図1は、本発明の実施の一形態である通信システム1の構成を簡略化して示す図である。図2は、第1通信端末装置2aの電気的構成を示すブロック図である。図3は、第1通信端末装置2aの機能的構成を示すブロック図である。図2および図3には、第1通信端末装置2aの構成を示すが、各通信端末装置2は、同様の構成を有している。図4は、サーバ装置4の電気的構成を示すブロック図である。
通信システム1は、複数の通信端末装置2、各通信端末装置2と無線で接続される基地局通信装置(以下、単に「基地局」という)3およびサーバ装置4を含んで構成される。図1には、理解を容易にするために、2つの通信端末装置(第1および第2通信端末装置)2a,2b(以下、不特定の通信端末装置を指す場合、添え字a,bを省略することがある)を示している。
各通信端末装置2は、利用者が携帯して持運ぶことが可能であり、利用者に持運ばれることによって移動する。各通信端末装置2は、たとえば携帯電話装置であってもよい。無線固定局である基地局3と、サーバ装置4とは、それぞれ固定位置に設けられる。各通信端末装置2、基地局3およびサーバ装置4を有する通信システム1では、各通信端末装置2が、基地局3およびサーバ装置4を介して通信することができる。また通信システム1では、各通信端末装置2が、近距離無線規格であるブルートゥース(Bluetooth)を利用して通信することができる。
本実施の形態では、通信端末装置2から他の通信端末装置2、基地局3およびサーバ装置4へ送信する通信情報として、電子メール情報(以下、単に「メール情報」ということがある)60を想定する。本実施の形態では、メール情報60が送信される基地局3およびサーバ装置4を「送信対象」と総称する場合がある。通信システム1は、第1通信端末装置2aから送信対象へメール情報60を送信することができない場合、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾する第2通信端末装置2bを介して、送信対象へメール情報60を送信することができるシステムである。
基地局3は、通信エリアを有している。通信端末装置2が基地局3の通信エリア内にある場合、換言すれば通信圏内にある場合、通信端末装置2と基地局3とは、相互に無線接続可能であり、無線通信可能である。また、通信端末装置2が基地局3の通信エリア外にある場合、換言すれば通信圏外にある場合、通信端末装置2と基地局3とは、相互に無線通信をすることができない。このように第1通信端末装置2aが基地局3の通信圏外にある場合、第1通信端末装置2aは、たとえばブルートゥースを利用して第2通信端末装置2bと相互に無線接続可能であり、無線通信可能である。基地局3とサーバ装置4とは、有線接続され、有線通信することができる。サーバ装置4は、たとえばメールサーバおよびウェブ(Web)サーバなどであってもよい。
第1通信端末装置2aは、図2に示すように、第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13、第2アンテナ14、第2無線部15、第2通信制御部16、制御部17、端末側記憶部18、入力部19、表示部20および計時部21を含んで構成される。
第1アンテナ11は、電波信号を用いて、公衆網10を介して他の通信端末装置2と無線通信をするときに、音声情報、文字情報および画像情報を含む情報(以下、「通信情報」ということがある)を表す信号を、他の通信端末装置2との間で送受信する。この第1アンテナ11は、第1無線部12から与えられる信号を送信するとともに、受信した信号を第1無線部12に与える。第1アンテナ11は、たとえば伸縮自在なロッドアンテナによって実現されてもよいし、プリント基板実装時の占有面積が比較的小さいチップアンテナによって実現されてもよい。
第1無線部12は、受信時は、他の通信端末装置2から第1アンテナ11を介して受信した通信情報を表す信号を復調して第1通信制御部13に与え、送信時は、第1通信制御部13から与えられる通信情報を表す信号を変調および増幅して、第1アンテナ11に与える。第1通信制御部13は、第1無線部12から与えられる前記復調した通信情報を所定の通信プロトコルに基づいて制御部17に与える。
制御部17は、たとえばマイクロコンピュータなどの処理回路によって実現される。制御部17は、第1通信制御部13から与えられた前記通信情報を端末側記憶部18に与える。端末側記憶部18は、リードオンリメモリ(Read Only Memory;略称:ROM)およびフラッシュROMを含む。端末側記憶部18のフラッシュROMは、制御部17から与えられる前記通信情報を記憶し、ROMは、通信端末装置2を動作させるための動作プログラムおよび通信端末装置2の各種機能を実現するための処理プログラムを記憶する。端末側記憶部18は、制御部17からの要求に応じて、記憶する情報、たとえば通信情報を読出してその通信情報を表す信号を制御部17に与える。
制御部17は、端末側記憶部18から与えられた通信情報を表す信号を第1通信制御部13に与える。第1通信制御部13は、制御部17から与えられる前記通信情報を表す信号を第1無線部12に与える。
第2アンテナ14は、たとえばブルートゥースを利用して、他の通信端末装置2と直接に無線通信するときに、通信情報を表す信号を、他の通信端末装置2との間で送受信する。この第2アンテナ14は、第2無線部15から与えられる信号を送信するとともに、受信した信号を第2無線部15に与える。第2アンテナ14は、たとえば伸縮自在なロッドアンテナによって実現されてもよいし、プリント基板実装時の占有面積が比較的小さいチップアンテナによって実現されてもよい。
第2無線部15は、受信時は、他の通信端末装置2から第2アンテナ14を介して受信した通信情報を表す信号を復調して第2通信制御部16に与え、送信時は、第2通信制御部16から与えられる通信情報を表す信号を変調および増幅して、第2アンテナ14に与える。第2通信制御部16は、第2無線部15から与えられる前記復調した通信情報を所定の通信プロトコルに基づいて制御部17に与える。
制御部17は、第2通信制御部16から与えられた前記通信情報を端末側記憶部18に与える。端末側記憶部18のフラッシュROMは、制御部17から与えられる前記通信情報を記憶し、制御部17からの要求に応じて、記憶する情報、たとえば通信情報を読出してその通信情報を表す信号を制御部17に与える。制御部17は、端末側記憶部18から与えられた通信情報を表す信号を第2通信制御部16に与える。第2通信制御部16は、制御部17から与えられる前記通信情報を表す信号を第2無線部15に与える。
通信システム1において、公衆網10を介して他の通信端末装置2と無線通信をするときには、前述の第1アンテナ11、第1無線部12および第1通信制御部13によって、それぞれ前述した処理が行われ、ブルートゥースなどの無線通信規格を利用して他の通信端末装置2と直接に無線通信をするときには、前述の第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16によって、それぞれ前述した処理が行われる。
入力部19は、利用者が操作するキーなどの複数の操作片を有する。入力部19は、各操作片が操作されることによって、数字情報、文字情報および通信端末装置2への指示情報などの所定の情報など、操作に応じた情報を表す信号を生成して制御部17に与える。したがって利用者は、入力部19の各操作片を操作して、通信端末装置2に情報を入力することができる。
表示部20は、静止画像および動画像を含む画像を表示する。画像は、文字、数字などのキャラクタを表す画像でもよいし、写真およびイラストを表す画像でもよい。表示部18は、透過型液晶表示素子、反射型液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence;略称:EL)素子および半透過半反射型液晶表示素子のうち、少なくとも1つを用いて実現されてもよい。またカラー表示可能であってもよいし、白黒表示可能であってもよい。計時部21は、たとえばリアルタイムクロック(Real Time Clock;略称:RTC)によって実現される。計時部21は、現在時刻を含む計時情報を制御部17に与える。
端末側記憶部18のROMには、図3に示す処理部30、メール管理部31、新規メール作成部32、メール格納部33、メール送信部34、メール受信部35、委託メール管理部41、委託メール受信部42、委託メール格納部43および委託メール送信部44としての動作処理を実現するための各種処理プログラムが記憶される。前記の委託メール管理部41、委託メール受信部42、委託メール格納部43および委託メール送信部44としての動作処理を実現するための処理プログラムは、たとえば他の通信端末装置にメール情報60の送信の委託をすることができる通信サービスを提供する通信事業者から提供されてもよい。
処理部30は、通信端末装置2を構成する前記の第1通信制御部13、第2通信制御部16、端末側記憶部18、入力部19および表示部20を含むハードウェア資源を統括的に制御する処理を行う。処理部30は、新規のメール情報60の作成およびメール情報60の送受信を行う準備をする旨の情報をメール管理部31に与える。メール管理部31は、メール情報60を管理、具体的には送受信したメール情報60のアドレスおよび送受信した日時などを管理する処理を行う。メール管理部31は、新規のメール情報60の作成およびメール情報60の送受信を行う準備が完了した旨の情報を処理部30に与える。メール管理部31は、新規にメール情報60を作成する指令を新規メール作成部32に与える。またメール管理部31は、メール情報60を送信する指令をメール送信部34に与える。さらにメール管理部31は、メール情報60を受信する指令をメール受信部35に与える。
新規メール作成部32は、新規にメール情報60を作成する処理を行う。新規メール作成部32は、新規にメール情報60を作成した旨の情報をメール管理部31に与える。また新規メール作成部32は、新規に作成したメール情報60を端末側記憶部18に記憶させる指令をメール記憶部33に与える。
メール記憶部33は、新規に作成されたメール情報60を端末側記憶部18に記憶させる処理を行う。メール記憶部33は、新規に作成されたメール情報60が端末側記憶部18に記憶された旨の情報を新規メール作成部32に与える。メール送信部34は、メール情報60を送信する処理を行う。メール送信部34は、送信するメール情報60を端末側記憶部18から読出す指令をメール記憶部33に与える。メール記憶部33は、送信するメール情報60を端末側記憶部18から読出した旨の情報をメール送信部34に与える。メール送信部34は、メール情報60を送信した旨の情報をメール管理部31に与える。
メール受信部35は、メール情報60を受信する処理を行う。メール受信部35は、メール情報60を受信した旨の情報をメール管理部31に与える。またメール受信部35は、受信したメール情報60を端末側記憶部18に記憶させる指令をメール記憶部33に与える。メール記憶部33は、受信したメール情報60が端末側記憶部18に記憶された旨の情報をメール受信部35に与える。
委託メール管理部41は、他の通信端末装置2から、送信対象へのメール情報60の送信の委託が可能か否かの問合わせをされている場合、前記メール情報60の送信の委託を許諾するか否かを判断する処理を行う。委託メール管理部41は、前記メール情報60の送信の委託を許諾するか否かの判断結果を表す情報を処理部30に与える。処理部30に、委託メール管理部41から、前記メール情報60の送信の委託を許諾する旨の情報が与えられた場合、処理部30は、前記送信対象への送信の委託を許諾したメール情報(以下、単に「委託メール情報」ということがある)を受信する指令を委託メール受信部42に与える旨の情報を、委託メール管理部41に与える。
また委託メール管理部41は、基地局3およびサーバ装置4と無線通信可能である旨の情報を処理部30から取得すると、前記委託メール情報を送信対象へ送信する指令を処理部30に与える。さらに委託メール管理部41は、委託メール情報を管理、具体的には委託メール情報のアドレスならびに委託メール情報を送信および受信した日時などを管理する処理を行う。委託メール管理部41は、委託メール情報を受信する指令を委託メール受信部42に与える。また委託メール管理部41は、委託メール情報を他の通信端末装置2へ送信する指令を委託メール送信部44に与える。
委託メール受信部42は、委託メール情報を受信する処理を行う。委託メール受信部42は、委託メール情報を受信した旨の情報を委託メール管理部41に与える。また委託メール受信部42は、受信した委託メール情報を端末側記憶部18に記憶させる指令を委託メール記憶部43に与える。委託メール記憶部43は、受信した委託メール情報を端末側記憶部18に記憶させる処理を行う。委託メール記憶部43は、受信した委託メール情報が端末側記憶部18に記憶された旨の情報を委託メール受信部42に与える。
委託メール送信部44は、委託メール情報を送信する処理を行う。委託メール送信部44は、送信する委託メール情報を端末側記憶部18から読出す指令を委託メール記憶部43に与える。委託メール記憶部43は、送信する委託メール情報を端末側記憶部18から読出した旨の情報を委託メール送信部44に与える。委託メール送信部44は、委託メール情報を送信した旨の情報を委託メール管理部41に与える。
前述のように、入力部19によって各処理プログラムを実行する指令が入力されると、制御部17によって、前記指令に基づく処理プログラムが、端末側記憶部18のROMから読出される。前述の各動作処理は、端末側記憶部18から読出された各処理プログラムに基づいて制御部17によって行われる。
サーバ装置4は、図4に示すように、サーバ通信部51、サーバ側記憶部52およびサーバ制御部53を含んで構成される。サーバ通信部51は、基地局3および公衆網10を介して通信端末装置2から送信されるメール情報60を受信する。またサーバ通信部51は、たとえば第2通信端末装置2bを介して第1通信端末装置2aから送信されるメール情報60を受信したとき、第1通信端末装置2aに送信すべきメール情報がサーバ側記憶部52に記憶されている場合、前記送信すべきメール情報を、第2通信端末装置2bを介して第1通信端末装置2aに送信する。
サーバ側記憶部52は、ROMおよびフラッシュROMを含む。サーバ側記憶部52のフラッシュROMは、サーバ通信部51が受信したメール情報60を記憶し、ROMは、サーバ装置4を動作させるための動作プログラムを記憶する。サーバ側記憶部52は、サーバ制御部53からの要求に応じて、記憶するメール情報60を読出してそのメール情報60をサーバ制御部53に与える。サーバ制御部53は、サーバ装置4を構成する前記のサーバ通信部51およびサーバ側記憶部52を含むハードウェア資源を統括的に制御する。サーバ制御部53は、サーバ側記憶部52から与えられたメール情報60をサーバ通信部51に与える。
図5は、メール情報60の一例を示す図である。本実施の形態において、メール情報60は、メール本体情報61およびヘッダ(header)情報62を含んで構成される。ヘッダ情報62は、メール情報60の先頭に付加される情報であって、送信者ID(
Identification)情報63、有効期限情報64およびメール情報60の送信の委託を許諾した各通信端末装置のID情報(以下、「委託端末ID情報」ということがある)65を含む。メール本体情報61は、電子メールの本文を表す文字情報である。メール本体情報61は、後述するように制御部17によって暗号化される。送信者ID情報63は、送信者毎に割り当てられる識別情報であり、たとえば送信者名および送信者のメールアドレスである。有効期限情報64は、送信元である通信端末装置2から他の通信端末装置2を介して送信対象へ送信されるメール情報60の送信可能な期限を表す送信期限情報であり、具体的には日および時間などで表される。有効期限情報64は、第1通信端末装置2aの利用者が、入力部19の各操作片を操作することによって入力可能に構成されてもよい。委託端末ID情報65は、前記メール情報60の委託を許諾した通信端末装置を識別するための識別情報であり、具体的にはMACアドレス(Media Access Control address)である。
本実施の形態において、第1通信手段および通信手段は、第1アンテナ11、第1無線部12および第1通信制御部13に相当する。第2通信手段、端末間受信手段および端末間送信手段は、第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16に相当する。通信可否判定手段は、第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17に相当する。通信情報生成手段は、新規メール作成部32に相当する。記憶手段は、端末側記憶部18に相当する。制御手段は、制御部17に相当する。暗号化処理手段は、制御部17に相当する。個体数入力手段および転送回数入力手段は、入力部19に相当する。
図6は、第1通信端末装置2aと第2通信端末装置2bとの通信処理に関するシーケンスを示す図である。第1通信端末装置2aは、送信対象へメール情報60を送信する場合、第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、第1通信端末装置2aが基地局3の通信エリア内、換言すれば通信圏内にあるか否かが判定される。第1通信端末装置2aが基地局3の通信エリア内であると判定されたときは、新規メール作成部32によって作成されてメール記憶部33によって端末側記憶部18に記憶されたメール情報60が、公衆網10を介して送信対象へ送信される。
第1通信端末装置2aが基地局3の通信エリア外、換言すれば通信圏外にあると判定されたときは、公衆網10を介して直接送信対象へメール情報60を送信することができないので、本実施の形態の第1通信端末装置2aは、送信対象へのメール情報60の送信を他の通信端末装置2に委託する。第1通信端末装置2aが送信対象へのメール情報60の送信を他の通信端末装置2に委託するにあたって、第1通信端末装置2aは、たとえばブルートゥースを利用して、他の通信端末装置2と直接に無線通信する。そして、他の通信端末装置2に対して、送信対象へのメール情報60の送信の委託が可能か否かの問合わせをすることによって、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を検索する。
第1通信端末装置2aが、他の通信端末装置2、本実施の形態では第2通信端末装置2bに対して、送信対象へのメール情報60の送信の委託が可能か否かの問合わせをする場合について、以下に説明する。まず第1通信端末装置2aは、図6に示すように、ブルートゥースを利用した無線接続が可能な通信端末装置2の検索を実行する。つまり、第1通信端末装置2aは、送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の検索を実行、換言すればサーチリクエスト(Search Request)として、たとえばブルートゥースを利用した無線接続が可能か否かを表す情報の送信要求を第2通信端末装置2bに送信する。第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信された前記送信要求を受信し、ブルートゥースを利用した無線接続が可能である場合、サーチレスポンス(Search Response)として、たとえば無線接続が可能であることを表す検索応答情報を、第1通信端末装置2aに送信する。
第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bから送信された前記検索応答情報を受信すると、無線接続を実行、換言すればコネクトリクエスト(Connect Request)として、たとえばブルートゥースを利用した無線接続要求を第2通信端末装置2bに送信する。第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信された無線接続要求を受信すると、コネクトレスポンス(Connect Response)として、たとえば無線接続が完了したことを表す接続完了情報を第1通信端末装置2aに送信する。
第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bから送信された接続完了情報を受信すると、サービス検出プロトコル(Service Discovery Protocol;略称:SDP)に基づいて、第2通信端末装置2bに対するサービスの問合せを実行、換言すればサービスリクエスト(Service Request)として、たとえば第2通信端末装置2bが、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾して、メール情報60を送信対象へ送信するサービス機能を提供しているか否かを表す提供サービス情報の送信要求を第2通信端末装置2bに送信する。ここで、SDPとは、ブルートゥースを利用して通信するために策定された標準プロトコルであって、他の通信端末装置2がどのようなサービス機能を提供可能であるかを確認するためのプロトコルである。
第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信された前記提供サービス情報の送信要求を受信すると、サービスレスポンス(Service Response)として、たとえば第1通信端末装置2aに対して提供可能なサービス機能を表す提供可能サービス情報を、第1通信端末装置2aに送信する。さらに具体的には、第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾して、メール情報60を送信対象へ送信するサービス機能を提供可能であることを表す情報(以下、単に「送信委託可能情報」ということがある)を、第1通信端末装置2aに送信する。
第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bから送信された提供可能サービス情報を受信すると、まず、受信した提供可能サービス情報に、送信委託可能情報が含まれているか否かを確認する。そして、第1通信端末装置2aは、受信した提供可能サービス情報に、送信委託可能情報が含まれていることを認識すると、メール情報60を委託メール情報として第2通信端末装置2bに送信する。第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信されたメール情報60を委託メール情報として受信する。
ここでは、第2通信端末装置2bが、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾する場合について述べたが、第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報60の送信の委託を拒否することもできる。第2通信端末装置2bが、前記メール情報60の送信の委託を拒否する場合は、第1通信端末装置2aに送信する提供可能サービス情報に、送信委託情報を含めないようにしてもよいし、提供可能なサービスが無い旨の情報を第1通信端末装置2aに送信するようにしてもよい。
前記のようにして、第2通信端末装置2bが、第1通信端末装置2aから委託メール情報を受信し、第2通信端末装置2bが基地局3の通信エリア内にあると判定されたとき、第2通信端末装置2bは、前記委託メール情報を、送信対象へ送信する。第2通信端末装置2bは、委託メール情報を送信対象へ送信した後、端末側記憶部18に記憶されている前記委託メール情報を、制御部17によって消去する。
前述のように第1通信端末装置2aが、他の通信端末装置2、本実施の形態では第2通信端末装置2bへメール情報60を送信するときには、メール情報60を構成するメール本体情報61が、第2通信端末装置2bの利用者などによって見られないようにするために、前記メール情報60を解読できない情報に変換する、いわゆる暗号化を制御部17によって行う。送信対象である基地局3およびサーバ装置4を介して、前記暗号化されたメール情報60を受信した相手先の通信端末装置では、暗号化された情報を、制御部17によって復号する。これによって前記相手先の通信端末装置の利用者は、第1通信端末装置2aから送信されたメール情報60を解読することができる。
メール情報60を暗号化するときには、メール情報60を解読できない情報に変換するために用いるパラメータ、いわゆる暗号化鍵が必要となる。またメール情報60を復号するときには、復号するために用いるパラメータ、いわゆる復号鍵が必要となる。本実施の形態では、暗号化鍵および復号鍵として、送信者を識別するための識別情報であるメールIDおよびパスワードを用いる。
本実施の形態では、第1通信端末装置2aの制御部17で、第2通信端末装置2bへ送信するメール情報60を暗号化することによって、第2通信端末装置2bの操作者によって前記メール情報60が閲覧されてしまうことを防ぐことができ、メール情報60の機密性を保持することができる。
本実施の形態では、第1通信端末装置2aから第2通信端末装置2bへ送信されるメール情報60には、有効期限情報64がヘッダ情報として含まれている。第2通信端末装置2bの制御部17は、第1通信端末装置2aから送信されるメール情報60を受信したとき、有効期限情報64と、計時部21から与えられる計時情報とに基づいて、受信したメール情報60の送信対象への送信可能な日時が経過しているか否かを判断する。制御部17は、前記メール情報60の送信可能な日時が経過していると判断すると、受信した前記メール情報60を消去する。
また本実施の形態では、第1通信端末装置2aから第2通信端末装置2bに送信の委託をしたメール情報60が、送信対象へ送信されると、送信対象へメール情報60を送信した第2通信端末装置2bは、メール情報60に含まれる送信者ID情報63および委託端末ID情報65に基づいて、前記メール情報60の伝送経路を把握する。伝送経路を把握した第2通信端末装置2bは、メール情報60の送信が完了したことを表す送信完了情報を、メール情報60が送信対象へ送信されるまでに通過した伝送経路と同じ経路を逆に辿って、第1通信端末装置2aへ送信する。本実施の形態では、第1通信端末装置2aと基地局3との間に介在する通信端末装置は、第2通信端末装置2bのみであるので、送信完了情報は、第2通信端末装置2bから直接第1通信端末装置2aに送信される。
第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bから送信される送信完了情報を受信する。これによって第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bに委託したメール情報60が送信対象へ送信されたことを把握することができる。
また本実施の形態では、第1通信端末装置2aが基地局3の通信エリア外にあると判定され、送信対象へのメール情報60の送信を第2通信端末装置2bに委託すると、第2通信端末装置2bは、第2通信端末装置2bのメールアドレスを、委託端末ID情報65としてメール情報60に追加し、この委託端末ID情報65を追加したメール情報60を、送信対象へ送信する。送信対象は、第2通信端末装置2bから送信されたメール情報60を受信する。したがって送信対象である基地局3およびサーバ装置4は、受信したメール情報60に含まれる送信者ID情報63および委託端末ID情報65に基づいて、メール情報60の伝送経路、つまりメール情報60がいずれの通信端末装置2から最初に送信され、いずれの通信端末装置2を経由して送信されてきたのかを容易に把握することができる。
これによって送信対象は、前記委託メール情報の送信対象への送信に要した通信料金が、送信元である第1通信端末装置2aの利用者に対して課金されるように管理することができる。換言すれば送信対象は、前記委託メール情報の送信対象への送信に要した通信料金が、送信対象へのメール情報の送信の許諾をした第2通信端末装置2bの利用者に対して課金されないように管理することができる。
図7は、通信システム1の処理動作を説明するためのフローチャートである。通信システム1の処理動作は、第1通信端末装置2aが基地局の通信圏外にあると判断した場合にステップa0で開始されて、ステップa1に進む。
ステップa1では、第1通信端末装置2aが、新規メール作成部32によってメール情報60を作成する。メール情報60を作成すると、ステップa2に進む。ステップa2では、第1通信端末装置2aが、ブルートゥースを利用した無線接続が可能な他の通信端末装置2を検索する。検索した結果、ブルートゥースを利用した無線接続が可能な他の通信端末装置2が検索されると、ステップa3に進む。
ステップa3では、第1通信端末装置2aが、第2通信端末装置2bに対して無線接続要求を送信する。第1通信端末装置2aが、第2通信端末装置2bから送信される接続完了情報を受信すると、ステップa4に進む。
ステップa4では、第1通信端末装置2aが、SDPに基づいて第2通信端末装置2bに対するサービスの問合わせを実行する。換言すれば、第1通信端末装置2aが、第2通信端末装置2bに対して、提供サービス情報の送信要求を送信する。第1通信端末装置2aが、第2通信端末装置2bから送信される送信委託可能情報を受信すると、ステップa5に進む。
ステップa5では、第1通信端末装置2aは、新規メール作成部32で作成したメール情報60を第2通信端末装置2bへ送信する。メール情報60を第2通信端末装置2bへ送信すると、ステップa6に進む。
ステップa6では、第2通信端末装置2bの第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、第2通信端末装置2bが基地局3の通信圏内にあるか否か、換言すれば第2通信端末装置2bが送信対象と通信可能であるか否かを判断する。第2通信端末装置2bが最初、基地局3の通信圏外にあっても、通信圏内に移動した場合、つまり第2通信端末装置2bが送信対象と通信可能になったとき、ステップa7に進む。
ステップa7では、第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信されたメール情報60を委託メール情報として、送信対象へ送信する。委託メール情報を送信するとステップa8に進む。ステップa8では、通信システム1のすべての処理動作を終了する。
前述のように本実施の形態によれば、第1アンテナ11、第1無線部12および第1通信制御部13によって送信対象である基地局3およびサーバ装置4と通信することができ、第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16によって、他の通信端末装置2と通信することができる。新規メール作成部32によって送信対象へ送信すべき通信情報であるメール情報60が生成され、生成されたメール情報60は端末側記憶部18に記憶される。第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16は、端末側記憶部18に記憶されるメール情報60を他の通信端末装置2に送信するように、制御部17によって制御される。
たとえば利用の有する第1通信端末装置2aが通信圏内にある場合、すなわち第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、端末側記憶部18に記憶されるメール情報60を直接的に送信対象へ送信することが可能であると判定されると、前記メール情報60が、第1アンテナ11、第1無線部12および第1通信制御部13によって送信対象へ送信される。
また、たとえば利用者の所持する第1通信端末装置2aが通信圏外にある場合、すなわち第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、端末側記憶部18に記憶されるメール情報60を直接的に送信対象へ送信することが不可能であると判定されると、前記メール情報60は、第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16によって他の通信端末装置2、たとえば第2通信端末装置2bを経由して送信対象へ送信される。
換言すれば、第1通信端末装置2aが通信圏外にあるために、第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、メール情報60を直接的に送信対象へ送信することが不可能であると判定された場合であっても、送信対象へのメール情報60の送信の委託を許諾する第2通信端末装置2bを経由して、前記メール情報60を間接的に送信対象へ送信することができる。したがって第1通信端末装置2aが送信対象に対してメール情報60を送信できる確率を高くすることができる。これによって第1通信端末装置2aの利用者に対する利便性を向上することができる。
また本実施の形態によれば、メール情報60は、送信対象に前記メール情報60を送信可能な期限を表す有効期限情報64を含む。たとえば第1通信端末装置2aから送信されるメール情報60を受信した第2通信端末装置2bは、受信したメール情報60に含まれる有効期限情報64に基づいて、前記メール情報60を送信対象へ送信可能な期限が経過しているか否かを、制御部17によって判断することができる。そして、第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信され、端末側記憶部18に記憶されたメール情報60のうち、制御部17によって送信対象へ送信可能な期限が経過していると判断されたメール情報60を消去することが可能となる。これによって第2通信端末装置2bでは、新たに受信するメール情報60を記憶させるための端末側記憶部18の記憶領域を確保することができ、確保した記憶領域に、新たに受信するメール情報60を記憶させることができる。したがって新たに受信したメール情報60を送信対象へ送信し得る確率をさらに高めることができる。
図8は、本発明の実施の他の形態である通信システム70の構成を簡略化して示す図である。本実施の形態の通信システム70は、前述の実施の一形態の通信システム1の構成と類似しており、また通信端末装置の構成は同一であるので、異なる点についてのみ説明し、同様の構成については同一の参照符を付して説明を省略する。通信システム70は、前述の実施の形態と同様に、複数の通信端末装置2、基地局3およびサーバ装置4を含んで構成される。図8には、理解を容易にするために、5つの通信端末装置(第1〜第5通信端末装置)2a〜2e(以下、不特定の通信端末装置を指す場合、添え字a〜eを省略することがある)を示している。
本実施の形態では、通信端末装置2から他の通信端末装置2、基地局3およびサーバ装置4へ送信する通信情報として、電子メール情報(以下、単に「メール情報」ということがある)80を想定する。本実施の形態では、メール情報80が送信される基地局3およびサーバ装置4を「送信対象」と総称する場合がある。通信システム70は、通信端末装置2から送信対象へメール情報80を送信することができない場合、他の通信端末装置2を介して、送信対象へメール情報80を送信することができるシステムである。
通信システム70では、第1通信端末装置2aが基地局3の通信エリア外、換言すれば通信圏外にあると判定されたときは、公衆網10を介して直接送信対象にメール情報80を送信することができない。そこで本実施の形態の第1通信端末装置2aは、前述の実施の形態と同様に、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を、検索手段である第2アンテナ14、第2無線部15、第2通信制御部16および制御部17によって検索する。そして検索手段によって検索した前記送信対象へのメール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2、たとえば第2通信端末装置2bに対して前記メール情報80を送信する。
第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信される前記メール情報80を送信対象へ送信するために、第2通信端末装置2bが基地局3の通信エリア内、換言すれば通信圏内にあるか否かを判断する。第2通信端末装置2bが基地局3の通信圏内にある場合には、前記メール情報80を送信対象へ送信すればよい。また、第2通信端末装置2bが基地局3の通信圏外にある場合には、公衆網10を介して直接送信対象にメール情報80を送信することができない。そこで第2通信端末装置2bは、前述と同様に、検索手段によって、前記メール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を検索し、検索した他の通信端末装置2、たとえば第3通信端末装置2cに対して前記メール情報80を送信する。
第3通信端末装置2cは、第2通信端末装置2bから送信される前記メール情報80を送信対象へ送信するために、第3通信端末装置2cが基地局3の通信エリア内、換言すれば通信圏内にあるか否かを判断する。第3通信端末装置2cが基地局3の通信圏内にある場合には、前記メール情報80を送信対象へ送信する。また、第3通信端末装置2cが基地局3の通信圏外にある場合には、前述と同様に、検索手段によって、前記メール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を検索する。
前述のように通信システム70では、通信端末装置2が通信圏外にある場合には、メール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2に対して前記メール情報80を送信する動作を行うように構成される。本実施の形態では、図1に示すように、第1〜第4通信端末装置2a〜2dが、基地局3の通信圏外、たとえば地下にある場合、第1通信端末装置2aから第2通信端末装置2b、第2通信端末装置2bから第3通信端末装置2c、第3通信端末装置2cから第4通信端末装置2dに対してそれぞれメール情報80が送信される。そして、第4通信端末装置2dからメール情報80を送信した第5通信端末装置2eが、基地局3の通信圏内、たとえば地上にある場合、前記メール情報80は、第5通信端末装置2eから送信対象へ送信される。
図9は、メール情報80の一例を示す図である。本実施の形態において、メール情報80は、メール本体情報61およびヘッダ(header)情報81を含んで構成される。ヘッダ情報81は、メール情報80の先頭に付加される情報であって、送信者ID(
Identification)情報63、有効期限情報64、メール情報80の送信の委託を許諾した各通信端末装置のID情報(以下、「委託端末ID情報」ということがある)65、委託回数情報82および個体数情報83を含む。委託回数情報82は、通信端末装置2から送信対象へのメール情報80の送信を他の通信端末装置2に委託する回数を表す情報、換言すれば通信端末装置2が受信したメール情報80を他の通信端末装置2へ転送する回数を表す情報である。個体数情報83は、通信端末装置2から送信対象へのメール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の個体数を表す情報である。通信端末装置2の利用者は、入力部19によって委託回数情報82および個体数情報83を入力することができる。
図10は、第1通信端末装置2aが複数の他の通信端末装置2に対して、メール情報80の送信対象への送信を委託する状態を示す図である。図10では、理解を容易にするために、第2および第3通信端末装置2b,2c、第5および第7通信端末装置2e,2gならびに第8、第9および第10通信端末装置2h,2i,2jから、メール情報80の送信対象への送信をそれぞれ委託する他の通信端末装置2を省略している。
本実施の形態では、通信端末装置2が、1つの他の通信端末装置2に、メール情報80の送信対象への送信を委託するように構成されてもよいし、通信端末装置2が、一度に複数の他の通信端末装置2に、前記メール情報80の送信対象への送信を委託するように構成されてもよい。
通信端末装置2が、一度に複数の他の通信端末装置2に、前記メール情報80の送信対象への送信を委託する場合、たとえば図10に示すように、第1通信端末装置2aが、第2〜第4通信端末装置2b〜2dに、前記メール情報80の送信対象への送信を委託し、次いで、第2〜第4通信端末装置2b〜2dが、それぞれ3つの他の通信端末装置2に、前記メール情報80の送信対象への送信を委託するようにしてもよい。以下同様にして、通信端末装置2が3つの他の通信端末装置2に対して、前記メール情報80の送信対象への送信を委託するようにしてもよい。
本実施の形態において、通信端末装置2が、一度に複数の他の通信端末装置2に、前記メール情報80の送信対象への送信を委託する場合、通信端末装置2の制御部17は、利用者によって入力部19に入力されて端末側記憶部18に記憶される委託回数情報82に基づいて、前記メール情報80の送信対象への送信を他の通信端末装置2に委託する回数が、前記委託回数情報82が表す委託回数と一致しているか否かを判定する。また制御部17は、利用者によって入力部19に入力されて端末側記憶部18に記憶される個体数情報83に基づいて、前記メール情報80の送信対象への送信を委託する他の通信端末装置2の個体数が、前記個体数情報83が表す個体数と一致しているか否かを判定する。
制御部17によって、メール情報80の送信対象への送信を他の通信端末装置2に委託する回数が、前記委託回数情報82が表す委託回数と一致していると判定されるか、メール情報80の送信対象への送信を委託する他の通信端末装置2の個体数が、前記個体数情報83が表す個体数と一致していると判定されると、通信端末装置2は、他の通信端末装置2に、送信対象へのメール情報80の送信の委託を中止する。
本実施の形態では、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の個体数を、利用者によって入力部19に入力された個体数に限定することによって、前記メール情報80の送信対象への送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の個体数が指数関数的に増大することを防ぐことができる。また本実施の形態では、第1通信端末装置2aから送信対象へのメール情報80の送信を他の通信端末装置2に委託する回数を、利用者によって入力部19に入力された委託回数に限定することによって、前記メール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の個体数が指数関数的に増大することを防ぐことができる。また前述のようにメール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の個体数が指数関数的に増大することを防ぐことによって、前記送信の委託を許諾した通信端末装置から送信対象であるサーバ装置4へ送信されてサーバ側記憶部52に記憶される同一内容のメール情報80が指数関数的に増大することを抑制することができる。このようにメール情報80の送信の委託を許諾する通信端末装置2、換言すればメール情報80を転送する通信端末装置2の個体数を限定することによって、メール情報80の送信対象への送信確率を高めることと、他の通信端末装置2の利用者に対する利便性を図ることとのバランスをとることが可能となる。
本実施の形態では、前述の実施の形態と同様に、第2通信端末装置2bが、第1通信端末装置2aから送信対象への送信の委託を許諾したメール情報(以下、単に「委託メール情報」ということがある)を受信し、第2通信端末装置2bが基地局3の通信エリア内にあると判定されたとき、第2通信端末装置2bは、前記委託メール情報を、送信対象へ送信する。第2通信端末装置2bは、委託メール情報を送信対象へ送信した後、端末側記憶部18に記憶されている前記委託メール情報を、制御部17によって消去する。
前述のように第1通信端末装置2aが、他の通信端末装置2、たとえば第2通信端末装置2bへメール情報80を送信するときには、メール情報80を構成するメール本体情報61が、第2通信端末装置2bの利用者などによって見られないようにするために、前記メール本体情報61を、制御部17によって暗号化する。基地局3およびサーバ装置4を介して、前記暗号化されたメール本体情報61を含むメール情報80を受信した相手先の通信端末装置では、暗号化された情報を、制御部17によって復号する。これによって前記相手先の通信端末装置の利用者は、第1通信端末装置2aから送信されたメール情報80のメール本体情報61を解読することができる。本実施の形態では、前述の実施の形態と同様に、暗号化鍵および復号鍵として、送信者を識別するための識別情報であるメールIDおよびパスワードを用いる。
本実施の形態では、第1通信端末装置2aの制御部17で、第2通信端末装置2bへ送信するメール情報80を暗号化することによって、第2通信端末装置2bの操作者によって前記メール情報60が閲覧されてしまうことを防ぐことができ、メール情報80の機密性を保持することができる。
また本実施の形態では、第1通信端末装置2aから第2通信端末装置2bへ送信されるメール情報80には、有効期限情報64がヘッダ情報として含まれている。第2通信端末装置2bの制御部17は、第1通信端末装置2aから送信されるメール情報80を受信したとき、有効期限情報64と、計時部21から与えられる計時情報とに基づいて、受信したメール情報80の送信対象への送信可能な日時が経過しているか否かを判断する。制御部17は、前記メール情報80の送信可能な日時が経過していると判断すると、受信した前記メール情報80を消去する。
また本実施の形態では、第1通信端末装置2aから第2通信端末装置2bに送信の委託をしたメール情報80が送信対象へ送信されると、送信対象へメール情報80を送信した通信端末装置2は、メール情報80に含まれる送信者ID情報63および委託端末ID情報65に基づいて、前記メール情報80の伝送経路を把握する。伝送経路を把握した通信端末装置2は、メール情報80の送信が完了したことを表す送信完了情報を、メール情報80が送信対象へ送信されるまでに通過した伝送経路と同じ経路を逆に辿って、送信元の通信端末装置2、具体的にはメール情報80を作成した第1通信端末装置2aへ送信する。第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bから送信される送信完了情報を受信する。これによって第1通信端末装置2aは、第2通信端末装置2bに委託したメール情報80が送信対象へ送信されたことを把握することができる。
また本実施の形態では、第1通信端末装置2aが基地局3の通信エリア外にあると判定され、送信対象へのメール情報80の送信を第2通信端末装置2bに委託すると、第2通信端末装置2bは、第2通信端末装置2bのメールアドレスを、委託端末ID情報65としてメール情報80に追加し、この委託端末ID情報65を追加したメール情報80を、送信対象へ送信する。送信対象は、第2通信端末装置2bから送信されたメール情報80を受信する。したがって送信対象である基地局3およびサーバ装置4は、受信したメール情報80に含まれる送信者ID情報63および委託端末ID情報65に基づいて、メール情報80の伝送経路、つまりメール情報80がいずれの通信端末装置2から最初に送信され、いずれの通信端末装置2を経由して送信されてきたのかを容易に把握することができる。
したがって送信対象は、前記委託メール情報の送信対象への送信に要した通信料金が、送信元である第1通信端末装置2aの利用者に対して課金されるように管理することができる。換言すれば送信対象は、前記委託メール情報の送信対象への送信に要した通信料金が、送信対象へのメール情報の送信の委託を許諾した他の通信端末装置2の利用者に対して課金されないように管理することができる。
また本実施の形態では、送信対象が他の通信端末装置2を介して第1通信端末装置2aから送信されたメール情報80を受信したときに、第1通信端末装置2a宛ての第1端末宛通信情報、たとえばメール情報がサーバ側記憶部52に記憶されている場合、この第1端末宛通信情報が、サーバ装置4から少なくとも1つ以上の第2通信端末装置2bを介して第1通信端末装置2aへ送信される。たとえば、第1端末宛通信情報は、第1通信端末装置2aからサーバ装置4へメール情報80が送信される経路と同じ経路を逆に辿って送信することができる。すなわち、基地局3の通信圏外にある第1通信端末装置2aが、メール情報80を受信することが可能となり、利用者に対する利便性を向上することができる。
図11は、通信システム70の第1通信端末装置2aの処理動作を説明するためのフローチャートである。通信システム70の第1通信端末装置2aの処理動作は、第1通信端末装置2aが基地局の通信圏外にあると判断した場合にステップb0で開始されて、ステップb1に進む。
ステップb1では、第1通信端末装置2aが、新規メール作成部32によってメール情報80を作成する。メール情報80を作成すると、ステップb2に進む。メール情報80を作成した第1通信端末装置2aは、前述の図6に示すシーケンスに従って、メール情報80の送信対象への送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を検索する。
ステップb2では、第1通信端末装置2aは、検索処理によって検索された前記メール情報80の送信対象への送信の委託を許諾する他の通信端末装置2、たとえば第2通信端末装置2bへ前記メール情報80を送信する。メール情報80を他の通信端末装置2である第2通信端末装置2bへ送信すると、ステップb3に進む。
ステップb3では、第1通信端末装置2aは、送信したメール情報80に含まれる有効期限情報64と、計時部21から与えられる計時情報とに基づいて、前記メール情報80を送信してから、有効期限情報64が表す時間t1、たとえば3分が経過しているか否かを判断し、経過していればステップb4に進み、経過していなければ経過するまでステップb3の処理を繰り返し行う。
ステップb4では、第1通信端末装置2aは、他の通信端末装置2、たとえば第2通信端末装置2bを介して送信完了情報を受信したか否かを判断し、受信していればステップb8に進み、受信していなければステップb5に進む。
ステップb5では、第1通信端末装置2aは、メール情報80の送信対象への送信に失敗した、換言すればメール情報80が送信対象へ送信されていないと判断する。そして第1通信端末装置2aは、再度、前述の図6に示すシーケンスに従って、メール情報80の送信対象への送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を検索し、この検索処理によって検索された前記メール情報80の送信対象への送信の委託を許諾する他の通信端末装置2、たとえば第3通信端末装置2cへ前記メール情報80を送信する。メール情報80を他の通信端末装置2である第3通信端末装置2cへ送信すると、ステップb6に進む。
ステップb6では、第1通信端末装置2aは、送信したメール情報80に含まれる有効期限情報64と、計時部21から与えられる計時情報とに基づいて、前記メール情報80を送信してから、有効期限情報64が表す時間t1に待機時間t2を加えた時間、たとえば5分が経過しているか否かを判断し、経過していればステップb7に進み、経過していなければ経過するまでステップb6の処理を繰り返し行う。待機時間t2は、第1通信端末装置2aの利用者が、入力部19の各操作片を操作することによって入力可能に構成されてもよい。
ステップb7では、第1通信端末装置2aは、他の通信端末装置2、たとえば第3通信端末装置2cを介して送信完了情報を受信したか否かを判断し、受信していればステップb8に進み、受信していなければステップb5に戻り、前述と同様の処理を行う。ステップb8では、通信システム70の第1通信端末装置2aのすべての処理動作を終了する。
前述のように本実施の形態によれば、第1アンテナ11、第1無線部12および第1通信制御部13によって送信対象である基地局3およびサーバ装置4と通信することができ、第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16によって、他の通信端末装置2と通信することができる。新規メール作成部32によって送信対象へ送信すべき通信情報であるメール情報80が生成され、生成されたメール情報80は端末側記憶部18に記憶される。第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16は、端末側記憶部18に記憶されるメール情報80を他の通信端末装置2に送信するように、制御部17によって制御される。
たとえば利用の有する第1通信端末装置2aが通信圏内にある場合、すなわち第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、端末側記憶部18に記憶されるメール情報80を直接的に送信対象へ送信することが可能であると判定されると、前記メール情報80が、第1アンテナ11、第1無線部12および第1通信制御部13によって送信対象へ送信される。
また、たとえば利用者の所持する第1通信端末装置2aが通信圏外にある場合、すなわち第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、端末側記憶部18に記憶されるメール情報80を直接的に送信対象へ送信することが不可能であると判定されると、前記メール情報80が、第2アンテナ14、第2無線部15および第2通信制御部16によって他の通信端末装置2、たとえば第2通信端末装置2bを経由して送信対象へ送信される。
換言すれば、第1通信端末装置2aが通信圏外にあるために、第1アンテナ11、第1無線部12、第1通信制御部13および制御部17によって、メール情報80を直接的に送信対象へ送信することが不可能であると判定された場合であっても、送信対象へのメール情報80の送信の委託を許諾する第2通信端末装置2bを経由して、前記メール情報80を間接的に送信対象へ送信することができる。したがって第1通信端末装置2aが送信対象に対してメール情報80を送信できる確率を高くすることができる。これによって第1通信端末装置2aの利用者に対する利便性を向上することができる。
また本実施の形態によれば、メール情報80は、送信対象に前記メール情報80を送信可能な期限を表す有効期限情報64を含む。たとえば第1通信端末装置2aから送信されるメール情報80を受信した第2通信端末装置2bは、受信したメール情報80に含まれる有効期限情報64に基づいて、前記メール情報80を送信対象へ送信可能な期限が経過しているか否かを、制御部17によって判断することができる。そして、第2通信端末装置2bは、第1通信端末装置2aから送信され、端末側記憶部18に記憶されたメール情報80のうち、制御部17によって送信対象へ送信可能な期限が経過していると判断されたメール情報80を消去することが可能となる。これによって第2通信端末装置2bでは、新たに受信するメール情報80を記憶させるための端末側記憶部18の記憶領域を確保することができ、確保した記憶領域に、新たに受信するメール情報80を記憶させることができる。したがって新たに受信したメール情報80を送信対象へ送信し得る確率をさらに高めることができる。
また本実施の形態によれば、サーバ側記憶部52には、各通信端末装置2から送信されて、サーバ通信部51によって受信したメール情報80が記憶される。サーバ側記憶部52に同一のメール情報80が重複して記憶されている場合、サーバ制御部53は、前記重複して記憶されているメール情報80のうち、1つのメール情報80を残して、それ以外のメール情報80を全て消去する指令をサーバ側記憶部52に与える。サーバ側記憶部52は、サーバ制御部51からの前記指令に基づいて、重複しているメール情報80を消去する。このようにサーバ制御部53およびサーバ側記憶部52によって、サーバ側記憶部52に記憶されるメール情報80のうち、重複しているメール情報80、換言すれば不要なメール情報80を消去することによって、サーバ側記憶部52の記憶領域を有効に活用することができる。
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において発明の構成を変更することができる。たとえば前述の実施の各形態では、利用者が通信端末装置2を携帯するように構成されているが、本発明の他の実施の形態では、通信端末装置2を自動四輪車および船舶などの移動体に設けるように構成されてもよい。
たとえば、基地局3の通信圏外の地域(以下、「圏外地域」ということがある)と基地局3の通信圏内の地域(以下、「圏内地域」ということがある)とを往復する船舶に、通信端末装置2を設けられる場合を想定する。船舶に設けられる通信端末装置(以下、「船舶端末」ということがある)2は、船舶が圏外地域にいる間はメール情報3の送信の委託を許諾しており、圏外地域にある通信端末装置(以下、「圏外端末」ということがある)2からメール情報の送信の委託を受け付け、送信対象への送信の委託をされたメール情報を端末側記憶部18に記憶する。船舶が圏外地域から圏内地域へ移動すると、船舶端末2は、端末側記憶部18に記憶した前記メール情報を、送信対象へ送信する。
また送信対象は、船舶が圏内地域にいる間、圏外地域にいる利用者の所持する圏外端末に対するメール情報の送信の委託を受け付け、委託をされたメール情報を端末側記憶部18に記憶する。船舶が圏内地域から圏外地域へ移動すると、船舶端末2は、送信対象から委託された前記メール情報を各圏外端末へ送信する。これによって圏外端末は、圏内端末からのメール情報を受信することができるので、圏外端末の利用者に対する利便性を向上することができる。
また本発明の他の実施の形態では、通信端末装置2と他の通信端末装置2との無線接続の処理時に、通信端末装置2と他の通信端末装置2との距離を把握する手段を、通信端末装置2に設け、通信端末装置2から最も遠距離に位置する他の通信端末装置2に、メール情報60,80の送信対象への送信の委託をするように構成されてもよい。これによって比較的短時間にメール情報60,80を送信対象へ送信することが可能になる。
また前述の実施の各形態において、送信対象へメール情報60,80を送信した通信端末装置2から送信元の通信端末装置2へ送信される送信完了情報は、メール情報60,80に含まれる委託端末ID情報65に基づいて、送信対象へ送信されたメール情報60,80の伝送経路と同じ伝送経路を逆に辿って送信元の通信端末装置2へ送信されてもよいし、他の通信端末装置2を経由させて送信元の通信端末装置2へ送信されてもよい。
サーバ装置4が、他の通信端末装置2を経由させて、メール情報60,80の送信元の通信端末装置へ前記送信完了情報を送信する場合は、通信端末装置2がメール情報60,80を送信する場合と同様に、送信完了情報の送信の委託を許諾する通信端末装置2を検索し、検索された通信端末装置2へ送信完了情報の送信を委託するように構成されてもよい。
またメール情報80のヘッダ情報81は、有効期限情報64を含まない構成であってもよい。ヘッダ情報81に有効期限情報64を含まない構成の場合、たとえば通信端末装置2から送信対象へのメール情報80の送信を他の通信端末装置2に委託する回数が、予め入力部19に入力された委託回数情報82を表す回数と等しくなっても、メール情報80の送信対象への送信が不可能であるときは、メール情報80を送信対象へ送信することが不可能であることを表す送信不可能情報を、メール情報80の送信元の通信端末装置へ送信するようにしてもよい。
また、通信端末装置2から送信対象へのメール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2の個体数が、予め入力部19に入力された個体数情報83を表す個体数と等しくなっても、メール情報80の送信対象への送信が不可能であるときは、メール情報80を送信対象へ送信することが不可能であることを表す送信不可能情報を、メール情報80の送信元の通信端末装置へ送信するようにしてもよい。送信不可能情報は、前記メール情報80が辿った伝送経路と同じ経路を逆に辿って、メール情報80の送信元の通信端末装置へ送信されてもよいし、前記メール情報80が辿った伝送経路と同じ経路を辿らずに、異なる経路を辿ってメール情報80の送信元の通信端末装置へ送信されてもよい。
以上のようにしてメール情報80の送信元の通信端末装置2は、他の通信端末装置2から送信される送信不可能情報を受信する。これによって前記送信元の通信端末装置2は、他の通信端末装置2に委託した前記メール情報80が送信対象へ送信されていないことを把握することができる。したがって前記送信元の通信端末装置2は、再度、メール情報80を送信対象へ送信するための処理、具体的には、基地局3の通信圏内にあるか否かを判断し、通信圏外にある場合には、メール情報80の送信の委託を許諾する他の通信端末装置2を検索し、検索された他の通信端末装置2へメール情報80を送信する一連の処理を迅速に行うことができる。
また前述の実施の各形態では、基地局3およびサーバ装置4を、メール情報60,80を送信すべき送信対象としているが、本発明の他の実施の形態では、メール情報60,80を送信する相手先の通信端末装置2を、送信対象としてもよい。
また前述の実施の各形態では、通信端末装置と他の通信端末装置とが、ブルートゥースを利用して通信する場合について述べたが、本発明の他の実施の形態では、通信端末装置と他の通信端末装置とが、無線LAN(Local Area Network)を利用して通信をするように構成されてもよいし、IrDA(Infrared Data Association)を利用した赤外線通信をするように構成されてもよい。また通信端末装置と他の通信端末装置との直接の通信は、無線通信に限らず、SD(Secure Digital)メモリカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、マイクロドライブ(Microdrive)、スマートディスク(SmartDisk)およびUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを用いた通信でもよい。
また前述の実施の各形態では、通信情報としてメール情報60,80をサーバ装置4へ送信する場合の構成について述べたが、通信情報は電子メール情報60,80に限らない。本発明の他の実施の形態では、通信情報として、映画、音楽および書籍などに関連する画像情報ならびに音声情報をサーバ装置4へ送信するように構成されてもよい。