JP2006177858A - レーダー装置のマルチパスによる疑似目標の判定方法及びこの判定方法を用いたレーダ監視装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 得られた目標情報と、既に追尾している追尾目標とを1対1に対応付ける相関処理を行なう相関処理手段81を設ける。そしてどの追尾目標とも対応がない目標情報は新たな追尾目標とする。一方、レーダー視線上の目標情報の手前側(レーダー側)に既存の追尾目標4が存在し、尚且つ、当該目標情報を仮の追尾目標として追尾した結果が、マルチパスエコーによる擬似目標の固有のパターンを示すか否かを判定するマルチパス判定手段82を設け、固有のパターンを示すと判定した場合は、誤目標として棄却する。
【選択図】 図1
Description
空港面上を監視するレーダ装置では、航空機管制を容易にするため、レーダ反射波をそのまま表示(通常はPPI:Plan Position Indicator)するのではなく、画像中から自動的に航空機を抽出し、各航空機をその位置、速度、進行方向などを、シンボル(特定の色、形状を持つ)化してリアルタイムに画面へ重畳表示する。しかし、レーダ装置のアンテナは地上から少し高い位置に設置され、地上面に向けて電波を放射するので、地上に存在する航空機だけでなく背後の地面や建造物なども反射波として捕らえられ、中には航空機に似た反射波も含まれている。反射波を直接画像化するレーダでは反射映像の質や大きさをオペレータが見ることによって疑似映像を見分けることができるが、上記に説明したように位置、速度、進行方向などを、シンボル化して表示するレーダ監視装置においては、疑似反射も真の反射も、一旦航空機と認識すれば同じ図形として表示されるため、人が識別することはできず、したがって反射波から目標を抽出する段階で、真か疑似であるかを確実に識別する方法が求められている。
レーダービデオには目標信号と不要信号が混在する。不要信号としては、主に、グランドクラッタや受信機雑音がある。このようなレーダービデオから、目標を探知・識別し正確な目標情報を出力するために信号処理が必要となる。なお、不要信号はランダムに変動しており、正しく目標を検出できるかどうかは確率の問題となることが多い。つまり目標を逃さず検出できるようにすると誤警報もおおくなり、誤警報を減らすようにすると真の目標を検出できない場合も発生する。
そこで、雑音やクラッタを取り除いて目標情報を抽出しやすくするとともに、誤警報を極力減らす方法として、CFAR処理などの信号処理を施すのである。CFAR(Constant False Alarm Rate;定誤警報受信)処理とは、実際に目標がないのに目標ありと判定してしまう誤警報確率Pfaがある一定の値となるように閾値を定めて、誤警報確率がそれ以下になるように、そのうえで最大の信号検出確率Pdを得るようにする信号処理手法である。
レーダアンテナから第1の目標へ引いたレーダー視線上の前記第1の目標の遠方側に発生した第2の目標のレーダ画像が、予め定めたマルチパスにより生じる擬似目標固有のパターンを備えているか否かを判定する手順、
前記第2の目標が前記固有のパターンを備えておれば前記第2の目標が疑似目標であるとして警告する手順を含むものである。
予め定めたマルチパスにより生じる擬似目標が有する固有のパターンを備えておれば前記第2の目標が疑似目標であるとして警告する手段を備えたものである。
この発明を空港面において航空機の位置を探知するレーダー監視装置(空港面探知装置、ASDE:Airport Surface Detecting Equipmentとも言う)に適用した実施の形態1のレーダー監視装置について図により説明する。図1において、アンテナ1を備えたレーダー部6は電波を放射し、目標(図示しない)から反射されてきた電波を受信してレーダ画像信号(レーダビデオ)を生成する。レーダビデオ信号は目標検出部7に入力され、このレーダービデオにデジタル信号処理を施して画像中から目標の画像を抽出する。目標検出部7から得られた目標情報は、この目標情報をもとにデータ上でTWS(TrackWhile Scan)追尾を行ない、目標の位置、速度、進行方向などを算出する目標処理部8に入力される。目標処理部8の出力(追尾目標の情報)は出力部9を介して図示しない後段装置へ出力される。出力部9には例えば図示しない画像表示部が設けられている。
真の目標とマルチパスによる擬似目標とを区別するために、図2の真か疑似かわからないある仮の追尾目標5(第2の目標という)について、M中N判定を行い、その後にレーダー視線上の手前側(レーダー側)に既存の追尾目標4(第1の目標という)が存在するかどうかを確認する。
もし、仮の追尾目標5のレーダー視線上の手前側に既存の追尾目標4が存在しなければ、前記仮の目標5(第2の目標)は新しい真の目標である。もし、仮の追尾目標5のレーダー視線上の手前側に既存の追尾目標4が存在すれば、前記仮の目標5(第2の目標)は、追尾目標4(第1の目標)のマルチパスによる擬似目標であるか、あるいは、新たな真の目標がたまたま追尾目標4と同一レーダー視線上に並んだかのどちらかであると判定される。
ステップS1において、目標検出部7からレーダービデオにデジタル信号処理を施して得られた目標情報を取り込む。
ステップS2において、相関処理手段81では、目標検出部7で得られた目標情報と、既にTWS追尾している目標とを1対1に対応付け(以後、相関処理と呼ぶ)を行なう。相関処理の方法は公知の多くの方法があるが、例えばTWS追尾している目標の予測移動範囲(以後、追尾ゲートと呼ぶ)内に存在する目標情報の中から、最も距離が近い目標情報を選んで対応付けを行なうNN(Nearest Neighbor)方式などを用いればよい。
ステップS10において、図4に示すように、当該目標5のレーダー視線上の手前側(レーダー側)に別の追尾目標の存在(図では真の目標4として図示している)を確認する。以下の条件(1)、(2)を両方満たす場合は、別の追尾目標4が存在すると見なしてステップS11へ進み、マルチパスエコーによる擬似目標かどうかの判定を継続する。一方、条件(1),(2)のいずれか一つでも満たされない場合は、マルチパスエコーによる擬似目標ではないと見なしてステップS13へ進み、真の追尾目標として出力する。
条件(1)
レーダー中心の極座標における当該目標5の方位角12(以後、アジマスと呼ぶ)±δθ(δθ:パラメータ)[deg]以内の方向に追尾目標4が存在する。
条件(2)
レーダー中心の極座標における当該目標5の距離13(以後、レンジと呼ぶ)よりも、条件(1)で見つけた目標4の距離14の方が小さい。
理解を助けるため条件(1),(2)を図5に示す。
条件(3) RCS < RCSth
ここで、
RCS:追尾目標4のレーダーの反射信号強度
RCSth:小型目標か否かを判定するため予め定めた反射強度閾値(パラメータ)
条件(3)を図6に示す。
条件(4) |hed ‐ hed’| < hedth
ここで
hed:当該目標5の進行方向
hed’:目標5の進行方向
hedth:同一方向と見なす進行方向の差の閾値(パラメータ)
条件(5) V > Vth
ここで
V:目標4の速度
Vth:予め与えた速度の下限閾値(パラメータ)
なお、条件(4)の同一方向と見なす進行方向の差の閾値は、例えば90度とする。また、条件(5)は目標4の速度がある指定速度を超えることを示しているが、これは、進行方向の計算値を信頼できる値と見なすためで、速度の下限閾値は、例えば2Km/hとしている。条件(4),(5)を図7に示す。
ステップS10〜ステップS12は、この発明に言う、予め定めたマルチパスにより生じる擬似目標が有する固有のパターンを備えているか否かを判定する手順である。またステップS14は疑似目標であるとして棄却する手順である。
図1の出力部9はこの発明に言う疑似目標棄却手段である。
背景技術の説明、及び発明が解決しようとする課題の説明において、この発明はレーダ反射波をそのまま画像化するのではなく、画像中から自動的に航空機を抽出し、その位置、速度、進行方向などを、シンボル化してリアルタイムに画面表示する方式のレーダ装置において、疑似反射像も真の反射像も、一旦航空機と認識すれば同じ図形として表示されるため、人が識別することができないのでシンボル化する前に識別する必要があると説明した。
しかし、これは、本発明がそのような方式のレーダ装置にしか使用できないと言うことではなく、単にそのようなレーダ装置に用いた場合には効果が顕著であると言うことである。実際、レーダ画像をそのまま表示する方式のレーダ装置であっても、疑似映像か真の映像か直ちには識別が困難な例はしばしばあり、本発明を用いて識別結果を出力すれば、人による判定をより確実なものとすることができる。この場合には、例えば図2のフローチャートのステップS14において、誤目標として棄却する代りに、目標画像はそのまま残し、別塗、警告表示またはアナウンスを行うようにすればよい。
5 マルチパス擬似目標、 6 レーダー部、 7 目標検出部、
8 目標処理部、 9 出力部、 10 誘導路、 11 滑走路、
12 方位角、 13 疑似目標の距離、 14 真の目標の距離、
81 相関処理手段、 82 マルチパス判定手段。
Claims (10)
- レーダアンテナから第1の目標へ引いたレーダー視線上の前記第1の目標の遠方側に発生した第2の目標のレーダ画像が、予め定めたマルチパスによる疑似目標固有のパターンを備えているか否かを判定する手順、
前記第2の目標が前記固有のパターンを備えておれば前記第2の目標が疑似目標であるとして警告する手順を含むことを特徴とするレーダー監視装置のマルチパスによる疑似目標の判定方法。 - 前記固有のパターンは、前記第1の目標が予め定めた大きさ以上であるとの第1の条件と、前記第1の目標が前記第2の目標と同じ進行方向へ移動しているとの第2の条件とを満たすものであることを特徴とする請求項1に記載のレーダー監視装置のマルチパスによる疑似目標の判定方法。
- 前記第1の目標のレーダ反射強度をもとに前記第1の目標の大きさの判断を行う大きさ判定手順を備えた請求項2に記載のレーダー監視装置のマルチパスによる疑似目標の判定方法。
- 前記第2の目標のレーダー視線上のレーダ側に前記第1の目標が存在すると判定する条件として、前記第1の目標の方位角と前記第2の目標の方位角との角度差が予め定めた所定の角度以下であることと、当該レーダアンテナから前記第1の目標までの距離が前記第2の目標までの距離より小さいこととを用いることを特徴とする請求項1に記載のレーダー監視装置のマルチパスによる疑似目標の判定方法。
- レーダーにより捕らえた目標の位置、速度、進行方向などを、特定の色または特定の形状のシンボルとしてリアルタイムに画面表示するレーダー監視装置に用いられるとともに、 前記第2の目標が前記固有のパターンを備えておれば前記第2の目標が疑似目標であるとして棄却する手順を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置のマルチパスによる疑似目標の判定方法。
- レーダアンテナから第1の目標へ引いたレーダー視線上の前記第1の目標の遠方側に発生した第2の目標のレーダ画像が、予め定めたマルチパスにより生じる擬似目標固有のパターンを備えているか否かを判定するマルチパス判定手段、前記マルチパスにより生じる擬似目標固有のパターンを備えておれば前記第2の目標が疑似目標であるとして警告する手段を備えたことを特徴とするレーダー監視装置。
- 前記固有のパターンは、前記第1の目標の大きさが予め定めた大きさ以上であるとの第1の条件と、前記第1の目標が前記第2の目標と同じ進行方向へ移動しているとの第2の条件とを満たすものであることを特徴とする請求項6に記載のレーダー監視装置。
- 前記第1の目標の反射強度をもとに前記第1の目標の大きさの判断を行う大きさ判定手段を備えた請求項7に記載のレーダー監視装置。
- 前記第2の目標のレーダー視線上のレーダ側に前記第1の目標が存在すると判定する条件として、前記第1の目標の方位角と前記第2の目標の方位角との角度差が予め定めた所定の角度以下であることと、当該レーダアンテナから前記第1の目標までの距離が前記第2の目標までの距離より小さいこととを用いることを特徴とする請求項7に記載のレーダー監視装置。
- レーダーにより捕らえた目標の位置、速度、進行方向などを、特定の色または特定の形状のシンボルとしてリアルタイムに画面表示するレーダー監視装置に用いられるとともに、前記第2の目標が前記固有のパターンを備えておれば前記第2の目標が疑似目標であるとして棄却する疑似目標棄却手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のレーダ監視装置。
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2004
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