JP2006190992A - レーザ素子、及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】同一素子内に発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚が異なる領域を設け、かつ、素子の全ての領域において、発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚に依存せず、均一に電界を印加できる手法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のレーザ素子の一は、二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、積層体は膜厚分布を有する金属酸化物と有機化合物との混合層を有する。上記レーザ素子は、電極間に電圧を印加して電流を流すことで、金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚が異なる領域ごとに異なる波長の光を発振する。
【選択図】図1

Description

本発明はレーザ素子、及びその作製方法に関し、更に詳細にはデータ通信、セキュリティ、微細加工等の分野での使用に適するレーザ素子に関するものである.
面発光型レーザ素子は、基板面に対して垂直方向に光を射出させるレーザ素子であって、従来のファブリペロー共振器型レーザ素子とは異なり、同一の基板上に多数の面発光型レーザ素子を配列することが可能なこともあって、近年、データ通信分野で注目されているレーザ素子である(例えば、特許文献1参照。)。
一方、半値幅の大きな発光を与える有機化合物を用いたレーザ素子の研究が進められている。有機化合物の発光を利用した固体レーザでは、二つの電極間に設置された、有機化合物を含む、少なくとも一層以上の薄膜(以下、発光性の有機化合物を含有する積層体と記す)、に正孔と電子を注入することで発光が得られ、この発光を効率よく増幅することでレーザ光を発振することができる。
この際、発振するレーザ光の波長は、発光を担う化合物が射出する波長の内、共振器で増幅できる波長に限定される。ここで共振器とは、高い反射率を有する面(以下、反射面と記す)で発光を閉じ込め、増幅する構造である。具体的には、発光性の有機化合物を含有する積層体の端面を反射面としたり、あるいは電極を反射面として利用したりすることができる。前者の場合、光は基板面に対して平行な方向で反射され、増幅を繰り返すことでレーザ発振が起こる。したがって、基板面から平行な方向にレーザ光が発振される。後者の場合、光の反射・増幅は基板面に対して垂直な方向で起こり、レーザ光は基板面に対して垂直な方向で発振する。後者の方式を採用することで、同一の基板上に多数の面発光型レーザ素子を配列することが可能となる。
特許公報第3206097号
上述したように、従来の電流励起レーザ素子では、発振するレーザ光の波長は、有機層が与える発光波長のうち、共振器で増幅できる波長に限定される。つまり、一つのレーザ素子で発振できる波長は1つに限定される。一つのレーザ素子から複数の波長を有するレーザを同時に発振することはできない。したがって、個々に独立した複数のレーザ素子を同一基板に設置する必要があった。この場合、基板のサイズが小さくなるほど一つ一つの素子の位置をより精密に制御する必要が生まれ、生産性が大幅に低下してしまうという問題が生じる。
また、面発光型レーザ素子は、設置された発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚が共振器長を左右する。そしてレーザ光は、この共振器長によって決まる単一の縦モードで発振する。そのため、有機膜厚を変化させることで、発振波長を制御することができる。これを利用すれば、同一の素子内において発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚を変化させることで、一つの素子から複数の波長のレーザ光を同時に発振することが可能である。しかしながらこの方法では、同一素子内に電流−電圧特性(以下、I−V特性と記す)の異なる領域が複数存在することになる。このため、電界は電流が最も流れやすい箇所、すなわち膜厚の小さい領域に集中するため、その他の部分では発光せず、結局単一の波長のレーザ光のみが発振してしまう。また電流が集中する部分ではショートを起こしやすくなってしまう。
そこで本発明では、同一素子内に発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚が異なる領域を設け、かつ、素子の全ての領域において、発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚に依存せず、均一に電界を印加できる手法を提供することを目的とする。また、この手法により、同一素子内から異なる複数の波長のレーザ光を同時に射出できる素子を提供することを目的とする。
そこで発明者らは鋭意検討を重ねた結果、金属酸化物と有機化合物との混合層が高い導電性を示し、かつ発光性の有機化合物を含有する層へのキャリア注入性が優れているという特徴を有することを見出した。この混合層を、発光性の有機化合物を含有する積層体を構成する一層として、電極間に設けたレーザ素子は、駆動電圧の上昇を招くことなく、効率の良い発光が得られることを見出した。さらに、金属酸化物と有機化合物との混合層は高い導電性を反映し、この金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚を大きくしても、素子のI−V特性に影響を与えないことを見出した。本発明は、本発明で提供する金属酸化物と有機化合物との混合層を設置し、かつこの混合層の膜厚を制御することで、同一の素子内において異なる膜厚の領域を有する素子を提供するものである。さらに本発明は、同一の素子内において異なる膜厚の領域を有する素子においても、素子内に均一のI−V特性を実現するものである。これにより、同一の素子内において異なる発光波長を有するレーザ光を発振するレーザ素子が提供される。
本発明のレーザ素子の一は、二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、積層体は金属酸化物と有機化合物との混合層を有し、混合層は前記電極と重なる領域の少なくとも2箇所において異なる膜厚を有することを特徴とする。
本発明のレーザ素子の一は、二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、積層体は金属酸化物と有機化合物との混合層を有し、混合層は前記電極と重なる領域の少なくとも2箇所において異なる膜厚を有し、電極のいずれか一つは少なくとも2箇所において異なる膜厚を有することを特徴とする。
本発明のレーザ素子の一は、二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、積層体は金属酸化物と有機化合物との混合層を有し、混合層は前記電極と重なる領域の少なくとも2箇所において異なる膜厚を有し、電極のいずれか一つは少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する絶縁層上に設けられることを特徴とする。
本発明のレーザ素子の作製方法の一は、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する第1の電極を形成し、第1の電極上に金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、発光性の有機化合物を含有する層上に第2の電極を形成することを特徴とする。
本発明のレーザ素子の作製方法の一は、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する第1の電極を形成し、第1の電極上に第1の金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、第1の金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、発光性の有機化合物を含有する層上に第2の金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、第2の金属酸化物と有機化合物との混合層上に第2の電極を形成することを特徴とする。
本発明のレーザ素子の作製方法の一は、第1の電極を形成し、第1の電極上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、発光性の有機化合物を含有する層上に、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有するように、金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、金属酸化物と有機化合物との混合層上に第2の電極を形成することを特徴とする。
本発明のレーザ素子の作製方法の一は、第1の電極を形成し、第1の電極上に第1の金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、第1の金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、発光性の有機化合物を含有する層上に、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有するように、金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、第2の金属酸化物と有機化合物との混合層上に第2の電極を形成することを特徴とする。
本発明のレーザ素子の作製方法の一は、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する絶縁層上に第1の電極を形成し、第1の電極上に金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、発光性の有機化合物を含有する層上に第2の電極を形成することを特徴とする。
上記レーザ素子は、電極間に電圧を印加して電流を流すことで、金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚が異なる領域ごとに異なる波長の光を発振する。
上記レーザ素子は、電極間に電圧を印加して電流を流すことで、金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚が異なる領域ごとに異なる波長のレーザ光を発振する。
本発明において、発光性の有機化合物を含有する積層体の一層として、電極間に設置される有機化合物と金属酸化物との混合層は、導電性が高いため、この混合層の膜厚を変化させても素子のI−V特性に変化が生まれない。したがって、この混合層の膜厚を厚くすることで、I−V特性に変化を招くことなく、電極間の距離、すなわち共振器長を大きくすることができる。同様に、この混合層の膜厚を薄くすることで、I−V特性に変化を招くことなく、電極間の距離、すなわち共振器長を小さくすることができる。
したがって、素子内に混合層の中で膜厚の異なる領域を設置することで、単一の素子から、基板面に垂直な方向に、異なる波長のレーザ光を同時に射出することが可能となる。
また、金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚、および膜厚が異なる領域の面積を変えることで、一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができる。すなわち、一つの素子から得られる発光スペクトルにおいて、発光波長とその強度を任意に制御することが可能となる。これを利用することで、個々の素子に固有のスペクトル形状を作り出すことが可能となり、射出するレーザ光自身に大容量の情報を賦与することが可能となる。
また、一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができることから、任意の発光を有するレーザ光を与えることができる。つまり、従来のレーザ光は半値幅の非常に狭い、単一のスペクトルを与えることが特徴であるが、本発明によって得られるレーザ光は、半値幅が狭く、かつ複数の発光スペクトルを与えるものである。したがって、発光スペクトルの強度と波長を制御することで、青から赤に至る、任意の色のレーザ光を与えることも可能である。
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
以下に、図1を参照し、実施の形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
まず、基板100上に第1の電極104を形成する。電極としては公知の材料を用いることができる。例えば仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)ものとしては、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下、ITOと示す)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を含む酸化インジウム等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。その他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等を用いることも可能である。
逆に仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることも可能である。具体的には、元素周期律の1族または2族に属する金属、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
なお、発光性の有機化合物を含有する積層体に対して正孔を注入する電極、二つの電極のうち、より高い電圧をかけることによって発光が得られる電極として使用する場合には、仕事関数の大きな電極を用いるのが好ましい。また、電子を注入する電極、二つの電極のうち、より低い電圧をかけることによって発光が得られる電極として使用する場合には、仕事関数の小さい電極を用いることが好ましい。
次に第1の電極を微細加工し、電極の膜厚を部分的に変化させる。微細加工する方法としては、機械的な微細加工の他、第1の電極を成膜後に結晶化させる、レーザ光や電子線等によるエッチング、第1の電極の成膜後に基板に応力をかけて平面ではない基板とする、化学薬品によって第1の電極の一部を溶解、あるいは反応させる等が挙げられる。また、従来は平坦に成膜出来ないため採用されていなかった電極材料や成膜方法を使う事も出来る。以上の工程で表面に凹凸形状を有する第1の電極104を形成する。
次に微細加工された第1の電極104の上に、有機化合物と金属酸化物の混合層103を形成する。第1の電極104がより高い電圧をかけることによって発光が得られる電極であれば、ここで金属酸化物の好例としては、有機化合物に対して電子受容性(ホール輸送性)を示す遷移金属酸化物が好ましく、例えばチタン酸化物(TiOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、バナジウム酸化物(VOx)、ニオブ酸化物(NbOx)、タンタル酸化物(TaOx)、クロム酸化物(CrOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、タングステン酸化物(WOx)、レニウム酸化物(ReOx)、ルテニウム酸化物などが挙げられる。一方、有機化合物としては、前記金属酸化物に対して電子供与性を示す芳香族アミン化合物が好ましく、例えば4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N,N−ビス(3−メチルフェニル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス(N−{4−[N,N−ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられる。このような構成とすることにより、有機化合物と金属酸化物との間で電子の授受が行われ、キャリアが発生し、導電性及び発光性の有機化合物を含有する層102へのキャリア注入性が向上する。
第1の電極104が、第2の電極101より低い電圧をかけることによって発光が得られる電極であれば、種々の金属酸化物、金属窒化物、または金属酸化窒化物が可能である。さらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、希土類金属窒化物等の電子供与性を示す材料を用いることも好ましい。具体的には、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化エルビウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウム、窒化イットリウム、窒化ランタンなどが挙げられる。一方有機化合物としては、電子キャリアが発生するため、電子輸送性の有機化合物が好ましい。電子輸送性の有機化合物としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBI)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−ビフェニリル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。また、上述した化合物の中でも、Alq、Almq、BeBq、BAlq、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などに代表される芳香環を含むキレート配位子を有するキレート金属錯体や、BPhen、BCPなどに代表されるフェナントロリン骨格を有する有機化合物や、PBD、OXD−7などに代表されるオキサジアゾール骨格を有する有機化合物は、電子キャリアを発生しやすく、有機化合物として好適な化合物群である。
上述した有機化合物と金属酸化物の混合層103は、蒸着法、スピンコート法など塗布法、ゾル−ゲル法を用いることができる。また、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターンに形成することが可能な、液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)、物体が所望のパターンに転写、または描写できる方法、例えば各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)なども用いることができる。
なお、蒸着によって有機化合物と金属酸化物の混合層103を形成する場合、この混合層の表面に凹凸が生じる可能性がある。この場合、表面を研磨して平坦化しても構わない。また、平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。
次に、この有機化合物と金属酸化物の混合層103上に、発光性の有機化合物を含有する層102を形成する。この発光性の有機化合物を含有する層102は一層でも良く、あるいは異なる組成を有する発光性の有機化合物を含有する層を積層してもよい。この発光性の有機化合物を含有する層102において、電極から注入された正孔と電子が再結合し、 発光が得られる。したがって、発光性の有機化合物を含有する層102で使用する材料、およびその膜厚、発光性の有機化合物を含有する層102の積層数などは、発光の効率や発光を担う材料のスペクトルなどを考慮して決定すればよい。
以下、発光性の有機化合物を含有する層102で使用する材料について具体例を挙げる。まず、本素子では可視光領域に発光を与える材料が不可欠である。このような材料として、蛍光材料が好適である。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ−ビフェニリル)−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などの典型金属錯体が挙げられる。あるいは9,10−ジフェニルアントラセンや4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)ビフェニルなどの炭化水素系化合物なども好適である。
あるいは、上記材料と他の発光材料の混合層を形成しても良い。すなわち上述した発光体に、蛍光色素、あるいはりん光色素を少量混合することで、発光効率を上げることができる。蛍光材料としてはクマリン誘導体、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ピロン誘導体などが挙げられる。りん光色素としては、三重項発光材料としては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(以下、「Ir(ppy)」と記す)、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金(以下、「PtOEP」と記す)など、Ir、Ru、Rh、Pt、あるいは希土類金属などの遷移金属錯体が挙げられる。
なお、発光性の有機化合物を含有する層102として、上述した発光を担う層(以下、発光層と記す)以外に、電極から注入された正孔と電子(以下、正孔と電子の両者を示す時、キャリアと記す)の輸送を促進する層を設けても良い。具体的には、正孔輸送を促進する層(以下、正孔輸送層と記す)として芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物である。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル,その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。一方、電子の輸送を促進する層(以下、電子輸送層と記す)に好適な材料としては、上記典型金属化合物が挙げられるが、他に3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソフェナントロリンやバソキュプロインなどのフェナントロリン誘導体を用いても良い。
これらの電子輸送層、正孔輸送層を設置する場合、電子輸送層は発光層と陰極との間に、正孔輸送層は発光層と陽極との間に設置される。
この後、第2の電極101を形成すればよい。なお、第2の電極101を陰極として用いる場合、発光性の有機化合物を含有する層102への電子注入を促進する材料(以下、電子注入材料と記す)と、発光性の有機化合物を含有する層102と第2の電極101間に設置しても良い。電子注入材料としては、フッ化カルシウムやフッ化リチウム、酸化リチウムや塩化リチウムなどのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを適用すればよい。このような電子注入材料を設置する場合、陰極の仕事関数は大きくても良く、例えば、Al、Ag、ITO等の金属・導電性無機化合物を用いることもできる。なお、これらの電極は蒸着法やスパッタリング法、あるいはゾル−ゲル法を用いた湿式法を適用することができる。
上述した第1の電極104と第2の電極101間で、発光性の有機化合物を含有する層102から発光した光が反射を繰り返して増幅され、最終的にはどちらかの電極からレーザ光として取り出される。したがって、片方の電極は反射鏡として、もう一方の電極は出力鏡として機能する。反射鏡として機能する電極は反射率が高いことが好ましい。具体的には、50%以上、好ましくは95%以上である。これに対し、出力鏡の反射率は50〜95%に設定するのが好ましい。このような反射率の制御は、材料や、膜厚を選択することによって制御できる。以上の工程で本実施の形態におけるレーザ素子が完成する。
本実施の形態では、発光性の有機化合物を有する層102から放射された光は、レーザ光131a、レーザ光131b、レーザ光131d、レーザ光131eとして第2の電極101から射出される。有機化合物と金属酸化物の混合層103は、領域によって膜厚132a、膜厚132b、膜厚132c、膜厚132d、膜厚132eのように膜厚差があり、膜厚分布を有している。射出されるレーザ光の波長は、その膜厚によって大きく影響をうける。よって、レーザ光131a、レーザ光131b、レーザ光131d、レーザ光131eは、それぞれ異なる波長を有しており、レーザ光131cのように、レーザ光としてレーザ素子の外へ射出されず減衰してしまう場合もある。
図1(B)のレーザ素子は、図1(A)のレーザ素子において、第2の電極101と発光性の有機化合物を含有する層102の間に、第2の有機化合物と金属酸化物の混合層を設ける例である。図1(B)において、基板110上に凹凸形状を有する第1の電極114、その凹凸を平坦化するように設けられる第1の有機化合物と金属酸化物の混合層113、発光性の有機化合物を有する層112、第2の有機化合物と金属酸化物の混合層115、第2の電極111が積層されている。
図1(B)のように、発光性の有機化合物を有する層112と第1の電極114間とに第1の有機化合物と金属酸化物の混合層113を設け、発光性の有機化合物を有する層112と第2の電極111間とに第2の有機化合物と金属酸化物の混合層115を設ける構成とし、2種類の有機化合物と金属酸化物の混合層を設けてもよい。この場合、有機化合物と金属酸化物の材料の選択は、第1の電極114と第2の電極111と印加される電圧の高さに従って、上記の材料から選択すればよい。
第1の有機化合物と金属酸化物の混合層113が膜厚分布を有していることから、図1(A)のレーザ素子と同様に、レーザ光141a、レーザ光141b、レーザ光141c、レーザ光141eは異なる波長でそれぞれ、第2の電極111を通過して射出し、光141dのようにレーザ光として射出できずにレーザ素子内で減衰する場合もある。
このように膜厚の異なる領域を設置することで、単一の素子から、基板面に垂直な方向に、異なる波長のレーザ光を同時に射出することが可能となる。また、金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚、および膜厚が異なる領域の面積を変えることで、一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができる。すなわち、一つの素子から得られる発光スペクトルにおいて、発光波長とその強度を任意に制御することが可能となる。これを利用することで、個々の素子に固有のスペクトル形状を作り出すことが可能となり、射出するレーザ光自身に大容量の情報を付与することが可能となる。
なお、本発明は有機化合物からの発光を利用したレーザ発振に限るものではなく、無機物からの発光を利用する半導体レーザにも適用できる。この場合、発光性の有機化合物を含有する層の代わりに無機半導体層を形成すればよい。無機半導体層としては、GaAs やInPなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができることから、任意の発光を有するレーザ光を与えることができる。つまり、従来のレーザ光は半値幅の非常に狭い、単一のスペクトルを与えることが特徴であるが、本発明によって得られるレーザ光は、半値幅が狭いものの、複数の発光スペクトルを与えるものである。したがって、発光スペクトルの強度と波長を制御することで、青から赤に至る、任意の色のレーザ光を与えることも可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において、レーザ素子を構成する電極を含む積層の形状が異なる例である。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
実施の形態1では、第1の電極104に凹凸を形成し、この上に金属酸化物と有機化合物との混合層を設置する例を示した。本実施の形態では、有機化合物と金属酸化物の混合層に凹凸を形成し、その上に第2の電極と形成する例を示す。すなわち、基板上に第1の電極、発光性の有機化合物を含有する層を順に形成し、その後有機物と金属酸化物の混合層を形成した後、これを微細加工して任意の形状の凹凸構造を作成し、この後に第2の電極を形成する。
本実施の形態を図2を用いて説明する。図2(A)に示すレーザ素子は、基板150上に設けられ、基板150は放射されるレーザ光に対して透過性を有する。基板150上に、第1の電極151を形成し、第1の電極151上に発光性の有機化合物を有する層152を形成する。発光性の有機化合物を有する層152に接して、第1の電極151、第2の電極154に印加される電圧の高さによって、選択された材料からなる有機化合物と金属酸化物の混合層153を形成する。
有機化合物と金属酸化物の混合層153は、有機化合物と金属酸化物の混合層を微細加工し、有機化合物と金属酸化物の混合層の膜厚を部分的に変化させることで形成することができる。微細加工する方法としては、機械的な微細加工、レーザ光や電子線等によるエッチング、化学薬品によって有機化合物と金属酸化物の混合層153の一部を溶解、あるいは反応させる等が挙げられる。例えば、有機化合物と金属酸化物の混合層を形成した後、マスクなどを用いて選択的に形状を加工すればよい。また、有機化合物と金属酸化物の混合層を積層構造とし、選択的に層を形成することによって、膜厚が不均一になるような層構造とすることもできる。
本実施の形態では、発光性の有機化合物を有する層152から放射された光は、レーザ光171a、レーザ光171b、レーザ光171d、レーザ光171eとして第1の電極151から射出される。有機化合物と金属酸化物の混合層153は、領域によって膜厚差があるので、電極間に存在する発光性の有機化合物を含有する積層体は膜厚分布を有している。射出されるレーザ光の波長は、その膜厚によって大きく影響をうける。よって、レーザ光171a、レーザ光171b、レーザ光171d、レーザ光171eは、反射を繰り返して増幅され、最終的にそれぞれ異なる波長を有しており、レーザ光171cのように、レーザ光としてレーザ素子の外へ射出されず減衰してしまう場合もある。
図2(B)のレーザ素子は、図2(A)のレーザ素子において、第1の電極151と発光性の有機化合物を含有する層152の間に、第2の有機化合物と金属酸化物の混合層を設ける例である。図2(B)において、基板160上に、第1の電極161、第2の有機化合物と金属酸化物の混合層165、発光性の有機化合物を有する層162、凹凸形状を有して形成される第1の有機化合物と金属酸化物の混合層163、第2の電極164が積層されている。本実施の形態では、第2の電極164は、第1の有機化合物と金属化合物の混合層163の有する凹凸形状を平坦化する様に形成されるが、射出されるレーザ光の波長は、電極間に存在する発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚に依存するので、第2の電極164は、第1の有機化合物と金属化合物の混合層163の有する凹凸形状を反映して形成されてもよい。
第1の有機化合物と金属酸化物の混合層163が膜厚分布を有していることから、図2(A)のレーザ素子と同様に、レーザ光181a、レーザ光181b、レーザ光181c、レーザ光181eは反射を繰り返して増幅され、最終的に異なる波長でそれぞれ、第1の電極161を通過して射出し、光181dはレーザ光として射出できすにレーザ素子内で減衰する。本実施の形態では、レーザ光171a、レーザ光171b、レーザ光171d、レーザ光171eを第1の電極151より、レーザ光181a、レーザ光181b、レーザ光181c、レーザ光181eを第1の電極161より取り出す構成とするが、第2の電極154、第2の電極164より取り出す構成としてもよい。片方の電極は反射鏡として、もう一方の電極は出力鏡として機能する。このような反射率の制御は、材料や、膜厚を選択することによって制御できる。本実施の形態では、電極間で膜厚差を有する第2の電極154、第2の電極164を反射鏡として用い、均一な膜厚分布を有する第1の電極151、第1の電極161を出力鏡として用いる。以上の工程で本実施の形態におけるレーザ素子が完成する。
このように膜厚の異なる領域を設置することで、単一の素子から、基板面に垂直な方向に、異なる波長のレーザ光を同時に射出することが可能となる。また、金属酸化物と有機化合物との混合層の膜厚、および膜厚が異なる領域の面積を変えることで、一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができる。すなわち、一つの素子から得られる発光スペクトルにおいて、発光波長とその強度を任意に制御することが可能となる。これを利用することで、個々の素子に固有のスペクトル形状を作り出すことが可能となり、射出するレーザ光自身に大容量の情報を賦与することが可能となる。
一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができることから、任意の発光を有するレーザ光を与えることができる。つまり、従来のレーザ光は半値幅の非常に狭い、単一のスペクトルを与えることが特徴であるが、本発明によって得られるレーザ光は、半値幅が狭いものの、複数の発光スペクトルを与えるものである。したがって、発光スペクトルの強度と波長を制御することで、青から赤に至る、任意の色のレーザ光を与えることも可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1において、レーザ素子を構成する電極を含む積層の形状が異なる例である。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
実施の形態1、実施の形態2においては、レーザ素子を構成する電極や、金属酸化物と有機化合物との混合層が凹凸形状を有するように形成するが、本実施の形態では、凹凸形状を有する層を別に形成し、その層の凹凸形状を用いて、電極間に存在する発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚を制御する例を示す。つまり、実施の形態1及び実施の形態2においては、レーザ素子は平坦な領域に形成されるが、本実施の形態では、レーザ素子は凹凸形状を有する領域に形成される。
図4に本実施の形態のレーザ素子を示す。図4(A)に示すレーザ素子は、基板300上に形成した凹凸形状を有する層306上に設けられている。凹凸形状を有する層306は、有機材料、無機材料、またはその化合物や混合物などを用いることができる。選択的に凹凸形状を有するように形成してもよいし、層を形成後、機械的、または、化学的な処理によって、凹凸形状を有するように加工してもよい。このように、発光性の有機化合物を含有する積層体に膜厚差を生じさせるために、凹凸形状を有する層306を別途設ける構成とすると、材料や形成方法の選択幅が広がるので、より精密な発光性の有機化合物を含有する積層体の膜厚制御を行うことができる。よって得られるレーザ光の波長もより精密に制御することができる。
凹凸形状を有する層306上に形成された第1の電極304は、その凹凸形状を反映し、凹凸形状を有する第1の電極304となる。第1の電極304の有する凹凸形状を平坦化する様に金属酸化物と有機化合物との混合層303を形成する。金属酸化物と有機化合物との混合層303上に、発光性の有機化合物を含有する層302、第2の電極301を積層し、本実施の形態のレーザ素子が作製される。
本実施の形態では、発光性の有機化合物を有する層302から放射された光は、反射を繰り返して増幅され、最終的にレーザ光311a、レーザ光311b、レーザ光311d、レーザ光311eとして第2の電極301から射出される。有機化合物と金属酸化物の混合層303は、領域によって膜厚差があるので、電極間に存在する発光性の有機化合物を含有する積層体は膜厚分布を有している。射出されるレーザ光の波長は、その膜厚によって大きく影響をうける。よって、レーザ光311a、レーザ光311b、レーザ光311d、レーザ光311eは、それぞれ異なる波長を有しており、光311cのように、レーザ光としてレーザ素子の外へ射出されず減衰してしまう場合もある。
図4(B)は、レーザ素子を形成する基板350が凹凸形状を有して形成されるレーザ素子の例を示す。図4(B)において、基板350は、凹凸形状を有するように、湾曲した形状となっている。基板350は、両面に凹凸形状を有するように湾曲した形状であるが、素子の形成される一方の面のみ凹凸形状を有し、他方の面は平坦な面であってもよい。
凹凸形状を有する基板350上に設けられる第1の電極354は、基板350の凹凸形状を反映して形成される。第1の電極354上に、第1の電極の凹凸形状を平坦化するように有機化合物と金属酸化物の混合層353が形成される。有機化合物と金属酸化物の混合層353上に、発光性の有機化合物を有する層352、第2の電極351が順に形成され、図4(B)に示すような膜厚分布を持つ発光性の有機化合物を含有する積層体を有するレーザ素子が作製される。
本実施の形態では、発光性の有機化合物を有する層352から放射された光は、反射を繰り返して増幅され、最終的にレーザ光371a、レーザ光371b、レーザ光371d、レーザ光371dとして第2の電極351から射出される。有機化合物と金属酸化物の混合層353は、領域によって膜厚差があるので、電極間に存在する発光性の有機化合物を含有する積層体は膜厚分布を有している。射出されるレーザ光の波長は、その膜厚によって大きく影響をうける。よって、レーザ光371a、レーザ光371b、レーザ光371d、レーザ光371dは、それぞれ異なる波長を有しており、光371eのように、レーザ光としてレーザ素子の外へ射出されず減衰してしまう場合もある。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を用いて作製されるレーザ素子によって、精密なレーザ加工をする例を図3を用いて説明する。加工に用いられるレーザ素子は、実施の形態1乃至3のいずれかで作製するレーザ素子と同様に作製することができる。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態では、導電膜の加工に用いられるマスクの露光に本発明のレーザ素子を用いる。基板220上に導電膜221を形成する。導電膜221上にマスクとなる感光性のレジスト膜222を形成する。本実施の形態では、感光性のレジスト膜222の露光処理を、本実施の形態で示すレーザ素子250より射出されるレーザ光によって行う。絶縁膜を所望の形状に加工する場合も、基板上に絶縁膜を形成すれば、導電膜の場合と同様に加工できる。
レーザ素子250は、基板200及びカバー材206に挟まれるように支持される。基板200は、射出されるレーザ光211a、レーザ光211b、レーザ光211c、レーザ光211f、レーザ光211g、レーザ光211hに対して透過性を有する必要があるが、カバー材206はレーザ素子250を保護する保護膜の機能を有していればよい。カバー材206は、水などの汚染源を遮断する保護膜なので、緻密な構成の材料が好ましい。
レーザ素子250は、第1の基板200上に第1の電極204、発光性の有機化合物を有する層203、膜厚分布を有する有機化合物と金属酸化物の混合層202、第2の電極201から構成される。有機化合物と金属酸化物の混合層202は、膜厚が連続的に変化する形状となっており、層内で膜厚差を有する。よって、射出するレーザ光の波長を決定する、発光性の有機化合物を有する層203及び膜厚分布を有する有機化合物と金属酸化物の混合層202からなる発光性の有機化合物を有する積層体も、積層体内に膜厚分布を有する。有機化合物と金属酸化物の混合層202上に、有機化合物と金属酸化物の混合層202の形状のよって生じた膜厚差を平坦化するように第2の電極201を形成し、カバー材206を形成する。
本実施の形態では、発光性の有機化合物を有する層203から放射された光は、反射を繰り返して増幅され、最終的にレーザ光211a、レーザ光211b、レーザ光211c、レーザ光211f、レーザ光211g、レーザ光211hとして第1の電極204から射出され、レジスト膜222に照射される(図3(A))。有機化合物と金属酸化物の混合層202は、領域によって膜厚差があるので、電極間に存在する発光性の有機化合物を含有する積層体は膜厚分布を有している。射出されるレーザ光の波長は、その膜厚によって大きく影響をうける。よって、レーザ光211a、レーザ光211b、レーザ光211c、レーザ光211f、レーザ光211g、レーザ光211hは、それぞれ異なる波長、及び強度を有しており、光211d、光211eのように、レーザ光としてレーザ素子の外へ射出されず減衰する領域も作り出すことができる。
金属酸化物と有機化合物との混合層202の膜厚、および膜厚が異なる領域の面積を変えることで、一つの素子から得られるスペクトル形状を制御することができる。すなわち、一つの素子から得られる発光スペクトルにおいて、発光波長とその強度を任意に制御することが可能となる。よってレジスト膜222の露光を所望なパターンに、制御性よく、精密に行うことができ、微細な加工を施されたマスク223を形成することができる(図3(B)参照。)。金属酸化物と有機化合物との混合層202に微細な加工を行い、その形状を所望な形状に設定しておけば、金属酸化物と有機化合物との混合層202に設けられた膜厚差により、それぞれの波長及び強度のレーザ光を射出する。それらのレーザ光を照射することによって、金属酸化物と有機化合物との混合層202の形状を反映して、マスク層、導電層、絶縁層などを所望の形状に加工することができる。よって、導電層や絶縁層などの加工物が精密かつ正確な形状で得られる。本実施の形態では、所望の形状に加工されたマスク223を用いて、微細に加工された所望の形状の導電層224を形成する(図3(C))。
従来のレーザ加工ではレーザ装置そのものを移動させて加工している。それに対し、本実施の形態ではレーザ発振により表示される図を縮小、または拡大するだけで処理領域を設定できる。また、強度や波長の異なるレーザ光を面として照射できるため、素早く高精細な超微細加工が可能となり、生産性が向上する。
(実施の形態5)
本発明が適用できる応用例について、図5を用いて説明する。
図5(A)に講演や会議などで使用するレーザポインタに本発明のレーザ素子を用いる例を示す。図5(A)において、スクリーン402に表示される内容を説明するために、使用者403が、レーザポインタ400から照射される画像401を用いている。レーザポインタ400は本発明のレーザ素子が用いられているので、画像401は、多色な光で、複雑な模様を表示することができる。この多種多様な画像を表示することができるので、演出効果の高いプレゼンテーションをすることができる。また、複数の人数で一つのスクリーンを用いて、会議等を行うとき、各個人に特有の画像が表示できるレーザポイントを用いると、画像に個人認識能力を付与することができるので、混乱をさけ、スムーズな会議の進行を行うことができる。勿論、表示する画像を拡大し、小型な表示装置として用いることもできる。本発明のレーザ素子を用いると多種多様な画像の表示を行うことができる。
次に、本発明のレーザ素子は、セキュリティ性の高い鍵(センサー)としても用いることができる。図5(B)に、住居などの建物の鍵として本発明のレーザ素子を用いる例を示す。本発明のレーザ素子は、その発光性の有機化合物を有する積層体の膜厚分布、および膜厚が異なる領域の面積比を反映し、一つの素子から得られるスペクトル形状が微細に変化する。よって、発光性の有機化合物を有する積層体の膜厚分布、分布の状態を決定する電極や、金属酸化物と有機化合物との混合層に施す加工を、再現不可能な程に複雑な加工、又は多くの条件を必要とする、ある種偶発的な加工とすると、レーザ素子から射出されるレーザ光も発振波長の変化、発振場所の変化を伴うため、そのレーザ光を簡便な個人認識のための鍵として利用する事が出来る。図5(B)において、建物415に設けられる扉413は、レーザ素子を具有する鍵410によって施錠されている。使用者414は、扉413を開放するため、センサ412にレーザ素子を具有する鍵410より射出される特有のスペクトル形状を有するレーザ光411を照射し、扉413を解錠する。このように、特有のスペクトル形状を有するレーザ光を射出するレーザ素子は、セキュリティ性の高い、小型で簡便に利用できる鍵として用いることができる。
本発明を用いるレーザ素子を説明する図。 本発明を用いるレーザ素子を説明する図。 本発明を用いるレーザ素子を説明する図。 本発明を用いるレーザ素子の利用例を説明する図。 本発明を用いるレーザ素子を適用した応用例を説明する図。
符号の説明
100 基板
101 第2の電極
102 発光性の有機化合物を含有する層
103 有機化合物と金属酸化物の混合層
104 第1の電極
110 基板
111 第2の電極
112 発光性の有機化合物を有する層
113 第1の有機化合物と金属酸化物の混合層
114 第1の電極
115 第2の有機化合物と金属酸化物の混合層
131a レーザ光
131b レーザ光
131c レーザ光
131d レーザ光
131e レーザ光
132a 膜厚
132b 膜厚
132c 膜厚
132d 膜厚
132e 膜厚
141a レーザ光
141b レーザ光
141c レーザ光
141d 光
141e レーザ光
150 基板
151 第1の電極
152 発光性の有機化合物を有する層
153 有機化合物と金属酸化物の混合層
154 第2の電極
160 基板
161 第1の電極
162 発光性の有機化合物を有する層
163 第1の有機化合物と金属化合物の混合層
164 第2の電極
165 第2の有機化合物と金属酸化物の混合層
171a レーザ光
171b レーザ光
171c レーザ光
171d レーザ光
171e レーザ光
181a レーザ光
181b レーザ光
181c レーザ光
181d 光
181e レーザ光
200 基板
201 第2の電極
202 発光性の有機化合物を有する層
203 有機化合物と金属酸化物の混合層
204 第1の電極
206 カバー材
211a レーザ光
211b レーザ光
211c レーザ光
211d 光
211e 光
211f レーザ光
211g レーザ光
211h レーザ光
220 基板
221 導電膜
222 レジスト膜
223 マスク
224 導電層
250 レーザ素子
300 基板
301 第2の電極
302 発光性の有機化合物を有する層
303 金属酸化物と有機化合物との混合層
304 第1の電極
306 凹凸形状を有する層
311a レーザ光
311b レーザ光
311c 光
311d レーザ光
311e レーザ光
350 基板
351 第2の電極
352 発光性の有機化合物を有する層
353 有機化合物と金属酸化物の混合層
354 第1の電極
371a レーザ光
371b レーザ光
371d レーザ光
371e 光
400 レーザポインタ
401 画像
402 スクリーン
403 使用者
410 鍵
411 レーザ光
412 センサ
413 扉
414 使用者
415 建物

Claims (8)

  1. 二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、
    前記積層体は金属酸化物と有機化合物との混合層を有し、
    前記混合層は前記電極と重なる領域の少なくとも2箇所において異なる膜厚を有することを特徴とするレーザ素子。
  2. 二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、
    前記積層体は金属酸化物と有機化合物との混合層を有し、
    前記混合層は前記電極と重なる領域の少なくとも2箇所において異なる膜厚を有し、
    前記電極のいずれか一つは少なくとも2箇所において異なる膜厚を有することを特徴とするレーザ素子。
  3. 二つの電極間に発光性の有機化合物を含有する積層体を有し、
    前記積層体は金属酸化物と有機化合物との混合層を有し、
    前記混合層は前記電極と重なる領域の少なくとも2箇所において異なる膜厚を有し、
    前記電極のいずれか一つは少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する絶縁層上に設けられることを特徴とするレーザ素子。
  4. 少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する第1の電極を形成し、
    前記第1の電極上に金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、
    前記発光性の有機化合物を含有する層上に第2の電極を形成することを特徴とするレーザ素子の作製方法。
  5. 少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する第1の電極を形成し、
    前記第1の電極上に第1の金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記第1の金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、
    前記発光性の有機化合物を含有する層上に第2の金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記第2の金属酸化物と有機化合物との混合層上に第2の電極を形成することを特徴とするレーザ素子の作製方法。
  6. 第1の電極を形成し、
    前記第1の電極上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、
    前記発光性の有機化合物を含有する層上に、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有するように、金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記金属酸化物と有機化合物との混合層上に第2の電極を形成することを特徴とするレーザ素子の作製方法。
  7. 第1の電極を形成し、
    前記第1の電極上に第1の金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記第1の金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、
    前記発光性の有機化合物を含有する層上に、少なくとも2箇所において異なる膜厚を有するように、金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記第2の金属酸化物と有機化合物との混合層上に第2の電極を形成することを特徴とするレーザ素子の作製方法。
  8. 少なくとも2箇所において異なる膜厚を有する絶縁層上に第1の電極を形成し、
    前記第1の電極上に金属酸化物と有機化合物との混合層を形成し、
    前記金属酸化物と有機化合物との混合層上に発光性の有機化合物を含有する層を形成し、
    前記発光性の有機化合物を含有する層上に第2の電極を形成することを特徴とするレーザ素子の作製方法。
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WO2023053484A1 (ja) * 2021-09-29 2023-04-06 ソニーグループ株式会社 面発光素子及び光源装置

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