006192533
基、ただし、R'は上記に示した意味を有し;
Figure 2006192533
基、ただし、R'は上記に示した意味を有し;
-O-;
-S-;
-Se-
を表し;またRは、炭素原子1〜30個、好ましくは1〜8個を有する線状もしくは分枝状アルキレン基を表し;前記アルキレン基の1個またはいくつかの炭素原子を場合によってO、N、S、P、およびSiの中から選択される1個またはいくつかのヘテロ原子により置換でき;前記アルキレン基は、二重および/または三重炭素-炭素結合などの1つまたはいくつかの二重結合および/または三重結合を、場合によってさらに含むことができ;また前記アルキレン基を、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素などのハロゲン、複素環式化合物、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキサミド基、=O、-CHO、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-PO4H2、-NHSO3H、スルホンアミド、モノアルキルアミノトリアルキルアンモニウム、またはさらにジアルキルアミノ基であり、その場合2つのアルキル基が、前記ジアルキル(C1〜C4)アミノ基に結合している窒素原子と共に環状環を形成することができ、それが場合によって1個またはいくつかの窒素、酸素または硫黄が割り込んでもよいジアルキルアミノ基、ならびにZ基の中から選択される1つまたはいくつかの基により、場合によってさらに置換でき;あるいは、Rは、複素環式化合物、アリール基、1つまたはいくつかの他のアリール環ならびに/またはアルキルおよび/もしくは複素環式環上に縮合したアリール基、シクロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アルキル-シクロアルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ヘテロシクロアルキル基、またはアルキル-ヘテロシクロアルキル基を表す。)に対応する。
本発明により、アルキル基についてのまたアルキル部分を含有する基についての用語アルキルは、特に明示されない限り、1個またはいくつかの酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素原子により場合によって担われ、または中断できる、また塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素などのハロゲン原子、複素環式化合物、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキサミド基、=O、-CHO、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-PO4H2、-NHSO3H、スルホンアミド、モノアルキルアミノトリアルキルアンモニウム、またはさらにジアルキルアミノ基であり、その場合2つのアルキル基が、前記ジアルキル(C1〜C4)アミノ基に結合している窒素原子と共に環状環を形成することができ、それが場合によって1個またはいくつかの窒素、酸素または硫黄が割り込んでもよいジアルキルアミノ基の中から選択される1つまたはいくつかの基により、場合によって置換できる、炭素原子1〜30個、好ましくは1〜8個を有する線状もしくは分枝状炭素鎖を意味する。
本発明により、アルコキシ基についてのまたアルコキシ部分を含有する基についての用語アルコキシは、特に明示されない限り、O-アルキル鎖を意味し、用語アルキルは上記に示した意味を有する。アルコキシカルボニル基のアルコキシ基は、炭素原子1〜4個を有することが好ましい。アシル基は、炭素原子2〜4個を有することが好ましい。
本発明により、複素環式とは、5つ、6つ、または7つの頂点、および窒素、硫黄、および酸素原子の中から選択した1〜3個のヘテロ原子を含む芳香族または非芳香族環を意味するものと解釈される。これらの複素環式化合物は、他の複素環式化合物上に、または他の環、特にフェニル基などの芳香族環上に縮合できる。さらに、前記複素環式化合物は、アルキル基により四級化されることができる。用語アルキルおよびアルコキシは上記に示した意味を有する。
複素環式化合物の中で、特に例として、次の環:チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、インドール、インドリン、カルバゾール、ピリジン、デヒドロキノレイン、クロモン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアジン、チアジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリジン、ジアゼピン、オキサゼピン、ベンゾトリアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、アゼチジン、ピロリジン、アジリジンを挙げることができる。
本発明により、シクロアルキルとは、3〜10個、好ましくは4〜8個のCを有する基を意味するものと解釈され、上記において定義した1つまたはいくつかの基により場合によって置換できる。シクロアルキル基の例は、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
本発明により、アリールは、特に明示されない限り、1つまたはいくつかの、Cが1〜18個のアルキル基、アルコキシ、アシル、シアノ、カルボキサミド、=O、-CHO、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-PO4H2、ヒドロキシル、アミノ、モノアルキル(C1〜C4)アミノ、またはジアルキル(C1〜C4)アミノであり、2つのアルキル基が、前記ジアルキル(C1〜C4)アミノ基に結合している窒素原子と共に環を形成することができ、そのことが場合によって1個またはいくつかの窒素、酸素または硫黄原子が割り込んでもよいジアルキルアミノにより場合によって置換できる、C6〜C30におけるアリール基を意味すると解釈される。アリール基は、場合によって上記のように置換できるフェニル基またはナフチル基であることが好ましい。
さらに、R1、R2、およびR3は、1つまたはいくつかの他のZ基を含有できる。
好ましいY基は、アルキル鎖-(CH2)n-(式中、n=1〜18、好ましくはn=12である。)、
Figure 2006192533
などの、場合によって置換できる芳香環、またはアルコキシ鎖-[(CH2)mO(CH2)m]n-(式中、m=1〜4、およびn=1〜6である。
その化学構造に応じて、Y基またはスペーサー基は、配位子X-Y-Zの電子的性状、ならびに前記配位子により被覆されるナノ結晶の安定性および溶解性に影響を及ぼすことができる。
例えば、芳香環-C6H4-からなるY基は、配位子X-Y-Zを通過する電子移動を許容できるが、-C12H14-などの長アルキル鎖からなるY基は、この電子移動を妨げる恐れがある。-(CH2)S-O-(CH2)2-O-(CH2)S-などのポリエーテル型Y鎖は、Yが酸素などのヘテロ原子を含有しない配位子と比較して極性媒質中のナノ結晶の溶解性を増加できる。その上、その化学構造に応じて、Yスペーサーは、1種またはいくつかの同一のもしくは異なったZ官能基を含有できる。
Z基は、任意の基とすることができるが、例えば所与の極性により規定される特定の溶媒中のナノ結晶の溶解性などの、特定の性質を得るために一般に選択される。
したがって、Z基は、炭化水素などの無極性溶媒中かつ/または低極性溶媒中におけるナノ結晶の可溶化を可能にする基の中から選択でき;または代わりに、Z基は、水、アルコール、またはそれらの混合物などの極性溶媒中におけるナノ結晶の可溶化を可能にする基の中から選択できる。
所与の極性を有する溶媒中におけるナノ結晶の溶解性を可能にする事実とは別に、Z基はさらに、ナノ結晶が生体分子、共役ポリマーもしくはオリゴマーなどの他の分子に結合されることを可能にでき、かつ/またはZ基は、共役ポリマーもしくはオリゴマーまたは生体分子を既に含有することさえもできる。
さらに、Z基は、ナノ結晶間の結合(換言すると、ナノ結晶と1つまたはいくつかの他のナノ結晶との間の結合)を可能にできる。
したがって、Z基は、ナノ結晶が他の分子と結合することを可能にする基の中から選択できる。
Z基は親水性基、特に、ヒドロキシル基、ホルミル基、アルコキシド、カルボン酸、アミン、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル、などの極性基、および、カルボン酸塩基、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、などの荷電基、ならびに類似体の中から選択されることが有利である。
Zは、Xと同一とし、したがってナノ結晶間の結合を可能にすることもできる。
Zは、単に水素原子とすることもできる。
すべての基の中で好ましいZ基は次の通りである。極性溶媒中におけるナノ結晶の分散を可能にするヒドロキシル(-OH);ナノ結晶の他の分子との結合を可能にするホルミル(-CHO)およびカルボン酸(-COOH)。
同一の配位子上にいくつかの同一のもしくは異なったZ基が存在でき、その場合その配位子は、
Figure 2006192533
のタイプの式(式中、Z1およびZ2は、同一でありまたは異なっており、Zについて既に示した意味を有する。)を有する。
その上、同一の配位子上にいくつかのX基が存在でき、その場合その配位子は、
Figure 2006192533
のタイプの式(式中、Y1、Y2、およびYiは同一でありまたは異なっており、またZ1、Z2、Z3、Z4、Z2i-1およびZ2iは同一でありまたは異なっており、ZおよびYについて既に示した意味を有する。)を有する。
その上、含んでいる(1つまたは複数の)Yおよび/またはZ基が異なるいくつかの配位子が、同一のナノ結晶上に存在でき、それにより前記ナノ結晶は、すべての所望の性質を付与されることが可能になり、溶解媒質および所望の用途の関数として、「誂え向きな形」でこれらの性質に適応させることが可能になる。
したがって、ナノ結晶上に、所与の溶媒中におけるナノ結晶の溶解性を確実にする配位子と、他の分子との結合を可能にする官能基を有する配位子とを共に導入でき、またはその代わりに、所与の溶媒中におけるナノ結晶の溶解性を確実にする官能基と、他の分子との結合を可能にする官能基とを含有できる同一の配位子さえも導入できる。
ナノ結晶の調製方法のために、ナノ結晶を官能化する間に、2つの配位子の比率を変更することにより、一種の官能基の数をもう一方の種に対して制御し、調節することが非常に容易である。
配位子(I)からなる有機コーティング層を備える本発明によるナノ結晶は、蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶とすることができる。
本発明によるナノ結晶を確実に蛍光性、フォトルミネセンス性とするために、無機コアおよび/またはシェルおよび/または配位子(I)の特性を、当分野の技術者は容易に選択できる。
ナノ結晶を蛍光性、フォトルミネセンス性とする場合、換言すると、ナノ結晶の所望される用途がその結晶の蛍光性、フォトルミネセンス性に依存する場合、ナノ結晶を光、好ましくは紫外光による照射にさらすことができ、それにより、光化学過程によって蛍光、フォトルミネセンス効率および強度を改善し、向上させる。
本発明によるナノ結晶を調製する方法を、ここにおいて、記述するであろう。
第1のステップにおいて、単一「コア」構造、または「コア/シェル」構造までをも有する無機ナノ結晶を調製し、次いでその表面に、本発明による有機配位子のコーティング層を固着させる。
本ナノ結晶を合成するために、任意の知られている方法が使用できる。
しかし、好ましい方法は、上記において既に言及した文献フランス特許出願第A-2838241号中に記述され、その方法により、式AB(式中、Aは酸化状態+IIにある金属または非金属であり、またBは酸化状態-IIにある化学元素を表す。)の半導体ナノ結晶の調製が可能である。
この方法では、AB半導体ナノ結晶を合成するために、Aの酸化物を、Bの粉末と反応させるステップにより開始する。
特定の試薬として、CdO、またはHgO、などのAの酸化物を選択する。このタイプの酸化物試薬、例えばCdOは、他の方法で広く使用されているジアルキル金属化合物、例えばジアルキルカドミウム化合物など、よりも反応性に乏しく、使用し易いからである。
CdOなどのAの酸化物は、通常アルキルホスホン酸と錯体を形成する必要がある。
種々の高沸点アルキルホスホン酸を、原則として、錯化剤として使用でき、このような酸は、例えば、下記の式:
Figure 2006192533
(式中、nは5〜15の全数である。)に対応する。
好ましい錯化剤は、ドデシルホスホン酸(DDPA)である。
Bの粉末は、この方法の第2の特定の試薬である。この粉末は、好ましくはSeの粉末、Teの粉末、またはSの粉末とすることができ、Seが好ましい。この試薬は通常、アルキル基が炭素原子4〜12個を有するトリアルキルホスフィン中に溶解し、好ましいトリアルキルホスフィンはトリオクチルホスフィンである。トリアルキルホスフィン中のBの粉末の濃度は、通常0.1M〜0.5Mである。
少なくとも1種のトリアルキルホスフィンオキシドと、少なくとも1種の第一級アルキルアミンとの混合物からなる特定の溶媒中で、この方法により反応が行われる。
第一級アルキルアミンは一般に、長鎖第一級アミン、換言すると炭素原子6〜24個、好ましくは14〜24個を含み、高沸点を有するものの中から選択される。好ましいアミンは、やはりヘキサデシルアミン(HDA)である。
トリアルキルホスフィンオキシドは一般に、アルキル基が炭素原子4〜12個を有するトリアルキルホスフィンオキシドの中から選択され、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)が好ましい。
溶媒混合物中に入るそれぞれの化合物の相対モル濃度が、ナノ結晶の成長速度論および粒径分布に影響することが観察されており、したがって混合物は一般に50〜90モル%のアルキルアミン、例えばHDAを含む。
好ましいモル濃度は、60〜80モル%のアルキルアミン、例えばHDA、である。
この方法の通常の実施の間、溶媒混合物、例えばTOPO/HDAおよび酸化物、例えばCdOを、溶媒の融解温度を超えてフラスコ内で加熱する。したがって、この温度は一般に60℃を超え、好ましくは150〜250℃である。
次いでDDPAなどの錯化剤を添加し、次いで260〜300℃前後まで温度を上げる。この加熱の間、CdOなどの酸化物の粉末は溶解し、CdOの場合、無色で透明な溶液が生成される。
錯化反応の温度は、大部分は溶媒を形成する2つの化合物、例えばHDAおよびTOPOの相対量によって決まり、トリアルキルホスフィンオキシドの、例えばTOPOの相対濃度が増加すると、この温度は低下する。
周囲温度でトリアルキルホスフィン、例えばTOP、中のB、例えばSeの溶液を別個に調製し、次いで非常に速やかにフラスコに注入する。注入中のフラスコ内の反応混合物の温度が決定的に重要である。その温度は、好ましくは、240℃と300℃の間でなければならない。
反応媒質の温度がナノ結晶の核生成および成長に非常に大きく影響することをここで指摘すべきであろう。一般に、同様な反応時間について、低い温度でより小さいナノ結晶が形成される。所与の温度について、ナノ結晶の最終的な大きさは反応時間により決定される。
反応時間は、例えば、2〜90分である。
所望の大きさのナノ結晶の試料を得るために反応混合物を冷却することにより、任意の時間に反応を停止できる。次いで、例えばメタノールとn-ブタノールとの適正な混合物を添加することによりナノ結晶が析出され、次いで、例えば遠心および精製により分離される。
上述の方法が、他の方法よりもコアナノ結晶のより良好な品質を確実にすることを付け加えるべきである。
このことは、非常に狭い粒径分布によるものであり、これが本方法の重要な利点である。本発明の方法により直接獲得される狭い粒径分布幅、すなわち5%未満にある試料を得るために、従来技術の方法では、所与の大きさの留分までナノ結晶を選別する―材料が高価な―ステップを使用しなければならない。
文献フランス特許出願第A-2838241号中に記述される方法は、所与の粒径留分にナノ結晶を選別するステップ(分別)を含まない利点を有し、他の方法よりもかなり簡単である。
半導体ナノ結晶の調製が終わると、前記ナノ結晶上に、例えばZnSeのシェルの合成および成長を実施できる。
このコア/シェル対(CdSe/ZnSe)は、この文献によれば、A(II)B(VI)についての最良の選択の1つを、またはできる限り最良の選択をも構成する。
ZnSeのシェルを調製するために2つのタイプの亜鉛前駆体:酸化亜鉛(ZnO)、および一般式:
Zn(RaCOO)2
(式中、Raは、炭素原子1〜24個を有する脂肪族アルキル基を表す。)の亜鉛カルボン酸塩が選択でき、好ましい亜鉛カルボン酸塩は、式:
[CH3(CH2)16CO2]2Zn
のステアリン酸亜鉛である。
それらの亜鉛前駆体の使用と結びついた利点は、特に、それらの亜鉛前駆体が工業的に生産される化合物であり、安価であり、またジアルキル亜鉛化合物よりもはるかに取り扱い易いという事実に由来する。
ZnOの場合、例えばCdOからの、コア調製についてのように、既に上記で記述したアルキルホスホン酸による錯化を要する。
ZnOは、350℃と360℃の間でトリアルキルホスフィンオキシド、例えばTOPO、中において、例えばドデシルホスホン酸(DDPA)により錯体を形成する。
得られた無色の溶液を、少量のトルエンまたは任意の溶媒中において、例えば約60℃で0.1M〜0.5Mの濃度まで希釈し、例えばそのレオロジ性状の改善を可能にする。
ステアリン酸亜鉛などの亜鉛カルボン酸塩の使用は、錯化ステップについてその生成物をトルエンなどの適正な溶媒中に単に希釈するものなので、一層より簡単である。
セレンの供給源は、コアの調製についてと同様であり、トリアルキルホスフィン、好ましくはTOP、中にセレン粉末を溶解する。この溶液を周囲温度で亜鉛の供給源(酸化物またはカルボン酸塩)を含有する溶液と混合する。さらに、得られた混合物は、シリンジによって合成が行われるフラスコ中に容易に注入できる。
シェルの成長のため、少なくとも1種のトリアルキルホスフィンオキシドと少なくとも1種の第一級アルキルアミンとの混合物からなる、好ましい混合物はTOPOとHDAとの混合物からなる、溶媒内へ注入が行われる。溶媒の混合物、例えばTOPO/HDAは、コアのナノ結晶、例えばCdSeとして、を分散させたものを含有する。
この混合物の温度は、第一義的に重要である。低過ぎると、ZnSeの結晶成長反応は全く起らない。これに反して、前記温度が高過ぎると、ZnSeの結晶核が形成され、例えばCdSeのコア上へのZnSeのエピタキシャル成長の代わりに、ZnSeのナノ結晶が現れる。その上、高過ぎる温度は、溶解に続く再析出によるナノ結晶間の材料の交換によって、例えばCdSeのナノ結晶の粒径分布の幅の広がりを招く恐れがある。この状況において、トリアルキルホスフィンオキシド/第一級アルキルアミン溶媒混合物、例えば高レベルすなわち50〜80モル%のHDAを有するTOPO/HDAは、決定的な役割を演ずる。HDAは、TOPOよりもZnに弱く結合しており、したがってより低い温度でシェルの形成を可能にする。その上、より低い立体障害のために、HDAは、特に、最も湾曲の小さい最大サイズのコア/シェル系について、TOPO(またはTOPSe)よりも表面のより良好な化学的不動態化を確実にする。
しかし、純HDAなどのアルキルアミンはシェルの成長に適した溶媒ではない。
したがって、最良の結果は、アルキルアミン、好ましくはHDA、60〜80モル%、すなわちトリアルキルホスフィンオキシド(TOPO)40〜20モル%からなる溶媒混合物で得られる。
シェルの表面上におけるHDAの存在は、本発明の方法により調製したナノ結晶、例えばCdSe/ZnSeの1H NMR(200MHz, CDCl3)スペクトルを測定することにより、HDAのアルキル鎖におけるa-CH2プロトンによるピークのために、定量的に決定できる。
る。
最後に、温度の選択は、合成に使用される、例えばCdSeのコアナノ結晶の大きさによって決まる。ほとんどの場合、この温度は170〜210℃の範囲にあり、最大のコアナノ結晶については最高値を使用する。ZnSe核の生成が、高濃度の亜鉛およびセレン前駆体により促進されるので、それらの溶液の注入は、一定の速度で極めてゆっくりとし、例えば注入しようとする全体体積5mlについて1時間当り3〜10mlであることが好ましい。
この目的のため、商業用自動化シリンジドライバタイプのマイクロ注入システムを使用するのが好ましい。
ZnSe前駆体の添加が完了すると、反応媒質を一定の時間、例えば1〜2時間、合成温度に維持して、シェルの「焼なまし」を可能にし、シェルの結晶性品質を向上させる。次いでこの混合物を、例えば60℃まで急冷する。
次いで、例えばメタノール/n-ブタノールの混合物による析出、分離および精製のステップは、コアナノ結晶の調製についての方法と正確に同じ方法で実施する。
例えばCdSeのコアナノ結晶の発光バンドの半値幅は、コア/シェル、例えばCdSe/ZnSeについて、極めて狭く、なんら粒径を選別する手順なしで、合成時、通常25〜30nmである。
こうして調製したA(II)B(VI)半導体コア/シェル型ナノ結晶の周囲温度における蛍光量子効率は非常に高い。蛍光量子効率は60%を超え、または、ある場合には80%を超える。
この方法が完了すると、シェルにより取り囲むことができるコアを備えるナノ結晶が得られ、前記コアは式ABの半導体ナノ結晶からなり、ただし左式においてAは酸化状態+IIにある金属または非金属(Cd、Hg)を表しまたBは酸化状態-IIにある金属または非金属などの化学元素(Se、S、Te)を表し、またシェルは、例えば、ZnSeの層からなり、ナノ結晶の表面には、少なくとも1種の、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)などのホスフィンオキシド化合物、および/またはトリオクチルホスフィンセレニド(TOPSe)などのホスフィンセレニドと会合した、少なくとも1種のヘキサデシルアミン(HDA)などの第一級アミンからなる有機不動態化層を備えている。
第1のステップの終わりに得られる無機ナノ結晶は、一般に、それを調製するため使用されるまさにその調製方法のため、本発明による式(I)の特定の配位子に対して異なった配位子からなる有機コーティング層を備えている。
配位子は、一般に、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)などの、アルキル基が炭素原子4〜12個を含むトリアルキルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンセレニド(TOPSe)などの、アルキル基が炭素原子4〜12個を含むトリアルキルホスフィンセレニドなどのホスフィンセレニド;トリオクチルホスフィン(TOP)などの、アルキル基が炭素原子4〜12個を含むトリアルキルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン;ヘキサデシルアミン(HDA)などのアルキル基が炭素原子6〜24個を含むアルキルアミンなどの第一級アミン;およびステアリン酸などのカルボン酸;ならびにそれらの混合物の中から選択される。
第2のステップにおいて、本発明によるナノ結晶を調製するために、上記において調製し、その外側表面に、本発明によるナノ結晶に特有の式(I)の配位子と異なった、1種またはいくつかの配位子からなるコーティング層を有するナノ結晶を溶液に入れる。
第2のステップの第1の実施形態において、本発明による、酸HS(S)C-Y-ZまたはHSe(Se)C-Y-Zの形態にある配位子(I)は、上述のナノ結晶の溶液(「交換前」として知られるナノ結晶の溶液)を調製するのに使用したものと同一の溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、他の無極性溶媒もしくは低極性溶媒、またはそれらの混合物中に可溶である。
記述全体にわたって、ジチオレートまたはジセレノエートであるナノ結晶の外側表面に固定された有機分子と、それに対応する、ジチオカルボン酸またはジセレノカルボン酸形態でその場合見出される溶液中の有機分子とを無差別に示すため、用語「配位子」を使用している点に留意されたい。
式(I)の、本発明によるこれらの新たなジチオレートまたはジセレノエート配位子によるナノ結晶の表面における分子の交換は、ナノ結晶上に存在する配位子に比べて新しいこれらの配位子(1)の過剰量(すなわち、例えば5:1から15:1のモル比)が溶液中に得られるような方法で、第1のステップからのナノ結晶の溶液に式(I)の新たな配位子を添加するステップにより簡単に行われる。
配位子(1)による、最初に存在する配位子の完全かつ全体的な交換は、周囲温度(25〜30℃)における攪拌のもとで一般に1〜5時間という時間内に得られる。
一般に、次いでナノ結晶の溶液に、異なった極性を有する溶媒または溶媒の混合物を添加することによって、配位子(1)からなる、有機コーティング層を備えるナノ結晶を沈殿させる。これらの溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、または他の極性溶媒の中から一般に選択される。
所望される場合、場合によって次いで、ナノ結晶は一般に、例えば濾過により分離でき、次いでナノ結晶は一般に、沈殿に使用したものと同一の溶媒で1〜4回洗浄し、すすぐ。次いでナノ結晶は一般に、温度20〜60℃で好ましくは真空下において、例えば1〜5時間の間乾燥する。
特に新たな配位子が、メタノール、エタノールなどのアルコール、もしくは水またはそれらの混合物などの、ナノ結晶を分散させるために極性があり過ぎる溶媒中に可溶ではない場合に、第2のステップの第2の実施形態が用いられる。
特に、式M(+)S(S)C-Y-Z(-)、またはM(+)Se(Se)C-Y-Z(-)、(式中、M(+)は、Li(+)、Na(+)、K(+)、Rb(+)、Cs(+)、NH4 (+)、およびPH4 (+)の中から一般に選択される。)の塩形態における配位子(1)を使用する場合がそうである。
次いで、不均一二相交換が実施され、その場合溶媒、好ましくはクロロホルムなどの無極性溶媒、中のナノ結晶(「古い」配位子を有する)の相と、新たな配位子(1)(メタノールまたは水などの極性溶媒中の)の相とを、ナノ結晶が極性溶媒中に完全に移動するまで、好ましくは激しい攪拌のもとで完全に接触させる。
一般に、配位子(1)で被覆ナノ結晶を、第1の実施形態におけるものと同一の方法で沈殿でき、分離でき、洗浄でき、また乾燥できる。しかし、沈殿およびすすぎ、および洗浄に使用される溶媒は、この場合、例えばヘプタン、ヘキサン、またトルエン溶媒の中から選択される無極性溶媒である。
ステップc)の終わりに、第1の両実施形態においても、また第2の実施形態においても、沈殿、分離、洗浄、かつ次いで乾燥できる、配位子(1)からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶は、光により、好ましくは紫外光、例えば波長365nmを有するUV光による照射を受ける。
この照射は、配位子(1)からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶が蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶である場合に実施する。
換言すると、蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶を使用する場合、前記ナノ結晶は、ステップc)に続いて、また、所望される場合、沈殿、分離、洗浄(すすぎ)、および乾燥ステップの後で、蛍光、フォトルミネセンス効率および強度を上げかつ向上させるために光化学処理を受ける。前記照射は、配位子(1)からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶を適正な溶媒中に分散させるステップと、光照射、好ましくは紫外光にナノ結晶を曝すステップとにより実行するのが好ましい。
分散のために使用される前記溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、およびそれらの混合物などの無極性溶媒および低極性の溶媒の中から、またはアルコール、水、およびそれらの混合物などの極性溶媒の中から選択できる。
試料の最大蛍光を得るのに必要な照射時間は、1分または数分から1時間または数時間、例えば10時間、まで延長でき、また、詳細には1時間とすることができる。
この照射時間は、光源の仕様、光源とナノ結晶試料との間の距離、試料濃度(溶媒中のナノ結晶分散物に照射する場合)などの実験条件に応じて変更でき;前記時間は、フォトルミネセンス分光法により決定できる。
より明確には、特にUV光による照射の時間、持続時間は、一般に1分〜10時間、好ましくは10分〜200分、より一層好ましくは50分〜100分、例えば60分である。
例として、好ましくはクロロホルムなどの溶媒中の分散物であるナノ結晶の試料を、365nmで発光する100W水銀灯から3〜5cmの距離にある石英製ボウルに入れ;この試料を1時間の照射に曝す(図3参照)。
本発明は、ここで、例として示され、かつ決して限定的ではない下記の実施例を参照して記述されるであろう。
空気敏感性材料のすべての取扱いは、標準技術(またはSchlenk型)真空マニホールドまたはアルゴンのもとでグローブボックスを使用して実施した。
すべての製品は、ALDRICH社からのものであった。酸化カドミウム(純度0.999)、酸化亜鉛(純度0.999)、セレン粉末(純度0.99999)、ステアリン酸亜鉛(純度0.95)、マグネシウム(純度0.9998)、1-ブロモドデカン(純度0.97)、4-ブロモトルエン(純度0.98)、二硫化炭素(純度0.999)、1-ドデカンチオール(純度0.985)、4-メトキシチオフェノール(純度0.97)、ならびにトルエン、THF、メタノール、および無水n-ブタノールは、そのまま使用し;トリオクチルホスフィン(TOP、純度0.9)、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO、純度0.9)、およびヘキサデシルアミン(HDA、純度0.9)は、蒸留により精製した。
ドデシルホスホン酸(DDPA)は市販されていないので、Method.Org.Chem.12/1、352〜353、453頁(1963)中に発表されている方法に従うことにより合成した。生成物は1H、13Cおよび31P核のNMR分光法により同定した。
光学的特性:HEWLETT-PACKARD(登録商標)8 452A分光光度計でUV〜可視吸収スペクトルを測定し、解像力0.1nmを有するJOBIN-YVON(登録商標)HR 460モノクロメータに組み合わせたCCDカメラでフォトルミネセンススペクトルを得た。高域通過フィルタ(400nmでカット)により、励起波長(365nm)を放射した。
これらの分光学的測定のため、トルエン中に希釈したナノ結晶のコロイド溶液を光路1mmの石英製ボウル中に入れた。
NMRスペクトルは次の条件のもとに実施した:BRUKER(登録商標) AC 200、200MHz
(実施例1)
この実施例では、発明者らはTOPO/TOPを被覆したコアCdSeナノ結晶の調製について記述する。
次いで、これらの結晶は、CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶の調製において使用されるであろう。
精製アルゴンの一定流のもとで、51.4mgのCdO(0.4ミリモル)を二首フラスコ中に入れた。次いで、0.15mlのTOPO、および2.85mlのHDAを添加し、HDAのモル分率80%を有する溶媒混合物を形成させた。次いで容器を、磁気攪拌のもとで200℃まで加熱した。この時点で、230μlのDDPA(0.8ミリモル)を添加し、1時間で270℃前後まで温度を上げた。この時間の間に、錯化反応―すなわち、酸化カドミウムのDDPAとの反応によりリン酸カドミウムを生じる反応―が行われ、無色の液体が生成する。次いで、250℃まで温度を下げ、安定化させた。
次いで、10mlのTOP中に157.9mg(2ミリモル)のSe粉末を溶解することにより、周囲温度で濃度0.2モル/lのセレンの溶液を別個に調製した。次いで、やはり激しい攪拌のもとで、この溶液2.5mlを、Cd前駆体を含有するフラスコ中に急速に注入した。ナノ結晶の成長過程を監視するような方法で、反応媒質から100μl量の試料を定期的に採取した。注入後3分と30分の間の間隔において反応を停止する場合、最も狭い粒径分布が得られ、ナノ結晶の平均直径は3.2nm(反応3分について)〜4.6nm(30分)の範囲であった。所望の大きさに達したとき、約60℃まで反応媒質を冷却した。次いで、10mlのメタノールと1mlのn-ブタノールとの混合物を添加することにより、コアナノ結晶を沈殿させた。次いで、それらのナノ結晶を、遠心により過剰の液体から分離し、メタノール中で洗浄し、かつアルゴン流により乾燥した。ナノ結晶は、それらの光学的性質の測定を行うため、トルエン、クロロホルム、アルカン、エーテルなどの種々の有機溶媒の溶液中に戻すことができる。
上述の反応中に採取した一連の試料の吸収およびフォトルミネセンススペクトルにより、いくつかの結論を引き出すことが可能になった。
吸収スペクトルは、励起子ピークのほかに、最高エネルギー励起状態の特性的な事象を示した。フォトルミネセンスピークは、低い半値幅、すなわち25nmと29nmの間を有し、このことは、議論の余地なく、調製したナノ結晶の粒径分布が非常に狭いことを示している。これは、METにより行われる粒径分布の測定により確認され、なんら粒径選別工程への必要性を有することなく、平均に対する最大偏差が5%未満である。
上記の反応の間、10分後に試料採取したCdSeナノ結晶についての、JEOL 3010電子顕微鏡への励起電圧300kVにより得られたMET像は、本発明による方法のために、それらの結晶の粒径分布が十分に狭く、超三次元網目上へのそれらの「晶出」を可能にしていることを示している。
(実施例2)
この実施例では、発明者らは、亜鉛源としてステアリン酸亜鉛によるTOPO/TOP/HDAを被覆したCdSe/ZnSeコア/シェルナノ結晶の調製について記述する。
フラスコ内において、632.3mgのステアリン酸亜鉛(ZnSt2)(1ミリモル)を5mlのトルエンと混合し、中程度に加熱することにより、濃度0.2モル/lのステアリン酸亜鉛(ZnSt2)の溶液を調製した。
濁ったままであるこの分散液2.5mlを、周囲温度で、実施例1におけるように調製した、同体積の濃度0.2モル/lのTOP中のSe溶液と混合した。この混合物の全部を注入器に入れた。
合成用のフラスコ内において、実施例1に記述したように調製した平均直径3.6nmおよび5%未満の粒径のばらつきを有するコアナノ結晶約20mgを、2.0mlのTOPOと2.0mlのHDAとからなる(すなわち、約2対3のモル比)溶媒混合物中に分散させた。次いで、この混合物を190℃まで加熱した。温度が安定化すると直ぐに、フラスコの内容物を激しく攪拌しながら、5ml/時の割合でシリンジドライバを使用してそのフラスコ中にZnSt2/Se混合物を含有する溶液をゆるやかに注入した。実施例1に記述するように、定期的に試料採取することによりシェルの成長を監視した。ZnSt2/Se混合物の注入が完了すると、ナノ結晶を「焼きなまし」て、シェルおよびコア/シェル界面における積重なり欠陥を防止するために、190℃で90分間フラスコをそのままにした。60℃までフラスコを冷却することにより、合成を完了した。実施例1に記述した方法を使用して、得られたナノ結晶を沈殿させ、精製した。それらのナノ結晶の光学的性質を測定するため有機溶媒による溶液にそれらを戻した(実施例1参照)。
(実施例3)
この実施例では、発明者らは、1-ジチオトリデカン酸の合成について記述する。
不活性なシールガス(blanket)下でフラスコ(三首)内に、10mlの無水THFで覆って5当量のマグネシウム(0.1モル/2.44g)を入れた。20mlの無水THF中に溶解した1当量のブロモドデシン(0.02モル/5.01g)を1滴ずつ添加した。完了すると直ぐに、混合物を60℃で2時間加熱した。灰色の懸濁液が得られた。
グローブボックス内で、10mlの無水THF中に3当量の二硫化炭素(0.06モル/4.56g)を有するフラスコ(二首)を準備し、グローブボックスの外で-5℃まで混合物を冷却した。不活性シールガス下で、先に調製した灰色懸濁液を1滴ずつ添加した。得られた混合物は黄色に変り、次いで橙色に変った。次いで、周囲温度まで温度を上げ、12時間攪拌下のままとした。
40mlのジエチルエーテル/水混合物(1:1)で、反応混合物を加水分解した。有機相は黄-橙色になり、水性相は黄色になった。15mlのHCl(0.2M)でそれを酸性にした。酸性の形態にある生成物が有機相に移ったので水性相は無色になった。収率を最適化するため、エーテル(pH=7)で数回水性相を抽出した。有機相を一緒に加え、水(100ml)で抽出し、MgSO4上で乾燥し、かつ回転蒸発器中で濃縮した。3.46g(70%)の輝黄色の、一部結晶化した油を回収した。生成物を、1Hおよび13C核のNMR分光法により、また元素分析により同定した。
(実施例4)
この実施例では、発明者らは、4-ジチオトルイル酸の合成について記述する。
不活性シールガス下でフラスコ(三首)内に、10mlの無水THFで覆って5当量のマグネシウム(0.05モル/1.21g)を入れた。15mlの無水THF中に溶解した1当量の4-ブロモトルエン(0.01モル/1.71g)を1滴ずつ添加した。数滴後、還流が始まり、溶液は曇った。完了すると直ぐに、混合物を60℃で2時間加熱した。溶液は暗褐色になった。
グローブボックス内で、10mlの無水THF中に3当量の二硫化炭素(0.03モル/2.34g)を有するフラスコ(二首)を準備し、グローブボックスの外で-5℃まで混合物を冷却した。不活性シールガス下で、先に調製した褐色懸濁液を1滴ずつ添加した。数滴後、溶液は黄色になり、次いで暗赤色になった。次いで、周囲温度まで温度を上げ、12時間攪拌下のままとした。
40mlのジエチルエーテル/水混合物(1:1)で、反応混合物を加水分解した。有機相は黄-橙色になった。それを精製するため、エーテル(150ml)で水性相を抽出し、また第2の生成物を含有する一緒に添加した有機相を捨てた。次いで、25mlのHCl(0.2M)で水性相を酸性にし、エーテルで抽出した;有機相は暗青紫色になった。相が無色になるまで酸性化および抽出を続けた(0.2M HCl 25ml、エーテル200ml)。有機相を一緒に加え、水(100ml)で抽出した。MgSO4上で乾燥した後、回転蒸発器中で有機相を濃縮した。720mg(43%)の青紫色の、一部固化した油を回収した。生成物を、1HのNMR分光法(図1B参照)および13C核のNMR分光法により、また元素分析により同定した。
(実施例5)
この実施例では、発明者らはジチオレート型の配位子でコーティングした、本発明によるナノ結晶の調製について記述する。
実施例1および2中に記述するように調製したCdSeまたはCdSe/ZnSeナノ結晶を、3mg/mlの濃度で、無水クロロホルム中に再分散させた。配位子の交換のため、20mgのジチオカルボン酸、1-ジチオトリデカン酸または4-ジチオトルイル酸のいずれかを、「古い」配位子を有するナノ結晶の溶液1.5mlを含有するマイクロチューブ内に入れた。これを30℃で2時間攪拌下に置き、本発明による新しい配位子によって、古い配位子を確実に完全に交換した。次いで、3mlのメタノールで、ジチオレートにより被覆したナノ結晶を沈殿させ、また、過剰の1-ジチオトリデカン酸または4-ジチオトルイル酸、および表面から脱着された配位子を除去するため、同一の溶媒で数回洗浄した。真空マニホールド内でナノ結晶を乾燥し、また、クロロホルムまたはCDCl3中に再分散させた。この交換は、NMR、UV-可視光、またはIRなどの標準分析技術により特性付けできる。
(実施例6)
この実施例では、発明者らはチオール型の配位子により被覆したナノ結晶の調製について記述する。
ジチオレート型の配位子で被覆したナノ結晶の調製に使用したものと同一の方法(実施例5を参照されたい)を適用して、4-メトキシチオフェノール(Z-Y-SH、ただしY=C6H4かつZ=OCH3)およびドデカンチオール(Z-Y-SH、ただしY=(CH2)12かつZ=H)であるチオール型配位子による交換を実施できる。
しかし、事実上完全な交換が得られるためには、反応時間を増加させなければならない(少なくとも72時間まで)。
(実施例7)
この実施例では、発明者らはナノ結晶の表面について、ドデカンチオール配位子およびトリデカンジチオレート配位子の親和力を比較する。
他の固着用官能基を含有する配位子と比較して、チオールまたはジチオレート型の配位子を有するナノ結晶の安定性を検討するため、実施例5および6において調製したナノ結晶をCHCl3に再溶解し、補足的な配位子を過剰に添加した。
この例では、TOPO、TOP、およびHDAにおけるアルキル鎖プロトンに比較して芳香族プロトンの化学シフトの変位が大きいために、芳香族プロトンによって1HのNMRスペクトル(図1Bにおける4-ジチオトルイル酸のNMRスペクトルを参照されたい)により交換のレベルを簡単に検出することが可能になるので、実施例4において調製した4-ジチオトルイル酸を使用した。
比較のため選択したチオールは、メトキシ官能基によりNMRスペクトルにおいて4-ジチオトルイル酸との明確な区別が可能になるので(図1Aにおける4-メトキシチオフェノールのNMRスペクトルを参照されたい)、4-メトキシチオフェノールであった。前と同じ方法で精製を行った。
1HのNMRスペクトルは、チオール型配位子(すなわち4-メトキシチオフェノール)が、1時間後にジチオレート型配位子(すなわちジチオトルイル酸)によって完全に置き換えられたことを示す(図1A〜1Fを参照されたい)。反対の場合、72時間後でも、ナノ結晶の表面に約5〜10%のジチオレート型配位子が残留していた。このことは、明らかに、交換反応の間に形成される結合が、チオールに比べてジチオレート型配位子の場合に、より安定であることを示す。
詳細な形で、図1A〜1Fにおいて、ナノ結晶の表面についての従来技術のチオール配位子に比べて新たなジチオレート配位子のより大きい親和力がNMR分光法によって示される。
上述のように、最初CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶の表面上の配位子を、4-メトキシチオフェノール(Z-Y-SHチオール型配位子、ただしY=C6H4かつZ=OCH3:図1Cにおけるスペクトル)(実施例6)により置き換えた。
ナノ結晶の同一バッチからの他の試料を、4-ジチオトルイル酸(Z-Y-C(S)SHジチオレート型、ただしY=C6H4かつZ=CH3;図1Dにおけるスペクトル)(実施例5)で処理した。4-ジチオトルイル酸に比べて、4-メトキシチオフェノールによる交換についての反応時間が非常に長い(1.5時間と比べて70時間)にも拘わらず、最初の配位子(トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィン、ヘキサデシルアミン)の置換は全部ではなかった。これらの配位子のアルキル鎖中のプロトンによる、NMRスペクトルにおける0.8ppmと1.8ppmの間の重要なピークが、その証拠を提供する。図1Dにおけるスペクトル中の-SH官能基のピーク(d=6.62ppm)の消失も観察され、これはナノ結晶の表面との結合中における4-ジチオトルイル酸の脱プロトン化を示す。
残りのものについては、既に記述したように、それぞれの2つの試料に過剰の追加的配位子を添加した(実施例7を参照されたい)。詳細には図1EにおけるNMRスペクトル中のメトキシ基プロトンピーク(d=3.7ppm)の不在が示すように、ジチオレート型配位子によりチオールは急速に置き換えられた(1時間後)。この反対の場合、1時間後に配位子の交換は検出することができず、また反応時間72時間後でさえも、ナノ結晶の表面上にジチオレート型配位子が残留した。それは、詳細には図1FにおけるNMRスペクトル中のメチル基のプロトン(d=2.3ppm)のために見ることできる。
(実施例8)
この実施例では、チオール配位子により被覆したナノ結晶と比較した、ジチオレート型配位子(本発明による)により被覆したナノ結晶の、光束下におけるより良好な安定性を示すために光劣化実験を行った。
これらの実験のため、試料はクロロホルム溶液とし、また同一の光学濃度(励起子ピークの0.1〜0.5)を有し、したがって同一の濃度であった。これらの試料は、石英製ボウルに入れ、水銀蒸気ランプ(照射波長365または254nm)により連続的に照射した。ナノ結晶の表面における配位子の脱着は、ナノ結晶のコロイド安定性を低下させ、ナノ結晶の沈殿を招いた。このことは、定期的に記録したUV〜可視吸収スペクトル中に見ることができる。シグナルが急速に低下するほど、ナノ結晶の安定性がより低い。光劣化は、励起子ピークの青色へのシフトにより見ることができ、それは結晶の平均粒径の減少を意味する。Aldana等(J.Am.Chem.Soc.123(36)、8844〜8850頁(2001))により行われた光劣化実験において最も抵抗性のあったのがこのタイプの配位子であったので、長鎖アルキルを有するチオール、1-ドデカンチオールを選択した。この配位子を、実施例3により調製した1-ジチオトリデカン酸と比較した。したがって、2つの配位子X-Y-Z間の唯一の差異は、固着用官能基X(チオールまたはジチオレート)であり、一方Y-Z化学基は同一である(C12H25)。
図2Aは、本明細書において以後基本結晶と呼ぶ、その表面における配位子の交換前のCdSeナノ結晶の試料について得られたスペクトルを示す。365nmにおける33時間の照射後、ほとんどすべてのナノ結晶は沈殿し、約570nmの励起子のピークはスペクトル中にもはや見られなかった。CdSeナノ結晶の表面における配位子は、実施例6において記述したように1-ドデカンチオールにより交換され;NMR分光法を使用して、交換が完了したことを確実にした。365nmにおける照射下で、光劣化時間はほぼ同じままであり;50時間後、すべての結晶が沈殿した(図2B)。
ジチオレート配位子により結晶表面を完全に被覆するために、ナノ結晶の同一バッチからの第2の試料を、実施例5において記述したように1-ジチオトリデカン酸で処理した。この場合、スペクトルにおいて励起子ピークが存在すること(図2C)、およびコロイド溶液を含む石英製ボウルの壁上への析出物がないことから示されるように、67時間の照射後でも、ナノ結晶の沈殿は起らなかった。
照射のためより高エネルギーの光(254nm)を使用することにより、劣化のための時間スケールがより短くなったが(1〜2時間)、しかし再び、ジチオレート型配位子を被覆したナノ結晶は、基本結晶およびチオールを被覆した結晶よりも安定であることが判明した。CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶の場合、CdSe結晶についての場合と同じオーダの安定性が観察された。その上、配位子を交換する前、およびチオールに交換した後のCdSe/ZnSe結晶の蛍光は、365nmにおける照射2時間未満で急速に減少したが、ジチオレート型配位子を被覆したCdSe/ZnSe結晶は、放射波長においてなんら変化がなく90時間後もまだ蛍光を発していた。このことは、ナノ結晶のフォトルミネセンス性状に基づいている用途のための主な利点である。
(実施例9)
この実施例では、その蛍光効率を高めるために、1,1-ジチオレート型配位子(本発明による)により被覆した蛍光性ナノ結晶の試料に、光化学処理を行った。
この実験のため、実施例5と類似した方法で調製した1-ジチオトリデカン酸で処理したCdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶のクロロホルム中の分散液を含む石英製ボウルを、100W水銀蒸気ランプから4cmの距離に置いた。
次いで、波長365nmで試料は連続的に照射された。
図3は、照射時間の関数として、蛍光強度の発現を示す。蛍光強度は、およそ50分後に、最初の値の8倍前後に相当するその最大値に達する。約100分を超える時間UV光に対する露光を継続すると、再び蛍光の減少をもたらす。
照射の間、蛍光バンドの波長および幅が変化しなかった点に注目されたい。
4-メトキシチオフェノール(図1A) の1H NMR(200 MHz,CDCl3)スペクトルを表す図である。 4-ジチオトルイル酸(図1B) の1H NMR(200 MHz,CDCl3)スペクトルを表す図である。 下記の配位子の交換反応後の、CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶(約6nmの直径を有する)の1H NMR(200 MHz,CDCl3)スペクトルを表す図である: a)1.5mlのナノ結晶の溶液(3mg/ml) + 20mgの4-メトキシチオフェノール(反応時間:72時間)(図1C)。 下記の配位子の交換反応後の、CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶(約6nmの直径を有する)の1H NMR(200 MHz,CDCl3)スペクトルを表す図である: b)1.5mlのナノ結晶の溶液(3mg/ml) + 20mgの4-ジチオトルイル酸(反応時間:1.5時間)(図1D)。 下記の配位子の交換反応後の、CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶(約6nmの直径を有する)の1H NMR(200 MHz,CDCl3)スペクトルを表す図である: 溶液a) + 20mgの4-ジチオトルイル酸(反応時間:1時間)(図1E)。 下記の配位子の交換反応後の、CdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶(約6nmの直径を有する)の1H NMR(200 MHz,CDCl3)スペクトルを表す図である: 溶液b) + 20mgの4-メトキシチオフェノール(反応時間:72時間)(図1F)。 図1A〜図1Fのすべての場合において、温度30℃で交換を実施し、またナノ結晶は上記の実施例5に記述されるように精製し/乾燥し、次いで1.5mlのCDCl3中に再分散させている。 図2A〜図2Cは365nmで連続照射中における直径約4.5nmのCdSeナノ結晶のコロイド溶液の、吸収スペクトルの発現を示す図である。Y軸は吸光度(任意単位a.u.における)を表し、またX軸は波長(nmにおける)を表す。ナノ結晶の表面は、異なった配位子により被覆されている: a)トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)/トリオクチルホスフィン(TOP)(合成から)(図2A); b)1-ドデカンチオールによる交換後(図2B); c)1-ジチオトリデカン酸による交換後(図2C)。 水銀蒸気ランプ(365nm、100W)からのUV照射への露光時間の関数としての、クロロホルム中に分散させたCdSe/ZnSeコア/シェル型ナノ結晶(本発明によるものであり、また実施例5に従って調製している)の試料のフォトルミネセンス強度の発現を表すグラフである(実施例9)。Y軸はフォトルミネセンス強度Iph(任意単位a.u.における)を表し、またX軸は時間(t)(秒における)を表す。

Claims (55)

  1. 少なくとも1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを備えるナノ結晶であって、前記ナノ結晶の外側表面に、少なくとも1種の、式(I):
    X-Y-Z (I)
    (式中、
    Xは、2つの硫黄もしくはセレンの原子により、前記ナノ結晶の外側表面の金属原子に結合されている1,1-ジチオレートまたは1,1-ジセレノエート基を表し;
    Yは、電荷を移動させることが可能な基、または絶縁性の基などのスペーサー基を表し;
    Zはナノ結晶に特有の性質を伝達することが可能な基の中から選択される基である。)
    の配位子化合物からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶。
  2. 少なくとも1種の金属からなる、請求項1に記載のナノ結晶。
  3. 前記金属が、遷移金属と、希土類金属と、元素の周期表のIIIA、IVAおよびVA族の金属と、それらの合金と、前記金属および合金の混合物との中から選択される、請求項1または2に記載のナノ結晶。
  4. 前記金属が、アルミニウム、銅、銀、金、インジウム、鉄、白金、ニッケル、モリブデン、チタン、タングステン、アンチモン、パラジウム、亜鉛、スズ、それらの合金、ならびに前記金属および合金の混合物の中から選択される、請求項3に記載のナノ結晶。
  5. 前記ナノ結晶が金からなる、請求項3に記載のナノ結晶。
  6. 少なくとも1種の半導体化合物からなる、請求項1に記載のナノ結晶。
  7. 前記半導体化合物が、式ABの半導体(式中、Aは酸化状態+IIにある金属または非金属を表し、Bは酸化状態-IIにある元素を表す)である、請求項1または請求項6に記載のナノ結晶。
  8. Aが、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、Sn、Pb、およびそれらの混合物の中から選択され、Bが、O、S、Se、Te、およびそれらの混合物の中から選択される、請求項7に記載のナノ結晶。
  9. 式ABの前記半導体が、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびそれらの混合物の中から選択される、請求項8に記載のナノ結晶。
  10. 前記半導体化合物が、式CDの半導体(式中、Cは酸化状態+IIIにある金属または非金属を表し、Dは酸化状態-IIIにある元素を表す)である、請求項1または請求項6に記載のナノ結晶。
  11. Cが、Ga、In、およびそれらの混合物の中から選択され、Dが、Sb、As、P、N、およびそれらの混合物の中から選択される、請求項10に記載のナノ結晶。
  12. 式CDの前記半導体が、GaAs、GaSb、GaN、InGaAs、InN、InGaN、InP、InAs、InSb、およびそれらの混合物の中から選択される、請求項11に記載のナノ結晶。
  13. 前記半導体化合物が、シリコンまたはゲルマニウムなどのIV族半導体である、請求項1または請求項6に記載のナノ結晶。
  14. 15〜150オングストロームの直径を有する、請求項1から13のいずれかに記載のナノ結晶。
  15. 前記コアを取り囲む1つまたはいくつかのシェルをさらに備え、前記シェルが金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる、請求項1から14のいずれかに記載のナノ結晶。
  16. 前記コアが15〜150オングストロームの直径を有し、前記1つまたは複数のシェルが3〜30オングストロームの厚さを有する、請求項15に記載のナノ結晶。
  17. 前記有機コーティング層が、5〜100オングストロームの厚さを有する、請求項1から16のいずれかに記載のナノ結晶。
  18. 前記コアが第1の半導体化合物におけるものであって、単一のシェルが存在する場合、前記コアを取り囲む前記単一のシェルが、または、いくつかのシェルが存在する場合、前記コアを取り囲む第1のシェルが、前記第1の半導体化合物と異なった第2の半導体化合物におけるものである、請求項15に記載のナノ結晶。
  19. 前記第1の半導体化合物が、CdSeなどのA(II)B(VI)タイプの半導体化合物であり、前記第2の半導体化合物が、ZnSe、ZnS、またはCdSなどの、前記第1の半導体化合物と異なったA(II)B(VI)タイプの半導体化合物である、請求項18に記載のナノ結晶。
  20. いくつかのシェルを備え、2つの連続するシェルが、異なった半導体化合物におけるものであり、例えば、ZnSe、CdS、またはZnSの中から選択される、請求項15から19のいずれかに記載のナノ結晶。
  21. ZnSeのまたはCdSの第1のシェルと、ZnSの第2のシェルとを備える、請求項20に記載のナノ結晶。
  22. Yが、下記の式:
    -R1-R- (II)
    {式中、R1は:
    単結合;
    Figure 2006192533
    の基(R2およびR3は独立に、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲンを表す);
    Figure 2006192533
    の基(R'は水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲンを表す);
    Figure 2006192533
    の基(R'は上記に示した意味を有する);
    Figure 2006192533
    の基(R'は上記に示した意味を有する);
    -O-;
    -S-;
    -Se-
    を表し;
    Rは、炭素原子1〜30個、好ましくは1〜8個を有する線状もしくは分枝状アルキレン基を表し;前記アルキレン基の1個またはいくつかの炭素原子は、場合によってO、N、S、PおよびSiの中から選択される1個またはいくつかのヘテロ原子により置換でき;前記アルキレン基は、二重および/または三重炭素-炭素結合などの1つまたはいくつかの二重結合および/または三重結合を、場合によってさらに含むことができ;また前記アルキレン基は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素などのハロゲン、複素環式環、アリール、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アシル、カルボキサミド基、=O、-CHO、-CO2H、-SO3H、-PO3H2、-PO4H2、-NHSO3H、スルホンアミド、モノアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、またはさらにジアルキルアミノ基であり、その場合2つのアルキル基が、前記ジアルキル(C1〜C4)アミノ基に結合している窒素原子と共に環状の環を形成することができ、その環は、場合によって1個またはいくつかの窒素、酸素または硫黄が割り込んでもよいジアルキルアミノ基、ならびにZ基の中から選択される1つまたはいくつかの基により、場合によってさらに置換でき;あるいは、Rは、複素環式環、アリール基、1つまたはいくつかの他のアリール環ならびに/またはアルキルおよび/もしくは複素環式環上に縮合したアリール基、シクロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アルキル-シクロアルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ヘテロシクロアルキル基、またはアルキル-ヘテロシクロアルキル基を表す}に対応する、請求項1から21のいずれかに記載のナノ結晶。
  23. Yが、アルキレン鎖-(CH2)n-(式中、n=1〜18、好ましくはn=12である。)、または
    Figure 2006192533
    などの、場合によって置換できる芳香環、または、アルコキシ鎖-[(CH2)mO(CH2)m]n-(式中、m=1〜4、およびn=1〜6である。)を表わす、請求項22に記載のナノ結晶。
  24. 前記Z基が、所与の極性により規定される特定の溶媒中でナノ結晶の溶解性を得るために選択される、請求項1から23のいずれかに記載のナノ結晶。
  25. 前記Z基が、炭化水素などの、無極性溶媒および/または低極性溶媒中におけるナノ結晶の可溶化を可能にする基の中から選択される、請求項24に記載のナノ結晶。
  26. 前記Z基が、水、アルコール、およびそれらの混合物などの極性溶媒中におけるナノ結晶の可溶化を可能にする基の中から選択される、請求項24に記載のナノ結晶。
  27. 前記Z基が、ナノ結晶が生体分子ならびに共役ポリマーおよびオリゴマーなどの他の分子に結合されることを可能にする基の中から選択される、請求項1から26のいずれかに記載のナノ結晶。
  28. 前記Z基が、共役ポリマーもしくはオリゴマーまたは生体分子を含有する、請求項1から27のいずれかに記載のナノ結晶。
  29. 前記Z基が、1つまたはいくつかの他のナノ結晶と前記ナノ結晶が結合することを可能にする基から選択される、請求項1から28のいずれかに記載のナノ結晶。
  30. 前記Z基が、親水性基、特に、ヒドロキシル基、ホルミル基、アルコキシド、カルボン酸、アミン、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル、などの極性基、およびカルボン酸塩基、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩などの荷電基、ならびに類似体の中から選択される、請求項1から29のいずれかに記載のナノ結晶。
  31. 前記Z基が、前記X基と同一である、請求項1から30のいずれかに記載のナノ結晶。
  32. 前記同一の配位子上にいくつかの同一のもしくは異なったZ基が存在する、請求項1から31のいずれかに記載のナノ結晶。
  33. 前記同一の配位子上にいくつかのX基が存在する、請求項1から32のいずれかに記載のナノ結晶。
  34. 含んでいる(1つもしくは複数の)Yおよび/またはZ基が異なる、いくつかの配位子が、前記同一のナノ結晶上に存在する、請求項1から33のいずれかに記載のナノ結晶。
  35. 前記ナノ結晶が、蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶である、請求項1から34のいずれかに記載のナノ結晶。
  36. 前記蛍光性、フォトルミネセンス性ナノ結晶が、光による照射を受けた、請求項35に記載のナノ結晶。
  37. 前記光が紫外光である、請求項36に記載のナノ結晶。
  38. 請求項1から37のいずれかに記載のナノ結晶を調製する方法であって、下記の連続したステップ:
    a)少なくとも1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを有し、場合によって、前記コアを取り囲む1つまたはいくつかのシェルを備えることができるナノ結晶であり、前記1つまたは複数のシェルが、金属、および/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物の層からなるナノ結晶であり、前記ナノ結晶の外側表面に、式(I)の配位子化合物と異なった少なくとも1種の第1の配位子化合物からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶の溶液を溶媒中で調製するステップ;
    b)ステップa)の溶液に、前記ステップa)の溶液の溶媒中に可溶な式(I)の配位子化合物を、前記ナノ結晶が備える、前記式(I)の配位子化合物と異なった前記第1の配位子化合物に比べて、前記式(I)の配位子化合物が過剰となるように添加するステップ;
    c)前記式(I)の配位子化合物による、前記第1の配位子化合物の本質的に全体的な交換がナノ結晶上で行われるのに十分な時間の間、好ましくは攪拌のもとで、前記式(I)の配位子化合物と、前記ナノ結晶とを接触させたままにしておくステップ
    を実行する方法。
  39. ステップb)において、前記式(I)の配位子化合物が、HS(S)C-Y-ZまたはHSe(Se)C-Y-Zの酸形態、あるいはM(+)S(S)C-Y-Z(-)またはM(+)Se(Se)C-Y-Z(-)の塩形態(式中、M(+)=Li(+)、Na(+)、K(+)、Rb(+)、Cs(+)、NH4 (+)、PH4 (+)である。)で、ステップa)の溶液中に添加される、請求項38に記載の方法。
  40. ステップb)において、添加した前記式(I)の配位子化合物の前記第1の配位子化合物に対するモル比が、5:1〜15:1である、請求項38に記載の方法。
  41. ステップc)における前記接触時間が1〜5時間である、請求項38に記載の方法。
  42. 前記溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、他の無極性もしくは低極性溶媒、またはそれらの混合物の中から選択される、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
  43. 請求項1から37のいずれかに記載のナノ結晶を調製する方法であって、下記の連続したステップ:
    a)少なくとも1種の金属、および/または、少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物からなる無機コアを有し、場合によって、前記コアを取り囲む1つまたはいくつかのシェルを備えることができるナノ結晶であり、前記1つまたは複数のシェルが、金属、および/または少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の半導体化合物の層からなるナノ結晶であり、前記ナノ結晶の外側表面に、式(I)の配位子化合物と異なった少なくとも1種の第1の配位子化合物からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶の溶液を第1の溶媒中で調製するステップ;
    b)ステップa)の溶液に、第2の溶媒中の式(I)の配位子化合物の溶液を添加するステップであり、前記式(I)の配位子化合物は前記第1の溶媒に溶解せず、前記混合液から、前記第1の溶媒中のナノ結晶の溶液からなる第1の相と、前記第2の溶媒中の式(I)の配位子化合物の溶液からなる第2の相とを含む二相混合物を得るステップ;
    c)好ましくは攪拌のもとで、前記第1および第2の相を、十分な時間の間接触させたままにしておくステップであって、それにより前記第2の相中に前記ナノ結晶が本質的に完全に移動し、かつ前記ナノ結晶の表面で、前記式(I)の配位子化合物による、前記第1の配位子化合物の本質的に全体的な交換が行われるステップ
    を実行する方法。
  44. ステップb)において、前記式(I)の配位子化合物が、HS(S)C-Y-ZまたはHSe(Se)C-Y-Zの酸形態、あるいはM(+)S(S)C-Y-Z(-)またはM(+)Se(Se)C-Y-Z(-)の塩形態(式中、M(+)=Li(+)、Na(+)、K(+)、Rb(+)、Cs(+)、NH4 (+)、PH4 (+)である。)で、ステップa)の溶液中に添加される、請求項43に記載の方法。
  45. ステップc)の前記接触時間が1〜5時間である、請求項44に記載の方法。
  46. 前記第1の溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、およびそれらの混合物などの、無極性および低極性溶媒の中から選択される、請求項43から45のいずれかに記載の方法。
  47. 前記第2の溶媒が、メタノールおよびエタノールなどのアルコール、水、ならびにそれらの混合物などの極性溶媒の中から選択される、請求項43から46のいずれかに記載の方法。
  48. 前記式(I)の配位子化合物と異なった前記第1の配位子化合物が、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)などの、アルキル基が炭素原子4〜12個を含むトリアルキルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;トリオクチルホスフィンセレニド(TOPSe)などの、アルキル基が炭素原子4〜12個を含むトリアルキルホスフィンセレニドなどのホスフィンセレニド;トリオクチルホスフィン(TOP)などの、アルキル基が炭素原子4〜12個を含むトリアルキルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン;ヘキサデシルアミン(HDA)などのアルキル基が炭素原子6〜24個を含むアルキルアミンなどの第一級アミン、ドデカンチオールなどのチオール;およびステアリン酸またはオレイン酸などのカルボン酸;ならびにそれらの混合物の中から選択される、請求項38から47のいずれかに記載の方法。
  49. ステップc)の終わりに、配位子(I)からなる有機コーティング層を備える前記ナノ結晶を沈殿させ、分離し、洗浄し、次いで乾燥する、請求項38から48のいずれかに記載の方法。
  50. 配位子(I)からなる有機コーティング層を備える前記ナノ結晶が、蛍光性、フォトルミネセンス性のナノ結晶である、請求項38から49のいずれかに記載の方法。
  51. ステップc)の終わりに、配位子(I)からなる有機コーティング層を備えるナノ結晶であり、場合によって沈殿させ、分離し、洗浄し、次いで乾燥できる前記ナノ結晶が、光による照射を受ける、請求項50に記載の方法。
  52. 前記光が、例えば365nmの波長を有する紫外光である、請求項51に記載の方法。
  53. 前記照射が、1分〜10時間、好ましくは10分〜200分、より一層好ましくは50〜100分、例えば60分継続される、請求項51または52に記載の方法。
  54. 前記照射が、配位子(I)からなる有機コーティング層を備える前記ナノ結晶を溶媒中に分散させるステップと、前記ナノ結晶を光による照射に曝すステップとにより実行される、請求項51から53のいずれかに記載の方法。
  55. 前記溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、およびそれらの混合物などの無極性溶媒および低極性溶媒の中から、またはアルコール、水、およびそれらの混合物などの極性溶媒の中から選択される、請求項54に記載の方法。
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