JP2006186810A - 圧電振動片の製造方法および圧電振動子 - Google Patents

圧電振動片の製造方法および圧電振動子 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧電振動片本体と枠部との間に狭い貫通溝を形成すると共に、圧電振動片本体の加工精度を向上させる圧電振動片の製造方法および圧電振動子を提供する。
【解決手段】 圧電振動片10の製造方法は、圧電振動片本体12と、この圧電振動片本体12を囲む枠部16とを備えた圧電振動片10の製造方法であって、圧電基板22の表面側から砥粒を前記圧電基板22に吹き付けて前記圧電振動片本体12と前記枠部16との間に設けられる溝18aを途中まで形成し、前記圧電基板22の裏面側から砥粒を前記溝18aに対応して吹き付けて前記溝18aを貫通させ、前記圧電振動片本体12が形成される部分に対応した前記圧電基板22の表裏面をケミカルエッチングして発振周波数に対応した厚さに形成する構成である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、圧電振動片の製造方法および圧電振動子に係り、特に圧電振動片本体の周囲に枠部を設けた圧電振動片の製造方法に関する。
圧電振動片本体の周囲に枠部を設けた枠付きの圧電振動片は、ケミカルエッチングまたはブラスト加工により製造されている。ケミカルエッチングにより圧電振動片を製造する場合、まず圧電基板の表面に水晶のケミカルエッチング時の耐食膜となる金属膜を成形し、その上にフォトレジストを塗布する。その後、圧電振動片本体や枠部の形状が得られるように露光・現像し、レジストが除去された部分の金属膜をケミカルエッチングして第1のレジストパターンを形成する。そして第1のレジストパターンが形成されていない水晶部分をケミカルエッチングして、圧電振動片本体と枠部との間に貫通溝を形成する。次に、第1のレジストパターンを除去した後、上述したフォトリソグラフィ工程と同様にして枠部となる圧電基板の表裏面に第2のレジストパターンを形成し、圧電振動片本体となる圧電基板の表裏面をケミカルエッチングして所定の厚さに形成する。この後、第2のレジストパターンを除去し、圧電振動片本体上に励振電極等を形成すると圧電振動片が形成される。なおエッチングにより圧電振動片を製造することについて開示されたものとしては、例えば特許文献1が挙げられる。
またブラスト加工を用いて圧電振動片を製造する場合、まず圧電基板の表面に圧電振動片本体や枠部の形状に対応したレジストパターンをフォトリソグラフィ技術により形成する。そしてブラスト装置から加圧した気体と共に微粒子を噴射して、レジストパターンが形成されていない部分の圧電基板を所定の深さまで加工除去する。次に、レジストパターンを除去した後、枠部に対応した圧電基板の裏面にマスクを形成し、圧電振動片本体となる圧電基板を裏面側からブラスト加工して所定の厚さに形成する。この後、マスクを除去し、圧電振動片本体上に励振電極等を形成すると圧電振動片が形成される。なおブラスト加工を用いて圧電振動片を製造することについて開示されたものとしては、例えば特許文献2が挙げられる。
特開平7−212171号公報 特開平5−235687号公報
圧電振動子には、水晶をはじめとして様々な圧電材料が利用されており、その基板として、例えばATカット圧電基板等が利用されている。このATカット圧電基板は、一辺がX軸(電気軸)に平行で、他辺がX軸の回りにZ軸(光軸)から約35度の傾きをつけて切断されたものである。ところで水晶をケミカルエッチングする場合、結晶方向に対して異なるエッチングレートを有している。すなわち水晶は、異方性エッチングとなる特徴を有している。このため図6に示すように、水晶から切り出されたATカット圧電基板1をケミカルエッチングすると、エッチングにより形成される溝2は斜めにえぐられる。したがって水晶を用いて枠付きの圧電振動片をケミカルエッチングにより製造すると、圧電振動片本体と枠部との間に形成される貫通溝も圧電基板を斜めに貫通したものとなる。
図7はケミカルエッチングにより圧電振動片を製造するときの説明図である。ケミカルエッチングのみで圧電振動片の貫通溝を形成する場合、まず圧電振動片の形状に対応したマスクパターン4が圧電基板5上に形成される(S1)。次に、圧電基板5をエッチング液に浸漬すると、圧電基板5の表裏面から斜めにえぐられた溝6が形成され(S2)、この溝6が徐々に深くなっていく(S3)。その後、表面および裏面から延びた溝6同士が貫通し(S4)、最終的には溝6の側面が斜めになった形状となる(S5)。そしてエッチングが終了してマスクパターン4を除去すると、圧電基板5には斜め方向に延びる貫通溝7が形成される(S6)。
このようなことから、枠付きの圧電振動片をケミカルエッチングにより製造する場合は、次のような課題を生じることになる。第1には、貫通溝の幅を広くしなければならないので、圧電振動片本体の平面サイズを小さくしなければならない課題を生じる。具体的には、貫通溝の幅を狭くすると、圧電基板の表面側および裏面側から形成される溝が水平方向にずれてしまい、溝が貫通しない場合が生じる。したがって圧電基板が厚いほど貫通溝の幅を広くしなければならない。ところが圧電振動片を実装するパッケージサイズに制約がある場合は、貫通溝の幅を広くすると圧電振動片本体の平面サイズを小さくしなければならないので、振動に寄与する部分が小さくなることによりクリスタルインピーダンス(CI)値が大きくなる問題点がある。
第2には、蓋体を枠部に接合するために、枠部の幅を広くしなければならないので、圧電振動片本体の平面サイズを小さくしなければならない。具体的には、貫通溝が圧電基板に斜めに形成されるので、枠部は、表面側の幅と裏面側の幅とが異なって形成される。ところがチップサイズパッケージ(CSP)の圧電振動子とするために、枠部に蓋体を接合しなければならないので、枠部の表面および裏面は、それぞれの面において蓋体の接合が可能な幅を有していなければならない。すなわち蓋体を接合するために枠部を広くしなければならない。したがって圧電振動片を実装するパッケージサイズに制約がある場合は、枠部の幅を広くすると圧電振動片本体の平面サイズを小さくしなけれならず、振動に寄与する部分が小さくなる問題点がある。
第3には、圧電振動片に形成される電極パターンが断線されてしまう。具体的には、貫通溝が斜めに形成されると、圧電振動片本体や枠部の側縁部が鋭角な形状になる箇所が生じる。ところで電極パターンは、圧電基板上に金属膜を付けた後、電極パターンに応じたレジストパターンを形成し、レジストパターンが形成されていない部分の金属膜をエッチングすることにより形成される。そして電極パターンが圧電基板の鋭角箇所に形成される場合は、鋭角箇所にはレジストが付き難いので、レジストが付いていないと電極パターンとなる金属膜もエッチングされてしまい、電極パターンが断線してしまうのである。
第4には、圧電振動片をエッチング液に浸漬して形成するので、圧電振動片の周波数温度特性が悪くなってしまう。すなわち、圧電振動片本体は、有限な大きさであることから、主振動以外にスプリアス振動が存在する。例えば、圧電振動子本体がATカット圧電振動片本体であれば、厚みすべり振動を主振動とする振動以外に、この主振動の周波数の近傍にスプリアス振動が存在する。このため圧電振動片本体は、主振動とスプリアス振動とが結合しないように外形寸法の加工精度が決められる。しかし貫通溝を形成するために、圧電基板をエッチング液に長時間浸漬していると寸法誤差が生じ、特に圧電材料として水晶を用いた場合には、圧電基板がX軸に沿う方向の加工あがり精度が悪くなる。この結果として、圧電振動片の周波数温度特性が悪くなってしまう。
また枠付きの圧電振動片をブラスト加工により製造する場合は、次のような課題を生じることになる。第1には、圧電振動片本体を形成するときに、圧電基板の片側からしか砥粒を吹き付けることができないので、圧電振動片本体の裏面と枠部の裏面とが同一面内に形成されてしまい、CSPの圧電振動子とした場合に薄型化および低コスト化することができない課題を生じる。具体的には、圧電振動片本体の厚みは、発振周波数に応じて数十μmになるまで薄くされるが、砥粒を噴射するときの空気圧によって圧電振動片本体にクラックや折れ等のダメージが生じるのを防止するために、圧電振動片本体の一方の面をテーブル等で支える必要があるので、圧電基板の片側からしかブラスト加工を行えず、圧電振動片本体の裏面と枠部の裏面とが同一面内に形成されてしまうのである。そして圧電振動子は、蓋体と圧電振動片本体との接触を防ぐために、蓋体に圧電振動片本体との接触を防ぐ凹部を設ける必要があるので、圧電振動子が高くなってしまうのである。また蓋体に凹部を設けることにより、製造工程等が増加してしまい、圧電振動子の製造コストも高くなってしまうのである。
第2には、圧電振動片の発振周波数にバラツキを生じてしまう。具体的には、ブラスト加工では圧電振動片本体の全面に砥粒を吹き付けることができないので、厚さを均一にすることができず、厚さの面内バラツキが生じてしまう。またウエハー内においても、厚さのバラツキが生じてしまう。このため圧電振動片本体の厚さの違いから発振周波数にバラツキが生じてしまうのである。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、圧電振動片本体と枠部との間に狭い貫通溝を形成すると共に、圧電振動片本体の加工精度を向上させる圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
また、この方法を用いて製造した圧電振動片から圧電振動子を得ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る圧電振動片の製造方法は、圧電振動片本体と、この圧電振動片本体を囲む枠部とを備えた圧電振動片の製造方法であって、圧電基板の表面側から砥粒を前記圧電基板に吹き付けて前記圧電振動片本体と前記枠部との間に設けられる溝を途中まで形成し、前記圧電基板の裏面側から砥粒を前記溝に対応して吹き付けて前記溝を貫通させ、前記圧電振動片本体が形成される部分に対応した前記圧電基板の表裏面をケミカルエッチングして発振周波数に対応した厚さに形成する、ことを特徴としている。
貫通溝は、ブラスト加工により形成されるので、圧電基板のカット角にかかわらず圧電基板の高さ方向に沿って形成されることができる。したがって貫通溝は、ケミカルエッチングによる貫通穴ほど斜めに形成されることを考慮して幅を広く形成する必要がないので、幅を狭く設計することができる。また圧電振動片本体は、ケミカルエッチングにより形成されるので加工精度が高くなり、厚みを極薄まで加工できるとともに、厚みのバラツキを抑えることができる。さらに圧電振動片本体の表裏面を枠部の表裏面よりも内側に入り込ませることができる。さらにまた圧電振動片本体をコンベックス形状にすることができる。
また前記圧電振動片本体の部分に対応した前記圧電基板の厚さを調整した後、前記圧電振動片本体の部分に対応した前記圧電基板の側面をケミカルエッチングして主振動を発振する外形寸法に形成する、ことを特徴としている。圧電振動片本体の部分に対応した圧電基板を圧電振動片の発振周波数に応じて薄くしているので、この圧電基板の側面が斜めに形成されている部分が少なくなっている。したがって圧電基板の側面をケミカルエッチングしても、サイドが乱れる割合が少なくなり、所望の外形寸法を得ることができる。
また圧電振動片本体と、この圧電振動片本体を囲む枠部とを備えた圧電振動片の製造方法であって、前記圧電振動片本体および前記枠部の形状に応じた第1のマスクパターンを圧電基板の表面に形成し、前記第1のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の表面に所定の深さの溝を形成する工程と、前記溝に対応して第2のマスクパターンを前記圧電基板の裏面に形成し、前記第2のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の裏面に溝を形成して、前記表面に設けられた前記溝と貫通させる工程と、前記枠部の形状に応じた第3のマスクパターンを前記圧電基板の表裏面に形成し、前記圧電振動片本体が形成される部分に対応した前記圧電基板をケミカルエッチングして、前記圧電基板を発振周波数に応じた厚さにする工程と、を備えたことを特徴としている。
したがってブラスト加工により極小貫通溝を形成することができ、ケミカルエッチングにより幅の狭い貫通溝の加工が可能になるとともに、圧電振動片本体の形状の乱れも抑えることができる。またブラスト加工を行った後にケミカルエッチングを行うので、圧電振動片本体を大きく設計することができ、クリスタルインピーダンス値を小さくすることができる。さらにケミカルエッチングにより圧電振動片の極薄加工が可能になるため、厚みバラツキ(発振周波数のバラツキ)も抑えることができる。
また圧電振動片本体と、この圧電振動片本体を囲む枠部とを備えた圧電振動片の製造方法であって、前記圧電振動片本体および前記枠部の形状に応じた第1のマスクパターンを圧電基板の表面に形成し、前記第1のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の表面に所定の深さの溝を形成する工程と、前記溝に対応して第2のマスクパターンを前記圧電基板の裏面に形成し、前記第2のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の裏面に溝を形成して、前記表面に設けられた前記溝と貫通させる工程と、前記枠部の形状に応じた第3のマスクパターンを前記圧電基板の表裏面に形成し、前記圧電振動片本体が形成される部分に対応した前記圧電基板をケミカルエッチングして、前記圧電基板を発振周波数に応じた厚さにする工程と、前記圧電振動片本体の部分に対応した前記圧電基板の表裏面に、前記圧電振動片本体が主振動を発振する外形寸法に応じた第4のマスクパターンを形成し、前記圧電基板の側面をケミカルエッチングする工程と、を備えたことを特徴としている。
圧電振動片本体の部分に対応した圧電基板を圧電振動片の発振周波数に応じて薄くしているので、この圧電基板の側面が斜めに形成されている部分が少なくなっている。したがって圧電基板の側面をケミカルエッチングしても、サイドが乱れる割合が少なくなり、所望の外形寸法を得ることができる。また発振周波数の異なる圧電振動片を製造する場合であっても、圧電振動片の外形寸法を最終工程で調整しているので、圧電基板に貫通溝を形成する工程と、圧電基板の厚さを調整する工程とから得られる素子を共通のものとして使用することができる。
また本発明に係る圧電振動子は、上述した方法を用いて製造した圧電振動片を蓋体で挟み込んだ構成である。この構成では、蓋体は圧電振動片の枠部と接合されるので、圧電振動子はチップサイズパッケージとなる。そして圧電振動片本体の表裏面は枠部の表裏面よりも内側に入り込んでいるので、平面形状の蓋体を使用できる。したがって圧電振動子は、薄型化および平面サイズを小型化することができるとともに、製造コストを削減することができる。また圧電振動子は、圧電振動片に貫通溝が形成されていることから、圧電振動子にかかる応力が圧電振動片本体に伝わることがなく、一定の発振周波数を出力することができる。
以下に、本発明に係る圧電振動片の製造方法および圧電振動子の最良の実施形態について説明する。図1は圧電振動片の説明図であり、図1(A)は概略平面図、図1(B)は同図(A)のA−A線における概略断面図である。圧電振動片10は、振動の励振部分となる圧電振動片本体12を有している。圧電振動片本体12には、対向する側面の中央部から接続部14が突設されており、接続部14の先端は、圧電振動片本体12を囲む枠部16の内側面に接続されている。すなわち圧電振動片10は、図1(A)に示すXZ平面内に圧電振動片本体12および枠部16が形成されており、圧電振動片本体12と枠部16との間には貫通溝18が設けられている。そして圧電振動片本体12は、発振周波数に応じた厚さに設定されており、その表面および裏面に励振電極20が設けられている。また枠部16は、圧電振動片本体12よりも厚く形成され、励振電極20と導通する接続電極(不図示)が設けられている。なお励振電極20や前記接続電極は、電極パターンとなる。
次に、圧電振動片10の製造方法について説明する。図2は圧電振動片の製造方法の説明図である。まず圧電基板22(圧電ウエハー)の表面に、圧電振動片10の形状に対応した第1のマスクパターン24を形成する。この第1のマスクパターン24は、後述するブラスト加工に耐えるものであればよく、例えば、圧電基板22上にドライフィルムレジストを貼り付けた後、ドライフィルムレジストを圧電振動片10の形状に対応して露光・現像し、圧電振動片10の形状に対応した部分上に形成すればよい。なお実施形態によっては、第1のマスクパターン24は、圧電基板22上にフォトレジストを塗布した後、圧電振動片10の形状に対応して露光・現像し、圧電振動片10の形状に対応した部分上に形成してもよい。また圧電振動片10の形状に対応して金属等を成膜し、この金属膜を第1のマスクパターン24としてもよい。そして第1のマスクパターン24を形成した圧電基板22を、その表面を上側に向けてテーブル26上に固定する。そして図2の矢印Bに示すように、ブラスト装置から加圧された気体と共に砥粒を圧電基板22に吹き付けて、第1のマスクパターン24が形成されてない部分の圧電基板22を途中まで除去する(S100)。すなわちブラスト加工によって圧電基板22に溝18aを形成する。この溝18aの深さは、実施形態によって適宜設定されるが、概ね圧電基板22の高さの半分程度であればよい。このとき溝18aの開口は、圧電基板22の表面側が広く、中央側が狭くなったテーパー形状となっている。
次に、第1のマスクパターン24を除去した後、圧電基板22の裏面に第2のマスクパターン28を形成する。この第2のマスクパターン28は、圧電振動片10の形状に対応して圧電基板22の裏面に設けられており、第1のマスクパターン24と同様にして形成されればよい。そして第2のマスクパターン28を形成した圧電基板22を、その裏面を上側に向けてテーブル26上に固定する(S110)。
この後、図2の矢印Cに示すように、圧電基板22にブラスト加工を施して第2のマスクパターン28が形成されてない部分の圧電基板22を除去していき、S100で形成した溝18aに貫通させる(S120)。すなわち圧電基板22の裏面に形成された溝18bと、表面に形成された溝18aとを貫通させる。なおブラスト加工は、S100で説明したブラスト加工と同様に行えばよく、S120によって形成される溝18bの開口は、圧電基板22の裏面側が広く、中央側が狭くなったテーパー形状となっている。これにより圧電基板22の表面から裏面にかけて貫通した溝18a,18b(貫通溝18)が形成される。
次に、圧電基板22から第2のマスクパターン28を除去すると共に、圧電基板22をテーブル26から取り外した後(S130)、枠部16となる部分に対応した圧電基板22の表面および裏面に第3のマスクパターン30を形成する(S140)。この第3のマスクパターン30は、後述するケミカルエッチングに耐えられるものであればよく、第1のマスクパターン24と同様にして形成することができる。ケミカルエッチングは、圧電基板22をエッチング液に浸漬し、第3のマスクパターン30が形成されていない部分、すなわち圧電振動片本体12となる部分に対応した圧電基板22が所定の厚さになるまで行えばよい(S150)。圧電基板22の厚さは、圧電振動片10に要求される発振周波数に応じて設定されるものであり、圧電振動片本体12が厚くなると発振周波数は低くなり、圧電振動片本体12が薄くなると発振周波数は高くなる。そして圧電基板22を所定の厚さにするには、圧電基板22のエッチングレートを予め求めておき、このエッチングレートに基づいて行えばよい。このようにブラスト加工した後にケミカルエッチングをすると、ブラスト加工を施した圧電基板22の表面が滑らかになる。
そして圧電振動片本体12や枠部16に金属膜を成膜して、圧電振動片本体12に励振電極20を形成すると共に、枠部16に励振電極20と導通する前記接続電極を形成すれば、圧電振動片10が形成される(S160)。
また上述したS100〜S150の工程によって製造された圧電振動片10を用いて、さらに高精度の圧電振動片10を製造することもできる。図3は高精度化した圧電振動片の製造方法の説明図である。この高精度の圧電振動片10の製造は、圧電振動片10の主振動とスプリアス振動とが結合しないように、圧電振動片本体12の外形寸法を調整するものである。具体的には、まず主振動とスプリアス振動とが結合することのない圧電振動片本体12の外形寸法を設計する。そして設計された外形寸法に合わせて圧電振動片本体12の表裏面に第4のマスクパターン32を形成する。また第4のマスクパターン32は、枠部16の表裏面にも形成される(S200)。この第4のマスクパターン32は、ケミカルエッチングに耐えられるものであればよく、第1のマスクパターン24と同様にして形成することができる。なお圧電振動片10は、S100〜S150の工程により製造されたものを用いればよい。
次に、圧電振動片10をエッチング液に浸漬して、第4のマスクパターン32が形成されていない部分、すなわち圧電振動片本体12の側面をエッチングする(S210)。そして第4のマスクパターン32を除去した後(S220)、圧電振動片10に励振電極20や前記接続電極を形成するために、圧電振動片本体12や枠部16に金属を成膜すれば、圧電振動片10が形成される(S230)。
このような圧電振動片10の製造方法によれば、上述したS100〜S160の工程に示すように、圧電振動片10の製造にブラスト加工およびエッチング加工を用いることで圧電基板22の高さ方向に沿う貫通溝18を形成でき、また圧電振動片本体12の厚さを正確に調整することができる。すなわち圧電材料として水晶を用いたATカット圧電振動片であっても、圧電振動片本体12と枠部16との間に形成される貫通溝18を圧電基板22の高さ方向に沿って形成することができる。
そして貫通溝18の幅を狭く設計しても、幅の狭い貫通溝18を形成できる。また圧電振動片10の枠部16は、表面側と裏面側とでほぼ同じ幅にできるので、CSPの圧電振動子にする場合でも、従来技術のように枠部の幅を広げるとともに、圧電振動片本体の平面サイズを小さくする必要がない。したがって圧電振動片本体12の平面サイズを大きくすることができ、CI値を小さくすることができる。また幅の狭い貫通溝18を形成できることから、小型の圧電振動片10を形成することもできる。さらに圧電振動片本体12や枠部16の縁部には、鋭角箇所が形成されないので、前記電極パターンが断線することはない。
また圧電振動片本体12は、ケミカルエッチングを用いて発振周波数に応じた厚さに加工されるので、加工精度が高くなり、極薄寸法まで加工できる。したがってブラスト加工およびケミカルエッチングを用いると、圧電振動片本体12の厚みのバラツキを抑えることができるので、高精度の圧電振動片10を得ることができる。
また圧電基板22にブラスト加工を施して貫通溝18を形成すると、貫通溝18の幅は、砥粒を吹き付ける側となる圧電基板22表面および裏面側が内部に比べて幅広くなる。すなわち貫通溝18は、圧電基板22の内部から外側に向かってテーパー状になっている。そして、この形状のままケミカルエッチングを施すと、この形状に倣ってエッチングが施されるので、圧電振動片本体12をコンベックス形状にすることができ、振動のエネルギを閉じ込めることができる。
またS200〜S230の工程を行う圧電振動片10として、S100〜S150の工程によって製造された圧電振動片10を用いているので、圧電振動片本体12が発振周波数に応じて既に薄く形成されており、圧電基板22の側面が斜めに形成された部分が少なくなっている。したがってS210のエッチングを行って圧電基板22が異方性エッチングされても、圧電振動片本体12の外形寸法の乱れる割合が少なくなり、加工精度が向上し、設計に対応した圧電振動片本体12の外形寸法を得ることができる。したがって周波数温度特性が良好になる。
また圧電振動片10の発振周波数が異なる仕様のものであっても、圧電振動片10の外形寸法の調整を最後に行うことによって、S100〜S150の工程で得られる圧電振動片10を共通のものとして使用できる。
なお上述した圧電振動片10の製造方法は、圧電材料として水晶を用いた圧電振動片を製造するばかりでなく、チタン酸ジルコン酸鉛等の他の圧電材料を用いた圧電振動片を製造することもでき、またATカット圧電振動片ばかりでなく、BTカット等の他のカット角の圧電振動片を製造することもできる。さらに圧電振動片10の製造方法は、図1に示すような矩形の圧電振動片本体12を製造するばかりでなく、他の形状の圧電振動片本体を製造することもできる。
次に、圧電振動子について説明する。図4は圧電振動子の説明図である。圧電振動子34は、上述したS100〜S160の工程によって製造された圧電振動片10や、S100〜S150およびS200〜S230の工程によって製造された圧電振動片10を平面形状の蓋体36で挟み込んで、CSPの圧電振動子34にしたものであり、圧電振動片10は、前記接続電極を介して蓋体36に設けられた実装電極38と電気的に接続されている。そして圧電振動子34の製造方法は、次のようになる。すなわち蓋体36を陽極接合するための電極や、加熱圧着するための金/錫ロウ材等を枠部16の周縁部全周に設けた後、蓋体36と圧電振動片10とを真空中または不活性ガス雰囲気中で接合すると、圧電振動片本体12が真空または不活性ガス雰囲気で気密封止される。
このような圧電振動子34は、圧電振動片本体12の表裏面を枠部16の表裏面よりも内側に入り込ませているので、枠部16に平面形状の蓋体36を接合しても圧電振動片本体12と蓋体36とが接触することはない。したがって平面形状の蓋体36を用いることができることから、従来の凹部を備えた蓋体を用いる圧電振動子に比べて薄型化できるとともに、製造コストを低減することができる。
また圧電振動子34はCSPとしていることから、平面サイズを小型化することができる。また圧電振動片10と蓋体36との熱膨張係数が異なっていると圧電振動片10に応力が加わる場合があるが、圧電振動片本体12が枠部16から離れているので、圧電振動片本体12に応力が伝わることはない。したがって圧電振動子34は、一定の発振周波数を出力することができる。
なお圧電振動片10は、S100〜S160の工程のかわりに、以下に説明するようにして製造することもできる。図5は変形例に係る圧電振動片の製造方法の説明図である。まず圧電基板22(圧電ウエハー)の表面に、圧電振動片10の形状に対応した第1のマスクパターン24を形成する。この第1のマスクパターン24は、ブラスト加工に耐えるものであればよく、例えばドライレジストフィルム等によって形成すればよい。そして第1のマスクパターン24を形成した圧電基板22を、その表面を上側に向けてテーブル26上に固定する(S300)。そして図5の矢印Dに示すように、ブラスト加工により第1のマスクパターン24が形成されていない部分の圧電基板22に溝18aを形成する(S310)。この溝18aの深さは圧電基板22の高さの半分未満であり、また溝18aの開口は、圧電基板22の表面側が広く、中央側が狭くなったテーパー形状となっている。
次に、第1のマスクパターン24を除去した後、圧電基板22の裏面に第2のマスクパターン28を形成する。この第2のマスクパターン28は、圧電振動片10の形状に対応して圧電基板22の裏面に設けられており、第1のマスクパターン24と同様にして形成されればよい。そして第2のマスクパターン28を形成した圧電基板22を、その裏面を上側に向けてテーブル26上に固定する(S320)。
この後、図5の矢印Eに示すように、圧電基板22にブラスト加工を施して第2のマスクパターン28が形成されてない部分の圧電基板22に溝18bを形成する(S330)。この溝18bの深さは圧電基板22の高さの半分未満なので、S310で形成した溝18aと貫通していない。また溝18bの開口は、S310で形成した溝18aと同様に、テーパー形状になっている。
次に、圧電基板22から第2のマスクパターン28を除去すると共に、圧電基板22をテーブル26から取り外した後(S340)、枠部16となる部分に対応した圧電基板22の表面および裏面に第3のマスクパターン30を形成する(S350)。この第3のマスクパターン30は、後述するケミカルエッチングに耐えられるものであればよく、第1のマスクパターン24と同様にして形成することができる。
ケミカルエッチングは、圧電基板22をエッチング液に浸漬し、第3のマスクパターン30が形成されていない部分、すなわち圧電振動片本体12となる部分に対応した圧電基板22が発振周波数に応じた厚さになるまで行えばよい(S360)。このときS310およびS330で形成された溝18a,18bもエッチングされて、圧電振動片本体12と枠部16との間に貫通溝18が形成される。このようにブラスト加工した後にケミカルエッチングをすると、ブラスト加工を施した圧電基板22の表面が滑らかになる。
そして第3のマスクパターン30を除去した後(S370)、圧電振動片本体12や枠部16に金属膜を成膜して、圧電振動片本体12に励振電極20を形成すると共に、枠部16に励振電極と導通する前記接続電極を形成すれば、圧電振動片10が形成される(S380)。
圧電振動片の説明図である。 圧電振動片の製造方法の説明図である。 高精度化した圧電振動片の製造方法の説明図である。 圧電振動子の説明図である。 変形例に係る圧電振動片の製造方法の説明図である。 水晶基板をケミカルエッチングしたときの説明図である。 ケミカルエッチングにより圧電振動片を製造するときの説明図である。
符号の説明
10………圧電振動片、12………圧電振動片本体、16………枠部、18………貫通溝、22………励振電極、24………第1のマスクパターン、28………第2のマスクパターン、30………第3のマスクパターン、32………第4のマスクパターン、34………圧電振動子。

Claims (5)

  1. 圧電振動片本体と、この圧電振動片本体を囲む枠部とを備えた圧電振動片の製造方法であって、
    圧電基板の表面側から砥粒を前記圧電基板に吹き付けて前記圧電振動片本体と前記枠部との間に設けられる溝を途中まで形成し、
    前記圧電基板の裏面側から砥粒を前記溝に対応して吹き付けて前記溝を貫通させ、
    前記圧電振動片本体が形成される部分に対応した前記圧電基板の表裏面をケミカルエッチングして発振周波数に対応した厚さに形成する、
    ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
  2. 前記圧電振動片本体の部分に対応した前記圧電基板の厚さを調整した後、
    前記圧電振動片本体の部分に対応した前記圧電基板の側面をケミカルエッチングして主振動を発振する外形寸法に形成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
  3. 圧電振動片本体と、この圧電振動片本体を囲む枠部とを備えた圧電振動片の製造方法であって、
    前記圧電振動片本体および前記枠部の形状に応じた第1のマスクパターンを圧電基板の表面に形成し、前記第1のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の表面に所定の深さの溝を形成する工程と、
    前記溝に対応して第2のマスクパターンを前記圧電基板の裏面に形成し、前記第2のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の裏面に溝を形成して、前記表面に設けられた前記溝と貫通させる工程と、
    前記枠部の形状に応じた第3のマスクパターンを前記圧電基板の表裏面に形成し、前記圧電振動片本体が形成される部分に対応した前記圧電基板をケミカルエッチングして、前記圧電基板を発振周波数に応じた厚さにする工程と、
    を備えたことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
  4. 圧電振動片本体と、この圧電振動片本体を囲む枠部とを備えた圧電振動片の製造方法であって、
    前記圧電振動片本体および前記枠部の形状に応じた第1のマスクパターンを圧電基板の表面に形成し、前記第1のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の表面に所定の深さの溝を形成する工程と、
    前記溝に対応して第2のマスクパターンを前記圧電基板の裏面に形成し、前記第2のマスクパターンを利用してブラスト加工により前記圧電基板の裏面に溝を形成して、前記表面に設けられた前記溝と貫通させる工程と、
    前記枠部の形状に応じた第3のマスクパターンを前記圧電基板の表裏面に形成し、前記圧電振動片本体が形成される部分に対応した前記圧電基板をケミカルエッチングして、前記圧電基板を発振周波数に応じた厚さにする工程と、
    前記圧電振動片本体の部分に対応した前記圧電基板の表裏面に、前記圧電振動片本体が主振動を発振する外形寸法に応じた第4のマスクパターンを形成し、前記圧電基板の側面をケミカルエッチングする工程と、
    を備えたことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法を用いて製造した圧電振動片を蓋体で挟み込んだことを特徴とする圧電振動子。
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