JP2006189322A - 無線検知素子及びこれを用いた漏水検知システム - Google Patents

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Masaya Tachibana
雅哉 橘
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Abstract

【課題】 簡易な漏水検知の構成により検知精度を向上する。
【解決手段】 無線検知素子Rは、内部に漏水が浸入するように形成された非防水型の第1無線タグ3と、防水型の第2無線タグ4とから構成されている。第1無線タグ3と第2無線タグ4との夫々は、第1アンテナ7と、第1アンテナ7に接続されたICチップ8とを備えている。無線検知素子Rと、第1アンテナ7と交信可能な第2アンテナ5を備えた検出器6とを備えて、第1無線タグ3が浸水したことを検出器6で検出する。また、第2無線タグ4と検出器6とが交信して無線検知素子Rの設置の有無を判別する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、漏水を検知する無線検知素子及びこれを用いた漏水検知システムに関する。
従来、例えば、地下に埋設されている上下水道などの配管において漏水を検知する方法は、漏水を検知すべき配管の箇所に検知センサを設置して、この検知センサから離れた位置で測定器などを用いて測定する方法が一般的である。
このような配管における検知センサやこれを用いた漏水検知方法として、例えば、以下に示す3つの特許文献が提案されている。
特許文献1は、地下に埋設された配管で漏水が予想される箇所に検知センサを設置し、この検知センサから離れた地上で測定器などを使用して検知結果を監視し管理するものである。このとき、検知センサから測定器までは有線で接続されている。
特許文献2では、特許文献1の構成に加えて、検知センサが所定の間隔に設けられた中継器を介してコンピュータ内蔵の親機に有線で接続されている。この親機によって、設置された全ての検知センサのデータを制御して管理するようにした漏水検知方法である。
また、特許文献3では、検知センサを備えた無線タグを配管に設置し、検知センサで得られたデータを無線タグに記憶させておき、無線タグと離れた場所で検出器を使用して前記データを受信する。そして、データの結果から漏水の有無を確認する検知方法である。
次に、配管における漏水検知方法の他の事例として、例えばビルやプラントなどの配管設備における漏水検知では、配管の周囲に保温材を取り付ける保温工事を施工する前に、配管の通水検査や水圧検査を実施し、その際に検査員が目視又は触診によって漏水を確認しているのが一般的である。
特開平11−287866号公報 特開平5−79941号公報 特開2001−221393号公報
しかしながら、上記に示す特許文献1乃至3では、測定器や記録器を使用し検知センサから離れた位置で漏水を検知するものであるが、例えば地下に埋設されているような配管や、ビルやプラントなどで保温材が巻かれた配管の場合に、検知センサの設置状態を目視によって確認しにくい。このため、検知センサの設置忘れなどが生じたときに検知結果を判断することが難しく、漏水の検知精度が低下するという問題がある。
また、特許文献1乃至3では、検知センサに通電するための電源が必要となる。そして、漏水検知に必要な機材は、検知センサ、測定器、電源、配線など複数の部品から構成されることになり、これらを設置する手間と時間がかかる。
次に、上述した検査員による目視や触診によって配管の漏水検査を行う方法では、検査漏れや誤検査の有無があり検知精度に問題があるうえ、検知時間がかかる。とくに、保温工事前に配管の漏水検知作業を行うと、全体工事の工期が長くなるという問題がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡易な漏水検知の構成により検知精度を向上するようにした無線検知素子及びこれを用いた漏水検知システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る無線検知素子では、内部に漏水が浸入するように形成された非防水型の第1無線タグと、防水型の第2無線タグとを備え、第1無線タグと第2無線タグとの夫々には、第1アンテナと、第1アンテナに接続された集積回路とを備えていることを特徴としている。
本発明では、漏水があったときに第1無線タグの内部に水が浸入し、第1アンテナ又は集積回路が短絡して交信機能が失われ、又は受発信能力が低下変化する。また、第2無線タグは防水型であるため、漏水の有無にかかわらず交信機能は正常である。そして、例えば検出器を使用して、第1及び第2無線タグの信号を検出することができる。
そして、本発明では、第1無線タグに第2無線タグを加えて一組で設置することにより、第2無線タグの信号を検出器で検出して、設置箇所を判別することができる。第2無線タグの信号を検出できない場合には、第1無線タグ及び第2無線タグを設置していないと判断できる。したがって、無線検知素子の設置位置を確認し漏水の有無を検知でき、検知精度の向上を図ることができる。
また、無線検知素子には電源がなく簡易な構成であることから、設置にかかる作業時間を短縮できる。このように設置が容易であることから、例えばビルやプラントにおいて、配管の周囲に保温材を取り付ける保温工事前に無線検知素子を取り付けて、保温工事後に配管の通水試験を実施し、その際に漏水検知を行うことができる。このように施工途中の段階で無線検知素子の設置をしても工事全体の工期に及ぼす影響を少なくできるため、工事の生産性を向上することができる。
さらに、無線検知素子と検出器との間で交信された信号は電子化されているため、検査記録の管理を簡略化できる。
また、本発明に係る無線検知素子では、第1無線タグと第2無線タグとが一体化されて設けられていることが好ましい。
本発明では、第1及び第2無線タグが一体化して構成されているため、設置が容易になり、設置にかかる時間が短縮される。また、第1及び第2無線タグのどちらか一方の取り付け付け忘れや、例えば両方を非防水型の第1無線タグとするなど同じ型の無線タグを取り付けてしまう間違いを防止できる。
また、本発明に係る漏水検知システムでは、上述した無線検知素子と、第1及び第2無線タグの各第1アンテナと交信可能な第2アンテナを備えた検出器とを備え、第1無線タグの第1アンテナ又は集積回路が浸水したことを検出器で検出すると共に、無線検知素子の設置の有無を判別するために、第2無線タグと検出器とが交信するようにしたことを特徴としている。
本発明では、第1無線タグ及び第2無線タグと検出器とは無線により離れた位置で交信することができる。漏水がある場合に、第1無線タグ及び第2無線タグが一組となった無線検知素子と検出器によって交信すると、非防水型の第1無線タグとの交信ができないか、又は出力低下の変化を検知する。そして、防水型の第2無線タグの信号を検出器で検出することによって、無線検知素子の設置の有無を判別することができるため、検知精度の向上を図ることができる。
これらのことから、本発明による漏水検知システムは、例えば地下に埋設されている配管や保温材が巻かれている配管のように、配管に設置した第1無線タグ及び第2無線タグの設置状態が目視により確認しにくい場合などに有効となる。
また、検出器によって無線検知素子の交信状態を瞬時に検出できる簡単な検知方法であるため、検知作業時間の短縮が図れる。
さらに、第1無線タグと離れた場所から検知できるため、例えば地中や高所に設置されている第1無線タグの近くまで行って検知作業する必要がなく、作業の安全性を向上できる。
本発明の無線検知素子及びこれを用いた漏水検知システムによれば、漏水があったときに、第1無線タグの内部に水が浸入し、第1アンテナ又は集積回路が短絡して交信機構が失われ、又は交信能力が低下変化するが、第2無線タグは防水型であるため、漏水の有無にかかわらず検出器によって交信することができる。
そして、本発明では、第1無線タグに第2無線タグを加えて一組で設置することにより、第2無線タグの信号を検出器で検出して、無線検知素子の設置の有無を判別でき、検知精度の向上を図ることができる。
さらに、上述した無線検知素子には電源がなく簡易な構成であることから、設置にかかる作業時間を短縮することができる。このように設置が容易であることから、例えば、配管の周囲に保温材を取り付ける保温工事前に無線検知素子を設置して、保温工事後に配管の通水試験を実施し、その際に漏水検知を行うことができる。よって、工事全体の工期に及ぼす影響を少なくでき、工事の生産性向上が図れる。
また、本発明の漏水検知システムでは、検出器によって無線検知素子の交信状態を瞬時に検出できる簡単な検知方法であるため、検知作業時間の短縮が図れる。
以下、本発明の実施の形態による無線検知素子及びこれを用いた漏水検知システムについて、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は実施の形態による無線検知素子を備えた漏水検知システムを示す全体図、図2は配管の接続部における漏水検知状態を示す図、図3は図2に示す無線タグの拡大図、図4(a)、(b)は漏水検知システムの交信状態を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態では、例えばビルやプラントにおける配管設備で、配管1の周囲に保温材2を覆って取り付ける保温工事が施工されている。この配管1の各接続部1aには無線検知素子Rが設置され、無線検知素子Rは配管1とともに保温材2に覆われている。
図2及び図4に示すように、本実施の形態で設置する無線検知素子Rは、非防水型をなす第1無線タグ3と、防水型をなす第2無線タグ4とが一体化して基板10上に設置され、配管1の各接続部1aに第1無線タグ3と第2無線タグ4とが一組で設置されることになる。
そして、図2に示すように、漏水検知を実施するときには、第2アンテナ5を備え電波(電磁波)によって無線検知素子Rと交信可能な検出器6が設けられる。なお、この検出器6は、持ち運びが容易であり小型で軽量なものがよい。
第1無線タグ3は、内部に漏水が浸入するように形成された非防水型の構造であり、例えば無線によりデータを送受信することが可能な非接触方式のICカードなどの既製品を加工して使用することができる。
一方、第2無線タグ4は、第1無線タグ3と同一の構成を有しており、しかも内部に漏水が浸入できないように、表面が防水された保護層(図示省略)によって覆われている。
そして、図3に示すように、第1無線タグ3及び第2無線タグ4の各々は、電池を搭載しないカード形状を形成していて、コイル状に形成された第1アンテナ7と、第1アンテナ7の端部7aに接続されたICチップ8(集積回路)とからなるタグ本体9を備えている。
ICチップ8は、CPU(中央演算処理装置)やデータの読み書きを可能とするメモリなどから構成され、第1アンテナ7によって受信した外部からの信号P1、P2を処理し、その結果を検出器6に送信する集積回路である。
ここで、第1無線タグ3と第2無線タグ4とは夫々のICチップ8によって識別されているため、検出器6で信号P1、P2を検出する際に、両者を判別することができる。
ここまで、無線検知素子Rを用いた漏水検知の構成を説明したが、次に作用について図1乃至4に基づいて説明する。
図1に示すように、配管1の保温工事と漏水検知作業の手順は、先ず配管1を施工した後に、配管1の各接続部1aに第1無線タグ3と第2無線タグ4とが一体化した無線検知素子Rを設置する。
続いて、配管1と無線検知素子Rとの周囲に保温材2を取り付けて保温工事を施工し、次いで配管1の通水試験や水圧試験を実施し、その際に無線検知素子R及び検出器6によって漏水検知を行う。
図2に示すように、所定の距離をもって検出器6を無線検知素子Rに近づけると、電池を搭載していない第1無線タグ3及び第2無線タグ4は、検出器6から信号P1、P2を受信する。これにより、第1アンテナ7に磁界が形成され電流を得ることができ、ICチップ8が作動する。
そして、この受信した信号P1、P2はICチップ8によって読み込まれて認識され、次いで信号P1、P2は各無線タグ3、4の夫々の第1アンテナ7を介して検出器6に送信される。
このようにして、無線検知素子Rと検出器6とは相互に交信することができる。
次に、図4(a)に示すように、漏水が無いときには、検出器6によって第1無線タグ3及び第2無線タグ4の信号P1、P2が受信される。このように、検出器6によって交信状態の正常が検出されたとき、無線検知素子Rが設置されている配管1の接続部1aでは漏水が無いものと判断される。
そして、図4(b)に示すように、漏水があるときには、非防水型の第1無線タグ3の内部に漏水が浸入して、タグ本体9の第1アンテナ7又はICチップ8が浸水して短絡するため、タグ本体9の交信機能が失われ、又は交信機能の低下変化が感知される(図3参照)。そうすると、検出器6と第1無線タグ3とは交信が途絶えて、検出器6によって信号P1が検出できない。又は、第1無線タグ3の出力低下を検知して漏水が検知される。
一方、防水型の第2無線タグ4の内部には漏水が浸入しないため、タグ本体9の交信機能は正常となっていることから、検出器6によって信号P2を受信できる。
このように、第2無線タグ4のみが交信可能な状態を検出器6によって検出したときに、この無線検知素子Rが設置されている接続部1aでは漏水しているものと判断される。又は、第1無線タグ3の出力低下を検知することにより漏水しているものと判断される。
なお、配管1の接続部1aに漏水が確認された場合には、この接続部1aの不良箇所のみを手直しすればよい。
このように、第2無線タグの信号P2を検出することにより、無線検知素子Rが配管1に設置されていることを確認できるため、検知漏れなどなく検知精度の向上を図ることができる。
上述のように本実施の形態による配管の漏水検知方法は、配管1の接続部1aに設置した無線検知素子Rは、検出器6を使用して容易に交信できる簡易な検知作業である。そして、検出器6によって非防水型の第1無線タグ3の正常又は異常を瞬時に検出することで漏水の有無を確認できるため、検知作業を省力化でき、漏水検知の作業時間を短縮することができる。
そのうえ、保温工事が施工された配管1における漏水検知では、従来のような検査員の目視や触診による検知作業と比較すると、検査漏れや誤検査などが少なくなり、検知精度の向上を図ることができる。
また、本実施の形態にように、第1及び第2無線タグ3、4を一組で設置して、防水型の第2無線タグ4を設けたことにより、無線検知素子Rが配管1に設置されている有無を確実に判別できる。その結果、漏水の検知漏れや誤検知が少なくなり、検知精度を向上することができる。例えば、無線検知素子Rを配管1に設置した後に、配管1に保温材2が取り付けられて、無線検知素子Rの設置状態が目視により確認できない場合などに有効となる。
また、本実施の形態では、漏水を検知する場所に設置する部材が無線検知素子Rのみであり、従来のような検知センサ、電源、配線など複数の部材の設置が不要となるため、設置作業が容易であり、設置に時間がかからない。
このように短時間で設置が可能となるため、配管1の施工後に無線検知素子Rを接続部1aに設置しておき、通水試験や水圧試験より先行して配管1の保温工事を実施できる。したがって、工程上の制約が少なくなり、生産性の高い施工を実現できるとともに、全体工期の短縮が図れる。
また、無線検知素子Rと検出器6との間で交信された信号P1、P2は電子化されているため、検査記録の管理を簡略化できる。
さらに、この漏水検知システムによると、無線検知素子Rと検出器6とは無線で伝送するものであり、所定距離をもって検知することが可能である。このことから、従来のようにすぐ近くまで行って検知をする必要がなくなり、例えば地中や高所における作業を少なくできるなど安全性を向上することができ、検査箇所への移動に係わる設備や時間を低減できる。
以上、本発明による無線検知素子及びこれを用いた漏水検知システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施の形態による無線検知素子Rは、第1無線タグ3と第2無線タグ4とは、基板10上に一体化されているが、必ずしも一体化されている必要はなく、漏水の検知箇所に第1無線タグ3及び第2無線タグ4が一組になって設けられていればよい。
また、本実施の形態では、無線検知素子Rの設置箇所を配管1の接続部1aとしているが、必ずしもこれに限ることはない。要は、漏水が予想される場所に無線検知素子Rが設けられていればよいのである。そして、検知する適用対象は、配管1に限定されることはない。
また、本実施の形態では、配管1の通水試験又は水圧試験時に漏水検知を実施したものであるが、これらの試験時に限らず、無線検知素子Rの設置後は漏水検知が可能な状態であるため、必要に応じて適宜、漏水検知を行うことができる。つまり、常時、各無線検知素子Rを設置されている順番に検知することによって、漏水の監視が可能である。
さらにまた、非防水性の第1無線タグ3の内部に漏水を浸入させる構成は、内部のタグ本体9が浸水して短絡することができる構成となっていればよい。
本発明の実施の形態による無線検知素子を備えた漏水検知システムを示す全体図である。 配管の接合部における漏水検知状態を示す図である。 図2に示す無線タグの拡大図である。 (a)、(b)は、漏水検知システムの交信状態を示す図である。
符号の説明
1 配管
3 第1無線タグ
4 第2無線タグ
5 第2アンテナ
6 検出器
7 第1アンテナ
8 ICチップ(集積回路)
9 タグ本体
P1、P2 信号
R 無線検知素子


Claims (3)

  1. 内部に漏水が浸入するように形成された非防水型の第1無線タグと、防水型の第2無線タグとを備え、
    前記第1無線タグと前記第2無線タグとの夫々には、第1アンテナと、前記第1アンテナに接続された集積回路とを備えていることを特徴とする無線検知素子。
  2. 前記第1無線タグと前記第2無線タグとが一体化されて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の無線検知素子。
  3. 請求項1又は2に記載された無線検知素子と、前記第1及び第2無線タグの各第1アンテナと交信可能な第2アンテナを備えた検出器とを備え、
    前記第1無線タグの前記第1アンテナ又は前記集積回路が浸水したことを前記検出器で検出すると共に、
    前記無線検知素子の設置の有無を判別するために、前記第2無線タグと前記検出器とが交信するようにしたことを特徴とする漏水検知システム。

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