JP2006177978A - パルスレーダ装置 - Google Patents
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Abstract
ノイズの影響を受けない装置を提供する。
【解決手段】送信パルス作成の基となる第1の信号を生成する手段2と、第1の信号の
周波数と倍数、または約数の関係にある周波数を持ち、位相が0の時点が間欠的に一致す
る第2の信号を生成する手段3と、第2の信号を遅延させて制御パルス信号を生成する手
段4と、制御パルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行う手段5とを備える。
【選択図】図1
Description
ーダの方式に係わり、更に詳しくは高周波の送信電波を、一般に等しい間隔に区切ってパ
ルス状にして発射するパルスレーダであって、近距離計測に用いることができ、分解能の
高いパルスレーダ装置に関する。
ダは一般に距離の遠いターゲットを検出し、ターゲットまでの距離を測定することができ
る。このようなパルスレーダで用いられる様々な信号処理技術は、次の非特許文献1に記
述されている。
関根松夫 レーダ信号処理技術 電子情報通信学会
献2、特許文献1,2がある。非特許文献2では正弦波信号によって振幅変調された9.
5GHz帯のマイクロ波を用いて、距離125m以内の移動物体の距離と速度を測定する
方法が提案されている。
用途に適する小型、低コスト、低消費電力のマイクロ波帯パルス送受信機が開示されてい
る。この文献でも本発明の実施例と同様にゲートが用いられているが、これは発振の抑制
用であり、本発明とはその使用目的を異にしている。
可能となり、屋外での非接触距離計測による各種の応用が期待される高分解能近距離レー
ダが開示されている。
森上、中司,"近距離移動物体の距離・速度測定の一方法"電子情報通信学会総合大会 ’00 B−2−2 P.215
較的長距離において用いられてきた。パルスレーダを近距離の計測に用いるためには鋭い
パルスにする必要があり、使用周波数帯域が広くなり、装置に用いるべき素子の帯域も広
くする必要があり、その実現は困難であった。
,FM信号などの使用帯域の説明図である。AM,FM信号においては、その使用帯域は
搬送波の周波数を中心として狭い帯域に限定されており、このためノイズの影響を少なく
おさえることができる。
、使用帯域が広くなり、信号電力Sは同じでも帯域総合の雑音電力Nが大きくなり、S/
N(信号対雑音比)が悪化し、ノイズの影響を受けやすくなる。特に1GHz以上ではS
/Nが悪化し、いろいろな問題点が発生する。S/Nをおさえるためにパルスの幅を広げ
ると帯域は狭くなり雑音Nは小さくなるが、検知可能な対象物までの最小距離が大きくな
る。
度にするには、パルスの幅を1nsec程度にする必要がある。このためには約1GHz
の帯域幅が必要となり、雑音の帯域幅も1GHzと極端に広く、S/Nが非常に悪くなり
、ターゲットの検知が非常に難しくなる。
DSPなどの汎用のディジタルLSIを使うことができず、特別に高速用に開発された半
導体により回路を構成する必要があり、非常にコストが高く、また特性のバラつきのため
に大量生産が難しいという問題点があった。
検波を行い、基準の正弦波に対応してI(同期)成分、およびQ(直交)成分をそれぞれ
求め、I成分およびQ成分のそれぞれについてA/D変換を行い、その結果に対してプロ
セッサを用いて信号処理を行なうという方法が一般的に用いられているが、この方式では
2系統のA/D変換器とフィルタとが必要となり、コスト高になるという問題点があった
。
パルスレーダ装置を、特別に開発された半導体を用いることなく、提供することである。
第2の課題は、例えばターゲットからの反射信号を検出する回路自体からノイズが発生
しても、そのようなノイズの影響を受けることなく、S/N(信号対雑音比)を向上させ
てパルスレーダ装置の検出精度を向上させることである。
ないことによって、コストの低いパルスレーダ装置を提供することである。
明の実施例1としてのパルスレーダ装置の原理構成ブロック図であり、パルスレーダ装置
1は第1の信号生成手段2、第2の信号生成手段3、制御パルス生成手段4、およびゲー
ト手段5を少なくとも備える。
第2の信号生成手段3は第1の信号の周波数と倍数、または約数の関係にある周波数を持
ち、位相角が0の時点が少なくとも間欠的に第1の信号と一致する第2の信号を出力する
ものである。
せた信号を用い微分して制御パルス信号を生成するものであり、ゲート手段5は生成され
た制御パルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行なうものである。
する検波手段6と、制御パルス生成手段4が前述の遅延量を変化させる時、検波手段6の
出力を用いて受信信号の振幅に相当する成分が極大となる遅延量に対応させて、ターゲッ
トまでの距離を算出する距離算出手段7とを更に備えることもでき、あるいは検波手段6
と、制御パルス生成手段4が遅延量を変化させる時、第1の信号と受信信号との位相差に
対応させて、ターゲットまでの距離を算出する距離算出手段7とを更に備えることもでき
る。
トル範囲を帯域制限して、送信パルス生成用変調信号を生成する変調信号生成手段を更に
備えることもできる。
段と、該遅延した信号を用いて制御パルス信号を生成する制御パルス生成手段と、該制御
パルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段と、該ゲート手段の
出力に基づいて、信号遅延手段の出力を用いて該遅延の時間に対応する距離にあるターゲ
ットからの反射信号を検出する反射信号検出手段とを備える。
時、反射信号検出手段の出力を用いて、受信信号の振幅に相当する成分が極大となる遅延
量に対応させてターゲットまでの距離を算出する距離算出手段を更に備えることもできる
。
手段3、制御パルス生成手段4、ゲート手段5に加えて、前述の第1の信号を、制御パル
ス生成手段4による第2の信号の遅延量に合わせて遅延させる信号遅延手段と、ゲート手
段5の出力に基づいて、信号遅延手段の出力を用いて該遅延の時間に対応する距離にある
ターゲットからの反射信号を検出する反射信号検出手段とを備える。
る遅延量に対応させてターゲットまでの距離を算出する距離算出手段を更に備えることも
できる。
号と、周波数変調された連続波とを用いて送信パルス信号を出力するパルス送信手段と、
該基となる信号を遅延させて制御パルス信号を生成する制御パルス生成手段と、該制御パ
ルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段と、該制御パルス生成
手段による信号遅延量に対応して、前記周波数変調における周波数変調幅、および/また
は変調の繰返し周波数を制御する変調制御手段とを備える。
検波する検波手段と、制御パルス生成手段が遅延量を変化させる時、受信信号の振幅に相
当する成分が極大となる遅延量、または前記基となる受信信号との位相差のいずれかに対
応させて、ターゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを備えることもでき、更に前
述と同様の変調信号生成手段を備えることもできる。
御パルスの基準となる第2の信号と、送信パルス作成の基となる第1の信号とで、異なる
周波数、例えば分周や倍周の関係にある周波数が用いられ、ゲート動作によってノイズが
発生しても、周波数の異なる受信信号の処理においてその影響を除外することが可能とな
る。
ゲート動作を行なうことによって、正確な近距離計測を行なうことができ、またAM信号
を用いて狭帯域フィルタでのカットを行なうことによって、雑音帯域が制限されたレーダ
装置を提供することができる。
号の周波数を変えることにより、ゲート動作によって発生するノイズの影響を除外でき、
またFM変調信号を用いるパルスレーダ装置でも、ターゲットまでの距離に無関係にビー
ト信号の1〜数周期程度のデータが取得でき、S/Nが改善され、ターゲットの検出精度
を向上させることができる。
差を0とすることによって、I−Q検波の場合に2系統必要であったA/D変換器とフィ
ルタが1系統ですむことになり、コスト低下と信号処理の容易化を実現することができる
。
の実施例1から実施例4の説明の前に、これらの実施例の基礎となるパルスレーダ装置、
すなわち搬送波としての正弦波信号(連続波)に対して振幅変調を行なうASK(アンプ
リチュード・シフト・キーイング)方式を基本とするパルスレーダ装置の概要について説
明する。
ブロック図である。この装置の動作について図3〜図14に示す各部の波形などを用いて
説明する。まず図2の矩形波発振器11は、図3に示すような矩形波を発振する。この矩
形波のデューティー比は例えば50%、周波数は10MHzとする。
ば立ち上がりに同期して、周波数が同じでデューティー比の小さい、すなわち図4(a)
に示すような幅の狭いパルスを生成すると共に、同図(b)に示すように、法規に合致す
るように帯域制限を行う。
れる。この要求分解能(最小距離)をa、パルス幅をpW とすると、電波の往復距離は2
×aとなり、光の速度をcとするとパルス幅pW は次式によって与えられる。
例えばa=0.3mとすると、pW は2nsとなる。
例えば国内向けの車載レーダでは76GHz付近の帯域が使用される。法規では76〜
77GHz帯では1チャンネルあたり500MHzを専有することができる。パルス幅が
2nsの場合には、メインローブの幅は500MHzであるが、サイドローブはそれ以上
であり、減衰させる必要がある。したがって、帯域を制限する必要がある。
コンピュータからの信号、例えば0〜100nsの範囲で1ns毎にシフト可能な信号に
対応して、図5に示すように遅延させるものである。この遅延範囲およびシフト量は要求
によって異なる。また遅延シフトの方向も要求によって異なる。例えばどこに何があるか
分からない場合には遅延時間をスイープする必要があるが、あらかじめその位置が検出さ
れているような自動車をトラッキングする場合には、その距離に対応した遅延時間の近傍
のみを探索すればよく、要求の内容に応じて遅延量を制御することができる。
例えば10MHz、デューティー比50%の矩形波に対応して、同一の周波数でデューテ
ィー比が小さく、立ち上がりが一致するようなパルスを生成するものである。このパルス
は、図6に示されるように、パルス生成回路および帯域制限部12の出力に対してプログ
ラマブルディレイライン13による遅延時間分だけ遅れたパルスとなる。
あり、その周波数は(b)に示すように単一成分のみである。
この連続波発振器15の出力は、パルス生成回路および帯域制限部12の出力するパル
スを用いて、振幅変調器16によって振幅変調される。その出力をイメージ的に図8に示
す。
Hの間だけ図7の連続波が出力されるようなイメージである。(b)はこの出力の周波数
領域波形であり、連続波の周波数を中心として制限された帯域幅を持っている。
れ、ここでは2台の車両のそれぞれから反射されて、パルスレーダ装置の受信アンテナ1
8によって受信される。
波形は手前にある小さな車両からの、また振幅の大きい波形はそれよりも遠くにある大き
い車両からの反射波を示している。
れる。図9(b)はこの検波器19の出力波形の説明図である。同図に示すように、受信
アンテナ18によって受信された車両2台からの反射信号は、包絡線検波されることによ
って、下に示すような振幅の異なる2組のパルスとして出力される。なお出力のパルスの
間隔は、受信アンテナ18によって受信された信号の間隔よりも広く描かれている。
。ゲート回路21にはパルス生成回路14の出力、すなわち図6で説明した、プログラマ
ブルディレイライン13によって遅延させられたパルスが入力され、ゲート回路21はこ
のパルス生成回路14の出力を制御信号として用いて、増幅器20の出力に対するゲート
動作を実行する。
応する受信パルス以外の部分をカットして、ターゲットを正しく検出することが可能とな
る。
の入力としての増幅器20の出力を示す実線の波形と、制御のためのゲート信号としての
パルス生成回路14の出力を示す点線の波形が描かれており、(b)はゲート回路21の
出力を示す。
一致せず、ゲート回路21の出力は基本的に0となる。2)ではゲート信号のパルスと図2
で近い車両(前車)から反射された波形に相当するパルスとの時刻t1 が一致し、出力と
してこのパルスが得られる。3)では遅延量が中間的であり、1)と同様に出力は0となる。
4)では遅延量t2 が遠くの車両(後車)から反射されたパルスの時刻と一致し、このパル
スが出力される。
発振器11の出力の基本波としての10MHz以下の周波数成分を通過させるものであり
、図10の1)と3)に対応する出力は基本的に零となり、2)と4)に対応する出力は正弦波と
なるが、その正弦波の振幅と位相は入力パルスの大きさと位置に対応する。
、ローパスフィルタ24を経由して矩形波発振器11の出力も入力される。前述のように
、これらの2つのローパスフィルタ22,24は矩形波発振器11の出力としての基本波
、すなわち10MHzを通過させるためのものであり、I−Q検波器23はローパスフィ
ルタ24の出力、すなわち矩形波発振器11の出力の基本波としての正弦波を基準として
、ローパスフィルタ22の出力に対するI−Q検波を行い、I(同期)成分、およびQ(
直交)成分をそれぞれ出力する。
ローパスフィルタ24の出力、すなわち基準となる波形である。1)は図11の1)に対応し
、ローパスフィルタ22の出力が0のため、I,Qの出力も0となる。2)は前述の近い車
両からの反射波に対応する出力であり、I,Q信号の基準信号に対する位相差θ1 は近い
車両との距離に対応し、振幅は反射波の受信強度に対応する。
射波に対応し、I,Qの出力の基準信号との位相差θ2 は遠い車両との距離に対応し、振
幅は反射波の受信強度に対応するため、2)よりも大きくなる。
距離を求めるために、2種類の方法を使用する。この距離算出は、2つのローパスフィル
タ25,26を介したI−Q検波器23の出力としてのI成分、およびQ成分を用いて、
A/D変換器、およびマイクロコンピュータ(MC)27によって実行される。ここで2
つのローパスフィルタ25,26は、A/D変換器の前に挿入される、一般的にサンプリ
ング周波数の半分に対応するローパスフィルタである。
としてのI,Q成分から振幅に相当する(I2 +Q2 )の値を求める。図2のプログラ
マブルディレイライン13による遅延時間を変化させることによって、この(I2 +Q
2 )の値が極大なる時点をもって、電波が対象物から反射されて戻るまでの時間とし、
その時間から対象物までの距離が求められる。この第1の方法は、例えばパルス幅が短く
、信号電力が小さい場合に使用される。
い車両までの電波の往復時間に相当するt1 と、大きい車両との間で電波が往復する時間
t2 において振幅が極大となっている。
差、すなわち図12で説明した位相差θ1 ,θ2 を利用して対象物までの距離が求められ
る。この第2の方法は、例えば信号電力が比較的大きい場合に用いられる。
100ns)、および光の速度cを用いて、位相差θ、遅れ時間τ、および対象物までの
距離Dは次式によって与えられる。
τ=θT/2π (3)
D=τ×c/2=θTc/4π (4)
図14は、図13と同様にプログラマブルディレイライン13による遅延時間と位相差の関係を示す。遅延時間t1 およびt2 は、図12で説明した位相差θ1 およびθ2 に対応する。
ジタル化した後に、マイクロコンピュータによりソフトウエアで処理を行うものとしたが
、アナログ回路を用いることによっても、位相や距離の計算ができることは当然である。
前述のように、ローパスフィルタによって10MHz以下の信号となっているため、一般
的なLSIなどを使用できる。
ト回路のリークなどによるノイズの影響の説明図である。同図においてゲート回路21へ
の入力と出力、ローパスフィルタ(LPF)22の出力波形とその周波数が示されている
。また1)〜4)の意味は、図10におけると同様である。
路21のリークなどによる出力、すなわちノイズが出力される。このノイズは、より複雑
な波形を持つと考えられるが、ここでは小さなパルスで表現する。ローパスフィルタ22
の出力の周波数は、図2の矩形波発振器11の発振周波数としての基本周波数である。
ルスと、1)で説明したノイズとが重畳されてゲート回路21から出力される。この時、ロ
ーパスフィルタ22の出力の周波数は、1)と同様に基本周波数のみである。
が重畳されて、ゲート回路21から出力される。
このようなリークによるノイズの影響を除去することが本発明の目的の1つである。反
射信号の大きさが小さくなるとノイズとの区別が不明となり、ターゲットの検出精度が低
下する。ノイズの影響除去の1つの方法として、リーク量を蓄積しておき、差分をとる方
法も考えられるが、リーク量は温度によってドリフトするため、逆にノイズが多くなって
しまうこともあり、本発明では別の方法を用いることにする。
のパルスレーダ装置の構成ブロック図である。同図を図2のパルスレーダ装置の構成と比
較すると、矩形波発振器11とパルス生成回路および帯域制限部12との間に分周器30
が設けられ、ローパスフィルタ24に対応するローパスフィルタ32への入力が矩形波発
振器11からでなく、分周器30から与えられる点が基本的に異なっている。なお包絡線
検波器19とゲート回路21との間の増幅器20は省略されている。
るが、図2においては2つのローパスフィルタ22,24は矩形波発振器11の発生する
矩形波信号の基本周波数を通過させるフィルタであるのに対して、図16の2つのローパ
スフィルタ31,32は分周器30の発生する矩形波信号の基本周波数を通過させるもの
である。
出力を図15と比較して説明する。図17の1)では、ゲート回路21の出力はそのリーク
成分、すなわちノイズだけであるが、その基本周波数は矩形波発振器11の出力信号の基
本周波数であり、ここではこれを受信系周波数と呼ぶが、例えばその周波数は10MHz
である。
様にその反射信号がノイズに重畳されるが、反射信号、すなわち受信信号の周波数は分周
器30の基本周波数、例えば5MHzで決定される。ここではこの周波数を送信系周波数
と呼ぶ。
信系周波数を持つノイズ成分に比べて一般的に送信系周波数を持つ受信信号成分の方が大
きくなる。図19はこの2つの成分の重畳、すなわち組み合わせによって得られるゲート
回路21の出力波形における組み合わせ成分の説明図である。同図においては、ゲート回
路のリークの振幅が受信信号の振幅にかなり近くなっているが、これは組み合わせの効果
を強調するものであり、一般的には受信信号の振幅の方がゲート回路のリークよりかなり
大きく、組み合わせの信号は例えば図18の4)のようになる。
器30の出力の基本周波数、例えば5MHzを通過させるものとしたが、そのようなフィ
ルタを使用しても一般的に矩形波発振器11の出力の基本周波数としての10MHzの成
分はLPF31が一次の場合、例えば6dB程度減衰するだけであり、図18に示すよう
にLPF31の出力にはリーク成分が残っている。しかしながら、その後段のI−Q検波
器23にはローカル信号として、分周器30の出力の基本周波数の信号が与えられている
ため、I−Q検波器23の出力するI成分、Q成分からはゲート回路のリークによるノイ
ズ成分は高周波となり、LPF31でカットできる。
5MHzとし、矩形波発振器の出力周波数(受信系周波数)を10MHzとしているが、
この2つの周波数は基本的にはどちらが大きくてもよい。2つの周波数の間に倍数(また
は約数)の関係があり、分周関係のように位相が0の時点が間欠的に一致すればよい。倍
数は奇数でも偶数でもよい。
とと、送信パルスを少なくすると受信信号の電力が小さくなるため、ここで使用した送信
系5MHz、受信系10MHzの周波数は適切な例である。
段に送信系の周波数を通過させるために、例えばローパスフィルタの代わりに適当なバン
ドパスフィルタを用いる必要がある。
、および図16の実施例1においては、ゲート回路21の後段のローパスフィルタの後に
I−Q検波器が設けられ、ローカル信号を用いてI−Q検波が行なわれている。その結果
、I成分とQ成分とが求められ、その2つの成分のそれぞれに対してローパスフィルタと
A/D変換器が用いられて、データ処理が行なわれている。実施例2ではコスト低減の目
的で、このローパスフィルタとA/D変換器を1系統に減らすために、I−Q検波器の代
わりにミキサを使用する。
の間には図12で説明したように位相差が存在し、I−Q検波の代わりにミキサを使用す
るとヌルが発生するために、ローパスフィルタとA/D変換器を1系統にすることができ
なかった。
ート回路21の出力に遅延が現れるのに対して、ローパスフィルタ32の出力する基準波
形は分周器30の出力を遅延させていないことによっている。そこで図20の実施例2で
は、ミキサ33に与えるローカル信号を出力するローパスフィルタ24への入力をプログ
ラマブルディレイライン13から与えることにより、ゲート回路21の出力とミキサ33
に与えられるローカル信号との位相差が0となる。そこでI−Q検波器の代わりにミキサ
33を用いることが可能となり、その出力(I成分)に対するローパスフィルタとA/D
変換器も1系統ですむことになる。
その後段のローパスフィルタとA/D変換器が1系統ですむために2系統の場合に比べて
コストが低減されるというメリットの他に、2系統ある場合のアナログ回路の特性をそろ
えるための微妙な調整や、マイクロコンピュータによる信号処理も容易になる。例えば受
信信号の振幅を求めるためにはI成分とQ成分の2乗和の(1チップマイコンには重い)
計算などが必要であったが、I成分のみとなることにより、そのような計算が不要となる
。
例2においては、実施例1と異なって分周器30が用いられていないために、実施例1で
説明したゲート回路21のリークによるノイズの影響を除去することができない。
同様に分周器30の基本周波数を通過させるローパスフィルタ31と32が使用され、更
にローパスフィルタ32への入力として、分周器30の出力信号に対してプログラマブル
ディレイライン13による遅延量と同じ遅延をおこさせるプログラマブルディレイライン
36の出力が与えられる点が異なっている。これによって、ミキサ33への2つの入力信
号としては、図20の実施例2と異なって分周器30の出力信号の基本波成分が与えられ
て、I成分がミキサ33から出力されることになる。
スレーダ装置におけるI−Q検波の動作と比較して更に詳しく説明するものである。図2
2は図2におけるI−Q検波の動作を説明するものであり、ここでは図2のローパスフィ
ルタ22の出力とローパスフィルタ24の出力として
のローカル信号との間に位相差θが存在し、この位相差θのためにI成分とQ成分とが出
力される。
2においては、ローパスフィルタ22の出力する受信信号と、ローパスフィルタ24の出
力としてのローカル信号との位相差θが0となり、このためミキサ33の出力はI成分の
みとなる。
3においては、ローパスフィルタ31の出力波形には前述のようにゲート回路21のリー
ク成分の一部が含まれているものとし、その出力波形は例えば図18の4)で説明した波形
となっている。ローパスフィルタ32の出力としてのローカル信号は、このリーク成分と
の間で位相が一致し、受信信号とローカル信号との位相差θはπとなっている。このため
ミキサ33からはI成分のみが出力される。なお位相差がπであることから、ミキサ33
の出力のI成分の符号が反転するが、問題となるのは信号の振幅(絶対値)であり、符号
反転はその後の動作には影響を与えない。
例1〜実施例3と異なって、連続波発振器の出力信号を周波数変調し、更にその結果から
ASKパルスを作成して送信するものであり、そのようなパルスレーダ装置の基本構成を
図25に示し、またその動作を図26〜図29を用いて説明する。
発生器37の出力する三角波によって周波数変調され、周波数変調された連続波は振幅変
調器16によって、図2におけると同様に送信パルスとされて、送信アンテナ17からタ
ーゲットに向けて送信される。
15の出力を用いてホモダイン検波され、その結果はゲート回路21に与えられる。その
他の部分の動作は基本的に図2におけると同様である。
の出力として得られるビート信号の周波数の説明図である。図26において送信波(連続
波の部分)の周波数fは、ある周波数f0 を中心として、Δfの範囲で直線的な上昇と
下降とを繰返す。この変調の繰返し周波数はfm である。
、受信波の周波数は断続的な波形として示されている。受信波は送信波よりある時間、す
なわちターゲットとの間の電波の往復時間に相当する時間だけ遅れており、送信波と受信
波の間にはある周波数の差fr が生ずる。
なわちビート周波数を示す。この差の絶対値は、図に示すように周波数の上昇区間と下降
区間とにおいてほぼ一定となる。従って受信信号に対する高速フーリエ変換(FFT)を
行なうと、受信電力はこの周波数差fr に対してピークを持つことになる。なおこの説
明は1つのターゲットが静止している場合に対応し、ターゲットが移動している場合の説
明は省略する。
波器23による検波動作の説明図である。同図はゲートパルスと反射信号パルスとが一致
した状態を示し、ゲート回路21の出力は各ゲートパルスに対応するパルスの系列として
与えられる。このパルスの系列は周波数差fr に対して、ミキサ38により、連続波発
振器15の出力する正弦波が乗算されたものとなる。ローパスフィルタ22によって矩形
波発振器11の出力の基本波周波数(10MHz)以下の成分が取り出され、I−Q検波
が行なわれ、ローパスフィルタ25,26により10MHz成分はカットされ、出力とし
てI成分とQ成分とが得られる。
影響の説明図である。図26で説明したようにビート周波数fr はパルスレーダ装置と
ターゲットとの間の距離に対応した受信波の送信波からの遅延時間によって決定される。
そこでターゲットまでの距離が近い場合には、ビート信号の周波数は低くなり、遠い場合
には周波数は高くなる。
ると、ビート周波数が低い場合にはビート信号の0クロスの付近のデータを取得する可能
性があり、信号の値が小さくなり、信号処理の精度が低下する。データ取得範囲を広げれ
ばよいが、それだけ時間がかかることになる。また距離が遠い場合には、ビート信号の周
波数が高く、ローパスフィルタ25,26のカットオフ周波数を下げることができず、そ
の結果ノイズ成分もフィルタを通過し、S/Nを低下させる原因となる。
スレーダ装置と比較すると、連続波発振器15に対して、三角波発生器37の出力の代わ
りにA/D変換器およびマイコン27からの信号、すなわちコンピュータの信号が与えら
れている点が異なっている。なおコンピュータの信号は連続波発生器15だけでなく、プ
ログラマブルディレイライン13にも与えられているが、プログラマブルディレイライン
13に与えられる信号は、矩形波発振器11の発生する矩形波の遅延量を決定するもので
あり、これに対して連続波発振器15に与えられる信号は、図26で説明した周波数変調
の繰返し周波数fm 、または変調幅Δfを決定するための信号である。
Dと、周波数fm 、および変調幅Δfの関係は、光の速度をcとして次式で与えられる
。この式は、次の非特許文献3内の式を一部変更したものである。
大久保、藤村、近藤:"60GHz帯自動車用ミリ波レーダ"FUJITSU vol.47,no.4,pp.332-337(07,1995)
図31のように直線で示される。
ターゲットまでの距離Dは、ゲート回路21におけるゲートパルスの遅延量に対応する
。従ってDと遅延量(電波の往復時間に相当)との関係を用いることによって、プログラ
マブルディレイライン13によって与えられる遅延量に対応して距離Dが求められ、その
値に対応して周波数fm 、または変調幅Δfを次式によって決定することにより、ビー
ト信号の周波数fr を一定とすることが可能となる。
し周波数fm 、または変調幅Δfを上式に従って変化させることによって距離Dが変わ
ってもビート周波数をほぼ一定に保つことが可能となる。
させて変化させた場合の、例えばI出力の時間波形であり、ターゲットまでの距離が近い
場合にも遠い場合にも、ある一定のデータ取得範囲において適切なデータ(1〜数周期分
)の取得が可能となる。またローパスフィルタ25,26のカットオフ周波数を下げるこ
ともできる。
よく、両方を変化させてもよい。実際にはハードウエア上の制限があり、両方を適切に変
化させることが実用的である。
送信パルス作成の基となる第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、
第1の信号の周波数と倍数、または約数の関係にある周波数を持ち、位相角が0の時点
が少なくとも間欠的に一致する第2の信号を生成する第2の信号生成手段と、
第2の信号を遅延させて制御パルス信号を生成する制御パルス生成手段と、
該制御パルス信号を用いて、受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段とを備え
ることを特徴とするパルスレーダ装置。
前記制御パルス生成手段が前記遅延の量を変化させる時、該検波手段の出力を用いてタ
ーゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを更に備えることを特徴とする付記1記載
のパルスレーダ装置。
トル範囲を帯域制限して送信パルス生成用変調信号を生成する変調信号生成手段を更に備
えることを特徴とする付記1記載のパルスレーダ装置。
送信パルス作成の基となる信号を遅延させる信号遅延手段と、
該遅延した信号を用いて、制御パルス信号を生成する制御パルス生成手段と、
該制御パルス信号を用いて、受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段と、
該ゲート手段の出力に基づいて、該信号遅延手段の出力を用いて、該遅延の時間に対応
する距離にあるターゲットからの反射信号を検出する反射信号検出手段とを備えることを
特徴とするパルスレーダ装置。
出力を用いてターゲットまでの距離を算出する距離算出手段を更に備えることを特徴とす
る付記4記載のパルスレーダ装置。
トル範囲を帯域制限して送信パルス生成用変調信号を生成する変調信号生成手段を更に備
えることを特徴とする付記4記載のパルスレーダ装置。
送信パルス作成の基となる第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、
該第1の信号の周波数と倍数、または約数の関係にある周波数を持ち、位相角が0の時
点が少なくとも間欠的に一致する第2の信号を生成する第2の信号生成手段と、
該第2の信号を遅延させて制御パルス信号を生成する制御パルス生成手段と、
該制御パルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段と、
前記第1の信号を、前記制御パルス生成手段による第2の信号の遅延量に合わせて遅延
させる信号遅延手段と、
前記ゲート手段の出力に基づいて、該信号遅延手段の出力を用いて該遅延の時間に対応
する距離にあるターゲットからの反射信号を検出する反射信号検出手段とを備えることを
特徴とするパルスレーダ装置。
手段の出力を用いてターゲットまでの距離を算出する距離算出手段を更に備えることを特
徴とする付記7記載のパルスレーダ装置。
トル範囲を帯域制限して送信パルス生成用変調信号を生成する変調信号生成手段を更に備
えることを特徴とする付記7記載のパルスレーダ装置。
送信パルス作成の基となる信号から生成されたパルス信号と、周波数変調された連続波
とを用いて、送信パルス信号を出力するパルス送信手段と、
該送信パルス作成の基となる信号を遅延させて制御パルス信号を生成する制御パルス生
成手段と、
該制御パルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段と、
該制御パルス生成手段による信号遅延量に対応して、前記周波数変調における周波数変
調幅、および/または変調の繰返し周波数を制御する変調制御手段とを備えることを特徴
とするパルスレーダ装置。
前記制御パルス生成手段が前記遅延の量を変化させる時、該検波手段の出力を用いてタ
ーゲットまでの距離を算出する距離算出手段とを更に備えることを特徴とする付記10記
載のパルスレーダ装置。
該パルス信号のスペクトル範囲を帯域制限して送信パルス生成用変調信号を生成して前記
パルス送信手段に与える変調信号生成手段を更に備えることを特徴とする付記10記載の
パルスレーダ装置。
いて利用可能である。
2 第1の信号生成手段
3 第2の信号生成手段
4 制御パルス生成手段
5 ゲート手段
6 検波手段
7 距離算出手段
11 矩形波発振器
12 パルス生成回路および帯域制限部
13 プログラマブルディレイライン
14 パルス生成回路
15 連続波発振器
16 振幅変調器
17 送信アンテナ
18 受信アンテナ
19 包絡線検波器
21 ゲート回路
22,24,25,26 ローパスフィルタ
23 I−Q検波器
27 A/D変換器およびマイコン
30 分周器
31,32 ローパスフィルタ
33 ミキサ
36 プログラマブルディレイライン
37 三角波発生器
38 ミキサ
Claims (3)
- パルス信号を送信してターゲットを検出するレーダ装置において、
送信パルス作成の基となる第1の信号を生成する第1の信号生成手段と、
該第1の信号の周波数と倍数、または約数の関係にある周波数を持ち、位相角が0の時
点が少なくとも間欠的に一致する第2の信号を生成する第2の信号生成手段と、
該第2の信号を遅延させて制御パルス信号を生成する制御パルス生成手段と、
該制御パルス信号を用いて受信信号に対するゲート動作を行なうゲート手段と、
前記第1の信号を、前記制御パルス生成手段による第2の信号の遅延量に合わせて遅延
させる信号遅延手段と、
前記ゲート手段の出力に基づいて、該信号遅延手段の出力を用いて該遅延の時間に対応
する距離にあるターゲットからの反射信号を検出する反射信号検出手段とを備えることを
特徴とするパルスレーダ装置。 - 前記制御パルス生成手段が前記遅延の量を変化させる時、前記反射信号検出手段の出力を用いてターゲットまでの距離を算出する距離算出手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のパルスレーダ装置。
- 前記送信パルス作成の基となる信号からパルスを生成し、該パルスのスペクトル範囲を帯域制限して送信パルス生成用変調信号を生成する変調信号生成手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のパルスレーダ装置。
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