JP2006180872A - 鳥コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】鳥コクシジウム感染症を予防するための新規な核酸及びその用途の提供。
【解決手段】新規な鳥コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸、及びそのその核酸を利用した組換え蛋白質を主成分とするワクチン及びDNAワクチン。当該ワクチンを鶏に接種することによりコクシジウム感染症を予防できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、鳥コクシジウムの感染予防に有用なアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸及びその利用に関する。
コクシジウム症は腸に異常が起きる疾病であり、鶏などの家禽飼育において、軽症では下痢や飼料の肉転換率低下、重症では急性死亡など多様な問題を引き起こす。
この病気はアイメリア(Eimeria)属の寄生虫によって引き起こされる。この属には、E.アッセルブリナ(E. acervulina)、E.テネラ(E. tenella)、E.マキシマ(E. maxima)、E.ネカトリクス(E. necatrix)、E.ブルネッチ(E. brunetti)、E.ミチス(E. mitis)及びE.パラエコックス(E. praecox)が含まれる。この他に、E.ミバチ(E. mivati)及びE.ハガニ(E. hagani)種をメンバーに加える研究者もいる。これらは全て類似の生活環を有するが、組織特異性や病原性を異にする。E.アッセルブリナ(E. acervulina)またはE.E.マキシマ(E. maxima)による鳥の感染は、飼料の消化に大きな役割を果たす小腸部分に感染するので、特にブロイラーに大きな損害をもたらす。
コクシジウム症は抗コクシジウム剤の投与で対処されうるが、薬剤耐性株が頻繁に出現し、新しい薬剤の開発には多くのコストが必要である。更に、これら薬剤の多くは肉に残留し、それが消費者に問題を起こす可能性もある。
アイメリア属の弱毒株あるいは不活化した虫体を鳥に免疫して病気を予防する試みがなされてきた。早熟株のような弱毒生ワクチン株は野生型のアイメリア属各種のオーシストを鳥に感染させ、糞便に再びオーシストが排出されるまでの時間が短くなった虫を集めることによって得られる(J. Parasitol. 1975, 61:1083-1090)。しかしながら、このような弱毒ワクチンで免疫した鳥においても寄生虫は増殖し、病変が検出されるのである。一方、不活化ワクチンの防御レベルは充分には程遠い。更に、これらワクチンを大量生産するにはたくさんの鳥が必要であり、生産コストが高くなるという欠点がある。
他の方法としては、遺伝子組換え技術による鶏コクシジウム原虫の防御抗原の産生がある。一旦その技術が開発されたならば、その抗原蛋白質によって鶏をコクシジウム症から防御するのに十分な量の生産が原核細胞や真核細胞の培養システムで安価に可能となるであろう。
今までに、多数の防御抗原候補の遺伝子が報告されてきた。例えば、M. C. Jenkinsらはアッセルブリナの膜画分抽出物で免疫した兎血清を用いてスクリーニングした250kDaのメロゾイト表面蛋白の一部をコードするcDNAについて記載している(Exp. Parasitol. 1988, 66: 96-107;米国特許第5122471号明細書)。或いは、アイメリア原虫に対するモノクローナル抗体を使って、アイメリア原虫の抗原遺伝子がスクリーニングされた(米国特許第5028694号明細書;米国特許第5279960号明細書;米国特許第5814320号明細書;米国特許第5449768号明細書)。
しかしながら、これら報告された抗原候補は、組換え蛋白として、あるいは抗原を発現する組換えウイルスとして鳥に接種した場合でも、いずれも部分的な防御効果を示すにとどまっていた(米国特許第5387414号明細書;米国特許第5403581号明細書;米国特許第5602033号明細書;米国特許第6001363号明細書)。
マラリア原虫(Plasmodium)は、鶏コクシジウム原虫の近縁であり、同じアピコンプレックス門に属する。マラリアは、三大感染症の1つであり、年間の罹患者数は3〜5億人、死亡者数は150〜270万人といわれており、その対策としてワクチン開発が全世界で精力的に進められている。そして現在、ワクチン抗原として期待されている抗原蛋白の1つに、アピカルメンブレン抗原1(PfAMA1)がある(Molecular Microbiology (2004) 52, 159-168, The Journal of Immunology 172 (2004) 6167-6174, Infect. Immun. 72 (2004) 4464-4470)。鶏コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1は、原虫の特定の器官において発現するごく微量の抗原蛋白質であるため、単離することが難しかった。このため、アピカルメンブレン抗原1のアミノ酸配列も解明されていなかった。そして、単離された抗原蛋白質が存在しないため、遺伝子クローニングの最も一般的な手法である、抗原に対応する抗体を得て、別途調製したcDNAライブラリーをスクリーニングするという手法で、アピカルメンブレン抗原1の遺伝子を得ることができなかった。
上記の通り、鳥コクシジウム原虫に対する満足できるワクチンは開発されていない。また、鳥コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1をコードする遺伝子はクローニングされておらず、この遺伝子(核酸)のワクチンとしての有用性も知られていない。
米国特許第5122471号明細書 米国特許第5028694号明細書 米国特許第5279960号明細書 米国特許第5387414号明細書 米国特許第5449768号明細書 米国特許第5602033号明細書 米国特許第5814320号明細書
J. Parasitol. 1975, 61:1083-1090 Exp. Parasitol. 1988, 66: 96-107 Molecular Microbiology 2004,52:159−168 The J Immunol.2004,172:6167−6174 Infect.Immun.2004,72:4464−4470
前記の如き従来技術の下で、本発明者は、鳥コクシジウム原虫に対して有効なワクチンを開発すべく種々検討した結果、アイメリア・テネラのアピカルメンブレン抗原1をコードするcDNAをクローニングすることに成功し、このDNAを含むDNAワクチンがコクシジウム感染に対して防御効果を示すこと、及びこの核酸を発現させた組換えアピカルメンブレン抗原1蛋白質で免疫すると、この抗原蛋白質特異的な抗体が誘導されることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、鳥コクシジウム原虫(Eimeria)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸、より具体的には鳥コクシジウム原虫アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1蛋白質をコードする核酸が提供される。最も典型的には、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1蛋白質をコードする核酸が提供され、さらには、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換により修飾されており、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸、配列番号1に示す塩基配列のコード領域を有する核酸に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1蛋白質の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸、及び配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸が提供される。
本発明はまた、前記のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸であるDNAを含んでなるベクター、当該ベクターを含む宿主細胞、前記の核酸によりコードされる、鳥コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質、前記の核酸を含んでなる、鳥コクシジウム原虫に対するDNAワクチン、前記の蛋白質を含んでなる蛋白質ワクチン、及び前記の宿主細胞を培養することを含んでなる、前記蛋白質の製造方法を提供する。
本発明の鳥コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸やこれを含有する組換えDNAは、鳥コクシジウム原虫に対するDNAワクチンとして利用することができ、また、本発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸を利用して製造された蛋白質は、鳥コクシジウム原虫に対する蛋白質ワクチンとして利用することができる。
以下に本発明を詳述する。
アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質
本発明において、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質は、それを用いて動物を免疫した場合に、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するアピカルメンブレン抗原1蛋白質を用いて動物を免疫した場合に産生される抗体と同等の抗体を産生せしめる蛋白質を意味し、当該アピカルメンブレン抗原1蛋白質自体をも包含する。このような、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質としては、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するアピカルメンブレン抗原1蛋白質に含まれるエピトープと同じエピトープを含む蛋白質が挙げられる。
上記のような蛋白質の一例は、実施例3で示した配列番号2の57番目から276番目のアミノ酸配列からなる組換え蛋白質が挙げられる。
本発明に係る抗原ワクチンの活性成分として使用されるアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質は、鳥類寄生性のアイメリア属原虫由来の抗原蛋白質であり、典型的には、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるアピカルメンブレン抗原1蛋白質である。しかしながら、本発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質はこれに限定されず、アピカルメンブラン抗原1の抗原性を有する限り、配列番号2のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換により修飾されており、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質も本発明に含まれる。ここで、修飾の対象となるアミノ酸残基の数は、好ましくは全配列に対して10%以下、より好ましくは5%以下であり、典型的には数個以下、即ち10個未満である。
本発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質はまた、配列番号1に示す塩基配列のコード領域を有する核酸に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸にコードされており、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質も含まれる。ここで、高ストリンジェント条件とは、0.2×SSCで68℃の条件である。
本発明は更に、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を含む。好ましくは、前記同一性は少なくとも95%である。
アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸
本発明はまた、鳥コクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸に関し、典型的にはDNAに関する。本発明の核酸は、鳥類寄生性のアイメリア属原虫由来のアピカルメンブレン抗原1蛋白質をコードする核酸であり、典型的には、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるアピカルメンブレン抗原1蛋白質をコードする核酸であり、最も典型的には、配列番号1に記載のコード領域の塩基配列を有する核酸である。
しかしながら、本願発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸はこれに限定されず、アピカルメンブラン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする限り、配列番号2のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換により修飾されており、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を維持している蛋白質をコードする核酸も本発明に含まれる。ここで、修飾の対象となるアミノ酸残基の数は、好ましくは全配列に対して10%以下、より好ましくは5%以下であり、典型的には数個以下、即ち10個未満である。
本発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸としては、配列番号1に示す塩基配列のコード領域を有する核酸に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズし、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸も含まれる。ここで、高ストリンジェント条件とは、0.2×SSCで68℃の条件である。
本発明は更に、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原活性を有する蛋白質をコードする核酸を含む。好ましくは、前記同一性は少なくとも95%である。本発明において、配列の同一性は、例えばBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)検索ツールを用いて計算される。
上記の、配列番号2に記載するアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有する蛋白質、又は配列番号1に記載の塩基配列以外の塩基配列を有する核酸を得る方法としては、配列番号1に記載する塩基配列を有する核酸に修飾を加える方法が挙げられる。核酸の修飾にためには、変異プライマーを用いての部位特定変異誘発、常用の変異原を用いてのランダム変異誘発など、既に確立されている手法(例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)」 Sambrookら (Cold Spring Harbor Laboratory)2001年出版に記載されている手法)を用いることが出来る。
ベクター及びその構築
本発明のベクターは、上述した本発明の核酸であるDNA分子を含むものである。本発明のベクターを得るに際し、本発明の核酸に、天然には存在しないヌクレオチド配列を結合させることもできる。本発明の核酸に連結させることができるヌクレオチドとしては、通常の遺伝子操作において用いられるリンカーを挙げることができる。リンカーは、天然には本発明のDNAと連結していない少なくとも1塩基、または2以上のヌクレオチドをいい、ベクターの組み込み部位に応じて設計すればよい。
本発明の核酸であるDNAを組み込むベクターは、一般にベクターとして用いられているプラスミド、コスミド、ファージなどの中から任意に選択され、例えば、pBR322、pBR325、pUC7、pUC8、pUC18、pUC19、pBluescript、pGEMなどのプラスミド、λファージ、M13ファージなどのファージ、pHC79などのコスミドなどが挙げられる。ベクターは適当な制限酵素で切断し、常法に従って必要なDNAを挿入する。
アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を得るための発現用ベクターを構築するためのベクターは特に限定されるものではなく、前記ベクターと同様のベクターを用いることが出来、特に発現させた目的蛋白質(アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質)を容易に精製できるようにアフィニティ精製可能なタグ部分との融合蛋白質として発現させることが出来るようなベクターがより好ましい。そのようなベクターの具体例としては、市販のpGEXベクター(アマシャムバイオサイエンス社)やpQEベクター(キアゲン社)などが挙げられる。実施例3で示す発現用ベクターであるpGEX-6p-3はその一例である。
発現用ベクターはまた、プロモーター、ターミネーターなどの発現制御領域を含む必要がある。発現制御領域は、当該プロモーターが導入される宿主細胞により異なる。例えば、宿主細胞が細菌、例えば大腸菌の場合、プロモーターとして、lacプロモーター、tacプロモーター、T5プロモーターなどが挙げられる。また、宿主細胞が酵母の場合、OAX1プロモーター、GADPHプロモーターなどが使用され、宿主が昆虫細胞の場合、ポリへドリンプロモーターなどが使用され、哺乳類の培養細胞の場合、CMVプロモーター、鶏β−アクチンプロモーターなどが使用される。
宿主細胞
上記の如き発現用ベクターを使用して種々の適当な宿主細胞を形質転換して、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質あるいはそのアミノ酸配列の一部とタグ配列を含んだ組換え蛋白質の生産能を有する宿主細胞を得ることができる。
ここで用いられる宿主細胞は、原核生物や真核生物の中から、上述した発現用ベクターに対する適性、生成物の安定性などを考慮して選択することができる。具体的には、原核細胞宿主としては、細菌、例えばエシェリヒア属の細菌、典型的には大腸菌など、サルモネラ属、例えば、サルモネラ・チフィムリウムなどが挙げられる。真核細胞としては、下等真核細胞、例えば真菌細胞、酵母又は糸状菌、例えば、サッカロミセス属の酵母又はぺニシリウム属などの糸状菌などが挙げられる。
また、高等真核細胞としては、昆虫の培養細胞、例えば蚕の培養細胞;ヒト以外の哺乳類の培養細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、CEF細胞;ヒトの培養細胞、例えばHeLa細胞;などが例示される。
前記の発現用ベクターを上記の宿主細胞に導入するには、宿主細胞の種類等に応じて、常用の形質転換方法を採用することができる。
アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質の製造
適当な発現用ベクターの導入により形質転換された宿主細胞は、当業者に周知の培養条件下で培養、増殖させることができる。例えば、大腸菌を用いた場合、好気的条件下、37℃でLB培地を用いて培養する。また、蛋白質の生産にあたっては、プロモーターの作用を誘導させる条件を選択することができ、その具体例として、lacプロモーター・オペレーターを例にとると、イソプロピルチオ-β-D-ガラクトピラノシド(IPTG)を適当量培養液に添加することにより達成される。
このようにして得られたアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を精製する方法は特に限定されず、公知の技術を組み合わせていかなるプロセスも利用できる。もしアフィニティ精製可能なタグ部分を本発明の核酸と組み合せ、これらの融合蛋白質として発現させた場合には、そのアフィニティを利用した精製が便利である。例えば、pGEXベクターを使ってグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白質として発現させたアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質は、グルタチオンセファロース4Bカラム(アマシャムバイオサイエンス社)で簡便に精製することが出来る。
鶏コクシジウム原虫に対するワクチン
鶏コクシジウム原虫に対する本発明のワクチンとして、DNAワクチンと蛋白質ワクチンが挙げられる。DNAワクチンは、鶏などの対象鳥類に投与された後、当該DNAワクチンに挿入されている、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードするDNAが発現され、それにより生成した当該蛋白質がワクチン効果を惹起する。他方、蛋白質ワクチンは、その構成成分であるアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質がワクチン効果を惹起する。
本発明のDNAワクチンは、本発明の核酸を含んで成るものである。具体的には、プラスミドなどのベクターに、本発明の核酸であるDNAを挿入した組換えDNA分子を主成分とするものである。この組換えDNA分子としては、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を得るのに用いた発現用ベクターであってもよく、また、対象鳥類に投与された後にアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を発現するものであれば他のベクターであっても良い。このDNAワクチンには、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードするDNAのほかに他の成分が含まれていてもよい。
この組換えDNA以外の成分として、細胞表層にあるトール様レセプターに認識されて細胞性免疫を活性化する事が知られているオリゴヌクレオチド(いわゆるCpG)や、保存安定剤など薬理学的に問題のない成分を、燐酸バッファー(PBS)などの溶媒に可溶化して用いることができる。
本発明のDNAワクチンの投与方法に格別の制限はなく、筋肉注射、静脈注射、腹腔内注射などの方法が一般的な方法として挙げられる。接種量は、鳥類1羽当り、通常0.1〜10mg/ml、好ましくは0.5〜5mg/mlの濃度の注射液50μl程度である。
本発明の蛋白質ワクチンは、本発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を主として含有する。蛋白質ワクチンは鳥類に安全に投与できる限り、生理食塩水、あるいは免疫増強剤や保存剤などのいかなる成分を含んでいても良い。
蛋白質ワクチンの鳥類への投与方法は接種した鳥類に免疫を誘導させる事が出来る限りにおいて特に限定されないが、本発明のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質の場合には、強い免疫応答を誘導する為に免疫賦活剤とともに接種する事が望ましい。免疫賦活剤も公知の多くの免疫賦活剤から選択することができる。例えば、油性アジュバント、水酸化アルミニウムなども使用できる。蛋白質の接種量も特に限定されないが、0.1mg/ml以上の濃度の液を鳥類1羽当り20μl以上接種することが好ましく、更に追加免疫することが好ましい。
本発明のプラスミドの構築は特に記載がない限り、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)(Cold Spring Harbor Laboratory. Cold Spring Harbor. N.Y. 2001年)記載の標準的な分子生物学手法を用いて行った。尚、制限酵素で切断したDNA断片はアガロースゲル電気泳動後、ゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社、製品番号:28704)を用いて精製した。文中で特に断らない限り、ポリメラーゼ・チェイン反応(PCR)は、Ex Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社、製品番号:RR001A)を用い、変性条件を94℃にて1分、アニーリング条件を55℃にて2分、伸張反応条件を72℃にて3分として、30サイクル反応させた。
実施例1. アピカルメンブレン抗原1蛋白質をコードするcDNAのクローニング
1.1 アイメリア・テネラのcDNAライブラリーの調製
アイメリア・テネラの日本野外分離株(財団法人 畜産生物科学安全研究所より分与)のオーシスト1×108個からスポロゾイトを常法に従って調製し、PBSで洗浄後、リシスバッファー(4M グアニジンチオシアネート、25 mMクエン酸ナトリウム、0.5%ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、0.1M β−メルカプトエタノール)0.5mlで溶解させた。この液をオリゴdTカラム(Fast-Track mRNA分離キット、Invitrogen社)に通してmRNAを精製した。
相補DNA(cDNA)はcDNA合成キット(タカラバイオ社、製品番号:6120)を用いて合成した。二本鎖DNAを合成した後、cDNAライブラリーキット(タカラバイオ社、製品番号:6119)に包含されているカセットアダプターを用いて、マニュアルに従ってcDNAライブラリーを調製した。
1.2 アイメリアESTデータベースの検索と5'末端のクローニング
次に、マラリア原虫のアピカルメンブレン抗原1(PfAMA−1)蛋白質のアミノ酸配列(Protein Database Accession:AAA29475)の内、N末端側392アミノ酸の配列を使用して、アイメリアのESTデータベースをtBLASTn検索した(http://www.sanger.ac.uk/cgi-bin/blast/submitblast/e_tenella/omni)ところ、図1に示す結果が得られた。図1の(A)に示す上位のEST配列を相互にアライメントさせたところ、図1の(B)に示す様にBG725003とBG724708の一部分(394bp)が良く一致した。その一致した領域の前後の部分(図1の(B)の下線部分)からPCRプライマー(BG708-FとBG003-R)を設計した。そのPCRプライマーの塩基配列を配列番号3と配列番号4に示す。これらPCRプライマーを使って前述のアイメリア・テネラcDNAライブラリーを鋳型にしたPCRを実施した。
その結果、約0.6kbの大きさのバンドが増幅されたので、このDNA断片をPCR Script Ampクローニング キット(ストラタジーン社、製品番号:211188)に入っているプラスミドベクターに、製品添付マニュアルに従いライゲーションして、コンピテントセルJM109(タカラバイオ社、製品番号:9052)に導入した。そして得られた複数の形質転換株から候補プラスミドを調製し、それらのインサートDNAをシーケンスした。その結果、181bpの5’非翻訳領域を含んでPfAMA-1のN末端側のアミノ酸に類似する151アミノ酸の配列をコードするDNA断片がクローニングされたプラスミド(pPCR-EtAMA1-N)を取得した。
1.3 未知配列である中央および3'末端領域のクローニング
pPCR-EtAMA1-Nに挿入されたDNAの3'末端配列のプライマー(BG003-F:塩基配列は配列番号5に示す)と前記1.1項で使用したcDNA合成キット中のオリゴdTプライマーを使って3'ラピッド・アンプリフィケーション・オブ・cDNA・エンド法(3’RACE)を実施したが、特異的に増幅されたDNAは無かった。
そこで、次にトキソプラズマ・ゴンジのアピカルメンブレン抗原1(TgAMA1)蛋白の150番目から240番目のアミノ酸配列を用いて、アイメリア・テネラのゲノムデータベース検索(http://www.sanger.ac.uk/cgi-bin/blast/submitblast/e_tenella/omni)を行ったところ、c001002545.Contig1のDNA配列の753番目から989番目の配列から類推されるアミノ酸配列が類似していた(図2の(A))。
更に、TgAMA1の241番目から420番目のアミノ酸配列で同様にしてアイメリア・テネラのゲノムデータベース検索をおこなったところ、前述と同じc001002545.Contig1配列の990番目から1046番目の塩基配列から推定されるアミノ酸配列が、TgAMA1の241番目から259番目のアミノ酸配列と類似していた(図2の(B))。また、同じContig配列の1255番目から1305番目の塩基配列から推定されるアミノ酸配列はTgAMA1の260番目から276番目のアミノ酸配列と類似していた(図2の(C))。更にc008400755.Contig1配列の711番目から878番目のDNA配列から推定されるアミノ酸配列が、TgAMA1の336番目から395番目のアミノ酸配列と類似していた(図2の(D))。
これらの結果及びスプライシングシグナルを考慮して、イントロンとなる可能性のある領域を類推することによって、アイメリア・テネラのアピカルメンブレン抗原1の遺伝子は、図3に示す様なエキソン/イントロン構造を持っていると推定した。この推定したエキソン配列を基に4本のPCRプライマー(c545-1F、c545-2R、c755-4F、c755-4R:各々の塩基配列は配列番号6〜9)を設計した。
前記1.1項で調製したcDNAライブラリーを鋳型にして、c545-1Fとc545-2RのプライマーでPCRを行ったところ、約450bpのDNAが、同様にしてc545-1Fとc755-4Rのプライマーを使ってPCRを行ったところ、約850bpのDNAが増幅された。後者のDNAをpBluescript SK(+)ベクター(ストラタジーン社、製品番号:212205)にクローニングして得られたプラスミドをシーケンスして、アピカルメンブレン抗原1の中央部分と推定されるDNAが挿入されたプラスミドをpBS-EtAMA1-Mと命名した。
次に、1.1で調製したcDNAライブラリーを鋳型にして、c755-4Fのプライマーと1-1で使用したcDNA合成キット中のオリゴdTプライマーの組み合せで3’RACEを実施したところ、約630bpのDNAが増幅された。このDNAをpBluescript SK(+)ベクターにクローニングして得られたプラスミドを配列決定して、アピカルメンブレン抗原1のC末端側部分から3'非翻訳領域を含むDNAが挿入されたプラスミドをpBS-EtAMA1-Cと命名した。
pPCR-EtAMA1-N、pBS-EtAMA1-M、pBS-EtAMA1-Cの3つのプラスミドのインサートDNAは、シーケンスした塩基配列データよりそれぞれアイメリア・テネラのアピカルメンブレン抗原1蛋白質をコードするcDNAの5'端領域、中央領域、3'末端領域であった。また、この3つのインサートの末端は一部分重なっていたので、制限酵素サイトを利用して、インフレームに繋がった1本のcDNA(配列番号:1)とすることができ、この繋がったcDNAを含有するプラスミドをpBS-EtAMA1と命名した。
実施例2. アイメリア由来アピカルメンブレン抗原1のDNA/アミノ酸配列解析
配列番号1の塩基配列を有するDNAは、全部で2,002塩基であり、126塩基の5'非翻訳領域、ポリAを含む3'非翻訳領域、536アミノ酸からなるオープン・リーディング・フレーム(ORF)を含んでいた。そのORFのアミノ酸配列は配列番号2に示す。
この配列番号2のアミノ酸配列で既知蛋白とのホモロジー(BLASTp)検索を行ったところ、同一のものはなく、TgAMAが最も類似(E値:9e-92、52%相同)しているという結果であった。このBLASTpの結果を図4に示す。図4(A)からも明らかな様に、この配列番号2のアミノ酸配列を有する蛋白質はトキソプラズマ以外にもマラリア原虫のアピカルメンブレン抗原1蛋白質との相同性も50%弱であるが構造は類似している。このことからも、配列番号2のアミノ酸配列を有する蛋白質がコクシジウム原虫のアピカルメンブレン抗原1蛋白質である事が推定される。アイメリア原虫のアピカルメンブレン抗原1蛋白質の塩基配列及びアミノ酸配列は現時点で報告されておらず、本発明の配列情報はその最初の報告である。
また、このアミノ酸配列の特徴として、N末端側(4番目〜25番目のアミノ酸)に、シグナル配列があり、C末端側(445〜467番目)に膜貫通領域があることから、この蛋白質は虫体表層に存在する蛋白質であり、468番目以降のC末端側は細胞質ドメインと推定された。
実施例3. アピカルメンブレン抗原1蛋白質の生産
3.1 大腸菌発現用ベクターの構築
アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をGST融合蛋白として発現させるために、大腸菌発現用ベクターpGEX-EtAMAを以下のようにして構築した(図5)。
GST遺伝子を有するプラスミドベクターpGEX-6p-3(アマシャムファルマシア社、製品番号:27-4599-01)に挿入するためにアピカルメンブレン抗原1遺伝子のORF内にEcoRIサイトを、ORFの下流にSalIサイトをPCRで導入した。具体的には、pBS-EtAMA1を鋳型にして、EcoAMA1プライマー(配列番号10)とAMA1Salプライマー(配列番号:11)とでPCR反応を行い、約1100bpのDNA断片を増幅した。
このDNA断片を制限酵素EcoRIとSalIで二重切断した後、アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲルから切出して精製した。同様に制限酵素EcoRIとSalIで二重切断したプラスミドベクターpGEX-6p-3もゲルから回収した。回収した二つのDNAをライゲーションし、コンピテントセルJM109に導入した。得られたアンピシリン耐性の形質転換体をランダムに拾い、2mlのアンピシリン含有LB培地で培養後、プラスミドを常法に従って回収し、制限酵素切断で目的とする発現用ベクターであるプラスミドを選択した。
シーケンス用プライマー(アマシャムファルマシア社、製品番号:27-1410-01と同27-1411-01)を使って、制限酵素切断で選択したこのプラスミドの塩基配列を解読し、目的としたDNAがインフレームで接続されていることを確認した。
3.2 アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質の発現
大腸菌BL21株(アマシャムファルマシア社)を目的とする組換えプラスミドで形質転換し、得られた形質転換体をアンピシリン含有LB培地で16時間培養後、新鮮な100倍量の同培地に接種して2時間培養後、IPTGを終濃度1mMになるように添加して更に3時間培養し、この大腸菌細胞を集菌し、レムリバッファー(60mMトリス(pH6.8)、25%グリセロール、2%SDS、5%β-メルカプトエタノール、0.01%ブロモフェノールブルー)に懸濁後、100℃で煮沸した。ライセートを12.5%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)し、クマジー・ブリリアント・ブルー(CBB)でゲルを染色して調べたところ、アピカルメンブレン抗原1タンパク質とGSTとの融合蛋白質として期待された約53kDaの蛋白質が大量に発現していた。
3.3 アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質の調製
組換えプラスミドを有する大腸菌形質転換体を、2mlのアンピシリン含有LB培地で16時間培養後、新鮮な100mlアンピシリン含有LB培地に1/100量を接種して2時間培養後、IPTGを終濃度1mMになるように添加して更に3時間培養した。その後、大腸菌細胞を遠心分離で集め、PBSで2回洗浄した。その細胞をリシスバッファー(50mMトリス−塩酸(pH8.0)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.2mM 4−(2−アミノエチル)−ベンゾルサルフォニル フルオリド ハイドロクロリド(メルク社;商品名Pefabloc SC)、1.5mg/ml リゾチーム)に懸濁し、4℃で1時間ゆっくりと攪拌した。その後トリトンX-100を終濃度0.3%になるように添加し、更に20分ゆっくりと攪拌した。その後、その懸濁液を遠心チューブに移し、12,000×gで30分遠心分離し、ペレットと上清に分けた。
このペレットと上清画分を12.5%SDS-PAGEで調べたところ、目的とする組換えアピカルメンブレン抗原1蛋白質は殆どが不溶性のペレット画分に存在した。
そこで、このペレット画分をレムリバッファーに懸濁して煮沸した後、8%SDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、53kDa付近の蛋白が存在するゲル部分を切り取り、ミニ・ホール・ゲル・エリューター(バイオラッド社)にてpH8.7の溶出バッファー(60mMトリス、25mM ホウ酸)を使ってゲルから蛋白質を抽出した。画分に回収された蛋白を12.5%SDS-PAGEとCBB染色で確かめた。この方法で、100mlのアンピシリン含有LB培地での培養から、約1mgの組換えアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質を精製した。
実施例4. アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質の鶏接種による抗体誘導
実施例3で精製した蛋白質(0.3mg/ml)を等容量のフロインド完全アジュバンド(FCA)と混合しミセルを形成させた。10羽の4週齢の鶏に、その0.2mlずつを皮下に免疫し、更に、フロインド不完全アジュバンド(IFA)と混合した組換えアピカルメンブレン抗原1蛋白質を用いて2週間隔で2回追加免疫した。最後の免疫から10日後に免疫鶏から約2mlずつ部分採血し、血清を調製した。また、2羽の非免疫鶏からも採血して対照サンプルとして調製した。
1×107個のアイメリア・テネラのスポロゾイトを、レムリバッファーに懸濁して5分間煮沸後、12.5%SDS-PAGEで泳動した。電気泳動終了後、スポロゾイト蛋白質をイモビロンPVDFメンブレン(ミリポア社)にブロットした。ブロット後、メンブレンを乾燥させ、全部で12本の短冊に切断した。500倍に希釈した各鶏血清と室温で1時間インキュベートし、PBSで2回洗浄し、次に、アルカリホスファターゼ標識羊抗−鶏IgG(H+L)(ベチル社、製品番号:A30-106AP)と、室温で、1時間インキュベートした。
PBSで数回洗浄した後、発色基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェイト/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)を用いて、反応する蛋白質を検出した。その結果、免疫した10羽の鶏血清は全て約60-kDaの蛋白質が特異的に反応した。一方、陰性コントロール血清では、非特異的に染まる蛋白は有るものの特異的に染まる蛋白質は無かった。このことは、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質は接種した鶏に、液性免疫を誘導出来たことを示している。
実施例5. アピカルメンブレン抗原1のDNAワクチンの調製と免疫効果
DNAワクチン用のプラスミドベクターとして、特開2004-000111の実施例で開示したプラスミドpNZ45/46BacpAを用いた。このベクターの鶏β−アクチンプロモーター直下に本発明の核酸であるDNAを挿入する為、アピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸のORFの前後にそれぞれXbaIサイトとSalIサイトを導入した。具体的には、pBS-EtAMA1を鋳型にし、プライマーXbaAMA1(配列番号12)とプライマーAMA1endSal(配列番号:13)を用いてPCRを行った。
そして増幅されたDNA断片を制限酵素XbaIとSalIで処理したDNA断片(1.6kbp)を、制限酵素XbaI/SalIで二重切断したpNZ45/46BacpA(7.4kbp)に連結した。構築されたプラスミドp45BacEtAMA1(9kbp)はDNAワクチンとして用いられる他、特開2004-000111号公報で開示したように、組換えHVTを作出するためのホモロジーベクターとしても用いることができる。
次に、得られたDNAワクチンのコクシジウムに対するワクチン効果を調べるためにコクシジウム感染防御試験を実施した。
孵化したSPF卵(LineM、日本生物科学研究所)から孵化した雛を3群に分け、その内の1群につき、2日齢と9日齢に本発明のDNAワクチン(PBS中1mg/ml p45BacEtAMA1、0.1mg/ml CpG(配列番号14)、0.1mg/ml CpG―30(配列番号15))を50μl/羽ずつ後肢筋肉に注射した後、直ちに接種部位にエレクトロ・ポレーター(Gentronics社、モデルECM830)を使って電気刺激(50V、20μ秒、1秒間隔で3回、更に電極を逆にして3回)した。
DNAワクチン接種の28日後(37日齢)に各鶏の体重を測定し、その後、DNAワクチン接種群及び陽性対照群の鶏のそ嚢内に、アイメリア・テネラの日本野外分離株であるRt7株の胞子形成オーシスト1000個を単回強制経口投与することにより攻撃を行なった。攻撃しない鶏を陰性対照群とした。以下の項目について観察又は測定した。鶏の状態は攻撃後8日まで観察し、糞便へのオーシスト排泄の有無は、攻撃後5日以降毎日、各群ごとに飽和食塩液浮遊法により確認した。オーシストが認められた場合は、クロム硫酸法により、糞便1g当たりのオーシスト数を測定した。攻撃後8日目に各鶏の体重を測定した。各群毎に増体重率と排出オーシストの程度を比較した結果を表1に示した。
Figure 2006180872
表1に示したように、DNAワクチンを接種した鶏群は強毒アイメリア・テネラ攻撃に対して、非免疫攻撃群と比較して排出オーシスト数、増体重率とも有意に差が認められ、顕著なコクシジウム感染防御活性が認められた。
図1は、アイメリアESTデータベースをPfAMA-1のN末アミノ酸配列でtBLASTn検索した結果を表した図である。 図2は、アイメリア・テネラのゲノム情報をTgAMA1のアミノ酸配列でtBLASTn検索した結果を表した図である。 図3Aは、アイメリア・テネラのゲノム上におけるアピカルメンブレン抗原1遺伝子の推定エキソン/イントロンを表した図である。 図3Bは、アイメリア・テネラのゲノム上におけるアピカルメンブレン抗原1遺伝子の推定エキソン/イントロンを表した図である。 図4は、アイメリア・テネラ由来アピカルメンブレン抗原1のアミノ酸配列のホモロジー検索結果を表した図である。 図5は、プラスミドpGEX-EtAMAの構築過程を説明した図である。

Claims (13)

  1. 鳥コクシジウム原虫(Eimeria)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸。
  2. 鳥コクシジウム原虫アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質をコードする核酸。
  3. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有する、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella)のアピカルメンブレン抗原1をコードする核酸。
  4. 配列番号1に示す塩基配列を有する、請求項3に記載の核酸。
  5. 前記抗原性を有する蛋白質が、配列番号2に示すアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換により修飾されたアミノ酸配列を有する請求項2に記載の核酸。
  6. 配列番号1に示す塩基配列のコード領域を有する核酸に高ストリンジェント条件下でハイブリダイズする、請求項2に記載の核酸。
  7. 前記抗原性を有する蛋白質が、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項2に記載の核酸。
  8. 請求項1〜7に記載の核酸であるDNAを含んでなるベクター。
  9. 請求項8に記載のベクターを含む宿主細胞。
  10. 請求項1〜7に記載の核酸によりコードされるアピカルメンブレン抗原1の抗原性を有する蛋白質。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の核酸を含んでなる、鳥コクシジウム原虫に対するDNAワクチン。
  12. 請求項10に記載の抗原性蛋白質を含んで成る、鳥コクシジウム原虫に対する蛋白質ワクチン。
  13. 請求項9に記載の宿主細胞を培養することを含んで成る、請求項10に記載の抗原性蛋白質の製造方法。
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